
遺族厚生年金の継続給付とは?2028年施行の制度の仕組みと対象者を解説
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「2028年から遺族厚生年金が5年で打ち切りになる?」と、将来の生活に不安を感じていませんか?
今回の年金制度改正では、5年の有期給付終了後も、一定の条件を満たせば年金を受け取れる「継続給付」という仕組みが新設されます。
そこで本記事では、継続給付の対象者や収入基準、手続きの要点を詳しく解説します。
- 2028年4月施行の遺族年金改正の全体像
- 継続給付の対象者となる「収入」や「障害」の具体的な基準
- 継続給付の支給額と収入に応じた支給停止の仕組み
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2028年施行の遺族年金改正で何が変わるのか
2025年6月に成立した年金制度改正法により、遺族年金の仕組みが変わります。
遺族厚生年金は、これまでの終身保障から、生活再建を支えるための短期集中型の給付へと性格が変わります。ここでは、改正の3つの主要なポイントを解説します。
遺族厚生年金が「5年の有期給付」に
今回の改正で大きな変更点は、遺族厚生年金の給付期間です。これまで、子のいない30歳以上の妻などは生涯にわたって遺族厚生年金を受け取ることができました。
しかし、2028年4月以降に新たに受給権が発生する人については、原則として給付期間が「5年間」の有期給付に見直されます。
これは、男女間の支給条件の差をなくし、働き方の多様化に対応するための変更です。
ただし、18歳年度末までの子を養育している期間は、これまで通り遺族厚生年金が支給され、子がこの年齢に達した後に5年間の有期給付が開始される仕組みです。
(参照:年金制度改正法が成立しました|厚生労働省)
5年経過後も受け取れる「継続給付」の新設
遺族厚生年金が5年で終了すると、その後の生活に不安が残る人もいるでしょう。
そこで、今回の改正ではセーフティネットとして「継続給付」の仕組みが新たに設けられました。
これは、5年間の有期給付が終了した後も、収入が一定基準以下の人や、障害の状態にある人など、自立した生活が困難な状況にある場合に、引き続き遺族厚生年金を受け取れるようにする制度です。
これにより、有期給付化による影響を緩和し、長期的な生活の安定を図ることを目的としています。
(参照:遺族厚生年金の見直しについて|厚生労働省)
改正の対象者と施行時期
この新しい制度は、2028年4月1日以降に配偶者が亡くなり、新たに遺族厚生年金の受給権が発生した人が対象となります。
重要な点として、2028年3月31日以前からすでに遺族厚生年金を受給している人は、今回の改正の影響を受けません。これらの人々は、引き続き現行の制度(主に終身給付)が適用されます。
また、女性については急激な変化を避けるための経過措置が設けられています。
2028年度に40歳以上になる女性は影響を受けず、対象となる年齢は20年かけて段階的に引き上げられる予定です。
(参照:遺族厚生年金の見直しについて|厚生労働省)
継続給付の対象になるのはどんな人?
5年間の有期給付が終了した後、誰もが継続給付を受けられるわけではありません。
生活再建が困難な状況にある人を支えるためのセーフティネットとして、対象者には明確な基準が設けられています。
具体的には「収入」と「障害」という2つの側面から判断されます。
収入が一定以下の場合
継続給付の対象となる主なケースは、収入が十分でない場合です。
具体的には、単身者の場合、前年の就労収入が年間122万円(月額約10万円)以下であれば、継続給付が全額支給されます。
この金額は、国民年金保険料の全額免除基準となる所得を参考にして設定されています。
なお、2025年度の税制改正などを反映した地方税の所得に換算すると、年間132万円程度が見込まれています。
この基準は、あくまで生活再建が途上にある人を支えるためのものであるため、一定の収入がある場合は対象外となるか、後述するように年金額が調整されます。
障害のある人の場合
もう1つの対象者は、障害の状態にある人です。具体的には、障害年金(1級・2級・3級)の受給権を持っている人は、収入にかかわらず継続給付の対象となります。これは、障害によって就労が困難な状況を考慮した措置です。
継続給付の判定タイミング
継続給付を受けられるかどうかの判定は、まず5年間の有期給付が終了する時点で行われます。この時点で収入や障害の要件を満たしていれば、継続給付が開始されます。
その後は、毎年1回、前年の所得に基づいて受給資格の確認が行われます。
そのため、継続給付を受けている間は、毎年自身の収入状況を確認し、必要に応じて届出を行う必要があります。
もし収入が基準を超え、年金が全額支給停止の状態が2年間続くと、継続給付の権利そのものが失われる点にも注意が必要です。
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継続給付でいくらもらえる?支給額と支給停止の基準
継続給付の対象となった場合、具体的にいくら受け取れるのでしょうか。
支給額は、有期給付期間中の増額された額が基本となりますが、自身の収入によっても変動します。ここでは、支給額の計算方法と収入に応じた調整の仕組みを解説します。
継続給付の支給額の計算方法
継続給付の支給額は、5年間の有期給付で受け取っていた「増額された遺族厚生年金」と同額です。
この「増額された額」とは、本来の遺族厚生年金(亡くなった人の老齢厚生年金の4分の3)に「有期給付加算」が上乗せされたものです。
この加算により、亡くなった人の老齢厚生年金の満額(4分の4)に相当する額、つまり本来の遺族厚生年金の約1.3倍の金額が支給されます。
したがって、継続給付の対象となった場合も、この手厚い給付が続くことになります。
ただし、これは収入が基準以下の「全額支給」の場合であり、収入が増えると後述する調整が入ります。
収入による支給停止の仕組み
継続給付は、収入に応じて支給額が調整されます。
- 全額支給:前年の就労収入が年間122万円(月額約10万円)以下の場合
- 一部支給停止(減額):収入が年間122万円を超えると、収入の増加に応じて年金額が段階的に減額されます。これは、収入と年金の合計額が緩やかに増えるように設計されており、急に手取りが減ることはありません。
- 全額支給停止:収入がさらに増え、概ね月額で20万円から30万円を超えると、継続給付は全額支給停止となります。
この仕組みは、在職中に老齢厚生年金を受け取る「在職老齢年金制度」の考え方に似ています。
働きながらでも一定の年金は受け取れますが、高収入になると支給が停止されるというバランスになっています。
他の年金との併給調整
65歳になると、多くの人は自身の老齢基礎年金や老齢厚生年金を受け取る権利が発生します。遺族厚生年金と自身の老齢年金は、受け取り方にルールがあります。
65歳以降は、まず自身の老齢厚生年金が優先して支給されます。その上で、遺族厚生年金の額が自身の老齢厚生年金の額を上回る場合に、この差額分が遺族厚生年金として支給されます。
例えば、自身の老齢厚生年金が年額50万円、遺族厚生年金が年額70万円の場合、まず老齢厚生年金50万円が支払われ、差額の20万円が遺族厚生年金として支払われます。合計受給額は70万円です。
このルールは、継続給付を受けている場合も同様に適用されます。自身の老齢基礎年金は、遺族厚生年金とは別に全額受け取ることができます。
継続給付を受けるための手続き
継続給付は自動的に開始されるものではなく、自身での手続きが必要です。有期給付が終了する前に、必要な書類を揃えて届け出る必要があります。
ここでは、手続きの流れと注意点を解説します。
有期給付終了前の届出
継続給付を受けるためには、5年間の有期給付が終了する前に、日本年金機構へ届出を行う必要があります。
この手続きは、自身が継続給付の対象となる条件(収入が一定以下、または障害の状態にあること)を満たしていることを申告するために不可欠です。
届出の時期が近づくと、日本年金機構から案内が送付されることが想定されますが、自身で期限を管理しておくことが欠かせません。
もし届出を忘れてしまうと、継続給付が受けられなくなる可能性があるため、注意しましょう。
収入状況の定期的な届出
継続給付の受給が開始された後も、毎年1回、収入状況を届け出る必要があります。
これは、継続給付の要件である「収入が一定以下」という条件を引き続き満たしているかを確認するためです。
届出を怠ったり、内容に誤りがあったりすると、年金の支給が一時的に停止されたり、過払い分の返還を求められたりする可能性があります。
収入に変動があった場合は、速やかに正しい情報を申告することが大切です。
継続給付と働き方の関係
継続給付の収入基準は、働き方を考える上で重要な要素となります。
収入を一定額に抑えて年金を全額受け取るか、年金の減額を許容して収入を増やすか、ライフプランに合わせた判断が求められます。
年132万円の壁をどう考えるか
継続給付の全額支給の目安となる収入「年間約132万円」は、いわゆる「扶養の壁」の1つとしても意識される金額です。
この基準を少し超えたからといって、年金がゼロになるわけではありません。
収入が増えるにつれて年金は段階的に減額されますが、収入と年金の合計額は緩やかに増加するように設計されています。
そのため、「壁を超えると損をする」というわけではなく、働く時間を増やすほど世帯全体の手取りは増えるのが基本です。
判断のポイントは、自身のライフプランです。
- 収入の最大化を優先:多少年金が減額されても、キャリア形成やより多くの収入を得ることを重視する。
- 時間とのバランスを重視:収入を基準内に抑え、年金を全額受給しながら、家事や趣味、自己投資の時間を確保する。
どちらがよいかは一概には言えません。自身の価値観や将来設計に合わせて働き方を検討することが大切です。
パートや自営業の場合の注意点
継続給付の収入基準は、給与所得者だけでなく、パートタイマーや自営業者(個人事業主)も対象です。ただし、収入の計算方法に注意が必要です。
判定の基準となるのは、年間の「所得」です。
- パート・アルバイト:給与収入から給与所得控除を差し引いた後の「給与所得」が基準となります。
- 自営業:売上から必要経費を差し引いた後の「事業所得」などが基準となります。
自営業の人は、経費の計上によって所得額が変わるため、正確な申告が求められます。
国民年金保険料の免除基準で用いられる所得計算が参考にされるため、日ごろから帳簿をつけ、所得を正しく把握しておくことが必須です。
継続給付に関するよくある質問
2028年から始まる新しい制度である継続給付について、多くの人が抱える疑問・質問をQ&A形式でまとめました。自身の状況と照らし合わせながらご確認ください。
Q. 継続給付はいつまで受け取れる?
収入や障害の要件を満たし続ける限り、原則として65歳になるまで受け取ることができます。
65歳以降は、自身の老齢年金との調整が行われます。毎年、前年の所得状況によって受給資格が判定されるため、定期的な収入の届出が必要です。
もし収入が増えて基準を超え、年金の全額支給停止が2年間続いた場合は、受給権が失われる点に注意が必要です。
Q. 2028年3月以前の受給者も対象?
いいえ、対象外です。
今回の改正は、2028年4月1日以降に新たに遺族厚生年金の受給権が発生した人が対象です。
2028年3月31日以前から遺族厚生年金を受給している人は、引き続き改正前の制度(終身給付など)が適用され、有期給付や継続給付の仕組みは適用されません。
Q. 収入が基準を超えたらどうなる?
年金額が段階的に減額され、一定の収入を超えると全額支給停止となります。
具体的には、単身者の場合、前年の就労収入が年間122万円(月額約10万円)を超えると、収入の増加に応じて年金額が調整されます。
収入と年金の合計額が緩やかに増える仕組みです。収入がさらに増え、おおむね月額20万円から30万円を超えると、継続給付は全額支給停止となります。
まとめ
2028年4月から施行される遺族年金改正で導入される「継続給付」は、遺族厚生年金が5年の有期給付となった後の生活を支える重要なセーフティネットです。
5年経過後も、収入が年間122万円以下の方や障害の状態にある方は、引き続き増額された年金を受け取ることができます。
収入が基準を超えても、急に手取りが減るわけではなく、収入と年金の合計額が緩やかに増えるよう調整される仕組みになっています。
この給付を受けるためには、有期給付終了前の届出や、毎年の収入状況の申告が不可欠です。
制度の仕組みを正しく理解し、自身のライフプランに合わせた働き方を検討することが大切です。不明な点があれば、お近くの年金事務所に相談しましょう。
今回の改正を機に、将来の生活設計についてあらためて考えてみませんか?簡単な質問に答えるだけで、あなたに合った資産形成の方法がわかります。
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監修
山本 務
- 特定社会保険労務士/AFP/第一種衛生管理者
東京都練馬区で、やまもと社会保険労務士事務所を開業。企業の情報システム、人事部門において通算28年の会社員経験があるのが強みであり、情報システム部門と人事部門の苦労がわかる社会保険労務士。労務相談、人事労務管理、就業規則、給与計算、電子申請が得意であり、労働相談は労働局での総合労働相談員の経験を生かした対応ができる。各種手続きは電子申請で全国対応が可能。また、各種サイトで人事労務関係の記事執筆や監修も行っている。
執筆
マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。
