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未支給年金は生計同一者がいない場合どうなる?要件と手続きを解説

未支給年金は生計同一者がいない場合どうなる?要件と手続きを解説

年金2026/02/25
  • #老後資金

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 年金を受給していた家族が亡くなった際、「まだ受け取っていない年金はどうなるのだろう」と疑問に思う人は少なくありません。この未支給年金は、故人と生計を同じくしていた遺族が受け取れる制度ですが、もし該当する遺族がいない(生計同一者がいない)場合はどうなるのでしょうか。

本記事では、未支給年金の基本的な仕組みから、請求の必須要件である「生計同一」の具体的な判断基準、そして生計同一者がいない場合の正しい手続き方法まで、網羅的に解説します。

この記事を読んでわかること
  • 未支給年金は故人と「生計を同じくしていた」遺族だけが請求できる
  • 「生計同一」は、別居でも経済的援助があれば認められる可能性がある
  • 生計同一者がいない場合、未支給年金は誰にも支払われず国庫に返納される


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未支給年金とは?なぜ「生計同一」が必要なのか

未支給年金とは、年金受給者が亡くなった際に、まだ支払われていなかった年金のことを指します。この年金を受け取るためには、故人と「生計を同じくしていた」ことが条件となります。

なぜなら、未支給年金は遺族の生活保障などを目的とした制度であり、民法上の相続財産とは異なる特別な給付金と位置づけられているためです。

したがって、故人の財産として相続人が分割するのではなく、生計を共にしていた遺族固有の権利として請求する仕組みになっています。

年金は後払い制度のため必ず未支給が発生する

公的年金は、支給月の前月と前々月の2ヶ月分が偶数月の15日に後払いで振り込まれる仕組みです。例えば、4月15日に振り込まれるのは2月分と3月分の年金です。

このため、年金受給者が亡くなると、死亡した月までの年金が未払いの状態となり、必ず未支給年金が発生します。

例えば12月初旬に亡くなった場合、10月・11月分は12月15日に振り込まれる予定ですが、死亡によって支給が停止されます。

つまり、この10月・11月分と、亡くなった月である12月分の合計3ヶ月分が未支給年金となります。

未支給年金は相続財産ではなく遺族固有の権利

未支給年金は、相続財産には含まれません。これは、国民年金法第19条などで定められており、亡くなった人の収入に頼って生活していた遺族の生活を支えることを目的とした、社会保障給付としての性質を持つためです。

したがって、遺産分割協議の対象にはならず、法定相続人であっても故人と生計を同じくしていなければ請求する権利はありません。請求権を持つ遺族が、自身の固有の権利として受け取るものと理解しておくことが欠かせません。

そのため、未支給年金を受け取っても相続税の課税対象にはなりませんが、受け取った人の一時所得として所得税の対象になります。

しかし、一時所得金額は未支給年金額から特別控除額(50万円)を差し引いて計算するため、実際に所得税がかかることは稀です。

「生計同一」の要件とは?同居していなくても認められるケース

未支給年金を請求するための「生計同一」とは、具体的にどのような状態を指すのでしょうか。原則として住民票上で同一世帯であることが基本ですが、別居している場合でも認められるケースがあります。

重要なのは、形式的な住所だけでなく、実質的に生活費を共にしていたか、経済的な援助があったかといった生活の実態です。

ここでは、生計同一と認められる具体的な要件について解説します。

原則:同一世帯で住民票上も同居

生計同一関係が明確に認められるのは、亡くなった人と請求者が死亡日において住民票上、同一世帯に属していた場合です。この場合、特別な証明書類を追加で提出しなくても、原則として生計を同じくしていたと判断されます。

また、住民票上は世帯を分けていたとしても、住所が同じであれば生計同一と認められることがあります。例えば、二世帯住宅で住民票は別々でも、生活の実態が一体であれば対象となる可能性があります。

例外:別居でも生計同一と認められる条件

住民票の住所が異なる場合でも、生計同一関係が認められることがあります。具体的には、以下のようなケースが該当します。

  • 経済的な援助があった:生活費や療養費などの仕送りが定期的に行われていた。
  • 健康保険の扶養に入っていた:亡くなった人が請求者の健康保険の被扶養者であった、またはこの逆の関係であった。
  • やむを得ない事情での別居:単身赴任、就学、病気療養のための入院など、特別な事情で一時的に別居していた。

これらの場合、「生計同一関係に関する申立書」を提出し、客観的な事実に基づいて総合的に判断されます。

例えば、親が介護施設に入所している場合でも、子が定期的に訪問し、衣類や日用品の差し入れ、施設利用料の支払い援助などを行っていれば、生計同一と認められる可能性があります。「定期的な衣類・日用品の差し入れ」も経済的援助として認められます。

生計同一の証明に必要な書類

生計同一関係を証明するためには、状況に応じて以下の書類が必要になります。

状況

必要な書類の例

必要な書類の例

同居している場合 (別居の場合も必要)

必要な書類の例

・請求者の世帯全員の住民票の写し ・亡くなった人の住民票の除票(住民票の写しで死亡が確認できない場合)

別居している場合

必要な書類の例

・生計同一関係に関する申立書 ・経済的な援助を証明する書類(預貯金通帳の写し、送金の控えなど) ・定期的な訪問を証明する書類(公共交通機関の領収書など) ・健康保険被保険者証の写し(被扶養者になっている場合) ・第三者による証明(民生委員、施設長、町内会長など)

※未支給請求書にマイナンバーカードを記載すれば、住民票や除票を省略できます。

別居の場合は、客観的な証拠が重要です。「生計同一関係に関する申立書」には、経済的な援助の状況や訪問の頻度などを具体的に記載し、それを裏付ける資料を添付します。

ポイントの解説

第三者の証明が得られない場合でも、送金記録などの客観的な資料があれば認められる可能性があります。また、客観的な資料がなくても、第三者の証明があれば認められるのが一般的です。


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生計同一者がいない場合、未支給年金はどうなる?

年金受給者が亡くなった際に、生計を同じくしていた遺族が誰もいないケースでは、未支給年金を受け取ることはできません。

未支給年金の請求者は法律で決まっているため、請求権を持つ遺族がいない場合は、この権利自体が発生しないことになります。

この場合、支払われるはずだった年金は国庫に返納されます。

請求できる遺族がいなければ受け取れない

未支給年金を請求できるのは、亡くなった人と生計を同じくしていた遺族に限られます。この「生計同一」という要件を満たす遺族が1人もいない場合、たとえ民法上の法定相続人であっても未支給年金を請求する権利はありません。

請求権には優先順位があり、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、その他の3親等内の親族の順で定められています。このうち、順位の高い生計同一の遺族1人のみが請求権者となります。

したがって、この範囲内に生計同一の遺族が誰もいなければ、未支給年金は誰にも支払われません。

未支給年金は国庫に返納される

生計を同じくしていた遺族がおらず、請求権者がいないために支払われなかった未支給年金は、最終的に国庫へ返納されます。

前述の通り、未支給年金は相続財産ではないため、相続人がいない場合に遺産が国庫に帰属するのとは意味合いが異なります。

未支給年金は、あくまでも特定の遺族に支給されることを前提とした給付金であり、請求する権利を持つ人がいない場合は、単に支給されずに消滅すると理解しておきましょう。

生計同一者がいない場合に必要な手続き

年金受給者が亡くなり、生計を同じくしていた遺族がいないため未支給年金を請求できない場合でも、遺族が行うべき手続きがあります。それは「年金受給権者死亡届」の提出です。

この届出をしないと、亡くなった後も年金が振り込まれ続け、後日返還を求められる可能性があります。

年金受給権者死亡届の提出が必要

未支給年金を請求する遺族がいない場合でも、年金の支給を止めるために「年金受給権者死亡届(報告書)」を提出する必要があります。

現在では日本年金機構に故人のマイナンバーが登録されているケースがほとんどです。市区町村役場への死亡届の提出によって年金機構側で死亡情報が連携されるため、原則として「年金受給権者死亡届」の提出は省略できます。

ただし、この手続きを怠ると、亡くなった方の口座に年金が誤って振り込まれ続ける「過払い」が発生します。過払いとなった年金は、後日、相続人が日本年金機構へ返還しなければなりません。

手続きが遅れるほど返還額が増加するため、速やかな届出が推奨されます。

提出先と必要書類

「年金受給権者死亡届(報告書)」は、お近くの年金事務所または街角の年金相談センターに提出します。郵送での提出も可能です。

提出の際には、以下の書類が必要となります。

  • 年金受給権者死亡届(報告書)
  • 亡くなった方の年金証書
  • 死亡の事実を明らかにできる書類
    • 住民票除票
    • 戸籍抄本
    • 死亡診断書(または死体検案書)のコピー
ポイントの解説

ただし、前述の通り、日本年金機構に故人のマイナンバーが登録されていれば、死亡の事実を明らかにできる書類の添付は不要です。年金証書が見当たらない場合は、この旨を窓口で申し出るか、届出書に紛失した旨を記載します。

提出期限と注意点

年金受給権者死亡届の提出期限は、厚生年金の場合は死亡日から10日以内、国民年金の場合は14日以内と定められています。

期限に遅れても罰則があるわけではありませんが、前述の通り、提出が遅れると年金の過払いが発生し、返還手続きが必要になるため、可能な限り速やかに提出することが望ましいでしょう。

繰り返しになりますが、故人の基礎年金番号とマイナンバーが紐づいている場合は、市区町村への死亡届提出により日本年金機構へ情報が連携されるため、年金受給権者死亡届の提出は原則不要となります。

不明な場合は、年金事務所に確認することをおすすめします。

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判断に迷ったら?生計同一の該当可能性を確認する方法

「自分は生計同一の要件に当てはまるのだろうか」と判断に迷うケースもあるかもしれません。別居していて経済的な援助の証明が難しい場合などは、請求できる可能性があるのか不安になるでしょう。

そのような場合は、自己判断で諦めてしまう前に、専門の窓口に相談することをおすすめします。

個別の状況を具体的に伝えることで、該当の可能性や必要な手続きについてアドバイスを受けることができます。

年金事務所に事前相談する

生計同一関係に該当するかどうかの判断に迷った場合、まずはお近くの年金事務所や街角の年金相談センターに相談するのがよいでしょう。

相談する際は、故人との関係性、同居・別居の状況、経済的な援助の有無や頻度、訪問の状況などを具体的に説明できるように準備しておくとスムーズです。

もし、仕送りの記録が残っている通帳や、公共料金の支払い記録など、関係性を示す書類があれば持参すると、より的確なアドバイスが受けられます

ただし、書類がなくても第三者の証明があれば、生計同一が認められる可能性は十分にあります。また、直接的な送金がなくとも、衣類や食料などの差し入れが経済的援助とみなされることも覚えておきましょう。

年金事務所では、個別の事情をヒアリングした上で、請求の可能性があるか、またその際にどのような書類が必要になるかを教えてくれます。

未支給年金に関するよくある質問

ここでは、未支給年金に関して多くの人が感じる疑問・質問について、Q&A形式で解説します。

Q. 法定相続人でも生計同一でないと請求できない?

はい、その場合は請求できません。未支給年金は相続財産ではなく、亡くなった人の収入で生活していた遺族の生活保障を目的とする制度です。

そのため、民法上の法定相続人であっても、亡くなった人と生計を同じくしていなかった場合は請求権がありません。あくまで「生計同一」という事実関係が最優先されます。

Q. 生計同一の第三者証明は誰に依頼できる?

別居している場合などに必要となる第三者の証明は、故人と請求者の生活状況を客観的に証明できる人に依頼します。

具体的には、民生委員町内会長(自治会長)アパートの家主介護施設の施設長やケアマネジャー会社の事業主などが該当します。友人や隣人会社の同僚などでも問題ありません。

ポイントの解説

重要なのは、証明者が請求者の3親等内の親族ではないことです。誰に依頼すればよいか分からない場合は、年金事務所に相談してみましょう。

Q. 未支給年金の請求期限は?

未支給年金を請求する権利は、年金の支払日の翌月の初日から起算して5年を経過すると時効によって消滅します。この期限を過ぎてしまうと、請求権が消滅し受け取ることはできなくなります。

年金受給者が亡くなった後は、葬儀や他の相続手続きで多忙になりがちですが、未支給年金の請求手続きも忘れないように、なるべく早めに行いましょう。

まとめ

年金受給者が亡くなった際に発生する未支給年金は、故人と生計を同じくしていた遺族の生活を支えるための大切な制度です。しかし、この「生計同一」の要件を満たす遺族がいない場合は、残念ながら誰も請求することはできず、国庫に返納されます。

自身が請求権者に該当するかどうかの判断に迷う場合は、自己判断で諦めず、まずは年金事務所に相談することをおすすめします。

自身の老後資金について不安な方は、まずは将来必要になるお金がいくらなのか、簡単なシミュレーションで確認してみましょう。

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監修
西岡 秀泰
  • 西岡 秀泰
  • 社会保険労務士/ファイナンシャルプランナー

同志社大学法学部卒業後、生命保険会社に25年勤務しFPとして生命保険・損害保険・個人年金保険販売を行う。保有資格は社会保険労務士と2級FP技能士。2017年4月に西岡社会保険労務士事務所を開設し、労働保険・社会保険を中心に労務全般について企業サポートを行うとともに、日本年金機構の年金事務所で相談員を兼務。

記事一覧

執筆
マネイロメディア編集部
  • マネイロメディア編集部
  • お金のメディア編集者

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