
物価連動国債とは?インフレに強い国債の仕組みと購入方法を解説
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「物価上昇で、お金の価値が目減りするのが不安…」そんな不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。物価連動国債は、物価の上昇に合わせて元本が増えるため、インフレに強い資産として注目されています。
本記事では、物価連動国債の仕組みから具体的な購入方法まで、わかりやすく解説します。インフレに負けない資産形成を検討する上で、ぜひ参考にしてみてください。
- 物価連動国債がインフレに強い仕組み
- メリット・デメリットとどんな人に向いているか
- 個人が物価連動国債を購入する具体的な方法
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物価連動国債の基本的な仕組み
物価連動国債は、物価の変動に合わせて元本や利子が変わる国債です。インフレ局面で資産価値を守る効果が期待できます。
ここでは、通常の国債との違いや、物価指数とどのように連動するのか、この具体的な仕組みを解説します。
物価指数との連動の仕組み
物価連動国債の元本は、「全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合指数、CPI)」の動きに連動して変動します。この変動後の元本を「想定元金額」と呼びます。
具体的には、発行時の物価指数を基準として、その後の物価指数の変動率を反映した「連動係数」を額面金額に乗じることで、各時点での想定元金額が計算されます。
想定元金額 = 額面金額 × 連動係数
例えば、物価が発行時から2%上昇した場合、連動係数もそれに合わせて変動し、想定元金額も約2%増加する仕組みです。この計算に使われる物価指数は、実際の指数の公表時期との兼ね合いから、約3ヶ月前のものが適用されます。
利払いと償還の仕組み
物価連動国債の利子は年2回支払われます。利率(表面利率)は発行時に固定されていますが、実際に支払われる利子の額は、この時々の想定元金額に基づいて計算されるため変動します。
利子額 = 利払日の想定元金額 × 表面利率 ÷ 2
つまり、インフレで想定元金額が増えれば、受け取る利子も増えることになります。
満期を迎えた際の償還額も、償還時点での想定元金額となります。物価が上昇していれば、当初の額面金額よりも多くの金額が償還されることになります。また、後述する「元本保証(フロア)」があるため、デフレで物価が下落していても、額面金額を下回ることはありません。
物価連動国債の特徴
物価連動国債には、投資を判断するうえで知っておくべきいくつかの特徴があります。2013年以降に発行が再開された際に導入された「元本保証(フロア)」は重要なポイントです。
ここでは、元本保証(フロア)の仕組みや発行の歴史、現在の発行条件について解説します。
物価連動国債の元本保証(フロア)とは
2013年(平成25年度)10月以降に発行された物価連動国債には、「元本保証(フロア)」が設定されています。
これは、満期償還時に物価が下落(デフレ)していた場合でも、当初の額面金額で元本が償還される仕組みです。つまり、満期まで保有すれば元本割れのリスクがありません。
ただし、注意点としてこの保証は償還時にのみ適用されます。運用期間中の利払いや、満期前に売却する際の市場価格には適用されないため、利払い額が当初の計算額より減少したり、途中売却で元本割れしたりする可能性はあります。
発行の歴史
日本の物価連動国債は、2004年3月に機関投資家向けに初めて発行されました。しかし、2008年のリーマン・ショック後の世界的な金融危機と市場環境の悪化を受け、同年10月に発行が一時停止されました。
その後、経済状況の変化や投資家のニーズを踏まえ、2013年10月から発行が再開されました。この再開時に、個人投資家にとってもより魅力的な商品となるよう、前述の元本保証(フロア)が導入されるなどの商品設計の見直しが行われました。
発行条件と満期
現在、日本で発行されている物価連動国債の主な条件は以下の通りです。
- 満期:10年
- 発行方法:価格競争入札(価格ダッチ方式)
- 最低額面金額:10万円
発行は入札によって行われ、金融機関などの機関投資家が参加します。個人投資家が直接入札に参加することは一般的ではなく、後述する証券会社を通じて購入することになります。
物価連動国債のメリット
物価連動国債には、インフレから資産を守る機能をはじめ、いくつかのメリットがあります。ここでは、物価連動国債に投資する主なメリットを3つの観点から解説します。
インフレ時に資産価値を守れる
物価連動国債の最大のメリットは、インフレ時に資産の実質的な価値を守れることです。
物価が上昇すると、同じ金額で買えるモノやサービスの量が減り、お金の価値(購買力)は実質的に低下します。例えば、預貯金は元本と金利が固定されているため、インフレ率が預金金利を上回ると、資産は実質的に目減りしてしまいます。
一方、物価連動国債は物価上昇に合わせて想定元金額が増加するため、インフレによる資産価値の目減りを防ぐ効果が期待できます。これは「インフレヘッジ」と呼ばれ、将来の物価上昇に備えるための有効な手段の1つです。
元本保証(フロア)で安心感がある
2013年10月以降に発行された物価連動国債には、償還時の元本保証(フロア)が付いています。
これにより、たとえ満期までの間にデフレ(物価下落)が進行したとしても、償還時には当初の額面金額が保証されます。
インフレに備えつつも、デフレによる元本割れのリスクを避けたい投資家にとって、この元本保証(フロア)は大きな安心材料となります。ただし、この保証は満期まで保有した場合に限られる点には注意が必要です。
国が発行する安全性
物価連動国債は、日本国政府が発行する国債の1種です。そのため、企業の社債などと比較して信用リスクが低い(安全性が高い)とされています。
信用リスクとは、発行体の財政難や経営破綻などにより、利子や元本が約束通りに支払われなくなる可能性のことです。国が発行体である国債は、このリスクが極めて低いと考えられており、安全性の高い金融商品と位置づけられています。
インフレ対策と安全性を両立させたい場合に、物価連動国債は有力な選択肢の1つとなるでしょう。
物価連動国債のデメリット・リスク
インフレ対策として有効な物価連動国債ですが、デメリットやリスクも存在します。デフレ局面でのパフォーマンスや、他の国債と比べた流動性の低さには注意が必要です。
投資を検討する際は、これらの点を十分に理解しておくことが欠かせません。
デフレ時は元本・利子が減少
物価連動国債は物価の上昇に強い反面、物価が下落するデフレ局面には弱いというデメリットがあります。
デフレになると、連動する消費者物価指数が下落するため、想定元金額が減少します。それにともない、受け取れる利子の額も少なくなります。
ただし、前述の通り、2013年10月以降に発行されたものには元本保証(フロア)があるため、満期まで保有すれば償還額が当初の額面を下回ることはありません。しかし、運用期間中のキャッシュフローである利子が減少する可能性はリスクとして認識しておく必要があります。
流動性が低い
物価連動国債は、通常の固定利付国債と比較して市場規模が小さく、流動性が低いという特徴があります。
流動性が低いとは、市場での取引量が少なく、売りたい時にすぐに売れなかったり、希望する価格で取引できなかったりする可能性があることを意味します。
米国の物価連動国債市場に比べても、日本の市場規模はまだ小さいのが現状です。そのため、満期前に換金したいと考えた場合に、不利な条件での売却を余儀なくされるリスクがあります。
価格変動リスク
すべての債券に共通するリスクですが、物価連動国債も満期前に売却する場合には価格変動リスクがあります。
債券の市場価格は、金利の変動などによって日々変わります。物価連動国債の価格は、市場が将来のインフレ率をどう予測しているかを示す「期待インフレ率」や、インフレ率を除いた実質的な金利である「実質金利」の動向に影響を受けます。
購入時よりも実質金利が上昇している局面などで売却すると、債券価格が下落し、元本割れとなる可能性があります。
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物価連動国債はどんな人に向いている?
物価連動国債は、この特性からすべての人に適した金融商品というわけではありません。自身の投資目的やリスク許容度に合わせて、活用を検討することが大切です。
ここでは、物価連動国債がどのような考えを持つ投資家に向いているかを解説します。
インフレリスクに備えたい人
将来の物価上昇によって、保有している預貯金などの資産価値が実質的に目減りすることを懸念している人には、物価連動国債が適しています。
退職後の生活資金など、長期にわたって資産の購買力を維持したいと考えている場合、インフレヘッジ機能を持つ物価連動国債を資産の一部に組み入れることは有効な選択肢です。
長期保有を前提とする人
物価連動国債は、満期まで保有することで元本保証(フロア)のメリットを最大限に活かせる商品です。途中売却の場合は価格変動リスクがあり、元本割れの可能性もあります。
そのため、短期的な値上がりを狙うのではなく、10年間の満期まで資金を固定できる、長期的な視点を持った投資家に向いています。すぐに使う予定のない余裕資金での投資が望ましいでしょう。
分散投資の一環として考える人
株式や通常の債券など、他の資産と組み合わせてポートフォリオ全体のリスクを管理したい人にも、物価連動国債は適しています。
物価連動国債は、インフレ局面で株式や通常の債券とは異なる値動きをすることが期待されます。資産の一部に組み入れることで、ポートフォリオ全体の安定性を高める効果が見込めるため、分散投資の1つのパーツとして有効です。
物価連動国債の購入方法
物価連動国債は、個人投資家も購入することが可能です。購入方法には、証券会社を通じて直接国債を購入する方法と、物価連動国債を投資対象とする投資信託を購入する方法の2つが主です。
それぞれの方法について、具体的な手順と注意点を解説します。
証券会社での直接購入は困難
物価連動国債は、制度上は個人でも保有することが可能ですが、実際には主に機関投資家(プロの投資家)向けに発行・流通している商品です。
そのため、「個人向け国債(変動10年など)」とは異なり、証券会社の窓口やインターネットを通じて個人投資家が直接購入することは、ほとんどできないのが現状です。
また、大手証券会社であっても、個人向けの募集(新発債の販売)や、市場からの売り出しは行われないのが一般的です。
したがって、個人が物価連動国債に投資を行いたい場合は、直接購入しようとするのではなく、後述する「投資信託」を通じて間接的に投資するのが現実的な手段となります。
投資信託を通じた購入
個人投資家にとって、より手軽で一般的な方法は、物価連動国債を主要な投資対象とする投資信託を購入することです。
この方法であれば、100円や1000円といった少額から投資を始めることができ、NISA(少額投資非課税制度)の成長投資枠を利用することも可能です。また、複数の発行時期の物価連動国債に分散投資されているため、リスク分散の効果も期待できます。
代表的なファンドには、以下のようなものがあります。
- eMAXIS 国内物価連動国債インデックス
- 日本物価連動国債ファンド
これらの投資信託は、多くの証券会社や銀行で取り扱われています。
購入時の注意点
前述の通り、個人が物価連動国債そのものを直接購入することは困難であるため、「額面10万円から」「募集期間」といった直接購入の条件を気にする必要はほとんどありません。
現実的な選択肢である「投資信託」を通じて購入する場合は、以下の2点に注意が必要です。
1.保有コスト(信託報酬)がかかる
投資信託はプロに運用を任せるため、保有期間中に「信託報酬(運用管理費用)」というコストが日々発生します。 多くのネット証券では購入時の手数料は無料(ノーロード)ですが、この保有コストは長期的なリターンに影響するため、目論見書で必ず確認しましょう。
2.投資信託としての元本変動リスク
物価連動国債そのものには「満期時の元本保証(フロア)」がありますが、これを組み入れた投資信託には「満期」も「元本保証」もありません。
ファンドの基準価額は市場の金利や物価動向に合わせて日々変動するため、売却するタイミングによっては投資元本を割り込む可能性がある点には十分な理解が必要です。
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物価連動国債と他の投資商品との比較
物価連動国債への投資を検討する際には、他の債券との違いを理解しておくことが鍵となります。同じ国債である固定利付国債や変動利付国債、また海外の物価連動債である「米国TIPS」との比較を通じて、この特性をより深く把握しましょう。
通常の国債との違い
通常の国債(固定利付国債)と物価連動国債の一番大きな違いは、元本の額が変動するかどうかです。
固定利付国債は、発行時に決められた元本と利率が満期まで変わりません。そのため、受け取れる利子の額や償還される金額が確定しており、安定した運用が可能です。
一方、物価連動国債は、元本の額が物価の動きを示す「全国消費者物価指数」に連動して増減します。これにより、インフレで物価が上がると元本が増え、受け取る利子や償還額も増加する可能性があります。
固定利付国債との比較
通常の国債(固定利付国債)と物価連動国債の一番大きな違いは、元本の額が変動するかどうかです。
固定利付国債は、元本と利率が満期まで固定されているため、将来受け取るキャッシュフローが確定している安定性が魅力です。しかし、インフレには弱く、物価が上昇すると実質的な価値が目減りします。
一方、物価連動国債は、元本の額が物価の動きを示す「全国消費者物価指数」に連動して増減します。そのため、インフレで物価が上がると元本が増え、受け取る利子や償還額も増加する可能性がありますが、デフレ時には受け取る利子が減少する可能性があります。
どちらが優れているというわけではなく、将来の物価動向をどう予測するかに応じて選択が異なります。
変動利付国債との比較
変動利付国債も、受け取る利子が変動する点は物価連動国債と共通しています。しかし、この変動要因が異なります。
変動利付国債の利率は、市場金利(10年国債の利回りなど)に連動して半年ごとに見直されます。金利上昇局面で受け取る利子が増えるため、金利変動リスクに対応できます。
一方、物価連動国債は物価(CPI)に連動します。金利が上がらなくても物価だけが上昇する「スタグフレーション」のような状況では、物価連動国債が有利になる可能性があります。
米国TIPS(物価連動国債)との比較
米国でも、物価連動国債は「TIPS(Treasury Inflation-Protected Securities)」という名称で発行されています。基本的な仕組みは日本の物価連動国債と同様で、米国の消費者物価指数に連動して元本が調整されます。
大きな違いは市場規模と流動性です。米国のTIPS市場は日本の物価連動国債市場よりもはるかに規模が大きく、流動性も高いとされています。そのため、取引のしやすさという点ではTIPSに分があります。
ただし、TIPSは米ドル建てのため、為替変動リスクを負うことになります。日本のインフレに備えるのが目的なら日本の物価連動国債、米国のインフレやドル資産への分散投資を考えるならTIPS、というように目的によって使い分けるのがよいでしょう。
物価連動国債に関するよくある質問
ここでは、物価連動国債に関して投資家の方からよく寄せられる質問とこの回答をまとめました。
個人でも購入できる?
制度上は可能ですが、国債そのものを直接購入することは、現状ほとんどできません。
個人向け国債(変動10年など)とは異なり、主要な証券会社の窓口やネット取引では、個人向けの募集・販売が行われないのが一般的であるためです。
したがって、個人が投資する場合は、物価連動国債を投資対象とする「投資信託」を通じて購入するのが現実的な方法となります。投資信託であれば、ネット証券などで100円などの少額から手軽に始めることができます。
元本割れのリスクはある?
2013年10月以降に発行された物価連動国債には元本保証(フロア)があるため、満期まで保有すれば元本割れのリスクはありません。
ただし、満期を迎える前に市場で売却する場合は、この時点の市場価格での売却となるため、購入価格を下回り元本割れする可能性があります。
デフレ時はどうなる?
デフレで物価が下落すると、想定元金額が減少し、それに伴って受け取る利子の額も少なくなります。
ただし、償還時については、2013年10月以降に発行されたものであれば元本保証(フロア)があるため、当初の額面金額で償還されます。期間中の利子は減りますが、満期まで持てば元本は守られる仕組みです。
まとめ
物価連動国債は、物価の上昇に合わせて元本が増える仕組みを持ち、インフレから資産の実質的な価値を守る効果が期待できる金融商品です。
ただし、個人投資家がこの国債を直接購入することは現状難しいため、物価連動国債を投資対象とする「投資信託」を活用するのが現実的な方法です。
投資信託を通じて保有する場合、国債そのものが持つ「満期時の額面保証」とは異なり、市場の金利動向などによって日々の基準価額は変動します。そのため、売却のタイミングによっては元本割れのリスクがある点には注意が必要です。
とはいえ、インフレ対策の有力な選択肢であることに変わりはありません。まずは少額から始められる投資信託を活用し、ポートフォリオの一部に組み入れることを検討してみてはいかがでしょうか。
インフレに備える資産形成について、より具体的に知りたい方は、まずは自身の状況を客観的に把握することから始めてみましょう。
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監修
高橋 明香
- ファイナンシャルアドバイザー/CFP®認定者
みずほ証券(入社は和光証券)では、20年以上にわたり国内外株、債券、投資信託、保険の販売を通じ、個人・法人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事。2021年に株式会社モニクルフィナンシャル(旧:株式会社OneMile Partners)に入社し、現在は資産運用に役立つコンテンツの発信に注力。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、一種外務員資格(証券外務員一種)保有。
執筆
マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。
