
国民年金保険料が1万7920円に増額~過去の推移と上昇理由を専門家が徹底解説
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「国民年金保険料は、昔に比べてずいぶん高くなった」と感じている人も多いのではないでしょうか。
30年前は1万円を少し超える程度であった保険料は、現在では1万7000円を超え、将来への負担に不安を感じるかもしれません。
本記事では、国民年金保険料がこれまでどのように変わってきたのか、この歴史的な推移を詳しく解説します。
保険料が上がり続けた理由や今後の見通し、世代ごとの負担額の違いまで理解することで、年金制度への理解を深め、自身のライフプランに役立てていきましょう。
- 国民年金保険料の制度開始から現在までの変遷
- 保険料が上がり続けた理由と今後の見通し
- 世代別の保険料負担額と負担を軽減する方法
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国民年金保険料が月1万7920円に増額|2026年4月
2026年4月から、国民年金保険料は月額1万7920円に引き上げられます。これは毎年度見直されている保険料改定によるもので、物価や賃金の動向などを踏まえて調整されています。
国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する公的年金制度です。保険料の引き上げは家計への負担増につながる一方で、将来受け取る年金制度を維持するための重要な財源となります。
そのため、制度の仕組みや保険料の推移を理解し、将来の老後資金について考えておくことが重要です。
国民年金保険料の推移を一覧で確認
国民年金制度は1961年(昭和36年)に始まりました。当初、月々の保険料は100円または150円でしたが、経済成長や社会情勢の変化とともに、この金額は変動してきました。
制度開始から現在、そして決定している未来の保険料までを、2つの期間に分けて一覧表で確認します。
(参考:国民年金保険料の変遷|日本年金機構)
1961年~2003年の保険料推移
国民年金制度が開始された1961年(昭和36年)から、制度が見直される直前の2003年(平成15年)までの保険料の推移は以下の通りです。
当初は35歳未満と35歳以上で金額が異なっていましたが、1970年(昭和45年)に統一されました。その後、日本の経済成長とともに保険料は上昇を続け、1993年(平成5年)には初めて1万円を超えました。
※昭和=1926年開始、平成=1989年開始
※一部抜粋
(参考:平成16年年金制度改正の概要)
2004年~2026年3月の保険料推移
2004年(平成16年)の年金制度改正により、保険料の決め方が変わりました。同改正では、国民年金保険料を段階的に引き上げ、2017年(平成29年)以降は保険料水準を固定することが決まりました。
ただし、固定するとはいっても保険料が全く上がらないわけではなく、物価と賃金の変動に合わせた改定が毎年行われています。
たとえば、2024年度からは物価や賃金の上昇を反映し、保険料は再び上昇傾向にあります。すでに2027年までの保険料額が公表されています。
保険料が下がった年度もある
国民年金保険料は一貫して上がり続けているイメージがありますが、実際には前年度より下がった年もあります。
例えば、2018年(平成30年度)の保険料は1万6340円で、前年度の1万6490円から150円下がりました。
また、2022年(令和4年度)や2023年(令和5年度)も、前年度からわずかに引き下げられています。
これは、国民年金保険料が物価や賃金の変動を反映する「保険料改定率」を用いて毎年見直されるためです。デフレなどで物価や賃金が継続して下落すると、国民年金保険料も引き下げられます。
国民年金保険料はなぜ上がり続けたのか
制度開始から現在まで、国民年金保険料は結果として上昇傾向にあります。この背景には、年金制度の考え方の変化や、日本社会の経済状況が関わっています。
2004年(平成16年)の年金制度改正は大きな転換点となりました。改正の前後で保険料の考え方がどう変わったのか、そして物価との関係性について解説します。

2004年改正前:給付に合わせた保険料引き上げ
2004年の制度改正以前は、まず将来の年金給付の水準を定め、この給付に必要な費用を賄うために保険料を後から調整するという考え方が基本でした。
この方式では、物価や賃金の上昇に合わせて年金の給付水準を引き上げると、それに伴って保険料も引き上げる必要がありました。
日本の高度経済成長期には、この仕組みが機能し、給付と負担のバランスが保たれていました。
しかし、少子高齢化が進むにつれて、現役世代の負担が際限なく増え続けるという懸念が高まっていきました。
2004年改正後:保険料水準固定方式の導入
少子高齢化が急速に進む中で、将来の現役世代の負担が過重になることを避けるため、2004年(平成16年)に大きな制度改正が行われました。この改正で導入されたのが「保険料水準固定方式」です。
これは、将来にわたって保険料が上がり続けないように、あらかじめ法律で保険料の上限を定める方式です。そして、この限られた保険料収入の範囲内で年金の給付水準を自動的に調整する「マクロ経済スライド」という仕組みも同時に導入されました。
改正により、保険料が青天井で上昇し続ける懸念はなくなりましたが、代わりに給付額の方が社会情勢に応じて調整(抑制)されることになったのです。
物価上昇との関係
国民年金保険料は、年金制度改正のあった「2004年の制度改正で決められた保険料額(1万6900円)」を基準に「保険料改定率」を使って計算します。
1989年以降、基準となる保険料額は産前産後期間の保険料免除制度の導入に伴い1万7000円に引き上げられました。
- 国民年金保険料=2004年(平成16年)度基準の保険料額×保険料改正率
保険料改定率は前年の保険料改定率に「名目賃金変動率」を掛けて計算します。
- 保険料改正率=前年の保険料改正率×名目賃金変動率
つまり、国民年金保険料は名目賃金変動率に応じて毎年変動(上下)することになります。なお、名目賃金変動率は次の計算式で表せます。
- 名目賃金変動率=物価変動率×実質賃金変動率
物価が上昇するほど名目賃金変動率は高くなり、保険料の上昇幅も大きくなります。
(参考:国民年金保険料の額は、どのようにして決まるのか?|日本年金機構)


世代別に見る国民年金保険料の総支払額
納付する保険料額は毎年変動するため、生涯で支払う保険料の総額は世代によって異なります。
具体的な2つの世代を例に取り、40年間で支払う保険料の総額がどのくらいになるのかを試算してみましょう。
1980年生まれ(現在45歳)の場合
1980年(昭和55年)生まれの場合は、20歳になった2000年(平成12年)度から国民年金保険料の納付を開始しています。
この世代が40年間(480ヶ月)で支払う保険料の総額を試算すると、約774万円となります。
【計算の内訳】
- 実績(2000年度~2025年度):過去に支払った26年間の保険料合計額は約473万円です。
- 見込み(2026年度~2039年度):残りの14年間について、仮に令和8年度の保険料(月額1万7920円)で固定して計算すると、約301万円となります。
これはあくまで試算であり、将来の保険料は変動しますが、過去の保険料が比較的安かった時期と、今後の比較的高水準で推移する時期の両方を経験する世代といえます。
2006年生まれ(現在20歳)の場合
2006年(平成18年)生まれの場合は、2026年(令和8年)度から新たに国民年金保険料の納付を開始する世代です。
この世代が40年間で支払う保険料の総額を、仮に2026年度の保険料(月額1万7920円)が60歳まで続くと仮定して試算すると、約860万円となります。
- 計算式:1万7920円 × 12ヶ月 × 40年 = 860万1600円
もちろん、これは将来の保険料が全く変動しないという前提での単純計算です。実際には、毎年の物価や賃金の動向によって保険料は変わります。
しかし、2004年年金制度改正による保険料の段階的な引き上げが終了し保険料水準が固定された2017年度以降に納付を開始する世代は、前の世代と比べて生涯の総負担額が増加しているといえるでしょう。
今後の国民年金保険料はどうなる?
これまでの推移を見ると、将来の保険料がどうなるのか気になる方も多いでしょう。結論からいえば、法改正がない限り保険料水準は変わりません。
ただし、物価や賃金の変動に応じて保険料額は上がったり下がったりします。
保険料水準は固定される一方、年金の給付水準は調整(抑制)される仕組みになっています。今後の見通しについて詳しく見ていきましょう。
保険料は物価や賃金の変動に応じて変動
今後の国民年金保険料は急激な引き上げはなく、物価や賃金の変動に応じた分だけ毎年変動します。
これは、2004年の制度改正で、保険料水準の上限が法律で定められたためです。具体的には、制度改正以降保険料を段階的に引き上げたうえで、2017年度からは固定(物価や賃金の変動分は除く)されています。
そのため、急激なインフレなどが起きない限り、保険料が急増することは考えにくい状況です。
給付水準の調整が続く
保険料の上限が定められた一方で、年金財政のバランスを保つために、年金の給付水準は今後も調整が続けられます。この調整の仕組みが「マクロ経済スライド」です。
マクロ経済スライドとは、社会情勢(現役の被保険者数の減少や平均余命の伸び)に応じて、年金の改定率を賃金や物価の上昇率よりも低く抑える仕組みです。
これにより、年金額の名目額は増えたとしても、物価の上昇分ほどは増えないため、年金の実質的な価値は少しずつ下がっていくことになります。
保険料負担を抑制する代わりに、給付額で調整を行うのが現在の年金制度の基本的な考え方です。
保険料は今後も上がり続ける?
無制限に上がり続けることはありません。
2004年の年金制度改正によって、保険料水準には上限が設けられています。将来的には、この上限額に物価や賃金の変動率を反映させた金額で推移していく見込みです。
そのため、大幅な経済変動がない限り、1万7000円台を中心とした水準で安定的に推移すると考えられています。
国民年金保険料の負担を軽減する方法
国民年金保険料は決して安い金額ではありませんが、支払い方法を工夫したり、公的な制度を利用したりすることで負担を軽減できる場合があります。
知っておきたい3つの方法を紹介します。
前納による割引制度
国民年金保険料は、一定期間分をまとめて前払い(前納)することで割引が適用されます。割引額が一番大きいのは、2年分の保険料を口座振替で前納する方法です。
2025年(令和7年度)・2026年(令和8年度)の2年分を口座振替で前納した場合、割引額は1万7370円にもなります。その他、1年分や6ヶ月分の前納、現金やクレジットカードでの前納でも割引が受けられます。
(参考:令和8年度における国民年金保険料の前納額について|厚生労働省)
前納の申し込みには前納の種類に応じた期限があるため、希望する場合は早めに年金事務所や金融機関で手続きを行いましょう。
免除・猶予制度の活用
失業や所得の減少といった経済的な理由で保険料の納付が困難な場合は、保険料の支払いが免除または猶予される制度を利用できます。
未納のまま放置するのではなく、必ず申請手続きを行いましょう。
- 保険料免除制度:本人・世帯主・配偶者の前年所得が一定額以下の場合に、所得に応じて「全額」「4分の3」「半額」「4分の1」のいずれかの免除が承認されます。免除期間は、国の税金負担分(2分の1)が将来の年金額に反映されます。
- 納付猶予制度:20歳から50歳未満の方で、本人・配偶者の前年所得が一定額以下の場合に利用できます。この期間は年金額の計算には反映されませんが、後から追納することが可能です。
どちらの制度も、承認された期間は老齢年金を受け取るために必要な受給資格期間に算入されるという大きなメリットがあります。
また、免除・猶予された保険料は10年以内であれば追納でき、追納することで年金額を満額に近づけることができます。
学生納付特例制度
日本国内に住む20歳以上の人は学生であっても国民年金への加入が義務付けられています。しかし、学生は一般的に所得が少ないため、保険料の納付が困難な場合が少なくありません。
そこで設けられているのが「学生納付特例制度」です。本人の前年所得が一定以下の学生が申請し承認されると、在学期間中の保険料の納付が猶予されます。
この制度を利用した期間も、受給資格期間には算入されます。また、追納が承認された月の前10年以内の納付猶予期間については追納することができ、将来受け取る年金額を増やすことが可能です。
20歳になったら忘れずに手続きをしましょう。

まとめ
本記事では、国民年金保険料が制度開始から現在に至るまでの推移と、この背景にある理由について解説しました。
- 1961年(昭和36年)の月額100円台から始まり、経済成長や制度改正を経て2025年(令和7年度)には1万7510円まで上昇した
- 2004年(平成16年)の改正で保険料の上限が定められ、今後は1万7000円台で推移する見込み
- 保険料の上昇を抑える代わりに、給付水準を調整する「マクロ経済スライド」が導入されている
- 前納割引制度や免除・猶予制度を活用することで、保険料負担を軽減できる
国民年金保険料の推移は、日本の社会経済の歴史そのものを反映しています。制度の仕組みを正しく理解し、自身の納付状況を確認したうえで、将来のライフプランを考えていくことが欠かせません。
自身の年金制度への理解を深めるとともに、将来の資産計画について専門家のアドバイスも参考にしてみてはいかがでしょうか。
まずは簡単なシミュレーションから、老後に必要な資金額を確認してみましょう。
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監修
西岡 秀泰
- 社会保険労務士/ファイナンシャルプランナー
同志社大学法学部卒業後、生命保険会社に25年勤務しFPとして生命保険・損害保険・個人年金保険販売を行う。保有資格は社会保険労務士と2級FP技能士。2017年4月に西岡社会保険労務士事務所を開設し、労働保険・社会保険を中心に労務全般について企業サポートを行うとともに、日本年金機構の年金事務所で相談員を兼務。
執筆
マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。

