
国民年金と国民健康保険は両方払うもの?義務・金額・手続きを解説
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「退職して自営業になったけど、国民年金と国民健康保険は両方払うもの?」「合計で月々いくらになるんだろう?」といった疑問をお持ちではないでしょうか?
働き方が変わると、社会保険の手続きも自分で行う必要があり、不安に感じるかもしれません。本記事では、国民年金と国民健康保険の支払い義務や保険料の計算方法、手続きについて分かりやすく解説します。
- 国民年金と国民健康保険の両方を支払う必要がある人の条件
- それぞれの保険料の計算方法と合計額の目安
- 退職や独立時に必要な手続きと注意点
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国民年金と国民健康保険は両方払う必要がある?
自営業者やフリーランスなど、会社に属さずに働く人は、原則として国民年金と国民健康保険の両方に加入し、保険料を支払う義務があります。
一方、会社員や公務員は、勤務先の厚生年金と健康保険に加入するため、個人で国民年金や国民健康保険の保険料を直接納めることはありません。
これは、日本がすべての国民が何らかの公的医療保険と年金制度に加入する「国民皆保険・皆年金」の仕組みを採用しているためです。
両方払う必要がある人
国民年金と国民健康保険の保険料を両方支払う必要があるのは、主に自営業者、フリーランス、学生、無職の人など、日本国内に住む20歳以上60歳未満で、会社の健康保険や厚生年金に加入していない「第1号被保険者」に該当する人です。
会社を退職して個人事業主になった場合や、失業した場合などがこのケースにあたります。
これらの人は、自身の老後の生活を支える国民年金と、病気や怪我に備える国民健康保険の両方に自ら加入し、保険料を納付する義務を負います。
会社員・公務員は厚生年金のみ
会社員や公務員は「第2号被保険者」に分類され、勤務先の厚生年金保険と健康保険に加入します。
この場合、毎月の給与から天引きされる厚生年金保険料には、国民年金(基礎年金)の保険料が含まれています。そのため、個人で国民年金保険料を別途支払う必要はありません。
同様に、医療保険についても勤務先の健康保険に加入するため、国民健康保険に加入したり、保険料を支払ったりすることはありません。
つまり、会社員や公務員は、給与から天引きされる社会保険料(厚生年金保険料と健康保険料)を支払うことで、年金と医療保険の両方に加入していることになります。
国民皆保険制度とは
国民皆保険制度とは、すべての国民が何らかの公的な医療保険に加入することを義務付ける制度です。これにより、誰もが病気や怪我をした際に、少ない自己負担で医療サービスを受けられるようになっています。 日本の医療保険は、主に以下の種類に分けられます。
- 被用者保険:会社員や公務員が加入する健康保険
- 国民健康保険:自営業者や退職者などが加入する保険
- 後期高齢者医療制度:75歳以上の人が加入する保険
この制度のおかげで、私たちは安心して医療機関を受診することができます。同様に、年金制度も「国民皆年金」が基本となっており、すべての国民が公的年金に加入し、老後の生活保障の基礎になっています。
国民年金と国民健康保険の保険料はいくら?
国民年金と国民健康保険の保険料は、計算方法が異なります。
国民年金保険料は所得にかかわらず全国一律の定額ですが、国民健康保険料は前年の所得や世帯の加入者数、住んでいる自治体によって変動します。
国民年金保険料は定額
国民年金保険料は、所得や年齢、性別にかかわらず、全国一律で定められています。 保険料は毎年見直され、令和8年度(2026年度)の保険料は月額1万7920円です。年額にすると21万5040円となります。
なお、保険料をまとめて前払いする「前納制度」を利用すると、割引が適用され、支払う保険料の総額を抑えることができます。
国民健康保険料は所得・世帯で変動
国民健康保険料は、国民年金とは異なり、金額が一律ではありません。保険料は、お住まいの市区町村が、世帯ごとに以下の要素を組み合わせて計算します。
- 所得割:前年の所得に応じて計算される部分
- 均等割:世帯の加入者数に応じて計算される部分
- 平等割(一部自治体):1世帯あたりにかかる部分
保険料は「医療分」「後期高齢者支援金分」に加えて、40歳から64歳までの人は「介護分」が上乗せされます。所得割の料率や均等割の金額は自治体ごとに異なるため、同じ所得や世帯構成であっても、住んでいる場所によって保険料が変わります。
また、所得が一定基準以下の世帯には、保険料の軽減措置が適用される場合もあります。
両方合わせた月額・年額の目安
国民年金と国民健康保険を両方支払う場合の合計額は、個人の状況によって異なるため、すべての人に共通する決まった金額はありません。
合計額を算出するには、まず自身の国民健康保険料を計算し、それに定額の国民年金保険料を足し合わせる必要があります。
【合計額の計算方法】
1. 国民健康保険料(年額)を計算する:住んでいる自治体のWebサイトなどで、前年の所得と世帯の加入人数・年齢を基にシミュレーションします。
2. 国民年金保険料(年額)を確認する:令和7年度は21万5040円です。
3. 合計する:1と2を足して年額の合計を出し、12で割ると月額の目安がわかります。
例えば、国民健康保険料の年額が24万円だった場合、年間の合計負担額は「24万円 + 21万5040円 = 45万5040円」となり、月額では3万7920円が目安となります。
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退職・独立時の切り替え手続き
会社を退職して自営業者になったり、しばらく就職しない期間があったりする場合には、会社の社会保険から国民年金と国民健康保険への切り替え手続きを自分で行う必要があります。
手続きには期限があり、遅れるとリスクが生じるため注意が必要です。
手続きの期限と窓口
国民年金と国民健康保険への切り替え手続きは、退職日の翌日から14日以内に行う必要があります。手続きの窓口は、お住まいの市区町村の役所・役場です。
「健康保険資格喪失証明書」は、退職した会社から発行してもらいます。手続きをスムーズに進めるためにも、退職後速やかに入手しておきましょう。
手続きが遅れた場合のリスク
退職後14日以内の手続き期限を過ぎてしまうと、いくつかのリスクが生じます。
国民健康保険の手続きが遅れた場合、保険証がない「無保険」の状態になります。この期間に医療機関を受診すると、医療費が全額自己負担となってしまいます。後から手続きをしても、保険料は退職日の翌日までさかのぼって請求されるため、金銭的な負担が増えるだけでよいことはありません。
国民年金の手続きが遅れると、保険料の「未納期間」が発生します。この未納期間があると、将来受け取る老齢基礎年金が減額されるほか、万が一の際に障害年金や遺族年金が受け取れなくなる可能性があります。
いずれも不利益を被る可能性があるため、手続きは必ず期限内に行いましょう。
二重払いになるケースと対処法
国民年金と厚生年金、あるいは国民健康保険と会社の健康保険の保険料は、以下のようなケースで意図せず二重に支払ってしまうことがあります。
- 国民年金保険料を前納した後に就職した:年間分などを前払いした後に会社員になり厚生年金に加入すると、期間が重なった分の国民年金保険料が二重払いになります。
- 転職時に会社の厚生年金加入手続きが遅れた:国民年金の口座振替を停止しないまま就職し、会社の手続きが遅れると、厚生年金保険料と国民年金保険料が両方引き落とされることがあります。
- 健康保険の切り替え:年度の途中で国民健康保険から会社の健康保険に切り替わった場合、納付済みの国民健康保険料と期間が重なることがあります。
二重払いが発生した場合、後日、日本年金機構や自治体から還付(返金)に関する通知が届きます。 通知書に記載された案内に従って「国民年金保険料還付請求書」などの書類を提出すれば、払い過ぎた保険料は指定の口座に返金されます。
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保険料を支払うのが難しい場合の対処法
失業や所得の減少など、経済的な理由で国民年金や国民健康保険の保険料を支払うのが難しい場合には、支払いを免除または減額してもらえる制度があります。
未納のまま放置せず、必ず住んでいる市区町村の窓口に相談することが欠かせません。
国民年金の免除・猶予制度
国民年金には、所得が少ないなどの理由で保険料の納付が困難な場合に利用できる「保険料免除制度」と「納付猶予制度」があります。
免除制度
本人・世帯主・配偶者の前年所得が一定額以下の場合や、失業した場合などに、保険料の全額、4分の3、半額、4分の1が免除されます。免除された期間は、年金の受給資格期間に含まれ、将来の年金額にも一部反映されます。
納付猶予制度
20歳から50歳未満の人で、本人・配偶者の前年所得が一定額以下の場合に、保険料の納付が猶予されます。この期間は年金額には反映されませんが、受給資格期間には算入されます。これらの制度を利用した期間の保険料は、10年以内であれば後から納付(追納)することができ、追納すれば将来の年金額を満額に近づけることが可能です。

国民健康保険の減額・免除制度
国民健康保険にも、所得に応じて保険料が減額される「法定軽減」の制度があります。これは、世帯の総所得金額が一定の基準を下回る場合に、均等割額などが7割、5割、2割のいずれかの割合で自動的に減額される仕組みです。
また、災害や失業(倒産・解雇など会社都合による離職)といった特別な事情により保険料の支払いが著しく困難になった場合には、申請によって保険料が減免される制度もあります。
減免の条件や内容は自治体によって異なるため、支払いが難しいと感じたら、まずは住んでいる市区町村の国民健康保険担当窓口に相談してみましょう。
未納・滞納のリスク
保険料を支払える状況にあるにもかかわらず、相談なく未納・滞納を続けると、さまざまなペナルティが発生します。
まず、納期限を過ぎると延滞金が加算されます。その後、電話や文書による督促が行われ、それでも納付がない場合は財産調査が行われた上で、預貯金や給与などの財産が差し押さえられる可能性があります。
国民健康保険料を1年以上滞納すると、保険証が「資格証明書」に切り替わり、医療機関での支払いが一時的に全額自己負担になることもあります。
国民年金の場合は、未納期間が長引くと将来の年金が受け取れなくなるリスクもあります。支払いが困難な場合は、決して放置せず、必ず公的な窓口に相談するようにしましょう。

60歳以降の支払いはどうなる?
60歳を迎えると、国民年金と国民健康保険の支払いに関する扱いが変わります。
それぞれの制度で支払い義務が終了する年齢が異なるため、正しく理解しておくことが大切です。
国民年金は60歳で終了
国民年金の保険料を支払う義務があるのは、20歳から60歳になるまでの40年間です。そのため、原則として60歳に達した時点で国民年金保険料の支払いは終了します。
ただし、保険料の納付期間が40年に満たない場合などで、将来の年金額を増やしたい人は、60歳以降も任意で国民年金に加入し続ける「任意加入制度」を利用することができます。
国民健康保険は75歳まで
国民健康保険の保険料は、60歳になっても支払いが終わりません。原則として、75歳になるまでは国民健康保険に加入し続け、保険料を納付する必要があります。
そして、75歳になると国民健康保険から脱退し、「後期高齢者医療制度」に移行します。後期高齢者医療制度の保険料は、原則として年金から天引きされる形で支払うことになります。
国民年金と国民健康保険に関するよくある質問
ここでは、国民年金と国民健康保険の支払いに関して、よくある質問とこの回答をまとめました。
Q. 両方合わせて月いくら?
合計額は個人の状況により異なるため、一概に「月いくら」とは言えません。
国民年金保険料は定額(令和8年度は月額1万7920円)ですが、国民健康保険料は前年の所得や世帯人数、住んでいる自治体の料率によって決まるためです。
自身の正確な負担額を知るには、自治体の窓口やWebサイトで国民健康保険料を試算し、国民年金保険料と合算する必要があります。
Q. 会社員は両方払う?
いいえ、会社員や公務員は国民年金と国民健康保険の保険料を直接支払うことはありません。毎月の給与から天引きされる「厚生年金保険料」と「健康保険料」を支払います。
厚生年金保険料には国民年金分が含まれており、医療保険は勤務先の健康保険組合に加入するため、国民健康保険への加入は不要です。
Q. 手続きを忘れたらどうなる?
退職後に切り替え手続きを忘れると、保険料を退職日にさかのぼって支払う必要があります。
また、国民健康保険に未加入の期間は医療費が全額自己負担となり、国民年金の未納期間は将来の年金受給額が減る、あるいは障害年金などを受け取れなくなるリスクがあります。
手続きは退職後14日以内に必ず行いましょう。
まとめ
国民年金と国民健康保険は、日本の社会保障制度の根幹をなす重要な仕組みです。自営業者やフリーランスとして働く場合、これら両方の保険料を自分で納付する義務があります。
国民年金保険料は全国一律の定額ですが、国民健康保険料は所得や自治体によって変動するため、自身の負担額を正しく把握しておくことが大切です。
会社を退職した際は、14日以内に役所で切り替え手続きを行う必要があります。手続きを怠ると、医療費の全額自己負担や将来の年金減額といったリスクが生じるため、速やかに行動しましょう。
もし経済的に支払いが困難な場合は、免除や猶予の制度があるため、決して放置せずに窓口に相談することが大切です。
自身の状況に合わせた社会保険料の負担を把握し、将来の資金計画を立てることは、安心して生活を送るための第一歩です。
まずは、自身の将来にどのくらいの資金が必要になるか、簡単なシミュレーションで確認してみませんか?
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監修
山本 務
- 特定社会保険労務士/AFP/第一種衛生管理者
東京都練馬区で、やまもと社会保険労務士事務所を開業。企業の情報システム、人事部門において通算28年の会社員経験があるのが強みであり、情報システム部門と人事部門の苦労がわかる社会保険労務士。労務相談、人事労務管理、就業規則、給与計算、電子申請が得意であり、労働相談は労働局での総合労働相談員の経験を生かした対応ができる。各種手続きは電子申請で全国対応が可能。また、各種サイトで人事労務関係の記事執筆や監修も行っている。
執筆
マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
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