
変動利付国債とは?金利上昇局面で注目される理由とメリット・デメリット
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「金利が上がっている今、有利な資産運用はないだろうか」「元本割れは避けたいけれど、預金よりは高い利回りを目指したい」とお考えではありませんか?
変動利付国債は、このようなニーズに応える可能性がある金融商品です。
本記事では、変動利付国債の仕組みからメリット・デメリット、固定利付国債との違いまで、分かりやすく解説します。ぜひ、将来の資産運用計画を立てるうえでの判断材料としてご活用ください。
- 変動利付国債は市場金利に連動して半年ごとに利率が変わる国債であること
- 金利上昇局面では受取利子が増えるが、金利低下局面では利子が減ること
- 固定利付国債との違いと、将来の金利見通しに応じて選ぶ重要性
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変動利付国債の基本的な仕組み
変動利付国債とは、この名の通り、利率(クーポン)が固定されずに変動する国債のことです。半年ごとに利率が見直され、その時々の市場金利の動向が反映される仕組みになっています。
これにより、投資家は金利変動リスクに対応しながら、安定的な資産運用を目指すことが可能です。
市場金利に連動して利率が変わる国債
変動利付国債の利率は、市場金利の動きに連動して半年ごとに見直されます。具体的には、個人向け国債「変動10年」の場合、10年物国債の利回りを基準として新しい利率が決定されます。
市場金利が上昇すれば、それに伴って国債の利率も上昇し、受け取れる利子が増えます。逆に市場金利が低下すれば、利率も低下し、利子は減少します。
この点が、発行から満期まで利率が変わらない固定利付国債との大きな違いです。
利率の計算方法と下限保証
個人向け国債「変動10年」の適用利率は、具体的な計算式に基づいて決定されます。利率の基準となるのは、10年固定利付国債の平均落札利回りです。この基準金利に「0.66」を掛け合わせたものが、半年間の適用利率となります。
適用利率 = 基準金利 × 0.66
また、変動利付国債には投資家保護の観点から最低金利が保証されています。仮に市場金利が大幅に低下し、計算上の利率が0.05%を下回ったとしても、年率0.05%の利子は必ず支払われる仕組みです。
これにより、金利が極端に低い状況でも、最低限の収益を確保することができます。
発行される変動利付国債の種類
現在、個人投資家が購入できる主要な変動利付国債の1つが、満期が10年の個人向け国債「変動10年」です。これは、個人の資産形成を目的として設計されており、多くの金融機関で取り扱われています。
一方で、財務省は国債の安定的な消化を目指し、投資家の多様なニーズに応えるため、新たな変動利付国債の発行を計画しています。2027年1月以降には、主に銀行などの機関投資家向けに、満期が2年および5年の新しい変動利付国債の発行が計画されています。
これらの国債は、個人向け国債とは異なり、半年物T-Bill(短期国債)の利回りを基準金利とするなど、商品性が異なります。
(参照:国の債務管理に関する研究会(第8回)|財務省)
変動利付国債のメリット
変動利付国債には、金利が上昇する可能性がある経済環境において、投資家にとって有利ないくつかのメリットがあります。詳しく解説していきます。
金利上昇時に利子が増える
変動利付国債の最大のメリットは、市場金利の上昇に合わせて受け取れる利子が増える点です。半年ごとに利率が見直されるため、金利上昇局面では、次の利払いからより高い利率が適用され、収益が増加します。
これは、物価が上昇するインフレの局面において、資産価値の目減りを防ぐ効果が期待できます。実際に、金利が上昇傾向にある局面では、個人向け国債の販売額が増加する傾向が見られます。
将来の金利上昇を見込む投資家にとって、変動利付国債は魅力的な選択肢となります。
元本割れリスクがない
個人向け国債は日本国が発行しているため、信用度が極めて高く、満期まで保有すれば額面金額で償還されます。さらに、個人向け国債「変動10年」には、国による買取制度が設けられています。
発行から1年が経過すれば、いつでも額面金額で国に買い取ってもらうことが可能です。これにより、市場価格の変動による元本割れのリスクがありません。
ただし、中途換金する際には、直前2回分の利子(税引前)に相当する金額が「中途換金調整額」として差し引かれる点には注意が必要です。
最低金利保証で安心
変動利付国債は市場金利の低下によって利率が下がる可能性がありますが、投資家が不利になりすぎないようセーフティネットが設けられています。個人向け国債「変動10年」には、年率0.05%の最低金利が保証されています。
これにより、将来的に市場金利がゼロに近くなるような極端な低金利環境になったとしても、利子が全く付かなくなることはありません。
この最低金利保証があるため、金利の先行きが不透明な状況でも、安心して資産運用を続けることができます。
少額から始められる
個人向け国債は、資産運用の初心者でも始めやすいように設計されています。購入は最低1万円から、1万円単位で行うことができます。
まとまった資金がなくても、毎月の貯蓄の一部を国債に振り分けるといった形で、コツコツと資産形成を進めることが可能です。
この手軽さは、幅広い層の個人投資家にとって大きなメリットといえるでしょう。
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変動利付国債のデメリットとリスク
変動利付国債は多くのメリットを持つ一方で、いくつかのデメリットやリスクも存在します。金利が低下する局面では収益性が悪化する可能性があるため、投資を検討する際にはこれらの点を十分に理解しておくことが欠かせません。
主なデメリットとリスクは以下の通りです。
金利低下時に利子が減る
変動利付国債は金利上昇時に有利な反面、市場金利が低下する局面では受け取れる利子が減少するというデメリットがあります。半年ごとの利率見直しで、基準となる金利が下がれば、次の利払いから適用利率も引き下げられます。
長期にわたって低金利が続くような経済環境では、発行時に利率が確定している固定利付国債のほうが、結果的により多くの利子を受け取れる可能性があります。
ただし、前述の通り、個人向け国債「変動10年」には年率0.05%の最低金利保証があるため、利子がゼロになることはありません。
インフレ率が利回りを上回るリスク
変動利付国債は金利上昇に対応できるためインフレに強いとされていますが、必ずしも万能ではありません。急激な物価上昇が起こり、インフレ率が国債の利回りを上回る状況になると、実質的な資産価値は目減りしてしまいます。
例えば、国債の利回りが年1.0%でも、インフレ率が年2.0%であれば、お金の購買力は実質的に低下します。
名目上は利子を受け取っていても、資産の実質的な価値を守りきれないリスクがあることは理解しておく必要があります。
長期的な収益予測が難しい
変動利付国債は、将来の金利動向によって利率が変わるため、満期までの総受取利子額を事前に正確に予測することが困難です。金利がどのように変動するかは誰にも予測できないため、長期的な運用計画を具体的に立てにくいという側面があります。
一方、固定利付国債であれば、購入時点ですべての利子額が確定するため、将来の収益見通しが立てやすくなります。
ライフプランに合わせて確実な資金計画を立てたい場合には、この点がデメリットと感じられるかもしれません。
中途換金時の調整額
個人向け国債「変動10年」は、元本割れのリスクがない一方で、換金には一定の制約があります。まず、発行から1年間は原則として中途換金ができません。急に資金が必要になっても、この期間は現金化できない点に注意が必要です。
また、発行から1年が経過した後でも、中途換金する際にはペナルティとして「直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685」が、換金代金から差し引かれます。
これは「中途換金調整額」と呼ばれるもので、早期に換金するほど手取り額が少なくなる可能性があります。
満期まで保有しない可能性がある資金での購入は慎重に検討する必要があります。
変動利付国債と固定利付国債の違い
国債には、変動利付国債のほかに「固定利付国債」があります。どちらも国が発行する安全性の高い債券ですが、利率の決まり方や金利環境による向き不向きが異なります。
これらの違いを理解し、自身の投資方針や金利見通しに合った商品を選ぶことが大切です。
利率の決まり方の違い
変動利付国債と固定利付国債の一番大きな違いは、利率が変動するか、固定されているかという点です。
- 変動利付国債:半年ごとに、この時点の市場金利を基に新しい利率が設定されます。
- 固定利付国債:購入時に定められた利率が、満期まで変わりません。
この違いにより、将来受け取る利子の総額が、変動利付国債は不確定であるのに対し、固定利付国債は購入時点で確定するという特徴があります。
金利環境別の向き不向き
利率の決まり方が異なるため、金利環境によってどちらの商品が有利になるかが変わります。
- 金利上昇局面:これから金利が上がると予想される場合、利率が連動して上昇する変動利付国債が有利です。
- 金利低下局面:これから金利が下がると予想される場合、購入時の比較的高い利率が満期まで維持される固定利付国債が有利です。
満期の違い
個人向け国債には、金利タイプだけでなく、満期(償還までの期間)にも複数の選択肢があります。
- 変動10年:満期10年の変動金利タイプ
- 固定5年:満期5年の固定金利タイプ
- 固定3年:満期3年の固定金利タイプ
変動金利タイプは10年満期のみですが、固定金利タイプには3年と5年の選択肢があります。自身の資金計画や、どのくらいの期間、資金を預けておけるかに合わせて商品を選ぶことができます。
一般的に、満期が長いほど金利は高めに設定される傾向があります。
変動利付国債の購入方法と注意点
変動利付国債、個人向け国債は、多くの金融機関で取り扱われており、比較的簡単に購入することができます。しかし、購入する際にはいくつかの注意点があります。
ここでは、具体的な購入方法と事前に確認しておくべきポイントを解説します。
どこで買えるか
個人向け国債は、以下のような幅広い金融機関で購入することができます。
- 銀行:都市銀行、地方銀行、ネット銀行など
- 証券会社:大手証券、ネット証券など
- ゆうちょ銀行
- 農協(JAバンク)など
これらの金融機関に国債専用の口座を開設することで取引が可能になります。普段利用している金融機関の窓口や、ネット証券などを通じてオンラインで購入することもできます。
取扱金融機関によってキャンペーンなどが実施されることもあるため、比較検討するのもよいでしょう。
購入単位と購入タイミング
個人向け国債は、最低1万円から、1万円単位で購入することができます。少額から始められるため、資産運用の第一歩としても適しています。
購入のタイミングについては、毎月募集が行われています。各月の募集期間は財務省のWebサイトや取扱金融機関で確認できます。
募集期間中に申し込みを行い、購入代金を支払うことで、翌月の発行日に国債が発行される流れとなります。
税金の取り扱い
個人向け国債の利子には、税金がかかります。受け取る利子に対して、20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)が源泉徴収されます。
源泉徴収とは、利子が支払われる際に金融機関が税金をあらかじめ差し引いて納税する仕組みのことです。そのため、投資家自身が確定申告を行う必要は原則としてありません。
ただし、障がい者の方などを対象とした「マル優・特別マル優」といった非課税制度を利用できる場合もあります。対象となる人は、取扱金融機関に問い合わせてみるとよいでしょう。
変動利付国債に関するよくある質問
変動利付国債について、投資を検討している人がぶつかりやすい疑問・質問とその回答をまとめました。
Q. 変動利付国債はどこで買える?
個人向け国債は、銀行、証券会社、ゆうちょ銀行、農協(JAバンク)など、全国の多くの金融機関で購入できます。窓口だけでなく、インターネット経由での申し込みも可能です。
普段お使いの金融機関で取り扱いがあるか確認してみましょう。
Q. 元本割れのリスクはある?
個人向け国債「変動10年」は、満期まで保有すれば額面金額で償還されます。また、発行から1年経過すれば、いつでも国が額面金額で買い取ってくれるため、市場価格の変動による元本割れのリスクはありません。
ただし、中途換金時には所定の調整額が差し引かれます。
Q. 固定金利型とどちらを選ぶべき?
将来の金利が上昇すると考えるなら、利率が連動して上がる「変動利付国債」が有利です。逆に、金利が低下する、または現在の水準で安定すると考えるなら、購入時の利率が満期まで保証される「固定利付国債」が有利といえます。
自身の金利見通しによって選択するのが基本です。
まとめ
変動利付国債は、市場金利に連動して半年ごとに利率が見直される国債です。金利が上昇する局面では受け取れる利子が増えるため、インフレ対策としても有効な資産運用手段といえます。
個人向け国債「変動10年」は、国が元本を保証しており、最低金利も設定されているため、安全性を重視する方にも適しています。
一方で、金利が低下すると収益が減少するリスクや、中途換金時のペナルティがある点も理解しておく必要があります。
自身の金利に対する見通しや運用計画に合わせて、固定利付国債との違いも比較しながら、変動利付国債の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
現在の資産状況やリスク許容度に合わせた運用方法に不安がある場合は、まずは簡単なシミュレーションから始めてみましょう。
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監修
高橋 明香
- ファイナンシャルアドバイザー/CFP®認定者
みずほ証券(入社は和光証券)では、20年以上にわたり国内外株、債券、投資信託、保険の販売を通じ、個人・法人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事。2021年に株式会社モニクルフィナンシャル(旧:株式会社OneMile Partners)に入社し、現在は資産運用に役立つコンテンツの発信に注力。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、一種外務員資格(証券外務員一種)保有。
執筆
マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。

