NISA「つみたて投資枠」は貯金の代わりになる?違いと賢い活用法を解説
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「NISAのつみたて投資枠は貯金の代わりになるの?」「貯金とどう違うの?」そんな疑問をお持ちではないでしょうか?貯金のようにコツコツ積み立てられるなら、おトクなNISAで資産を増やしたいと考える方もいらっしゃるでしょう。
本記事では、NISA「つみたて投資枠」と貯金の違いや、それぞれのメリット・デメリット、そしてつみたて投資枠を貯金代わりに活用できる条件や賢いステップについて詳しく解説します。仕組みを理解して、自分に合った資産形成のヒントを見つけましょう。
- NISAの「つみたて投資枠」と貯金の共通点や違いについて
- つみたて投資枠を貯金代わりにする場合のメリットとデメリット
- つみたて投資枠を賢く活用するための具体的なステップ
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NISAの「つみたて投資枠」とは?貯金との共通点と違い
NISAは、株式や投資信託の運用で得られた利益が非課税になる、国の制度です。NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」がありますが、このうちの「つみたて投資枠」は、特に長期・積立・分散投資を支援するための仕組みです。
ここでは、このつみたて投資枠が貯金とどのような共通点を持ち、どのような違いがあるのかを解説します。
つみたて投資枠とは
つみたて投資枠は、NISAの投資枠の1つで、年間120万円まで非課税で投資できます。投資対象は、長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託などに限定されており、長期的な資産形成を目的とした運用に最適です。
毎月一定額を少額からコツコツと自動的に購入していけるため、投資初心者でも計画的に資産形成を進めていけるのが特徴です。
つみたて投資枠と貯金の共通点
つみたて投資枠と貯金には、いくつか共通点があります。
将来資金の資産形成手段になる
どちらも、「将来のための資金準備」という目的で活用できる資産形成の手段です。
例えば、老後資金や住宅購入資金など、将来必要になるまとまった資金づくりのために、貯金やつみたて投資枠を活用できます。計画的に続けることで、目標とする金額に向けて資産を積み上げていくことが期待できます。
定期的にお金を積み立てていける
貯金もつみたて投資枠も、毎月一定額を積み立てていくことができます。貯金であれば銀行の積立預金、つみたて投資枠であれば毎月の自動積立設定を利用することで、無理なく継続的に資金を積み上げていく習慣を身につけることができます。
つみたて投資枠と貯金の違い
共通点がある一方で、つみたて投資枠と貯金には決定的な違いも存在します。これらの違いを理解することが、それぞれの役割を把握する上で非常に重要です。
元本保証の有無
もっとも大きな違いは、元本が保証されるかどうかです。貯金、特に銀行預金には基本的に元本が保証されており、預金保険制度(ペイオフ)によって一定額までは保護されます。
これに対し、NISAのつみたて投資枠で投資する金融商品は基本的に元本保証がありません。投資対象の価格変動によって、投資した金額(元本)を下回る可能性があります。
「貯金」と似た言葉に「貯蓄」があります。
総務省統計局の家計調査では、貯蓄を「預貯金や有価証券、保険などの金融商品への貯蓄、社内預金など金融機関街への貯蓄の合計」と定義しています。
つまり、つみたて投資枠の対象金融商品への投資は「貯金」ではありませんが、「貯蓄」の一種であるといえます。
リターンの違い
期待できるリターンにも違いがあります。貯金の金利は非常に低い水準で推移しており、大きなリターンは期待できません。一方、つみたて投資枠を通じた投資は、運用成果によっては貯金よりも高いリターンが期待できる可能性があります。
ただし、これは市場の状況によって変動し、必ずしもプラスのリターンが得られるわけではありません。リターンが大きい可能性がある反面、損失を出す可能性もある点に注意が必要です。
引き出しやすさの違い
資金の引き出しやすさ(流動性)も異なります。貯金は、必要な時にいつでも引き出すことができます。これに対し、つみたて投資枠で運用している資金は、解約手続きを経て現金化する必要があります。
また、解約時の市場価格によっては、投資元本を下回る評価額でしか引き出せない可能性もあります。緊急時などすぐに資金が必要になった際に、貯金のようにすぐには利用できない可能性がある点も重要な違いです。
つみたて投資枠は貯金代わりになる?
これらの共通点と違いを踏まえると、つみたて投資枠が完全に貯金の代わりになるとはいえません。ただし、一定の条件を満たせる場合、「将来の資産形成」という目的においては、つみたて投資枠を貯金の1つの代替手段として活用することも検討できます。
つみたて投資枠を貯金代わりにできる条件は?
つみたて投資枠を貯金の一部のように位置づけ、長期的な資産形成に活用するには、いくつかの条件があります。これらの条件を満たしているかが、無理のない資産運用を行う上で非常に重要です。
条件1.生活防衛資金を確保できていること
まず、もっとも重要な条件として「生活防衛資金」が確保できていることが挙げられます。
生活防衛資金とは、病気や失業など、予期せぬ事態が発生した場合に当面の生活費を賄うための資金
生活防衛資金の目安は、生活費の6ヶ月分程度です。生活防衛資金があることで、急な出費が必要になった際や、転職や病気・けがなどで一時的に就労の空白期間ができたときなどでも、運用中の資産を売却する必要がなくなります。
この資金が確保できて初めて、余裕資金をつみたて投資枠に回すことを検討してよい状態であるといえます。
条件2.10年以上の長期運用を前提にすること
つみたて投資枠での投資は、長期の積立・分散投資によって、資産形成効果を高めることができます。
短期間では市場の価格変動の影響を受けやすいですが、10年、20年といった長期で運用することで、価格変動リスクがならされ、複利効果によって資産が増えていく可能性が高まります。また、NISAの非課税メリットも長期でこそ効果を発揮します。
そのため、つみたて投資枠を貯金のようにコツコツ積み立てていく場合でも、当面使う予定のない資金で、かつ10年以上の長期で運用を続けられることが重要な条件となります。
条件3.リスクを理解し、許容できること
投資には常に価格変動リスクが伴います。つみたて投資枠で運用している資産も、一時的に評価額が投資元本を下回り、いわゆる「含み損」を抱える可能性があります。
このような市場の変動による元本割れのリスクがあることを十分に理解し、精神的に受け入れられる「リスク許容度」があることも重要な条件です。
市場が下落しても慌てて売却せず、淡々と積立を続けられる精神的な余裕がある方であれば、つみたて投資枠を長期の資産形成手段として活用しやすいでしょう。
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つみたて投資枠を貯金代わりに使うメリット
前述の条件を満たせる方にとって、つみたて投資枠を貯金のように活用することには、貯金だけでは得られないいくつかのメリットがあります。
高いリターンが期待できる可能性がある
貯金と比較して、つみたて投資枠を通じた投資は、より高い運用リターンが期待できる可能性があります。特に長期・積立・分散投資を続けることで、経済成長の恩恵を受けながら資産を増やせる可能性があります。
低金利が続く状況では、貯金だけで資産を増やすのは難しいため、インフレに負けない資産形成を目指す上で、高いリターンが期待できる点は大きなメリットとなります。
非課税で運用できる
NISAの最大のメリットは、投資から得られる利益が非課税になることです。通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を通じての運用であれば、この税金がかかりません。
これは、運用で得た利益を再投資に回す「複利効果」をより高めることにつながり、効率的な資産増加を期待できます。貯金にはない、税制上の大きな優遇措置です。
インフレ対策になる可能性がある
物価が上昇するインフレが進むと、貯金していたお金の「実質的な価値」が目減りしてしまいます。例えば、100万円で買えたものが、インフレで105万円出さないと買えなくなった場合、「円」の購買力が低下したことになります。
一方、つみたて投資枠で購入可能な、株式で構成される投資信託などの場合、インフレに応じて資産価値も増えていく可能性があります。つみたて投資枠を上手に活用することで、長期的なインフレへの対策にもなり得ます。
長期的な運用で効果が高まる
つみたて投資枠のメリットは、長期で運用を続けるほど大きくなります。例えば、運用を続けることで、運用益がさらに運用益を生む「複利効果」は、長期運用になるほど雪だるま式に効果を発揮します。
短期的な市場の変動に一喜一憂せず、コツコツと積立を続けることが、将来大きな資産を築くことにつながります。
自動積立で貯金と同じ感覚で続けられる
多くの金融機関では、つみたて投資枠での買付に自動積立設定が可能です。一度設定してしまえば、毎月指定した日に指定した金額が自動的に引き落とされ、設定した投資信託が買い付けられます。
これは、銀行の自動積立預金と似た仕組みです。手動で買い付ける手間が省け、貯金と同じような感覚で続けやすいというメリットがあります。忙しい方でも、着実に資産形成を進めることができるでしょう。
つみたて投資枠を貯金代わりに使うデメリット
多くのメリットがある一方で、つみたて投資枠を貯金のように使うことには、無視できないデメリットも存在します。後悔しない資産運用のためには、以下のデメリットを十分に理解しておきましょう。
元本保証がない
最大のデメリットは、やはり元本保証がない点です。投資した金額(元本)が、市場の変動によって減少するリスクが常にあります。
特に短期間で資金が必要になった場合、損失を確定せざるを得ない状況に陥る可能性もゼロではありません。
貯金のように「元本が減らない」という安心感はないため、このリスクを許容できない方には不向きといえます。
必要な時にすぐに引き出せない可能性がある
貯金は必要な時にすぐに引き出せますが、つみたて投資枠で運用している資産は、換金に時間がかかる場合があります。投資信託を解約し、現金として引き出すまでには数営業日かかるのが一般的です。
また、解約時の市場価格が購入時を下回っていれば、損失を抱えた状態で現金化することになります。そのため、前述した生活防衛資金とは明確に区別しておく必要があります。
短期間の資産形成には向かない
つみたて投資枠は、長期的な視点での資産形成に適した制度です。数年以内に使う予定のある資金や、短期的な値上がり益を狙う投資には向いていません。
短期的な市場の変動リスクを避けるためにも、少なくとも10年以上の長期で運用を続けることが推奨されます。短い期間で結果を求めると、損失を出す可能性が高まります。
ある程度の知識やリスク許容度が必要
つみたて投資枠を始めるにあたっては、ある程度の金融商品に関する知識や、投資に伴うリスクについての理解があったほうがよいのは確かです。
まったく知識がないまま始めたり、価格変動に耐えられない方には、ストレスになる可能性があります。
つみたて投資枠を貯金代わりに使うためのステップ
つみたて投資枠は完全には貯金代わりにはなりませんが、正しい手順を踏めば、貯金のようにコツコツ資産を増やしていくことも可能になります。ここでは、その具体的なステップを解説します。
ステップ1.生活防衛資金を貯める
つみたて投資枠を貯金のように使うには、前述したデメリットをカバーできる状態にしておく必要があります。元本保証がなく自由に引き出せないことを前提に、NISAを始める前に、まず6ヶ月分程度の生活費を「生活防衛資金」として貯めることから始めましょう。
生活に支障がない状態を事前に作っておくことで、短期的な下落が生じた時でも投資資金を取り崩す必要がなくなり、結果的に長期的な運用の成功につながります。
ステップ2.自分にとっての「最悪」を想定しておく
生活防衛資金を準備したら、次にどれくらいの資金を投資に回すかを決める必要があります。必ず念頭に置いておきたいのは、「リターンとリスクは表裏一体である」ということです。
大きなリターンを得られる可能性のある投資商品には相応のリスクもあり、損をする可能性も大きくなります。また、大きな金額を投資すれば利益も大きくなりますが、損をした際の金額も大きくなります。
そのため、特に投資の感覚をつかむまでは、「最悪ゼロになっても構わない」くらいの少額から始めることをおすすめします。
ある程度継続することで、徐々に自分にとっての「リスク許容度」が分かってきます。リスク許容度に合わせた資産運用を行うことで、心穏やかに“貯金感覚”で運用を続けられるようになります。
ステップ3.NISA口座開設&投資商品を選択する
金融機関によって取り扱っている投資信託の種類や、積立設定の自由度、ポイントサービスなどに違いがあるため、自分に合った金融機関を選んでNISA口座を開設しましょう。
NISA口座を開設したら、次に実際に積み立てる投資商品を選びます。NISAを貯金のように使うのであれば、長期運用を前提にするのがセオリーです。つみたて投資枠の対象商品は、手数料が低く、長期・積立・分散投資に適した投資信託が厳選されているため、この点は安心です。
ただし、投資信託によって投資対象が異なり、それに応じてリスクも異なります。自身のリスク許容度を考慮しながら、慎重に投資先を選びましょう。
一般的に、株式中心の投資信託は値動きが大きめで、債券中心の投資信託は比較的安定している傾向があります。
ステップ4.自動積立設定を行う
NISAのつみたて投資枠では、貯金のように自動の積立設定が行えます。家計の状況や、将来の資産形成目標に合わせ、まずは無理のない範囲で金額を設定しましょう。自動積立設定をしておけば「先取り貯金」のように使え、手間なく継続できます。
つみたて投資枠には年間120万円という非課税投資枠の上限がありますが、あくまで「上限」であり、必ずしもすべて埋める必要はありません。
資産運用で不安な人は専門家に相談を
つみたて投資枠を含む資産運用に関して、もし不安や疑問がある場合は、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することも有効な手段です。
専門家は、一人ひとりの家計状況やライフプラン、リスク許容度などを丁寧にヒアリングし、最適な資産形成の方法や具体的な商品選びのアドバイスをしてくれます。専門家のサポートを受けることで、より安心して資産運用に取り組めるでしょう。
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まとめ
NISAの「つみたて投資枠」は、毎月コツコツ積み立てられる点や、将来の資産形成という目的において貯金と共通点がありますが、元本保証の有無、リターンの可能性、引き出しやすさという点で大きく異なります。
つみたて投資枠を貯金代わりのように活用するには、生活防衛資金の確保や10年以上の長期運用を前提とすることなどが必要です。
また、元本割れリスクや流動性の低さといったデメリットも、事前に理解しておきましょう。不安があれば専門家に相談することも検討し、賢くつみたて投資枠を活用して将来に向けた資産形成を着実に進めていきましょう。
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監修
高橋 明香
- ファイナンシャルアドバイザー/CFP®認定者
みずほ証券(入社は和光証券)では、20年以上にわたり国内外株、債券、投資信託、保険の販売を通じ、個人・法人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事。2021年に株式会社モニクルフィナンシャル(旧:株式会社OneMile Partners)に入社し、現在は資産運用に役立つコンテンツの発信に注力。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、一種外務員資格(証券外務員一種)保有。
執筆
マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。