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付加年金はサラリーマンは加入できない。その理由と代替手段を解説

付加年金はサラリーマンは加入できない。その理由と代替手段を解説

年金2025/12/02
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≫年金で老後資金は足りる?あなたのケースでチェック

老後資金を準備しようと考えたとき、国民年金に上乗せして将来の受給額を増やせる付加年金に興味を持つ会社員の方も多いでしょう。しかし、結論からいうと、サラリーマンは原則として付加年金に加入できません

本記事では、会社員が付加年金に加入できない理由を解説します。さらに、会社員におすすめできる「自分年金」作りの代替手段を詳しく解説します。

この記事を読んでわかること
  • サラリーマンが付加年金に原則加入できない理由
  • 扶養内の妻が付加年金に加入できる条件と、働き方による年金種別の変化
  • 付加年金の代わりに会社員が老後資金対策として活用すべき制度


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付加年金とは?仕組みをおさらい

付加年金とは、国民年金の第1号被保険者や任意加入被保険者が、定額の保険料に月額400円の付加保険料をプラスして納付することで、老齢基礎年金に上乗せされる終身年金制度です。

付加年金によって将来受け取れる年金額は、「200円 × 付加保険料納付月数」で計算されます。例えば、2年間(24ヶ月)付加保険料を納付した場合、年金受給額は「200円 × 24ヶ月 = 4800円」が毎年上乗せされます。

納付した保険料(400円 × 24ヶ月 = 9600円)は、2年で元が取れる計算となり、非常に有利な仕組みです。ただし、この年金額は定額であり、物価スライドによる増額・減額はありません。

なお、付加年金に加入するには、お住まいの市区町村役場または年金事務所への申し込みが必要です。

注意点

また、国民年金基金に加入している方は、付加保険料を納付できないため注意が必要です。

サラリーマン(会社員・公務員)は付加年金に加入できない

会社員や公務員は、原則として付加年金に加入できません。これは、国民年金制度上、付加年金の加入が「国民年金第1号被保険者」に限定されているためです。

会社員や公務員は、国民年金制度において、国民年金保険料に加え勤務先の厚生年金保険料を納めている「第2号被保険者」に分類されます。これに対し、第1号被保険者は、自営業者やフリーランス、学生など、厚生年金に加入していない方が該当します。

なお、公務員や教職員も同様に第2号被保険者であり、付加年金制度の対象外となります。

加入できない理由は「年金の構造」

会社員や公務員が付加年金の対象外となる理由は、日本の「年金の構造」にあります。

日本の公的年金制度は「2階建て」と例えられます。1階部分が国民年金(老齢基礎年金)、2階部分が厚生年金(老齢厚生年金)です。会社員や公務員(第2号被保険者)は、1階の国民年金に加え、2階の厚生年金にも加入し、将来的に老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を受給できます。

一方、第1号被保険者(自営業者など)は、原則として1階の国民年金のみに加入しています。付加年金や国民年金基金は、この「2階部分がない人」への救済措置、つまり第1号被保険者が自助努力で年金を上乗せするための制度として設計されています。

会社員はすでに2階部分(厚生年金)を持っているため、付加年金の対象とはなりません。

≫年金で老後資金は足りる?あなたのケースでシミュレーション

サラリーマンの妻(専業主婦・パート)は付加年金に加入できる?

夫がサラリーマンの場合、その配偶者の年金加入区分(第3号被保険者、第2号被保険者、または第1号被保険者)によって、付加年金への加入可否が変わってきます。

扶養内(第3号被保険者)の場合

結論からいうと、扶養内にあるサラリーマンの妻(第3号被保険者)は、付加年金に加入できません

第3号被保険者は、配偶者が加入する厚生年金(第2号被保険者)によって扶養されており、自身で国民年金保険料を負担することなく、老齢基礎年金を受け取る権利を得られます。つまり、保険料の負担がゼロである代わりに、独自の上乗せ制度(付加年金や国民年金基金)を利用することも認められていません

扶養を外れて働く場合

妻の年収が130万円以上になると、第3号被保険者の資格を失います。この場合、妻の働き方によって加入できる年金制度が変わり、付加年金の加入可否も変動します。働き方には主に2つのパターンがあり、年金種別によって付加年金への加入可否が変わります

パート先で社会保険(厚生年金)に加入する場合: 加入不可

パート先で一定の労働時間や年収の基準を満たし、社会保険(厚生年金)に加入した場合、妻は第2号被保険者となります。この場合、自身が会社員(第2号被保険者)と同じ扱いとなるため、付加年金には加入できません(不可)。厚生年金に加入することで、将来的に老齢厚生年金(2階部分)が確保されるためです。

自身で国民年金を払う場合:加入可能

年収130万円以上であってもパート先で社会保険の加入条件を満たさない場合(週20時間未満の勤務など)、妻はパート先の社会保険に入れません。この場合には、妻は国民年金に加入しなければならないため、国民年金第1号被保険者となります。

このケースでは、妻は自分で国民年金保険料を納める必要が生じますが、その代わりに付加年金に加入することが可能となります。この働き方を選択した場合、第1号被保険者として付加保険料(月額400円)を納付し、老後の年金を増やすことができます。


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退職後はチャンスあり。付加年金に加入できる3つのタイミング

会社員として働いている間は付加年金に加入できませんが、退職などで年金区分が変わった場合には、付加年金に加入することができます。その主なタイミングは以下の3つです。

ケース1:退職して個人事業主・フリーランスになった時

60歳未満で会社を退職し、その後、個人事業主やフリーランスとして独立した場合、年金制度上の区分は国民年金第1号被保険者に変わります。第1号被保険者となった時点から、付加保険料(月額400円)を納付することで、付加年金に加入できます。このタイミングは、老後の年金を自助努力で増やしたいと考える「元サラリーマン」にとって、一般的な付加年金加入の機会となります。

ケース2:60歳以降に退職し「任意加入」する場合

60歳以降で退職した場合、通常は国民年金への加入義務はありません。しかし、老齢基礎年金の受給資格期間(原則10年)を満たしていない場合や、国民年金保険料の納付済み期間が40年に満たないため将来の年金額を満額に近づけたい場合には、60歳以上65歳未満の期間で国民年金に「任意加入」することができます。

任意加入被保険者も、第1号被保険者と同様に付加年金の対象となるため、この期間に付加保険料を納めることができます。

老後資金を準備するにあたり、納付済み期間が不足している場合は、この任意加入と併せて付加年金の利用を検討するとよいでしょう。

ケース3:失業中(求職活動中)の期間

会社を退職し、失業給付を受けながら求職活動を行っている期間も、第1号被保険者への切り替えを行えば付加年金に加入できます。

注意点

ただし、失業による退職特例などを利用して「国民年金保険料の全額免除・一部免除」や「納付猶予」を受けている期間は、付加年金に加入できません。付加年金は、本体の保険料を全額納めていることが前提条件となります。

付加年金の代わりになる!会社員におすすめの「自分年金」

現役のサラリーマンが老後資金を準備し、税制上の優遇を受けながら年金を上乗せしたい場合は、付加年金の代替として以下のような制度の活用を検討しましょう。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoは、会社員が老後資金を準備するための強力な選択肢です。最大のメリットは、掛金が全額、所得控除の対象となる点です。これにより、掛金拠出時に所得税や住民税が軽減されます。また、運用によって得られた利益(売却益、利息、配当、収益分配金など)も非課税となります。

iDeCoは、原則として60歳まで資金を受け取ることができないという制限がありますが、退職時まで使う予定のない余裕資金であれば問題ありません。当面の支出に備える資金とは区別し、税制優遇を受けながら長期的に運用・積立するには最適な制度です。

NISA(つみたて投資枠)

NISAも、サラリーマンの資産形成におすすめの制度です。特に長期的な積立に適した「つみたて投資枠」は、iDeCoと同様に毎月積立ができ、運用益が非課税になるメリットがあります。売却益や配当、利息などが非課税で手元に残るため、効率的な資産形成が可能です。

iDeCoが掛金拠出時に税制優遇を受けられるのに対し、NISAは掛金拠出時の優遇はありません。しかしiDeCoにないメリットとして、いつでも資金を引き出すことができる(原則60歳までの制限がない)点が挙げられます。老後を迎える前に一定の資金を使う予定がある場合などはNISAを利用するのがおすすめです。

iDeCoとNISAは目的や税制優遇の詳細が異なるため、両方をバランスよく活用することで、柔軟かつ効率的な資産形成を図れるでしょう。

企業型DC・マッチング拠出(勤務先に制度がある場合)

勤務先に企業型確定拠出年金(企業型DC)制度がある場合は、加入者自身が掛金を追加で拠出できるマッチング拠出制度の利用を検討しましょう。

マッチング拠出で加入者が拠出した掛金は、全額所得控除の対象となり、将来のために積み立てることで所得税・住民税が軽減されます。また、会社掛金と同様に運用益も非課税です。

ただし、マッチング拠出には上限が設けられています。加入者の掛金は、会社の掛金と同額まで、かつ会社掛金との合計が拠出限度額(月額5万5000円)を超えてはならないというルールがあります。iDeCoと同様に、原則60歳まで受け取りができない点には注意が必要ですが、会社員にとって低コストで福利厚生の拡充が図れるメリットの大きい制度です。

ポイントの解説

私的年金制度の改正により、2026年4月からは、マッチング拠出の「会社の掛金と同額まで」のルールが撤廃されます。また、2027年1月からは拠出限度額の引き上げ(月額5万5000円→6万2000円)も行われる予定です。

付加年金に関するよくある質問(Q&A)

ここでは、付加年金に関してよくある質問とその回答を解説します。

Q. 公務員は付加年金に加入できる?

公務員は、会社員と同様に国民年金第2号被保険者に該当するため、付加年金に加入できません。公務員もすでに厚生年金(2階部分)に加入しているため、第1号被保険者向けの付加年金の対象外となります。

ただし、公務員を退職し、第1号被保険者(自営業者・フリーランス)になった場合や、60歳以降に任意加入被保険者として国民年金に加入する場合には、付加年金を利用できるようになります。

Q. 付加年金と国民年金基金はどっちがお得?併用はできる?

付加年金と国民年金基金は、どちらも国民年金(1階部分)に上乗せする制度ですが、併用はできません。国民年金基金に加入している方は、付加保険料を納付することはできません。

どちらがお得かは個人の状況によりますが、付加年金は年金額が定額で物価スライドがないものの、納付した保険料に対するリターン率が非常に高いのが特徴です。

一方、国民年金基金はプランが豊富で将来受け取る年金額がより大きくなりますが、掛金が高くなります。

どちらの掛金も全額が社会保険料控除の対象となるため、税制上のメリットは共通しています。

Q. 過去の分をあとから払うとき、付加年金も一緒に払える?

付加年金は、申し込んだ月からの適用となり、「申し込み前」の期間については遡って加入できません。例えば、「過去3年分払っていなかったから、今から付加年金をつけて3年分払いたい」ということはできません。

ただし、「申し込み後」にうっかり納め忘れていた分については、納付期限から2年間は納付が可能です。加入を決めたら、まずは速やかに市区町村役場・年金事務所で申し込むことが重要です。

まとめ

サラリーマンは、厚生年金(2階部分)に加入している第2号被保険者であるため、原則として付加年金に加入することはできません。付加年金は、国民年金第1号被保険者(自営業者など)向けの制度であり、「2階部分がない人」への救済措置という位置づけだからです。

ただし、退職して第1号被保険者になった場合や、60歳以降に任意加入する場合など、年金区分が変われば付加年金に加入することは可能です。

現役の会社員が老後資金を準備する際には、付加年金の代わりに、iDeCo企業型DCのマッチング拠出(掛金が全額所得控除の対象)、そしてNISA(運用益非課税) を積極的に活用することが効果的です。これらの制度を活用することで、税制メリットを最大限に享受しつつ、老後の経済的な安心を築くことができるでしょう。


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監修
森本 由紀
  • 森本 由紀
  • ファイナンシャルプランナー/AFP(日本FP協会認定)/行政書士

行政書士ゆらこ事務所(Yurako Office)代表。愛媛県松山市出身。神戸大学法学部卒業。法律事務所事務職員を経て、2012年に独立開業。メイン業務は離婚協議書作成などの協議離婚のサポート。離婚をきっかけに自立したい人や自分らしい生き方を見つけたい人には、カウンセリングのほか、ライフプラン、マネープランも含めた幅広いアドバイスを行っている。法律系・マネー系サイトでの記事の執筆・監修実績も多数。

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執筆
マネイロメディア編集部
  • マネイロメディア編集部
  • お金のメディア編集者

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