株の確定申告はいくらから必要?20万円・95万円の基準と口座別の判断方法を徹底解説

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株取引で利益が出た場合、「いくらから確定申告が必要なのか」と疑問に思う人は多いでしょう。

株の利益は原則として課税対象ですが、利用している口座の種類や、他の所得の有無によって、確定申告が必要かどうかは変わります。

特に、特定口座(源泉徴収あり)と一般口座では扱いが異なるため注意が必要です。

本記事では、株の確定申告が必要になる金額の目安や判断基準、申告が必要になるケース・不要なケースを税理士監修のもと、わかりやすく解説します。

この記事を読んでわかること
  • 確定申告が必要になる具体的な金額基準
  • 口座の種類による申告要否の違い
  • 損失が出た場合に確定申告で節税する方法

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株の確定申告が必要になる金額基準

株式投資における確定申告の必要性を判断する最初のステップは、自身の所得状況に応じた金額基準を理解することです。

基準は、主に給与所得があるかどうかで2つに分かれます。それぞれの基準を正確に把握し、自身がどちらに該当するかを確認しましょう。

給与所得者は利益20万円超で申告が必要

会社員やパート・アルバイトなど、勤務先から給与を受け取っている給与所得者の場合、株式投資を含む給与以外の所得の合計が年間で20万円を超えると、原則として確定申告が必要になります。

これは「20万円ルール」として知られており、副業をしている多くの人に関わる重要な基準です。

ここでいう「所得」とは、売却で得た収入そのものではなく、収入から取得費や手数料などの必要経費を差し引いた「利益」の部分を指します。

ただし、このルールには以下の前提条件があります。

  • 1ヶ所から給与の支払いを受けている
  • 年間の給与収入が2000万円以下である
  • 給与所得や退職所得以外の所得金額が20万円以下である

これらの条件を満たす場合に限り、20万円以下の利益であれば所得税の確定申告は不要となります。

給与所得者以外は所得95万円超で申告が必要

個人事業主やフリーランス、専業主婦(夫)など、給与所得者以外の場合は、株式投資を含む年間の合計所得金額が95万円を超えると確定申告が必要です。

この95万円という金額は、所得税の計算ですべての納税者に適用される「基礎控除」の額に関連しています。

これまでは48万円でしたが、2025年分の確定申告から、合計所得金額132万円以下の人の基礎控除額が95万円に引き上げられます。

合計所得がこの基礎控除額以下であれば、課税される所得が0円になるため、所得税は発生せず申告も不要となります。

複数の投資で利益がある場合の計算方法

株式投資以外にもFXや暗号資産、不動産投資など、複数の投資や副業から利益を得ている場合、確定申告の要否はそれらの利益(所得)をすべて合計して判断します。

例えば、給与所得者の方が以下のような利益を得たとします。

  • 株式投資の利益:15万円
  • FX取引の利益:8万円

この場合、それぞれの利益は20万円以下ですが、合計すると23万円となります。この合計額が20万円の基準を超えるため、確定申告が必要になります。

ポイントの解説

異なる種類の所得であっても、給与所得・退職所得以外の所得は合算して考える必要があるため、年間のすべての損益を把握しておくことが欠かせません。

口座の種類で変わる確定申告の要否

株式投資の確定申告が必要かどうかは、利益の金額だけでなく、どの種類の証券口座で取引しているかによっても異なります。

「NISA口座」や「特定口座(源泉徴収あり)」を利用している場合は、確定申告の手間が大幅に軽減される仕組みになっています。

自身の利用している口座の種類を確認し、申告の要否を正しく判断しましょう。

NISA口座は利益額にかかわらず申告不要

NISA(少額投資非課税制度)口座内での取引で得た利益は、金額にかかわらず非課税となり、確定申告は一切不要です。

NISAは個人の資産形成を支援するための税制優遇制度であり、年間投資枠の範囲内での売却益や配当金には所得税も住民税もかかりません。

そのため、NISA口座のみで投資を行っている場合は、利益がいくら出ても確定申告について心配する必要はありません。

ただし、NISA口座には注意点もあります。

注意点

この口座内で発生した損失は、税務上ないものとして扱われるため、他の課税口座(特定口座や一般口座)で得た利益と相殺する「損益通算」や、損失を翌年以降に繰り越す「繰越控除」の対象にはなりません。

特定口座(源泉徴収あり)は原則申告不要

「特定口座(源泉徴収あり)」を選択している場合、株式の売却益や配当金が出るたびに、証券会社が税金を計算して源泉徴収(天引き)し、本人に代わって納税まで行ってくれます。

この仕組みにより、投資家は原則として確定申告をする必要がありません。利益が20万円を超えていても、申告手続きは不要で、納税関係がすべて完結します。多くの個人投資家にとって、手間のかからない口座といえるでしょう。

ポイントの解説

ただし、複数の証券会社で取引していて損益を通算したい場合や、損失を翌年に繰り越したい場合など、節税のためにあえて確定申告を行うことも可能です。

特定口座(源泉徴収なし)・一般口座は金額基準で判断

「特定口座(源泉徴収なし)」や「一般口座」を利用している場合、証券会社による税金の源泉徴収は行われません。

そのため、これらの口座で得た利益については、自身で確定申告を行う必要があります。

申告が必要かどうかは、これまで解説してきた金額基準に基づいて判断します。

  • 給与所得者: 株の利益を含む給与以外の所得が合計20万円を超える場合
  • 給与所得者以外: 株の利益を含む合計所得が95万円を超える場合

「特定口座(源泉徴収なし)」では、証券会社が1年間の損益を計算した「年間取引報告書」を作成してくれるため、この数値を確定申告書に転記するだけで比較的簡単に申告できます。

一方、「一般口座」では、年間の損益計算も自身で行う必要があります。すべての取引履歴をもとに、取得費や譲渡費用を計算し、譲渡所得を算出しなければなりません。


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確定申告が不要でも住民税の申告は必要なケース

株式投資の利益が20万円以下であるなど、所得税の確定申告が不要な場合でも、安心はできません。原則として、利益が出ている限り住民税の申告は別途必要になるためです。

所得税と住民税では、申告不要となる基準が異なる点を理解しておくことが肝となります。

所得税と住民税の申告基準の違い

所得税と住民税の申告における一番の違いは、給与所得者向けの「20万円ルール」が住民税には適用されない点です。

所得税法では、給与所得者の20万円以下の副業所得について確定申告を不要とする特例が設けられています。これは、少額の所得に対する申告手続きの負担を軽減するための措置です。

しかし、地方税法にはこのような特例が存在しません。そのため、所得が1円でも発生した場合は、原則として住んでいる市区町村に住民税の申告を行う義務があります。

ただし、所得税の確定申告を行った場合は、この情報が税務署から市区町村に連携されるため、別途住民税の申告を行う必要はありません。

確定申告は、住民税の申告も兼ねていると理解しておきましょう。

住民税申告が必要な具体的なケース

住民税の申告が必要となるのは、給与所得者が株式投資などで20万円以下の利益を得て、所得税の確定申告を行わない場合です。

例えば、会社員が「特定口座(源泉徴収なし)」で年間15万円の利益を得たとします。この場合、利益が20万円以下なので所得税の確定申告は不要です。

しかし、住民税の申告義務は残っているため、住んでいる市区町村の役所に出向き、住民税の申告手続きを行う必要があります。

この申告を怠ると、本来納めるべき住民税が未納となり、後日延滞金を含めて請求される可能性があります。

少額の利益であっても、確定申告をしない場合は住民税の申告を忘れないように注意しましょう。

利益が少なくても確定申告したほうがよいケース

株式投資の利益が申告基準に満たない場合や、損失が出た場合でも、あえて確定申告を行うことで税金が還付されたり、将来の税負担を軽減できたりするメリットがあります。

申告義務がないからといって何もしないのではなく、自身の状況を確認し、有利な制度を活用することを検討しましょう。

株で損失が出た場合は申告で節税できる

株式投資で年間の取引結果が損失となった場合、確定申告の義務はありませんが、申告することで2つの大きな節税メリットを受けられます。

  1. 損益通算
  2. この年に得た他の株式の利益や、受け取った配当金などと損失を相殺できます。これにより、配当金などから源泉徴収された税金が還付されることがあります。

  1. 繰越控除
  2. 損益通算してもなお残った損失は、翌年以降最大3年間にわたって繰り越すことができます。繰り越した損失は、翌年以降の株式投資の利益や配当金から差し引くことができ、将来の税負担を軽減できます。

これらの制度を活用するためには、損失が出た年にも必ず確定申告を行う必要があります。

ポイントの解説

繰越控除を利用する場合は、損失が出た年から利益が出て損失を相殺する年まで、毎年継続して確定申告を行うことが条件となります。

複数口座の損益を通算したい場合

複数の証券会社に口座を持って取引している場合、それぞれの口座の損益を合算して税金を計算する「損益通算」を行うために確定申告が有効です。

例えば、以下のような状況を考えてみましょう。

  • A証券の口座: 60万円の利益が発生
  • B証券の口座: 20万円の損失が発生

確定申告をしない場合、A証券では60万円の利益に対して税金(約12万2000円)が源泉徴収されますが、B証券の損失は考慮されません。

しかし、確定申告で損益通算を行えば、全体の利益は40万円(60万円 - 20万円)として計算されます。その結果、本来納めるべき税金は約8万1000円となり、源泉徴収された税金のうち約4万1000円が還付されます。

このように、口座をまたいで利益と損失を相殺することで、払い過ぎた税金を取り戻すことができます。

この手続きは、特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合でも、あえて確定申告をすることで適用を受けられます。

医療費控除など他の控除を受けたい場合

年間の医療費が多くかかった場合の「医療費控除」や、ふるさと納税をした際の「寄附金控除」、住宅ローンを組んだ初年度の「住宅ローン控除」など、年末調整では手続きできない所得控除を受けたい場合は、確定申告が必要です。

これらの控除を適用するために確定申告を行う際には、注意点があります。それは、給与所得以外の所得もすべて合わせて申告しなければならないという点です。

つまり、医療費控除の申告をする場合、たとえ株式投資の利益が20万円以下であっても、この利益を申告書に記載する必要があります。

注意点

20万円以下の所得は申告不要というルールは、あくまで「確定申告をする必要がない」場合に適用されるものであり、「確定申告をする」と決めた以上は、すべての所得を正しく申告する義務が生じます。

確定申告しないとどうなる?ペナルティとリスク

株式投資で確定申告が必要な基準を満たしているにもかかわらず、申告を怠ると、本来納めるべき税金に加えてペナルティが課される可能性があります。

「少額だからバレないだろう」と安易に考えるのは危険です。税務署は投資家の所得を把握する仕組みを持っているため、申告義務がある場合は必ず手続きを行いましょう。

無申告加算税と延滞税が課される

確定申告の義務があるにもかかわらず、期限内に申告しなかった場合、いくつかのペナルティが課せられます。

  • 無申告加算税
  • 本来納めるべき税額に対して課される罰金です。税率は、税務署の調査を受ける前に自主的に申告した場合は5%ですが、調査後に申告した場合は15%(50万円超の部分は20%、300万円超の部分は30%)と高くなります。

  • 延滞税
  • 法定納期限の翌日から実際に納付する日までの日数に応じて課される利子に相当する税金です。税率は年によって変動しますが、最高で年14.6%と高率です。
ポイントの解説

これらのペナルティは、申告が遅れるほど金額が増加します。申告忘れに気づいた場合は、1日でも早く自主的に「期限後申告」を行うことが肝となります。

証券会社からの支払調書で税務署は把握している

「少額の利益なら税務署にバレないのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、この考えは危険です。

証券会社は、顧客の年間の取引内容をまとめた「支払調書」という書類を税務署に提出する義務があります。この支払調書には、誰が、どの口座で、いくらの利益を得たか、あるいは損失を出したかが詳細に記載されています。

つまり、税務署は投資家一人ひとりの損益状況を正確に把握しています。

そのため、確定申告が必要な基準を超えているにもかかわらず申告しないでいると、後日、税務署から申告漏れの指摘を受ける可能性が十分にあります。

指摘を受けてから申告すると、無申告加算税の税率も高くなるため、申告義務がある場合は必ず期限内に手続きを行いましょう。

株の確定申告に必要な書類と手続きの流れ

株式投資の確定申告を行うと決めたら、次に具体的な手続きに進みます。

申告をスムーズに完了させるためには、事前に必要な書類を準備し、申告期限と提出方法を把握しておくことが大切です。

基本的な流れと要点を解説します。

必要な書類

株式投資の確定申告では、主に以下の書類が必要となります。事前に漏れなく準備しておきましょう。

  • 確定申告書
  • 第一表、第二表に加え、株式の譲渡所得は分離課税のため「第三表(分離課税用)」が必要です。

  • 株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書
  • 年間の売買損益を計算し、記入するための書類です。

  • 特定口座年間取引報告書
  • 特定口座を利用している場合に、1月末頃までに証券会社から送付されます。この報告書をもとに申告書を作成します。e-Taxで申告する場合、添付は不要です。

  • 源泉徴収票(給与所得者・公的年金受給者の場合)
  • 勤務先や日本年金機構から発行される書類です。給与所得や年金所得を申告するために必要です。

  • 本人確認書類
  • マイナンバーカード、またはマイナンバー通知カードと運転免許証などの身元確認書類が必要です。

その他、医療費控除など他の控除を申請する場合は、それぞれの証明書類も準備します。

申告期限と申告方法

確定申告の手続きには、定められた期間と方法があります。

申告期間

原則として、毎年2月16日から3月15日までです。この期間内に申告と納税を完了させる必要があります。ただし、損失の申告などによる還付申告の場合は、翌年1月1日から5年間提出することが可能です。

申告方法

主な申告方法には、以下の3つがあります。

  1. e-Tax(電子申告)
  2. 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で作成したデータを、インターネット経由で提出する方法です。24時間いつでも自宅から申告でき、還付も早いというメリットがあります。マイナンバーカードが必要です。

  1. 郵送
  2. 作成した申告書を、管轄の税務署に郵送します。

  1. 税務署の窓口に持参
  2. 管轄の税務署の窓口に直接提出します。申告期間中は混雑することが多いです。

近年はe-Taxの利用が推奨されており、利便性も高まっています。自身の状況に合わせて最適な方法を選択しましょう。

株の確定申告に関するよくある質問

株式投資の確定申告に関して多くの人が抱く疑問について、Q&A形式で簡潔にお答えします。

株で20万円以下でも申告したほうがよい?

利益が20万円以下で申告義務がない場合でも、申告したほうがよいケースがあります。

「特定口座(源泉徴収あり)」で取引し、利益から税金が天引きされている場合は、確定申告をすることでこの税金が還付される可能性があります。

また、年間のトータルで損失が出ている場合も、申告すれば「損益通算」や「繰越控除」といった節税制度を活用できます。

NISA口座とそれ以外の口座を併用している場合は?

NISA口座と他の課税口座(特定口座、一般口座)を併用している場合、確定申告の要否は課税口座の損益のみで判断します。

NISA口座で得た利益は非課税であり、申告の必要はありません。課税口座での利益が20万円(給与所得者の場合)などの基準を超えるかどうかを確認してください。

注意点

ただし、NISA口座で発生した損失は、他の課税口座の利益と相殺(損益通算)することはできないため注意が必要です。

確定申告を忘れた場合はどうすればよい?

確定申告を忘れていたことに気づいた場合は、できるだけ速やかに「期限後申告」として手続きを行いましょう。

税務署から指摘を受ける前に自主的に申告することで、無申告加算税の税率が軽減されるメリットがあります。

申告が遅れるほど延滞税も増えていくため、気づいた時点ですぐに行動することが必須です。手続きが不明な場合は、税務署や税理士に相談することをお勧めします。

まとめ

株式投資における確定申告の要否は、自身の所得状況と利用している口座の種類によって決まります。給与所得者であれば年間利益20万円、それ以外の方は年間所得95万円(2025年分以降)が1つの目安となります。

「特定口座(源泉徴収あり)」や「NISA口座」を利用することで、申告の手間を大幅に省くことが可能です。

一方で、年間の取引で損失が出た場合には、申告義務がなくても「損益通算」や「繰越控除」といった節税メリットを受けるために、あえて確定申告を行うことが有効です。

申告義務があるにもかかわらず手続きを怠るとペナルティが課されるため、自身の状況を正しく把握し、期限内に適切な対応を心がけましょう。

不明な点があれば、国税庁のWebサイトを確認したり、税理士などの専門家に相談したりすることをお勧めします。

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ご留意事項

  • 本記事は一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の金融商品の取引を勧誘するものではありません。
  • 本記事の内容は記事公開時または更新時点の情報に基づいています。制度・法令・税制等の変更により、現在の情報と異なる場合があります。
  • 本記事の内容の正確性、完全性、最新性を保証するものではなく、予告なく変更または更新する場合があります。
  • 投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任とご判断のもとで行っていただきますようお願いいたします。

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監修
黒澤 伸
  • 黒澤 伸
  • 税理士/社会保険労務士/CFP®認定者

東京都出身。中央大学商学部会計学科を卒業後、東京国税局に入局。国税庁、東京国税局等に38年間勤務し、2023年に高松国税局長を最後に退官。同年、黒澤伸税理士事務所を開設し、2024年には社会保険労務士としても登録。現在は、税務・会計、社会保険、労働保険等の士業務を中心に、CFPとして事業者のトータルサポートを行っている。


執筆
マネイロメディア編集部
  • マネイロメディア編集部
  • お金のメディア編集者

マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。