
未支給年金はいくらもらえる?受給額の計算方法と請求手続きを解説
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年金を受給していた家族が亡くなった際、その方がまだ受け取っていなかった年金を「未支給年金」といい、後日、遺族が受け取ることができます。しかし、「未支給年金はいくらもらえるの?」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、未支給年金の制度の仕組みから、自分のケースでいくらもらえるのか、そして具体的にどう請求すればよいのかまで、詳しく解説します。制度を正しく理解し、「もしも」の時のために備えておきましょう。
- 未支給年金の仕組みと受け取れる遺族の範囲
- 死亡月別の受給額の計算方法
- 請求手続きの流れと注意点
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未支給年金とは?亡くなった人の年金を遺族が受け取れる制度
未支給年金とは、年金受給者が亡くなった際に、本来その方が受け取るはずだったものの、まだ支払われていなかった年金のことです。
公的年金は後払いの仕組みであるため、亡くなった時点で未支給分が発生します。その未支給分は、故人と生計を同じくしていた遺族が請求することで受け取れる制度です。
年金は「後払い」だから未支給分が発生する
公的年金は、支給月の前月と前々月の2ヶ月分が、偶数月の15日に振り込まれる「後払い」が原則です。例えば、6月15日に支払われるのは、4月分と5月分の年金です。
年金を受け取る権利は亡くなった月まで発生するため、どのタイミングで亡くなっても、その後払いの仕組みによって必ず未支給の年金が生じます。具体的には、最後に年金が支払われた月の翌月から、亡くなった月までの分が未支給年金となります。
未支給年金を受け取れる遺族の範囲と優先順位
未支給年金を受け取れるのは、亡くなった方と生計を同じくしていた遺族に限られます。誰でも請求できるわけではなく、法律で定められた優先順位があります。
優先順位は以下の通りです。
- 配偶者
- 子
- 父母
- 孫
- 祖父母
- 兄弟姉妹
- 上記以外の3親等内の親族(甥・姪、おじ・おばなど)
一番順位の高い方が請求権者となります。例えば、配偶者がいる場合は、子がいたとしても配偶者のみが請求できます。
請求できるのは、あくまで亡くなった当時、故人と生計を共にしていたことが条件です。同居していなくても、仕送りなどの経済的な援助関係があれば認められる場合があります。
未支給年金はいくらもらえる?金額の計算方法
未支給年金として受け取れる金額は、故人が亡くなった月によって変動します。これは、年金が2ヶ月分まとめて後払いで支給されるという仕組みが関係しているためです。具体的にいくら受け取れるのか、計算方法とシミュレーションを通じて確認しましょう。
死亡月によって受け取れる金額が変わる
未支給年金の金額は、故人がいつ亡くなったかによって1ヶ月分になるか、3ヶ月分になるかなどが決まります。年金の支払いスケジュールを基に考えると分かりやすいです。
年金は偶数月の15日に、その前月と前々月分が支払われます。
- 奇数月に亡くなった場合
- 例えば9月20日に亡くなった場合、最後の年金振込は8月15日(6・7月分)です。亡くなった9月分まで年金を受け取る権利があるため、未支給となるのは8月分と9月分の2ヶ月分です。
- 偶数月の前半(15日より前)に亡くなった場合
- 例えば8月10日に亡くなった場合、最後の振込は6月15日(4・5月分)です。8月15日に支払われるはずだった6・7月分と、亡くなった8月分の合計3ヶ月分が未支給年金となります。
- 偶数月の後半(15日以降)に亡くなった場合
- 例えば8月20日に亡くなった場合、8月15日に6・7月分は既に振り込まれています。そのため、未支給となるのは亡くなった8月分の1ヶ月分です。
ケース別の具体的な受給額シミュレーション
故人の年金額が分かれば、未支給年金の概算額を計算できます。ここでは、2ヶ月分の年金額が30万円(1ヶ月あたり15万円)だったケースでシミュレーションします。
亡くなった日によって受給額が変わるため、故人の死亡日と最後の年金振込日を確認することが欠かせません。
「まったくもらえない」というケースは基本的にない
上述の通り、年金には「亡くなった月の分まで支給される」「支払いは翌月以降に行われる」という2つのルールがあるため、年金受給者である家族が亡くなった場合は、最低でも1ヶ月分、最大で3ヶ月分を未支給年金として受け取ることができます。
年金額の確認方法
未支給年金の正確な金額を計算するには、故人が受け取っていた年金額を把握する必要があります。年金額は以下の書類で確認できます。
- 年金証書:年金の受給権者に交付される書類で、基礎年金番号や年金額が記載されています。
- 年金額改定通知書・年金振込通知書:毎年6月頃に日本年金機構から送付される書類です。その年度の年金額や、各支払月の振込額が記載されています。
これらの書類が見当たらない場合は、年金事務所に問い合わせることで確認できます。その際は、故人の基礎年金番号が分かると手続きがスムーズです。
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未支給年金の請求手続きと必要書類
未支給年金は自動的に振り込まれるものではなく、遺族による請求手続きが必要です。請求には期限があり、いくつかの書類を揃えて年金事務所などに提出します。手続きの流れを理解し、スムーズに進めましょう。
請求できる期限は5年間
未支給年金を請求できる権利は、年金の支払日の翌月の初日から5年で時効により消滅します。その期限を過ぎてしまうと、原則として請求できなくなります。
故人が亡くなった後は、葬儀やその他の手続きで多忙になりますが、未支給年金の請求も忘れないようにしましょう。年金受給者が亡くなったことを届け出る「年金受給権者死亡届」と「未支給年金請求書」は1枚の書類になっているため、同時に手続きを行うことができます。
必要書類一覧
未支給年金の請求には、主に以下の書類が必要です。状況によって追加の書類が求められる場合もあるため、事前に提出先に確認すると安心です。
- 年金受給権者死亡届(報告書)兼 未支給年金・未支払給付金請求書
- 故人の年金証書
- 故人と請求者の続柄が確認できる書類(戸籍謄本など)
- 故人と請求者が生計を同じくしていたことがわかる書類(故人の住民票の除票と請求者の世帯全員の住民票など)
- 受け取りを希望する金融機関の通帳またはキャッシュカードのコピー
- 請求者のマイナンバー確認書類(マイナンバーカードのコピーなど)
故人と請求者が別住所だった場合は、生計が同一であったことを証明するための「生計同一関係に関する申立書」が追加で必要になります。
請求手続きの流れ
未支給年金の請求の届出は、郵送または電子申請により行います。
【手続きの基本的な流れ】
- 書類の準備:上記の必要書類を揃えます。
- 請求書の記入:「未支給年金・未支払給付金請求書」に必要事項を記入します。
- 郵送または電子申請により提出:準備した書類一式を管轄の年金事務所に郵送するかe-Govの電子申請で提出します。
対面による相談を希望する場合には、事前に予約の上、年金事務所または街角の年金相談センター(オフィス)へ行けば受け付けてもらえます。
振込までの期間
未支給年金の請求書を提出してから、実際に指定口座に振り込まれるまでには、一定の期間がかかります。
一般的に、請求手続きが完了してから約3ヶ月から4ヶ月後に「支給決定通知書」が郵送されます。その通知書で、支給される金額や振込日を確認できます。
実際の振り込みは、支給決定通知書が届いてからさらに1〜2ヶ月程度かかることが多く、全体としては請求から5〜6ヶ月後が目安となります。書類に不備があった場合や、審査に時間を要するケースでは、さらに期間が長くなる可能性もあります。
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未支給年金を受け取る際の注意点
未支給年金の請求手続きを進めるにあたり、いくつか知っておくべき注意点があります。請求権を持つ遺族が複数いる場合や、税金の取り扱い、生計同一要件の具体的な判断基準など、事前に理解しておくことでトラブルを避け、スムーズな手続きにつながります。
複数の遺族がいる場合の受け取り方
未支給年金を受け取れる優先順位が同じ遺族が複数いる場合、例えば子が3人いるようなケースでは、そのうちの1人が代表して請求手続きを行います。
手続きを行った代表者の口座に、未支給年金の全額が振り込まれます。法律上、代表者が受け取った時点で、同順位の遺族全員が受け取ったものとみなされます。
そのため、受け取った年金をどのように分配するかは、遺族間で話し合って決める必要があります。
後のトラブルを避けるためにも、事前に全員で合意しておくことが望ましいでしょう。
未支給年金に税金はかかるのか
未支給年金の税務上の取り扱いは、相続財産とは異なります。
- 相続税:未支給年金は、受け取る遺族固有の権利と解釈されるため、相続財産には含まれず、相続税の課税対象にはなりません。
- 所得税:受け取った遺族の「一時所得」として扱われ、所得税の課税対象となります。ただし、一時所得には年間で最高50万円の特別控除があります。そのため、その年に受け取った他の一時所得(生命保険の一時金など)と未支給年金の合計額が50万円を超えない限り、確定申告は不要で、実質的に税金はかかりません。
合計額が50万円を超える場合は、確定申告が必要になるため注意しましょう。
生計同一要件の判断基準
未支給年金を受け取るための「生計を同じくしていた」という要件は、必ずしも同居している必要はありません。具体的な判断基準は以下の通りです。
- 住民票上、同一世帯に属している場合
- 住民票上は別世帯だが、住所が同じ場合
- 住所が異なるが、経済的な援助関係があった場合
- 定期的な仕送りや生活費の援助があった
- 健康保険の被扶養者になっていた
- 療養費の援助を受けていた
別居している場合は、これらの事実を客観的に証明する書類(送金の記録など)と共に「生計同一関係に関する申立書」を提出する必要があります。
単身赴任や、介護施設への入所、就学のために別居していたケースなども、経済的なつながりが認められれば生計同一と判断される可能性があります。
死亡届を出すと年金は止まる?タイミングの疑問
市区町村役場に死亡届を提出すると、その情報が日本年金機構に連携され、年金の支払いが自動的に停止されます。これは、故人のマイナンバーが年金情報に紐づいている場合に原則として行われます。
しかし、その手続きはあくまで年金の過払いを防ぐための「支給停止」であり、「未支給年金」の請求手続きとは別物です。年金の支払いが止まった後、未支給分を受け取るためには、遺族が別途「未支給年金請求書」を提出する必要があります。
死亡届を提出してから年金が停止されるまでにはタイムラグがあり、死亡後にも年金が振り込まれてしまうことがあります。その場合、過払い分として返還を求められます。返還手続きは年金事務所の案内に従って行いましょう。不正に受給し続けると罰則の対象となるため注意が必要です。
未支給年金以外に遺族が受け取れる可能性のある給付
年金受給者が亡くなった場合、未支給年金の他にも遺族の生活を支えるための公的な給付制度があります。代表的なものとして「遺族年金」や、葬儀費用を補助する「葬祭費・埋葬料」が挙げられます。これらは未支給年金とは異なる制度であり、それぞれ請求手続きが必要です。
遺族年金との違い
未支給年金と遺族年金は、目的も対象も異なる全く別の制度です。
- 未支給年金:故人が受け取るはずだった年金の未払い分。故人の権利を遺族が代わりに受け取るもので、支給は一度きりです。
- 遺族年金:故人によって生計を維持されていた遺族の生活を保障するための年金。遺族自身の権利として、要件を満たす限り継続的に支給されます。
両方の受給要件を満たす場合、例えば夫を亡くした妻が未支給年金を受け取り、さらに遺族厚生年金を受給するといった形で、両方を受け取ることが可能です。未支給年金を請求したからといって、遺族年金が受け取れなくなることはありません。
葬祭費・埋葬料
葬祭費や埋葬料は、葬儀を行った費用を補助するために、故人が加入していた公的医療保険から支給される一時金です。これも未支給年金とは別の制度です。
- 葬祭費:故人が国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた場合に、葬儀を行った人(喪主)に支給されます。金額は自治体によって異なり、3〜7万円程度が一般的です。申請先は市区町村役場です。
- 埋葬料:故人が会社の健康保険(協会けんぽ、組合健保など)に加入していた場合に、生計を維持されていた遺族に一律5万円が支給されます。そのような遺族がいない場合は、実際に埋葬を行った人に「埋葬費」として実費(上限5万円)が支給されます。申請先は加入していた健康保険組合などです。
これらの給付金も請求しなければ受け取れないため、忘れずに手続きを行いましょう。請求期限は、葬儀や死亡の翌日から2年以内です。
未支給年金に関するQ&A
ここでは、未支給年金の請求に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。手続きを進める上での疑問解消にお役立てください。
Q. 未支給年金の請求を忘れていた場合、5年経過後でも請求できる?
原則として請求できません。
未支給年金を請求する権利は、法律により5年で時効消滅します。その期間を過ぎると、請求権が失われるため、年金を受け取ることはできなくなります。特別な事情がない限り、期限後の請求は認められません。
Q. 生計を同じくしていなかった遺族は未支給年金を受け取れない?
はい、受け取れません。
未支給年金を受け取るためには、故人と「生計を同じくしていた」ことが必須の条件です。たとえ法定相続人であっても、その要件を満たさない場合は請求権がありません。
優先順位の高い遺族がいても、生計が別であれば請求できず、権利は次順位の遺族に移ります。
Q. 未支給年金の請求に代理人を立てることはできる?
はい、可能です。
請求者本人が高齢であったり、病気などのやむを得ない事情で手続きが難しい場合は、代理人を立てて請求することができます。その際には、請求者本人が作成した「委任状」が必要です。委任状の様式は日本年金機構のWebサイトで入手できます。
まとめ
年金受給者が亡くなった際に発生する未支給年金は、故人が受け取るはずだった大切な収入です。受け取れる金額は故人の年金額と亡くなった月によって決まり、生計を同じくしていた遺族が請求できます。
請求手続きには5年間の期限がありますが、他の相続手続きと並行して早めに進めることが推奨されます。まずは故人の年金証書などを探し、年金額を確認することから始めましょう。
必要書類の準備や手続きで不明な点があれば、お近くの年金事務所や年金相談センターに相談することで、スムーズに請求を進めることができます。この記事の内容を参考に、忘れずに手続きを行いましょう。
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監修
森本 由紀
- ファイナンシャルプランナー/AFP(日本FP協会認定)/行政書士
行政書士ゆらこ事務所(Yurako Office)代表。愛媛県松山市出身。神戸大学法学部卒業。法律事務所事務職員を経て、2012年に独立開業。メイン業務は離婚協議書作成などの協議離婚のサポート。離婚をきっかけに自立したい人や自分らしい生き方を見つけたい人には、カウンセリングのほか、ライフプラン、マネープランも含めた幅広いアドバイスを行っている。法律系・マネー系サイトでの記事の執筆・監修実績も多数。
執筆
マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
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