

国債の相続税評価額の計算方法と申告手続き|種類別の評価式と2026年の減免動向
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「親の遺産に国債があったけれど、相続税の計算方法がわからない」「国債の相続手続きはどう進めればよいのだろう」といったお悩みはありませんか。
国債は種類によって評価方法が異なり、手続きも複雑に感じられるかもしれません。
本記事では、国債の相続税評価額の計算方法から申告手続き、最新の税制議論まで、専門家がわかりやすく解説します。
- 国債の種類(個人向け・利付・割引)で相続税評価額の計算方法が異なること
- 国債を相続した際の手続きの流れと、相続税申告書への具体的な記載方法
- 2026年時点での国債に関する相続税の減免やNISA対象化といった税制改正の議論
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国債は相続税の課税対象になる

亡くなった人が保有していた国債は、預貯金や不動産と同じく相続財産に含まれ、相続税の課税対象となります。
国債は国が発行する債券であり、金銭的な価値を持つ資産として扱われるため、相続が発生した際には当該価値を正しく評価し、遺産総額に含めて申告する必要があります。


国債とは
国債とは、国が公共事業などの資金を調達するために発行する債券のことです。国債を購入した人は、国に対してお金を貸していることになり、満期(償還日)を迎えると元本が返還され、保有期間中は定期的に利子を受け取ることができます。
発行元が日本国政府であるため、元本や利子の支払いが滞るリスクは極めて低く、安全性と信用力が高い金融商品とされています。
また、現在は券面が発行されないペーパーレス方式が採用されており、盗難や紛失の心配もありません。安定した資産運用を求める人に選ばれる傾向があります。
相続財産としての国債の位置づけ
国債は、国に対する貸付金債権という性質を持つため、法的に相続財産に含まれます。したがって、相続が発生した際には、他の財産と合算して相続税の課税対象となるかを判断する必要があります。
なお、2014年の最高裁判所の判例により、個人向け国債は、遺産分割協議の対象となることが明確に示されています。これは、国債が1万円単位といった一定の単位で取引され、それ未満での権利行使が予定されていない性質を持つためです。
そのため、相続が開始しても自動的に分割されることはなく、相続人全員の話し合い(遺産分割協議)によって誰がどのくらい相続するかを決める必要があります。
国債の種類と相続税評価額の計算方法

国債の相続税評価額は、すべての国債で一律ではありません。国債の種類によって、評価方法が異なります。
主に個人が保有する国債は「個人向け国債」「利付国債」「割引国債」の3種類に分けられ、それぞれ国税庁の財産評価基本通達に基づいて評価額を算出します。
(参考:個人向け国債の評価 | 国税庁)
(参考:利付公社債・割引発行の公社債の評価 | 国税庁)
個人向け国債の評価額
個人向け国債の相続税評価額は、相続開始日(亡くなった日)に中途換金した場合に受け取れる価額で評価します。
具体的な計算式は以下のとおりです。
【計算式】
評価額 = 額面金額 + 経過利子相当額 - 中途換金調整額
- 額面金額: 国債の元本です。
- 経過利子相当額: 前回の利払日の翌日から相続開始日までに発生した利子です。
- 中途換金調整額: 満期前に換金する際に差し引かれる金額で、「直前2回分の各利子(税引前)相当額 × 0.79685」で計算されます。
個人向け国債は発行から1年未満は原則として中途換金できませんが、相続の場合は例外的に換金が認められます。
贈与で取得した場合など、相続以外の理由で1年未満の国債を評価する場合でも、この中途換金した場合の価額で評価して差し支えないとされています。
利付国債の評価額
利付国債は、半年ごとに利子が支払われる国債で、「新窓販国債」などがこれに該当します。
利付国債の相続税評価額は、相続開始日の最終価格に、すでに発生しているもののまだ受け取っていない利子(既経過利子)を加算して計算します。
【計算式】
評価額 = (相続開始日の最終価格 + 既経過利子の額(源泉所得税相当額控除後)) × (額面金額 ÷ 100円)
- 相続開始日の最終価格: 相続開始日の市場での最終取引価格(額面100円あたり)です。
- 既経過利子の額: 前回の利払日の翌日から相続開始日までに発生した利子から、源泉所得税相当額(20.315%)を差し引いた金額です。
なお、日本証券業協会が公表している「売買参考統計値」がある銘柄の場合、市場の最終価格と当該統計値の平均額を比較し、いずれか低いほうの価格を使って評価額を計算することができます。
割引国債の評価額
割引国債は、利子の支払いがない代わりに、額面金額より割り引かれた価格で発行され、満期時に額面金額を受け取れる国債です。
利子の支払いがないため、評価額の計算は比較的シンプルです。
【計算式】
評価額 = 相続開始日の最終価格 × (額面金額 ÷ 100円)
- 相続開始日の最終価格: 相続開始日における市場での最終取引価格(額面100円あたり)です。
利付国債と同様に、日本証券業協会が公表する「売買参考統計値」がある場合は、最終価格と当該統計値の平均額のうち、低いほうの価格を使用できます。
なお、2026年現在、個人が新たに入札・購入できる割引国債は発行されていません。そのため、相続財産として割引国債が出てくるケースは限定的と考えられます。
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国債の種類別評価額シミュレーション
ここでは、個人向け国債を相続した場合の評価額を具体的にシミュレーションしてみましょう。
【条件】
- 国債の種類: 個人向け国債 変動10年(第116回)
- 額面金額: 100万円
- 発行日:2019年12月16日
- 相続開始日: 2024年11月20日
この条件で、相続開始日に中途換金した場合の価額を計算します。
財務省の「中途換金シミュレーター」を利用して算出すると、各金額は以下のようになります。
- 経過利子相当額(税引前): 2467円
- 中途換金調整額: 3505円
これらの数値を評価額の計算式に当てはめます。
- 評価額 = 100万円(額面金額) + 2467円(経過利子相当額) - 3505円(中途換金調整額) = 99万8962円
この結果、相続税申告書に記載する評価額は99万8962円となります。
このように、金融機関から残高証明書を取得したり、公式サイトのシミュレーションツールを活用したりすることで、正確な評価額を算出することが可能です。

相続税申告での国債の記載方法

国債を含む遺産総額が基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合、相続税の申告が必要です。
国債は有価証券に分類されるため、相続税申告書の中でも特定の様式に記載します。


相続税申告書第11表(付表2・有価証券用)の書き方
国債の詳細は、相続税申告書第11表の付表2「相続税がかかる財産の明細書(有価証券用)」に記載します。
この明細書には、国債の銘柄、所在場所等(金融機関等の名称や支店名)、評価額を記入します。複数の銘柄の国債を相続した場合は、それぞれ個別に記載が必要です。
必要な添付書類
相続税申告の際には、国債の評価額の根拠となる資料の添付が求められます。
一般的に必要となるのは、被相続人が国債を預けていた金融機関(銀行や証券会社)が発行する「残高証明書」や「評価証明書」です。
これらの証明書には、相続開始日時点での国債の銘柄、額面金額、そして評価額の計算に必要な情報(最終価格、経過利子など)が記載されています。
相続手続きを開始する際に、金融機関に相続が発生した旨を伝え、これらの証明書の発行を依頼しましょう。
この書類が、申告書に記載した評価額が正しいことを証明する重要な証拠となります。
国債の相続手続きの流れ
国債を相続した場合、金融機関での手続きが必要です。遺言書がない場合は、まず相続人全員で遺産分割協議を行い、誰が国債を相続するかを決定します。
その後、国債を保有していた金融機関に連絡し、具体的な手続きを進めていくことになります。
金融機関への連絡と必要書類の準備

まず、被相続人が国債を預けていた銀行や証券会社に連絡し、相続が発生したことを伝えます。金融機関から相続手続きに必要な書類の案内がありますので、それに従って書類を準備します。
一般的に必要となる書類は以下のとおりです。
- 金融機関所定の名義書換依頼書
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本(除籍謄本)
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
- 遺産分割協議書(遺産分割協議を行った場合)
- 遺言書(遺言書がある場合)
必要書類は金融機関や相続の状況によって異なる場合があるため、事前に必ず確認しましょう。
名義変更と換金の選択
国債を相続する方法には、2つの選択肢があります。
1つは、相続人の証券口座に国債を移管し、名義変更して保有し続ける方法です。
この場合、相続人は新たに証券口座を開設する必要があります。
もう1つは、国債を換金(中途換金)して現金で受け取る方法です。
個人向け国債は通常、発行から1年経過しないと中途換金できませんが、相続の場合は特例として1年未満でも換金が認められます。
ただし、中途換金する際には「中途換金調整額」という手数料相当額が差し引かれるため、元本割れする可能性がある点には注意が必要です。
どちらの方法を選択するかは、相続人の意向や遺産分割の方針によって決まります。
遺産分割協議での扱い
国債は遺産分割協議の対象となるため、相続人全員の合意のもとで分割方法を決定し、内容を遺産分割協議書に明記する必要があります。
個人向け国債は1万円単位で分割できるため、複数の相続人で分け合うことも可能です。
しかし、手続きが煩雑になることや、公平な分割が難しいことから、換価分割という方法がよく用いられます。
換価分割とは、相続人の代表者1名の口座に国債をまとめて移管し、代表者が一括して売却(換金)して現金化し、現金を遺産分割協議で決めた割合に応じて各相続人に分配する方法です。
この方法であれば、手続きがスムーズに進み、公平な遺産分割がしやすくなります。
2026年時点の国債相続税減免・非課税化の議論

日銀が国債の大量購入を縮小する方針を示す中、新たな国債の安定的な買い手として個人投資家への期待が高まっています。
こうした背景から、個人の国債購入を促進するための税制優遇策が与野党から提案されており、相続税に関する議論も活発化しています。
自民党の相続税減免論
自民党内では、個人が保有する国債を相続する際に、相続税を軽減する案が浮上しています。
これは、相続税の負担を軽くすることで、高齢者などが保有する金融資産を国債購入に向かわせ、国の財政安定につなげる狙いがあるとみられます。
具体的な減税の仕組みや規模についてはまだ検討段階ですが、今後の税制改正の焦点の1つとなる可能性があります。
国民民主党のNISA対象化案
一方、国民民主党は、個人向け国債をNISA(少額投資非課税制度)の対象商品に加える法案の策定を進めています。
NISAは、株式や投資信託などから得られる利益が非課税になる制度です。
もし国債がNISAの対象になれば、国債から得られる利子が非課税となり、個人の投資家にとっての魅力が高まります。
相続税の直接的な減免ではありませんが、資産形成の選択肢として国債がより有利になることで、間接的に相続財産の構成にも影響を与える可能性があります。
制度化の見通しと注意点
これらの相続税減免やNISA対象化の議論は、2026年6月時点ではまだ与野党内での提案や検討の段階にあります。
実際に制度として導入されるかどうか、また、導入される場合の具体的な内容や時期はまだ決まっていません。
これらの税制優遇策は、個人の資産形成や相続対策に影響を与える可能性があるため、今後の政府や国会の動向に注目が集まります。
ただし、現時点ではまだ実現していないため、相続税の申告や対策を検討する際には、現在の法律に基づいて進める必要があります。
国債の相続で注意すべきポイント

国債の相続手続きや相続税申告を進める上では、いくつか注意すべき点があります。
評価額の計算や申告期限は、誤ると追徴課税などのリスクにつながるため、慎重な対応が求められます。
評価額の計算ミスに注意
国債の相続税評価は、種類によって計算方法が異なります。
個人向け国債の「経過利子相当額」や「中途換金調整額」、利付国債の「既経過利子」などは、計算が複雑になりがちです。
計算を誤ると、相続税を過大に納めてしまったり、逆に過少申告となって後から税務調査で指摘されたりする可能性があります。
評価額を算出する際は、金融機関から正確な評価証明書を取り寄せ、計算の根拠を明確にしておくことが欠かせません。
申告期限と延滞税のリスク
相続税の申告・納付期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。
この期限内に、国債を含むすべての相続財産の評価を終え、遺産分割協議をまとめ、申告書を作成して提出する必要があります。
期限に遅れてしまうと、本来納めるべき税額に加えて「延滞税」や、申告をしなかったことに対するペナルティである「無申告加算税」が課される可能性があります。
相続手続きは多岐にわたるため、計画的に進めることが大切です。
税理士への相談が必要なケース
国債の相続手続きは、他の相続財産が多かったり、評価が複雑だったりする場合には、専門家である税理士に相談することが推奨されます。
- 相続財産の種類が多く、評価額の計算が難しい
- 遺産総額が基礎控除額を超えるかどうかの判断ができない
- 遺産分割で相続人間にもめている
- 申告手続きを自分で行う時間がない
上記のようなケースでは、税理士に依頼することで、正確な評価額の算出、適切な申告書の作成、そして節税に関するアドバイスを受けることができます。
相続税に詳しい税理士に相談することで、手続きの負担を軽減し、安心して相続を進めることが可能になります。
国債の相続に関するよくある質問
ここでは、国債の相続に関してよく寄せられる質問と回答をまとめました。
Q. 国債を相続したら必ず相続税がかかる?
いいえ、国債を相続したからといって、必ず相続税がかかるわけではありません。
相続税は、国債を含むすべての相続財産の合計額から、債務や葬式費用を差し引いた金額が「基礎控除額」を超えた場合にのみ課税されます。
基礎控除額の計算式は以下のとおりです。
- 基礎控除額 = 3000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)
例えば、法定相続人が2人(配偶者と子1人)の場合、基礎控除額は4200万円となります。
遺産総額が4200万円以下であれば、相続税の申告も納税も不要です。
(参考:相続税の計算 | 国税庁)
Q. 個人向け国債の評価額はどう調べる?
個人向け国債の評価額を調べる方法は、被相続人が口座を保有していた銀行や証券会社に依頼して「残高証明書」や「評価証明書」を発行してもらうことです。
また、概算額を手軽に知りたい場合は、財務省のWebサイトにある「中途換金シミュレーション」を利用することもできます。
国債の銘柄、額面金額、相続開始日などを入力することで、中途換金した場合の受取額、つまり相続税評価額の目安を計算することが可能です。
Q. 国債の相続税減免はいつから始まる?
2026年6月現在、国債の相続税を減免する制度や、国債をNISAの対象とする制度はまだ導入されていません。
自民党や国民民主党などから、個人の国債購入を促進するための税制優遇策として提案されていますが、あくまで議論の段階です。
これらの制度がいつから始まるか、あるいは本当に導入されるかは未定です。
したがって、現時点での相続税の計算や申告は、現在の税法に基づいて行う必要があります。今後の税制改正に関する最新情報については、国税庁や金融庁などの公式サイトで確認するようにしましょう。
まとめ

国債は相続税の課税対象となる財産であり、評価額は「個人向け国債」「利付国債」「割引国債」といった種類によって計算方法が異なります。
正確な評価と申告のためには、金融機関から残高証明書などを取得し、正しい計算式を適用することが不可欠です。
相続手続きでは、遺産分割協議を経て名義変更または換金を選択します。
また、将来的には相続税の減免措置などが導入される可能性もありますが、現時点では未定のため、最新の情報を確認しつつ、現在の税法に沿った対応が必要です。
相続財産に国債が含まれていて手続きに不安がある場合や、遺産総額が大きい場合は、相続税に詳しい税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
国債の相続は複雑に感じるかもしれませんが、基本的な仕組みを理解すれば落ち着いて対応できます。
これを機に自身の資産運用についても考えてみてはいかがでしょうか。
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監修

黒澤 伸
- 税理士/社会保険労務士/CFP®認定者
東京都出身。中央大学商学部会計学科を卒業後、東京国税局に入局。国税庁、東京国税局等に38年間勤務し、2023年に高松国税局長を最後に退官。同年、黒澤伸税理士事務所を開設し、2024年には社会保険労務士としても登録。現在は、税務・会計、社会保険、労働保険等の士業務を中心に、CFPとして事業者のトータルサポートを行っている。
執筆

マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。








