読めば投資信託の基本がわかる!投資初心者でも失敗しない選び方・始め方・運用方法
投資信託をこれから始めようと思っている初心者に向けて、投資信託の基本知識、自分に合う商品の選び方など、証券アナリストやファイナンシャルアドバイザーがわかりやすく解説していきます。
この記事を読めば、最低限知っておきたい投資信託の知識について学ぶことができます。
投資信託の基本知識
投資信託は、たくさんの投資家から集めたお金をひとまとめにし、それをファンドマネージャーと呼ばれる金融の専門家がさまざまな資産に投資・運用する金融商品です。
商品によって投資する資産に違いがあり、どの投資信託を選ぶかによって運用の成果も変わってきます。また、プロが運用するといっても経済の状況次第では損失が出ることもあります。
投資信託は元本保証ではない点に注意が必要です。
(関連記事:投資とは?なぜ必要?基本知識と初心者でも失敗しないコツをわかりやすく解説)
(関連記事:元本保証でなくても投資のリスクは抑えられる!損しない金融商品の選び方をプロが解説)
投資信託の仕組み
投資信託の運営には販売会社・受託会社・運用会社が関わっています。
販売会社(証券会社、銀行など)は、お客様と直接やり取りをする「窓口」の役割を担います。具体的には投資信託の販売や換金、分配金・償還金の支払い、資産運用の相談業務などの対応をしています。
運用会社は投資家の資産について、受託銀行に運用の指図を行っています。
実際の売買業務は担いませんが、高度な分析手法やさまざまなノウハウを用いて、資産を運用する重要な役回りといえるでしょう。
受託会社(信託銀行)は投資家の信託財産を保管・管理、株式や債券などの売買を行っています。信託銀行は、投資家の資産を分別管理により大切に守る役割も担っています。
(参考:投資信託とは~投資信託のイロハ~│はじめての投資信託│SMBC日興証券)
(参考:今さら聞けない投資信託とは?なぜ利益が出る?図解で仕組みをわかりやすく解説)
投資信託の種類
投資信託は「株式投資信託」と「公社債投資信託」の2種類に大別されます。
株式投資信託は株式や債券などを組み入れて運用する投資信託です。
公社債投資信託は株式を一切組み入れず、国債や社債などの債券で運用される投資信託です。代表的な公社債投資信託にMRF・MMFがあります。
その他の種類としては、募集期間だけ購入できる単位型、いつでも購入が可能なオープン型、また投資対象地域や運用方法などによって、さまざまな種類の投資信託があります。
日本で購入できる投資信託の本数はおよそ6000本。
投資信託を購入する場合は、このさまざまな種類の中から選んで購入することになります。
(参考:どのような投資信託があるの?│はじめての投資信託│SMBC日興証券)
投資対象地域と商品
投資信託の投資対象地域には、主に以下のように分類されます。
・新興国:アジア、中南米、アフリカなど
また、投資対象商品にもさまざまな種類があります。
②債券
③不動産(REIT)
④コモディティ
⑤バランス(①~⑤など、複数の資産が合わさったもの)
Q.投資信託は預金や株式と何が違う?
私たちがよく利用している普通預金や定期預金は、銀行に預けることで利息が付与される金融商品です。
銀行預金は社会や経済・金融を支える仕組みの一部を担っていることもあり、一定の制約はあるものの、1000万円までとその利息は全額保護される仕組みになっています。そのため、元本保証がある商品ともいえるでしょう。
一方、株式ですが、企業が金融市場を通じて広く資金を集める仕組みが株式市場です。
投資家はこの市場を通して、投資をしたい企業の株式を売買します。
企業に投資をするので、その企業の業績が良ければ値上がり益や配当が得られる可能性が高くなります。
反対に業績が悪かったり、破綻したりすると、投資したお金が減少したり、最悪の場合、無くなったりする可能性もあります。
(関連記事:投資とは?なぜ必要?基本知識と初心者でも失敗しないコツをわかりやすく解説)
運用方法
投資信託の運用方法には、アクティブ運用とパッシブ(インデックス)運用があります。
アクティブ運用はベンチマークとなる指数を設定し、ベンチマークを上回る成績を目指して運用する手法です。
パッシブ運用もアクティブと同様にベンチマークを設定しますが、ベンチマークと連動するように運用するのがパッシブ運用の方法です。
アクティブ運用はファンドマネージャーと呼ばれる金融の専門家が高度な知識を用いて各分野の企業をリサーチして運用を行っています。
よって、大きな運用成果も期待できますが、その分、コストがかかるようになります。
一方、パッシブ運用ですが、市場と連動する成果を追求するため、アクティブ運用ほどの成果を期待することはできないものの、市場平均の運用成果を得ることができます。
コストもアクティブ運用のファンドよりも安いのが特徴です。
リスク・リターン
リターンとは、投資を行うことで得られる収益のことです。
リスクとは、一般的には「危険」という意味で使われることが多いですが、投資の世界ではリターン(収益)の「振れ幅」のことを指します。
一般的に、リスクが高いものほどリターン・ロスが大きくなり、リスクが小さいものほどリターン・ロスが小さいという傾向があります。
つまり「ハイリスク・ハイリターン」とは、「大きな収益を目指すと、リスクも大きくなり、大きな収益を期待できる反面、大きな損失をする可能性も高まる」ということを意味します。
(参考:よく聞くリスクとリターンって?│はじめての投資信託│SMBC日興証券)
初心者に投資信託がおすすめの理由:メリット
投資信託は投資初心者でも始めやすい資産運用のひとつです。
その理由とメリットを解説します。
少額から投資が可能
投資信託は1万円程度からスタートすることができます。最近は100円単位から投資が可能な金融機関も増えてきています。
少額であれば気軽にピンポイントで投資ができるので、コツコツと預金をする感覚で活用してみるのも良いかもしれません。
ただし、あまりにも少ない金額だと投資をしても資産が大きくなりにくい面もあります。
資産形成のために投資をするのであれば、積立などを活用し、1万円程度で毎月投資を行っていくのが良いでしょう。
Q.いくらから投資を始めれば良い?
いくらからスタートするかを決める前に、まずは投資の目的を明確にしましょう。そうすれば、いつまでにいくら必要なのか、いくらから投資を始めれば良いかが計算できます。
例えば老後資金として30年後に2000万円を貯めるという目標を立てたとしましょう。
30年間で2000万円の目標を達成するためのリターンを6%と仮定すると、積立投資であれば毎月の投資金額は約2万円になります。
分散投資でリスクが抑えられる
イギリスには「卵は1つのカゴに盛るな」という、資産運用に関することわざが存在します。
1つのカゴにすべての卵を盛ると、カゴを落とした時にはすべての卵が割れてしまうことになります。
しかし、複数のカゴに分けていれば、すべての卵が割れてしまうことは避けられるという教えです。
このことわざが示すように投資の基本は、資産をいくつかの商品に分けてリスクを分散させることです。
投資信託は、分散投資の考え方から生まれた金融商品といえるでしょう。
(参考:投資信託ガイド 2021年版)
(関連記事:分散投資のやり方は3つだけ!基本知識やポートフォリオの作り方をわかりやすく解説)
投資の専門家が運用してくれるから安心
金融に関する情報は専門用語も多く、敷居が高いと感じている人も少なくありません。
株式や債券の銘柄を調べたり、タイムリーな市況情報を得たりすることは、日中仕事をしている人にとって、時間的にも難しいことです。
投資信託は、そのような忙しい人にこそ適した金融商品ともいえます。
経済や金融の専門家が投資家に代わって運用をしてくれるため、投資家が自ら投資先を調べたりする必要もなく、安心して投資ができるでしょう。
投資信託の注意点:デメリット
投資信託には初心者に始めやすいメリットがある一方で、注意点もいくつかあります。
元本保証ではない
投資信託は、投資家から集めたお金を、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品です。投資対象である株式や債券には元本保証がありません。
そのため、運用がうまくいって利益が得られることもありますが、運用がうまくいかず損を出して投資元本が割れる場合もあります。
(関連記事:元本保証でなくても投資のリスクは抑えられる!損しない金融商品の選び方をプロが解説)
コスト(手数料)がかかる
投資家が投資信託の取引をする際にはコストが発生します。
投資信託で負担する手数料は運用成果を左右する、とても重要なファクターです。事前に確認しておきましょう。
投資信託の購入時には「購入時手数料」がかかります。
購入時手数料は購入時に販売会社に支払う費用で、申し込み価額に手数料率をかけたもので投資家が負担します。
運用期間中は「運用管理費用(信託報酬)」がかかります。
運用管理費用は信託財産から毎日控除されているため、直接払うわけではありませんが、間接的に投資家が負担していることになります。
監査費用、売買委託手数料なども同じように間接的に負担しています。
売却時には「信託財産留保額」が必要な場合があります。
これらの費用は販売会社や投資信託によってかからない場合があります。
上記の手数料なども含む、ファンドの収支は目論見書や取引報告書などで確認が可能なので、取引前にしっかりと確認することをおすすめします。
(参考:投資信託のコスト - 投資信託協会)
初心者でも失敗しない!投資信託・銘柄の選び方
「じゃあ、どうやって投資信託を選べばいいの?」と初心者が最初につまずく投資信託の選び方について、わかりやすく解説します。
(関連記事:投資信託の選び方のポイントは4つ~初心者でもできる!年代・ケース別にプロが解説)
選ぶ前に:目的と目標金額を設定
投資信託を選ぶ前に具体的な目的や金額はあらかじめ決めておきましょう。
目的や金額が明確であれば、自分に適した投資信託を選びやすくなります。
人気の投資信託を購入するのは、投資の目的がはっきりしない場合はおすすめしません。目的が曖昧だと早期解約につながりやすくなります。
自分で選べない時は専門家に相談するのも一案です。
投資信託や銘柄を選ぶ時の4つのポイント
初心者でも実践できる、投資信託や銘柄を選ぶ時の確認ポイントを解説します。
ポイント①過去の運用実績を確認
資産運用は将来に備えてお金を増やすことを期待して行うものです。
できれば、長期的に上昇する投資先に預けて運用の成果を受け取りたいものですが、将来どのように市況が変化するかを前もって知ることはできません。
そこで銘柄選びの判断材料になるのは過去の運用実績です。
過去の運用実績は投資信託を販売している会社などのホームページで確認することができるため、できる限り長い期間の成績を確認するようにしましょう。
その際、投資信託がベンチマークとしている指数と比較してみることもおすすめします。
ベンチマークはその投資対象の全体の動きを表しているため、自分が選ぼうとしている投資信託の成績と比較すると、成績の良し悪しがよくわかるため参考になります。
ポイント②コスト
投資信託は購入時・保有時・換金時に費用がかかります。
これらの手数料は目論見書や販売用資料に記載があります。必ず確認しましょう。
投資信託の手数料は信託財産などから引かれているため、運用の成果にも少なからず影響が出ます。
そのため、できるだけ手数料の負担は少ない方が望ましいのですが、一概に手数料が安いファンドを良いファンドと評価することはできません。
例えば、信託報酬が0.5%でリターンが平均年率6%の銘柄と、信託報酬が1.5%でリターンが平均年率9%の銘柄があれば、後者の方が期待リターンは高いといえます。
手数料を差し引いてどのくらいの実績が出せているかが判断のポイントになります。
同じような投資対象で同じような実績であれば運用コストが低い方を選ぶと良いでしょう。
(参考:投資信託のコスト - 投資信託協会)
ポイント③投資対象の特徴とリスクを確認
運用のリスクは、投資する資産によってローリスク・ローリターンからハイリスク・ハイリターンまで分類することができます。
一般的に、株式の組み入れが多いほど値動きが大きく、債券が多いほど安定した運用になります。
値動きが大きいものを一括で多額に購入しようとすると、その時の購入価格が割高なのか割安なのかを購入時に判断することができません。
リスクを抑えて購入したい場合は積立投資を行いましょう。
リスクが小さい資産の場合、積立投資ではお金を大きく増やしにくい面がありますが、まとまった資金の安定運用や、教育資金など使う時期が決まったお金の運用に向いています。
(関連記事:投資とは?なぜ必要?基本知識と初心者でも失敗しないコツをわかりやすく解説)
ポイント④純資産残高を確認
純資産残高とは、投資信託が保有している株式や債券などの時価評価額のことです。
一般的に、資金の流入が多い人気のある投資信託や好況の場合に純資産残高は増える傾向があります。
また、運用状況が良好な投資信託は上下を繰り返しながらも、右肩上がりで残高が増える傾向があります。
逆に、売却する人が多かったり、不況などで運用が不調の場合は減少する可能性が高くなります。純資産が減少すると運用に支障が出たり、最悪の場合、繰上償還をしてしまう可能性があります。
積立投資を行う場合など、長期投資を検討している場合は純資産総額も調べておきましょう。
Q.初心者は結局どういう投資信託を選べば良い?
投資信託は投資目的に合わせて、どのような運用が自分に合っているかを考えて選ぶと良いでしょう。
例えば、インデックスファンドを選ぶなら手数料の安さが魅力です。
ベンチマークに連動する運用を目指すため、平均的なリターンを得られるという点では納得感もあるでしょう。
アクティブファンドはベンチマーク以上の成果を期待したい人に向いています。
初心者でもリスク許容度が高めの人や長期運用が可能な人はアクティブファンドを選択すると、大きく資産が増える可能性もあります。
ポートフォリオの中身は株式型、債券型、バランス型などがありますが、株式型はリスクが高くなり、バランス型はリスクが分散されている投資信託です。債券型は債券の種類によってリスクが異なります。
自身の投資目的や目標額とそれぞれのファンドの特徴をふまえ、リスク許容度に応じて選ぶと良いでしょう。
投資信託の始め方
最後に、投資信託の始め方について、3ステップで解説します。
(関連記事:【3ステップ】投資信託の始め方を図解付きで初心者向けにプロが解説!)
(関連記事:投資信託の選び方のポイントは4つ~初心者でもできる!年代・ケース別にプロが解説)
ステップ1:販売会社を選ぶ
投資信託は、銀行や証券会社などの金融機関で購入することができます。
投資信託はさまざまな販売会社で扱っているため、手数料やサービスが異なる場合があります。
ネット証券は総じて手数料が安い傾向がありますが、相談したい時にフェイストゥーフェイスのサービスを受けることはできません。
一方、証券会社や銀行などの窓口で購入すると手数料はかかりますが、直接担当者に質問できるメリットがあります。
安心して運用を続けられるように、自分の投資スタイルに合った販売会社を選ぶことが大切です。
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IFAとは「Independent Financial Advisor」の略称で、日本では「独立系ファイナンシャルアドバイザー」と呼ばれています。
IFAは証券会社や銀行などの営業員と異なり、特定の金融機関に所属していません。そのため、所属企業の販売方針などに沿う必要がなく、顧客の意向に沿った提案がしやすくなります。
独立した立場であるIFAに相談して、自分のニーズに合った商品を選んでもらうのも良いかもしれません。
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(関連記事:IFAとは?FPと何が違う?相談前に知っておくべき注意点と失敗しない選び方)
(関連記事:ファイナンシャルプランナー(FP)に相談する前に知っておこう!メリットと注意点)
ステップ2:投資信託口座を開設
投資信託口座を開設するためには、証券会社や銀行など証券口座や投資信託口座を開く必要があります。
最近はWEB上で手続きが完結する金融機関もあるため、金融機関に行く時間がない人は活用すると良いでしょう。
身分証明書やマイナンバーが必要になるので、事前に準備をする必要があります。
取引したい金融機関のHPなどで、あらかじめ必要書類を調べておきましょう。
ステップ3:商品を購入
投資信託の購入は、口座開設後、金融機関の窓口や電話、WEB上で手続きが可能です。
購入の際には、必ず重要事項説明書や交付目論見書の内容を事前に確認してから申込みましょう。
WEB購入の場合、分配金の受け取り方法などを自分で決めて入力しなければいけません。事前に決めておくと購入がスムーズです。
購入金額は事前に口座に入金しておく方法が一般的です。
まとめ
最後に、もう一度投資信託の選び方をおさらいしましょう。
・過去の実績を確認しながら、目標に適した投資信託を選ぶ
・コスト(手数料)を確認する
・投資対象の特徴とリスクを確認する
・純資産残高を確認する
投資信託には興味があるけど、わからないことも多くてなかなか始められないという人は、ぜひマネイロへのご相談もご検討ください。
マネイロコンシェルが資産形成のサポートをします。投資信託を活用して、資産運用の第一歩を踏み出してみませんか。
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執筆者
吉田 奈都子
- ファイナンシャルアドバイザー
ファイナンシャルアドバイザー。大阪体育大学卒。中学から大学までサッカー部に所属。社会人女子ラグビー経験、日本代表候補選出歴あり。引退後は日本生命にて、保険商品の提案業務など金融営業経験を積み、採用・育成担当としても一度に約100名の指導経験をもつ。前職のゴンチャジャパンでは新規店舗の立ち上げに携わる。2021年に株式会社モニクルフィナンシャル(旧:株式会社OneMile Partners)に入社し、現在は個人向け資産運用コンサルティング業務を行っている。AFP(Affiliated Financial Planner)、一種外務員資格(証券外務員一種)保有