

マンション投資の収支は本当にプラスになる?仕組みと黒字化の現実をプロが解説
「マンション投資を始めたものの、収支がマイナスにならないか不安」「本当に儲かるのか実態が知りたい」といったお悩みはありませんか。
マンション投資は、家賃収入という安定したインカムゲインが魅力ですが、同時にさまざまな支出やリスクも伴います。
本記事では、マンション投資における収支の基本的な仕組みから、新築・中古ワンルームの具体的なシミュレーション、収支をプラスに転換するための実践的な方法まで、専門家の視点でわかりやすく解説します。
本記事を読めば、自身の状況に合わせた現実的な収支計画を立てるための知識が身につきます。
- マンション投資の収入は家賃だけでなく礼金や更新料も含まれ、支出はローン返済や管理費、税金など多岐にわたる
- 月々の収支がマイナスでも、節税効果や生命保険代わりの効果、ローン返済による資産形成といったメリットがあるため、トータルで判断することが重要
- 収支をプラスにするには、空室リスクの低い物件選定、管理コストの最適化、ローン条件の見直し、適切な売却タイミングの見極めなどが有効
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マンション投資の収支構造を理解する

マンション投資の成否を判断するためには、まず収支の全体像を正確に把握することが不可欠です。収支は単純に「収入から支出を引いたもの」ですが、収入と支出の内訳には見落としがちな項目も多く含まれます。
ここでは、マンション投資における収入と支出の具体的な内訳、そして意外と混同されがちな「キャッシュフロー」と「税引後利益」の違いについて詳しく解説します。
収入の内訳
マンション投資で得られる収入は、主に2種類に分けられます。1つは物件を保有し続けることで定期的に得られる「インカムゲイン」、もう1つは物件を売却する際に得られる「キャピタルゲイン」です。
インカムゲインの主な内訳
- 家賃収入: 毎月入居者から支払われる賃料で、基本的な収入源です。
- 礼金: 入居時に受け取る謝礼金で、家賃の1〜2ヶ月分が相場です。返還義務がないため、オーナーの収入となります。
- 更新料: 賃貸契約の更新時に受け取る費用で、家賃の1ヶ月分が一般的です。通常2年ごとに発生します。
- その他: 物件に駐車場や自動販売機などがあれば、駐車場や自動販売機の使用料も収入に含まれます。
キャピタルゲイン
- 売却益: 物件を購入価格よりも高い価格で売却できた場合に得られる利益です。
安定した収益を目指す上では、まずインカムゲインを最大化することが基本戦略となります。キャピタルゲインは市況に左右されるため、不透明性が高い収入といえるでしょう。
支出の内訳
マンション投資では、家賃収入がある一方で、物件の維持・運営のためにさまざまな支出が発生します。これらのコストを正確に把握することが、現実的な収支計画の第一歩です。
主な支出項目
- ローン返済額: 金融機関から融資を受けて物件を購入した場合、毎月の元本と利子の返済が発生します。支出の中で大きな割合を占める項目です。
- 管理費・修繕積立金: 分譲マンションの場合、共用部分の清掃や点検に使われる「管理費」と、将来の大規模修繕に備える「修繕積立金」を毎月管理組合に支払います。
- 賃貸管理委託費: 入居者募集や家賃回収、クレーム対応などを管理会社に委託する場合の手数料です。一般的に家賃の3%〜5%程度が相場です。
- 税金: 不動産を所有しているとかかる「固定資産税」「都市計画税」や、家賃収入に対してかかる「所得税」「住民税」があります。
- 保険料: 火災や地震などの災害に備えるための「火災保険料」「地震保険料」が必要です。ローン契約時に加入が義務付けられるケースがほとんどです。
- その他: 入居者が退去した際の「原状回復費用」や、エアコン・給湯器などが故障した際の「設備交換費用」など、突発的な支出も見込んでおく必要があります。
キャッシュフローと税引後利益の違い
マンション投資の収支を評価する際、「キャッシュフロー」と「税引後利益」は重要な指標ですが、両者は意味が異なります。
キャッシュフローとは、実際に手元に残る現金の流れのことです。以下の式で計算されます。
- キャッシュフロー = 家賃収入 - (ローン返済額 + 運営経費 + 税金)
ローン返済額には元本と利子が含まれており、手元から出ていく現金をすべて差し引いたものがキャッシュフローです。
一方、税引後利益は会計上の利益を指します。計算式は以下の通りです。
- 不動産所得 = 家賃収入 - 運営経費
- 税引後利益 = 不動産所得 - 税金
ここでのポイントは、経費に「減価償却費」が含まれる一方、「ローン返済の元本部分」は含まれない点です。減価償却費は、建物の価値の減少分を会計上、経費として計上するもので、実際の現金の支出は伴いません。
この違いにより、キャッシュフローはマイナスでも会計上の利益はプラスになるケースや、逆のケースも発生します。
投資の健全性を判断するには、手元の資金繰りを示すキャッシュフローと、税務上の損益を示す利益の両方を正しく理解し、区別して管理することが欠かせません。

ワンルームマンション投資の収支実態

サラリーマン投資家に人気のワンルームマンション投資ですが、収支の実態はどうなっているのでしょうか。
新築と中古では物件価格や家賃設定、経費構造が異なるため、収支にも違いが現れます。また、月々の収支がマイナスになるケースも少なくありませんが、それでも投資を続ける人がいるのはなぜでしょうか。
ここでは、具体的な収支例を交えながら、ワンルームマンション投資の現実を掘り下げます。
(参考:住宅ローン新規借入シミュレーション(借入金額から試算) | 三菱UFJ銀行)
下記は税引き前・特定の条件下でのシミュレーションであり、実際の収支を保証するものではありません。

新築ワンルームの収支例
都心部の新築ワンルームマンション(物件価格2500万円)を想定した収支シミュレーションを見てみましょう。
※頭金250万円、借入2250万円、金利2.0%、期間35年で試算
シミュレーション結果の通り、新築ワンルームマンションは物件価格が高いためローン返済額が増加し、月々のキャッシュフローはマイナスになるケースが一般的です。
特に新築ワンルームマンションは、販売会社の利益や広告費などが価格に含まれていることも多く、購入直後に市場価格が購入価格を下回るケースがあります。月々の収支だけでなく、「今売ったらいくらで売れるのか」「ローン残債を売却価格で返済できるのか」まで確認する必要があります。
中古ワンルームの収支例
次に、都心部の中古ワンルームマンション(物件価格1800万円、築15年)を想定した収支シミュレーションです。
※頭金180万円、借入1620万円、金利2.0%、期間30年で試算
中古マンションでは、現在の修繕積立金だけでなく、長期修繕計画や過去の修繕履歴、管理組合の積立金残高も確認する必要があります。修繕積立金が不足している場合、将来的に積立金の増額や一時金の徴収が行われる可能性があります。
一方で、築年数が経過しているため管理費や修繕積立金が新築時より高めに設定されていることが多く、シミュレーションのように収支がマイナスになることも珍しくありません。また、エアコンや給湯器などの設備交換費用が突発的に発生するリスクも新築より高まります。

収支がマイナスでも続ける理由
シミュレーションで見たように、都心部のワンルームマンション投資では月々の収支がマイナスになることは珍しくありません。それでも多くの人が投資を続けるのは、月々のキャッシュフロー以外のメリットを考慮しているからです。
1. 節税効果
不動産所得が赤字になった場合、給与所得など他の所得と損益通算することで、所得税や住民税の還付を受けられる可能性があります。
減価償却費という現金の支出を伴わない経費を計上できるため、キャッシュフローがプラスでも会計上は赤字になるケースがあります。
不動産所得が赤字になった場合、給与所得など他の所得と損益通算できるケースがあります。ただし、土地取得に係る借入金利子部分など、損益通算の対象外となるものもあるため、赤字額がそのまま節税につながるわけではありません。
また、減価償却費による節税効果は永続的ではなく、物件の構造・築年数・購入価格の土地建物按分・個人の所得水準によって大きく異なります。そして、減価償却費は年々減少するため節税効果は永続的ではなく、個人の課税所得によって効果は異なります。
そのため、マンション投資は「節税目的」ではなく、あくまで収益性・資産性・出口戦略を含めて判断することが重要です。
2. 生命保険の効果
不動産投資ローンを組む際に加入する団体信用生命保険(団信)は、契約者に万が一のことがあった場合にローン残債がゼロになる仕組みです。残された家族は、無借金の不動産と家賃収入を得ることができます。
これを生命保険の代わりと捉え、月々のマイナス分を保険料と考える人もいます。ただし、保障はローン残債に限られ、別途現金が給付されるわけではない点に注意が必要です。
3. 資産形成
月々の収支がマイナスでも、家賃収入によってローン返済は着実に進んでいます。ローンを完済すれば、不動産という実物資産が手元に残り、その後の家賃収入は安定した私的年金代わりになります。
つまり、毎月の持ち出しは将来の資産を築くための「積立投資」と考えることができます。ただし、不動産価格がローン残債の減少ペースを上回って下落した場合は、資産形成にならないリスクがあります。
4. 将来の売却益(キャピタルゲイン)
現在はマイナス収支でも、将来的に物件価格が上昇すれば、売却時に利益を得られる可能性があります。都心部の好立地物件は資産価値が下がりにくく、インフレヘッジとしての役割も期待されます。
これらの理由から、短期的な収支だけでなく、税金対策、保険効果、長期的な資産形成といったトータルな視点で投資判断が行われています。
年収別マンション投資の収支シミュレーション

借入可能額は年収だけで決まるものではありません。勤務先、勤続年数、金融資産、既存借入、購入物件の担保評価、自己資金、金融機関の融資方針などによって大きく変わります。そのため、年収倍率だけで購入可能額を判断するのではなく、実際には金融機関ごとの審査基準を踏まえて確認する必要があります。
ここでは、年収500万円と年収1000万円の2つのケースを想定し、それぞれどのような物件が購入可能で、どのような収支になるのかをシミュレーションします。
(参考:住宅ローン新規借入シミュレーション(借入金額から試算) | 三菱UFJ銀行)
下記は税引き前・特定の条件下でのシミュレーションであり、実際の収支を保証するものではありません。

年収500万円の場合
年収500万円の会社員の場合、金融機関からの融資額は年収の7倍〜10倍程度が目安とされ、3500万円〜5000万円程度の借入が可能と考えられます。
しかし、他の借入状況などにもよるため、より現実的なラインとして1500万円〜2000万円程度の中古ワンルームマンションが主な投資対象となるでしょう。
【シミュレーション条件】
- 物件価格:1800万円(中古ワンルーム)
- 自己資金:100万円
- 借入額:1700万円
- 金利:2.3%
- 返済期間:35年
- 想定家賃:7万5000円/月
【月々の収支】
- 収入(家賃): 7万5000円
- 支出(ローン返済): 5万9102円
- 支出(経費計): 1万5000円 (※家賃の20%で仮設定)
- 税引前キャッシュフロー: 898円
このケースでは、月々の収支はプラス898円となります。年収500万円層では、月々のキャッシュフローを大きくプラスにすることは簡単ではありません。
そのため、節税効果や長期的な資産形成を目的として、計画的に毎月の持ち出しを許容する戦略が一般的です。
年収1000万円の場合
年収1000万円になると、金融機関からの信用力が高まり、より有利な条件で融資を受けやすくなります。
借入可能額の目安は7000万円〜1億円程度となり、投資対象の選択肢が広がります。都心部の高価格帯ワンルームマンションや、複数の物件を所有する分散投資、あるいは地方の一棟アパートなども視野に入ってきます。
ここでは、都区部の一棟アパート(物件価格7260万円)を想定したシミュレーションを見てみましょう。
【シミュレーション条件】
- 物件価格:7260万円(土地・建物含む)
- 自己資金:760万円
- 借入額:6500万円
- 金利:2.0%
- 返済期間:20年
- 満室時想定家賃収入:48万円/月(6万円×8戸)
【月々の収支】
- 収入(家賃): 48万円
- 支出(ローン返済): 32万8824円
- 支出(経費計): 9.6万円 (※家賃の20%で仮設定)
- 税引前キャッシュフロー: 5万5176円
このケースでは、月間で約5.5万円のプラスのキャッシュフローが生まれる計算です。年収1000万円クラスになると、物件選定次第でキャッシュフローを黒字化し、不動産投資から直接的な収入を得ることも現実的な目標となります。
ただし、投資額が増加する分、空室リスクや金利上昇リスクの影響も増加するため、より慎重な物件選びとリスク管理が求められます。
マンション投資の収支をプラスに転換する5つの方法

マンション投資の収支がマイナス、あるいは想定より低い場合でも、対策を講じることでプラスに転換させたり、収益性を改善したりすることは可能です。
重要なのは、購入前の物件選定から購入後の運営管理、そして最終的な出口戦略まで、一貫した視点で収益最大化を目指すことです。ここでは、収支を改善するための5つの具体的な方法を解説します。
物件選定の段階で収益性を見極める
収支をプラスにするための重要なポイントは、購入前の物件選びです。以下の2点を重視して、収益性の高い物件を見極める必要があります。
1. 空室リスクの低い立地を選ぶ
安定した家賃収入を得るためには、賃貸需要が継続的に見込める立地を選ぶことが不可欠です。具体的には、駅から徒歩10分以内の物件や、人口が集中する都心部の物件は、単身者などの需要が安定しており、空室リスクを低く抑えられます。
2. 中古物件で家賃下落リスクを抑える
新築物件は購入直後から「新築プレミアム」が剥がれ、家賃が下落しやすい傾向があります。一方、築年数が経過した中古物件は、すでに家賃がある程度下落しきっているため、将来的な家賃下落リスクが比較的小さくなります。購入時点で現実的な家賃収入を予測しやすいため、収支計画の精度も高まります。
空室期間を最小化する
空室は家賃収入がゼロになるため、収支に直接的なダメージを与えます。空室期間をいかに短くするかが、収支改善の鍵となります。
まず、退去者が出た後、速やかに次の入居者が見つかるよう、信頼できる管理会社を選ぶことが欠かせません。入居者募集の実績やネットワークが豊富な管理会社は、空室期間を短縮する上で頼りになります。
また、周辺の家賃相場を常に把握し、競争力のある適切な家賃設定を心がけることも大切です。相場より高すぎると入居者が決まりにくく、安すぎると収益性が低下します。必要に応じて、広告費(AD)を不動産仲介会社に支払い、優先的に入居者を紹介してもらうといった対策も有効です。
管理コストを最適化する

支出の中でも、管理関連のコストは見直しの余地がある項目です。
賃貸管理を管理会社に委託している場合、管理委託手数料は一般的に家賃の3%〜5%が相場です。複数の管理会社から見積もりを取り、サービス内容と手数料を比較検討することで、コストを削減できる可能性があります。
ただし、手数料の安さだけで選ぶと、入居者対応の質が低く、かえって空室リスクを高めることにもなりかねないため、サービス内容とのバランスが大事です。
また、火災保険なども定期的に見直し、不要な補償を外すことで保険料を抑えることができます。自分でできる範囲の清掃や小規模な修繕を自主管理で行うことも、コスト削減につながる1つの方法です。
ローン条件を見直す
支出の中で大きな割合を占めるローン返済額を圧縮することは、収支改善に直結します。
1. 繰り上げ返済
手元資金に余裕ができた際に、ローンの元本の一部を前倒しで返済する方法です。繰り上げ返済には、毎月の返済額を減らす「返済額軽減型」と、返済期間を短縮する「期間短縮型」があります。
月々のキャッシュフローを改善したい場合は、「返済額軽減型」が有効です。総支払利子を減らす効果もあります。
2. 借り換え
現在よりも低い金利のローンに乗り換えることで、毎月の返済額や総支払利子を削減する方法です。ただし、借り換えには手数料がかかるため、手数料を含めてもメリットがあるか慎重にシミュレーションする必要があります。
物件購入時にできるだけ金利の低い金融機関を選ぶことが基本ですが、運用開始後もこれらの方法でローン条件を見直すことが可能です。
売却タイミングを見極める
マンション投資の最終的な収支は、売却時に確定します。月々のキャッシュフローがマイナスでも、購入時より高く売却できれば、トータルで利益を得ることが可能です。この「出口戦略」を意識することが、収支をプラスにする上で鍵となります。
売却益(キャピタルゲイン)を最大化するためには、不動産市況が上昇しているタイミングで売却することが理想です。
また、税金の観点も大事です。不動産の譲渡所得は、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えているかどうかにより、短期譲渡所得と長期譲渡所得に分かれます。
短期譲渡所得は税率が高く、長期譲渡所得になると税率が下がるため、売却時期を検討する際には税務上の所有期間判定も重要です。
そのため、特別な理由がない限り、最低でも5年以上は保有してから売却することが、手残りを最大化するポイントになります。
(参考:No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)|国税庁)


マンション投資で失敗しないための収支管理

マンション投資を成功に導くためには、日々の収支管理が欠かせません。どんぶり勘定で運営していると、予期せぬ支出に対応できなかったり、本来得られるはずだった利益を逃したりする可能性があります。
ここでは、失敗を避けるための収支管理のポイントとして、保守的な計画の立て方、定期的な見直しの重要性、そして専門家の活用法について解説します。

収支計画は保守的に立てる
不動産投資の収支計画を立てる際は、楽観的な見通しではなく、保守的な設定にすることが鉄則です。不動産会社が提示するシミュレーションは、満室想定で計算されていることが多く、現実の運営とは乖離する可能性があります。
具体的には、以下の点を考慮して、より現実的な計画を立てましょう。
- 家賃設定: 周辺相場を調査し、築年数の経過による家賃下落(年間1%程度)を織り込みます。
- 空室率: どんなに好立地でも空室リスクはゼロではありません。最低でも5%程度の空室率を見込んでおくと安心です。
- 経費: 固定資産税や管理費だけでなく、突発的な修繕費や設備交換費用なども予算に組み込んでおきましょう。
厳しい条件でシミュレーションしてもなお、収支が見合うと判断できる物件を選ぶことが、長期的に安定した経営につながります。
定期的な収支見直しを行う
一度立てた収支計画を変更せずにしておくのは危険です。不動産市場や金利動向、物件の状況は常に変化しています。少なくとも年に1回は実績と計画を比較し、収支の見直しを行いましょう。
見直しのチェックポイント
- 実績との乖離: 想定していた家賃収入や経費と、実際の結果にどれくらいの差があるかを確認します。
- 市場の変化: 周辺の家賃相場や競合物件の状況に変化はないか調査します。
- 将来のリスク: 金利上昇の可能性や、大規模修繕の計画などを再確認し、将来の支出に備えます。
定期的な見直しによって問題点を早期に発見し、家賃の調整やコスト削減などの対策を打つことで、収支の悪化を防ぎ、安定した経営を維持することができます。
税理士など専門家の活用
不動産投資の収支管理には、税務に関する専門的な知識が不可欠です。確定申告は、経費の計上方法や減価償却の計算など、複雑な点が多くあります。
税理士などの専門家に相談することで、以下のようなメリットが得られます。
- 正確な確定申告: 申告漏れや計算ミスを防ぎ、追徴課税などのリスクを回避できます。
- 節税対策: 経費として計上できる項目を最大限活用し、合法的な範囲で税負担を軽減するアドバイスを受けられます。
- 客観的なアドバイス: 自身の収支状況を第三者の視点から評価してもらい、経営改善のヒントを得ることができます。
専門家への依頼には費用がかかりますが、それ以上の節税効果やリスク回避効果が期待できる場合も少なくありません。
不動産投資が初めての人や、複数の物件を所有している人は、専門家の活用を積極的に検討しましょう。
マンション投資の収支に関するよくある質問
マンション投資の収支について、多くの人が抱く疑問にお答えします。黒字化までの期間や、「ワンルームは儲からない」という噂の真相、そしてマイナス収支になった場合の考え方など、初心者がつまずきやすいポイントをQ&A形式で解説します。
Q. 投資開始から何年で黒字化する?
A. 一概には言えませんが、売却益まで含めたトータルの収支で「元を取る」までの期間は、一般的に10年程度が1つの目安とされています。
月々のキャッシュフローだけで物件購入価格を回収しようとすると、実質利回り5%の物件でも20年かかる計算になり、長期間を要します。そのため、不動産投資では、毎月の家賃収入(インカムゲイン)と将来の売却益(キャピタルゲイン)を合算して、投資全体の成否を判断するのが一般的です。
例えば、あるシミュレーションでは、年間10万円のキャッシュフローがあるワンルームマンションを1700万円で売却した場合、内部収益率(IRR)がプラスに転じる、つまり投資回収が完了するのは10年目という結果も出ています。
ただし、これはあくまで一例です。物件価格、金利、家賃、売却価格など、さまざまな条件によって期間は変動します。
Q. ワンルーム投資は儲からない?
A. 「ワンルーム投資は儲からない」「やめとけ」といった意見が見られますが、これは一概に正しいわけではありません。ただし、儲かりにくい構造的な理由があることは事実です。
儲からないと言われる主な理由
- 収益性が低い: 都心部の物件は価格が高いため利回りが低くなりがちで、収支が赤字になるケースも少なくありません。
- 空室リスクが高い: 1戸しか所有していないため、空室になると家賃収入がゼロになります。
- 節税効果が限定的: RC造のマンションは法定耐用年数が長く、年間の減価償却費が小さくなるため、節税効果は期待しにくいです。
これらのデメリットから、収益性の低い新築ワンルームマンションに安易に手を出すと、失敗する可能性が高まります。
一方で、築年数が経過して価格がこなれた中古物件を適切な価格で購入したり、将来性のあるエリアを選んだりすることで、安定した収益を上げることは十分に可能です。重要なのは、営業トークを鵜呑みにせず、物件の収益性を自身で冷静に分析することです。
Q. 収支がマイナスでも続けるべき?
A. 計画的なマイナスであれば、続ける価値がある場合があります。しかし、計画外のマイナスや、家計を圧迫するほどの持ち出しが発生している場合は見直しが必要です。
続けてもよいケース(計画的なマイナス)
- 節税効果: 損益通算による所得税・住民税の還付額が、年間の持ち出し額を上回る、あるいは同程度である場合。
- 資産形成: ローン返済が進むことで、着実に純資産が増えている(残債の減少ペースが資産価値の下落ペースを上回っている)場合。
- 将来性: 将来的な家賃収入の安定性や、売却益が見込める好立地の物件である場合。
見直しが必要なケース(危険なマイナス)
- 計画性の欠如: なぜマイナスになっているのか、将来プラスに転じる見込みがあるのか、根拠が不明確な場合。
- 家計への圧迫: 毎月の持ち出し額が増加し、貯蓄を取り崩すなど生活に影響が出ている場合。
「マイナス収支でも大丈夫」という言葉を鵜呑みにせず、マイナス収支が自身の投資計画の中でどのような意味を持つのかを客観的に判断することが欠かせません。
まとめ

マンション投資の収支は、家賃収入からローン返済や各種経費を差し引いて計算されます。
都心部のワンルームマンション投資では、月々のキャッシュフローがマイナスになることも珍しくありませんが、節税効果や団体信用生命保険による保障、そしてローン返済による資産形成といった、数字以上のメリットも存在します。
重要なのは、短期的なキャッシュフローだけで一喜一憂するのではなく、売却時の利益(キャピタルゲイン)まで含めたトータルリターンで投資の成否を判断することです。
そのためには、購入前に家賃下落や空室リスクを織り込んだ保守的な収支計画を立て、購入後も定期的に計画を見直す地道な管理が不可欠です。
本記事で解説した収支の仕組みやシミュレーション、黒字化のポイントを参考に、自身の投資目的に合った、現実的で堅実なマンション投資を計画しましょう。
マンション投資では、月々の家賃収入と支出だけでなく、税務上の所得、ローン残債、将来の売却価格まで含めて判断することが重要です。特にワンルームマンション投資では、「節税になる」「生命保険代わりになる」といった一面だけで判断すると、想定以上の持ち出しや売却時の損失につながる可能性があります。
不動産所得の赤字は給与所得などと損益通算できる場合がありますが、土地取得に係る借入金利子など制限を受けるものもあり、節税効果は個人の所得状況や物件条件によって異なります。
購入前には、空室率、家賃下落、修繕費、金利上昇、売却価格を保守的に見積もり、キャッシュフローと税引後の手残りを分けて確認することが大切です。
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監修

叶 温
- 税理士/宅地建物取引士/マンション管理業務主任者
不動産投資に特化した税理士。2006年に自身の投資を開始し、約20年にわたり不動産投資における税務戦略および資産形成支援に従事。購入前の段階から収益設計と節税提案を行う点を強みとする。独自に不動産投資シミュレーションソフト「REITISS」を開発し、特許を取得。これまでに多数の投資家を支援してきた実績を有する。
執筆

マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。


