
国民年金の前納制度のデメリットとは?後悔しないためのポイントを解説
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国民年金保険料をまとめて支払う「前納」は、割引が適用されてお得になるといわれますが、実はデメリットも存在します。
そこで本記事では、国民年金の前納におけるデメリットを徹底解説するとともに、後悔しないためのチェックポイントや対策を具体的にご紹介します。自分に合った納付方法を見つけるために、ぜひ参考にしてみてださい。
- 国民年金の前納制度の具体的なデメリットと、それに伴うリスク
- 前納によるデメリットを軽減するための具体的な対策や注意点
- 前納を検討すべき人の特徴
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国民年金の前納(前払い)制度とは?
まずは国民年金の前納について基本を理解しておきましょう。
前納制度の概要と仕組み
国民年金の前納制度とは、国民年金保険料を通常の毎月払いではなく、一定期間分をまとめて前払いすることで、保険料が割引される制度です。
前納には、6ヶ月前納、1年前納、2年前納といった期間の選択肢があり、期間が長くなるほど割引額が大きくなるのが特徴です。支払方法には、現金(納付書)払い、口座振替、クレジットカードがあり、中でも納付書払いやクレジットカードによる2年前納は割引率が高く設定されています。
前納制度は、経済的な負担を軽減しつつ、納付の手間を省きたいと考える人にとって魅力的な選択肢となり得ます。
国民年金の前納のメリット
国民年金の前納には、以下のようなメリットがあります。
保険料が割引になる
参照:国民年金保険料の前納|日本年金機構
まとめて支払うことで、毎月支払うよりも総額が安くなるため、経済的なメリットを享受できます。特に2年前納は割引額が大きく、節約効果が高くなります。
社会保険料控除で節税になる
国民年金保険料は全額が社会保険料控除の対象となるため、所得税や住民税の計算において課税所得から控除され、結果として税負担を軽減することができます。特に高所得者ほどこの節税効果は大きくなります。
国民年金の前納の5つのデメリット
国民年金の前納制度には、メリットがある一方で、考慮すべきいくつかのデメリットが存在します。以下で詳しく解説します。
デメリット1.まとまった資金が必要
前納を選択する場合、数ヶ月から2年分といったまとまった保険料を一度に支払う必要があります。特に2年前納では大きな資金が必要となるため、手持ちの現金が減少し、急な出費や予期せぬ事態に対応しにくくなる可能性があります。
資金計画に余裕がない状況での前納は、家計に大きな負担をかけるリスクがあり注意が必要です。
デメリット2.前納後の収入減少時に減免が受けられない
前納後に、失業や収入の大幅な減少などにより、本来であれば国民年金保険料の免除や猶予制度が認められる場合でも、すでに納めた保険料は原則として減免申請ができません。
生活状況が不安定な方や、将来的に収入が変動する可能性がある方は、このリスクを十分に考慮する必要があります。
デメリット3.保険料の制度変更に対応できない可能性
国民年金制度や保険料額は、社会情勢や政府の政策によって将来的に変更される可能性があります。もし前納後に保険料が値下げされた場合でも、すでに納付した前納分の差額は原則として返金されません。
また、制度そのものが変更され、前納制度の条件や内容が不利になる可能性もゼロではありません。前納は一定期間の保険料を固定してしまうため、制度変更に対する柔軟な対応が難しくなるというデメリットがあります。
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国民年金の前納デメリットを軽減するための対策
前納のデメリットを理解した上で、それらを軽減するための具体的な対策を講じることが重要です。
無理のない範囲で前納期間を選ぶ
前納を検討する際は、無理のない範囲で前納期間を選ぶことが肝心です。例えば、2年前納ではなく、6ヶ月前納や1年前納に期間を短縮することで、必要な資金を抑え、将来的なリスクへの対応力を高めることができます。
期間を短くすることは、予期せぬ状況変化への対応力を高めるだけでなく、制度変更リスクの軽減にもつながります。
生活防衛資金を確保した上で、余剰資金で行う
国民年金の前納は、必ず生活防衛資金を十分に確保した上で行いましょう。生活防衛資金とは、予期せぬ失業や病気、災害などに備えて蓄えておく、6ヶ月分程度の生活費に相当する貯蓄のことです。
この資金に手を付けずに、「余剰資金」の範囲で前納を行うようにしましょう。こうすることで、前納後に急な出費が必要になった際にも対応がしやすくなります。
免除・納付猶予の可能性がある場合は前納を避ける
将来的に失業や収入減などで国民年金保険料の免除や納付猶予の申請が必要になる可能性がある場合は、前納を避けるのが賢明です。
現在の収入が不安定な方や将来的に転職や独立を考えている方、扶養家族が増えるなど生活状況の変化が予想される方は、毎月払いや短期間の前納を検討し、柔軟に対応できる選択肢を選んだほうがよいでしょう。
前納がおすすめな人の特徴
国民年金の前納制度は、すべての人に適しているわけではありません。以下のような特徴に当てはまる方は、前納を検討する価値があるでしょう。
割引メリットを最大限に活かしたい人
国民年金保険料の割引は、前納制度の大きな魅力です。特に、2年前納は割引額が大きく、経済的なメリットを最大限に享受したい方におすすめです。
長期的な視点で家計の節約を重視し、大きな割引を受けたい方にとって、前納は有効な選択肢となるでしょう。
資金に余裕があり、当面使う予定がない人
手元に十分な生活防衛資金があり、かつ当面使う予定のないまとまった余剰資金がある方は、前納を検討するのに適しています。
急な出費に困る心配がなく、他の投資機会とのバランスを考慮しても前納のメリットが大きいと判断できるなら検討する価値はあるでしょう。
手続きの手間を省きたい、納め忘れを防ぎたい人
毎月納付書が届くたびに支払い手続きをするのが面倒だと感じる方や、うっかり納め忘れてしまう心配がある方にも前納はおすすめです。
一度手続きをすれば、所定の期間中は納付の手間が省け、納め忘れによる将来の年金受給資格への影響を防ぐことができます。計画的に年金保険料を納付したい方にとってもよい選択肢といえるでしょう。
前納が向いていない人の特徴
一方で、以下のような特徴に当てはまる方は、国民年金の前納制度が向いていない可能性があります。
貯蓄が少ない、収入が不安定な人
手元に十分な貯蓄がなく、生活防衛資金が確保できていない方や、給与が不安定で将来の収入が不確実な方には、前納は大きなリスクを伴います。
まとまった資金を支払うことで、予期せぬ出費に対応できなくなる可能性があり、生活が困窮するリスクが高まります。このような状況では、毎月払いや免除・納付猶予制度の活用を優先すべきでしょう。
近い将来まとまった資金が必要になる可能性がある人
住宅購入の頭金、教育費、医療費、あるいは独立開業資金など、近い将来にまとまった資金が必要になる予定がある方も、前納は避けたほうがよいでしょう。
前納した保険料は原則として自己都合での払い戻しができないため、必要な時に資金が手元にないという事態に陥る可能性があります。将来の大きなライフイベントに向けて資金を確保しておきたい場合は、対象支払額が高くても、柔軟性の高い毎月払いを検討しましょう。
投資や他の資産運用に関心が高い人
国民年金の前納による割引率よりも、他の投資や資産運用で得られるリターンの方が大きいと考える方や、積極的に資産を増やしたいと考えている方には、前納は向いていないかもしれません。
前納は確実な割引メリットがある一方で、その資金を他の投資に回す機会を失うことにもなります。より高いリターンを目指したい場合は、年金保険料は毎月払いとし、自分のリスク許容度の範囲で余剰資金を運用に充てるという選択肢もあります。
国民年金の前納に関するよくある質問
最後に、国民年金の前納に関するよくある質問に回答します。
Q. 前納すると年金受給額に影響はある?
国民年金の前納は、将来受け取る年金受給額には影響しません。
年金受給額は、保険料を納付した月数によって決まるため、前納したかどうかで受給額が変わることはありません。前納はあくまで保険料の納付方法の1つであり、割引は適用されますが、受給額に影響を与えるものではないと理解しておきましょう。
Q. 前納の途中で厚生年金に加入したらどうなる?
前納期間中に厚生年金に加入した場合、前納した保険料のうち、厚生年金加入後の期間と重なった分の国民年金保険料は還付の対象となります。
厚生年金保険料には国民年金保険料も含まれるため、厚生年金の加入以降の国民年金保険料は不要となり、過払い分が返金される仕組みです。還付手続きについては、お近くの年金事務所に問い合わせるとよいでしょう。
Q. 前納をやめたい場合、途中で解約できる?
一度前納を選択し、保険料を納付すると、途中で「やっぱり毎月払いにしたい」といった理由で前納を取りやめて、返金を受けることは原則できません。
そのため、前納を選択する際は、自身の資金状況や将来の計画を十分に考慮し、慎重に判断することが重要です。
まとめ
国民年金の前納制度は、保険料の割引という大きなメリットがある一方で、まとまった資金の必要性や払い戻しの制限などのデメリットも存在します。特に、生活資金への影響や将来的な不確実性を考慮せずに行うと、後悔につながる可能性があります。
前納を検討する際は、自身の資金状況、将来のライフプラン、そして収入の安定性を総合的に判断することが重要です。無理のない前納期間を選び、生活防衛資金を確保した上で余剰資金で行う、将来的な免除・猶予の可能性を考慮するといった対策を講じることで、これらのデメリットを軽減し、前納のメリットを最大限に活かすことができるでしょう。
年金納付で後悔しないためにも、自身の状況に合わせて、前納が最適な選択肢であるかをしっかり見極めるようにしましょう。
※本記事の内容は記事公開時や更新時の情報です。現行と期間や条件が異なる場合がございます
※本記事の内容は予告なしに変更することがあります。予めご了承ください
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監修
高橋 明香
- ファイナンシャルアドバイザー/CFP®認定者
みずほ証券(入社は和光証券)では、20年以上にわたり国内外株、債券、投資信託、保険の販売を通じ、個人・法人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事。2021年に株式会社モニクルフィナンシャル(旧:株式会社OneMile Partners)に入社し、現在は資産運用に役立つコンテンツの発信に注力。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、一種外務員資格(証券外務員一種)保有。
執筆
マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。