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退職金をもらうとふるさと納税の枠は増える?控除の仕組みを解説

退職金をもらうとふるさと納税の枠は増える?控除の仕組みを解説

お金2026/02/18
  • #老後資金

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退職金を受け取る年に、「いつもより収入が増えるから、ふるさと納税の控除枠も増えるのでは?」と期待する方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、結論からいうと、退職金によってふるさと納税の控除上限額が増えることは基本的にありません。

本記事では、なぜ退職金がふるさと納税の控除枠に影響しにくいのか、この税金の仕組みから詳しく解説します。退職した年のふるさと納税で損をしないための注意点も確認していきましょう。

この記事を読んでわかること
  • 退職一時金は、ふるさと納税の控除上限額にほとんど影響しない
  • 退職した年の控除上限額は、退職金を除いた給与収入を基に計算する必要がある
  • 退職時期によっては、寄附額の計算は慎重に行う必要がある


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退職金があるとふるさと納税の枠は増える?

退職金を受け取ったとしても、ふるさと納税の控除上限額(枠)が増えることは基本的にありません。これは、退職金(一時金)にかかる税金の計算方法が、給与など他の所得とは異なるためです。

ただし、退職金の受け取り方によっては、ふるさと納税の控除上限額に影響が出るケースもあります。

退職金はふるさと納税の住民税控除の対象外

ふるさと納税による税金の控除は、所得税からの還付と、翌年の住民税の減額という2つの仕組みで成り立っています。

しかし、退職金を一時金で受け取った場合、この退職金にかかる住民税はふるさと納税による控除の対象外です。

これは、退職金にかかる住民税が、他の所得とは別に計算され、退職金が支払われる際に天引き(特別徴収)される「分離課税」という方式をとっているためです。

ふるさと納税の住民税控除は、前年の総合課税所得を基に計算される翌年の住民税額から差し引かれる仕組みなので、支払い時に課税関係が完結する退職所得は対象になりません。

所得税については控除の対象となりますが、分離課税のため実際には所得税が控除されるケースはほとんどありません。確定申告した場合も、後述するように退職金には大きな控除があるため、課税される所得額自体が少なくなり、結果としてふるさと納税による節税効果は限定的です。

退職年金は控除対象になる

退職金を一時金ではなく、複数回に分けて年金形式で受け取る場合は扱いが異なります。退職年金は、公的年金などと同じ「雑所得」として扱われ、他の所得と合算して税金が計算される「総合課税」の対象となります。

総合課税の対象となる所得は、ふるさと納税の控除上限額の計算基礎に含まれるため、退職年金の金額によっては控除上限額が増える可能性があります。

このように、退職金の受け取り方が一時金か年金かによって、ふるさと納税への影響は変わります。

なぜ退職金はふるさと納税の対象外なのか

退職金(一時金)がふるさと納税の控除上限額にほとんど影響しないのは、所得税や住民税の計算方法が他の所得と根本的に異なるためです。

ここでは、この税制上の特殊な仕組みについて詳しく見ていきましょう。

退職所得は分離課税で計算される

退職金は長年の勤労に対する報奨金という性質から、税負担が重くなりすぎないよう、他の所得とは分けて税額を計算する「分離課税」が適用されます。

具体的には、まず勤続年数に応じた「退職所得控除」が適用され、課税対象となる金額が大幅に圧縮されます。

退職所得控除額の計算式は以下のとおりです。

勤続年数

計算式

計算式

20年以下

計算式

40万円 × 勤続年数 (80万円に満たない場合は80万円)

20年超

計算式

800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年)

さらに、控除後の金額を2分の1にしたものが課税対象の「退職所得」となります。

課税退職所得金額 = (収入金額 - 退職所得控除額) × 1/2

例えば、勤続30年で2000万円の退職金を受け取った場合、退職所得控除額は1500万円(800万円 + 70万円 × 10年)です。課税退職所得金額は(2000万円 - 1500万円)× 1/2 = 250万円となり、この金額に対して所得税が課されます。

ふるさと納税の控除は総合課税の所得が基準

ふるさと納税の控除上限額は、主に住民税の所得割額を基に計算されます。この住民税所得割額は、給与所得や事業所得、不動産所得といった、複数の所得を合算して税額を計算する「総合課税」の対象所得によって決まります。

一方で、前述の通り退職一時金は「分離課税」で計算されるため、総合課税の所得には含まれません。したがって、ふるさと納税の控除上限額を計算する際の基準となる所得には、退職金は含まれません

これが、多額の退職金を受け取っても、ふるさと納税の控除上限額が原則として増えない一番の理由です。

所得税控除はあるが効果は限定的

退職金にかかる住民税はふるさと納税の対象外ですが、所得税は控除の対象となります。そのため、確定申告で退職所得を申告すれば、所得税からの還付額が多少増える可能性はあります。

しかし、すでに解説した通り、退職金には手厚い「退職所得控除」があり、さらに課税対象額が2分の1に圧縮されます。その結果、もともと課される所得税額がそれほど多くならないため、ふるさと納税による控除の効果も限定的です。

注意点

そのため、退職金を含めてふるさと納税の上限額を高く見積もってしまうと、上限を超えて寄附し自己負担額が増えてしまうため注意が必要です。


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退職金を受け取った年のふるさと納税で注意すべきこと

退職金が控除上限額に影響しないことを理解した上で、退職した年にふるさと納税を行う際には、いくつか注意すべき点があります。

控除上限額の計算は慎重に行う必要があります。

控除上限額は給与ベースで計算する

退職した年のふるさと納税の控除上限額は、退職金を含めず、この年に受け取った給与収入(およびその他の総合課税所得)のみを基準に計算します。

各種ふるさと納税サイトのシミュレーションを利用する際は、「給与収入」の欄に、退職する年にもらう「給与の総額(見込み額)」を入力します。退職金は計算に含めないようにしましょう。

注意点

もし誤って退職金を合算した年収で上限額を計算し、この金額で寄附をしてしまうと、上限を超えた分はすべて自己負担となってしまうため注意が必要です。

退職時期で年収が変わる

年の途中で退職する場合、この年の給与収入は1年間勤務した場合よりも少なくなります。例えば、3月末に退職した場合、この年の給与収入は1月〜3月の3ヶ月分のみです。

年収が減れば、当然ふるさと納税の控除上限額も下がります。前年と同じ感覚で寄附をしてしまうと、上限額を超過してしまう可能性が高くなります。

ポイントの解説

退職する年の1月1日から退職日までに受け取る給与・賞与の総額を正確に把握し、それに基づいて上限額を計算することが欠かせません。源泉徴収票などを確認し、慎重に金額を見積もりましょう。

寄附のタイミングに注意

ふるさと納税の控除対象となるのは、この年の1月1日から12月31日までに支払いが完了した寄附です。申込日ではなく、決済が完了した日である点に注意しましょう。

年末は駆け込みでの申し込みが増えるため、決済手続きの遅延なども考慮し、余裕を持って寄附を完了させることが望ましいです。

もし決済が年明けの1月1日になってしまうと、この寄附は翌年分の扱いとなります。

退職した翌年に収入がない、あるいは大幅に減少する場合、翌年分の控除枠はほとんどないため、寄附した金額の大部分が自己負担になってしまう可能性があります。

確定申告が必要になるケース

会社員の場合、ふるさと納税の寄附先が5自治体以内であれば、確定申告が不要になる「ワンストップ特例制度」を利用できます。

しかし、年の途中で退職し、再就職していない場合は年末調整が行われないため、確定申告が必要です。確定申告するとワンストップ特例制度を利用できず、自分でふるさと納税の申告を行う必要があります。

退職した年に再就職し、新しい勤務先で年末調整を行う場合は、ワンストップ特例制度の利用が可能です。

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退職金を年金形式で受け取る場合の違い

これまで解説してきたのは、退職金を一時金で受け取るケースです。企業によっては、退職金を年金形式で分割して受け取ることも可能です。この場合、税金の扱いやふるさと納税への影響が異なります。

退職年金は雑所得として総合課税

退職金を年金形式で受け取る場合、この収入は「雑所得」に分類されます。これは公的年金と同じ扱いです。

雑所得は、給与所得など他の所得と合算されて税額が計算される「総合課税」の対象です。そのため、退職年金の所得額は、ふるさと納税の控除上限額を計算する際の基準となる所得に含まれます。

したがって、年間の退職年金の受給額によっては、ふるさと納税の控除上限額が増える可能性があります。

注意点

ただし、公的年金等控除が適用されるため、収入の全額がそのまま所得になるわけではありません。

一時金と年金の選択による違い

退職金の受け取り方によって、税金の計算方法とふるさと納税への影響がどのように違うのかをまとめると、以下のようになります。

受取方法

所得区分

所得区分

課税方式

課税方式

ふるさと納税上限額への影響

ふるさと納税上限額への影響

一時金

所得区分

退職所得

課税方式

分離課税

ふるさと納税上限額への影響

ほとんど影響しない

年金

所得区分

雑所得

課税方式

総合課税

ふるさと納税上限額への影響

収入額に応じて影響する

企業によっては、一時金と年金を組み合わせて受け取ることも可能です。自身のライフプランや税負担を考慮して、最適な受け取り方を選択することが欠かせません。

不明な点があれば、勤務先の人事・総務部門や税務の専門家に相談するとよいでしょう。

退職金とふるさと納税に関するよくある質問

ここでは、退職金とふるさと納税に関して、多くの人が抱く疑問や質問についてQ&A形式で解説します。

Q. ふるさと納税の上限額は退職金を含めて計算してもよい?

いいえ、退職一時金は含めずに計算するのが原則です。

ふるさと納税の控除上限額は、総合課税の対象となる所得(主に給与所得)を基に計算されます。退職一時金は分離課税のため、計算の基礎に含まれません。

注意点

もし退職金を含めた年収で上限額を計算して寄附を行うと、実際の控除上限額を大幅に超えてしまい、自己負担額が増える可能性が高いので注意しましょう。

Q. ふるさと納税で退職金の所得税控除は使える?

はい、制度上は利用できますが、この効果は限定的です。

退職金にかかる所得税は、ふるさと納税による寄附金控除の対象です。そのため、確定申告をすれば、所得税からの還付が受けられます。

ただし、退職金には大きな「退職所得控除」が適用されるため、もともと課税される所得税額が少ないケースがほとんどです。したがって、ふるさと納税による控除の効果もごくわずかになることが多いでしょう。

Q. 退職後に寄附した分はどうなる?

退職した年の12月31日までに支払いを完了した寄附であれば、この年の所得に対する控除の対象となります。退職日自体は関係ありません。

例えば、3月末に退職した後、5月にふるさと納税の寄附を行った場合でも、この寄附は退職した年の1月〜3月の給与所得などを基に計算された控除上限額の範囲内であれば、税金の控除が受けられます

注意点

ただし、寄附の決済が年を越えて翌年の1月1日以降になると、翌年分の寄附として扱われます。翌年の所得がない場合は控除を受けられないため、注意が必要です。

まとめ

退職金を受け取ったとしても、ふるさと納税の控除上限額は基本的に増えません。これは、退職一時金が給与所得などとは異なる「分離課税」で計算され、ふるさと納税の上限額計算の基礎に含まれないためです。

退職した年にふるさと納税を行う際は、以下の3点に注意しましょう。

  • 上限額は退職金を除いた給与収入で計算する
  • 年の途中で退職する場合は年収が減るため、上限額も下がる
  • 寄附はこの年の12月31日までに決済を完了させる

退職という大きなライフイベントを迎える年は、お金の計画も複雑になりがちです。税金の仕組みを正しく理解し、状況に合わせてふるさと納税を賢く活用しましょう。

退職は、これからの人生のお金について考える絶好の機会です。自身の状況に合わせた資産計画を立てるために、まずは将来の不足額をチェックしてみましょう。

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監修
西岡 秀泰
  • 西岡 秀泰
  • 社会保険労務士/ファイナンシャルプランナー

同志社大学法学部卒業後、生命保険会社に25年勤務しFPとして生命保険・損害保険・個人年金保険販売を行う。保有資格は社会保険労務士と2級FP技能士。2017年4月に西岡社会保険労務士事務所を開設し、労働保険・社会保険を中心に労務全般について企業サポートを行うとともに、日本年金機構の年金事務所で相談員を兼務。

記事一覧

執筆
マネイロメディア編集部
  • マネイロメディア編集部
  • お金のメディア編集者

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