

60歳で貯金5000万円以上の割合は?中央値との比較と老後資金の充足度
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「60歳で貯金5000万円を達成したけれど、このままで老後は本当に安心なのだろうか」「周りの同世代はどれくらい貯蓄があるのだろう」といった疑問を持っている人もいるでしょう。
5000万円という資産は1つの節目ですが、老後生活の安心を実現するためには、現状を正しく把握し、今後の計画を立てることが欠かせません。
本記事では、60歳で5000万円以上の貯金を持つ人の割合、老後資金としての十分性、そして大切な資産を守りながら活用する賢い運用方法まで、専門家が徹底解説します。
- 60歳で貯金5000万円以上の世帯は全体の1〜2割程度と少数派であること
- 5000万円が老後資金として十分かは年金収入とライフスタイル次第であること
- 60歳からは資産を守りながら緩やかに増やす運用戦略が重要であること
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60歳で貯金5000万円以上の人はどれくらいいる?

60歳で貯金5000万円以上を保有している世帯は、日本全体で見ると少数派に属します。
60代は退職金などにより資産が厚くなる年代ですが、それでも5000万円を超える資産を持つ世帯は限られています。世帯構成別に見ると、世帯ごとの割合には違いが見られます。
全体の割合と二人以上世帯の傾向
60歳で5000万円以上の貯蓄がある人の割合を示すデータとして、PGF生命が行った「2024年の還暦人(かんれきびと)に関する調査」が参考になります。
同調査によると、2024年に60歳を迎える人のうち、貯蓄額が「5000万円以上」と回答した割合は12.9%でした。つまり、60歳の時点でおよそ1割強の人がこの水準に達していることになります。
また、公的機関のデータで世帯別の傾向を見てみましょう。「家計の金融行動に関する世論調査 2025年 | 金融経済教育推進機構 J-FLEC」によると、60代の二人以上世帯(非保有世帯含む)において、金融資産「3000万円以上」を保有する割合は27.2%となっています。
この「3000万円以上」の層の中からさらに「5000万円以上」に絞り込まれることを踏まえても、60代の二人以上世帯の中で5000万円の貯金を持つことは、限られた上位層に入ることを意味します。
単身世帯での割合
一方、単身世帯ではどうでしょうか。同じく「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」によると、60代単身世帯(非保有世帯含む)において、金融資産「3000万円以上」を保有する割合は15.6%です。
二人以上世帯の27.2%と比較して低い水準にとどまっており、ここから「5000万円以上」に限定すると、その割合はさらに一握りの層になることが推測されます。
また、同調査では60代単身世帯の約9%が「金融資産100万円未満」であるというデータもあり、単身世帯内での資産格差が大きい実態がうかがえます。
いずれの世帯においても、5000万円以上を保有する世帯は一部の層に限られているのが現実です
準富裕層・富裕層の定義
資産階級を把握する上で、野村総合研究所が提唱する定義が広く用いられています。
この定義では、預貯金、株式、債券、投資信託、生命保険などの金融資産の合計から、住宅ローンなどの負債を差し引いた「純金融資産保有額」に基づいて世帯を分類しています。
貯金5000万円はこの分類において「準富裕層」の入り口にあたります。
(参考:野村総合研究所、日本の富裕層・超富裕層は合計約165万世帯、その純金融資産の総額は約469兆円と推計 | 野村総合研究所(NRI))
純金融資産が5000万円以上の準富裕層、富裕層、超富裕層を合計すると、全世帯の上位約10.4%に入ることがわかります。60代という年代に絞ると割合は多少変動しますが、5000万円という資産がいかに希少であるかが理解できます。
60歳の貯金額、平均と中央値の実態

60代の貯蓄状況をより正確に理解するためには、「平均値」と「中央値」の2つの指標を見ることが鍵となります。
「家計の金融行動に関する世論調査 2025年 | 金融経済教育推進機構 J-FLEC」の調査によると、60代二人以上世帯(非保有世帯を含む)の金融資産保有額は平均値が2683万円、中央値が1400万円となっています。
平均値と中央値に乖離があることから、一部の富裕層が平均値を引き上げている実態が見えてきます。
平均値が高くなる理由
平均値が中央値の約2倍にもなっている理由は、一部の多くの資産を持つ世帯が全体の数値を引き上げているためです。
例えば、10世帯のうち9世帯が500万円、1世帯が1億円の資産を持っている場合、平均値は1450万円となりますが、中央値は500万円です。
このように、平均値だけを見ると実態を見誤る可能性があります。より一般的な世帯の状況を反映しているのは、データを順番に並べた際に真ん中にくる値である「中央値」のほうです。
60代の多くは、1400万円前後か、それ以下の資産状況にあると考えるのが現実的です。
金融資産ゼロ世帯の存在
60代の資産状況を語る上で、金融資産を全く保有していない世帯の存在も無視できません。
同調査によると、60代の二人以上世帯のうち、約1割(12.8%)が金融資産を保有していないと回答しています。また、単身世帯に目を向けると、単身世帯の割合はさらに高く、約3割(30.4%)にのぼります。
一部の富裕層が資産を増やす一方で、かなりの割合の世帯が老後資金の準備に苦慮しているという資産の二極化が、60代のリアルな姿といえるでしょう。
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貯金5000万円は老後資金として十分?

貯金5000万円が老後資金として十分かどうかは、「どのような老後生活を送りたいか」と「年金収入がいくらあるか」によって決まります。
5000万円という金額は、多くの人にとって安心材料となる資産ですが、それだけで安泰とは限りません。生活費の目安や年金とのバランスを考慮して、自分たちのケースでシミュレーションすることが必須です。

老後に必要な生活費の目安
老後の生活費は、ライフスタイルによって異なります。生命保険文化センターの調査によると、夫婦2人が老後生活を送る上で必要と考える生活費の平均は以下のようになっています。
- 最低限の日常生活費:月額23.9万円
- 経済的にゆとりのある老後生活費:月額39.1万円
「ゆとりのある生活」とは、最低限の生活に加えて、旅行やレジャー、趣味、人付き合いなどを楽しむための費用が含まれたものです。自身がどちらのライフスタイルを目指すかによって、必要な資金額は月々約15万円も変わってきます。
(参考:2025(令和7)年度生活保障に関する調査《速報版》)

年金収入との組み合わせ
老後の生活は、貯蓄の取り崩しだけでなく、公的年金収入との組み合わせで成り立ちます。5000万円が十分かどうかは、年金でカバーできない不足額をどれだけ補えるかで判断します。
例えば、夫婦でゆとりある生活(月約39万円)を目指し、年金収入が月22万円の場合、毎月の不足額は17万円です。この不足額を貯蓄で補うとすると、年間の不足額は204万円(17万円×12ヶ月)になります。
- (希望する月間生活費 - 夫婦の年金月額) × 12ヶ月 × 老後年数 = 老後に必要な自己資金額
上記の夫婦が65歳から95歳までの30年間生活すると仮定すると、必要な自己資金額は6120万円(204万円×30年)となり、5000万円では不足する可能性が出てきます。
まずは「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で自身の年金見込額を確認し、具体的な不足額を把握することが第一歩です。
5000万円で何年暮らせる?
5000万円で何年暮らせるかは、年金収入の有無や生活費の水準によって変わります。
ケース①年金収入がなく、毎月30万円の生活費で暮らす場合
年金収入がない場合、5000万円をすべて生活費で取り崩すことになります。
- 5000万円 ÷ 30万円/月 = 約166ヶ月(約13年9ヶ月)
65歳から生活を始めると、80歳になる前に資金が尽きてしまう計算です。
ケース②年金収入があり、毎月の不足額6.2万円を補う場合
夫婦の年金収入が月20.5万円、生活費が月23.9万円と仮定すると、毎月約3.4万円が不足します。年金収入がある場合の不足分を5000万円で補うと、
- 5000万円 ÷ (3.4万円/月 × 12ヶ月) = 約122年
年金収入がある場合では、年金収入があることで資産の減少が緩やかになり、100歳を超える年齢まで資金が持つ計算になります。
年金収入がある場合とない場合を比較すると、公的年金が老後生活の基盤としていかに重要であるかがわかります。
5000万円あっても油断できない理由

60歳時点で5000万円の貯金があれば、老後生活の支えになることは間違いありません。しかし、安心してすべてを預貯金で保有しているだけでは、将来思わぬリスクに直面する可能性があります。
「インフレ」「医療・介護費の増大」「想定外の支出」という3つのリスクは、計画的に築いた資産を静かに、しかし着実に侵食していく可能性があるため、十分な注意が必要です。
インフレによる資産価値の目減り
インフレ(インフレーション)とは、物価が継続的に上昇し、お金の価値が相対的に下がることです。現在の低金利下では、銀行預金の金利はインフレ率に追いつかないことがほとんどです。
例えば、日本銀行が目標とする年2%のインフレが続いた場合、現在5000万円の資産価値は、10年後には約4100万円、20年後には約3360万円まで実質的に目減りしてしまいます。
つまり、ただ銀行に預けているだけでは、資産は「見えない損失」を被り続けることになります。インフレ対策として、資産の一部を運用に回して価値の維持・向上を目指す視点が不可欠です。
医療・介護費用の増大リスク
年齢を重ねるとともに、医療や介護にかかる費用は増加する傾向にあります。生涯にかかる医療費のうち、約55%は65歳以降に発生するというデータもあります。
公的医療保険や介護保険制度があるものの、自己負担分は必ず発生します。以下のような費用は全額自己負担となる可能性があり、家計を圧迫する要因となり得ます。
- 先進医療の技術料
- 差額ベッド代
- 快適な介護サービスや有料老人ホームへの入居一時金・月額利用料
これらの費用は数百万円から、場合によっては数千万円単位になることもあります。5000万円の資産があっても、高額な医療・介護費用が発生すれば、想定よりも早く資産が減少するリスクを考慮しておく必要があります。
(参考:医療保険に関する基礎資料|厚生労働省保険局調査課)
想定外の支出への備え
老後生活では、日々の生活費や医療費以外にも、予期せぬまとまった支出が発生することがあります。これらの支出に備えておかなければ、せっかくの老後資金が計画外に減少してしまいます。
具体的には、以下のような支出が考えられます。
- 住宅のリフォーム費用:持ち家の場合、経年劣化による外壁塗装、水回りの修繕、バリアフリー化などが必要になることがあります。
- 子や孫への資金援助:結婚、住宅購入、教育資金など、子や孫のライフイベントを支援したいと考える場合、まとまった資金が必要になることがあります。
- 車の買い替え費用:地方在住などで車が生活必需品の場合、定期的な買い替え費用を計画に含める必要があります。
- 災害による修繕費:地震や台風などの自然災害により、自宅が損傷した場合の修繕費も考慮すべきリスクです。
これらの突発的な出費に対応するためにも、生活費とは別に一定の予備資金を確保しておくことが賢明です。
60歳から始める5000万円の賢い資産運用

60歳からの資産運用は、20代や30代のように積極的にリスクを取って資産を増やす「攻めの運用」から、築き上げた5000万円という大切な資産をインフレなどから「守りながら、緩やかに増やす」運用へと目的が変わります。
元本割れのリスクをコントロールしつつ、いかに資産寿命を延ばしていくかが重要なテーマとなります。そのためには、リスク許容度に合わせた資産配分と、適切な運用戦略が不可欠です。

守りと攻めのバランス配分
5000万円というまとまった資産を運用する場合、自身の目標やリスク許容度に応じたポートフォリオ(資産の組み合わせ)を組むことが肝となります。一般的に、年齢が上がるにつれてリスクの低い資産の割合を高めるのが基本です。
以下は、リスク水準別の資産配分例です。
60代からの運用では、まずはローリスク型やミドルリスク型を基本に考えるとよいでしょう。預金や債券といった安定資産で資産の土台を固めつつ、投資信託や株式でインフレ対策やプラスアルファのリターンを狙うのが賢明な戦略です。
低リスク運用の選択肢
60代からの資産運用において、ポートフォリオの中核を担うのが低リスク資産です。元本割れのリスクを極力抑えながら、預金よりも高いリターンを目指すことができます。
- 個人向け国債(変動10年):日本国が発行するため安全性が高く、金利が市場金利に連動して半年ごとに見直されるため、インフレにもある程度対応できます。最低金利が0.05%保証されており、1万円から購入可能です。
- 社債:企業が発行する債券です。国債よりは信用リスクがありますが、その分金利は高めに設定されています。信用格付けの高い企業の社債を選ぶことで、リスクを抑えつつ安定した利子収入が期待できます。
- 債券ファンド:国内外の複数の債券に分散投資する投資信託です。1つの商品で手軽に分散投資ができるのが魅力です。
これらの低リスク資産を組み合わせることで、資産全体の安定性を高めることができます。
取り崩しながら運用する戦略
60歳以降は、資産を増やしながら同時に生活費として取り崩していく段階に入ります。この「取り崩し期」において注意すべきなのが、相場下落時に資産を売却して損失を確定させてしまうリスクです。
このリスクを避けるための有効な戦略として「バケツ型運用」があります。これは、資産を目的別に3つのバケツに分けて管理する方法です。
- 第1のバケツ(短期資金):生活費2〜3年分を現金や個人向け国債など、いつでも安全に引き出せる資産で確保します。相場が急落しても、ここから生活費を賄うことで、他の資産を慌てて売却する必要がなくなります。
- 第2のバケツ(中期資金):5〜10年以内に使う可能性のある資金を、債券ファンドなど比較的安定した商品で運用します。
- 第3のバケツ(長期資金):10年以上使う予定のない資金を、株式のインデックスファンドなどで長期的な成長を目指して運用します。
定期的に各バケツの残高を見直し、増えた長期資金の一部を短期資金に移すなどメンテナンスを行うことで、安定的に資産を取り崩しながら運用を続けることが可能になります。
60歳で5000万円を築いた人の特徴
60歳という節目で5000万円以上の資産を築くことは、決して偶然の産物ではありません。多くの場合、そこには長年にわたる計画的な行動と一貫した哲学が存在します。
もちろん、高収入や退職金、相続といった要因も影響しますが、それだけでは十分ではありません。収入の多寡にかかわらず、資産形成に成功した人々には共通する特徴が見られます。
早期からの計画的な貯蓄
5000万円の資産を築いた人の多くは、社会人になって早い段階から貯蓄の習慣を身につけています。給与から自動的に一定額を天引きして貯蓄や投資に回す「先取り貯蓄」を実践しているケースが目立ちます。
財形貯蓄制度を利用したり、積立定期預金や投資信託の自動積立サービスを活用したりすることで、意思の力に頼らずとも着実に資産を積み上げています。
「余ったら貯蓄する」のではなく、「先に貯蓄して残りで生活する」という考え方を徹底することが、長期的な資産形成の基盤となっています。
長期的な資産運用の実践
貯蓄だけで5000万円を達成するのは容易ではありません。資産形成に成功した人の多くは、貯蓄と並行して「長期・積立・分散」を基本とした資産運用を実践しています。
運用で得た利益を再投資することで、利益が利益を生む「複利効果」を最大限に活用しています。例えば、毎月5万円を年利3%で30年間積み立てると、元本1800万円に対して、最終的には約2894万円にまで資産が成長する可能性があります。
NISAやiDeCoといった税制優遇制度をフル活用し、市場の短期的な変動に一喜一憂することなく、長期的な視点でコツコツと運用を続けることが、資産を築くための王道といえるでしょう。
(参考:つみたてシミュレーター|金融庁)

まとめ

60歳で貯金5000万円以上を保有する世帯は、全体の1割程度と少数派であり、資産形成の上位層に位置します。この金額は、公的年金と組み合わせることで、多くの場合ゆとりのある老後を送るための十分な基盤となり得ます。
しかし、インフレによる資産価値の目減りや、想定外の医療・介護費の発生といったリスクを考慮すると、5000万円があっても決して安泰とは言い切れません。大切なのは、築き上げた資産を「守りながら緩やかに増やす」という視点です。
60歳からは、自身のリスク許容度に合わせた資産配分を見直し、安定的な運用を取り入れながら計画的に資産を取り崩していく「出口戦略」が重要になります。
まずは自身の年金受給額を確認し、具体的なライフプランを立てることから始めてみましょう。
自身の状況に合わせた具体的な資産計画を立てるために、まずは専門家の視点からアドバイスを受けてみるのも1つの方法です。
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監修

高橋 明香
- ファイナンシャルアドバイザー/CFP®認定者
みずほ証券(入社は和光証券)では、20年以上にわたり国内外株、債券、投資信託、保険の販売を通じ、個人・法人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事。2021年に株式会社モニクルフィナンシャル(旧:株式会社OneMile Partners)に入社し、現在は資産運用に役立つコンテンツの発信に注力。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、一種外務員資格(証券外務員一種)保有。
執筆

マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。



