マネイロ知識ゼロでも
ただしい資産運用を

社会保険料は4月から6月の給与で決まる?残業すると損するのか仕組みと対策を解説

社会保険料は4月から6月の給与で決まる?残業すると損するのか仕組みと対策を解説

制度2026/03/31

    »自分の年金、将来いくらもらえるか知りたい方へ

     「4月から6月に残業すると、社会保険料が上がって損をする」という話を聞いて、自身の給与への影響が気になっている人もいるのではないでしょうか。

    基本給は変わらないのに、秋頃から手取りが減ってしまうと、理由がわからず不安に感じるかもしれません。

    本記事では、社会保険料が決まる仕組みである「標準報酬月額」と「定時決定」について、お金の専門家がわかりやすく解説します。

    4月から6月の残業が手取りや将来の年金に与える影響、そして具体的な対策まで理解し、賢く家計を管理しましょう。

    この記事を読んでわかること
    • 社会保険料は毎年4月〜6月に支払われた給与の平均額(標準報酬月額)を基に決定されること
    • 4月〜6月の残業代が増えると9月以降の手取りは減るが、将来の年金や傷病手当金が増えるメリットもあること
    • 給与が「翌月払い」の会社では、社会保険料に影響するのは「3月〜5月」の残業であること


    社会保険料が気になるあなたへ

    老後に必要な資金を早めに把握し、計画的に準備を始めましょう。マネイロでは、今からでも間に合う老後資金づくりをサポートする無料ツールを利用いただけます。

    老後資金の無料診断:将来必要になる金額がわかる

    賢いお金の増やし方入門:貯金と投資で賢く増やす方法がわかる

    年金の基本と老後資金準備:年金を増やす方法や制度の落とし穴を学ぶ

    「4月から6月に残業すると損」と言われる理由

    「4月から6月に残業すると損」という通説は、社会保険料の金額が決定される仕組みに起因します。この期間の給与額が、その後の1年間の社会保険料を左右するため、手取り額に直接影響が出る可能性があるのです。

    この仕組みを理解するためには、「標準報酬月額」と「定時決定」という2つのキーワードが重要になります。

    社会保険料の仕組みと標準報酬月額

    会社員が給与から支払う社会保険料には、主に「健康保険料」「厚生年金保険料」「介護保険料(40歳以上)」があります。これらの保険料は、毎月の実際の給与額そのものではなく、「標準報酬月額」という基準額に保険料率を掛けて算出されます。

    ポイントの解説

    標準報酬月額とは、従業員の給与を一定の範囲で区切った等級のことです。例えば、給与が29万円から31万円の範囲内であれば、標準報酬月額は「30万円」として扱われます。給与が毎月多少変動しても、等級が変わらなければ保険料は一定に保たれるため、計算が簡素化される仕組みです。

    この標準報酬月額が高くなるほど、納める社会保険料も多くなります。

    定時決定とは何か

    標準報酬月額は、年に1度、すべての被保険者を対象に見直しが行われます。この手続きを「定時決定」と呼びます。

    定時決定では、毎年4月、5月、6月に支払われた給与の平均額を算出し、それに基づいて新しい標準報酬月額を決定します。そして、当該年の9月から翌年8月までの1年間、決定された新しい標準報酬月額が適用されるのです。

    つまり、4月から6月の3ヶ月間の給与額が、その後の1年間の社会保険料を決定づけることになります。この期間に残業が増えて給与が多くなると、標準報酬月額の等級が上がり、9月以降の社会保険料負担が増えるため、「4月から6月に残業すると損」と言われているのです。

    4月から6月の給与で決まる社会保険料の計算方法

    社会保険料の計算の基礎となる標準報酬月額は、4月から6月に支払われた給与を基に決まります。

    しかし、ひとくちに「給与」といっても、どこまでが計算の対象になるのか、また給与の「支払日」が重要である点など、正確に理解しておくべきポイントがいくつかあります。

    対象となる給与の範囲

    標準報酬月額の算定対象となる「報酬」には、基本給や労働の対価として支払われる手当だけでなく福利厚生的な手当などが幅広く含まれます。具体的には、以下のようなものが該当します。

    • 基本給
    • 残業手当(時間外手当)
    • 通勤手当(交通費)
    • 住宅手当
    • 家族手当
    • 役職手当

    一方で、以下のものは報酬に含まれません。

    • 賞与(年3回以下の支給)
    • 結婚祝金や出産祝金などの慶弔見舞金
    • 出張旅費(実費弁償的なもの)
    • 退職金

    通勤手当も報酬に含まれる点は見落としがちです。例えば、4月に6ヶ月分の定期代がまとめて支給された場合、1ヶ月あたりの額を算出して4月から6月の各月給与に加算します。

    (参考:算定基礎届の記入・提出ガイドブック|令和7年度

    支払日基準の重要性

    定時決定で使われる給与額は、「何月分の労働に対する給与か」ではなく、「何月に支払われた給与か」という支払日基準で判断されます。

    例えば、給与の締め日が月末で、支払日が翌月25日の会社(翌月払い)の場合、4月25日に支払われる給与は「3月の労働」に対するものです。

    この場合、定時決定の対象となるのは以下のようになります。

    • 4月に支払われた給与(=3月の労働に対する給与)
    • 5月に支払われた給与(=4月の労働に対する給与)
    • 6月に支払われた給与(=5月の労働に対する給与)

    したがって、翌月払いの会社では、3月・4月・5月の残業時間が、9月以降の社会保険料に影響を与えることになります。

    4月から6月に支払われる給与に、どの期間の残業が含まれるかを正確に把握することが欠かせません。

    標準報酬月額の等級表と保険料率

    4月から6月に支払われた給与の平均額が算出できたら、平均給与額を「保険料額表」に当てはめて、自身の標準報酬月額の等級を確認します。

    例えば、全国健康保険協会(協会けんぽ)東京支部の令和7年度の保険料額表を見ると、給与の平均額が29万円以上31万円未満の場合、標準報酬月額は「30万円」となります。

    社会保険料は、この標準報酬月額に各保険料率を掛けて計算されます。

    • 健康保険料:標準報酬月額 × 健康保険料率
    • 厚生年金保険料:標準報酬月額 × 厚生年金保険料率

    健康保険料率は加入している健康保険組合によって異なります。また、全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入している場合、都道府県によって保険料率は異なります。

    一方、厚生年金保険料率は全国一律(18.3%)です。算出された保険料は、会社と従業員で半分ずつ負担(労使折半)するため、給与から天引きされるのは保険料の半額となります。

    (参考:令和8年度保険料額表|都道府県毎の保険料額表|保険料率|協会けんぽ


    社会保険料が気になるあなたへ

    老後に必要な資金を早めに把握し、計画的に準備を始めましょう。マネイロでは、今からでも間に合う老後資金づくりをサポートする無料ツールを利用いただけます。

    老後資金の無料診断:将来必要になる金額がわかる

    賢いお金の増やし方入門:貯金と投資で賢く増やす方法がわかる

    年金の基本と老後資金準備:年金を増やす方法や制度の落とし穴を学ぶ

    4月から6月に残業すると本当に損する?

    4月から6月の残業によって社会保険料が増えると、短期的には手取りが減るため「損」と感じるかもしれません。

    しかし、長期的な視点で見ると、一概に損とばかりは言えない側面もあります。将来の給付が増えるメリットと、手取りが減るデメリットの両方を理解して判断することが大切です。

    手取りが減る仕組み

    4月から6月の残業代が増加し、標準報酬月額の等級が上がると、9月分(多くの場合は10月支給の給与)から1年間の社会保険料が増えます。これにより、毎月の給与から天引きされる金額が増え、手取り額が減少します。

    ポイントの解説

    例えば、標準報酬月額が30万円から34万円に2等級上がった場合、本人負担分の社会保険料は月額で約5600円増加します。年間では約6万7000円の負担増となり、手取り額に直接影響します。

    この短期的な手取りの減少が、「残業すると損」と言われる主な理由です。

    将来受け取る年金額が増える

    社会保険料の負担が増える一方で、将来受け取る年金額が増えるというメリットがあります。老後に受け取る「老齢厚生年金」の額は、現役時代の標準報酬月額を基に計算されます。

    つまり、標準報酬月額が高い期間が長ければ長いほど、納める厚生年金保険料も多くなり、その分、将来の年金受給額が増加するのです。

    短期的な手取り額だけでなく、長期的な視点で老後の生活設計を考える上では、標準報酬月額が高いことは一概にデメリットとは言えません。支払った保険料は、将来の自分への仕送りとも考えられます。

    傷病手当金や出産手当金も増える

    将来の年金だけでなく、病気や怪我、出産で会社を休んだ際に受け取れる手当金も増額されます。

    • 傷病手当金:業務外の病気や怪我で働けない期間の生活を保障する制度
    • 出産手当金:出産のために会社を休んだ期間の生活を保障する制度

    これらの手当金の1日当たりの支給額は、いずれも標準報酬月額を基に原則として「支給開始日以前の12ヶ月間の標準報酬月額の平均 ÷ 30日 × 2/3」という計算式で算出されます。

    したがって、標準報酬月額が高ければ、万が一の事態で働けなくなった時などの保障が手厚くなります。目先の手取り額だけでなく、リスクへの備えという観点も欠かせません。

    残業代そのものは収入として得られる

    そもそも、残業代は労働の対価として支払われるものであり、残業をすればその分だけ収入は増加します。社会保険料の負担は増えますが、残業代の増加分がすべて保険料に消えるわけではありません。

    ポイントの解説

    例えば、残業代が5万円増えて社会保険料が約5600円増えたとしても、差額の約4万4400円は収入として手元に残ります(所得税・住民税は別途考慮が必要です)。

    社会保険料の負担増を気にするあまり、本来得られるはずの収入を過度に抑制してしまうのは本末転倒になる可能性もあります。業務の必要性や自身のライフプランと照らし合わせ、バランスを考えることが大切です。

    社会保険料を抑えるための現実的な対策

    社会保険料が上がることのメリットを理解しつつも、「やはり目先の手取りを少しでも増やしたい」と考える方もいるでしょう。ここでは、社会保険料の負担を抑えるための、より現実的な対策をいくつか紹介します。

    ただし、いずれも自身の状況や会社の制度によって実行可能性が異なるため、注意が必要です。

    残業を控えることは現実的か

    直接的な対策は、定時決定の対象となる期間(4月〜6月、または翌月払いの場合は3月〜5月)の残業を意識的に減らすことです。

    しかし、業務の繁閑は個人の意思だけでコントロールできない場合が多く、現実的ではないかもしれません。また、残業を減らせば収入そのものが減少します。

    もし業務量の調整が可能であれば、対象期間の業務を他の月に分散させる、繁忙期が避けられない場合は代休を取得して総支給額を調整する、といった方法が考えられます。

    ただし、これらの調整は、会社の業務に支障が出ない範囲で、かつ上司や同僚の理解を得ながら進める必要があります。

    昇給時期の調整

    これは従業員個人ではなく、企業側の裁量となりますが、昇給のタイミングを調整することも有効な手段です。

    多くの企業では4月に昇給が行われますが、昇給後の給与が4月、5月、6月の報酬に反映されると、定時決定で標準報酬月額が上がりやすくなります。

    ポイントの解説

    もし企業が従業員の急激な社会保険料負担増を考慮する場合、昇給時期を7月以降に設定するといった選択肢も考えられます。7月に昇給した場合、昇給の影響が定時決定に反映されるのは翌年になるため、従業員は1年近く昇給後の手取り額を維持しやすくなります。

    ただし、昇給時期の変更は賃金制度全体の変更に関わるため、社会保険料の抑制を目的に人事・給与制度を調整する企業はあまりないでしょう。

    標準報酬月額が変わるその他のタイミング

    標準報酬月額は、年に1度の「定時決定」だけでなく、特定の条件下で随時見直されることがあります。これにより、給与の実態と保険料負担が乖離することを防いでいます。

    代表的な2つの改定タイミングについて解説します。

    随時改定(月額変更)

    昇給や降給などによって、毎月固定的に支払われる賃金(固定的賃金)に変動があった場合、「随時改定」によって標準報酬月額が見直されます。これは「月額変更(月変)」とも呼ばれます。

    随時改定は、以下の3つの条件をすべて満たした場合に行われます。

    1. 昇給・降給などで基本給や役職手当などの固定的賃金に変動があった。
    2. 変動後の3ヶ月間の給与平均から算出した標準報酬月額が、従来の等級と比べて2等級以上変動した。
    3. 変動後の3ヶ月間すべてで、支払基礎日数が17日以上ある。

    この条件を満たすと、会社は「月額変更届」を日本年金機構や健康保険組合などに提出し、賃金変動があった月から4ヶ月目に新しい標準報酬月額が適用されます。残業代のような毎月変動する賃金のみの増減では、随時改定の対象にはなりません。

    育児休業等終了時改定

    育児休業から復帰した際に、時短勤務などで給与が下がった従業員の負担を軽減するための制度です。

    育休復帰後の3ヶ月間の給与平均が、育休前の標準報酬月額と比べて1等級以上下がった場合に、本人の申し出(勤務先の「月額変更届」提出は必要)によって標準報酬月額を見直すことができます。

    この制度を利用することで、給与が下がったにもかかわらず高い社会保険料を払い続けるという状況を避けることができます。改定後の標準報酬月額は、育休終了月の翌月から数えて4ヶ月目に反映されます。

    対象となる場合は、会社の人事・労務担当者に申し出るようにしましょう。同様の制度(産前産後休業終了時報酬月額変更)は産前産後休業からの復帰時にも適用されます。

    社会保険料に関するよくある質問

    4月から6月の給与と社会保険料に関して、多くの人が抱く疑問についてQ&A形式でお答えします。

    4月から6月の給与が上がると税金も上がる?

    はい、税金も上がります

    所得税については、給与アップに伴い課税所得も高くなるため、4月から税額も高くなります。住民税については、前年の所得を基に税額を計算するため、源泉徴収される税額は翌年の6月から上がります。

    社会保険料は9月または10月からアップするなど給与の変動の影響を受ける時期は異なりますが、給与が上がると税金も社会保険料も高くなります。

    標準報酬月額はいつから適用される?

    定時決定によって見直された新しい標準報酬月額は、当該年の9月分から適用されます。

    ただし、実際に給与から新しい保険料が天引きされるタイミングは、会社の徴収方法によって異なります。

    • 翌月徴収(多くの企業):9月分の保険料が10月支給の給与から天引きされます。
    • 当月徴収:9月分の保険料が9月支給の給与から天引きされます。

    そのため、「10月の給与明細を見て手取りが減っていて驚いた」というケースが多く見られます。自身の会社がどちらの方式か、給与明細などで確認しておくとよいでしょう。

    賞与も標準報酬月額に含まれる?

    いいえ、年3回以下の賞与(ボーナス)は、標準報酬月額の算定基礎には含まれません。

    賞与には、「標準賞与額」という別の基準が適用されます。これは、賞与の支給額から1000円未満を切り捨てた額のことで、賞与が支払われる都度、賞与額に対して社会保険料が計算され、天引きされます。

    したがって、4月から6月の間に賞与が支給されても、それが定時決定に影響することはありません。

    注意点

    ただし、年4回以上支給される賞与は、給与(報酬)の一部とみなされ、標準報酬月額の算定対象に含まれるため注意が必要です。

    まとめ

    本記事では、4月から6月の給与が社会保険料に与える影響について、仕組みから対策まで詳しく解説しました。

    • 社会保険料は4月〜6月に支払われた給与の平均(標準報酬月額)で決まる
    • 決定した保険料は9月から翌年8月まで1年間適用される
    • 残業増で手取りは減るが、将来の年金や手当金が増えるメリットもある
    • 給与が「翌月払い」の場合、影響するのは「3月〜5月」の残業

    「4月から6月に残業すると損」という話は、社会保険料が上がるという意味で間違いとは言えませんが、残業代が増える分、手取り額は増えることもあります。

    また、社会保険料が上がると将来の年金額や社会保険の給付が増えるなどのメリットもあるため、目先の損得だけでなく、長期的な視点で自身のライフプランに合った働き方を考えることが大切です。

    まずは自身の給与明細を確認し、「給与締切日と支払日(給与支給サイクル)」や現在の標準報酬月額を把握することから始めてみましょう。

    社会保険料の仕組みを理解することは、将来の資産形成を考える第一歩です。自身の将来の年金額がいくらになるか、一度シミュレーションしてみてはいかがでしょうか。

     »自分の年金、将来いくらもらえるか知りたい方へ|簡単無料診断


    社会保険料が気になるあなたへ

    老後に必要な資金を早めに把握し、計画的に準備を始めましょう。マネイロでは、今からでも間に合う老後資金づくりをサポートする無料ツールを利用いただけます。

    老後資金の無料診断:将来必要になる金額がわかる

    賢いお金の増やし方入門:貯金と投資で賢く増やす方法がわかる

    年金の基本と老後資金準備:年金を増やす方法や制度の落とし穴を学ぶ

    ※本記事の内容は記事公開時や更新時の情報です。現行と期間や条件が異なる場合がございます

    ※本記事の内容は予告なしに変更することがあります。予めご了承ください

    オススメ記事

    監修
    西岡 秀泰
    • 西岡 秀泰
    • 社会保険労務士/ファイナンシャルプランナー

    同志社大学法学部卒業後、生命保険会社に25年勤務しFPとして生命保険・損害保険・個人年金保険販売を行う。保有資格は社会保険労務士と2級FP技能士。2017年4月に西岡社会保険労務士事務所を開設し、労働保険・社会保険を中心に労務全般について企業サポートを行うとともに、日本年金機構の年金事務所で相談員を兼務。

    記事一覧

    執筆
    マネイロメディア編集部
    • マネイロメディア編集部
    • お金のメディア編集者

    マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。

    一覧へもどる