NISA(つみたて投資枠)の金額変更にデメリットはある?変更時の注意点と判断基準
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NISAのつみたて投資枠を利用している中で、「積立金額を変更したいけれど、デメリットはあるのだろうか」と疑問に思ったことはありませんか?ライフステージの変化や収入の変動により、積立額の見直しが必要になる場面は少なくありません。
本記事では、NISA(つみたて投資枠)の積立金額を変更する際の注意点や、減額・増額を判断するための具体的な基準について、分かりやすく解説します。適切な金額変更で、無理なく賢く資産形成を継続しましょう。
- 金額変更を検討する具体的なタイミング
- 金額変更のメリットと注意すべきポイント
- 減額・増額それぞれの判断基準と手続きの流れ
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NISA(つみたて投資枠)の金額変更を考えるのはどんな時?
NISA(つみたて投資枠)の積立金額の変更を検討する主な場面は、家計の状況が変化した時です。具体的には、積立の継続が難しくなった場合と、逆に投資に回せる資金が増えた場合の2つのケースが考えられます。
収入や支出の変化で積立が厳しくなった
転職や休職による収入の減少、あるいは結婚、出産、子の進学、住宅購入といったライフイベントに伴う支出の増加で、毎月の積立が家計の負担になることがあります。
そのような状況では、無理に積立を継続すると家計が破綻しかねません。資産形成は長期的に継続することが重要であるため、積立を完全に停止するのではなく、まずは負担のない金額まで減額することを検討するのが賢明な判断です。
投資余力が増えて増額を検討している
昇進や転職による収入の増加、あるいは子どもの独立などで家計に余裕が生まれた場合、積立額を増やす絶好の機会です。投資に回せる資金(投資余力)が増えた分を積立に充てることで、資産形成のペースを加速させることができます。
NISAの非課税投資枠は、その年に使い切らなかった分を翌年に繰り越すことはできません。そのため、資金に余裕がある場合は、年間の非課税枠を最大限活用するために増額を検討することが推奨されます。
NISA(つみたて投資枠)の金額変更に大きなデメリットはない
結論からいうと、NISA(つみたて投資枠)の積立金額を変更すること自体に、制度上の大きなデメリットやペナルティは存在しません。むしろ、家計の状況に合わせて柔軟に見直せる点が、長期的な資産形成を続ける上での利点となります。ただし、いくつか知っておくべきポイントがあります。
金額変更による手数料やペナルティは一切ない
NISA口座で毎月の積立金額を変更する際に、金融機関から手数料を請求されたり、何らかのペナルティが課されたりすることはありません。
多くの金融機関では、オンラインで簡単な手続きだけで、いつでも自由に金額を変更できます。その柔軟性が、NISAが長期的な資産形成ツールとして利用しやすい理由の1つです。家計の状況に合わせて、手数料を気にすることなく積立額を調整することが可能です。
非課税枠は使い切れなくても翌年に枠が増えるわけではない
金額変更における注意点として、年間の非課税投資枠の扱いです。つみたて投資枠の年間非課税投資枠は120万円ですが、もし積立額を減額した結果、その年の投資額が120万円に満たなかったとしても、使い残した非課税枠を翌年以降に繰り越すことはできません。
例えば、ある年に80万円しか投資しなかった場合、残りの40万円分の枠はその年限りで消滅します。「翌年の非課税枠が160万円に増える」ということはありません。
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NISA(つみたて投資枠)の金額変更で注意すべきポイント
NISAの積立金額を変更する手続きは簡単ですが、いくつか注意すべき点があります。これらのポイントを事前に把握しておくことで、意図した通りに設定変更を行い、長期的な投資計画を円滑に進めることができます。
変更のタイミングと反映時期を確認する
積立金額の変更を申し込む際には、各金融機関が設定している申込締切日を必ず確認しましょう。締切日を過ぎてから手続きを行うと、変更内容が反映されるのが翌々月の買付からになる場合があります。
例えば、「来月から積立額を減らしたい」と考えていても、手続きのタイミングによっては来月の引き落とし額は変更前のまま、という事態になりかねません。家計の都合で減額を急ぐ場合は、早めに手続きを行うことが欠かせません。具体的な締切日は、利用している金融機関のWebサイトなどで確認するとよいでしょう。
ボーナス設定を活用している場合の注意点
毎月の積立に加えて、年に2回まで特定の月に積立額を増額できる「ボーナス設定」を利用している場合、毎月の積立額を変更すると年間の投資合計額が変動し、非課税枠(つみたて投資枠:年間120万円)を超過したり、逆に使い切れなかったりする可能性があります。
また、クレジットカード決済による積立では、基本的にボーナス設定が利用できない金融機関がほとんどです。 年度の途中で枠を使い切るために増額したい場合、クレカ積立分とは別に「証券口座(現金)決済」でのボーナス設定を追加で行う必要があるなど、手続きが複雑になるケースがあります。変更時は「年間合計シミュレーション」等の機能を活用し、枠の計算ミスを防ぎましょう。
減額・停止する場合は投資継続の重要性を再確認
積立金額を減額したり、一時的に停止したりする際に一番注意すべきは、市場が下落しているタイミングでの判断です。価格が下がっている時に積立を減らす・やめるという行為は、安く購入できる機会を自ら手放すことになりかねません。これは、定期的に一定額を投資することで購入単価を平準化する「ドルコスト平均法」の利点を損なう行動です。
過去のデータを見ても、長期的に分散投資を継続した場合、元本割れのリスクは低減する傾向にあります。市場の一時的な下落に動揺して投資を中断してしまうと、その後の回復局面の恩恵を受けられず、結果的に資産を増やす機会を逃すことになります。やむを得ない事情がない限り、長期的な視点で投資を継続することが必須です。
≫NISAはいくら積み立てればいい?あなたのケースでシミュレーション
減額・停止すべきケースと判断基準
NISAは長期継続が基本ですが、家計の状況によっては積立額の減額や一時的な停止が適切な判断となる場合があります。どのような状況で、どのような基準をもって見直しを検討すべきか、具体的なケースを解説します。
生活防衛資金が不足している
生活防衛資金とは、病気や失業といった不測の事態に備えるための緊急用の資金のことで、一般的に生活費の6ヶ月程度が目安とされます。その資金が十分に確保できていない状況で投資を続けるのはおすすめできません。
万が一の際に投資資産を取り崩すことになると、市場が下落しているタイミングでの売却を余儀なくされ、損失を被る可能性があります。まずは生活防衛資金の確保を最優先し、それが不足している場合はNISAの積立を減額または一時停止して、貯蓄に回すことを検討しましょう。
毎月の積立が家計を圧迫している
NISAでの積立投資は、あくまで余剰資金で行うのが大原則です。食費や光熱費を切り詰めるなど、日々の生活に無理が生じている状態で積立を続けるのは健全ではありません。
毎月の積立が家計を圧迫していると感じる場合は、ためらわずに積立額を見直しましょう。
例えば、月5000円や1000円といった少額でも、長期的に継続することに意義があります。まずは家計に負担のかからない、無理なく続けられる金額に設定し直すことが大切です。
近い将来に大きな出費が予定されている
数年以内に住宅購入の頭金や子どもの進学費用、結婚資金など、まとまった金額の支出が確定している場合、その資金をNISAで準備するのは避けるべきです。
NISAは元本保証のない金融商品で運用するため、いざ資金が必要になったタイミングで市場が下落し、元本割れしている可能性があります。短期的に使う予定のあるお金は、リスクのある投資ではなく、預貯金など安全性の高い方法で確保するのが基本です。
そのような場合は、NISAの積立を一時的に減額・停止し、その分を貯蓄に回して確実に資金を準備することを優先しましょう。
増額すべきケースと非課税枠の活用法
家計に余裕が生まれた際は、積立額を増やすことで資産形成を加速させるチャンスです。非課税枠を有効に活用しながら、無理なく投資額を増やすための具体的な方法と注意点を解説します。
投資余力があり非課税枠を使い切りたい
昇給やボーナス、あるいは固定費の見直しによって毎月の余剰資金が増えた場合、積立額を増額する良いタイミングです。年間の非課税投資枠(つみたて投資枠は120万円)を使い切れていない状況であれば、増額を検討しましょう。
NISAの非課税メリットは、その年の投資枠を最大限活用することで効果が高まります。「使い残した枠の分、翌年の投資枠が増える」ということはないため、投資余力があるなら、非課税枠を上限まで使い切ることを目標に積立額を設定するのが効率的です。
投資余力がある場合、非課税枠を使い切るための増額は有効な手段です。しかし、年末(12月)に変更を行う場合は、「その買付が今年の枠になるか、来年の枠になるか」を必ず確認しましょう。
NISAの年間枠は「受渡日」が基準となります。投資信託の場合、注文から受渡まで数日かかるため、12月中旬以降の注文は「来年のNISA枠」として扱われる可能性が高くなります。 特にクレジットカード積立の増額変更は、反映が翌月以降になるため、今年の枠を使い切りたい場合は、証券口座決済でのボーナス設定を駆使し、12月上旬〜中旬までに手続きを完了させる必要があります。
ボーナス設定を活用して効率的に積立
毎月の積立額を増やすのが難しい場合でも、ボーナス設定(増額設定)を活用することで、年間の非課税枠を効率的に使い切ることが可能です。これは、年に2回まで特定の月に積立額を上乗せできる機能です。
例えば、毎月5万円の積立(年間60万円)に加えて、夏と冬のボーナス月にそれぞれ30万円ずつ増額設定すれば、合計で年間120万円の非課税枠をぴったり使い切ることができます。
年の途中からNISAを始めた場合など、毎月の積立だけでは非課税枠が余ってしまうケースでも、その設定を活用することで枠を無駄なく利用できます。
増額時の注意点:無理のない範囲で設定する
積立額を増額する際は、非課税枠を使い切ることだけを目的とせず、あくまで家計に無理のない範囲で設定することがポイントです。
一時的な収入増やボーナスをあてにして積立額を大幅に増やすと、翌年以降の継続が困難になる可能性があります。投資の基本は、生活に必要な資金を確保した上での「余剰資金」で行うことです。
増額後も安定して積立を継続できるか、急な出費にも対応できるかを考慮し、慎重に金額を決定しましょう。長期的な継続が、最終的な資産形成の成功につながります。
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NISA(つみたて投資枠)の金額変更手続きの流れ
NISA(つみたて投資枠)の積立金額の変更は、ネット証券を利用している場合、オンラインで簡単に手続きを完了できます。ここでは、一般的な手続きの流れと、注意すべき締切日について解説します。
主要ネット証券での変更手順
多くのネット証券では、ウェブサイトや専用アプリから数ステップで金額変更が可能です。具体的な画面構成は金融機関によって異なりますが、おおむね以下の流れで手続きを進めます。
- 証券会社のウェブサイトまたはアプリにログイン
- メニューから「NISA」や「投資信託」、「積立設定」などの項目を選択
- 現在設定している積立プランの一覧から、変更したい銘柄を選択
- 「変更」や「設定変更」といったボタンをクリック
- 新しい積立金額を入力し、内容を確認して設定を完了
手続き自体は数分で完了することがほとんどです。手軽に変更できるため、家計の状況に合わせて柔軟に見直しを行いましょう。
変更手続きの締切日と反映タイミング
積立金額の変更手続きで一番重要なのが、各金融機関が定める締切日です。その日までに手続きを完了しないと、変更内容の反映が翌月以降にずれ込むことになります。
締切日は、引き落とし方法(証券口座、銀行口座、クレジットカード)や買付日によって異なります。例えば、「毎月25日に買付、証券口座からの引き落とし」の場合、「締切日は毎月10日」のように設定されています。
意図したタイミングで積立額を変更するためには、事前にご自身の金融機関のWebサイト等で締切日を正確に確認し、余裕をもって手続きを行うことが不可欠です。減額を検討している場合は、引き落としに間に合うよう早めに確認・手続きをしましょう。
NISA(つみたて投資枠)の金額変更に関するよくある質問
ここでは、NISA(つみたて投資枠)の積立金額変更に関して、多くの方が抱く疑問についてQ&A形式で回答します。
Q. 年に何回まで金額変更できる?
積立金額の変更回数に上限はありません。理論上は毎月でも変更可能ですが、頻繁な変更は推奨されません。ドルコスト平均法の効果を安定させるためにも、家計の状況が変わったタイミングなど、必要な時に見直すのが基本です。市場の動向を見て短期的に金額を調整するのではなく、長期的な視点で一貫した積立を続けることが大事です。
Q. 一度停止したNISAの積み立ては再開できる?
はい、いつでも再開できます。積立を一時的に停止した場合でも、金融機関のWebサイトなどから再度積立設定を行うことで、いつでも再開することが可能です。手続きは、新規で積立を始める際とほぼ同じです。家計の状況が改善し、投資を再開できるようになったら、速やかに手続きを行いましょう。
Q. 金額変更すると今まで積み立てた分はどうなる?
今まで積み立てた資産には何の影響もありません。積立金額の変更は、あくまで将来の買付にのみ適用されます。過去に積み立てた投資信託などは、そのままNISA口座内で非課税で運用が継続されます。金額を変更したからといって、それまでの資産が売却されたり、課税口座に移されたりすることはありません。
まとめ
NISA(つみたて投資枠)の積立金額変更は、手数料やペナルティなしでいつでも可能であり、家計の変化に対応するための柔軟な手段です。大きなデメリットはありませんが、以下の点に注意して判断することが欠かせません。
- 減額・停止の判断基準:生活防衛資金の不足や家計の圧迫など、やむを得ない場合に限定し、市場の下落局面での感情的な判断は避ける。
- 増額の判断基準:収入増などで投資余力が生まれた際に、年間の非課税枠を有効活用するために検討する。ただし、無理のない範囲で行う。
- 手続きの注意点:各金融機関の締切日を確認し、意図したタイミングで変更が反映されるように早めに手続きを行う。
金額変更は、短期的な市場の動きに左右されるのではなく、あくまで自分のライフプランと家計状況に合わせて行うべきです。制度の柔軟性を賢く利用し、長期的な視点で無理なく資産形成を継続していきましょう。
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監修
高橋 明香
- ファイナンシャルアドバイザー/CFP®認定者
みずほ証券(入社は和光証券)では、20年以上にわたり国内外株、債券、投資信託、保険の販売を通じ、個人・法人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事。2021年に株式会社モニクルフィナンシャル(旧:株式会社OneMile Partners)に入社し、現在は資産運用に役立つコンテンツの発信に注力。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、一種外務員資格(証券外務員一種)保有。
執筆
マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。




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