
iDeCoを一時金で受け取る際の税金は?退職所得控除の仕組みと知っておきたい受取戦略
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iDeCoを一時金で受け取る場合、「税金はいくらかかるのか」「思ったより引かれないのか」が気になる人は多いでしょう。
iDeCoの一時金は退職所得として扱われ、退職所得控除が適用されるため、税負担は大きく軽減されるのが一般的です。
ただし、勤務先の退職金との受け取り時期や金額によっては、想定より税金がかかるケースもあります。
本記事では、iDeCoを一時金で受け取る際の税金の仕組みと、注意しておきたいポイントをわかりやすく解説します。
- iDeCoの一時金に適用される「退職所得控除」の計算方法
- 退職金とiDeCoを併せて受け取る場合の注意点と節税戦略
- 状況別の最適な受け取り方のシミュレーション
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iDeCoの一時金受け取りにかかる税金の基本
iDeCoの資産を一時金で受け取る場合、税制上の優遇措置が適用されます。
「退職所得」として扱われるため、給与所得など他の所得とは異なる特別な計算方法が用いられ、税負担が軽減される仕組みになっています。
一時金は「退職所得」として扱われる
iDeCoを一時金で受け取る場合、このお金は税法上「退職所得」に分類されます。これは、勤務先から受け取る退職金と同じ扱いです。
長年の勤労や資産形成に対する報奨的な意味合いから、退職所得には他の所得よりも税制面で有利な取り扱いがなされています。
この点が、iDeCoの受け取りにおける大きなメリットの1つです。

退職所得控除で大幅に非課税枠が確保できる
退職所得には「退職所得控除」という大きな非課税枠が適用されます。
この控除額は、iDeCoの加入期間(会社員の場合は勤続年数も考慮)に応じて計算され、期間が長いほど控除額も増加します。
例えば、iDeCoに30年間加入した場合、退職所得控除額は1500万円にもなります。受け取る一時金の額がこの控除額の範囲内であれば、税金は一切かかりません。
控除後の金額の2分の1のみが課税対象
受け取る一時金が退職所得控除額を超えた場合でも、税制上の優遇は続きます。
控除額を超えた金額の全額が課税対象になるわけではなく、その金額をさらに半分にした額(2分の1)に対してのみ課税されます。
例えば、控除額を100万円超えた場合、課税対象となるのは50万円です。
この「2分の1課税」の仕組みにより、控除枠を超えた場合でも税負担はかなり抑えられます。これは退職所得ならではの大きなメリットです。
分離課税で他の所得と合算されない
退職所得は「分離課税」という方式で税額が計算されます。これは、給与所得や事業所得、不動産所得といった他の所得とは合算せず、退職所得だけで独立して税額を計算する方法です。
所得税は、所得が多いほど高い税率が適用される「累進課税」が採用されています。分離課税により、他の所得と合算されないため、高い税率が適用されるのを避けることができます。
この点も、退職所得が税制上優遇されている理由の1つです。
退職所得控除額の計算方法
退職所得控除額は、iDeCoの加入期間や会社の勤続年数によって決まります。計算方法は、加入期間が20年を境に2段階に分かれています。
長期間にわたって積み立ててきた人ほど、非課税枠が増加するように設計されています。
加入年数20年以下の場合
iDeCoの加入期間や会社の勤続年数が20年以下の場合は、以下の計算式で退職所得控除額を算出します。
- 40万円 × 加入年数
この計算式で算出した金額が80万円に満たない場合は、一律で80万円が控除額となります。
例えば、加入年数が15年の場合、控除額は「40万円 × 15年 = 600万円」となります。
加入年数20年超の場合
加入期間や勤続年数が20年を超える場合は、計算式が変わり、控除額がより増加します。
- 800万円 + 70万円 × (加入年数 - 20年)
この計算式では、20年分でまず800万円が確保され、それを超える1年あたり70万円が加算されます。
例えば、加入年数が35年の場合、控除額は「800万円 + 70万円 × (35年 - 20年) = 1850万円」となり、長期加入者に対して手厚い非課税枠が設けられています。
加入年数の数え方と端数処理
退職所得控除を計算する際の「加入年数」には、いくつかのルールがあります。
まず、1年未満の期間がある場合、この端数は1年に切り上げて計算します。例えば、加入期間が20年と1日の場合でも、21年として計算されるため、納税者にとって有利な仕組みです。
また、会社員が退職金とiDeCoを同じ年に受け取る場合、控除額の計算に用いる年数は、会社の勤続年数とiDeCoの加入年数を比較して、より長い方の期間が適用されます。
両方の期間が合算されるわけではない点に注意が必要です。
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一時金受け取り時の税額計算の流れ
iDeCoの一時金にかかる税額は、3つのステップで簡単に計算できます。まず退職所得控除額を差し引き、残った金額を半分にして課税対象額を算出します。
最後に、この課税対象額に所得税と住民税の税率を適用します。

ステップ1:退職所得控除額を差し引く
最初に、受け取る一時金の総額から、自身の加入年数に応じた退職所得控除額を差し引きます。
- 一時金受取額 - 退職所得控除額
この計算結果が0円以下になった場合、課税される所得はないため、税金はかかりません。
手続きはこの時点で完了です。計算結果がプラスになった場合のみ、次のステップに進みます。
ステップ2:残額の2分の1を算出
ステップ1で計算した金額(控除額を超えた部分)を2で割ります。この金額が、税金を計算する元となる「課税退職所得金額」です。
- (一時金受取額 - 退職所得控除額) × 1/2
全額ではなく半分にすることで、税負担が大幅に軽減されます。この2分の1課税は、退職所得の大きな特徴です。
ステップ3:所得税・住民税を計算
最後に、ステップ2で算出した「課税退職所得金額」に対して、所得税と住民税を計算します。
- 所得税: 課税退職所得金額に応じて、5%から45%の累進税率が適用されます。国税庁の速算表を用いて計算します。
- 住民税: 課税退職所得金額に対して、一律10%が課税されます。
これら2つの税額を合計したものが、最終的な納税額となります。
具体例:加入30年・受取額1500万円のケース
具体的な数字で税額計算の流れを確認してみましょう。
【条件】
- iDeCo加入年数: 30年
- 一時金受取額: 1500万円
【計算】
- 退職所得控除額の計算
- 20年超なので、「800万円 + 70万円 × (30年 - 20年) = 1500万円」となります。
- 課税退職所得金額の計算
- 一時金受取額(1500万円)が退職所得控除額(1500万円)の範囲内に収まっているため、課税退職所得金額は0円です。
【結論】
このケースでは、所得税・住民税ともに0円となり、税金の負担なく1500万円全額を受け取ることができます。
退職金とiDeCo一時金を同時に受け取る場合の注意点
会社の退職金とiDeCoの一時金を同じ年に受け取る場合、税金の計算方法が特殊になります。
両方の金額を合算して1つの退職所得として扱うため、控除枠を超えやすくなり、結果として税負担が増加する可能性があるので注意が必要です。
退職金とiDeCoは合算して課税される
退職金とiDeCoの一時金を同じ年に受け取った場合、税金の計算上、これらは別々の収入とは見なされません。両方の受取額を合計した金額が、この年の「退職所得の収入金額」となります。
この合計額に対して、1つの退職所得控除枠が適用されます。
それぞれの受取額に対して別々の控除枠が適用されるわけではないため、合計額が増加すると控除枠を超過しやすくなります。
勤続年数とiDeCo加入年数の重複期間の扱い
退職金とiDeCoを同時に受け取る場合、退職所得控除額を計算する際の基礎となる年数は、会社の勤続年数とiDeCoの加入年数のうち、一番長い方の期間が採用されます。
例えば、会社の勤続年数が30年、iDeCoの加入期間が25年だった場合、控除額の計算には30年が使われます。2つの期間が合算されて55年として計算されるわけではありません。
このため、受取額は合算されて増える一方で、控除額の基礎となる年数は思ったほど増えないという状況が起こり得ます。
退職金が多い場合の税負担シミュレーション
退職金とiDeCoを同時に受け取ると、税負担がどの程度増えるのかシミュレーションで確認しましょう。
【条件】
- 退職金: 1500万円(勤続30年)
- iDeCo: 1000万円(加入25年)
- 両方を同じ年に一時金で受け取り
【計算】
- 合計受取額: 1500万円 + 1000万円 = 2500万円
- 退職所得控除額: 勤続年数と加入年数の長い方(30年)で計算。
- 800万円 + 70万円 × (30年 - 20年) = 1500万円
- 課税退職所得金額: (2500万円 - 1500万円) × 1/2 = 500万円
- 税額:
- 所得税: 500万円 × 20% - 42万7500円 = 57万2500円
- 復興特別所得税: 57万2500円 × 2.1% ≒ 1万2022円
- 住民税: 500万円 × 10% = 50万円
- 住民税の均等割(標準的な額) 5000円
- 合計税額: 約108万9522円
もし受け取り年をずらせば、税負担を大幅に軽減できる可能性があります。
2026年からの新ルール:10年ルールとは
iDeCoや退職金の受け取り戦略に影響を与える税制改正が予定されています。これまで「5年ルール」と呼ばれていたものが、2026年1月からは「10年ルール」へと変更されます。
これは、iDeCoを先に受け取り、その後退職金を受け取る場合の控除額の調整に関するルールです。
従来の5年ルールから10年ルールへ変更
従来は、iDeCoの一時金を受け取った後、5年以上間隔を空けて会社の退職金を受け取れば、それぞれの退職所得控除を独立して満額利用できました。
しかし、税制改正によりこの期間が延長され、iDeCoの一時金を受け取った年の前年以前「9年以内」に他の退職一時金を受け取っていると、控除額が調整されることになります。
実質的に、控除を分けるためには10年以上の間隔が必要になるため、「10年ルール」と呼ばれています。
これにより、従来の「60歳でiDeCo、65歳で退職金」という節税戦略が使いにくくなります。

10年ルールの適用タイミング
この新しい10年ルールは、2026年1月1日以降に支払いを受けるiDeCo(または企業型DC)の一時金に適用されます。
具体的には、2026年1月1日以降にiDeCoなどを受け取り、さらにこの日以降に会社の退職金など他の退職所得を受け取る場合に、このルールが影響します。
2025年12月31日までにiDeCoの一時金を受け取る場合は、従来の5年ルールが適用されることになります。
この適用開始時期を正確に理解しておくことが、今後の受け取り戦略を立てる上で鍵となります。
新ルールが受け取り戦略に与える影響
10年ルールの導入は、65歳定年の会社員にとって大きな影響があります。
これまで有効だった「60歳でiDeCoを受け取り、65歳で退職金を受け取る」という5年の間隔を空ける戦略では、控除額が調整されてしまうためです。
新ルール下でiDeCoと退職金の控除を両方満額活用するには、iDeCoの受け取りを60歳で行った場合、退職金の受け取りは70歳以降にする必要があります。
これにより、iDeCoの受け取りタイミングを遅らせるか、あるいは退職金の受け取りを遅らせる(例:70歳まで働く)といった、より長期的な視点での計画が求められるようになります。
損をしない受け取り戦略:パターン別の最適解
iDeCoと退職金の受け取りで損をしないためには、自身の状況に合わせた戦略を立てることが欠かせません。退職金の有無や金額、そして受け取る順番によって、最適な方法は異なります。
代表的なパターン別に、手取り額を最大化するための考え方を解説します。
退職金が少ない・ない場合
会社の退職金がない、または金額が少ない(退職所得控除額に余裕がある)場合は、iDeCoを一時金で受け取るのが一番有利な選択肢です。
退職金がない自営業者やフリーランスの人、あるいは退職金制度のない企業に勤めている人は、iDeCoの加入期間だけで計算される退職所得控除を最大限に活用できます。
加入期間が長ければ控除額も増加するため、多くの場合、iDeCoの受取額全額が非課税になるか、ごくわずかな税負担で済みます。
まとまった資金を一度に受け取り、住宅ローンの繰り上げ返済やリフォームなどに活用することも可能です。
退職金が多く控除枠を超える場合
会社の退職金だけで退職所得控除の枠を使い切ってしまう、あるいは超えてしまう場合は、受け取り方を工夫する必要があります。
この状況でiDeCoも同じ年に一時金で受け取ると、iDeCoの受取額の多くが課税対象となり、税負担が増加します。
この場合の最適解は、iDeCoの受け取りを退職金の翌年以降にずらし、「年金」または「一時金と年金の併用」で受け取ることです。
年金として受け取れば「公的年金等控除」が適用され、税負担を分散・軽減できます。
65歳になる前の期間は、基本的には公的年金の収入がないため、iDeCoだけで控除枠を有効に活用できます。
退職金を先に受け取る場合の戦略
会社の退職金を先に受け取り、その後にiDeCoの一時金を受け取る場合、「19年ルール」が適用されます。
これは、退職金を受け取った年の前年以前19年以内にiDeCoの一時金を受け取ると、控除額が調整されるという厳しいルールです。
このルールを避けるための戦略は2つです。
- 20年以上間隔を空ける: 例えば55歳で早期退職して退職金を受け取り、75歳でiDeCoを受け取るなど、20年以上(iDeCoの受取年-退職金の受取年が20年以上)の間隔を空ければ、iDeCoにも独立した控除枠が適用されます。
- 年金または併用で受け取る: 20年も待てない場合は、iDeCoを年金または併用で受け取り、「公的年金等控除」を活用して税負担を抑えるのが現実的な選択肢となります。
iDeCoを先に受け取る場合の戦略
iDeCoの一時金を先に受け取り、その後に会社の退職金を受け取る場合は、「10年ルール」(2025年までは5年ルール)が適用されます。
これは、iDeCoを受け取った年の前年以前9年以内に他の退職一時金を受け取っていると、後から受け取る退職金の控除額が調整されるルールです。
この場合の戦略は、iDeCoと退職金の受け取り間隔を10年以上空けることです。
例えば、60歳でiDeCoを受け取り、70歳まで働いて退職金を受け取る、といったケースが考えられます。
10年以上の間隔を確保できれば、iDeCoと退職金のそれぞれで退職所得控除を独立して活用でき、税負担を軽減できます。
一時金と年金の併用という選択肢
退職金とiDeCoの合計額が退職所得控除を少し超えてしまう場合に有効なのが、一時金と年金の併用です。この方法は、2つの控除制度を組み合わせて税負担を最適化する戦略です。
まず、退職所得控除の枠内に収まる金額までを一時金として受け取ります。これにより、一時金部分にかかる税金をゼロに抑えます。
そして、控除枠から超えてしまった残りの金額を年金形式で受け取ります。この年金部分には「公的年金等控除」が適用されるため、税負担を軽減できます。
この方法により、税金を支払うことなく受け取れる金額を最大化できる可能性があります。
ただし、併用が可能かどうかは金融機関によって異なるため、事前に確認が必要です。
一時金受け取り時の手続きと注意点
iDeCoの一時金を受け取るためには、所定の手続きが必要です。受け取り可能な期間には限りがあり、手続きには一定の時間がかかるため、計画的に進めることが大切です。
また、税金の源泉徴収に関する手続きも重要になります。
受け取り可能な年齢と期限
iDeCoの老齢給付金は、原則として60歳から受け取りを開始できます。ただし、60歳になった時点でiDeCoの通算加入者等期間が10年に満たない場合は、受け取り開始可能年齢が段階的に引き下げられます。
受け取り開始のタイミングは、60歳から75歳になるまでの間で自由に選択できます。
つまり、60歳ですぐに受け取らずに、運用を続けながら受け取り開始を遅らせることも可能です。
ただし、75歳までには必ず受け取りを開始し、完了する必要がある点に注意しましょう。
受け取り手続きの流れ
iDeCoの一時金を受け取るための一般的な手続きは以下の通りです。
- 金融機関からの案内: 60歳(iDeCoの通算加入者等期間が10年に満たない場合は、受け取り開始可能年齢)が近づくと、加入している金融機関から受け取りに関する案内書類が届きます。
- 請求書類の提出: 案内に従って、「老齢給付金裁定請求書」などの必要書類を金融機関に提出します。この際に、一時金、年金、併用のいずれかを選択します。
- 支払いの実行: 書類に不備がなければ、通常1ヶ月から2ヶ月程度(金融機関により異なります)で指定した口座に給付金が振り込まれます。
年末に受け取りたい場合など、特定の時期に資金が必要な場合は、手続きにかかる時間を考慮し、余裕をもって申請することが欠かせません。
源泉徴収と確定申告の要否
iDeCoの一時金を受け取る際、裁定請求に併せて「退職所得の受給に関する申告書」を金融機関に提出することで、適切な税額が源泉徴収され、課税関係が完了します。
この場合、原則として確定申告は不要です。
もしこの申告書を提出しなかった場合、受取額に対して一律20.42%の税率で源泉徴収されてしまいます。この場合、本来の税額より多く徴収されていることがほとんどなので、後から確定申告を行うことで、納めすぎた税金の還付を受けることができます。
特別な理由がない限り、申告書は必ず提出しましょう。
年金受け取りとの比較:どちらが得か
iDeCoの受け取り方を決める上で、一時金と年金のどちらが税制上有利かは重要な判断基準です。
一般的には退職所得控除が使える一時金が有利なケースが多いですが、個人の状況によっては年金受け取りや併用が最適な選択となることもあります。
年金受け取りは「雑所得」として課税
iDeCoを年金形式で受け取る場合、この収入は「公的年金等に係る雑所得」として扱われます。これは、国民年金や厚生年金と同じ所得区分です。
税金の計算では、iDeCoの年金額と他の公的年金の収入額を合算し、そこから「公的年金等控除」を差し引いて所得額を算出します。
この所得は他の所得(給与所得など)と合算して総所得金額を求め、累進課税が適用される「総合課税」の対象となります。
公的年金の受給額が多い人は、iDeCoを年金で受け取ると税率が上がる可能性があるため注意が必要です。
一時金と年金、どちらが税負担が少ないか
税負担だけで見ると、多くの場合で一時金受け取りのほうが有利になる傾向があります。
この理由は、退職所得控除の非課税枠が大きく、さらに控除を超えた部分も2分の1になるなど、税制上の優遇措置が手厚いためです。
しかし、以下のようなケースでは年金受け取りや併用が有利になることもあります。
- 退職金がかなり多く、一時金で受け取ると控除枠を大幅に超えてしまう場合
- 公的年金の受給開始(65歳)前に、iDeCoの非課税枠(年間60万円)を活用したい場合
また、年金受け取りは税金だけでなく、国民健康保険料や介護保険料の増加にもつながるため、社会保険料の負担も考慮した総合的な判断が求められます。
受け取り方法は後から変更できない
iDeCoの受け取り方法を選択する上で、一番重要な注意点の1つが、一度受け取りを開始すると、この方法を後から変更することは原則としてできないという点です。
例えば、「とりあえず年金で受け取り始めたけれど、やはりまとまった資金が必要になったから一時金に変えたい」といった変更は認められません。
同様に、年金の受け取り期間や年間の受取額なども、一度決定すると変更できない金融機関がほとんどです。
将来のライフプランや資金ニーズを慎重に検討し、後悔のないよう、最初の選択をしっかりと行う必要があります。
iDeCoの一時金受け取りに関するよくある質問
iDeCoの一時金受け取りに関して、多くの方が抱く疑問についてQ&A形式で解説します。
退職所得控除内なら税金はゼロ?
はい、その通りです。受け取る一時金の金額が、自身の加入年数に応じた退職所得控除額の範囲内であれば、課税対象となる所得が0円になります。
そのため、所得税も住民税もかからず、全額を非課税で受け取ることができます。
企業型DCとiDeCoの一時金は合算される?
はい、同じ年に受け取る場合は合算されます。
企業型DC(企業型確定拠出年金)とiDeCoの両方から一時金を受け取る場合、それぞれの受取額を合計した金額に対して、1つの退職所得控除枠が適用されます。
別々に控除が適用されるわけではないので注意が必要です。
一時金受け取りに手数料はかかる?
はい、かかります。iDeCoの給付金を受け取る際には、どの受け取り方法を選択しても、1回ごとに給付手数料として440円(税込)が信託銀行に支払う手数料としてかかります。
この手数料は、受け取る給付金から差し引かれます。
まとめ
iDeCoの資産を一時金で受け取る場合、税制上優遇された「退職所得」として扱われ、「退職所得控除」という大きな非課税枠が適用されます。
多くの場合、この控除によって税負担は大幅に軽減され、場合によってはゼロになることもあります。
しかし、会社の退職金など他の退職一時金を同じ年に受け取ると、受取額が合算されて控除枠を超えやすくなるため注意が必要です。
受け取りのタイミングや順番を計画的に設計することが、手取り額を最大化する鍵となります。
2026年からは、iDeCoを先に受け取る場合のルールが「5年」から「10年」に延長されるため、より長期的な視点での戦略が求められます。
自身の退職金の額やiDeCoの加入期間などを基に、一時金、年金、併用のどの方法が最適か、一度シミュレーションしてみることが推奨されます。
一度選択すると変更はできないため、慎重に判断し、大切な老後資金を賢く受け取りましょう。
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監修
黒澤 伸
- 税理士/社会保険労務士/CFP®認定者
東京都出身。中央大学商学部会計学科を卒業後、東京国税局に入局。国税庁、東京国税局等に38年間勤務し、2023年に高松国税局長を最後に退官。同年、黒澤伸税理士事務所を開設し、2024年には社会保険労務士としても登録。現在は、税務・会計、社会保険、労働保険等の士業務を中心に、CFPとして事業者のトータルサポートを行っている。
執筆
マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。

