
退職給付金と失業手当の違いとは?両方もらえる?受給条件・金額・手続きを比較
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退職を考えた時、「退職給付金」と「失業手当」という言葉を耳にすることがあるかと思いますが、これら2つの違いを正確に理解しているでしょうか。「どちらも退職時にもらえるお金」と混同されがちですが、実は全く異なる制度です。
本記事では、退職給付金と失業手当の基本的な違いから、受給条件、金額、手続きの方法、そして「両方もらえるのか?」という疑問まで詳しく解説します。自身の状況に合わせて、受け取れるお金を最大限に活用するための知識を身につけましょう。
- 退職給付金と失業手当の基本的な違い
- 支給元や税金など5つの観点での徹底比較
- 両方の制度を受け取るための条件と注意点
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退職給付金と失業手当の違いは?知っておくべき基本
退職給付金と失業手当は、退職後に受け取れる可能性があるお金という点では共通していますが、その性質は全く異なります。
退職給付金は主に企業が長年の勤務に対する功労として支払う「退職金」を指すのに対し、失業手当は国が失業中の生活を支え、再就職を促すために支給する「公的な給付」です。
これら2つは別制度であるため、それぞれの意味を正しく理解することが、退職後の生活設計を立てる上で欠かせません。
退職給付金とは?企業から受け取るお金
退職給付金とは、一般的に企業が従業員の退職時に支払う「退職金」や「退職一時金」を指します。
これは、従業員の長年の勤務に対する功労に報いるための、企業独自の制度です。
法律で義務付けられているわけではないため、退職金制度の有無や内容は企業によって異なります。
制度があるかどうか、どのような条件でいくら支払われるかは、勤務先の就業規則や退職金規程で定められています。
失業手当とは?国から受け取る雇用保険の給付
失業手当とは、国が運営する雇用保険制度から支給される給付金のことです。
正式名称は「基本手当」といい、一般的に「失業保険」や「失業給付」とも呼ばれます。
制度の目的は、従業員が失業した際に、生活の安定を図りながら安心して再就職活動に専念できるように支援することです。
したがって、単に退職しただけでは受け取れず、「働く意思と能力があるにもかかわらず、就職できない状態」であることが受給の条件となります。
退職給付金と失業手当の違いを5つの観点で比較
退職給付金(退職金)と失業手当は、目的も仕組みも異なります。ここでは、その違いをより明確にするために、「支給元」「受給条件」「支給タイミング」「金額」「税金」という5つの観点から比較して解説します。
比較を通じて、自身がどちらの制度の対象になるのか、また、どのような手続きが必要になるのかを具体的にイメージできるようになります。
1.支給元の違い:企業か国か
一番の基本的な違いは、誰がお金を支払うかという点です。
退職給付金は、あくまで企業が独自に設けている制度であり、その原資は企業が準備します。
一方、失業手当は、労働者が在職中に支払ってきた雇用保険料を原資とする公的な保険制度です。そのため、手続きの窓口は国(ハローワーク)となります。
2.受給条件の違い:在職年数か雇用保険加入期間か
お金を受け取るための条件も、両者で異なります。
退職給付金(退職金)の受給条件は、主に「勤続年数」です。多くの企業では、「勤続3年以上」といった形で、一定期間以上勤務した従業員を対象としています。具体的な条件は、各企業の退職金規程によって定められています。
一方、失業手当の受給条件は、「雇用保険の被保険者期間」です。原則として、離職日以前の2年間に、雇用保険に加入していた期間が通算して12ヶ月以上あることが必要です。
ただし、倒産や解雇といった会社都合での離職の場合は、離職日以前1年間に被保険者期間が6ヶ月以上あれば受給できる場合があります。
3.支給タイミングの違い:退職時か失業認定後か
お金がいつ手元に入るかというタイミングも重要な違いです。
退職給付金(退職金)は、一般的に退職後1ヶ月から2ヶ月程度で支給されることが多いです。企業の経理処理の都合によりますが、比較的早い段階でまとまったお金を受け取れます。
対して失業手当は、すぐには支給されません。
まず、ハローワークで求職の申し込みをした後、7日間の「待機期間」があります。さらに、自己都合で退職した場合は、原則として1ヶ月の「給付制限期間」が設けられています。
そのため、実際に失業手当の最初の振込があるのは、手続きを開始してから1ヶ月半以上先になるのが一般的です。
4.金額の違い:勤続年数か賃金日額か
受け取れる金額の計算方法も全く異なります。
退職給付金(退職金)の金額は、企業の退職金規程に基づいて計算されます。一般的には、「勤続年数」「退職時の役職や等級」「給与額」などが考慮されます。勤続年数が長くなるほど金額が増える傾向にあります。
一方、失業手当の金額は、離職直前の6ヶ月間の給与を基に算出される「賃金日額」によって決まります。1日あたりの支給額(基本手当日額)は、その賃金日額のおおよそ50%〜80%(60〜64歳は45%〜80%)です。賃金が低い人ほど給付率が高くなるように設定されていますが、年齢ごとに上限額も定められています。
5.税金の違い:退職所得控除か非課税か
税金の扱いも重要なポイントです。
退職給付金(退職金)は、「退職所得」として所得税と住民税の課税対象になります。しかし、長年の功労に報いるという性質から、税負担が軽くなるように配慮されています。具体的には、勤続年数に応じた「退職所得控除」という大きな控除が適用されるため、他の所得と比べて税額が抑えられます。
一方、失業手当は、失業中の生活を支えるという目的のため、税金はかかりません(非課税)。所得税も住民税も課税されないため、受け取った金額がそのまま手取りとなります。
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退職給付金と失業手当は両方もらえる?
退職を控えた多くの方が一番気になるのが、「退職給付金(退職金)と失業手当は両方とも受け取れるのか?」という点でしょう。
結論からいうと、それぞれの受給条件を満たしていれば、両方を受け取ることが可能です。ここでは、その理由と注意点について解説します。
【結論】両方もらえる(別制度のため)
結論として、退職給付金(退職金)と失業手当は、それぞれの条件を満たせば両方とも受け取ることができます。
その理由は、これまで解説してきた通り、これら2つが全くの別制度だからです。
- 退職給付金:企業が定める規定に基づき支払われるお金
- 失業手当:国の雇用保険制度に基づき支払われるお金
支給元も目的も異なるため、一方を受け取ったからといって、もう一方が受け取れなくなったり、減額されたりすることはありません。退職金制度のある会社を退職し、かつ失業手当の受給資格があれば、両方の恩恵を受けることが可能です。
注意点:失業手当は「失業状態」が前提
退職給付金と失業手当を両方受け取る上で一番の重要な注意点は、失業手当の受給には「失業状態」であることが必須条件という点です。
「失業状態」とは、ハローワークによって以下のように定義されています。
- 就職したいという積極的な意思がある
- いつでも就職できる能力(健康状態、環境など)がある
- 積極的に仕事を探しているにもかかわらず、就職できていない
したがって、退職金を受け取った後、「しばらく休養したい」「趣味に専念したい」と考えている場合は、働く意思がないと判断され、失業手当の対象にはなりません。
両方を受け取るためには、退職後も積極的に求職活動を行う必要があります。
退職金を一時金で受け取るか年金で受け取るかの影響
多くの企業では退職金を一時金で支払いますが、中には年金形式で分割して受け取れる制度(企業年金)を導入している場合があります。
退職金を一時金で受け取る場合は、失業手当の受給に全く影響はありません。
しかし、年金形式で受け取る場合、その収入が失業手当の認定に影響を与える可能性があります。定期的な収入があると、「生活の安定が図られている」と見なされ、退職金や失業手当が減額されたり、支給対象外となったりするケースが考えられます。
企業年金の種類やハローワークの判断によって扱いが異なるため、年金形式での受け取りを検討している場合は、事前に会社や管轄のハローワークに確認することが推奨されます。
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退職給付金がもらえる条件と手続き
退職給付金(退職金)は、法律で定められた制度ではないため、その受給条件や手続きはすべて勤務先の企業の規定に基づきます。
ここでは、一般的な条件と手続きの流れについて解説します。自身の状況と照らし合わせる際は、必ず勤務先の就業規則などを確認しましょう。
受給条件:企業の退職金規程による
退職給付金(退職金)がもらえるかどうか、また、いくらもらえるかは、すべて勤務先の「就業規則」や「退職金規程」によって決まります。
一般的に、多くの企業では受給の最低条件として「勤続年数」を定めており、「勤続3年以上」の従業員を対象とすることが多いようです(企業により異なる)。勤続年数が長くなるほど、支給額も増えるのが一般的です。
また、退職理由(自己都合か会社都合か)によって支給額が変わる「退職事由係数」を設けている企業もあります。
自身の正確な受給資格や計算方法については、人事部や総務部に問い合わせるか、社内規定を確認しましょう。
手続き:基本的に企業が自動的に処理
退職給付金(退職金)の支給に関する手続きは、基本的に企業側が自動的に進めてくれます。従業員が自ら複雑な申請を行う必要はほとんどありません。
ただし、退職手続きの一環として、以下の対応を求められることが一般的です。
- 振込先口座の指定・確認
- 「退職所得の受給に関する申告書」の提出
「退職所得の受給に関する申告書」は、税金の計算に不可欠な書類です。これを提出しないと、税制上の優遇措置である「退職所得控除」が適用されず、税金が多く差し引かれてしまうため、必ず提出しましょう。支給時期は企業によって異なりますが、退職後1〜2ヶ月以内が目安です。
退職金がもらえない場合もある
退職時には必ず退職金がもらえるとは限りません。以下のようなケースでは、退職金が支給されないことがあります。
- そもそも退職金制度がない企業に勤務している場合:退職金は法律上の義務ではないため、制度自体を設けていない企業も少なくありません。
- 勤続年数が規定に満たない場合:多くの企業では「勤続3年以上」などの条件があり、それを満たさずに退職すると対象外となります。
- 懲戒解雇の場合:就業規則で、懲戒解雇の場合は退職金を支給しない、または減額すると定められていることが一般的です。
自身の会社に退職金制度があるか、また支給条件はどうなっているか、退職を考える前に就業規則で確認しておくことが必須です。
失業手当がもらえる条件と手続き
失業手当は、国の雇用保険法に基づく公的な制度です。そのため、受給条件や手続きは全国共通で定められています。
ここでは、失業手当を受け取るための具体的な条件と、申請から受給までの流れを解説します。
受給条件:雇用保険の加入期間と失業状態
失業手当を受給するためには、主に以下の2つの条件を両方満たす必要があります。
1. 雇用保険の加入期間
原則として、離職日以前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して12ヶ月以上あることが必要です。
ただし、倒産・解雇など会社都合で離職した「特定受給資格者」や、正当な理由のある自己都合退職者である「特定理由離職者」に該当する場合は、離職日以前の1年間に被保険者期間が通算6ヶ月以上あれば受給資格が得られます。
2. 失業の状態にあること
働く意思と能力があり、積極的に求職活動を行っているにもかかわらず、職業に就くことができない状態であることが求められます。
病気や怪我、妊娠・出産などで、すぐに働けない場合は対象外となります。
手続き:ハローワークでの求職申込が必須
失業手当の受給手続きは、自身の住所を管轄するハローワークで行います。手続きの基本的な流れは以下の通りです。
- 離職票の受け取り:退職した会社から「離職票-1」と「離職票-2」を受け取ります。
- ハローワークで求職の申し込み:必要な持ち物(離職票、マイナンバーカード、写真など)を持参し、ハローワークで求職の申し込みと受給資格の決定を受けます。
- 雇用保険受給者初回説明会への参加:指定された日時に説明会に参加し、制度の詳細や今後の手続きについて説明を受けます。「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が渡されます。
- 失業認定:原則として4週間に1度、指定された日にハローワークへ行き、求職活動の状況を報告して「失業の認定」を受けます。
- 給付:失業認定後、通常5営業日ほどで指定した口座に失業手当が振り込まれます。
給付制限期間:自己都合退職の場合
失業手当は、ハローワークで手続きをすればすぐに受け取れるわけではありません。
まず、離職理由にかかわらず、求職の申し込みを行った日から7日間は「待機期間」とされ、その期間は失業手当が支給されません。
さらに、自身の都合で退職した「自己都合退職」の場合、待機期間満了後、原則として1ヶ月間の「給付制限期間」が設けられます。その期間も失業手当は支給されません。
つまり、自己都合退職の場合は、実際に給付が始まるまでに1ヶ月以上かかることを念頭に置いておく必要があります。
なお、倒産や解雇などの会社都合退職の場合は、この給付制限期間はありません。
受給期間と給付日数
失業手当を受け取ることができる期間と日数には上限があります。
受給期間
失業手当を受け取ることができる期間は、原則として離職した日の翌日から1年間です。この1年の間に、後述する「所定給付日数」を上限として手当が支給されます。
期間を過ぎてしまうと、たとえ給付日数が残っていても支給が打ち切られるため、早めの手続きが欠かせません。
給付日数
実際に失業手当が支給される日数を「所定給付日数」と呼びます。この日数は、年齢、雇用保険の被保険者であった期間、離職の理由によって異なり、90日から360日の範囲で決定されます。一般的に、会社都合で離職した人や、就職が困難な事情がある人のほうが、自己都合で離職した人よりも給付日数は長くなります。
退職給付金と失業手当に関するよくある質問
ここでは、退職給付金(退職金)と失業手当に関して、多くの人が感じる疑問点についてQ&A形式で簡潔にお答えします。
Q. 退職給付金と失業手当は同時にもらえる?
はい、それぞれの条件を満たせば、同時期に受け取ることは可能です。
退職給付金(退職金)は企業から、失業手当は国から支給される全く別の制度です。そのため、退職金を受け取ったからといって失業手当がもらえなくなることはありません。
ただし、失業手当を受給するには、退職後も積極的に求職活動を行っている「失業状態」であることが前提となります。
Q. 退職金をもらうと失業手当が減る?
いいえ、退職金(一時金)を受け取っても、失業手当の金額が減ることはありません。
失業手当の支給額は、あくまで「離職前の6ヶ月間の賃金」を基に計算されます。退職金は賃金とは見なされないため、失業手当の算定には影響しません。
したがって、高額な退職金を受け取った場合でも、失業手当が減額される心配はありません。
Q. 失業手当の手続きはいつまでにすべき?
離職後、できるだけ速やかに手続きすることをおすすめします。
失業手当を受け取れる期間(受給期間)は、原則として離職日の翌日から1年間と決まっています。この期間を過ぎると、たとえ給付日数が残っていても支給されなくなってしまいます。
自己都合退職の場合は給付制限期間もあるため、手続きが遅れると、もらえるはずだった手当を全額受け取れない可能性が出てきます。
退職後は、なるべく早く住所地を管轄するハローワークで手続きを開始しましょう。
まとめ
この記事では、「退職給付金」と「失業手当」の違いについて、5つの観点から詳しく解説しました。
- 退職給付金(退職金):企業が長年の功労に報いるために支払うお金。
- 失業手当(基本手当):国が失業中の生活と再就職を支援するために支給する雇用保険の給付。
この2つは全くの別制度であり、それぞれの条件を満たせば両方を受け取ることが可能です。
ただし、失業手当の受給には「働く意思があり、求職活動を行っている」ことが大前提となります。
退職後の生活の不安を軽減させるには、これらの制度を正しく理解し、計画的に手続きを進めることが欠かせません。
自身の会社の退職金規程を確認するとともに、退職後は速やかにハローワークで相談し、受け取れる給付を最大限に活用しましょう。
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監修
山本 務
- 特定社会保険労務士/AFP/第一種衛生管理者
東京都練馬区で、やまもと社会保険労務士事務所を開業。企業の情報システム、人事部門において通算28年の会社員経験があるのが強みであり、情報システム部門と人事部門の苦労がわかる社会保険労務士。労務相談、人事労務管理、就業規則、給与計算、電子申請が得意であり、労働相談は労働局での総合労働相談員の経験を生かした対応ができる。各種手続きは電子申請で全国対応が可能。また、各種サイトで人事労務関係の記事執筆や監修も行っている。
執筆
マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。
