
年金受給者の住民税はいくら?非課税ラインと年金額別の税額目安
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老後の生活を計画するうえで、年金の手取り額を正確に把握することは不可欠です。しかし、年金の額面がこのまま手元に残るわけではなく、税金や社会保険料が差し引かれます。
「住民税」がいくらになるのか、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、年金受給者の住民税について、天引きの仕組みから非課税になる収入ライン、具体的な計算方法まで網羅的に解説します。
自身の状況に当てはめて税額を理解し、安心してセカンドライフの資金計画を立てましょう。
- 年金から住民税が天引きされる「特別徴収」の仕組みと対象者
- 住民税が非課税になる年金収入の具体的な金額ライン(単身・夫婦世帯別)
- 年金収入200万円、250万円の場合の住民税額シミュレーションと計算方法
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年金から住民税は引かれる?基本の仕組み
公的年金も所得の一種であるため、原則として住民税の課税対象となります。
現役時代の給与と同じように、受け取る年金額に応じて計算された住民税を納める必要があります。
年金受給者の場合、納税の手間を省き、納め忘れを防ぐために、年金の支給元(日本年金機構など)が年金から住民税を天引きして、本人に代わって市区町村に納付する「特別徴収」という制度が基本となります。
特別徴収の対象となる条件
年金から住民税が特別徴収(天引き)されるのは、以下のすべての条件を満たす人です。
- この年の4月1日時点で65歳以上の公的年金受給者
- 年間の年金受給額が18万円以上
- 前年中の公的年金等に係る所得に対して住民税が課税される
これらの条件に当てはまる場合、原則として自動的に特別徴収が開始されます。
新たに65歳になった年度など、特別徴収が開始される初年度は、年税額の半分を自分で納付書を使って納め(普通徴収)、残りの半分が10月支給分の年金から天引きされるのが一般的です。
遺族年金・障害年金は非課税
すべての年金が課税対象となるわけではありません。遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)と障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金)は、所得税も住民税も非課税です。
これらの年金は、遺族の生活保障や、障害を持つ人の所得保障といった社会政策的な目的で支給されるため、税法上、課税の対象外と定められています。
したがって、収入が遺族年金や障害年金のみである場合は、住民税を納める必要はありません。

住民税が非課税になる年金収入の目安
年金収入があっても、一定の所得基準を下回る場合は住民税が非課税になります。
この非課税の基準は、本人の年齢(65歳以上か未満か)、家族構成(単身か、扶養親族がいるか)、そして住んでいる市区町村の「級地区分」によって異なります。
代表的なケースの非課税ラインの目安を紹介します。

単身世帯の非課税ライン
配偶者や扶養親族がいない単身世帯の場合、住民税が非課税になる年金収入の目安は以下のとおりです。
65歳以上の方は、税金の計算で使われる「公的年金等控除額」が65歳未満の方より大きいため、非課税となる収入ラインが高く設定されています。
夫婦世帯の非課税ライン
生計を一にする夫婦2人世帯の場合、非課税となる年金収入の目安は単身世帯よりも高くなります。これは、世帯人数が増えるほど住民税が非課税になる基準額も上がるためです。
以下は、配偶者に収入がない場合の目安です。
この基準額は、大都市(1級地)に住んでいる場合を想定しています。住んでいる地域によっては、この金額より低い基準が適用されることがあります。
級地区分とは?自分の地域を確認する方法
住民税の非課税限度額を決定する基準の1つに「級地区分」があります。これは、生活保護法で定められている基準で、地域の物価や生活水準に応じて市町村を1級地から3級地に区分したものです。
- 1級地: 東京23区や横浜市、大阪市などの大都市
- 2級地: 多くの県庁所在地などの中核都市
- 3級地: 上記以外の市町村
物価が高いとされる1級地では非課税限度額が高く設定され、3級地では低く設定されています。
自身の市区町村がどの級地区分に該当するかは、自治体のWebサイトで確認するか、税務担当課に問い合わせることで確認できます。
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年金収入別の住民税額シミュレーション
具体的な年金収入額を基に、年間の住民税額がいくらになるかをシミュレーションします。
計算の前提条件は以下のとおりです。自身の状況と近いモデルを参考にしてください。
【計算の前提条件】
- 居住地: 東京都文京区(1級地)
- 年齢: 65歳以上75歳未満
- 家族構成: 単身(扶養親族なし)
- 収入: 公的年金のみ
- 所得控除: 基礎控除、社会保険料控除のみを考慮

年金収入200万円の場合
年金収入が年間200万円の場合、住民税額の目安は約6万800円です。
【計算の内訳】
- 公的年金等に係る雑所得: 200万円 - 110万円 = 90万円
- 社会保険料(仮定): 約12万1000円(国民健康保険料+介護保険料)
- 課税所得金額: 90万円 - 43万円(基礎控除) - 12万1000円 = 34万9000円
- 所得割: 34万9000円 × 10% = 3万4900円
- 均等割: 5000円
- 調整控除: 2500円
- 合計住民税額: (3万4900円 - 2500円) + 5000円 = 3万7400円
※上記は一例です。社会保険料額は住んでいる自治体や所得状況により変動します。より正確な金額は、住んでいる市区町村にご確認ください。
年金収入250万円の場合
年金収入が年間250万円の場合、住民税額の目安は約8万4500円です。
【計算の内訳】
- 公的年金等に係る雑所得: 250万円 - 110万円 = 140万円
- 社会保険料(仮定): 約16万5000円(国民健康保険料+介護保険料)
- 課税所得金額: 140万円 - 43万円(基礎控除) - 16万5000円 = 80万5000円
- 所得割: 80万5000円 × 10% = 8万500円
- 均等割: 5000円
- 調整控除: 2500円
- 合計住民税額: (8万500円 - 2500円) + 5000円 = 8万3000円
※上記はあくまで一例です。社会保険料や適用される控除によって税額は変動します。
65歳未満の場合は税額が高くなる
同じ年金収入額であっても、65歳未満の人は65歳以上の人に比べて住民税が高くなる傾向があります。これは、住民税の計算の基になる「公的年金等控除額」が低く設定されているためです。
例えば、年金収入が150万円の場合、65歳以上なら所得は40万円(150万-110万)ですが、65歳未満だと所得は90万円(150万-60万)となり、課税対象となる所得が増加するため、結果的に住民税額も高くなります。
住民税の計算方法をステップで理解
住民税がどのように計算されるのか、この流れを理解しておくと、自身の税額を把握しやすくなります。
計算は3つのステップで行われます。
公的年金等控除額の計算
最初のステップは、年金収入から「公的年金等控除」を差し引き、「公的年金等に係る雑所得」を算出することです。この控除額は、年金受給者の年齢と年金収入額に応じて決まります。
【公的年金等控除額 速算表(令和2年分以降)】
▼65歳以上の場合
▼65歳未満の場合
※公的年金等以外の所得が1000万円以下の場合
所得控除の種類
次に、算出した雑所得から、個人の状況に応じて適用される「所得控除」を差し引きます。これにより、税率を掛ける前の「課税所得金額」が算出されます。
年金受給者が利用できる主な所得控除には以下のようなものがあります。
- 基礎控除: すべての納税者に適用される基本的な控除(合計所得2400万円以下で43万円)。
- 社会保険料控除: 支払った国民健康保険料や介護保険料などの全額。
- 配偶者控除: 一定の所得以下の配偶者がいる場合に適用。
- 扶養控除: 生計を1つにする親族を扶養している場合に適用。
- 生命保険料控除: 生命保険料などを支払っている場合に適用。
- 医療費控除: 年間の医療費が多くかかった場合に適用。
これらの控除を漏れなく適用することが、住民税を抑えるポイントになります。
住民税の税率と均等割
最後のステップとして、課税所得金額に税率を掛けて「所得割」を算出し、それに「均等割」を加算して年間の住民税額が決定します。
- 所得割: 課税所得金額に対して一律10%(市町村民税6% + 道府県民税4%)の税率で課税されます。
- 均等割: 所得金額にかかわらず、一定以上の所得がある場合に定額で課税されます。標準税額は年間5000円(市町村民税3500円 + 道府県民税1500円)ですが、自治体によって異なる場合があります。
この合計額が、年金から天引きされる、あるいは自分で納付する住民税の総額となります。
住民税を減らすために使える控除
住民税の負担を少しでも軽くするためには、適用できる所得控除を漏れなく申告することが欠かせません。年金受給者にとって活用しやすい代表的な控除を2つ紹介します。
医療費控除で税負担を軽減
1年間(1月1日から12月31日まで)に支払った医療費が一定額を超えた場合に受けられる所得控除が「医療費控除」です。本人だけでなく、生計を1つにする配偶者や親族のために支払った医療費も合算できます。
控除の対象となるのは、支払った医療費の合計額から保険金などで補てんされた金額を差し引き、そこからさらに10万円(または総所得金額等の5%のいずれか少ない額)を引いた金額です。
医療費控除を受けるためには、確定申告が必要です。年金収入400万円以下で他の所得が20万円以下の方は確定申告が不要な場合がありますが、医療費控除で税金の還付を受けたい場合は申告を行いましょう。
社会保険料控除は全額控除可能
年金受給者が支払う社会保険料も、住民税を計算するうえで重要な控除の1つです。「社会保険料控除」は、この年に支払った社会保険料の全額を所得から差し引くことができます。
対象となる主な社会保険料は以下のとおりです。
- 国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)
- 介護保険料
これらの保険料は年金から天引きされることが多いですが、この天引きされた金額の合計が自動的に控除の対象となります。
もし、ご家族の国民健康保険料などを代わりに支払っている場合は、その分も合算して控除を受けられるため、確定申告で忘れずに申告しましょう。
年金以外の収入がある場合の注意点
年金を受け取りながらパートやアルバイトで給与収入を得たり、個人事業主として事業所得があったりする場合、住民税の計算は少し複雑になります。
原則として、公的年金等に係る雑所得と、それ以外の所得(給与所得、事業所得など)をすべて合算した「合計所得金額」を基に住民税が計算されます。 所得が増えるため、住民税額も高くなるのが一般的です。
また、年金以外の所得がある場合、確定申告が必要になるケースが多くなります。
公的年金等の収入金額が400万円以下であっても、年金以外の所得が20万円を超える場合は確定申告が必要です。申告漏れがないように注意しましょう。
住民税非課税世帯のメリット
住民税が非課税になる世帯は、税金の負担がなくなるだけでなく、さまざまな行政サービスで優遇措置を受けられるメリットがあります。
主なメリットは以下のとおりです。
- 国民健康保険料・後期高齢者医療保険料の軽減: 所得に応じて保険料の均等割額が7割、5割、2割のいずれかで軽減されます。
- 介護保険料の軽減: 保険料の所得段階が低い区分に該当し、負担が軽くなります。
- 高額療養費制度の自己負担限度額の引き下げ: 1ヶ月の医療費の自己負担上限額が、課税世帯よりも低く設定されます。
- 各種給付金の対象: 国が実施する臨時特別給付金などの対象世帯となる場合があります。
これらのメリットは、家計の負担を軽減することにつながるため、自身が非課税の対象となるかを確認しておくことは大事です。

まとめ
年金受給者の住民税は、65歳以上で年金収入が18万円以上ある場合、原則として年金から天引きされます。住民税が課税されるかどうかは、年金収入、年齢、家族構成、お住まいの地域によって異なり、例えば65歳以上の単身の方であれば年収155万円が非課税の目安となります。
自身の住民税額を把握するためには、公的年金等控除や各種所得控除を正しく理解し、計算の仕組みを知ることが大切です。医療費控除や社会保険料控除などを活用することで、税負担を軽減することも可能です。
本記事で解説した内容を参考に、自身の年金の手取り額を把握し、より具体的な老後の資金計画を立てていきましょう。
自身の年金生活や老後資金について、より具体的に考えたい、専門家のアドバイスが欲しいと感じた方は、お金のプロに相談するのも1つの方法です。
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監修
黒澤 伸
- 税理士/社会保険労務士/CFP®認定者
東京都出身。中央大学商学部会計学科を卒業後、東京国税局に入局。国税庁、東京国税局等に38年間勤務し、2023年に高松国税局長を最後に退官。同年、黒澤伸税理士事務所を開設し、2024年には社会保険労務士としても登録。現在は、税務・会計、社会保険、労働保険等の士業務を中心に、CFPとして事業者のトータルサポートを行っている。
執筆
マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
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