

不動産クラウドファンディングは「やめとけ」?失敗しないための判断基準と対策
「不動産クラウドファンディングはやめとけ」という声を聞いて、不安になっていませんか?少額から始められる手軽さが魅力ですが、リスクも存在します。
本記事では、やめとけと言われる理由や失敗事例を徹底解説し、あなたが後悔しないための判断基準を専門家が示します。
主に不動産特定共同事業法に基づき、投資家から集めた資金で不動産を取得・運用し、その収益を分配するタイプの不動産クラウドファンディングを前提に解説します。
- 不動産クラウドファンディングが「やめとけ」と言われる7つの具体的な理由
- 実際の失敗事例から学ぶリスク回避の教訓
- 初心者でも失敗しないために確認すべき5つの対策
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なぜ「やめとけ」と言われるのか?不安の正体を理解する

不動産クラウドファンディングについて調べると、「やめとけ」「怪しい」といった否定的な意見を目にすることがあります。
少額から始められる手軽な投資として人気を集める一方で、なぜ否定的な声が上がるのでしょうか。
否定的な意見の背景には、投資未経験者の漠然とした感情的な不安と、投資経験者が指摘する具体的なリスクの両方が混在しています。
大切なのは、これらの不安の正体を正しく理解し、感情論と実際のリスクを切り分けて考えることです。
感情的な不安と実際のリスクは別物
「やめとけ」という意見の中には、具体的な根拠に基づかない感情的な不安が含まれていることがあります。
例えば、「現物の不動産を直接見ずに投資するのは怖い」という感覚は、不動産投資の経験者ほど抱きやすいかもしれません。また、「キャンペーンを積極的に行っているのは怪しい」といった印象も、投資詐欺への警戒心からくる感情的な反応といえるでしょう。
一方で、不動産クラウドファンディングには「元本割れ」や「事業者の倒産」といった、実際に起こりうる具体的なリスクも存在します。これらのリスクは、仕組みを理解し、適切な対策を講じることで管理が可能です。
投資判断を誤らないためには、漠然とした不安と、客観的なデータや仕組みに基づいた実際のリスクを区別し、後者に対して冷静に対処することが欠かせません。
3つの主要リスク
不動産クラウドファンディングに関するネガティブな意見の背景として、主に3つのリスクが挙げられます。
1. 元本割れのリスク
不動産市況の悪化や賃料収入の減少により、投資した元本が戻ってこない可能性があります。これは預金と異なり、元本が保証されていない投資商品であるためです。
2. 流動性のリスク(換金性の低さ)
多くのファンドでは運用期間が定められており、原則として期間中の解約ができません。そのため、急に現金が必要になっても資金を引き出せないというリスクがあります。
3. 事業者リスク(倒産の可能性)
運営会社が倒産した場合、投資資金の回収が困難になる可能性があります。事業者の経営状況や信頼性の見極めが重要となります。
これらのリスクは、不動産クラウドファンディングのデメリットとして多くの専門家が指摘する点であり、「やめとけ」という意見の核心部分といえるでしょう。
「やめとけ」と言われる7つの理由とデメリット
不動産クラウドファンディングが「やめとけ」と言われる背景には、具体的なデメリットやリスクが存在します。
投資を始める前にこれらの点を正しく理解しておくことが、後悔しないための第一歩です。
代表的な7つの理由を詳しく解説します。
元本割れリスク(元本保証なし)
不動産クラウドファンディングは投資商品であり、銀行預金のように元本が保証されているわけではありません。
不動産市場の価格変動、入居率の低下、予期せぬ災害による物件の損傷など、さまざまな要因で不動産の価値が下落した場合、投資した元本が減ってしまう「元本割れ」の可能性があります。
多くのサービスでは、投資家保護のために「優先劣後方式」という仕組みを導入しています。これは、損失が発生した際に、まず事業者側の出資分(劣後出資)から損失を補填するもので、一定の範囲内であれば投資家の元本は守られます。
しかし、劣後出資の割合を超える損失が発生した場合は、投資家の元本にも影響が及びます。
「元本割れゼロ」をうたうサービスもありますが、それはあくまで過去の実績であり、将来にわたって保証されるものではないことを理解しておく必要があります。
途中解約できず資金が拘束される

不動産クラウドファンディングの特徴の1つが、原則として運用期間中の途中解約ができない点です。
ファンドの運用期間は数ヶ月から数年とさまざまですが、一度投資すると、運用期間が満了するまで資金を引き出すことはできません。
株式や投資信託のように市場でいつでも売買できる金融商品とは異なり、流動性が低いのがデメリットです。急な病気や失業などで現金が必要になった場合でも、投資した資金をすぐに手元に戻すことは困難です。
一部のサービスでは、手数料を支払うことで途中解約が可能な場合もありますが、条件が厳しかったり、譲渡先を自分で見つける必要があったりと、現実的ではないケースがほとんどです。
そのため、不動産クラウドファンディングに投資する際は、当面使う予定のない「余裕資金」で行うことが必須です。
人気案件は投資できない(クリック合戦)
不動産クラウドファンディングの隠れたデメリットとして、「投資したくてもできない」という機会損失の問題があります。
利回りが高い、立地がよいといった魅力的なファンドは人気が集中し、募集開始からわずか数分で満額に達してしまうことが珍しくありません。
募集方式には「先着順」と「抽選」の2種類があります。
- 先着順:募集開始と同時に申し込みが殺到し、いわゆる「クリック合戦」となる。
- 抽選:応募者が殺到し、倍率が10倍(応募率1000%)を超えることもあり、当選確率が低くなる。
投資の準備をして待っていても、結局投資できずに資金を遊ばせてしまう期間が発生し、結果的に全体の運用効率が下がってしまう可能性があります。
この問題に対処するためには、複数のサービスに登録して投資の機会を増やすなどの工夫が必要です。
現物不動産を確認できない
不動産クラウドファンディングは、インターネット上で提供される情報のみを基に投資判断を下すのが基本です。
従来の不動産投資のように、実際に現地を訪れて物件の状態や周辺環境を自分の目で確認することはほとんどありません。
多くの事業者では、物件の所在地や写真、図面などの詳細情報を公開していますが、それでも「自分の目で見ていないものにお金を出すのは不安」と感じる投資家は少なくありません。
現物不動産投資の経験がある人にとっては、この点が心理的ハードルとなることがあります。
ただし、物件情報が開示されていれば、地図サービスや周辺の賃貸情報を活用して、ある程度の調査は可能です。
情報開示が不十分な事業者や、物件所在地を曖昧にしている案件はリスクが高いため、避けるべきでしょう。
税制上の不利(雑所得として総合課税)
不動産クラウドファンディング(匿名組合型)で得た分配金は、税法上「雑所得」に分類されます。
これは、現物不動産投資で得られる「不動産所得」とは異なり、税制上のメリットがほとんどないことを意味します。
匿名組合型の分配金は原則として雑所得に区分されるため、上場株式等の譲渡損失や配当所得との損益通算はできません。
また、現物不動産投資の不動産所得とは異なり、減価償却費などを活用した節税効果も基本的には期待しにくいといえます。
節税を目的とする投資には向いていないといえるでしょう。
(参考:No.1330 配当金を受け取ったとき(配当所得) | 国税庁)
レバレッジが効かず大きなリターンは期待しにくい
現物不動産投資の魅力の1つに、金融機関からの融資を活用して自己資金以上の規模の投資を行う「レバレッジ効果」があります。
例えば、自己資金1000万円で1億円の物件を購入すれば、少ない元手でリターンを狙うことが可能です。
しかし、不動産クラウドファンディングでは、レバレッジを効かせることはできません。投資できるのは自己資金の範囲内に限られるため、リターンも投資額に比例します。
例えば、10万円を年利5%で運用した場合、1年間の利益は税引前で5000円です。
手堅くコツコツと資産を増やすには向いていますが、短期間で資産を数倍にするといった、ハイリターンを期待する投資手法ではないことを理解しておく必要があります。
詐欺や悪質業者のリスク
不動産クラウドファンディング市場の急成長に伴い、残念ながら詐欺的な勧誘を行う悪質な業者も存在します。
国土交通省も、実在しない架空の業者が不動産クラウドファンディングを装って投資を勧誘するケースについて注意喚起を行っています。
悪質業者の手口としては、以下のようなものが挙げられます。
- 無登録営業:法律で定められた「不動産特定共同事業」の許可を得ずに運営する。
- ポンジ・スキーム:実際には運用を行わず、新規投資家からの出資金を既存投資家への配当に回す自転車操業。
- 誇大広告:「元本保証」「必ず儲かる」といった、金融商品取引法等で禁止されている表現で勧誘する。
これらの被害に遭わないためには、投資を検討している事業者が国土交通省の許可業者リストに掲載されているかを必ず確認することが肝となります。
また、相場を大幅に超える高利回りをうたう案件や、SNSなどで個別に勧誘してくる業者には注意が必要です。
実際の失敗事例から学ぶ教訓
「やめとけ」と言われる背景には、実際に投資で失敗した人の経験談があります。理論上のリスクだけでなく、過去の事例から学ぶことで、同じ過ちを避けることができます。
ここでは、代表的な3つの失敗ケースと教訓を解説します。

ケース①:高利回りに飛びついて元本割れ
「利回り10%超」といった高利回り案件は、一見すると魅力的ですが、相応のリスクが潜んでいます。
投資の世界では、リターンとリスクは表裏一体であり、高いリターンを期待できる案件は、それだけ不透明性も高いのが一般的です。
例えば、まだ建設が完了していない開発型案件や、地方の築古物件などは、計画通りに進まなかった場合や、売却時に買い手が見つからなかった場合に、損失を生む可能性があります。
なぜ高い利回りが実現できるのか、根拠となる物件の種類、立地、事業計画などを冷静に分析し、リスクとリターンのバランスが取れているかを自身で判断することが鍵となります。
表示されている利回りは、あくまで想定利回り・予定利回りであり、将来の分配や元本償還を保証するものではありません。
ケース②:途中解約できず資金繰りに困窮
不動産クラウドファンディングの「運用期間中は原則解約不可」という特性を軽視した結果、資金繰りに困窮するケースです。
例えば、「2年間は使わない予定のお金だから」と投資したものの、1年後に急な病気や失業でまとまった現金が必要になる状況は誰にでも起こり得ます。
しかし、不動産クラウドファンディングでは、そのような状況でも資金を引き出すことはできません。
結果として、他の貯蓄を取り崩したり、場合によっては高金利のローンを利用せざるを得なくなったりする可能性があります。
生活防衛資金(生活費の半年〜1年分)とは完全に切り離し、万が一失っても生活に影響のない範囲の金額で投資を行うことが、精神的な安定と健全な資産運用につながります。
ケース③:実績のない事業者を選んで運営会社が倒産
不動産クラウドファンディングの成否は、運営会社の経営手腕に依存します。過去には、運営会社の経営破綻により、投資家が損失を被った事例も存在します。
例えば、「ヤマワケエステート」では、2025年に売却決済の遅れを理由に一部ファンドで償還が遅延する事態が発生し、投資家の不信感を招きました。
広告や利回りの高さに惑わされず、運営会社の設立年、運用実績、財務状況(上場企業かなど)、過去のトラブルの有無などを徹底的に調査することが、最大のリスクヘッジとなります。
(参考:ヤマワケエステート「償還延期」で投資家騒然、高利回りで人気の不動産クラファンに一体何が | 楽待不動産投資新聞)
やめたほうがよい人・向いている人の判断基準

不動産クラウドファンディングは、誰にでもおすすめできる万能な投資手法ではありません。個人の資産状況や投資目的、リスク許容度によって、向き不向きがはっきりと分かれます。
自分に合わない投資を無理に続けると、ストレスを感じたり、思わぬ損失を被ったりする可能性があります。
ここでは、どのような人が「やめたほうがよい」のか、そしてどのような人が「向いている」のか、具体的な判断基準を解説します。
やめたほうがよい人の特徴
以下の特徴に当てはまる人は、不動産クラウドファンディング以外の投資手法を検討したほうがよいかもしれません。
元本保証を求める人
「損をしたくない」という考えの人には不向きです。不動産クラウドファンディングは投資であり、元本割れのリスクが常に伴います。
安全性を最優先するなら、個人向け国債や定期預金などが適しています。
短期で資金を動かしたい人
運用期間中は資金が拘束されるため、1年以内に現金が必要になる可能性がある人や、株式のように日々の売買で利益を狙いたい人には向いていません。
流動性の高さを求めるなら、J-REITや株式投資が選択肢となります。
リターンを狙いたい人
レバレッジが効かないため、自己資金の範囲内でのリターンに限られます。短期間で資産を増やしたいハイリスク・ハイリターン志向の人には、物足りなく感じるでしょう。
情報収集や分析が面倒な人
「プロにお任せ」とはいえ、事業者や案件選びには最低限の情報収集と分析が不可欠です。それらの手間を全くかけたくないという人には、リスクの高い選択をしてしまう可能性があります。
向いている人の特徴
一方で、以下の特徴を持つ人にとって、不動産クラウドファンディングは魅力的な投資手法となり得ます。
少額から不動産投資を始めてみたい人
「いきなり数百万円の投資は怖いけれど、不動産投資には興味がある」という投資初心者にとって、1万円程度から始められる手軽さはメリットです。
手間をかけずに資産運用したい人
本業が忙しい会社員など、物件管理や入居者対応に時間を割けない人には最適です。ファンドを選んで出資すれば、後は分配金を待つだけの「ほったらかし投資」が可能です。
ミドルリスク・ミドルリターンを求める人
預金よりは高いリターンを狙いたいが、株式投資ほど価格変動リスクは取りたくない、という安定志向の人に適しています。
余裕資金を中長期で運用できる人
数ヶ月から数年間、使わなくても問題ない余裕資金がある人であれば、資金が拘束されるデメリットも気になりません。
むしろ、短期的な値動きに一喜一憂せず、じっくりと資産を育てることができます。
失敗しないための5つの対策
不動産クラウドファンディングのリスクを理解した上で、それでも挑戦したいと考える人も多いでしょう。
幸いなことに、いくつかの対策を講じることで、失敗の確率を大幅に下げることが可能です。
ここでは、投資を始める前に必ず実践すべき5つの対策を具体的に解説します。これらのポイントを押さえることが、安定した資産運用への第一歩となります。

運営会社の実績と信頼性を徹底確認
重要な対策は、信頼できる運営会社を選ぶことです。事業者の信頼性を見極めるには、以下の点を確認しましょう。
- 不動産特定共同事業の許可:国土交通省のWebサイトで、正規の許可を得ているか必ず確認します。
- 運用実績:これまでのファンド組成数、償還実績、元本割れの有無などを確認します。実績が豊富で、安定した運用を続けている事業者は信頼性が高いといえます。
- 財務状況:上場企業や、大手不動産会社が親会社であるサービスは、財務基盤が安定しているため、倒産リスクが比較的低いと考えられます。
- 情報開示の透明性:物件情報やリスクについて、どれだけ詳細かつ分かりやすく開示しているかも重要な判断基準です。
余裕資金の範囲内で投資する

不動産クラウドファンディングは、原則として運用期間中の途中解約ができません。そのため、投資に回す資金は、生活費や緊急時に備える「生活防衛資金」とは明確に区別された「余裕資金」であることが必須です。
目安として、生活費の最低でも半年分、できれば1年分は預貯金などすぐに引き出せる形で確保しておきましょう。その上で、当面使う予定のないお金を投資に充てることが大事です。
投資額を決める際は、「万が一、お金がゼロになっても生活に支障が出ないか」を自問自答してみてください。
この原則を守ることで、精神的なプレッシャーなく、冷静な判断で長期的な資産運用を続けることができます。
複数の案件・事業者に分散投資
「卵は1つのカゴに盛るな」という投資の格言通り、1つの案件や1つの事業者に資金を集中させるのは危険です。
万が一案件で元本割れが起きたり、事業者が倒産したりした場合、資産全体がダメージを受けてしまいます。
不動産クラウドファンディングは1万円程度の少額から投資できるため、分散投資をしやすいのがメリットです。
例えば、100万円の資金があれば、10万円ずつ10の異なるファンドに投資することで、リスクを大幅に軽減できます。
分散する際には、以下の3つの軸を意識すると効果的です。
- 事業者の分散:複数の運営会社のファンドに投資する。
- 地域の分散:首都圏と地方、異なる都市の物件に分ける。
- 物件タイプの分散:住居用、商業施設、ホテルなど、異なる種類の不動産に投資する。
優先劣後方式の案件を選ぶ
優先劣後方式は、投資家保護の一助となる仕組みです。
優先劣後方式では、投資家が「優先出資者」、運営事業者が「劣後出資者」として共同で出資します。
万一不動産価値の下落などで損失が発生した場合、まず事業者側の劣後出資分から損失が補填されます。投資家の元本(優先出資分)に影響が及ぶのは、劣後出資分でカバーしきれないほどの損失が出た場合に限られます。
ファンドの詳細ページで、優先劣後方式の採用の有無と劣後出資比率を必ず確認しましょう。
ただし、劣後出資比率だけで安全性を判断するのではなく、物件価格の妥当性、売却想定価格、賃料収入、事業者の信用力などとあわせて確認することが大切です。
物件情報と収支計画を精査する
提示されている想定利回りだけを鵜呑みにせず、根拠となる物件情報や収支計画を自分の目で確認することが大切です。信頼できる事業者は、投資家が判断を下すために十分な情報を提供しています。
最低限、以下の項目はチェックしましょう。
- 物件情報:所在地、築年数、構造、用途、写真など。地図サービスで周辺環境を確認するのも有効です。
- 収支計画:想定される賃料収入や売却価格、運営にかかる経費(管理費、修繕費、税金など)の内訳。
- リスク情報:空室リスク、賃料下落リスク、災害リスクなど、物件特有のリスクが明記されているか。
なぜ利回りが達成可能と見込んでいるのか、ロジックが合理的であるかを検討することが鍵となります。
情報開示が不十分であったり、収支計画に無理があると感じたりした案件への投資は見送るのが賢明です。
それでも不動産クラウドファンディングを選ぶメリット

「やめとけ」と言われる理由やデメリットがある一方で、不動産クラウドファンディング市場は年々拡大しており、多くの投資家から支持されています。
それは、他の投資手法にはない独自のメリットがあるからです。リスクを理解した上で活用すれば、資産形成の選択肢となり得ます。
少額から不動産投資を始められる
不動産クラウドファンディング最大の魅力は、1口1万円程度という少額から不動産投資に挑戦できる点です。
通常、現物の不動産を購入するには、金融機関からの融資を利用するにしても、数百万円単位の自己資金が必要となります。
この高いハードルをなくしたことで、これまで不動産投資に関心がなかった初心者や、まとまった資金がない若い世代でも、気軽に不動産市場に参加できるようになりました。
まずは少額で投資を体験し、仕組みやリスクを学びながら、徐々に投資額を増やしていくというステップアップが可能です。
投資の第一歩として、これほど始めやすい選択肢は他にないでしょう。
管理の手間がかからない
現物の不動産投資では、物件の購入後も入居者の募集、家賃の回収、建物の修繕、クレーム対応など、さまざまな管理業務が発生します。
これらは専門の管理会社に委託することもできますが、最終的な意思決定はオーナー自身が行う必要があり、時間と労力がかかります。
一方、不動産クラウドファンディングでは、これらの管理・運用業務のすべてを運営事業者が代行してくれます。投資家はファンドを選んで出資した後は、基本的に運用期間が終了するまで何もする必要がありません。
この「ほったらかし投資」が可能な点は、本業で忙しい会社員や、不動産管理の知識がない初心者にとってメリットです。
手間をかけずに、プロが運用する不動産の収益を得ることができます。
初心者が始める前に押さえるべきポイント
不動産クラウドファンディングのメリットとデメリットを理解し、いざ始めようと決めた初心者が、最初に押さえておくべき3つのポイントがあります。
これらのポイントを意識することで、より安全に、そして効果的に資産運用をスタートさせることができます。

まずは少額で経験を積む

不動産クラウドファンディングの最大のメリットは、1万円程度の少額から始められることです。
最初から金額を投じるのではなく、まずは最低投資額で1つか2つのファンドに投資してみることをおすすめします。
実際に投資をしてみることで、会員登録から出資、分配金の受け取り、償還までの一連の流れを体験できます。また、運用レポートの読み方や、事業者の情報開示のスタイルなども肌で感じることができるでしょう。
少額であれば、万が一元本割れが起きても金銭的・精神的なダメージは最小限に抑えられます。
この経験を「投資の勉強代」と捉え、自分に合った投資スタイルを見つけてから、徐々に投資額を増やしていくのが賢明な進め方です。

投資の目的と期間を明確にする
「なぜ不動産クラウドファンディングに投資するのか」という目的を明確にすることが大事です。目的によって、選ぶべきファンドの種類や運用期間が変わってきます。
例えば、以下のように目的を具体化してみましょう。
- 目的:「3年後の車の買い替え資金の一部にしたい」
- 選ぶべきファンド:運用期間が1〜2年程度の短期〜中期案件。
- 目的:「20年後の老後資金の足しにしたい」
- 選ぶべきファンド:長期的な安定が見込める案件や、短期案件を繰り返し再投資する戦略。
目的と、資金が必要になる時期(期間)を定めることで、ファンド選びの軸ができます。
運用期間が自身の資金計画と合っているかを確認することは、途中解約できないリスクを管理する上でも不可欠です。
定期的に運用状況を確認する
不動産クラウドファンディングは「ほったらかし投資」が可能ですが、完全に放置してよいわけではありません。
多くの事業者は、投資家向けに定期的な運用レポートを発行しています。これらのレポートには、物件の入居状況や収支、周辺の市況などが記載されており、自分の投資先が計画通りに運用されているかを確認する重要な手がかりとなります。
レポートに目を通すことで、不動産投資に関する知識が自然と身につきます。また、万が一、運用に問題が発生した際にも早期に状況を把握できます。
さらに、償還された資金を次のどのファンドに再投資するかを検討するためにも、常に新しいファンド情報をチェックしておく習慣をつけることが、効率的な資産運用につながります。
不動産クラウドファンディングに関するよくある質問
不動産クラウドファンディングを始めるにあたり、多くの人が抱く疑問についてまとめました。投資前の不安を解消するためにお役立てください。
Q. 元本割れした事例はある?
業界全体で見ると、元本割れの発生件数は少ないのが現状であり、一部のサービスでは、これまで元本割れが発生していない実績を公表している場合があります。
ただし、これは過去の実績であり、将来の元本保証を意味するものではありません。
不動産クラウドファンディング業界の歴史はまだ浅く、不動産不況を経験していないため、今後の市況によっては元本割れが発生する可能性は十分にあります。
また、小規模な事業者や不動産小口化商品の中には、行政処分を受けたり、償還が遅延したりした事例も報告されています。
そのため、「元本割れゼロ」という言葉を過信せず、リスクは常に存在するという前提で投資することが大事です。
Q. 確定申告は必要?
不動産クラウドファンディング(匿名組合型)で得た分配金は「雑所得」に分類されます。
会社員など年末調整を受けている給与所得者の場合、不動産クラウドファンディングの分配金を含む給与所得・退職所得以外の所得金額の合計が年間20万円を超えると、原則として所得税の確定申告が必要です。
分配金は支払い時に20.42%の税金が源泉徴収されていますが、これはあくまで仮の納税です。
確定申告を行うことで、自身の所得税率に基づいた正しい税額が計算され、源泉徴収された額との差額が調整されます。
所得状況によっては還付となる場合もありますが、逆に追加納税が発生する場合もあるため、個別の状況に応じて確認が必要です。なお、所得税とは別に住民税の申告・納税が必要になる場合があります。
年間20万円以下であれば原則として確定申告は不要ですが、住民税の申告は別途必要になるため注意が必要です。
(参考:No.1500 雑所得|国税庁)
Q. 途中解約はできない?
原則として、不動産クラウドファンディングは運用期間中の途中解約はできません。
これは、集めた資金が特定の不動産事業に投じられており、途中で資金を引き出すと事業の継続が困難になるためです。
しかし、一部のサービスでは、特定の条件下で途中解約や換金に対応しています。
例えば、「COZUCHI」では、運営会社に申請することで、手数料を支払えば換金できる場合があります。ただし、これは例外的な対応であり、すべてのサービスやファンドで可能なわけではありません。
また、不動産特定共同事業法に基づくクーリング・オフ制度により、契約成立時の書面を受け取ってから8日以内であれば、無条件で契約を解除することが可能です。
基本的には「運用期間が終了するまで資金は引き出せない」という前提で、余裕資金を使って投資することが大事です。
(参考:サービス「短期運用型」について | COZUCHI)
(参考:平成29年創設 小規模不動産特定共同事業パンフレット | 国土交通省)
まとめ

本記事では、不動産クラウドファンディングが「やめとけ」と言われる理由から、背景にあるデメリット、実際の失敗事例、そしてリスクを回避するための具体的な対策までを解説しました。
元本割れのリスクや資金が拘束される流動性の低さなど、確かに注意すべき点は存在します。
しかし、これらのリスクは、信頼できる事業者を選び、余裕資金で分散投資を行うといった対策を講じることで、十分に管理することが可能です。
少額から始められ、運用の手間がかからないというメリットは、投資初心者や本業で忙しい人にとって魅力です。
「やめとけ」という言葉に惑わされず、まずは仕組みを正しく理解し、自分にとって適切な投資手法かどうかを冷静に判断することが大切です。
本記事で紹介した判断基準や対策を参考に、後悔のない投資の第一歩を踏み出してください。
不動産クラウドファンディングのリスクを理解し、自分に合った投資か判断できましたか。
将来の資産形成に不安がある方は、一度お金のプロに相談してみるのも1つの方法です。
不動産投資が気になっているあなたへ
目的やリスク許容度に合わせてベストな資産運用を選択しましょう。マネイロは働く世代向けにお金の診断・サービスをご提供しています
▶一括投資診断:まとまったお金の運用方法がわかる
▶500万円から始める債券投資セミナー:債券の活用術がわかる
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監修

叶 温
- 税理士/宅地建物取引士/マンション管理業務主任者
不動産投資に特化した税理士。2006年に自身の投資を開始し、約20年にわたり不動産投資における税務戦略および資産形成支援に従事。購入前の段階から収益設計と節税提案を行う点を強みとする。独自に不動産投資シミュレーションソフト「REITISS」を開発し、特許を取得。これまでに多数の投資家を支援してきた実績を有する。
執筆

マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。

