
個人向け国債10年変動型の利率が1%!デメリットはある?賢い活用法をプロが解説
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2025年6月に募集が開始された個人向け国債の変動10年・固定5年の利率が1.0%となり、個人向け国債の活用を検討したいと思い始めた人も多いのではないでしょうか。
個人向け国債は元本割れリスクがほとんどないため、低リスクの金融商品といえます。
一方で、実は知っておくべきデメリットや注意点もあります。
本記事では、個人向け国債10年変動型のデメリットを知っておきたい人に向けて、固定金利と変動金利の違い、デメリット、他金融商品との違いなどを記載しています。
投資するべきか、他に良い選択肢はないのかを判断できるよう、投資のプロがわかりやすく解説します。
(参考:個人向け国債窓口トップページ : 財務省)
- 個人向け国債には、主に「固定金利型」と「変動金利型」の2種類がある
- 変動金利型は半年ごとに金利が見直され、市場金利が上昇すれば利子も増え、下降すれば利子も減る
- 個人向け国債10年のデメリットは「満期が10年と長い」「株式より期待できるリターンは小さい」など
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個人向け国債10年変動型とは
個人向け国債は、国(日本政府)が発行する債券で、個人でも1万円から手軽に購入できます。
国が発行元であるため、安全性が極めて高い金融商品といえます。
個人で買える国債は2種類
個人向け国債には、主に「固定金利型」と「変動金利型」の2種類があります。
固定金利型は満期まで金利が変わらないタイプで、募集時に決定された金利が適用されます。期間は3年と5年があり、市場金利の変動に左右されません。
一方、変動金利型は半年ごとに金利が見直されるタイプです。基準金利(10年国債の利回り)に0.66を掛けた値が適用され、市場金利が上昇すれば利子も増え、下降すれば利子も減ります。
固定金利型、変動金利型ともに最低金利保証0.05%が設定されているため、金利が大きく下がっても最低限の利子は保証されます。
個人向け国債が「安心」と言われる理由
個人向け国債は財務省が発行する国の債券であり、元本と利子の支払いは国が保証しています。日本国が破綻しない限り、元本と利子の支払いが保証されます。
そのため、預金保険制度(銀行預金の上限1000万円とその利息)とは異なり、預金保険の範囲を超える資金を安全に運用したい場合にも有効な選択肢です。
参考)定期預金との比較
個人向け国債は、同じく元本保証型である定期預金とよく比較されます。それぞれの特徴を見てみましょう。
2025年6月、個人向け国債の利率が1.0%に
2025年6月募集の個人向け国債は、変動10年型と固定5年型ともに適用利率が1.0%という水準になり、注目を集めています。
ここ数年の金利低下期を経て久しぶりの高水準であり、多くの方が資産運用の選択肢として検討し始めるきっかけとなっています。
昨今の世界的な金利上昇に加え、日本銀行の金融政策修正により、日本の長期金利も上昇傾向にあります。これに伴い、個人向け国債の利率も上昇が続いています。
特に変動10年型は、市場金利の動きに連動して半年ごとに金利が見直されます。そのため、今後の金利上昇局面における利子収入の増加も期待できる点が魅力といえるでしょう。
1.0%でどれくらい増える?シミュレーションで確認
金利1.0%で個人向け国債を購入すると、具体的にどれくらいお金が増えるのでしょうか。シミュレーションで確認してみましょう。
金利:年1.0%(税引前)
保有期間:10年(変動10年型を仮定)
100万円 × 1.0% × 10年 = 10万円
税金(所得税・復興特別所得税、住民税:合計20.315%)を考慮しない場合、年間1.0%の利子が付くため、10年間で計算すると約10万円の利子を受け取ることができます。
税引後利子は、100万円 × 1.0% × (1 - 0.20315) × 10年 ≒ 約7万9685円となります。
現在の低金利な定期預金と比較すると、比較的高い利子収入が期待できることがわかります。
参考)金利と債券の関係
変動金利型の個人向け国債の利率は、主に市場の金利動向(特に10年国債の市場利回り)と密接に関係しています。
市場金利が上昇すれば、変動金利型の個人向け国債は半年ごとの見直しにより利率が上がる可能性があります。
一方で、既に発行されている一般的な(利付)国債は相対的に魅力が薄れ、価格が下がる傾向にあります。
ただし、個人向け国債は満期まで保有した場合でも中途換金した場合でも、額面金額が保証されています。そのため、市場価格の変動による損失を心配する必要はありません。
市場金利が下がると、変動金利型の利率も引き下げられる可能性がありますが、最低金利0.05%は保証されています。そのため、金利がゼロ近くまで下がっても一定の利子は確保されます。
こうした金利と債券価格の関係を理解しておくと、変動型国債の仕組みや、市場環境が資産に与える影響をより的確に判断できるようになります。
実は注意点も?個人向け国債10年のデメリット
「国が発行するから安心」と言われる個人向け国債ですが、特に10年変動型を選ぶ際は注意が必要です。
安全性の高さ以外の側面、不利な点や制約もしっかりと理解しておきましょう。
満期10年の長さと中途換金の制限
個人向け国債10年変動型のデメリットの一つは、満期が10年と長いことです。長期保有を前提とした商品のため、この10年間、資金が拘束されることになります。
また、発行から1年間は原則として中途換金ができません。
緊急でお金が必要になった場合でも、この1年間は資金を引き出せないため、すぐに使う予定のない余裕資金で購入することが大前提となります。
中途解約をすると受け取れる利子が減る
発行から1年経過後であれば、いつでも中途換金が可能と聞くと安心するかもしれませんが、実はここにも注意点があります。
中途換金をする場合、直前2回分の利子相当額が差し引かれて返還されます。
例えば、半年ごとに利子が支払われる変動10年型の場合、中途換金すると、直近1年分の利子が差し引かれる形になります。これにより、元本割れはしないものの、受け取れるはずだった利子が減ってしまうため、「当初想定していた利子収入が得られない」というデメリットが生じます。
インフレをカバーできない
2025年6月に募集が開始された個人向け国債では、「変動10年」と「固定5年」の利率がともに年1.0%となり、過去と比較すると魅力的に見える水準に達しています。
しかし注意したいのは、インフレ率との関係です。例えば、インフレ率が2.0%であれば、利率1.0%の国債では実質的にお金の価値が目減りしていることになります。
見た目の利率に安心してしまいがちですが、「インフレ率以下の利回り」でお金を預け続けることは、インフレ対策としては不十分といえるでしょう。
株式より期待できるリターンは小さい
個人向け国債は極めて安全性が高い反面、株式や投資信託などと比較すると、期待できるリターンは小さくなります。
利率が1.0%になったとはいえ、積極的により多くの資産を増やしたいと考える人には物足りなく感じるかもしれません。
高いリターンを求める場合には、株式投資やバランスの取れた投資信託など、他のリスクのある金融商品を検討する必要があるでしょう。
個人向け国債はあくまで「守りの資産」としての役割が大きいです。
デメリットを踏まえた個人向け国債10年の賢い活用法
デメリットを踏まえた上で、個人向け国債10年変動型を賢く活用する方法を見ていきましょう。
定期預金の代替え
最低金利が保証されていることや、国が元本を保証することを踏まえると、「預けっぱなしで安全に少しでも増やしたい」というニーズに適しています。
多くの定期預金の金利が0.2%〜程度である中、1.0%という利率は非常に魅力的です。また、定期預金と同様に元本割れのリスクがほとんどなく、安心して預けられます。
すぐに使う予定のない教育資金や、当面の生活費以外の余裕資金を、定期預金よりも高い利率で堅実に増やしたい場合に適しています。
ポートフォリオの一部として組み入れる
個人向け国債を、資産運用全体のポートフォリオ(資産配分)の一部として組み入れることもおすすめです。
株式や投資信託など、値動きのある金融資産で運用している場合、個人向け国債のような安全性の高い資産を組み合わせることで、全体のリスクを分散できます。
安定した資産をポートフォリオに加えることで、全体のリスクを抑えながら資産形成を図ることができます。
参考)個人向け国債を購入している年代
財務省の調査によると、個人向け国債を購入しているのは、幅広い年代にわたります。その中でも特に50代・60代の保有割合が高い傾向にあります。
退職金などまとまった資金を安全に運用したいというニーズや、リスクを抑えながら堅実に資産を増やしたいという意向が反映されていると考えられます。
(参考:個人向け国債を始めてみたい方 : 財務省)
個人向け国債10年変動型が向いている人・向いていない人
個人向け国債10年変動型は、誰にでも最適な金融商品というわけではありません。
自身の投資目的やリスク許容度に合わせて、向いているか向いていないかを判断しましょう。
【向いている人】
- 堅実に安定的にお金を増やしたい人
- 教育資金や老後資金など、使う時期が決まっているお金を定期預金より増やしたい人
- ポートフォリオのリスク分散を図りたい人
- 金利上昇局面で恩恵を受けたい人
【向いていない人】
- 積極的な資産増加を目指したい人、高いリターンを求める人
- すぐに資金を使う予定がある人
- 市場金利の変動を気にせず、確定した利子で運用したい人
個人向け国債の購入方法
個人向け国債は、以下の場所で購入できます。
- 銀行:メガバンクから地方銀行まで、多くの銀行で取り扱いがあります。
- 証券会社:大手証券会社からネット証券まで、購入が可能です。
- 郵便局(ゆうちょ銀行):ゆうちょ銀行でも購入できます。
毎月募集が行われており、購入する際には取引口座の開設が必要です。口座開設から購入手続きまで、各金融機関の窓口やWEBサイトで確認しましょう。
迷ったらプロに相談がおすすめ
「個人向け国債は理解できたけど、自分にとって本当に最適なの?」「他の金融商品とどう組み合わせればいいの?」など、具体的な資産運用について悩む人も多いかもしれません。
そんな時は資産運用のプロに相談することをおすすめします。
特に、個人のライフプランやリスク許容度はさまざまであり、それに合わせた最適な金融商品の選択や資産配分は、専門的な知識と経験が求められます。
マネイロに相談するメリット
マネイロでは、お客様一人ひとりの状況に合わせたお金の相談を、SBI証券と提携しているIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)が承っています。
個人向け国債だけでなく、NISAやiDeCo、保険など、多種多様な金融商品の中から、最適なポートフォリオを、専門家と一緒に検討できます。
また、 特定の金融機関に属さないため、中立的な立場からお客様にとって本当に必要な情報と最適な選択肢を提案します。
相談は紹介だけではなく、いつでも無料です。
まとめ
2025年6月の募集で利率1.0%となった個人向け国債10年変動型は、その高い安全性と金利上昇局面での柔軟性から注目を集めています。
国が発行する安心感があり、元本割れのリスクもほとんどないため、定期預金の代替やリスク分散として活用するのがおすすめです。
一方で、満期が10年と長いこと、発行から1年間は中途換金ができないことなど、購入前に知っておくべきデメリットがいくつかあります。
また、元本割れリスクは低いものの、利率が低いため「積極的な資産増加を目指したい人」には物足りなく感じるかもしれません。
個人向け国債を賢く活用するためには、メリットとデメリットを正しく理解することが大切です。投資判断に迷うことがあれば、マネイロの専門家にご相談ください。あなたの資産運用をサポートします。
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高橋 明香
- ファイナンシャルアドバイザー/CFP®認定者
みずほ証券(入社は和光証券)では、20年以上にわたり国内外株、債券、投資信託、保険の販売を通じ、個人・法人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事。2021年に株式会社モニクルフィナンシャル(旧:株式会社OneMile Partners)に入社し、現在は資産運用に役立つコンテンツの発信に注力。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、一種外務員資格(証券外務員一種)保有。
執筆
マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。