
出産手当金と出産育児一時金は両方もらえる?制度の違いと受給条件を解説
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出産を控えている方の中には、公的な支援制度について調べている人も多いでしょう。「出産手当金」と「出産育児一時金」について、両方もらえるのか、どのような違いがあるのか、気になっているのではないでしょうか。
本記事では、出産手当金と出産育児一時金という2つの重要な給付金について、それぞれの目的や対象者、支給額、申請方法などを詳しく解説します。両方の給付金を受け取るための条件も分かりますので、ぜひ参考にしてみてください。
- 出産手当金と出産育児一時金は目的が違うため、条件を満たせば両方もらえる
- 出産育児一時金は出産費用を補助する制度で、健康保険加入者全員が対象
- 出産手当金は産休中の生活を保障する制度で、勤務先の健康保険に加入している人が対象
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結論:出産手当金と出産育児一時金は両方もらえる
結論からいうと、出産手当金と出産育児一時金は、条件を満たせば両方とも受け取ることが可能です。
この2つの制度は目的が異なり、どちらか一方しかもらえないという決まりはありません。
- 出産育児一時金:出産にかかる費用の経済的負担を軽減するための制度
- 出産手当金:出産のために会社を休み、給与が支払われない期間の生活を保障するための制度
このように、出産育児一時金は「出産費用そのものへの補助」、出産手当金は「産休中の収入減少を補う所得補償」という役割分担がされています。
そのため、勤務先の健康保険に加入している会社員の方などであれば、両方の制度の対象となりえます。
出産育児一時金とは?すべての人がもらえる出産費用の補助
出産育児一時金は、出産にかかる経済的な負担を軽くすることを目的とした制度です。公的医療保険(健康保険や国民健康保険など)に加入しているすべての人とこの被扶養者が対象となります。
正常な妊娠・出産は病気ではないため、基本的に健康保険の適用対象外となり、分娩費や入院費は全額自己負担となります。
この高額になりがちな出産費用を補助してくれるのが、出産育児一時金です。
支給対象者と条件
出産育児一時金の支給対象となるのは、以下の条件を満たす人です。
- 公的医療保険(健康保険、国民健康保険、共済組合など)の被保険者またはこの被扶養者であること
- 妊娠4ヶ月(85日)以上の出産であること
この条件を満たしていれば、正社員だけでなく、パート・アルバイト、自営業、専業主婦(主夫)など、働き方にかかわらず給付を受けられます。
また、早産や死産、流産、人工妊娠中絶の場合も支給の対象に含まれます。
支給額
出産育児一時金の支給額は、原則として子ども1人につき50万円です。双子を出産した場合は、2人分である100万円が支給されます。
ただし、出産する医療機関が「産科医療補償制度」に加入しているかどうかで金額が異なります。
産科医療補償制度とは、分娩に関連して重度の脳性麻痺となった赤ちゃんとこの家族の経済的負担を補償する制度です。ほとんどの分娩機関がこの制度に加入しています。
直接支払制度で窓口負担を軽減
出産育児一時金の受け取り方法として、現在は「直接支払制度」が主流です。この制度は、健康保険組合などの公的医療保険から、出産する医療機関へ出産育児一時金が直接支払われる仕組みです。
これにより、出産する人は、退院時に出産費用から一時金の額を差し引いた差額だけを支払えばよくなります。高額な出産費用を事前に全額用意する必要がないため、経済的な負担を軽減できます。
もし出産費用が支給額を下回った場合は、差額分を後から健康保険に申請して受け取ることが可能です。
ほとんどの医療機関でこの制度を利用できますが、出産予定の病院に事前に確認しておくとよいでしょう。
出産手当金とは?会社員だけがもらえる産休中の生活費補償
出産手当金は、会社員や公務員など、勤務先の健康保険に加入している人が、出産のために会社を休業し、この間に給与の支払いがない、または減額された場合に支給される手当です。
産前産後休業(産休)中の収入減少を補い、生活を保障することを目的としています。
そのため、国民健康保険の加入者である自営業の人や、扶養に入っている専業主婦(主夫)は対象外となります。
支給対象者と条件
出産手当金を受け取るための主な条件は以下の3つです。
- 勤務先の健康保険の被保険者であること
- 妊娠4ヶ月(85日)以降の出産であること
- 出産のために休業し、この期間に給与の支払いがないこと
正社員だけでなく、パートやアルバイトであっても、勤務先の健康保険に加入していれば対象となります。
休業中に会社から給与が支払われた場合でも、この金額が出産手当金の額より少なければ、差額分が支給されます。
支給期間
出産手当金が支給される期間は、出産日(実際の出産が予定日より後になった場合は出産予定日)以前42日間と、出産の翌日から56日間の合計98日間の範囲内で、実際に会社を休んだ期間です。
双子などの多胎妊娠の場合は、産前の期間が長くなり、出産日以前98日間、産後56日間の合計154日間が対象となります。
- 出産が予定日より遅れた場合:遅れた日数分も支給対象期間に含まれます。
- 出産が予定日より早まった場合:早まった分だけ産前の支給日数は減りますが、産後の56日間は変わりません。
支給額の計算方法
出産手当金の1日あたりの支給額は、以下の計算式で算出されます。
1日あたりの支給額 =【支給開始日以前12ヶ月間の各標準報酬月額を平均した額】÷ 30日 × 2/3
標準報酬月額とは、給与などの報酬を一定の範囲で区切ったもので、健康保険料の計算の基になる金額です。給与明細などで確認できます。例えば、過去12ヶ月間の標準報酬月額の平均が30万円だった場合、1日あたりの支給額は以下のようになります。
30万円 ÷ 30日 × 2/3 = 6667円(小数点第1位を四捨五入)
この金額に、実際に休んだ日数を掛けたものが総支給額となります。仮に98日間休んだ場合は、6667円×98日=65万3366円が支給される計算です。
出産手当金と出産育児一時金の違いを比較
出産手当金と出産育児一時金は、どちらも出産に関わる公的な給付金ですが、この目的や対象者には明確な違いがあります。
この違いを理解しておくことが、申請漏れを防ぐ上で欠かせません。
制度の目的と対象者
2つの制度の主な違いを以下の表にまとめました。
一番の違いは、出産育児一時金が国民健康保険の加入者や勤務先の健康保険の被扶養者を含むすべての人を対象としているのに対し、出産手当金は勤務先の健康保険に加入している被保険者本人に限定される点です。
扶養に入っている人は出産手当金をもらえない
前述の通り、出産手当金は「働いている人が出産のために仕事を休んだ際の所得補償」という位置づけです。そのため、被保険者本人であることが支給の条件となります。
夫の扶養に入っている専業主婦やパートタイマーの人は、被扶養者として健康保険に加入しているため、出産手当金の支給対象にはなりません。
一方で、出産育児一時金は被扶養者も対象です。夫が会社の健康保険に加入している場合、この被扶養者である妻が出産した際には「家族出産育児一時金」という名称で、同額の一時金が支給されます。
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両方もらうための条件とチェックポイント
出産手当金と出産育児一時金の両方を受け取るためには、それぞれの支給条件を同時に満たす必要があります。具体的には、出産する本人が会社員や公務員などで、勤務先の健康保険に加入しているケースが該当します。
ここでは、両方の給付金を受け取るための条件をあらためて確認しましょう。
会社員で健康保険に加入している
両方の給付金を受け取るための大前提は、出産する本人が勤務先の健康保険の「被保険者」であることです。
被保険者であれば、出産育児一時金の対象となり、かつ出産手当金の対象にもなります。
国民健康保険の加入者や、誰かの扶養に入っている場合は、出産手当金の対象外となるため、両方を受け取ることはできません。
産休中に給与が支払われない
出産手当金は、産休中に給与の支払いがない、または減額された場合の生活保障を目的としています。
そのため、産休中も会社から通常通り給与が支払われる場合は、出産手当金は支給されません。
ただし、支払われる給与の額が出産手当金の額よりも少ない場合は、この差額分を受け取ることができます。
会社の就業規則で産休中の給与の取り扱いがどうなっているか、事前に確認しておきましょう。
妊娠4ヶ月以上での出産
出産育児一時金と出産手当金は、どちらも妊娠4ヶ月(85日)以上の出産が対象となります。
この「出産」には、正常な分娩だけでなく、早産、死産、流産、人工妊娠中絶も含まれます。
万が一、悲しい結果になった場合でも、経済的な支援を受けられる制度であることを覚えておきましょう。
退職後でも出産手当金をもらえるケース
出産を機に退職を考えている場合でも、一定の条件を満たせば、退職後に出産手当金を受け取ることができます。
知らずに申請を諦めてしまうことがないよう、条件をしっかり確認しておきましょう。
退職日までに継続して1年以上被保険者期間がある
1つ目の条件は、退職日(資格喪失日の前日)までに、継続して1年以上、健康保険の被保険者期間があることです。
ここでのポイントは「継続して」という点です。途中で転職していても、空白期間なく健康保険に加入し続けていれば、通算して1年以上とみなされます。
ただし、任意継続被保険者だった期間は含まれないため注意が必要です。
退職日に出産手当金を受けているまたは受ける条件を満たしている
2つ目の条件は、資格喪失時(退職日)に、実際に出産手当金を受給しているか、または受給できる条件を満たしていることです。
具体的には、産休期間中に退職日が含まれている必要があります。
重要な注意点として、退職日に出勤してしまうと、この条件を満たさなくなるため、出産手当金は支給されません。退職日は在籍していても、出勤はしないように調整が必要です。
申請方法と必要書類
出産育児一時金と出産手当金の申請手続きは異なります。それぞれ必要な書類や流れを事前に把握し、スムーズに申請できるように準備しておきましょう。
出産育児一時金の申請方法
出産育児一時金の申請方法は、主に以下の3つです。
直接支払制度
医療機関の窓口で制度利用の合意文書を交わすだけで、健康保険への申請は医療機関が行ってくれます。退院時の支払いは、出産費用から一時金を差し引いた額のみで済みます。
受取代理制度
直接支払制度を導入していない小規模な医療機関などで利用できる制度です。出産前に、加入している健康保険へ「出産育児一時金等支給申請書(受取代理用)」を提出する必要があります。
事後申請
退院時に出産費用を全額自己負担で支払い、後日、加入している健康保険に「出産育児一時金支給申請書」と必要書類(領収書の写しなど)を提出して一時金を受け取る方法です。
現在では、多くの人が窓口負担を軽減できる直接支払制度を利用しています。
出産手当金の申請方法
出産手当金の申請は、一般的に以下の流れで進めます。
- 申請書の入手:産休に入る前に、勤務先の担当部署から「健康保険出産手当金支給申請書」を受け取ります。加入している健康保険のWebサイトからダウンロードすることも可能です。
- 本人記入:申請書の被保険者情報や振込先口座などを記入します。
- 医療機関の証明:出産した病院で、医師または助産師に分娩に関する証明を記入してもらいます。
- 勤務先の証明と提出:勤務先に申請書を提出し、事業主欄(勤務状況や賃金支払状況など)を記入してもらった後、会社から健康保険へ提出してもらうのが一般的です。
申請は産休期間が終わった後にまとめて行うことが多いですが、産前・産後で2回に分けて申請することもできます。
申請から支給までの期間
申請してから実際に給付金が振り込まれるまでの期間は、制度や申請方法によって異なります。
- 出産育児一時金:直接支払制度を利用した場合は、退院時の精算に充てられます。事後申請の場合は、申請後1〜2ヶ月程度が目安です。出産費用が出産育児一時金の額より少なく、差額が支給される場合は、出産から2〜3ヶ月後になることもあります。
- 出産手当金:申請書類を提出してから、おおむね1〜2ヶ月後に指定の口座へ振り込まれます。書類に不備があるとさらに時間がかかる場合があるため、記入漏れなどがないかよく確認しましょう。
出産手当金と育児休業給付金の関係
出産後、産休に引き続いて育児休業(育休)を取得する場合、出産手当金の支給が終わった後には「育児休業給付金」を受け取ることができます。
これは雇用保険から支給される給付金で、育休中の生活を支える重要な制度です。
産後57日目から育児休業給付金に切り替わる
出産手当金の支給対象期間は、産後56日目までです。育児休業は原則として産後休業が終わった翌日(産後57日目)から開始されるため、給付金も出産手当金から育児休業給付金へとスムーズに切り替わります。
第1子の育休中に第2子を妊娠し、産休に入るケースでは、第2子の産前休業が始まった時点で第1子の育児休業は終了します。
この時、第1子の育児休業給付金と第2子の出産手当金を同時に受け取れる期間が発生することがあります。これは、出産手当金の支給条件が「出産のため労務に服していない」ことであり、育休もこれに該当するためです。
育児休業給付金の支給額
育児休業給付金の支給額は、育休開始前の給与を基に計算されます。
- 育休開始から180日(6ヶ月)まで:休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%
- 育休開始から181日以降:休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 50%
「休業開始時賃金日額」は、原則として育休開始前6ヶ月間の賃金を180で割った額です。つまり、最初の半年間は休業前のおおよその給与の67%、それ以降は50%が支給されることになります。
なお、支給額には上限が定められています。支給率67%の場合は月額32万3811円、50%の場合は月額24万1650円が上限です。
出産に関する給付金でよくある質問
ここでは、出産育児一時金や出産手当金に関して、多くの人が疑問に思う点について解説します。
出産育児一時金は会社にバレる?
出産育児一時金の申請は、加入している健康保険と医療機関との間で行われるため、必ずしも会社を経由する必要はありません。
「直接支払制度」を利用する場合、手続きは医療機関の窓口で完結します。そのため、会社に知られずに出産育児一時金を受け取ることは理論上可能です。
ただし、出産後は子どもを扶養に入れる手続きなどで、いずれにせよ会社に出産の事実を伝えることになります。隠しておくメリットは少ないでしょう。
双子の場合は両方とも2倍もらえる?
出産育児一時金は、双子の場合2人分(50万円×2=100万円)が支給されます。この給付金は、生まれてくる子どもの人数に応じて支給されるためです。
一方、出産手当金は、出産する本人の休業に対する所得補償なので、支給額が2倍になるわけではありません。
ただし、多胎妊娠の場合は産前休業を予定日の98日前から取得できるため、単胎妊娠(42日前から)よりも休業期間が長くなります。その結果、休んだ日数に応じて支給される総額は増えることになります。
帝王切開の場合は金額が変わる?
帝王切開で出産した場合でも、出産育児一時金の支給額は変わりません。
ただし、帝王切開などの異常分娩は、医療行為とみなされるため健康保険が適用されます。 そのため、手術費用や入院費用などの医療費が高額になった場合は、「高額療養費制度」の対象となる可能性があります。
高額療養費制度を利用すると、1ヶ月の医療費の自己負担額が所得に応じた上限額を超えた場合に、この超えた分が払い戻されます。
事前に「限度額適用認定証」を申請しておけば、窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えることも可能です。
まとめ
出産手当金と出産育児一時金は、目的や対象者が異なる制度であり、条件を満たせば両方とももらえます。
- 出産育児一時金:出産費用を補助する目的で、公的医療保険の加入者全員が対象。原則50万円が支給される。
- 出産手当金:産休中の生活を保障する目的で、勤務先の健康保険に加入している会社員などが対象。給与のおおよそ3分の2が支給される。
出産前後は何かと費用がかさむ時期です。これらの公的制度を最大限に活用することで、経済的な不安を軽減し、安心して新しい家族を迎える準備ができます。自身が対象となるかを確認し、申請漏れがないようにしましょう。
出産や育児にはまとまったお金がかかります。将来のためにどのくらい資産形成が必要か、一度シミュレーションしてみましょう。
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監修
山本 務
- 特定社会保険労務士/AFP/第一種衛生管理者
東京都練馬区で、やまもと社会保険労務士事務所を開業。企業の情報システム、人事部門において通算28年の会社員経験があるのが強みであり、情報システム部門と人事部門の苦労がわかる社会保険労務士。労務相談、人事労務管理、就業規則、給与計算、電子申請が得意であり、労働相談は労働局での総合労働相談員の経験を生かした対応ができる。各種手続きは電子申請で全国対応が可能。また、各種サイトで人事労務関係の記事執筆や監修も行っている。
執筆
マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。




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