
国民年金保険料は年収で変わる?計算方法と具体的な例と保険料の仕組みを徹底解説
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国民年金保険料は「年収によって金額が変わるのでは?」と誤解されがちですが、実際にはすべての人が同じ金額を支払う仕組みとなっています。一方、厚生年金保険料や国民健康保険料は年収やケースによって計算方法が異なるため、国民年金保険料と混合してしまっている人もなかにはいるかもしれません。
本記事では、国民年金保険料の仕組み、免除・猶予の所得基準、厚生年金保険料や国民健康保険料との違いまで、専門家視点でわかりやすく解説します。
- 国民年金保険料と年収の関係
- 年収によって適用される免除・猶予制度
- 将来の年金受給額と年収の関連性
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国民年金保険料は年収に関係なく一律
結論から言うと、国民年金保険料は年収にかかわらず、すべての加入者が同じ金額を納付します。令和7年度の国民年金保険料は1万7510円です。
これは、会社員などが加入する厚生年金保険料が収入に応じて変動する点と大きく異なる特徴です。
日本の公的年金制度は、働き方によって加入する制度が異なり、保険料の決まり方もそれぞれ違います。
まずは、この基本的な仕組みの違いを理解することが大切です。
(参考:国民年金保険料|日本年金機構)
国民年金と厚生年金の仕組みの違い
日本の公的年金制度は、2階建て構造になっています。
1階部分にあたるのが「国民年金(基礎年金)」で、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する義務があります。自営業者や学生、無職の方(第1号被保険者)などが対象です。
2階部分にあたるのが「厚生年金」で、会社員や公務員(第2号被保険者)が国民年金に上乗せして加入します。つまり、厚生年金に加入している人は、自動的に国民年金にも加入していることになります。
この構造により、会社員や公務員は、自営業者など国民年金のみに加入している人と比べて、老後に受け取る年金額が手厚くなる仕組みです。
国民年金保険料と厚生年金保険料の比較
国民年金保険料は、所得にかかわらず一律の金額が定められています。これは、年収が200万円の人でも1000万円の人でも同じ金額を納めることを意味します。
一方、厚生年金保険料は、毎月の給与や賞与の額に応じて決まります。具体的には、「標準報酬月額」と「標準賞与額」という基準額に、定められた保険料率(18.3%)を掛けて算出されます。収入が高いほど、納める保険料も高くなる仕組みです。
また、厚生年金保険料は、従業員と会社が半分ずつ負担する「労使折半」である点も特徴です。
国民年金保険料と国民健康保険料の違い
国民年金保険料と混同されやすいものに「国民健康保険料(税)」があります。これらは全く異なる制度であり、保険料の計算方法も違います。
国民年金保険料が年収に関係なく一律であるのに対し、国民健康保険料は、前年の所得や世帯の加入者数、年齢などに基づいて計算されます。そのため、所得が高いほど、また家族が多いほど保険料は高くなる傾向があります。
国民健康保険は、自営業者やフリーランス、退職者などが加入する公的医療保険制度です。年金制度とは目的が異なるため、保険料の決まり方も違うという点を理解しておきましょう。
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年収で変わるのは保険料ではなく“免除・猶予の可否”
国民年金保険料は年収にかかわらず一律ですが、所得が低いなどの理由で保険料の納付が困難な場合には、保険料の支払いが免除または猶予される制度が設けられています。
この免除・猶予制度を利用できるかどうかを判断する基準として「所得」が用いられます。つまり、年収(所得)によって変わるのは、保険料の金額そのものではなく、免除や猶予を受けられるかどうかの可否なのです。
これらの制度を利用するには、本人からの申請が必要です。承認されると、保険料の全額または一部が免除されたり、納付が先延ばしになったりします。
全額免除・4分の3免除・半額免除・4分の1免除の所得基準
保険料の免除制度には、「全額免除」「4分の3免除」「半額免除」「4分の1免除」の4種類があります。どの免除を受けられるかは、本人、配偶者、世帯主それぞれの前年所得によって審査されます。
所得基準の計算式は以下の通りです。
※所得とは、収入から給与所得控除や必要経費などを差し引いた後の金額です
例えば、扶養親族がいない単身者の場合、前年の所得が約57万円以下であれば全額免除の対象となる可能性があります。
学生納付特例の所得基準
20歳以上の学生で、本人の所得が一定以下の場合に利用できるのが「学生納付特例制度」です。この制度の承認を受けると、在学中の国民年金保険料の納付が猶予されます。
対象となる所得基準は以下の計算式で算出されます。
- 128万円 + (扶養親族等の数 × 38万円) + 社会保険料控除額等
例えば、扶養親族がいない学生の場合、本人の前年所得が128万円以下であれば対象となります。アルバイト収入のみであれば、年収約194万円が目安です。
この制度はあくまで納付の「猶予」であり「免除」ではありません。保険料を納付しない限り、将来の年金受給額には反映されませんが、受給資格期間には算入されます。
猶予された保険料は、10年以内であれば後から納付(追納)することが可能です。
失業時に免除が有利になる仕組み
会社を退職して失業した場合、国民年金保険料の納付が困難になることがあります。このような状況に対応するため、失業による特例免除制度が設けられています。
この制度を利用すると、通常の免除申請における本人所得を除外して審査が行われます。つまり、前年に会社員として高い収入があったとしても、失業したという事実に基づいて審査されるため、保険料の免除や納付猶予が承認されやすくなります。
申請には、雇用保険受給資格者証の写しや離職票の写しなど、失業したことを証明する書類が必要です。
この特例を利用することで、失業中の保険料負担を軽減しつつ、年金の受給資格期間を確保することができます。
扶養内は国民年金保険料0円になる理由
会社員や公務員(第2号被保険者)に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者は、「第3号被保険者」に該当します。第3号被保険者は、国民年金に加入しているものの、自分で国民年金保険料を納付する必要がありません。
これは、配偶者が加入している厚生年金や共済組合の制度全体で、第3号被保険者の保険料を負担する仕組みになっているためです。つまり、個人としての負担は0円ですが、制度上は保険料を納付したものとして扱われます。
そのため、将来は保険料を納付した期間に応じた老齢基礎年金を受け取ることができます。この制度があるため、年収を扶養の範囲内(130万円未満など)に抑えて働くことを選択する人が多くいます。
年収と年金の“将来受取額”はどう関係する?
現役時代の年収は、将来受け取る年金額に直接的な影響を与えます。ただし、その影響の仕方は国民年金と厚生年金で大きく異なります。
国民年金(老齢基礎年金)は、年収に関わらず納付期間に応じて受給額が決まります。
一方で、厚生年金(老齢厚生年金)は、現役時代の収入が高く、加入期間が長いほど受給額が増える「報酬比例」の仕組みになっています。
国民年金は年収が増えても増えない
国民年金から支給される老齢基礎年金の受給額は、年収の高さとは関係ありません。受給額は、保険料を納付した月数に基づいて計算されます。
20歳から60歳までの40年間(480ヶ月)すべての期間で保険料を納付すれば、誰でも満額の老齢基礎年金を受け取ることができます。2025年度の満額は年額83万1700円(月額約6万9308円)です。
保険料の未納や免除の期間があると、その分受給額は減額されます。
年収が高い人が多く保険料を払っているわけではないため、将来の受給額も年収に左右されることはありません。
厚生年金は年収・勤務年数で増える
会社員や公務員が受け取る老齢厚生年金は、現役時代の年収(給与や賞与)と厚生年金の加入期間に応じて金額が決まります。これを「報酬比例」と呼びます。
具体的には、加入期間中の平均的な収入(平均標準報酬額)と加入月数を基に計算されるため、収入が高く、長く働くほど将来の年金額は増えます。
このように、厚生年金制度は、現役時代の経済状況が老後の生活水準にある程度反映される仕組みになっています。
国民年金だけの人は老後いくら不足する?
自営業者やフリーランスなど、国民年金(老齢基礎年金)のみに加入している場合、老後の収入は厚生年金加入者と比べて少なくなります。
「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況|厚 生労働省年金局」によると、令和5年度の国民年金の平均受給月額は約5.8万円です。夫婦2人でも月額約11.6万円となり、年金で生活を賄うのは容易ではありません。
また、「2025(令和7)年度生活保障に関する調査《速報版》」によると、夫婦2人がゆとりある老後生活を送るために必要と考える生活費は平均で月額39.1万円です。この金額と比較すると、国民年金だけでは毎月20万円以上の不足が生じる計算になります。
国民年金のみに加入している場合は、iDeCo(個人型確定拠出年金)や国民年金基金、NISAなどを活用し、計画的に老後資金を準備することが不可欠です。
まとめ
本記事では、国民年金保険料と年収の関係について解説しました。重要なポイントを以下にまとめます。
- 国民年金保険料は年収にかかわらず一律であり、すべての加入者が同額を納付します
- 年収(所得)によって変わるのは保険料額ではなく、保険料の免除や納付猶予を受けられるかどうかの基準です
- 会社員の配偶者などで社会保険の扶養に入っている場合(第3号被保険者)、国民年金保険料の自己負担はありません
- 将来の年金受給額において、国民年金は年収に影響されず、厚生年金は年収と加入期間に比例して増額します
国民年金のみに加入している方は、老後の収入が限られるため、自助努力による資産形成が重要です。iDeCoやNISAといった税制優遇制度を積極的に活用し、計画的な老後資金の準備を進めることを検討しましょう。
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監修
鈴木 茂伸
- 特定社会保険労務士/ファイナンシャルプランナー
ブラック企業で働き、非正規従業員の経験から、弱い立場の方々の気持ちが理解でき、またひとりの事業主として、辛い立場の事業主の状況も共感できる社労士として、人事労務管理、経営組織のサポートを行っている。家族に障がい者がいることから、障害年金相談者に親身になって相談を受けて解決してくれると評判。また、(一社)湘南鎌倉まごころが届くの代表理事として、高齢者の身元引受、サポート、任意後見人も行っている。
執筆
マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
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