
年金生活者支援給付金が2026年4月から増額|改定額と対象者を解説
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物価の上昇が続くなか、公的年金に上乗せして支給される「年金生活者支援給付金」は、家計の大きな支えになります。2026年度から、この給付金が増額されることが決定しました。
本記事では、2026年度の新しい給付金額、対象となる人の具体的な条件、そして手続きが必要かどうかまで、分かりやすく解説します。自身が対象になるか確認し、将来の安心につなげましょう。
- 2026年度の年金生活者支援給付金は、物価上昇を反映して3.2%増額される
- 「老齢」「障害」「遺族」の3種類があり、それぞれ対象者や改定後の給付額が異なる
- すでに受給中の人は手続き不要だが、新たに受給対象となる人は送付される請求書の提出が必要
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2026年度の年金生活者支援給付金は3.2%増額が決定
2026年度(令和8年度)の年金生活者支援給付金は、前年度から3.2%の増額となることが決定しました。
この給付金は、公的年金などの収入が一定基準額以下の方の生活を支援する目的で、年金に上乗せして支給されるものです。
物価の変動に合わせて毎年度給付額が見直される仕組みになっており、今回の増額は近年の物価上昇を反映した形となります。
(参考:令和8年度の年金額改定についてお知らせします|厚生労働省)
増額の理由と適用時期
年金生活者支援給付金の増額は、物価の変動に応じて給付額を改定する「物価スライド改定」という仕組みに基づいています。2025年の全国消費者物価指数が前年比で上昇したことを受け、年金生活者の実質的な購買力を維持するために、2026年度の給付額が引き上げられました。
この新しい給付額が適用されるのは、2026年4月分の給付金からです。
ただし、給付金は年金と同様に2ヶ月分が後払いで支給されるため、増額された金額が実際に口座に振り込まれるのは、2026年6月支給分(4月・5月分)からとなります。
過去の改定率との比較
2026年度の改定率は+3.2%となり、前年度の改定を上回る引き上げとなりました。参考として、老齢年金生活者支援給付金の基準額は、2025年度の月額5450円から、2026年度には月額5620円へと170円増額されます。
年金生活者支援給付金は、消費税率が10%に引き上げられた2019年10月から開始された比較的新しい制度です。
制度開始以来、物価の変動に合わせて毎年度改定が行われており、近年の物価上昇傾向を反映して、給付額も引き上げが続いています。
給付金の種類別|2026年度の改定額
年金生活者支援給付金は、受給している基礎年金の種類に応じて3つのタイプに分かれます。それぞれ2026年度の改定額が異なりますので、自身が該当する種類を確認しましょう。
老齢年金生活者支援給付金は、保険料の納付状況によって実際の金額が変動します。障害年金生活者支援給付金は、障害等級によって金額が異なります。
老齢年金生活者支援給付金
老齢基礎年金を受給している方向けの給付金です。前述の通り、2026年度の基準額は月額5620円に改定されました。
この基準額を基に、国民年金の保険料を納めた期間(納付済期間)や免除された期間に応じて、個別の支給額が計算されます。
具体的には、以下の2つの合計額が支給されます。
- 保険料納付済期間に基づく額:5620円 × (保険料納付済期間の月数 / 480月)
- 保険料免除期間に基づく額:約1万1768円(※2026年想定額) × (保険料免除期間の月数 / 480月)
例えば、40年間(480ヶ月)すべて保険料を納付した場合は、基準額である月額5620円が満額支給されます。
障害年金生活者支援給付金
障害基礎年金を受給している方向けの給付金です。2026年度の改定額は、障害等級に応じて以下の通りです。
- 障害等級1級:月額7025円
- 障害等級2級:月額5620円
障害等級が1級の方は、2級の方よりも手厚い給付(給付金額が1.25倍)が受けられる仕組みになっています。この金額は、老齢の給付金とは異なり、保険料の納付期間などには左右されず、等級によって一律に定められています。
遺族年金生活者支援給付金
遺族基礎年金を受給している方向けの給付金です。2026年度の改定額は月額5620円です。
この金額は、受給者1人あたりの基準額です。
ただし、注意点として、2人以上の子どもが遺族基礎年金を受給している場合は、この5620円を子の人数で割った金額が、それぞれの子どもに支給されます。
例えば、子ども3人で遺族基礎年金を受給している場合、1人あたりの給付額は「5620円 ÷ 3人 ≒ 1873円」となります。
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年金生活者支援給付金をもらえる人の条件
年金生活者支援給付金は、老齢・障害・遺族のいずれかの基礎年金を受給していることに加えて、所得に関する要件を満たす必要があります。
ここでは、それぞれの給付金を受け取るための具体的な条件を解説します。
(参考:年金生活者支援給付金制度について|厚生労働省)
老齢年金生活者支援給付金の対象者
老齢年金生活者支援給付金を受け取るには、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。
- 65歳以上で老齢基礎年金を受給していること
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税であること
- 前年の公的年金などの収入金額とその他の所得の合計が一定額以下であること
3つ目の所得基準額は、生年月日によって異なります(2025年10月以降適用分、令和7年度基準)。
- 1956年(昭和31年)4月2日以後に生まれた方:80万9000円以下
- 1956年(昭和31年)4月1日以前に生まれた方:80万6700円以下
この所得の計算には、遺族年金などの非課税収入は含まれません。また、所得の逆転を防ぐための補足給付として「補足的老齢年金生活者支援給付金」があり、この場合は所得基準額が異なります(後述)。
障害年金生活者支援給付金の対象者
障害年金生活者支援給付金を受け取るための条件は、以下の2つです(2025年10月以降適用分、令和7年度基準)。
- 障害基礎年金を受給していること
- 前年の所得が479万4000円以下であること
所得の計算には、受給している障害年金などの非課税収入は含まれません。
また、所得基準額は扶養親族の人数に応じて増額されます。例えば、扶養親族が1人いる場合は、基準額に38万円が加算されます。
遺族年金生活者支援給付金の対象者
遺族年金生活者支援給付金を受け取るための条件は、障害の場合と同様に以下の2つです(2025年10月以降適用分、令和7年度基準)。
- 遺族基礎年金を受給していること
- 前年の所得が479万4000円以下であること
こちらも、所得の計算に遺族年金などの非課税収入は含まれません。また、扶養親族の人数に応じて所得基準額は増額されます。
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増額分を受け取るための手続き
2026年度からの増額分を受け取るために、特別な手続きが必要かどうかは、現在の受給状況によって異なります。手続きの要否を正しく理解し、受給漏れがないようにしましょう。
すでに受給している人は手続き不要
すでに年金生活者支援給付金を受給している方は、増額分を受け取るための新たな手続きは原則として不要です。
毎年、日本年金機構が受給資格の確認(所得や世帯状況の審査)を自動的に行います。2026年度も引き続き支給要件を満たしていれば、自動的に増額された新しい給付額が6月の振り込みから適用されます。
給付額が改定された場合は、「年金生活者支援給付金支給金額改定通知書」が送付されますので、内容を確認しましょう。
新規で申請する人の手続き方法
これまで受給していなかったものの、所得の低下などにより2026年度から新たに支給対象となる方には、日本年金機構から請求手続きの案内が送付されます。
通常、毎年9月頃から順次、対象者へ「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が入った緑色の封筒が届きます。
この請求書に必要事項を記入し、切手を貼ってポストに投函するだけで手続きは完了します。
また、これから老齢基礎年金などを初めて請求する方は、年金の請求手続きとあわせて給付金の申請を行うことができます。
老齢基礎年金の請求については、年金請求書と一緒に給付金の請求書が同封されているため、忘れずに提出しましょう。
申請を忘れていた場合の対処法
年金生活者支援給付金は、原則として請求した月の翌月分から支給されます。もし請求書の提出を忘れていたり、案内が届いていたことに気づかなかったりした場合でも、気づいた時点ですぐに手続きをすることが欠かせません。
請求が遅れると、その分受け取れるはずだった過去の給付金が支給されない可能性があります。さかのぼっての支給は原則として行われないため、請求漏れは大きな損失につながりかねません。
もし「自分は対象かもしれないのに案内が届いていない」と感じる場合や、請求書を紛失してしまった場合は、速やかに「給付金専用ダイヤル」またはお近くの年金事務所に問い合わせて、請求書を再発行してもらいましょう。
所得基準ギリギリの人が知っておくべきこと
老齢年金生活者支援給付金には、所得が基準をわずかに超えたことで給付を受けられない人と、給付金を受けた人との間で手取り収入が逆転してしまう現象を防ぐための仕組みがあります。
所得が基準額に近い人は、この制度を理解しておくことが重要です。
(参考:老齢年金生活者支援給付金について知りたい|公益財団法人生命保険文化センター)
所得基準を超えると給付金はゼロになる
老齢年金生活者支援給付金は、前年の所得が基準額(1956年4月2日以後生まれの方で80万9000円以下)を超えると、支給対象外となります。
しかし、所得が基準額をほんの少し超えただけで給付金が全くもらえなくなると、基準額以下の人で給付金を満額受給した人よりも、世帯全体の手取り収入が少なくなってしまう「所得の逆転現象」が起こり得ます。
この不公平感をなくすために、所得が一定の範囲内にある方向けの特別な給付金が用意されています。
補足的老齢年金生活者支援給付金とは
「補足的老齢年金生活者支援給付金」とは、所得の逆転現象を解消するために設けられた制度です。老齢年金生活者支援給付金の所得基準をわずかに超えるものの、一定の所得範囲内にある方が対象となります。
対象となる所得範囲は以下の通りです(2025年10月以降適用分、令和7年度基準)。
- 1956年(昭和31年)4月2日以後に生まれた方:所得が80万9000円超~90万9000円以下
- 1956年(昭和31年)4月1日以前に生まれた方:所得が80万6700円超~90万6700円以下
この給付金の額は、所得額に応じて変動します。所得が基準額の上限に近づくほど給付額は少なくなり、段階的に調整される仕組みになっています。
これにより、所得が基準額を少し超えたことによる急激な手取り額の減少が緩和されます。
(参考:老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要|日本年金機構)
年金生活者支援給付金に関するよくある質問
年金生活者支援給付金について、多くの人が抱える疑問をQ&A形式でまとめました。
給付金はいつ振り込まれる?
年金生活者支援給付金は、年金と同じく偶数月(2月、4月、6月、8月、10月、12月)の中旬に、前月と前々月の2ヶ月分がまとめて振り込まれます。
例えば、4月と5月分の給付金は、6月中旬に支給されます。振込先は、年金を受け取っている口座と同じ口座で、年金とは別に振り込まれます。
請求書のハガキはいつ届く?
新たに給付金の対象となる可能性のある方へ送付される「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」は、毎年9月頃から順次発送されます。
ただし、住所変更の手続きをしていない場合など、正しく届かないケースもあります。もし対象と思われるのにハガキが届かない場合は、給付金専用ダイヤルやお近くの年金事務所へ問い合わせましょう。
まとめ
年金生活者支援給付金は、2026年度から物価上昇を反映して3.2%増額されます。この制度は、公的年金だけでは生活が厳しい方の暮らしを支える重要な仕組みです。
給付金には「老齢」「障害」「遺族」の3種類があり、それぞれ対象者や給付額が異なります。自身がどの条件に当てはまるか、本記事を参考に確認してみてください。
すでに給付金を受け取っている方は、増額にあたって特別な手続きは不要です。
一方、所得の減少などで新たに受給対象となった方には、日本年金機構から案内が届きますので、忘れずに申請手続きを行いましょう。申請が遅れると受け取れる金額が減ってしまうため、注意が必要です。
自身の状況を確認し、受け取れる給付金を確実に受給して、少しでもゆとりのある生活につなげていきましょう。
年金や給付金について理解を深めることも大切ですが、将来の資産計画を見直すことも大切です。まずは、自身の老後資金がどのくらい必要になるか、簡単なシミュレーションで確認してみましょう。
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監修
西岡 秀泰
- 社会保険労務士/ファイナンシャルプランナー
同志社大学法学部卒業後、生命保険会社に25年勤務しFPとして生命保険・損害保険・個人年金保険販売を行う。保有資格は社会保険労務士と2級FP技能士。2017年4月に西岡社会保険労務士事務所を開設し、労働保険・社会保険を中心に労務全般について企業サポートを行うとともに、日本年金機構の年金事務所で相談員を兼務。
執筆
マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
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