

厚生年金の手取り額早見表|額面からいくら引かれる?天引き内訳と手取りを増やす方法
»あなたの年金はいくら?老後に不足する金額を3分でシミュレーション
「厚生年金の手取り額はいくら?」「額面からどれくらい差し引かれる?」と気になる人もいるでしょう。
厚生年金の受給額は、年金額がそのまま手取りになるわけではありません。所得税や住民税、健康保険料・介護保険料などが差し引かれるため、実際に受け取る金額は額面より少なくなる場合があります。
差し引かれる金額は、年金収入や世帯状況、加入している健康保険などによって異なります。
本記事では、厚生年金の手取り額の早見表を紹介するとともに、手取りが決まる仕組みや控除される税金・社会保険料についてわかりやすく解説します。
- 独身・夫婦別の厚生年金の手取り額の目安
- 年金の額面から天引きされる税金・社会保険料の内訳と仕組み
- 年金の手取り額を増やすための具体的な方法
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厚生年金の手取り額早見表【独身・夫婦別】
厚生年金(老齢基礎年金を含む)の支給額面と、実際に口座に振り込まれる手取り額は異なります。年金の総支給額から税金や社会保険料が差し引かれるためです。
ここでは、独身世帯と夫婦世帯、それぞれの年金収入に応じた手取り額の目安を早見表でご紹介します。


独身世帯の手取り額

65歳以上の単身(独身)世帯の場合、年金収入(額面)に応じた手取り額の目安は以下のとおりです。
年金収入が少ないほど税金や社会保険料の負担が軽くなり、手取りの割合は高くなります。
年金額が160万円以下の場合、所得税や住民税がほとんどかからないケースも多いため、天引きは社会保険料のみとなることが一般的です。
夫婦世帯の手取り額
65歳以上の夫婦2人世帯の場合、世帯の合計年金収入(額面)に応じた手取り額の目安は以下のとおりです。
なお、上記は一例であって、実際の手取り額は夫婦それぞれの年金額によって変わります。
夫婦世帯では、配偶者控除などの各種控除が適用される場合があるため、単身世帯と比べて税負担が軽くなり、手取りの割合が高くなるケースがあります。
例えば、夫の年金収入が211万円以下で、妻の年金収入が155万円以下の場合、住民税非課税世帯に該当する可能性があり、税負担が軽減されます。
早見表の前提条件と注意点
上記で提示した早見表は、以下の条件に基づいた一般的なシミュレーションです。
- 年齢: 65歳以上
- 居住地: 東京都内の市区町村
- 収入: 公的年金(厚生年金・国民年金)のみ
- 控除: 基礎控除、社会保険料控除、公的年金等控除を適用(夫婦世帯は配偶者控除も考慮)
実際の手取り額は、居住している自治体の国民健康保険料率や介護保険料率、扶養家族の有無、年金以外の所得の有無など、個々の状況によって変動します。
そのため、早見表の金額はあくまで目安として捉え、自身の正確な手取り額を知りたい場合は、後述する「ねんきんネット」での確認や、市区町村から送付される通知書を参照することが欠かせません。
年金の手取りが減る理由|額面から引かれる4つの項目

年金の額面と手取り額に差が生じるのは、給与と同じように税金と社会保険料が天引きされるためです。年金から天引きされる項目は、主に以下の4つです。
- 所得税
- 住民税
- 国民健康保険料(75歳以上は後期高齢者医療保険料)
- 介護保険料
これらの項目が、どのような仕組みで差し引かれるのかを理解することが、手取り額を正確に把握する第一歩です。


所得税
公的年金は、所得税法上「雑所得」に分類され、課税対象となります。年金額が一定額以上となる場合、年金の支給時に所得税が源泉徴収(天引き)されます。
源泉徴収の対象となるのは、65歳未満で年金額が年間155万円以上、65歳以上で年間205万円以上の人です。
課税対象となる所得を計算する際には、まず公的年金収入から公的年金等控除が差し引かれます。また、所得税額の計算では、基礎控除や社会保険料控除などの所得控除が適用されるため、実際に課税される所得は少なくなります。
なお、配偶者控除や扶養控除などの人的控除を源泉徴収時に反映させるには、日本年金機構から送付される「扶養親族等申告書」の提出が必要です。申告書を提出することで、源泉徴収される税額が適正化されます。
(参考:令和7年度税制改正による 所得税の基礎控除の見直し等について(源泉所得税関係) | 国税庁)
住民税
住民税は、前年の所得をもとに計算され、居住している自治体に納める税金です。65歳以上で年間の年金受給額が18万円以上の人は、一定の要件を満たしていれば、年金から住民税が天引き(特別徴収)されます。
住民税は、所得に応じて課税される「所得割」と、所得にかかわらず一定額が課税される「均等割」の合計で構成されます。所得割の税率は多くの自治体で10%です。
年金受給を開始した初年度は、住民税が課税される場合でも、年金からの特別徴収は行われず、普通徴収で納めることになります。
天引きが始まるのは翌年度からになるため、2年目以降に手取り額が減少したと感じる場合があります。
国民健康保険料
65歳から74歳までの年金受給者は、会社などの健康保険に加入している場合を除き、一定の要件を満たすと国民健康保険料が年金から天引きされます。75歳になると、全員が後期高齢者医療制度に移行し、一定の要件を満たしていれば後期高齢者医療保険料が年金から天引きされるようになります。
保険料は、居住している市区町村によって異なり、前年の所得に応じて計算される「所得割」と、加入者全員が均等に負担する「均等割」などを合算して決まります。
介護保険料
65歳以上の人(第1号被保険者)で年金の受給額が18万円以上ある人は、原則として介護保険料が年金から天引きされます。介護保険は、介護が必要になった際にサービスを受けるための公的保険制度です。
保険料の金額は、居住している市区町村の介護サービス水準や、本人の所得段階に応じて条例で定められています。
所得が低い世帯には保険料の軽減措置が設けられているため、住民税が非課税になるかどうかは介護保険料の負担額にも影響します。
(参考:年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税および森林環境税を特別徴収されるのはどのような人ですか。 | 日本年金機構)
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年金額別の天引き額シミュレーション

年金の額面から、実際にどのくらいの税金や社会保険料が引かれるのでしょうか。ここでは65歳以上の単身世帯をモデルに、年金額別の天引き額と手取り額をシミュレーションします。
東京都内の自治体に居住し、収入は公的年金のみ、扶養親族なしの前提で計算した概算値です。


年180万円の場合
年間の年金収入が180万円(月額15万円)の場合、手取り額の目安は以下のようになります。
- 所得税・住民税: 約2.2万円
- 社会保険料(国保・介護): 約14.1万円
- 天引き額合計: 約16.3万円
- 手取り年額: 約163.7万円(月額 約13.6万円)
額面の約1割が天引きされる計算です。年金収入180万円の場合、所得税はかからないか、かかっても少額ですが、住民税と社会保険料の負担が発生します。
年240万円の場合
年間の年金収入が240万円(月額20万円)の場合、手取り額の目安は以下のようになります。
- 所得税・住民税: 約10.2万円
- 社会保険料(国保・介護): 約24.2万円
- 天引き額合計: 約34.4万円
- 手取り年額: 約205.6万円(月額 約17.1万円)
年収が増えることで所得税と住民税の負担が増え、天引き額の合計は額面の約14.3%になります。
年260万円の場合
年間の年金収入が260万円(月額約21.7万円)の場合、手取り額の目安は以下のようになります。
- 所得税・住民税: 約12.5万円
- 社会保険料(国保・介護): 約26.3万円
- 天引き額合計: 約38.8万円
- 手取り年額: 約221.2万円(月額 約18.4万円)
額面が260万円になると、税金と社会保険料の合計で額面の約15%が天引きされます。収入が増えるほど、天引きされる割合も高くなることがわかります。
年金の手取りが非課税になるライン

年金生活において、税金がかからなくなる「非課税ライン」を理解することは、手取り額を考える上で欠かせません。
所得税と住民税では、非課税となる基準が異なります。
- 所得税(65歳以上):年金収入が年205万円以下であれば、原則として非課税となる目安です。
- 所得税(65歳未満):年金収入が年155万円以下であれば、原則として非課税となる目安です。
- 住民税(65歳以上・単身):都市部では、年金収入が年155万円以下の場合が非課税の目安です。
- 実際の非課税ライン:社会保険料控除や扶養控除、居住する自治体などによって異なります。


所得税の非課税ライン
所得税がかかるかどうかは、年収から各種の控除を差し引いた課税所得によって決まります。
65歳以上の単身者の場合、所得税の非課税ラインの目安は年収205万円です。これは、公的年金等控除の最低額110万円と基礎控除95万円を合計した金額です。
ただし、実際の所得税額は、社会保険料控除などの所得控除も差し引いて計算されます。そのため、年金収入が205万円を超えていても、所得税がかからない場合があります。
なお、65歳未満の場合は非課税ラインの目安は年収155万円となります。
(参考:公的年金の税金(所得税)はどうやって計算される? | 生命保険文化センター)
住民税の非課税ライン
住民税が非課税になるラインは、一般的に所得税よりも低くなります。また、居住している自治体の級地区分(物価水準などに応じた地域区分)によって基準が異なります。
一般的に、都市部(1級地)に住む65歳以上の年金受給者(収入は公的年金のみ)の場合、住民税が非課税になる年収の目安は以下のとおりです。
- 単身世帯: 約155万円以下
住民税が非課税になると、税金の負担がなくなるだけでなく、国民健康保険料や介護保険料、高額療養費制度における自己負担限度額なども軽減されるため、手取り額に与える影響は大きいものとなります。
(参考:2.個人住民税における扶養親族等申告書の提出対象範囲の拡大 | 日本年金機構)
»あなたの老後は年金で足りる?本当の不足額をシミュレーション
年金以外の収入がある場合の注意点

年金以外に給与収入や企業年金、個人年金保険などの収入がある場合、それぞれの所得を合算して税金が計算されます。
また、不動産所得や事業所得などがある場合も、それぞれの所得区分に応じて所得税や住民税が計算されます。
合計所得が増えることで、所得税や住民税の負担が増えるほか、国民健康保険料や介護保険料などに影響する場合があるため注意が必要です。


給与収入との合算
60歳以降も働きながら厚生年金を受け取る場合、給与収入と年金収入の両方が発生します。この場合、給与所得と年金の雑所得を合算した金額が課税対象となります。
さらに、「在職老齢年金制度」にも注意が必要です。1か月あたりの給与(総報酬月額相当額)と年金の月額(基本月額)の合計額が一定の基準額(2026年度は65万円)を超えると、年金の一部または全額が支給停止になります。
この制度により、年金の額面自体が減額され、手取りに直接影響します。
(参考:在職老齢年金の計算方法 | 日本年金機構)
企業年金・個人年金との合算
iDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型DC(企業型確定拠出年金)、確定給付企業年金などを年金形式で受け取る場合、これらは公的年金と同じ「雑所得」として扱われます。
そのため、国民年金や厚生年金の収入と合算され、「公的年金等控除」が適用されたうえで課税されます。
なお、生命保険会社が販売する個人年金保険も雑所得に分類されますが、公的年金等とは別の計算方法になります。公的年金等控除は適用されず、「収入金額 - 必要経費」で所得を計算します。
複数の年金を受け取る場合は、それぞれの所得区分と計算方法を確認し、正しく合算して税額を把握することが必須です。
年金の手取りを増やす方法
各種制度を上手く活用することで、年金額や手取り額を増やせる可能性があります。
ここでは、年金生活者が実践できる現実的な方法をいくつかご紹介します。
【年金の手取りを増やす主な方法】
- 繰下げ受給を活用する:受給開始を1ヶ月遅らせるごとに年金額が0.7%増え、75歳まで繰り下げると最大84%増額されます。
- 医療費控除を活用する:医療費が一定額を超えた場合、確定申告により所得税が還付される可能性があります。
- 社会保険料控除を活用する:家族分の国民健康保険料や介護保険料を支払った場合、所得から控除できることがあります。
- 配偶者控除・扶養控除を確認する:「扶養親族等申告書」を提出すると、年金から天引きされる所得税を抑えられる可能性があります。
- 払い過ぎた税金を確定申告で取り戻す:申告書の提出漏れや控除の未反映がある場合、還付を受けられることがあります。

繰下げ受給で年金額を増やす
老齢年金の受給開始時期を、原則の65歳から66歳以降に遅らせる「繰下げ受給」を選択すると、年金額を増やすことができます。
1ヶ月遅らせるごとに年金額が0.7%増額され、最大で75歳まで繰り下げることで84%も増額されます。
例えば、70歳まで5年間繰り下げると年金額は42%増えます。この増額率は生涯にわたって適用されるため、長生きした場合、生涯で受け取る年金総額が多くなる可能性があります。
ただし、年金額が増えると税金や社会保険料の負担も増えるため、手取りの増加率は額面の増加率よりは低くなる点に注意が必要です。
医療費控除・社会保険料控除を活用

年間の医療費が多くかかった場合や、家族の社会保険料を支払った場合などは、確定申告をすることで税金の還付を受けられる可能性があります。
- 医療費控除: 1年間の医療費自己負担額が10万円(総所得金額200万円未満の場合には所得の5%)を超えた場合に、超えた分を所得から控除できます。
- 社会保険料控除: 生計を1つにする配偶者や親族の国民健康保険料や介護保険料を支払った場合、全額を自分の所得から控除できます。
年金収入が400万円以下で年金以外の所得が20万円以下の場合、確定申告は不要ですが、これらの控除を適用して還付を受けるためには自主的に確定申告を行う必要があります。
配偶者控除・扶養控除を確認
所得税の源泉徴収額を計算する際に、配偶者控除や扶養控除を適用させるためには、日本年金機構へ「扶養親族等申告書」を提出する必要があります。
この申告書を提出し忘れると、控除が適用されずに所得税が多めに天引きされてしまいます。もし提出を忘れてしまった場合でも、確定申告を行えば払い過ぎた税金を取り戻すことが可能です。
毎年秋ごろに申告書が送付されてくるので、対象となる配偶者や扶養親族がいる場合は、忘れずに提出することで年金から源泉徴収される所得税額を適正にすることができます。
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厚生年金の手取りに関するよくある質問


Q. 年金から引かれるものは何?
年金からは、主に「所得税」「住民税」「国民健康保険料(75歳以上は後期高齢者医療保険料)」「介護保険料」の4つが天引きされます。
これにより、額面よりも手取り額は少なくなります。
Q. 年金の手取りは額面の何割?
年金の手取り額は、一般的に額面の85%〜95%程度が目安です。ただし、年金額や年齢、居住している地域、扶養家族の有無によって変動します。
年金額が高いほど税率や保険料の負担が増えるため、手取りの割合は低くなる傾向があります。
Q. 年金収入が少ないと税金はかからない?
はい、年金収入が少なく課税所得が一定額以下になる場合、税金はかかりません。
65歳以上の単身世帯の場合、所得税が非課税になる年収の目安は205万円未満、住民税が非課税になる年収の目安は155万円未満(自治体による)です。
ただし、税金がかからなくても社会保険料は天引きされる場合があります。
まとめ

厚生年金の手取り額は、額面から所得税、住民税、国民健康保険料、介護保険料が天引きされて決まります。手取りの割合は額面の85%〜95%程度が目安ですが、年金額や世帯構成、居住している地域によって変動します。
まずは本記事の早見表で自身の手取り額の目安を把握し、老後の生活設計を具体的にイメージすることが大切です。
もし年金の手取り額が少なく不安を感じる場合は、繰下げ受給も検討してみましょう。医療費控除などの所得控除が適用できる場合には、確定申告して税金の還付を受けることにより、実質的に手取りを増やせます。
自身の状況に合わせた最適な資金計画を立てることが、安心して豊かな老後を送るための第一歩となります。
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ご留意事項
- 本記事は一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の金融商品の取引を勧誘するものではありません。
- 本記事の内容は記事公開時または更新時点の情報に基づいています。制度・法令・税制等の変更により、現在の情報と異なる場合があります。
- 本記事の内容の正確性、完全性、最新性を保証するものではなく、予告なく変更または更新する場合があります。
- 投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任とご判断のもとで行っていただきますようお願いいたします。
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監修

森本 由紀
- ファイナンシャルプランナー/AFP(日本FP協会認定)/行政書士
行政書士ゆらこ事務所(Yurako Office)代表。愛媛県松山市出身。神戸大学法学部卒業。法律事務所事務職員を経て、2012年に独立開業。メイン業務は離婚協議書作成などの協議離婚のサポート。離婚をきっかけに自立したい人や自分らしい生き方を見つけたい人には、カウンセリングのほか、ライフプラン、マネープランも含めた幅広いアドバイスを行っている。法律系・マネー系サイトでの記事の執筆・監修実績も多数。
執筆

マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
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