

変動金利はやめたほうがいい?利上げ時代の判断基準と後悔しないための選び方を徹底解説
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日銀の利上げを受け、「住宅ローンを変動金利のままにしておいて大丈夫だろうか」「固定金利に借り換えるべきか」と不安に感じている人も多いのではないでしょうか。
本記事では、変動金利を「やめたほうがいい人」と「変動金利のままでよい人」の判断基準を、専門家の視点からわかりやすく解説します。
具体的なシミュレーションを通じて、自身の状況に合った最適な選択をするための知識を身につけましょう。
- 変動金利をやめたほうがいい人の特徴と、変動金利のままでよい人の条件がわかる
- 変動金利の「5年ルール」などの仕組みと、未払利子といった本当のリスクがわかる
- 変動金利と固定金利の総返済額をシミュレーションで比較し、損益分岐の考え方がわかる
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結論:やめたほうがいい人・変動のままでいい人

住宅ローンの金利タイプを選ぶうえで、変動金利を「やめたほうがいい人」と「変動金利のままでよい人」の境界線は、将来の金利上昇に対する家計の耐久力にあります。
金利が上昇しても家計に余裕があるか、精神的な負担に耐えられるかが重要な判断基準です。
2026年時点では、変動金利も上昇局面に入っていますが、依然として固定金利との間には約2%以上の金利差が存在します。
それぞれのメリット・デメリットを正しく理解し、自身の状況に合わせて判断することが求められます。


判断の目安は「現在より金利が1~2%上昇した場合に返済できるか」
変動金利を続けるかどうかの1つの目安は、現在の適用金利から2%程度上昇しても、家計が破綻せずに返済を続けられるかという点です。
金利が2%上昇すると、毎月の返済額は2〜3割程度増加する可能性があります。
例えば、借入額4000万円、35年返済、金利1.0%の場合、毎月の返済額は約11万3000円です。金利が3.0%に上昇すると、返済額は約15万4000円となり、月々約4万1000円の負担増となります。
この負担増に耐えられるだけの収入の安定性や貯蓄の余裕があるかどうかが、変動金利を継続できるかの分かれ目といえるでしょう。
変動金利が固定金利の水準に追いつくまでには、一定幅の金利上昇が必要です。ただし、必要な上昇幅は、契約している金融機関の基準金利や優遇幅、固定金利の水準によって異なります。
万一に備えて金利上昇をシミュレーションし、事前に家計への影響を具体的に把握しておきましょう。
(参考:返済額のシミュレーション | 住宅保証機構株式会社)
2026年の前提:変動は上昇開始、固定との差は約2%
日銀は2024年3月にマイナス金利政策を解除した後、段階的に政策金利を引き上げています。
2026年6月時点では、日銀の段階的な利上げにより政策金利は1.00%に達し、住宅ローンの変動金利にも上昇圧力がかかっています。(記事公開時点の政策金利については、最新の日銀の金融政策決定会合資料をご確認ください。)
一方で、固定金利の指標となる長期金利は、変動金利に先行して上昇する傾向があります。
2026年6月時点では、変動金利が年1.0%前後であるのに対し、全期間固定金利(フラット35など)は年3.2%前後にまで上昇しており、両者の金利差は約2.2%と過去最大級に開いています。
変動金利と全期間固定金利には一定の金利差があります。ただし、実際の金利は、金融機関、借入条件、団信、融資率、手数料などによって異なります。同じ借入条件と諸費用をそろえて比較することが重要です。
約2%以上の金利差が、変動金利が依然として有力な選択肢であり続ける理由の1つです。
金利上昇への不安から固定金利への切り替えを検討する場合でも、この金利差による返済額の増加を許容できるかどうかが重要な判断材料となります。
「やめたほうがいい」と言われる3つの理由
「変動金利はやめたほうがいい」という意見には、いくつかの根拠があります。
なぜ「変動金利はやめたほうがいい」と言われるか、そのリスクを理解することが、適切な金利タイプを選択する第一歩となります。ここでは、その理由について詳しく解説します。
利上げで返済額が実際に増え始めた

変動金利が危険視される最大の理由は、日銀の利上げによって将来の返済額が増加するリスクがあることです。
2024年3月のマイナス金利解除以降、日銀は段階的に政策金利を引き上げており、それに伴い各銀行の住宅ローン基準金利も上昇しています。
例えば、借入額4000万円・35年返済で適用金利0.85%の場合、毎月の返済額は約11万円です。
仮に金利が0.5%上昇して1.35%になると、返済額は約12万円となり、月々約1万円、年間で約12万円の負担増となります。
子どもの教育費など、他のライフイベントによる支出が増える時期と金利上昇が重なると、家計が急に苦しくなる可能性があります。
こうした返済額増加のリスクが、「変動金利はやめたほうがいい」と言われる直接的な原因です。
(参考:返済額のシミュレーション | 住宅保証機構株式会社)
5年ルールでは利子負担は防げない
変動金利型の元利均等返済では、金融機関や商品によって「5年ルール」や「125%ルール」が設けられている場合があります。一方で、これらのルールを採用していない商品もあります。
5年ルールは、適用金利が上昇しても毎月の返済額は5年間変わらないというもの。125%ルールは、5年後の返済額見直し時に、新しい返済額が以前の1.25倍を超えないようにするというものです。
一見すると安心できる仕組みですが、これはあくまで毎月の支払額の急増を抑える措置にすぎません。
5年間の返済額が変わらない期間でも、内部的には適用金利が上昇しているため、返済額に占める利子の割合が増え、元金の減りが遅くなります。
金利が大幅に上昇した場合、毎月の返済額が利子の支払いだけで占められ、元金が全く減らない、あるいは「未払利子」が発生する可能性すらあります。
このルールは利子負担そのものを軽減するわけではない点を理解しておく必要があります。
固定との金利差が縮まる可能性
「変動金利が上がったら、金利上昇時に固定金利に借り換えればよい」と考える人もいますが、これは有効な対策にならない可能性があります。
住宅ローンの金利は、変動金利と固定金利で参照する指標が異なるため、上昇するタイミングにずれが生じます。
- 固定金利: 長期金利(新発10年物国債利回り)に連動。市場の将来予測を反映し、利上げ観測が広がるだけで先に上昇します。
- 変動金利: 短期金利(日銀の政策金利)に連動。日銀が実際に利上げを決定してから上昇します。
実際に、固定金利は2023年頃から上昇を始めましたが、変動金利の基準金利が本格的に引き上げられたのは2024年後半からでした。
つまり、変動金利の上昇を実感してから固定金利への借り換えを検討したのでは、すでに固定金利も大幅に上昇しており、借り換えのメリットが薄れている、あるいは返済額が増えてしまう可能性が高いのです。
借り換えを検討するなら、早めの判断が求められます。
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変動金利の仕組みと本当のリスク
変動金利のリスクを正しく評価するためには、金利の仕組みを正確に理解することが不可欠です。
ここでは、変動金利の仕組みとおさえておきたいリスクについて解説するので、住宅ローンを選ぶ際の参考にしましょう。
金利見直しと返済額に反映されるタイミング
変動金利は、多くの商品で年2回程度見直されます。ただし、見直し時期、基準金利、実際の適用金利に反映される時期は金融機関や商品によって異なります。
この見直しは、日銀の政策金利に連動する「短期プライムレート」を基準に行われます。
しかし、金利が見直されても、すぐに毎月の返済額が変わるわけではありません。多くの金融機関では、金利見直し後の新しい返済額が適用されるのは、次回の返済額見直しタイミング(通常は5年ごと)まで待つことになります。
具体的には、4月・10月に基準金利が見直された場合、既存の借入者への適用金利は更新されますが、毎月の返済額自体は5年間固定されます。
そして、5年後の返済額見直しを経て、その後の返済額が変更されるという流れが一般的です。
ただし、最近では規約を見直し、より柔軟に返済額を変更できる銀行も増えているため、自身の契約内容を確認しておくことが欠かせません。
5年ルール・125%ルールの落とし穴

変動金利の返済額急増を防ぐ「5年ルール」と「125%ルール」は、一見すると借り手を守る仕組みに見えますが、見過ごせない落とし穴があります。
金利が上昇しても5年間は返済額が変わりませんが、5年間の返済額が変わらない期間でも、返済額の内訳は「利子」の割合が増え、「元金」の割合が減るように調整されます。
これにより、元金の減るペースが著しく鈍化し、総返済額が増加する可能性があります。
さらに、5年後の返済額見直し時には、新しい返済額は以前の1.25倍までしか増えない「125%ルール」が適用されます。
このルールも、急激な負担増は防ぎますが、金利が大幅に上昇している場合、本来支払うべき利子額が新しい返済額を上回ってしまうことがあります。
未払利息や返済期間終了時に残った元金の取扱いは、金融機関や契約によって異なります。最終返済時に一括返済が必要となる場合などもあるため、契約内容を確認する必要があります。
これらのルールはあくまで返済額の急変を防ぐ一時的な措置であり、利子負担そのものを減らすものではないことを理解しておく必要があります。
未払利子が発生するケース
未払利子は、変動金利が大幅に上昇し、毎月の返済額が支払うべき利子額を下回った場合に発生します。
通常、毎月の返済額は「元金+利子」で構成されていますが、金利が急上昇すると利子部分だけで返済額を超えてしまうことがあるのです。
例えば、毎月の返済額が10万円で、金利上昇によって計算上の利子額が11万円になった場合、差額の1万円が「未払利子」として計上されます。
この未払利子は、返済が免除されるわけではなく、将来に支払いが繰り延べられる「隠れた負債」となります。
未払利子が積み重なると、返済期間が終了しても元金と未払利子が残り、最終的に一括返済を求められるリスクがあります。
5年ルールや125%ルールによって毎月の返済額が抑制されている間に金利が上昇し続けると、未払利子が発生しやすくなるため注意が必要です。
金融機関によって未払利子の精算方法は異なるため、契約内容を事前に確認しておくことが大切です。
変動をやめたほうがいい人の4つの特徴
変動金利はすべての人にとって危険なわけではありませんが、特定の状況にある人にとってはリスクが高い選択となる場合があります。
具体的には、返済負担率が高い人、十分な貯蓄がない人、将来の支出計画が固まっている人、そして金利の変動に精神的なストレスを感じやすい人です。
これらの特徴に当てはまる場合は、返済額が確定している固定金利への切り替えも選択肢の1つと考えられます。

返済負担率が高い
返済負担率とは、年収に占める年間の住宅ローン返済額の割合のことです。返済負担率は家計の余裕を判断する一つの目安です。一般的には低いほど安全性は高くなりますが、適正な水準は世帯構成、年齢、教育費、他の借入れなどによって異なります。
例えば、年収600万円の人が年間150万円(月々12万5000円)を返済している場合、返済負担率は25%です。
この状態で金利が上昇し、毎月の返済額が1万円でも増えれば、家計は一気に圧迫されます。
一般的に、無理のない返済負担率は20%以下とされています。
すでに返済負担率が高い状態で変動金利を利用している場合、金利上昇への対応力が乏しいため、固定金利への切り替えを検討したほうがよいでしょう。
貯蓄が生活費6ヶ月分未満

金利上昇や予期せぬ支出に備えるためには、十分な貯蓄が不可欠です。
一般的に、生活費の6ヶ月分から1年分程度の貯蓄(生活防衛資金)があると安心とされています。
この水準の貯蓄がない場合、変動金利の上昇によって返済額が増加した際に対応できなくなるリスクが高まります。
また、繰り上げ返済によって将来の利子負担を軽減するという選択肢も取れません。
繰り上げ返済に回せる資金がほとんどない、あるいは貯蓄が300万円未満といった場合は、変動金利のリスクを直接家計で受け止めることになります。
生活費6ヶ月から1年分などを一つの目安にすることに加え、今後予定される教育費や修繕費などを確保したうえで、金利上昇時にも対応できる余力があるかを確認しましょう。
安定した返済計画を立てるためにも、まずは貯蓄を優先するか、固定金利で返済額を確定させることを検討すべきでしょう。
教育費・老後資金の支出時期が確定している
変動金利は総返済額が予測できないため、将来のライフプランを正確に立てたい人には不向きな場合があります。
子どもの大学進学や自身の定年退職など、支出や収入の減少が見込まれる時期が明確に決まっている場合は注意が必要です。
例えば、「今後5〜10年以内に教育費のピークが来る」といった家庭では、教育費のピーク時期に金利が上昇すると、教育費と住宅ローン返済の増加が重なり、家計を直撃する可能性があります。
将来の支出計画を立てやすくし、安心して教育費や老後資金を準備するためには、借入時点で完済までの返済額が確定する固定金利のほうが適しているといえます。
返済額が変わらない安心感は、長期的な資金計画を立てるうえでメリットとなります。
金利ニュースを見るたび不安になる
住宅ローンの金利タイプ選びは、経済的な合理性だけでなく、精神的な安定も重要な要素です。
変動金利を選ぶと、日銀の金融政策決定会合(年8回)や金利に関するニュースが出るたびに、「返済額が増えるかもしれない」という不安に駆られる可能性があります。
金利変動への不安が大きいと感じる人は、変動金利には向いていないかもしれません。
実際に、金利上昇への不安から夫婦間の口論が増えたり、SNSで「変動金利 後悔」といった投稿を検索してしまったりするケースも見られます。
毎月の返済額が多少高くなったとしても、金利の動向に一喜一憂することなく、安心して生活できることを重視するなら、返済額が確定する固定金利を選ぶ価値は十分にあります。
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変動のままでいい人・これから選んでいい人
一方で、すべての人が変動金利を避けるべきというわけではありません。それぞれの経済状況などによっては、変動金利を選んだ方がいいケースもあります。
ここでは、具体的に変動金利のままでいい人や、これから住宅ローンを組む人の中で変動金利を選んだ方がいい人の特徴について詳しく見ていきましょう。
金利2%でも家計が耐えられる
変動金利を安心して利用できる人の重要な条件は、金利が上昇しても家計が耐えられることです。
具体的には、現在の適用金利から1〜2%上昇した場合の返済額をシミュレーションし、その金額でも無理なく支払いを続けられるかどうかを確認しましょう。
例えば、返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)が20%以下に収まっている、あるいは金利が1%上昇しても月々の支払いに十分な余裕があるといった場合は、変動金利を継続する合理的な理由があります。
大切なのは、借りられる上限額でローンを組むのではなく、「金利が上昇しても無理なく返せる額」を基準に借入額を決めることです。この余裕が、将来の金利変動に対する最大の備えとなります。
繰り上げ返済の余力がある
繰り上げ返済ができる十分な貯蓄があることも、変動金利のリスクを管理するうえで強力な武器になります。
繰り上げ返済には、返済期間を短縮する「期間短縮型」と、毎月の返済額を減らす「返済額軽減型」がありますが、総利息を減らす効果を重視するなら期間短縮型、毎月の返済負担を抑えることを重視するなら返済額軽減型が選択肢になります。目的に応じて選ぶことが重要です。
元金が減れば、その後の利子負担も軽減されるため、金利上昇の影響を直接的に抑えることができます。
目安として、繰り上げ返済に回せる貯蓄が300万円以上ある場合は、変動金利を継続する選択肢が有力になります。
「金利が1.5%を超えたら繰り上げ返済を実行する」といったように、あらかじめ自分なりのルールを決めておけば、金利が上昇した際にも慌てず冷静に対応できるでしょう。
完済までの期間が短い

住宅ローンの残りの返済期間が短い場合も、変動金利を継続するメリットが大きいといえます。
一般的に、住宅ローンの利子負担は、返済期間が長く、ローン残高が多い返済初期に重くなります。
逆に、残期間が短く、かつローン残高も十分に減っている場合は、金利上昇による総返済額への影響が比較的小さくなる傾向があります。
住宅ローンは、最初の10年間で支払う利子が総額の半分近くを占めることもあります。
すでにこの利子負担の重い期間を低金利の変動金利で乗り越えてきたのであれば、今から金利の高い固定金利に借り換えるメリットは少ないかもしれません。
残りの返済期間とローン残高を考慮し、借り換えにかかる諸費用と比較して判断することが必須です。
ミックスローンという折衷案
「全額を固定金利にするのは金利が高すぎるが、全額変動金利も不安」という場合には、ミックスローン(金利ミックス型)が有効な選択肢となります。
これは、1つの住宅ローンを変動金利と固定金利の2つの契約に分け、両方を組み合わせて利用する方法です。
例えば、3000万円の借入額のうち、1500万円を変動金利、残りの1500万円を固定金利で組むといった形です。
これにより、変動金利の低金利メリットを享受しつつ、金利が上昇した際の影響を借入額の半分に抑えることができます。固定金利部分で将来の返済額が確定するため、安心感も得られます。
ただし、ローン契約が2本になるため事務手数料などの諸費用が割高になる場合があるほか、すべての金融機関が取り扱っているわけではない点には注意が必要です。
リスクとリターンのバランスを取りたい人にとって、検討する価値のある方法といえるでしょう。
変動と固定の損益分岐【シミュレーション】
変動金利と固定金利のどちらが最終的にお得になるかは、将来の金利動向次第であり、正確な予測は誰にもできません。
しかし、いくつかのシナリオを想定してシミュレーションを行うことで、リスクの大きさを具体的に把握し、判断材料とすることは可能です。
ここでは、金利が「横ばい」「緩やかに上昇」「急上昇」する3つのケースで、総返済額がどのように変わるかを比較し、損益分岐の考え方を探ります。
(参考:返済額のシミュレーション | 住宅保証機構株式会社)
金利差2%をどう評価するか
2026年6月現在、変動金利と固定金利の間には約2%以上の金利差があります。
例えば、4000万円を35年返済で借り入れる場合、金利1.0%(変動)と3.2%(固定)では、毎月の返済額に約4万5000円、総返済額では約1912万円もの差が生まれます。
この差額は、将来の金利上昇リスクを金融機関に負担してもらうための「保険料」と考えることができます。
固定金利を選ぶということは、「保険料」を支払うことで、完済までの返済額を確定させる安心感を得るということです。
一方、変動金利を選ぶということは、「保険料」を支払わず、その分を貯蓄や繰り上げ返済に回すことで、金利上昇リスクに自分で備えるという選択です。
金利差(保険料)を「安心のためのコスト」として許容できるか、それとも「自分で管理できるリスク」と捉えるかが、金利タイプを選ぶうえでの根本的な問いとなります。
金利横ばい・緩やか上昇・急上昇の3シナリオ比較
変動金利と固定金利のどちらが有利になるかは、将来の金利動向によって変わります。ここでは、借入額4000万円、35年返済のケースで3つのシナリオを比較します。
シナリオ1:金利が横ばい(変動1.0%、固定3.2%)
- 変動金利の総返済額:約4742万円
- 固定金利の総返済額:約6654万円
- 差額:約1912万円(変動金利の総返済額が少ない)
シナリオ2:緩やかに上昇(変動金利が6年目に2.5%、11年目に3.5%へ上昇)
- 変動金利の総返済額:約5986万円
- 固定金利の総返済額:約6654万円
- 差額:約668万円(変動金利の総返済額が少ない)
本シミュレーションは、金利変更時にその時点のローン残高と残期間をもとに返済額を再計算し、5年ルールおよび125%ルールは考慮しない前提です。
このシミュレーションでは、変動金利が最終的に固定金利を上回る3.5%まで上昇しても、当初10年間の低金利期間が寄与し、総返済額では変動金利のほうが少なくなるという結果になりました。
シナリオ3:急上昇(バブル期のような金利8.5%への上昇など)
極端なケースでは、変動金利の総返済額が固定金利を上回る可能性があります。
しかし、現在の経済状況から考えると、急激な金利上昇の可能性は低いと見る専門家が多いのが実情です。
総返済額とリスクのバランスで選ぶ

シミュレーションの結果からもわかるように、当初の金利差が大きく、金利上昇が緩やかなケースでは、変動金利の総返済額が固定金利を下回ることがあります。一方で、金利が早い時期に大きく上昇した場合は、結果が逆転する可能性があります。
しかし、これはあくまで過去のデータや一定の前提に基づく試算であり、将来を保証するものではありません。
住宅ローンの金利タイプ選びで大切なのは、単なる損得勘定だけでなく、自身の「リスク許容度」とのバランスを考えることです。
- 変動金利が向いている人: 総返済額を抑えることを優先し、金利上昇リスクに対して貯蓄や繰り上げ返済で自ら備えることができる人。
- 固定金利が向いている人: 毎月の返済額を確定させ、将来の金利変動に不安を感じることなく、安定した資金計画を立てたい人。
金利差というコストを支払って「安心」を買うか、リスクを自分で管理して「低金利」のメリットを享受するか。
自身の家計状況や価値観に照らし合わせて、納得のいく選択をすることが後悔しないための鍵となります。
変動で借りる・借り続けるための対策
変動金利を選択した場合、金利上昇リスクと無縁ではいられません。しかし、適切な対策を講じることで、リスクを管理し、低金利のメリットを享受することは十分に可能です。
具体的な対策としては、「先取り貯蓄」「繰り上げ返済」「固定金利への切り替えや借り換え」を検討することなどが挙げられます。
ここでは、それぞれの対策について詳しく解説します。どの方法が最適か迷った場合は、専門家への相談も検討しましょう。


金利上昇分を先取り貯蓄する
変動金利で借りる際の有効な対策の1つが、固定金利を選んだと仮定して、差額分を毎月貯蓄に回す方法です。
例えば、変動金利の返済額が月11万円、固定金利なら月15万円だった場合、差額の4万円を「金利上昇への備え」として別の口座に貯めていきます。
この方法には2つのメリットがあります。1つ目は、将来金利が上昇して返済額が増えた際に、貯蓄分を取り崩して補填できることです。2つ目は、金利が想定ほど上昇しなかった場合に、貯まった資金を繰り上げ返済の原資にしたり、教育資金や老後資金など別の目的に活用したりできる点です。
手元に資金を残しておけるため、急な出費にも対応しやすく、精神的な安心にもつながります。
この「つもり貯金」を実践することで、変動金利のリスクに主体的に備えることができます。
繰り上げ返済で元金を減らす
計画的な繰り上げ返済は、変動金利の金利上昇リスクに対する直接的かつ効果的な防衛策です。
繰り上げ返済によってローン元金そのものを減らすことで、将来支払うべき利子の総額を圧縮できます。
返済期間を短縮する「期間短縮型」の繰り上げ返済は、利子軽減効果が高く、金利上昇局面では有効です。
まとまった資金がなくても、最近は多くの金融機関で少額から手数料無料で行えるため、ボーナス時などに数万円ずつでも継続して行うことで、着実に元金を減らすことができます。
金利が低いうちに積極的に繰り上げ返済を進めておけば、将来金利が上昇した際の影響を最小限に抑えることが可能です。
ただし、手元の資金が枯渇しないよう、生活防衛資金とのバランスを考慮して計画的に行うことが必須です。
固定への切り替え・借り換えの判断基準
変動金利から固定金利への変更を検討する際には、タイミングとコストが重要な判断基準となります。
一般的に、借り換えのメリットが出やすいのは「ローン残高1000万円以上」「残りの返済期間10年以上」「借り換え後の金利差0.5%以上」の3つの条件を満たす場合とされています。
しかし、変動金利から固定金利への変更では、金利が上昇することが多いため、単純な金利差比較だけでは判断できません。
将来の金利上昇リスクを回避するための「保険料」として、どれくらいのコストアップなら許容できるかという視点が鍵となります。
借り換えには、事務手数料や保証料などの諸費用が数十万円単位で発生します。
これらのコストを支払ってでも、返済額を確定させる安心感を得たいかどうか、自身の家計状況やリスク許容度と照らし合わせて慎重に判断する必要があります。
借り換えシミュレーションなどを活用し、諸費用を含めた総返済額で比較検討しましょう。
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変動金利に関するよくある質問
変動金利については、将来の金利動向や固定金利との比較など、多くの人が疑問や不安を抱えています。
ここでは、変動金利に関してよく寄せられる質問について、専門家の見解も交えながらわかりやすく回答します。
Q. 変動金利はいつ・どこまで上がる?
変動金利がいつ、どこまで上昇するかを正確に予測することは誰にもできません。
市場予想や専門家の見通しも、物価、賃金、為替、景気などによって変化します。そのため、特定の予測に依存せず、複数の金利上昇シナリオを想定しておくことが重要です。
日銀はこれまで経済・物価情勢を確認しながら段階的に政策を変更してきました。ただし、今後の利上げ時期や幅は確定していません。
また、社会全体の継続的な賃金上昇が確認されない限り、大幅な利上げは難しいと考えられています。
多くの専門家は、金利上昇の最終到達点を1.0〜1.5%程度と見ていますが、これも確定的なものではありません。
重要なのは、「全く上がらない」時代は終わり、「段階的に上がっていく」ことを前提に、自身の家計でシミュレーションしておくことです。
Q. 金利がいくらになったら固定が得?
変動金利と固定金利のどちらが最終的に得になるかの「損益分岐点」は、将来の金利上昇のペースと幅によって変わるため、一概に示すことは困難です。
シミュレーションによれば、変動金利が借入期間の後半で固定金利を上回る3.5%程度まで上昇したとしても、当初の低金利期間が長いため、総返済額では変動金利のほうが少なくなるケースが多く見られます。
バブル期のように金利が8%を超えるような極端な状況にならない限り、変動金利が総返済額で固定金利を上回る可能性は低いと考える専門家もいます。
ただし、これはあくまで試算であり、金銭的な損得だけでなく、返済額が確定する安心感も考慮して、自身が納得できる選択をすることが肝となります。
Q. いま審査中だが変動でいい?
現在、住宅ローンの審査中である場合でも、基本的な考え方は同じです。
専門家の間では、変動金利は当面、現状維持か緩やかな上昇にとどまるとの見方が多く、急激な上昇リスクは低いと考えられています。
住宅ローンは返済開始から最初の10年間の利子負担が重いため、この期間をできるだけ低い金利で乗り切ることが総返済額を抑えるうえで鍵となります。
元利均等返済では、返済当初ほど毎月返済額に占める利息の割合が高く、返済が進むにつれて元金部分の割合が増えていきます。
そのため、金利上昇に耐えられる家計状況であり、リスク対策(貯蓄や繰り上げ返済)を講じることができるのであれば、現時点では変動金利を選択することも選択肢の1つと考えられるでしょう。
ただし、金利変動への不安が強い場合は、当初の数年間だけ金利を固定する「固定期間選択型」や、全期間固定金利も合わせて検討することをおすすめします。
Q. 変動から固定への切り替えは間に合う?
変動金利から固定金利への切り替えは、タイミングが極めて重要です。
前述の通り、固定金利は変動金利よりも先に上昇する傾向があるため、「変動金利が上がったから固定金利に切り替えよう」と考えても、切り替え時点ではすでに固定金利も高くなっており、手遅れになる可能性があります。
同じ金融機関内で金利タイプを変更する場合、手続きは比較的簡単ですが、新規契約時よりも高い金利が適用されることが少なくありません。
一方、別の金融機関へ借り換える場合は、新規契約と同様の審査が必要となり、時間と諸費用がかかります。
金利上昇局面で有利な条件で固定金利に切り替えるのは容易ではありません。
もし切り替えを検討するのであれば、金利が本格的に上昇し始める前の、早めの情報収集と判断が不可欠です。
まとめ

「変動金利はやめたほうがいいか」という問いに、すべての人に当てはまる唯一の正解はありません。
日銀の利上げにより変動金利は上昇局面にありますが、依然として固定金利より低い水準です。
重要なのは、金利が2%程度上昇しても家計が耐えられるか、金利変動のニュースに精神的なストレスを感じないか、といった自身の状況を客観的に把握することです。
家計状況を客観的に把握したうえで、金利上昇に備えた貯蓄や繰り上げ返済といった対策を講じられるのであれば、変動金利は有力な選択肢であり続けます。
過去の選択を後悔するのではなく、現在の状況で最適な一手は何かを考え、行動することが大切です。
本記事で解説した判断基準やシミュレーションを参考に、自身にとって後悔のない選択をしてください。
自身の家計が金利上昇にどの程度耐えられるか、客観的な視点で確認してみませんか。
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監修

叶 温
- 税理士/宅地建物取引士/マンション管理業務主任者
不動産投資に特化した税理士。2006年に自身の投資を開始し、約20年にわたり不動産投資における税務戦略および資産形成支援に従事。購入前の段階から収益設計と節税提案を行う点を強みとする。独自に不動産投資シミュレーションソフト「REITISS」を開発し、特許を取得。これまでに多数の投資家を支援してきた実績を有する。
執筆

マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
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