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児童手当の総額はいくら?制度改正の要点と第3子の数え方&落とし穴を解説

児童手当の総額はいくら?制度改正の要点と第3子の数え方&落とし穴を解説

制度2025/12/10
  • #教育資金
  • #既婚者

≫将来の必要額はいくら?あなたのケースで診断

児童手当総額でいくらもらえるの?そんな疑問にお答えします。児童手当は、2024年10月から拡充されていますが、「制度の変更点が複雑でよくわからない」といったお悩みもあるでしょう。

本記事では、制度改正後の児童手当の受給総額から、制度の重要な変更点、そして見落としがちな申請の注意点まで、詳しく解説します。制度を正しく理解し、教育資金など計画的な資産形成に活かしていきましょう。

この記事を読んでわかること
  • 制度改正後の児童手当の総額シミュレーション
  • 2024年10月制度改正の5つの重要なポイント
  • 総額に影響する「第3子」の正しい数え方と申請の注意点


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児童手当の総額を早見表でチェック

2024年10月からの制度改正により、児童手当の受給総額は変わりました。支給期間が高校生年代まで延長され、第3子以降への手当が増額されたことで、多子世帯ほど受給総額が大幅に増加します。

以下では、子どもが生まれた時点から高校生年代の終わり(18歳到達後の年度末)まで、満額を受け取った場合の総額を紹介します。実際の家庭状況と照らし合わせながら、将来受け取れる金額の目安を確認してみましょう。

第1子・第2子の受給総額:234~245万円

第1子・第2子の場合、0歳から高校生年代の終わりまで受け取れる児童手当の総額は、合計で234~245万円になります。内訳は以下の通りです。

年齢

月額

月額

期間

期間

小計

小計

0歳~3歳未満

月額

1万5000円

期間

36ヶ月

小計

54万円

3歳~高校生年代

月額

1万円

期間

180~191ヶ月

小計

180~191万円

合計

月額


期間

216~227ヶ月

小計

234~245万円

この金額は、子どもの教育資金や将来の備えとして重要な役割を果たします。計画的に活用することが求められます。

ポイントの解説

総額に幅があるのは、生まれ月によってもらえる月数が変動するためです。児童手当は、18歳に達する日以後の最初の3月31日までもらえることになっているため、4月生まれは18歳11ヶ月まで支給され、もっとも多く児童手当をもらえることになります。

第3子以降の受給総額:最大で648~681万円

第3子以降は、0歳から高校生年代まで一律で月額3万円が支給されます。第1子・第2子と比較すると、総額で400万円以上も多くなります。

年齢

月額

月額

期間

期間

合計

合計

0歳~高校生年代

月額

3万円

期間

216~227ヶ月

合計

648~681万円

なお、この最大額を受け取るためには、上の子どもが「22歳年度末」まで多子加算のカウント対象であり続ける必要があります。その「第3子」のカウント方法については、後ほど詳しく解説します。

児童手当制度 2024年10月改正の要点

2024年10月から施行された児童手当の改正は、政府が掲げる「異次元の少子化対策」の柱の一つです。改正により、子育て世帯への経済的支援がこれまで以上に手厚くなりました。

主な変更点は、「所得制限の撤廃」「支給期間の延長」「第3子以降の増額」「多子加算のカウント方法変更」「支給回数の増加」の5つです。これらのポイントを正しく理解することが、手当を最大限に活用する第一歩となります。

1. 所得制限の完全撤廃(高所得世帯も満額支給)

今回の制度改正でもっとも大きな変更点といえるのが、所得制限の完全撤廃です。

改正前は、養育者の所得に応じて手当が減額されたり、支給されなかったりする「所得制限限度額」と「所得上限限度額」が設けられていました。具体的には、所得が一定額を超えると、手当額が子ども1人あたり月額5000円になる「特例給付」となり、さらに所得が高い世帯では支給が停止されていました。

2024年10月からはこれらの制限がなくなり、世帯の所得にかかわらず、すべての子育て世帯が満額の児童手当を受け取れるようになりました。これにより、これまで対象外だった高所得世帯も支援の対象となり、子育て支援の公平性が高まりました。

2. 支給期間が「高校生年代(18歳到達後の3月31日)」まで延長

児童手当の支給対象となる子どもの年齢が、これまでの「中学校卒業まで」から「高校生年代まで」に延長されています。

具体的には、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子どもが支給対象となります。これにより、高校の授業料や塾、大学受験費用など、教育費の負担が増加する時期まで経済的な支援が続くことになります。

ポイントの解説

また、この規定は「高校に通っていること」は必須条件ではありません。働いている場合でも、保護者に養育されていれば支給対象に含まれます。

3. 第3子以降の月額が3万円に増額

多子世帯への支援を強化するため、第3子以降の子どもに対する支給額が月額3万円に増額されました。改正前は、第3子以降の手当は3歳から小学校修了前までの期間のみ月額1万5000円でしたが、今回の改正で0歳から高校生年代まで一律で月額3万円が支給されることになります。

これにより、子どもが多い世帯ほど経済的な恩恵が増加し、子育てに伴う家計の負担が軽減されます。

4. 多子加算のカウント対象が「22歳年度末」まで拡大

第3子以降の手当増額(多子加算)において、子どもの人数を数える際のルールも変更されました。これまでは支給対象となる高校生年代までの子どもしかカウントされませんでしたが、改正後は「22歳に達する年度末まで」の養育している子どもも人数に含めることができるようになりました。

例えば、長子が大学生になり18歳を超えて児童手当の支給対象から外れた場合でも、22歳年度末までは第1子としてカウントされます。そのため、下にいる第2子や第3子の支給額が減額されることなく、継続して手厚い支援を受けられるようになります。

そのルール変更は、年齢の離れた兄弟姉妹がいる家庭にとって、受給総額に大きな影響を与える重要なポイントです。

5. 支給回数が年6回(偶数月)に変更

児童手当の支給回数が、これまでの年3回(6月、10月、2月)から年6回(偶数月)に変更されました。

具体的には、毎年2月、4月、6月、8月、10月、12月に、それぞれの前月分までの2ヶ月分がまとめて支給されます。例えば、6月の支給日には4月・5月分の手当が振り込まれることになります。

支給回数が増えることで、よりこまめに手当を受け取れるようになり、家計の計画が立てやすくなるという利点があります。振込日は自治体によって異なりますが、多くは10日や15日に設定されています。

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総額が変わる?「生まれ月」による損得

上でも少し触れましたが、児童手当の受給総額は、子どもの生まれ月によって差が生じる可能性があります。これは制度の仕組みによるもので、誰にでも起こりうることです。どのようなルールで差が生まれるのかを理解しておきましょう。

「4月生まれ」が得で「3月生まれ」は損?

児童手当の支給期間は「18歳に達する日以後の最初の3月31日まで」と定められています。その「年度末」で区切るルールにより、生まれ月によって受給期間に差が出ます。

例えば、4月生まれの子どもは、18歳になってから1年間(12ヶ月分)手当を受け取ることができます。一方で、翌年の3月生まれの子どもは、学年では同じですが、18歳の誕生日を迎えるとすぐに年度末が来てしまうため、受給期間が1ヶ月分しかありません。

つまり、同じ学年であっても、4月生まれと翌年3月生まれでは、受給総額に最大で11ヶ月分の差が生じる可能性があります。これは制度上の仕組みであり、意図的な不公平ではありませんが、総額を考える上での1つの要素となります。


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第3子カウントの「22歳年度末」ルールと申請の落とし穴

第3子以降の月額3万円という手厚い手当は、受給総額に大きな影響を与えます。しかし、この多子加算の恩恵を最大限に受けるためには、新設された「22歳年度末」までのカウントルールを正しく理解し、必要な手続きを忘れずに行うことが不可欠です。

大学生年代(18〜22歳)をカウントに含める条件

18歳を超え、22歳年度末までにある子ども(大学生年代など)を第3子以降のカウントに含めるには、単に年齢が該当するだけでなく、「親などが監護し、生計費を負担している」という実態が必要です。

具体的には、子どもが親元を離れて一人暮らしをしていても、学費や生活費の仕送りをしているなど、経済的な支援を続けている状態を指します。この条件を満たすことで、その子どもを第1子や第2子としてカウントし続けることができ、その下の弟や妹が第3子としての手当増額を受けられるのです。

必須となる「確認書」の提出と期限

大学生年代の子どもを多子加算のカウント対象とするための最大の「落とし穴」が、申請手続きの必要性です。この条件は自動的には適用されません。

受給者は、お住まいの市区町村に対し「監護相当・生計費の負担についての確認書」といった書類を提出する必要があります。この申請を怠ると、たとえ経済的に支援している実態があっても、その子どもはカウント対象から外れてしまいます。その結果、本来受け取れるはずだった第3子以降の増額分(月額2万円)が支給されなくなる可能性があります。

ポイントの解説

対象となる子どもがいる場合は、必ず市区町村の窓口に確認し、忘れずに手続きを行いましょう。申請には期限が設けられる場合があるため、早めの対応が必須です。

児童手当の総額を教育費にどう活かす?

児童手当は総額で数百万円にもなる大きな資金ですが、これをどのように活用するかが鍵となります。負担の大きい大学の教育費を念頭に、計画的な準備が求められます。ただ貯金するだけでなく、将来のインフレにも備える視点が必要です。

私立理系大学だと児童手当だけでは不足する現実

子どもの教育費は、進路によって変動します。私立大学の文化系学部に進学した場合は、4年間の学費として平均410万円程度、理科系学部の場合は平均で540万円程度かかるとされています。

第1子・第2子の場合、児童手当の総額は234~245万円です。これをすべて大学費用に充てたとしても、大幅に不足するのが現実です。第3子以降で最大額を受け取れたとしても、他の生活費や塾代などを考慮すると、児童手当だけですべてを賄うのは困難といえるでしょう。

この事実から、児童手当はあくまで教育資金の一部と捉え、不足分を補うための計画的な資産形成が不可欠であることがわかります。

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インフレに備えて「使う」より「運用」する選択肢

将来の教育費を準備する上で、インフレ(物価上昇)のリスクは無視できません。もし物価上昇に合わせて教育費が年々上昇していけば、ただ貯めておくだけでは、お金の実質的な価値が目減りし、さらに資金が不足してしまう可能性があります。

そこで有効な選択肢となるのが、資産運用です。例えば、2024年から新しくなったNISA(少額投資非課税制度)を活用すれば、運用で得た利益が非課税になります。児童手当を元手に、投資信託などで長期的に積立投資を行うことで、インフレに負けない資産形成を目指すことも可能です。

もちろん投資にはリスクも伴いますが、子どもの年齢が若いうちから始めることで、長期的な視点でリスクを抑えながらリターンを期待することができます。日々の子育て資金との配分も考えながら、一部を運用に回すなどの方法も検討するとよいでしょう。

児童手当 総額に関するQ&A

ここでは、児童手当の総額や関連する給付金について、よくある質問にお答えします。

Q. 子育て世帯への2万円給付(子育て応援手当)はいつ?

こども家庭庁は、2025年11月、2025年度補正予算案に「子育て応援手当」の予算を計上し、子ども1人あたり2万円を1回限りで給付することを決定しました。所得制限はなく、2026年春ごろの支給を目指して調整が進められています。

注意点

これは恒久的な「児童手当」とは別の、物価高対策としての臨時給付金です。原則として児童手当の受取口座に振り込まれる予定ですが、自治体からの最新のお知らせ(広報や郵送物)を見逃さないようにしましょう。

Q. 児童手当は貯金すべき?

児童手当の使い道に決まりはありませんが、子どもの将来の教育費などに備えて計画的に貯蓄するのがおすすめです。

ただし、銀行預金などで貯めるだけではインフレによって資産価値が目減りするリスクもあるため、NISAなどを活用した長期的な資産運用も教育資金作りの有効な選択肢といえます。

Q. 児童手当の支給月と振込日はいつ?

2024年10月以降、児童手当は年6回、偶数月(2月、4月、6月、8月、10月、12月)に支給されます。各支給月には、前月までの2ヶ月分がまとめて振り込まれます。

振込日は自治体によって異なり、多くは月の10日や15日に設定されています。詳しくは、お住まいの市区町村にご確認ください。

まとめ

今回は、2024年10月から制度改正された児童手当の総額について詳しく解説しました。この改正によって、児童手当は子育て世帯にとってさらに重要な経済的支えとなっています。

  • 受給総額:第1子・第2子で234~245万円、第3子以降では最大で648~681万円
  • 改正の要点:所得制限の撤廃、支給期間の高校生年代までの延長、第3子以降の増額が大きな柱
  • 注意点:第3子加算を最大限に活用するには、22歳年度末までの子どもをカウントするための申請(確認書の提出)が不可欠

児童手当を将来の教育資金として有効活用していくには、受け取れる総額を把握し、制度の仕組みや注意点を正しく理解することが重要です。子どもの未来のための資金として、計画的に貯蓄・運用していきましょう。

≫将来の必要額はいくら?あなたのケースでシミュレーション


子育て資金が気になるあなたへ

子育て・教育資金や住宅ローンなど将来の負担はさまざまです。この先必要になる金額を早めに把握して準備を始めましょう。マネイロでは、将来資金の準備を便利に進められる無料ツールを利用できます。

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監修
山本 務
  • 山本 務
  • 特定社会保険労務士/AFP/第一種衛生管理者

東京都練馬区で、やまもと社会保険労務士事務所を開業。企業の情報システム、人事部門において通算28年の会社員経験があるのが強みであり、情報システム部門と人事部門の苦労がわかる社会保険労務士。労務相談、人事労務管理、就業規則、給与計算、電子申請が得意であり、労働相談は労働局での総合労働相談員の経験を生かした対応ができる。各種手続きは電子申請で全国対応が可能。また、各種サイトで人事労務関係の記事執筆や監修も行っている。

記事一覧

執筆
マネイロメディア編集部
  • マネイロメディア編集部
  • お金のメディア編集者

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