米国債は今後どうなる?金利・格下げ・インフレリスクから見た今後の見通しと投資戦略
>>どんな投資が向いている?3分でわかる無料診断
2024年後半から2025年現在、米国債をめぐる環境は大きく変化しています。
FRBの政策金利の動向や米国のインフレ率、そして財政赤字の拡大による「格下げリスク」など、投資家にとって注目すべき材料は数多くあります。
本記事では、米国債の仕組みをおさらいしつつ、2025年以降の見通しと投資戦略を投資の専門家がわかりやすく解説します。
- 米国債の今後の見通しを考える上で必要な視点は「金融政策(インフレ動向)」「国の信用力」
- 2025年以降は「インフレ再燃」「財政悪化による格下げリスク」が懸念されている。そのため、今後の見通しは不透明な状態
まとまったお金の運用方法が気になるあなたへ
マネイロは働く世代向けにお金の診断・サービスを提供しています
▶3分投資診断:自分に合う投資がわかる
▶500万円から始める債券投資セミナー:まとまったお金の運用方法がわかる
▶オンライン無料相談:専門家にスマホで直接相談
米国債は今後どうなる?ポイントは2つ
米財政悪化の懸念や世界的な米国不信の高まりから、「米国債は今後どうなる?」と気になっている人も多いでしょう。
米国債の今後の見通しを考える上で、おさえておくべき2つの重要な視点があります。
①金融政策(インフレ動向)
米国債の価格や利回りに大きな影響を与えるのが、FRB(米国の連邦準備制度理事会)が決定する政策金利の動向です。
2022年以降、米国ではインフレ抑制のために相次いで利上げが行われましたが、2024年後半以降になると、インフレが抑制されてきているとの見方から、利下げへ転換しています。
しかし、2025年に入ると、FRBはトランプ大統領が打ち出した関税政策が世界的な混乱を招いていることに警戒感を示し、政策金利を据え置いています。
そのため、現時点では「利下げペースは従来より鈍化し、政策金利は現時点の水準近辺で維持されやすい」との見方が広がっています。
インフレは金利を引き上げることで抑制されますが、その過程で既存の債券の価格は下がり、利回りは上昇します。
インフレと債券価格(利回り)は密接に関連しているため、今後のインフレ指標や財政政策の動向には注意が必要です。
②国の信用力
大手格付け会社であるムーディーズ・レーティングスは今年の5月、米政府の財政状況の悪化を理由に米国債の格付けを「AAA」から「Aa1(AA+相当)」に引き下げると発表しました。
これは、財政赤字や歳出拡大が継続していることに対する警鐘と受け止められています。
とはいえ、格下げのニュースが出た後も米国債は「信用度の高い資産」として保有され続けており、直ちに市場が混乱するような事態にはなっていません。
一部の機関投資家では運用ルール上、格下げによって一定の売却が行われるケースもあります。しかし、市場全体への影響は限定的と見られています。
ただし、米国の財政赤字が拡大すれば、米国債のさらなる格下げを招き、リスクが高まる可能性もあります。
米国債の今後の見通し
米国債の価格や利回りは、金利、インフレ率、財政赤字、信用格付けの変化など、さまざまな要因で変動します。
米国債は世界的に「安全資産」とされ、市場からの信頼は根強くあります。
一方で、2025年以降は、インフレ再燃・財政悪化による格下げリスクが強く意識されており、今後の見通しは不透明です。
今後も金利や経済の動きに注目しながら、「米国の財政健全性が今後どうなるか」を冷静に見極める姿勢が大切です。
知っておきたい債券価格と金利動向の関係
米国債の今度の見通しを知るにあたって、米国の金利動向に注視する必要があります。
あらためて、債券価格と金利動向の関係について理解しましょう。
金利と債券価格の動き
債券価格と金利(利回り)は逆の関係にあります。例えば、新たに発行される債券の金利が上昇すると、既存の債券の魅力は相対的に下がり、価格が下落します。
つまり、FRBが金利を引き上げれば、利回りの高い新発債に資金が流れ、既に発行されている債券は値下がりします。
一方、利下げ局面では既存の高利回り債券の価値が上がるため、既発債の債券価格は上昇します。
このように、米国債の価格変動は金利と連動するため、今後の投資戦略を考えるうえで「金利の動向を読む力」が不可欠です。
参考)残存年数による価格変動の違い
債券は「残存年数(満期までの期間)」が長いほど、金利変動による価格の影響を大きく受けます。
例えば、10年満期の債券と30年満期の債券がある場合、金利が1%変動した時の価格変動幅は30年債の方が大きくなります。
これは、「将来受け取る利息や元本の価値」が金利に影響されやすく、残存年数が長い債券ほど、長期保有から生じるリスクが大きくなるためです。
一方、短期債は金利変動の影響が小さく、安定的に運用できますが、利回りは低くなりがちです。
債券投資のリスクを抑えるには、投資スタイルに合わせて長期債と短期債を組み合わせる「期間の分散」もポイントになります。
債券の格下げリスク・金利上昇リスクへの備え方
債券は比較的安全な資産ですが、債券の格付けが引き下げられたり、金利上昇により債券価格が下落する可能性があります。
リスクに備えるための具体的な方法を紹介します。
満期まで保有する
金利が上昇して一時的に債券価格が下がっても、満期まで持ち続ければ額面通りに元本が戻り、利子も受け取れます。
老後資金や教育資金など、「◯年後に確実に使うお金」があり、お金を使うまでの期間と償還期間が合致する債券が購入できれば、満期まで保有する方が良いでしょう。
分散投資を行う
金利上昇や格付けの引き下げに備えるには、分散投資をおこなって、リスクを分散させることも大切です。
具体的には以下のような分散が効果的です。
- 満期の異なる債券を組み合わせる(期間分散)
- 他国の国債や社債などもポートフォリオに加える(地域・発行体の分散)
- 債券以外の資産(株式・リートなど)も取り入れる(資産クラスの分散)
こうした分散によって、金利変動や格下げによる影響を和らげることができます。
米国債の今後が不安な時はプロに相談
米国債に限らず、債券投資には金利リスク、為替リスク、信用リスクなど、複数のリスクがあります。
これらのリスクを踏まえた上で、老後の資産形成の手段として米国債を検討している場合は、長期運用を目指して運用戦略を立てることが必要になります。
自分だけで判断するのが不安な場合は、金融機関やIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)などに相談するのも有効な手段といえるでしょう。
マネイロに相談するという選択肢も
働く世代向けに金融サービスを提供している「マネイロ」には、多数のIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)が在籍しています。
IFAは、特定の金融機関に属さないアドバイザーですから、相談者のニーズに合わせて、さまざまな債券を提案できます。
また、SBI証券と提携しているため、ご提案できる商品数が多いのも特徴です。
- まとまったお金を債券で安定運用したい
- 債券を今買うべきタイミングか相談したい
- 為替リスクも含めた資産全体のバランスを見直したい
といった悩みに対し、購入の相談からアフターフォローまで、1人のアドバイザーが責任を持って対応します。
相談は何回でも無料です。まずは気軽に話をしてみるのも一つの方法です。
米国債を買うベストなタイミングは?
米国債に限らず、債券への投資は「いつ買うか」の見極めも大切なポイントです。
タイミングを見極めることで、利回りの確保や価格変動リスクの軽減につながります。
売買タイミングを決める際の要素
米国債の購入を検討する際には、以下について確認する必要があります。
金利動向
米国債の価格は、金利の変動に大きく左右されます。一般的に、金利が上昇すると既発債券の価格は下落し、利回りが上昇します。
一方、金利が下がる局面では、既存の米国債の価格が上昇しますが、利回りは低下します。
米国の政策金利や長期金利の動向は、今後の投資判断に直結するため、常に注視することが大切です。
政治・経済状況
米国の財政赤字拡大や政治的な不安定さは、米国債の信頼性に影響します。
例えば、政府機関の閉鎖や債務上限問題等が生じた場合、格付け機関による評価に影響を与え、金利や価格の変動を引き起こす要因となります。
政権交代や予算政策の転換にも注意が必要です。
インフレ動向
FRBはインフレ率2%を目標に政策金利を調整していますが、現在のように物価が上昇し、インフレが続くと、FRBは利上げを検討することになります。
金利が上昇すると、受け取る利息の実質的価値は目減りし、債券価格は下落しやすくなります。
金利変動は債券価格の変動要因となるので、インフレの動向にも注視しておくことが必要です。
為替動向
円建ての米国債に投資すれば、為替の影響は受けませんが、個人が購入できる外国債券は、ドル建てなど、為替リスクのある債券がほとんどです。
そのため、ドル高・円安が進んだ場合、為替差益が得られますが、ドル安・円高になると利益が減少し、損失が生じる可能性もあります。
米国債の魅力が増す局面でも、「自分は円高リスクにどこまで耐えられるか」を見極めることが大切です。
債券価格が下がったタイミングで買う
金利上昇局面は、債券価格が下落するので、債券を割安で購入できるチャンスです。
特に長期債は価格変動の幅が大きく、金利がピークに近づいたタイミングで購入するのもひとつの方法です。うまくいけば、高利回りの債券を購入できるでしょう。
ただし、その後の金利動向や債券市場は、債券購入後も変化する可能性があります。分散投資や満期まで保有するなどして、リスクを回避する方法を検討しておくことも大切です。
まとめ
2025年現在、米国のインフレ懸念や財政不安の高まりなどにより、安全資産である米国債への評価は、時代とともに変化しつつあると言わざるを得ません。
とはいえ、債券自体は分散投資には欠かせない金融商品のひとつです。保有中は価格変動があるものの、満期まで保有すれば額面金額が返還される安心感もあります。
中長期の安定運用を目指す場合は、米国債投資も検討してみましょう。
まとまったお金の運用方法が気になるあなたへ
マネイロは働く世代向けにお金の診断・サービスを提供しています
▶3分投資診断:自分に合う投資がわかる
▶500万円から始める債券投資セミナー:まとまったお金の運用方法がわかる
▶オンライン無料相談:専門家にスマホで直接相談
※本記事の内容は記事公開時や更新時の情報です。現行と期間や条件が異なる場合がございます
※本記事の内容は予告なしに変更することがあります。予めご了承ください
オススメ記事
監修
土屋 史恵
- ファイナンシャルプランナー/金融ライター/編集者
神戸市外国語大学卒業後、外資系生命保険会社、都市銀行にてリテール営業、法人営業に携わる。遺言信託など資産承継ビジネスに強み、表彰歴あり。その後は長年の金融機関勤務経験を活かし、金融メディアに転職。記事執筆や編集などを担当。現在はフリーランスとして活動中。AFP、FP2級、証券外務員一種を保有。
執筆
マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。