
児童手当の振込先を母親にしたい場合は?受給者変更の条件と手続き方法を解説
»将来の資金は大丈夫?あなたの家庭のケースで診断
「児童手当の振込先を、家計を管理している母親の口座にしたい」と考えているご家庭は多いかもしれません。しかし、児童手当の受給者変更は、原則として簡単な手続きでは行えません。
本記事では、児童手当の振込先を母親名義に変更するための条件や具体的な手続き、注意点について詳しく解説します。正しい知識を身につけ、家庭の状況に合った対応を検討しましょう。
- 児童手当の受給者は原則として所得の高いほうの親であり、振込先は受給者本人名義の口座に限られる
- 受給者を母親に変更できるのは、離婚や離婚協議中の別居など、特定の条件を満たす場合に限られる
- 受給者変更には、父親の「受給事由消滅届」と母親の「認定請求書」の提出が必要で、手続きのタイミングが重要である
将来のお金が気になるあなたへ
今の貯金で将来資金が足りるか不安はありませんか?マネイロでは、今からでも間に合う老後資金づくりをサポートする無料ツールを利用いただけます。
▶老後資金の無料診断:将来必要になる金額がわかる
▶賢いお金の増やし方入門:貯金と投資で賢く増やす方法がわかる
▶年金の基本と老後資金準備:年金を増やす方法や制度の落とし穴を学ぶ


児童手当の振込先は「受給者名義」が原則
児童手当の振込先口座は、市区町村に受給者として登録されている保護者本人名義の口座でなければなりません。これは、手当が児童を養育する責任者に対して直接支給されるという制度の趣旨に基づいています。
そのため、家計管理の都合といった理由だけで、振込先を配偶者や子ども名義の口座に指定することは認められていません。
受給者は「所得の高いほう」が基本
児童手当の受給者となるのは、父母のうち、生計を維持する程度が高い、つまり恒常的に所得が高いほうの親です。これは、家計の主たる担い手が児童の養育責任を負うという考え方に基づいています。
共働き家庭の場合、前年の所得を比較して、どちらが受給者になるかが決まります。そのため、一般的には世帯主や所得の多い父親が受給者として登録されるケースが多くなります。
育児休業などで一時的に所得が逆転した場合でも、原則として受給者の変更は行われません。
単なる口座変更はできない理由
児童手当の振込先を、現在の受給者のまま配偶者や子どもの口座に変更することはできません。これは、手当が受給資格者本人に支払われるべきものであるためです。
したがって、「振込先を母親の口座にしたい」という希望をかなえるには、口座変更ではなく「受給者そのものを父親から母親に変更する」手続きが必要になります。
しかし、この受給者変更は、単に「家計管理がしやすいから」といった理由では認められません。後述する離婚や別居など、法律や制度で定められた特定の条件を満たす場合に限られます。
母親名義に変更できるケースとできないケース
児童手当の受給者を父親から母親に変更するには、特定の条件を満たす必要があります。ここでは、どのような場合に名義変更が認められ、どのような場合には認められないのかを具体的に解説します。
変更できるケース
児童手当の受給者を母親に変更できるのは、主に家庭の状況に大きな変化があった場合です。具体的には、以下のケースが該当します。
離婚した場合
離婚が成立し、母親が子どもを実際に養育する場合、所得にかかわらず母親が新たな受給者となります。親権の有無は関係なく、子どもと同居し、養育している事実が優先されます。
離婚協議中で別居している場合
離婚が成立していなくても、離婚協議中であり、父母が住民票上も別世帯になっている場合は、子どもと同居している親(この場合は母親)が優先的に受給できます。ただし、調停期日の呼出状など、離婚協議中であることを客観的に証明する公的な書類の提出が必要です。
受給者(父親)が海外へ単身赴任した場合
受給者である父親が海外へ移住し、日本国内に住民票がなくなると受給資格を失います。この場合、日本国内で子どもを養育する母親に受給者を変更することができます。
変更できないケース
一方で、以下のようなケースでは原則として受給者を母親に変更することはできません。
家計管理の都合など、私的な理由
「家計の管理を母親がおこなっているから」「父親が手当を使い込んでしまうから」といった家庭内の事情だけでは、受給者の変更は認められません。児童手当は、あくまで生計中心者である所得の高い親に支給されるのが原則です。
離婚協議を伴わない単なる別居
夫婦仲の悪化などが原因であっても、法的な離婚協議に入っていない単なる別居状態では、受給者の変更はできません。離婚の意思が客観的に証明できないため、生計を同一にする世帯とみなされます。
一時的な所得の逆転
母親が育児休業から復帰した、あるいは父親が転職したなどの理由で、一時的に所得が逆転しただけでは、受給者は変更されません。あくまで「恒常的に」所得が高いほうが受給者となります。
»将来の資金は大丈夫?あなたの家庭のケースで診断
受給者を母親に変更する手続きの流れ
児童手当の受給者を父親から母親に変更する場合、父親と母親がそれぞれ手続きを行う必要があります。手続きが遅れると手当が支給されない期間が発生する可能性があるため、流れを理解し、速やかに行動することが欠かせません。
父親が行う手続き
現在受給者である父親は、児童手当の受給資格がなくなったことを届け出る必要があります。
具体的には、お住まいの市区町村の窓口に「受給事由消滅届」を提出します。この届出によって、父親への児童手当の支給が停止されます。離婚などが理由で受給者を変更する場合、この手続きを父親に協力してもらうことが、スムーズな変更の第一歩となります。
母親が行う手続き
父親の受給資格が消滅した後、新たに受給者となる母親は、新規で児童手当を申請する必要があります。
お住まいの市区町村の窓口で「認定請求書」を提出します。この手続きは、子どもが生まれた時や他の市区町村から転入してきた時と同じ新規の申請です。この認定請求が受理されて初めて、母親名義の口座に児童手当が振り込まれるようになります。
手続きのタイミングと注意点
受給者変更の手続きで重要なのはタイミングです。原則として、児童手当は申請した月の翌月分から支給されます。
ただし、離婚や転出などの事由が発生した日の翌日から15日以内に母親が「認定請求」を行えば、事由が発生した月の翌月分から手当を受け取ることが可能です。この「15日ルール」を過ぎてしまうと、申請が遅れた月分の手当が受け取れなくなるため、注意が必要です。
例えば、4月10日に離婚が成立した場合、4月25日までに母親が認定請求を行えば、5月分の手当から支給されます。しかし、申請が4月26日以降になると、6月分からの支給となり、5月分の手当は受け取れません。
児童手当の支給は年6回(2月、4月、6月、8月、10月、12月)です。手続きの遅れが支給されない期間につながるため、離婚成立後や別居開始後など、事由が発生したら速やかに手続きを進めましょう。
将来のお金が気になるあなたへ
今の貯金で将来資金が足りるか不安はありませんか?マネイロでは、今からでも間に合う老後資金づくりをサポートする無料ツールを利用いただけます。
▶老後資金の無料診断:将来必要になる金額がわかる
▶賢いお金の増やし方入門:貯金と投資で賢く増やす方法がわかる
▶年金の基本と老後資金準備:年金を増やす方法や制度の落とし穴を学ぶ
手続きに必要な書類
児童手当の受給者を変更する際には、父親と母親の双方がそれぞれ書類を提出する必要があります。手続きをスムーズに進めるため、事前に必要書類を確認し、準備しておきましょう。
父親が提出する書類
現在の受給者である父親が提出する主な書類は「受給事由消滅届」です。この書類は、離婚や市外転出などにより、児童を監護しなくなった(受給資格がなくなった)ことを市区町村に届け出るためのものです。
この届出用紙は、市区町村の窓口で受け取るか、自治体のWebサイトからダウンロードできる場合があります。提出の際には、本人確認書類(運転免許証など)の提示を求められることが一般的です。
母親が提出する書類
新たに受給者となる母親は、新規申請として以下の書類を提出するのが一般的です。
- 認定請求書:市区町村の窓口やWebサイトで入手します。
- 請求者(母親)の本人確認書類:マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど。
- 請求者(母親)名義の振込先口座がわかるもの:預金通帳やキャッシュカードの写し。
- 請求者(母親)および配偶者(父親)のマイナンバーがわかるもの:マイナンバーカードや通知カードなど。
- 請求者(母親)の健康保険証の写し:加入している年金制度を確認するために必要となる場合があります。
これらの書類は、手続きを円滑に進めるために不可欠です。事前に準備しておきましょう。
自治体によって異なる書類
基本的な必要書類は全国共通ですが、状況に応じて追加の書類が必要になる場合があります。これらは自治体の判断や個々の事情によって異なります。
例えば、以下のような書類が考えられます。
- 離婚協議中であることを証明する書類:調停期日呼出状の写し、弁護士が作成した書類など。
- 別居監護申立書:受給者と子どもが別居している場合に、養育している事実を申し立てる書類。
- 住民票や戸籍謄本:家族関係や居住実態を確認するために求められることがあります。
手続きを始める前に、必ずお住まいの市区町村の担当窓口に問い合わせ、自身の状況で必要な書類一式を確認しておきましょう。
同居中に母親名義にしたい場合の対処法
離婚や別居といった特別な事情がなく、夫婦が同居している状況で「家計管理のために振込先を母親にしたい」と考える方もいるでしょう。しかし、この場合の受給者変更は簡単ではありません。ここでは、この理由と可能な対処法について解説します。
受給者変更は原則として困難
夫婦が同居しており、家庭の状況に大きな変化がない場合、児童手当の受給者を所得の低いほうの親(この場合は母親)に変更することは原則として認められません。
児童手当制度は、父母のうち恒常的に所得が高く、生計を主に維持している親を受給者と定めているためです。「家計管理を母親に任せたい」といった家庭内の都合は、制度上の変更理由には該当しないのが実情です。
生計中心者が変わった場合は相談可能
例外として、受給者変更が検討される可能性があります。それは、母親の収入が父親を上回り、この状態が今後も継続すると見込まれる場合です。
例えば、母親が昇進や転職によって恒常的に収入が増え、父親の収入を安定して超えるようになった場合、「生計中心者」が父親から母親に変わったと判断されることがあります。
ただし、育児休業からの復帰などによる一時的な収入の逆転では認められません。あくまで長期的に見て生計中心者が変わったと客観的に判断できる場合に限られます。このようなケースに該当する可能性がある場合は、お住まいの市区町村の担当窓口に相談してみましょう。
家計管理上の工夫
制度上、受給者の変更が難しい場合でも、家計管理をスムーズにするための工夫は可能です。例えば、以下のような方法が考えられます。
自動振替の設定
父親の口座に振り込まれた児童手当を、毎月決まった日に母親名義の口座や、教育費などを管理する家族共通の口座へ自動で振り替える設定をします。多くの金融機関で手数料無料の自動送金サービスが利用できます。
家族カードの活用
子どものための支出を、父親名義のクレジットカードに紐づいた家族カードで支払うようにルール化します。これにより、支出の管理がしやすくなります。
家計簿アプリの共有
夫婦で共有できる家計簿アプリを使い、児童手当の入金や支出を一緒に管理する方法も有効です。お金の流れが可視化されることで、夫婦間の認識のずれを防げます。
受給者変更時によくあるトラブルと対策
児童手当の受給者変更は、離婚が絡む場合にトラブルが発生しがちです。事前に典型的なトラブルと対策を把握しておくことで、スムーズな手続きにつながります。冷静かつ計画的に対応しましょう。
手続きが遅れて支給されない月が発生
多いトラブルが、手続きの遅れによる手当の空白期間の発生です。児童手当は、原則として申請した月の翌月分から支給されます。
例えば、離婚が成立したにもかかわらず、母親の新規申請(認定請求)が遅れると、この遅れた月分の手当は受け取れなくなってしまいます。
対策としては、離婚届の提出や別居の開始など、受給者変更の事由が発生した日の翌日から15日以内に、必ず母親が認定請求を行うことです。この「15日ルール」を守れば、事由が発生した月の翌月分から手当が支給されるため、空白期間を防ぐことができます。
離婚協議中の証明書類が用意できない
離婚は成立していないものの、協議中で別居している場合に受給者を変更するには、この事実を客観的に証明する書類が必要です。しかし、「口約束で離婚の話を進めている」だけでは、公的な証明とはみなされません。
対策としては、法的な手続きを進めている証拠を用意することです。具体的には、以下のような書類が該当します。
- 家庭裁判所における調停期日呼出状の写し
- 弁護士に依頼している場合は、この事実がわかる書類(委任状など)
- 離婚協議申し入れに関する内容証明郵便の写し
これらの書類が用意できない場合は、離婚が成立するまで受給者変更は難しくなります。手続きを進めるためにも、弁護士など専門家へ相談することを検討しましょう。
父親が協力してくれない場合
受給者変更には、現在の受給者である父親が「受給事由消滅届」を提出する必要があります。しかし、離婚協議がこじれているなどの理由で、父親がこの手続きに協力してくれないケースがあります。
対策としては、まずはお住まいの市区町村の児童手当担当窓口に相談することです。自治体によっては、母親からの申し立てと離婚協議中である証明書類があれば、父親の消滅届がなくても手続きを進められる場合があります。
また、弁護士などの専門家を通じて、父親に手続きの履行を促す方法も考えられます。児童手当は子どものための大切な資金です。1人で抱え込まず、公的な窓口や専門家の助けを借りましょう。
児童手当の振込先変更に関するよくある質問
ここでは、児童手当の振込先変更に関して、多くの人が抱く疑問についてQ&A形式で回答します。
Q. 同居中でも母親名義に変更できる?
原則として、夫婦が同居している状況で、単に家計管理の都合といった理由で受給者を所得の低い母親に変更することはできません。児童手当は、父母のうち恒常的に所得が高い「生計中心者」に支給されることが定められているためです。
ただし、母親の所得が父親を安定的に上回るようになり、生計中心者が母親に変わったと客観的に判断される場合は、変更が可能なこともあります。その際は市区町村の窓口への相談が必要です。
Q. 手続きにかかる期間は?
受給者変更の手続きにかかる期間は、書類に不備がなく、自治体の審査がスムーズに進めば、申請から1〜2ヶ月程度が目安です。
児童手当は申請した月の翌月分から支給対象となりますが、実際の振込は定例の支給月(偶数月)に行われます。例えば、4月に申請が受理された場合、5月分の手当からが対象となり、最初の振込は6月の支給日になるのが一般的です。
ただし、手続きの状況は自治体によって異なるため、詳しくは窓口で確認しましょう。
Q. 子ども名義の口座に変更できる?
できません。児童手当の振込先に指定できるのは、受給者として認定された保護者本人名義の普通預金口座のみです。
これは、手当が児童を養育する責任者に対して支給されるという制度の趣旨に基づいています。そのため、子どもの将来のために貯蓄したいといった理由であっても、子ども名義の口座を振込先に指定することは認められていません。
(参考:Q5.児童手当の振込先をこども名義の預金口座にすることはできますか?|日本年金機構)
まとめ
児童手当の振込先を母親名義にしたい場合、単なる口座変更はできず、「受給者」そのものを変更する必要があります。しかし、この受給者変更は、原則として離婚や離婚を前提とした別居、受給者の海外移住といった特定の条件を満たさなければ認められません。
手続きには、父親が「受給事由消滅届」を、母親が「認定請求書」をそれぞれ提出する必要があります。事由が発生してから15日以内に手続きを行わないと、手当が支給されない月が発生する可能性があるため、迅速な対応が求められます。
同居中に受給者変更を希望する場合は、母親の所得が恒常的に父親を上回るなど、生計中心者が変わった場合に限られます。まずは自身の状況が変更条件に当てはまるかを確認し、不明な点は市区町村の窓口に相談しましょう。
児童手当は子育て世帯にとって重要な収入源です。今後のライフプランのために、まずは将来必要な金額を客観的に把握することから始めてみましょう。
»将来の本当の不足額はいくら?あなたの家庭のケースで診断
将来のお金が気になるあなたへ
今の貯金で将来資金が足りるか不安はありませんか?マネイロでは、今からでも間に合う老後資金づくりをサポートする無料ツールを利用いただけます。
▶老後資金の無料診断:将来必要になる金額がわかる
▶賢いお金の増やし方入門:貯金と投資で賢く増やす方法がわかる
▶年金の基本と老後資金準備:年金を増やす方法や制度の落とし穴を学ぶ
※本記事の内容は記事公開時や更新時の情報です。現行と期間や条件が異なる場合がございます
※本記事の内容は予告なしに変更することがあります。予めご了承ください
オススメ記事
監修
山本 務
- 特定社会保険労務士/AFP/第一種衛生管理者
東京都練馬区で、やまもと社会保険労務士事務所を開業。企業の情報システム、人事部門において通算28年の会社員経験があるのが強みであり、情報システム部門と人事部門の苦労がわかる社会保険労務士。労務相談、人事労務管理、就業規則、給与計算、電子申請が得意であり、労働相談は労働局での総合労働相談員の経験を生かした対応ができる。各種手続きは電子申請で全国対応が可能。また、各種サイトで人事労務関係の記事執筆や監修も行っている。
執筆
マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。




