
専業主婦の年金は誰が払う?第3号被保険者の仕組みと保険料負担の実態
≫将来の不足額はいくら?あなたのケースでシミュレーション
「専業主婦(主夫)の国民年金保険料は誰が払う?」「配偶者の給料から引かれているの?」といった疑問をお持ちではありませんか?実は、専業主婦(主夫)の年金保険料は配偶者が直接支払っているわけではありません。
この記事では、国民年金の被保険者種別のうち専業主婦(主夫)が該当する「第3号被保険者」の仕組みや、保険料負担の考え方、将来受け取れる年金額まで詳しく解説します。記事を参考に年金制度について正しく理解し、将来のライフプランニングに役立てましょう。
- 専業主婦の年金保険料の負担の仕組み
- 第3号被保険者になれる条件と手続き方法
- 将来受け取れる年金額と注意すべきポイント
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専業主婦の年金保険料は誰が払う?
専業主婦(主夫)の国民年金保険料は、配偶者が個別に支払っているわけではありません。結論として、厚生年金や共済組合といった制度の加入者全体で負担しています。
これは、日本の公的年金が持つ「世代間および世代内の支え合い(相互扶助)」という考え方に基づいています。つまり、現役世代全体で高齢者世代を支えるだけでなく、同じ世代内でも収入のある人がない人を支える仕組みが取り入れられています。
この仕組みにより、専業主婦(主夫)は自身で保険料を納付することなく、国民年金に加入しているとみなされます。
配偶者の給料から天引きされているわけではない
配偶者が会社員や公務員の場合、毎月の給与から厚生年金保険料が天引きされていますが、その保険料はあくまで配偶者自身の分です。扶養している専業主婦(主夫)の国民年金保険料が、配偶者の給与から追加で引かれているわけではありません。
厚生年金保険料は、加入者本人の給与や賞与の金額に基づいて計算され、勤務先と本人が半分ずつ負担します。その計算に、扶養する配偶者の有無は影響しません。
厚生年金制度全体で支えられている仕組み
専業主婦(主夫)が加入する国民年金の保険料は、配偶者が加入している厚生年金や共済組合の制度全体が「基礎年金拠出金」として負担しています。
つまり、特定の誰かが支払うのではなく、すべての厚生年金加入者が納める保険料によって、制度に加入している専業主婦(主夫)の国民年金保険料もまとめて賄われている形です。
これは、社会全体で子育て世代を支えるという目的も含まれた、相互扶助の精神に基づく仕組みといえます。
専業主婦が該当する「第3号被保険者」とは
国民年金では加入者を3つの区分に分けており、専業主婦(主夫)は「第3号被保険者」に該当します。
第3号被保険者は、自身で保険料を納めることなく国民年金の被保険者となり、将来、老齢基礎年金を受け取る権利を得ることができます。
第3号被保険者になれる条件
第3号被保険者になるためには、以下のすべての条件を満たす必要があります。
- 年齢:20歳以上60歳未満であること
- 配偶者の条件:配偶者が第2号被保険者(会社員や公務員で厚生年金に加入している人)であること
- 扶養の条件:第2号被保険者である配偶者に生計を維持されていること
- 収入の条件:年収が130万円未満(障害者の場合は180万円未満)、かつ配偶者の年収の2分の1未満
パートなどで働いている場合でも、年収が130万円未満であれば基本的に第3号被保険者となります。
ただし、勤務先の従業員数や労働時間などの条件によっては、年収が約106万円を超えると自身で社会保険に加入する(第2号被保険者になる)必要が出てくるため注意が必要です。
第1号・第2号被保険者との違い
日本の公的年金制度の加入者は、働き方などによって3つの種類に区分されます。第3号被保険者と、第1号・第2号被保険者との違いは以下の通りです。
第3号被保険者の大きな特徴は、自身で保険料を納付する必要がない点です。
専業主夫も第3号被保険者になれる
第3号被保険者制度は、性別に関わらず利用できます。そのため、妻が会社員や公務員(第2号被保険者)で、夫がその扶養に入っている専業主夫の場合も、条件を満たせば第3号被保険者になることが可能です。
働き方が多様化する現代において、性別による区別なく、家計を支える配偶者に扶養されている方が対象となる公平な制度となっています。
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第3号被保険者になるための手続き
第3号被保険者になるためには、自動的に切り替わるわけではなく、自分自身での手続きが必要です。手続きは原則として、配偶者の勤務先を通じて行います。ライフステージの変化に応じて、忘れずに届出を行いましょう。
退職後に配偶者の扶養に入る場合
会社を退職して配偶者の扶養に入る場合、配偶者の勤務先に「国民年金第3号被保険者関係届」を提出する必要があります。多くの場合、健康保険の被扶養者になる手続きと同時に行います。
手続きには、自身の基礎年金番号またはマイナンバーがわかるもの(年金手帳や基礎年金番号通知書、マイナンバーカードなど)や、退職日がわかる書類(離職票など)が必要になることがありますので、事前に配偶者の勤務先の担当部署に確認しておくとスムーズです。
結婚を機に扶養に入る場合
結婚を機に仕事を辞め、配偶者の扶養に入る場合も、退職時と同様の手続きが必要です。配偶者の勤務先に「国民年金第3号被保険者関係届」と、健康保険の「被扶養者(異動)届」を提出します。
婚姻届を提出しただけでは自動的に第3号被保険者にはなりませんので、必ず配偶者の会社を通じて手続きを行いましょう。必要書類は会社によって異なる場合があるため、事前に確認することが推奨されます。
手続きを忘れた・遅れた場合のリスク
第3号被保険者への切り替え手続きを忘れたり、遅れたりすると、その期間は国民年金が「未納」の状態になる可能性があります。未納期間があると、将来受け取る老齢基礎年金が減額されたり、障害年金や遺族年金が受け取れなくなったりするリスクが生じます。
もし手続きを忘れていたことに気づいた場合は、速やかに配偶者の勤務先を通じて届出を行いましょう。原則として、届出が受理された日から2年前までの期間については、さかのぼって第3号被保険者として認定されます。
しかし、2年を超えた期間は未納期間となってしまうため、ライフイベントの際には速やかな手続きが欠かせません。
専業主婦が将来もらえる年金額
第3号被保険者として保険料を納付していなくても、その期間は国民年金の保険料を納付した期間として扱われます。そのため、将来は老齢基礎年金を受け取ることができます。受け取れる金額は、第3号被保険者であった期間を含む、国民年金の総加入期間によって決まります。
満額で年間約83万円(月額約6.9万円)
20歳から60歳までの40年間(480ヶ月)、すべての期間で国民年金に加入(第1号、第2号、第3号のいずれか)していれば、老齢基礎年金を上限額で受け取ることができます。
2025年度(令和7年度)の老齢基礎年金の満額は、年間83万1700円(月額6万9308円)です。例えば、40年間ずっと専業主婦(主夫)で第3号被保険者だった場合でも、その満額を受け取ることが可能です。
※昭和31年4月1日以前生まれの方は月額6万9108円となります。
加入期間が短いと減額される
国民年金の加入期間が40年(480ヶ月)に満たない場合、将来受け取る老齢基礎年金は、満額から加入期間に応じて減額されます。年金額は以下の計算式で算出されます。
年金額 = 満額(83万1700円) × (保険料納付済月数 ÷ 480ヶ月)
例えば、第3号被保険者としての期間が30年(360ヶ月)だった場合、年金額は「83万1700円 × (360 ÷ 480) = 62万3775円(年額)」となります。未納期間があると、その分だけ将来の受給額が少なくなります。
配偶者の厚生年金には影響しない
専業主婦(主夫)が受け取る老齢基礎年金は、あくまでその人自身の国民年金加入記録に基づくものです。配偶者が厚生年金に加入していることで第3号被保険者になれますが、そのことで配偶者が将来受け取る厚生年金額が減ったり、影響を受けたりすることはありません。
夫婦それぞれの年金は、それぞれの加入記録に基づいて個別に計算・支給される独立した権利です。
専業主婦の年金で注意すべきポイント
第3号被保険者制度は保険料負担がないというメリットがありますが、その資格を維持するためにはいくつかの注意点があります。
配偶者の働き方や収入状況が変わった際には、自身の年金の区分も変わる可能性があることを理解しておくことが大事です。
配偶者が退職・転職したら手続きが必要
配偶者が会社を退職したり、自営業者になったりして厚生年金の加入資格(第2号被保険者)を失った場合、扶養されている専業主婦(主夫)も第3号被保険者の資格を失います。
その場合、自分で市区町村の役場または年金事務所にて、国民年金の「第1号被保険者」への切り替え手続きを行い、国民年金保険料を納付する必要があります。
また、配偶者が65歳に到達して老齢基礎年金の受給権を満たした場合も、第2号被保険者ではなくなるため、同様に第1号への切り替え手続きが必要です。
その手続きを怠ると未納期間が発生してしまうため、配偶者の状況が変わった際は速やかに確認しましょう。
年収130万円を超えると扶養から外れる
パートやアルバイトなどで働いている専業主婦(主夫)は、自身の収入に注意が必要です。年収が130万円以上になると、配偶者の扶養から外れ、第3号被保険者の資格を失います。その場合は、勤務先の社会保険(厚生年金・健康保険)に加入するか、自分で国民年金(第1号被保険者)と国民健康保険に加入し、保険料を支払う必要があります。
さらに、年収130万円以下であっても、勤務先の規模や労働時間によっては、「106万円の壁」が関係します。年収が106万円以上で特定の条件を満たすと、勤務先の社会保険(厚生年金・健康保険)に加入することになり、第2号被保険者となります。
第2号被保険者となった場合、保険料は給与から天引きされますが、将来は老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金も受け取れるようになります。
2025年6月に成立した年金制度改正法により、「106万円の壁」が撤廃される方針が決定しました。施行は2026年10月の見込みで、これにより年収に関係なく週20時間以上で加入対象となります。「壁」撤廃により、働き控えが解消されて労働力確保が進むことが期待されており、手取り減少を防ぐための企業向け助成金や保険料軽減措置も設けられます。
離婚時の年金分割制度
離婚した場合、婚姻期間中に納めた厚生年金の保険料記録を夫婦で分割できる「年金分割制度」があります。
専業主婦(主夫)であった期間(第3号被保険者期間)については、夫婦間の合意がなくても、請求すれば自動的に配偶者の厚生年金記録の2分の1を受け取ることができます(これを「3号分割」といいます)。
これにより、離婚しても将来の年金を確保することができます。
ただし、分割されるのはあくまで婚姻期間中の厚生年金記録であり、国民年金(老齢基礎年金)は分割の対象外です。
将来の年金制度改正リスク
第3号被保険者制度については、公平性の観点などから社会的な議論の対象となることがあります。過去にも何度か見直しの議論がなされており、将来的には制度が変更される可能性もゼロではありません。
公的年金だけに頼るのではなく、自分自身で老後資金を準備する意識も大事です。iDeCo(個人型確定拠出年金)や新NISA(少額投資非課税制度)などを活用し、資産形成を進めることも、将来への備えとして有効な選択肢となります。
まとめ
専業主婦(主夫)の国民年金保険料は、配偶者が直接支払っているわけではなく、厚生年金制度に加入するすべての人々によって支えられています。この「第3号被保険者」制度により、自身で保険料を納めることなく、将来、老齢基礎年金を受け取ることが可能です。
ただし、この資格を維持するためには、配偶者が厚生年金に加入していることや、年収が一定額未満であることなどの条件があります。配偶者の退職や自身の就労状況の変化によって、第1号被保険者や第2号被保険者への切り替え手続きが必要になる場合があるため注意が必要です。
年金制度を正しく理解し、ライフステージの変化に合わせて適切な手続きを行うことが、将来の安心につながります。
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監修
森本 由紀
- ファイナンシャルプランナー/AFP(日本FP協会認定)/行政書士
行政書士ゆらこ事務所(Yurako Office)代表。愛媛県松山市出身。神戸大学法学部卒業。法律事務所事務職員を経て、2012年に独立開業。メイン業務は離婚協議書作成などの協議離婚のサポート。離婚をきっかけに自立したい人や自分らしい生き方を見つけたい人には、カウンセリングのほか、ライフプラン、マネープランも含めた幅広いアドバイスを行っている。法律系・マネー系サイトでの記事の執筆・監修実績も多数。
執筆
マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
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