マネイロ知識ゼロでも
ただしい資産運用を

厚生年金に入らないほうが得?手取り減と将来の安心を比較

厚生年金に入らないほうが得?手取り減と将来の安心を比較

年金2026/02/05
  • #会社員
  • #公務員
  • #自営業者・個人事業主

≫将来のお金は足りる?あなたの不足額が3分でわかる


厚生年金に加入すると、毎月の保険料で手取りが減って損している?」「入らないほうが得なのでは?」

このように考えて、厚生年金への加入をためらう人もいるかもしれません。しかし、目先の損得勘定だけで判断してしまうと、将来的に大きな差が生まれる可能性があります。

本記事では、厚生年金に加入しないほうが得に見える理由を整理し、実際の保険料負担や将来の年金額を数字で比較しながら、長期的な視点でのメリット・デメリットを専門家が解説します。

状況に合わせて最適な選択をするために、ぜひ最後までご覧ください。

この記事を読んでわかること
  • 厚生年金に加入した場合の保険料と将来の年金額の比較
  • 手取りが減っても厚生年金に加入するべき理由
  • 「年収の壁」を意識した働き方の注意点


老後資金が気になるあなたへ

老後をお金の不安なく暮らすために、まずは自分にとっての必要額を知ることから始めましょう。マネイロでは、老後資金づくりをサポートする無料ツールを利用いただけます。

老後資金の無料診断:老後に必要な金額が3分でわかる

賢いお金の増やし方入門:貯金と投資でコツコツ増やす方法がわかる

年金の基本と老後資金準備:年金を増やす方法や制度の落とし穴を学ぶ

「厚生年金に入らないほうが得」といわれる理由

厚生年金に加入すると保険料が天引きされるため、短期的に見ると「損」と感じてしまうことがあります。

この感覚は、目の前の手取りが減るという直接的な影響と、将来の年金制度そのものへの漠然とした不信感から生じていると考えられます。

目の前の手取り減少が「損」に見える心理

厚生年金に加入すると、給与から保険料が天引きされるため、手取り額が直接的に減少します。

この「手取りが減る」という事実は、多くの人にとって分かりやすい損失として認識されます。

将来受け取れる年金というメリットは、まだ遠い未来の話で不確実性が高いと感じられがちです。

そのため、現在の確実な損失である手取りの減少のほうが、心理的に重く受け止められ、「厚生年金は損だ」という感覚につながりやすいのです。

年金制度への不信感

「少子高齢化で、自分たちが年金をもらう頃には制度が破綻しているのではないか」といった、公的年金制度そのものへの不信感も、「入らないほうが得」という考えを後押しする一因です。

しかし、日本の公的年金制度は、今の現役世代が納める保険料で高齢者世代を支える「賦課方式」で運営されており、制度が完全に破綻する可能性は低いと考えられています。

実際に、国の財政検証では、今後の経済成長次第では、現在の若者世代のほうが将来受け取る年金額が多くなるという試算も出ています。

ポイントの解説

制度の持続性に関する不安と、個人が受け取る権利は分けて考える必要があります。

本当に厚生年金に入らないほうが得?数字で検証

「厚生年金は損」というイメージが先行しがちですが、実際の保険料負担と将来受け取れる年金額を具体的な数字で比較すると、この印象は変わるかもしれません。

ここでは、客観的なデータに基づいて、厚生年金の損得を冷静に検証します。

保険料負担の実態

厚生年金保険料は、毎月の給与(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)に共通の保険料率(18.3%)をかけて計算されます。

この保険料を会社と従業員で半分ずつ負担(労使折半)するのが大きな特徴です。

例えば、月収20万円(総支給額、賞与なしと仮定)の場合、全体の保険料は3万6600円ですが、自己負担額はこの半分の1万8300円となります。

月収(標準報酬月額)

自己負担する保険料(月額)

自己負担する保険料(月額)

20万円

自己負担する保険料(月額)

1万8300円

30万円

自己負担する保険料(月額)

2万7450円

40万円

自己負担する保険料(月額)

3万7515円

一方、自営業者などが加入する国民年金の保険料は、2025年度で月額1万7510円であり、収入に関係なくこれを全額自己負担します。

厚生年金は負担が大きいイメージがありますが、労使折半によって実質的な負担は抑えられているといえます。

将来受け取れる年金額の差

厚生年金に加入する最大のメリットは、将来の年金額にあります。

日本の公的年金は2階建て構造になっており、厚生年金加入者は国民年金(老齢基礎年金)に上乗せして老齢厚生年金を受け取れます

2026年度の国民年金の満額は月額7万608円です。

一方、厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金受給者の平均年金月額は15万289円(国民年金部分を含む)となっており、国民年金のみの場合と比較して2倍以上の差があります。

加入期間が長くなるほど、この差はさらに増加し、老後の生活の安定に直結します。

(参照:令和8年度の年金額改定についてお知らせします|厚生労働省

損益分岐点はいつ?

支払った保険料の総額を、将来受け取る年金の総額が上回るタイミング、いわゆる「損益分岐点」が気になる方も多いでしょう。

これは個人の加入期間や報酬額によって異なりますが、多くのケースで年金の受給開始からおおむね10〜12年程度で、年金の受給総額が支払った保険料総額を上回ります

厚生労働省の「令和6年簡易生命表の概況」によると、日本の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.13歳です。

65歳から年金を受け取り始めた場合、平均寿命まで生きるとすれば、男女ともに損益分岐点を超えることになります。

公的年金は終身で受け取れる「長生きリスク」に備える保険です。長生きすればするほど、この恩恵は増加するといえるでしょう。


老後資金が気になるあなたへ

老後をお金の不安なく暮らすために、まずは自分にとっての必要額を知ることから始めましょう。マネイロでは、老後資金づくりをサポートする無料ツールを利用いただけます。

老後資金の無料診断:老後に必要な金額が3分でわかる

賢いお金の増やし方入門:貯金と投資でコツコツ増やす方法がわかる

年金の基本と老後資金準備:年金を増やす方法や制度の落とし穴を学ぶ

手取りが減っても厚生年金に入ったほうが得な理由

厚生年金に加入すると確かに手取りは減りますが、それを上回る多くのメリットが存在します。

単に老後の年金が増えるだけでなく、現役世代の万が一のリスクに備える保障や、税制上の優遇など、総合的に見ると加入するほうが有利といえる理由がいくつもあります。

ここでは、この具体的なメリットを5つの観点から解説します。

老後の年金が国民年金の2倍以上になる

厚生年金に加入する最大のメリットは、老後の収入基盤が格段に厚くなることです。

前述の通り、厚生年金は国民年金(老齢基礎年金)に上乗せして支給される2階建ての構造になっています。

厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金受給権者の平均年金月額は15万289円です。

一方、国民年金のみの満額受給額は7万608円(2026年度)であり、この差は2倍以上です。

この差額が生涯にわたって続くことを考えると、この総額は数千万円にも達します。目先の保険料負担を考えても、老後の生活の安定という観点からは、この差はかなり大きいといえるでしょう。

障害年金・遺族年金の保障が手厚い

厚生年金のメリットは老後の生活保障だけではありません。病気や怪我で障害が残った場合や、万が一亡くなってしまった場合の保障も手厚くなります。

障害年金

国民年金からは障害等級1級・2級に該当する場合に「障害基礎年金」が支給されます。厚生年金に加入していれば、これに加えて「障害厚生年金」が上乗せされます。

さらに、障害等級3級や、それより軽い障害でも一時金(障害手当金)が支給される場合があります。

遺族年金

国民年金から支給される「遺族基礎年金」は、原則として「子のある配偶者」または「子」しか受け取れません。しかし、厚生年金の「遺族厚生年金」は、子のいない配偶者や、一定の要件を満たす父母、孫、祖父母も対象となり、保障の範囲が広くなります。

ポイントの解説

このように、現役世代で万が一の事態が起きた際のセーフティネットが強化される点は、厚生年金の重要なメリットです。

保険料の半分は会社負担

厚生年金保険料は、従業員と会社が半分ずつ負担する「労使折半」という仕組みになっています。

給与明細に記載されている保険料は、あくまで自己負担分であり、同額を会社が負担してくれています。

つまり、実質的には給与明細に記載されている金額の2倍の保険料が納付されていることになります。この会社負担分が、将来の年金額や手厚い保障に反映されるのです。

自営業者などが加入する国民年金は保険料を全額自己負担する必要があるため、この労使折半は会社員ならではの大きなメリットといえるでしょう。

社会保険料控除で税金が安くなる

毎月の給与から天引きされる厚生年金保険料は、この全額が「社会保険料控除」の対象となります。

これは、所得税や住民税を計算する際に、課税対象となる所得から支払った保険料の全額を差し引くことができる制度です。

社会保険料控除を適用することで課税所得が減り、結果として所得税や住民税の負担が軽減されます。

つまり、保険料を支払うことで、節税効果も得られるのです。この点を考慮すると、保険料負担の実質的なインパクトは、天引きされる額面よりも小さくなります。

健康保険の傷病手当金が受けられる

厚生年金に加入する際は、同時に会社の健康保険にも加入します。この健康保険には、国民健康保険にはない手厚い保障制度があります。この代表が「傷病手当金」です。

傷病手当金は、業務外の病気や怪我で会社を休み、給与が支払われない場合に、給与のおおむね3分の2に相当する額が最長で1年6ヶ月にわたって支給される制度です。

万が一、長期間働けなくなった場合でも、この制度があることで急な収入の減少リスクを抑え、安心して療養に専念できます。これも厚生年金加入者が得られる大きな安心材料の1つです。

≫将来のお金は足りる?あなたの不足額が3分でわかる

厚生年金に入らないための「働き方調整」は得?

厚生年金への加入を避けるために、意図的に労働時間や収入を抑える「働き方調整」を選ぶ人もいます。

いわゆる「年収の壁」を意識した働き方ですが、この選択は長期的に見て本当に「得」なのでしょうか。

目先のメリットと、将来失うものを冷静に比較する必要があります。

年収の壁を意識した働き方調整の実態

パートやアルバイトで働く人の中には、社会保険の加入義務が生じる年収ライン、いわゆる「年収の壁」を意識して働く人が少なくありません。

  • 106万円の壁:従業員51人以上の企業などで、週20時間以上などの要件を満たすと社会保険の加入対象となる年収の目安。
  • 130万円の壁:企業規模にかかわらず、年収が130万円以上になると配偶者の扶養から外れ、自身で国民年金・国民健康保険に加入する必要がある目安。

これらの壁を超えると社会保険料の負担が発生し、一時的に手取りが減るため、年末に向けて労働時間を減らすなどの調整が行われることがあります。

しかし、この働き方は、自身のキャリア形成や収入アップの機会を逃すことにもつながりかねません。

働き方調整による生涯損失額

働き方調整は、目先の手取りを維持する一方で、長期的に見ると大きな損失を生む可能性があります。失うものは、単に働けば得られたはずの賃金だけではありません。

厚生年金に加入していれば得られたはずの将来の年金額も、逸失利益と考えることができます。

例えば、年収106万円に抑える働き方を10年間続けた場合と、壁を越えて年収150万円で働き厚生年金に加入した場合を比較すると、生涯で受け取る賃金と年金の合計額には数百万円以上の差が生まれる可能性があります。

キャリアアップの機会やスキル向上の機会を逃すことによる無形の損失も考慮すると、働き方調整が必ずしも「得」とはいえないことがわかります。

2024年以降の制度変更

政府は人手不足解消や女性の活躍推進の観点から、「年収の壁」を意識せずに働ける環境整備を進めています。この一環として、社会保険の適用対象は段階的に拡大されています。

2022年10月には従業員101人以上の企業に、そして2024年10月からは従業員51人以上の企業で働くパート・アルバイトも、週20時間以上、月収8万8000円以上などの要件を満たせば社会保険の加入対象となりました。

さらに将来的には、この企業規模要件が撤廃され、すべての企業で働く人が対象となる見込みです。

このように制度が変更されていく中で、働き方調整を続けることは年々難しくなっていきます。

ポイントの解説

制度の変更を見据え、長期的な視点で自身のキャリアプランを考えることが欠かせません。

厚生年金に入るべきか迷った時の判断基準

厚生年金に加入するかどうかは、個人のライフプランや価値観に左右される問題です。

最終的な判断は自身で行う必要がありますが、ここでは判断に役立ついくつかの基準を提示します。

これらの点を整理することで、自分にとって最適な選択が見えてくるでしょう。

今の手取りと将来の安心、どちらを優先するか

一番の判断基準は、現在の生活における手取り収入の重要性と、将来の生活に対する安心感のどちらを優先するかです。

  • 今の手取りを優先する場合:教育費や住宅ローンなど、現在まとまった支出が必要な場合は、手取りを確保するために加入を避ける働き方を選ぶことも1つの選択肢です。ただし、この場合はiDeCoやNISAなどを活用し、自主的に老後資金を準備する必要があります。
  • 将来の安心を優先する場合:老後の生活に不安を感じる、あるいは万が一の保障を手厚くしたいと考えるなら、厚生年金への加入が推奨されます。公的制度ならではの安定感は、民間の金融商品にはない大きなメリットです。

何歳まで働く予定か

自身の就労意欲やキャリアプランも重要な判断材料です。

60歳、65歳、あるいはそれ以降も長く働き続けたいと考えているのであれば、厚生年金に加入するメリットはかなり増加します。加入期間が長くなるほど将来の年金額は着実に増えていきますし、在職中は手厚い医療保障も受けられます。

一方、数年程度の短期間だけ働く予定の場合は、年金額への上乗せ効果は限定的です。しかし、この短期間であっても、障害年金や遺族年金の保障対象となるメリットは存在します。

万が一のリスクにどう備えるかという観点から検討することが望ましいでしょう。

家族構成と扶養の状況

配偶者がいる場合、扶養の状況は重要な検討事項です。現在、配偶者の社会保険の扶養に入っている場合、自身が厚生年金に加入すると扶養から外れることになります。

これにより、世帯全体で見た場合、一時的に手取り収入が減少する可能性があります。また、配偶者の会社から支給されている家族手当などが停止されるケースも考えられます。

ただし、長期的に見れば、自身が厚生年金に加入することで世帯全体の生涯年金受給額は増加します。

ポイントの解説

目先の家計への影響と、将来の世帯全体の資産形成という両面から、総合的に判断することが求められます。

厚生年金に関するよくある質問

ここでは、厚生年金への加入を検討する際に多くの人が抱く疑問について、Q&A形式で簡潔にお答えします。

Q. 厚生年金に入ると手取りはいくら減る?

保険料は収入によって変わりますが、月収10万円(年収120万円)の場合、厚生年金と健康保険料を合わせた自己負担額は月額約1万4000円です。

ただし、この保険料は全額が社会保険料控除の対象となり税金が安くなるため、実質的な負担はこれより少なくなります。

Q. 厚生年金に入らない選択肢はある?

法律で定められた加入要件(勤務先の従業員数、週の労働時間、月収など)をすべて満たす場合、厚生年金への加入は義務となります。本人の意思で「入らない」という選択はできません。

加入を避けるには、労働時間を調整するなどして加入要件を満たさないように働く必要があります。

Q. パートでも厚生年金に入るべき?

長期的な視点で見れば、加入要件を満たすパートタイマーの人も厚生年金に加入するほうが有利といえます。将来の年金額が大幅に増えるだけでなく、病気や怪我、障害、死亡といった万が一の際の保障も手厚くなります。

目先の手取り額だけでなく、生涯にわたる安心を考慮して判断することが推奨されます。

まとめ

厚生年金入らないほうが得」という考えは、多くの場合、保険料負担による目先の手取り減少という短期的な視点に基づいています。

しかし、本記事で検証したように、長期的な視点に立てば、この判断は必ずしも賢明とはいえません。厚生年金に加入することで、将来の老齢年金が国民年金のみの場合と比べて2倍以上になる可能性があり、障害や死亡といった万が一の事態への保障も格段に手厚くなります。

さらに、保険料の半分を会社が負担してくれる労使折半や、税金が安くなる社会保険料控除といったメリットも無視できません。働き方調整によって加入を避ける選択は、生涯にわたる収入や保障の機会を失うことにもつながります。

社会保険の適用拡大が進む今、制度を正しく理解し、自身のライフプランに照らし合わせて、将来の安心につながる選択をすることが大切です。

将来の資金が不安な人はまず、自分の不足額を無料ツールでシミュレーションしてみましょう。
≫あなたの将来の不足額はいくら?今すぐチェック


老後資金が気になるあなたへ

老後をお金の不安なく暮らすために、まずは自分にとっての必要額を知ることから始めましょう。マネイロでは、老後資金づくりをサポートする無料ツールを利用いただけます。

老後資金の無料診断:老後に必要な金額が3分でわかる

賢いお金の増やし方入門:貯金と投資でコツコツ増やす方法がわかる

年金の基本と老後資金準備:年金を増やす方法や制度の落とし穴を学ぶ

※本記事の内容は記事公開時や更新時の情報です。現行と期間や条件が異なる場合がございます

※本記事の内容は予告なしに変更することがあります。予めご了承ください

オススメ記事

監修
鈴木 茂伸
  • 鈴木 茂伸
  • 特定社会保険労務士/ファイナンシャルプランナー

ブラック企業で働き、非正規従業員の経験から、弱い立場の方々の気持ちが理解でき、またひとりの事業主として、辛い立場の事業主の状況も共感できる社労士として、人事労務管理、経営組織のサポートを行っている。家族に障がい者がいることから、障害年金相談者に親身になって相談を受けて解決してくれると評判。また、(一社)湘南鎌倉まごころが届くの代表理事として、高齢者の身元引受、サポート、任意後見人も行っている。

記事一覧

執筆
マネイロメディア編集部
  • マネイロメディア編集部
  • お金のメディア編集者

マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。

一覧へもどる