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扶養控除と配偶者控除はどっちが得?両方使える条件と選び方を解説

扶養控除と配偶者控除はどっちが得?両方使える条件と選び方を解説

制度2026/01/15
  • #既婚者

≫将来の資金は足りる?あなたの年収・資産から診断

扶養控除と配偶者控除、自分の家庭ではどっちが得?」「そもそも両方使えるの?」といった疑問をお持ちではありませんか?税金の控除は複雑に感じられますが、仕組みを理解すれば家計の負担を軽減できる心強い制度です。

本記事を読めば、扶養控除と配偶者控除の基本的な違いから、両制度を併用するための条件、そして自分の家庭にとって一番有利な選択方法まで正しく理解できます。ぜひ現在の状況と照らし合わせながら読み進めてみてください。

この記事を読んでわかること
  • 扶養控除と配偶者控除の対象者と控除額
  • 両方の控除を併用するための具体的な条件
  • 家族構成や年収別の最適な控除の選び方


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扶養控除と配偶者控除の基本的な違い

扶養控除と配偶者控除は、どちらも納税者の税負担を軽くするための「所得控除」の一種ですが、対象となる人が根本的に異なります。

  • 扶養控除配偶者以外の親族(16歳以上の子どもや親など)を扶養している場合に適用されます。
  • 配偶者控除配偶者を扶養している場合に適用されます。

対象者が明確に分かれているため、「どちらか一方を選ぶ」のではなく、「それぞれの条件を満たしていれば両方とも適用できる」ということになります。

両制度は、生計を共にする家族がいる納税者の経済的負担を軽減するという共通の目的を持っていますが、それぞれの詳細な条件や控除額には違いがあります。まずは、以下で各制度の基本を正しく理解することから始めましょう。

扶養控除とは?対象になる人と控除額

扶養控除は、納税者が生計を共にしている配偶者以外の親族を経済的に支えている場合に受けられる所得控除です。

対象となるのは、その年の12月31日時点で16歳以上であり、年間の合計所得金額が一定額以下の親族です。2025年(令和7年)分からは、その所得要件が合計所得金額58万円以下(給与収入のみの場合は年収123万円以下)に引き上げられています。

控除額は、扶養親族の年齢や同居の有無によって異なり、詳細は以下の表の通りです。大学進学などで教育費の負担が重くなる19歳以上23歳未満の子どもは「特定扶養親族」として、控除額が手厚く設定されています。

区分

年齢

年齢

所得税の控除額

所得税の控除額

一般の控除対象扶養親族

年齢

16歳以上

所得税の控除額

38万円

特定扶養親族

年齢

19歳以上23歳未満

所得税の控除額

63万円

同居老親等以外

年齢

70歳以上

所得税の控除額

48万円

同居老親等

年齢

70歳以上(同居)

所得税の控除額

58万円

配偶者控除とは?対象になる人と控除額

配偶者控除は、納税者と生計を共にする配偶者がいる場合に適用される所得控除です。対象となるのは法律上の配偶者のみで、内縁関係のパートナーは対象外です。この控除を受けるには、配偶者の所得と納税者本人の所得の両方に条件があります。

  • 配偶者の所得要件:年間の合計所得金額が58万円以下(給与収入のみの場合は年収123万円以下)であること。
  • 納税者本人の所得要件:合計所得金額が1000万円以下であること。

控除額は最大で38万円ですが、納税者本人の所得が900万円を超えると段階的に減額されます。また、配偶者がその年の12月31日時点で70歳以上の場合、「老人控除対象配偶者」として控除額が48万円に増額されます。

配偶者特別控除との違いは?

配偶者特別控除は、配偶者の所得が配偶者控除の基準(合計所得58万円)を超えてしまった場合でも、税負担が急に増えるのを緩和するための制度です。

配偶者の合計所得金額が58万円超133万円以下(給与収入のみの場合、年収123万円超201.6万円未満)の場合に適用されます。配偶者控除と同様に、納税者本人の合計所得が1000万円以下である必要があります。

控除額は、配偶者の所得が増えるにつれて最大38万円から段階的に減少していく仕組みです。配偶者控除と配偶者特別控除を両方同時に受けることはできません

また、2026年度税制改正大綱では、物価高対策として所得税が課税される最低ラインである「年収の壁」を、178万円に引き上げる方針が示されました。これは納税者の約8割にあたる年収665万円以下の人が対象となります。

この改正は、配偶者控除や配偶者特別控除の制度そのものを変更するものではありませんが、パートタイマーなどの働き方に影響を与える可能性があります。

扶養控除と配偶者控除は両方使える?併用の条件

結論からいうと、扶養控除と配偶者控除は条件を満たせば両方とも使えます。なぜなら、これら2つの控除は対象となる人が異なる、まったく別の制度だからです。

  • 配偶者控除:配偶者が対象
  • 扶養控除:配偶者以外の親族(子どもや親など)が対象

したがって、所得要件を満たす配偶者と、同じく所得要件を満たす16歳以上の子どもがいる場合、納税者は「配偶者控除」と「扶養控除」の両方を申告できます。

注意点

ただし、1人の家族を、配偶者控除と扶養控除の両方の対象にするといった重複適用はできません。 あくまでも、それぞれの制度の対象となる家族が複数いる場合に、それぞれの控除を適用できるということです。

併用できるケースの具体例

扶養控除と配偶者控除(または配偶者特別控除)を併用できる具体的なケースを見てみましょう。納税者本人の合計所得が900万円以下と仮定します。

ケース①:配偶者(専業主婦)+子ども2人(高校生・大学生) 

この場合、以下の控除が併用できます。

  • 配偶者控除:38万円
  • 扶養控除(一般):38万円(高校生・16歳)
  • 扶養控除(特定):63万円(大学生・19歳)
  • 控除額合計:139万円


ケース②:配偶者(パート年収100万円)+同居の親(75歳・年金収入のみで所得要件クリア) 

この場合、以下の控除が併用できます。

  • 配偶者控除:38万円(配偶者の給与所得は35万円のため)
  • 扶養控除(同居老親等):58万円
  • 控除額合計:96万円


ケース③:配偶者(パート年収165万円)+子ども1人(17歳) 

この場合、以下の控除が併用できます。

  • 配偶者特別控除:36万円(配偶者の給与所得は100万円のため)
  • 扶養控除(一般):38万円
  • 控除額合計:74万円

このように、家族の状況に応じて各制度の条件を確認し、適用できる控除をすべて申告することが節税につながります。

併用できないケース・注意点

扶養控除と配偶者控除の併用において、最大の注意点は「1人の人物を重複して控除の対象にできない」ということです。

配偶者を扶養控除の対象にすることはできない

配偶者は配偶者控除(または配偶者特別控除)の専用対象者です。したがって、「配偶者を扶養親族として扶養控除を申告する」ことはできません。

夫婦間で同じ子どもを扶養に入れることはできない

共働き夫婦の場合、子ども1人を夫と妻の両方が同時に扶養控除の対象とすることはできません。どちらか一方の親のみがその子どもの扶養控除を申告できます。

事業専従者は対象外

個人事業主の配偶者や親族が事業を手伝い、「青色事業専従者給与」や「事業専従者控除」の適用を受けている場合、その人は配偶者控除や扶養控除の対象にはなれません。これらの制度と扶養控除は選択制であり、併用は不可能です。

年末調整や確定申告の際に、これらのルールを誤って申告しないよう注意が必要です。

共働き夫婦の場合は、事前にどちらが子どもの扶養控除を申告するかを話し合っておくことが推奨されます。


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どっちが得?家族構成・年収別のシミュレーション

扶養控除や配偶者控除を適用した場合、具体的にどれくらいの節税効果があるのでしょうか。ここでは、納税者本人の年収(課税所得)と家族構成のパターン別に、年間の所得税がどの程度軽減されるかをシミュレーションします。現在の状況に近いパターンを参考に、制度活用のメリットを確認してみましょう。

※シミュレーションでは所得税の税率のみにより計算を行い、住民税や復興特別所得税、その他の控除(社会保険料控除、生命保険料控除など)は考慮していません。実際の節税額とは異なります。

パターン①:配偶者のみ(子どもなし)

子どもがおらず、配偶者のみを扶養している場合のシミュレーションです。配偶者の年収によって、適用される控除と節税額が変わります。

納税者の課税所得

配偶者の年収

配偶者の年収

適用される控除

適用される控除

控除額

控除額

年間節税額(目安)

年間節税額(目安)

300万円(税率10%)

配偶者の年収

123万円以下

適用される控除

配偶者控除

控除額

38万円

年間節税額(目安)

約3.8万円

300万円(税率10%)

配偶者の年収

160万円

適用される控除

配偶者特別控除

控除額

38万円

年間節税額(目安)

約3.8万円

300万円(税率10%)

配偶者の年収

180万円

適用される控除

配偶者特別控除

控除額

21万円

年間節税額(目安)

約2.1万円

納税者の課税所得

配偶者の年収

配偶者の年収

適用される控除

適用される控除

控除額

控除額

年間節税額(目安)

年間節税額(目安)

600万円(税率20%)

配偶者の年収

123万円以下

適用される控除

配偶者控除

控除額

38万円

年間節税額(目安)

約7.6万円

600万円(税率20%)

配偶者の年収

160万円

適用される控除

配偶者特別控除

控除額

38万円

年間節税額(目安)

約7.6万円

600万円(税率20%)

配偶者の年収

180万円

適用される控除

配偶者特別控除

控除額

21万円

年間節税額(目安)

約4.2万円

配偶者の年収が123万円以下でも160万円以下でも、納税者が受けられる控除額は同じ38万円です。そのため、納税者の所得税率が同じであれば節税額も変わりません。

配偶者の年収が160万円を超えると、控除額が段階的に減少し、節税効果も小さくなります。

パターン②:配偶者+子ども(16歳以上)

配偶者に加えて16歳以上の子どもを扶養している場合、配偶者控除と扶養控除を併用できます。ここでは、配偶者の年収が123万円以下、子どもが1人(17歳の高校生)いると仮定します。

納税者の課税所得

適用される控除

適用される控除

控除額合計

控除額合計

年間節税額(目安)

年間節税額(目安)

300万円(税率10%)

適用される控除

配偶者控除(38万円) + 扶養控除(38万円)

控除額合計

76万円

年間節税額(目安)

約7.6万円

600万円(税率20%)

適用される控除

配偶者控除(38万円) + 扶養控除(38万円)

控除額合計

76万円

年間節税額(目安)

約15.2万円

800万円(税率23%)

適用される控除

配偶者控除(38万円) + 扶養控除(38万円)

控除額合計

76万円

年間節税額(目安)

約17.4万円

子どもが19歳以上23歳未満の「特定扶養親族」に該当する場合、扶養控除額が63万円に増えるため、さらに節税効果は増加します。

たとえば課税所得600万円(税率20%)の方の場合、控除額合計は38万円+63万円=101万円となり、節税額は約20.2万円に増加します。

パターン③:配偶者+親(同居・別居)

配偶者に加えて70歳以上の親を扶養している場合、配偶者控除と老人扶養控除を併用できます。親の所得は要件を満たしていると仮定します。

【親と別居している場合】

納税者の課税所得

適用される控除

適用される控除

控除額合計

控除額合計

年間節税額(目安)

年間節税額(目安)

300万円(税率10%)

適用される控除

配偶者控除(38万円) + 老人扶養控除(48万円)

控除額合計

86万円

年間節税額(目安)

約8.6万円

600万円(税率20%)

適用される控除

配偶者控除(38万円) + 老人扶養控除(48万円)

控除額合計

86万円

年間節税額(目安)

約17.2万円

【親と同居している場合】

納税者の課税所得

適用される控除

適用される控除

控除額合計

控除額合計

年間節税額(目安)

年間節税額(目安)

300万円(税率10%)

適用される控除

配偶者控除(38万円) + 同居老親等控除(58万円)

控除額合計

96万円

年間節税額(目安)

約9.6万円

600万円(税率20%)

適用される控除

配偶者控除(38万円) + 同居老親等控除(58万円)

控除額合計

96万円

年間節税額(目安)

約19.2万円

親と同居している場合は「同居老親等」に該当し、控除額が10万円増えるため、節税効果がより高まります。

共働き夫婦の場合:子どもの扶養をどちらに入れるべきか

共働き夫婦で子どもがいる場合、扶養控除をどちらの親が適用するかを選択できます。この選択によって世帯全体の手取り額が変わるため、慎重な判断が求められます。

原則、所得が高い(所得税率が高い)親が子どもの扶養控除を適用するほうが、世帯全体での節税効果は増加します。

所得税は累進課税制度を採用しており、所得が高いほど高い税率が適用されます。同じ控除額でも、より高い税率が適用される所得から差し引いたほうが、軽減される税額は増加するからです。

【例:子ども1人(17歳・扶養控除38万円)をどちらの扶養に入れるか】

  • 夫の課税所得:600万円(所得税率20%)
  • 妻の課税所得:300万円(所得税率10%)

  • 夫が扶養に入れる場合:38万円 × 20% = 7.6万円の節税
  • 妻が扶養に入れる場合:38万円 × 10% = 3.8万円の節税

このケースでは、所得の高い夫が扶養に入れたほうが、節税額が3.8万円多くなります。

ポイントの解説

ただし、勤務先の家族手当(扶養手当)の支給条件や、住民税への影響も考慮する必要があります。手当の条件によっては、所得が低いほうが扶養に入れた方が世帯収入が増えるケースも考えられます。まずは所得税の節税効果を基本としつつ、総合的に判断することが大切です。

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扶養控除・配偶者控除を最大化するための実践ポイント

扶養控除や配偶者控除を最大限に活用するためには、制度を正しく理解し、適切な手続きを行うことが不可欠です。申告漏れを防ぐための準備や、年収調整の考え方など、具体的なアクションポイントを押さえておきましょう。

年末調整・確定申告で申告漏れを防ぐチェックリスト

控除の適用漏れを防ぐため、年末調整や確定申告の際には以下の項目を確認しましょう。

  • 配偶者の年間所得の見込み額を正確に把握していますか?:年の途中で退職・就職した場合や、複数の勤務先がある場合は注意が必要です。給与明細や源泉徴収票を基に、1月1日から12月31日までの合計所得金額を確認しましょう。

  • 16歳以上の子どもや親族の所得は基準内ですか?:アルバイト収入がある大学生の子どもや、年金収入がある親など、扶養親族の所得要件(合計所得58万円以下)を満たしているか確認が必要です。

  • 別居している親族を扶養に入れる場合、送金の証明はできますか?:別居の親や子どもに生活費を送金している場合、「生計を一にしている」証明として、銀行振込の記録や現金書留の控えなどを保管しておきましょう。

  • 年の途中で家族構成に変化はありませんでしたか?:子どもが16歳になった、就職して扶養から外れた、親との同居を始めたなど、年の途中で状況が変わった場合は、申告内容を正しく修正する必要があります。

これらの点を事前にチェックすることで、申告ミスを防ぎ、受けられる控除を確実に適用することができるでしょう。

配偶者の年収調整で控除を最大化する方法

配偶者がパートやアルバイトで働いている場合、年収を意識的に調整することで、世帯全体の手取り額を最大化できる可能性があります。ポイントとなるのは、税制上の「壁」と社会保険上の「壁」です。

年収123万円の壁(税制)

2025年分以降は、配偶者の年収が123万円を超えると、配偶者控除の対象から外れ、配偶者特別控除へと移行するようになっています。ただし、年収160万円までは控除額が満額の38万円で変わらないため、急に税負担が増えるわけではありません

年収160万円の壁(税制)

配偶者の年収が160万円までは、配偶者特別控除が満額の38万円適用されます。また、配偶者自身の所得税もかかりません。このラインが、税制上のメリットを最大限に受けられる1つの目安となります。

年収130万円の壁(社会保険)

配偶者の年収が130万円以上になると、多くの場合、夫(または妻)の社会保険の扶養から外れ、自身で国民健康保険や国民年金に加入する必要が出てきます。これにより、年間で十数万円の保険料負担が発生し、手取り額が減少する可能性があります

これらの壁を考慮すると、手取り額を意識するなら「社会保険の扶養内で働く(年収130万円未満)」か、保険料負担を上回る収入を目指して「年収160万円以上を目指す」といった働き方が選択肢になります。

注意点

中途半端に130万円を少し超える働き方が、一番手取りが少なくなる「働き損」の状態になりやすいため注意が必要です。

扶養親族が増えた・減った場合の手続き

年の途中で扶養親族の状況に変化があった場合、速やかに手続きを行う必要があります。

扶養親族が増えた場合

子どもが16歳になった、親との同居を始めた、あるいは失業した親族の仕送りを始めたなど、新たに扶養控除の対象となる親族が増えた場合は、年末調整の際に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」にその情報を追加して勤務先に提出します。確定申告を行う場合は、申告書に該当する親族の情報を記載します。

扶養親族が減った場合

子どもが就職して扶養の所得要件を超えた、結婚して扶養から外れたなどの場合は、同様に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」で扶養から外す手続きを行います。この手続きを忘れると、本来よりも多く控除を受けてしまい、後日、修正申告追徴課税が必要になる可能性があるため注意が必要です。

いずれの場合も、その年の12月31日時点の状況で判断されます。変更があった場合は、年末調整のタイミングで忘れずに申告内容を更新しましょう。

よくある間違い・勘違いを解消

扶養控除や配偶者控除は、税制と社会保険の制度が混同されやすく、誤解が生じやすい分野です。ここでは、多く見られる間違いや勘違いを取り上げ、正しい知識を整理します。適切な控除を受けるために、これらのポイントをしっかりと押さえておきましょう。

「配偶者を扶養控除に入れられる」は間違い

年末調整や確定申告においてよくある間違いの1つが、「配偶者を扶養控除の対象として申告してしまう」ケースです。税法上、配偶者は扶養控除の対象にはなりません。

  • 扶養控除:対象は「配偶者以外の親族」(16歳以上の子ども、親など)
  • 配偶者控除:対象は「配偶者」のみ

そのため、制度が明確に分かれています。配偶者の所得が基準以下である場合は、「配偶者控除」または「配偶者特別控除」の欄に記入する必要があります。

注意点

扶養控除の欄に配偶者の情報を記入しないよう、十分に注意しましょう。この勘違いは申告ミスの原因となり、税務署からの指摘につながる可能性があります。

社会保険の扶養と税制上の扶養は別物

「扶養」という言葉は、社会保険と税制の両方で使われますが、その意味と基準はまったく異なります。この2つを混同してしまうと、働き方の計画に誤りが生じる可能性があるため注意が必要です。

社会保険の扶養

主に健康保険料や年金保険料の支払いが免除されるかどうかに関わります。基準となる年収は、原則として130万円未満です(勤務先の規模によっては106万円の壁も適用されます)。これを上回ると、自分で保険料を支払う義務が生じます。

税制上の扶養(扶養控除・配偶者控除)

所得税や住民税の負担を軽減するための制度です。基準となるのは、2025年分以降、合計所得金額58万円以下(給与収入のみなら123万円以下)です。配偶者の場合は、配偶者特別控除により年収201.6万円未満まで段階的に控除が受けられます。

ポイントの解説

例えば、年収125万円の配偶者は、社会保険の扶養には入れますが(130万円未満)、税制上は配偶者控除の対象外となり、配偶者特別控除が適用されます。そのため、2つの制度は別々に判断する必要があることを覚えておきましょう。

扶養控除・配偶者控除に関するQ&A

ここでは、扶養控除や配偶者控除に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

Q. 配偶者がパートで年収100万円、子どもが大学生の場合、控除額はいくら?

合計で101万円の所得控除が受けられます。内訳は以下の通りです。

  1. 配偶者控除:38万円 配偶者の年収が100万円の場合、給与所得控除(最低65万円)を差し引いた合計所得金額は35万円となります。これは配偶者控除の所得要件である58万円以下を満たすため、38万円の控除が適用されます。

  1. 扶養控除(特定扶養親族):63万円 大学生の子は、年齢が19歳以上23歳未満であれば「特定扶養親族」に該当します。アルバイト収入などがなく所得要件を満たしていれば、63万円の控除が適用されます。

したがって、控除額の合計は38万円 + 63万円 = 101万円となります。納税者本人の所得税率が20%の場合、約20.2万円の節税効果が期待できます。

Q. 共働きの場合、子どもの扶養をどちらに入れたほうがいい?

原則として、所得が高いほうの親の扶養に入れるほうが、世帯全体での節税額は大きくなります。

日本の所得税は「累進課税」が採用されており、、所得が高いほど税率も高くなります。そのため、同じ扶養控除額(例えば38万円)でも、高い税率が適用される所得から差し引いたほうが、税金の軽減額が増加します。

ポイントの解説

ただし、勤務先の家族手当の支給条件によっては、所得が低いほうの親の扶養に入れたほうが世帯収入が増える場合もあるため、会社の制度も確認して総合的に判断しましょう。

Q. 年の途中で配偶者が退職した場合、控除は受けられる?

年間の合計所得金額が基準以下であれば、配偶者控除または配偶者特別控除を受けられます。

控除の対象になるかどうかは、その年の1月1日から12月31日までの1年間の合計所得金額で判断されます。年の途中で退職した場合でも、年間の合計所得が58万円以下であれば「配偶者控除」の対象となります。

例えば、6月末で退職し、それまでの給与収入が120万円だった場合、給与所得は55万円(120万円 - 65万円)となり、58万円以下の要件を満たすため、配偶者控除の対象となります。

もし年間の合計所得が58万円を超えて133万円以下に収まる場合は、「配偶者特別控除」の対象となります。

ポイントの解説

退職金を受け取った場合、退職所得は他の所得とは別に計算されるため、通常は配偶者控除の判定における合計所得金額には含まれません。

まとめ

扶養控除と配偶者控除は、対象者が異なるため「どっちが得か」と比較するものではなく、条件を満たせば両方とも活用できる重要な節税制度です。

  • 扶養控除は配偶者以外の親族(16歳以上の子どもや親など)が対象
  • 配偶者控除は配偶者が対象

共働き夫婦の場合は、所得が高い(所得税率が高い)ほうが子どもの扶養控除を適用するのが、世帯全体で見て節税効果が増加するのが基本です。

また、配偶者の働き方を考える際は、税金の「160万円の壁」だけでなく、社会保険料の負担が発生する「130万円の壁」も意識することが、手取り額を最大化する上で重要になります。

家族構成や収入状況を正しく把握し、年末調整や確定申告で申告漏れがないようにしましょう。この記事で紹介したチェックリストやシミュレーションを参考に、家庭に合った最適な控除の活用方法を見つけましょう。

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監修
黒澤 美裕理
  • 黒澤 美裕理
  • 税理士 / 経営革新等支援機関

福島県出身。筑波大学大学院 ビジネス科学研究群法学学位プログラム 修士課程修了。仙台国税局、東京国税局、税務署に勤務。東京国税局調査部を最後に早期退職し税理士として独立開業。幅広い経験を持ち税務会計から事業経営に至るまで指導やアドバイスを行う。

記事一覧

執筆
マネイロメディア編集部
  • マネイロメディア編集部
  • お金のメディア編集者

マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。

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