

住宅ローン10年固定で後悔する理由とは?返済額はいくら増える?今からできる対処法
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「住宅ローンの10年固定金利を選んだけど、このままで大丈夫?」「固定期間が終わったら返済額が跳ね上がると聞いて不安…」と感じていませんか。金利が上昇傾向にある今、10年固定期間の終了が迫っている人の不安は当然です。
本記事では、10年固定で後悔しがちな典型的なパターンと、11年目以降に実際に何が起こるのかを専門家が徹底解説。
自身の契約状況を確認する方法から、手遅れになる前に行うべき4つの対処法まで、具体的な手順を紹介します。
- 10年固定で後悔する典型パターンは「金利上昇と優遇幅縮小のダブルパンチ」
- 11年目以降、何も手続きをしなかった場合は自動的に変動金利へ移行するケースが多く、返済額が月数万円増加する可能性がある(金融機関や契約内容により対応は異なります)
- 後悔しないためには契約内容を必ず確認した上で、繰り上げ返済や借り換えなどの対策を早めに検討することが重要
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10年固定で後悔する3つの典型パターン【2026年】

住宅ローンの10年固定金利は、当初10年間の返済額が変わらない安心感から選ばれることが多いプランです。
しかし、固定期間が終了する11年目を迎えるにあたり、「こんなはずではなかった」と後悔するケースが少なくありません。
金利が歴史的な低水準にあった時期に契約した方々が、今まさに金利上昇リスクに直面しています。ここでは、10年固定で後悔につながりやすい3つの典型的なパターンを解説します。


2016年頃に借りた人が固定期間終了を迎え始めている
2026年現在、2016年頃に10年固定金利で住宅ローンを借りた人が、固定期間の終了時期を迎え始めています。2017年に借りた人についても、2027年以降、順次固定期間の終了を迎えることになります。
2016年は、日本銀行がマイナス金利政策を導入し、住宅ローン金利が歴史的な低水準を記録した年です。当時は変動金利だけでなく、10年固定金利も1%を下回る商品が多く登場し、固定金利の安心感から10年固定を選ぶ人が多くいました。
しかし、2024年以降、日銀の政策転換により長期金利は上昇傾向にあります。
低金利時代に契約した人々が、金利が上昇した環境下で11年目を迎えるため、返済額が予想以上に増加するリスクに直面しているのです。
(参考:住宅ローン金利動向2016年8月 | 一般財団法人住宅金融普及協会)
①金利上昇と優遇幅縮小のダブルパンチ
10年固定で後悔する最大の要因が、11年目以降に適用される金利が想定外に高くなることです。これには2つの理由が関係しています。
1つ目は、市場金利そのものの上昇です。10年前に比べて長期金利が上昇していれば、再選択する固定金利や、移行先の変動金利の基準となる「基準金利」が高くなります。
2つ目は、金利の「優遇幅」が縮小するケースです。住宅ローンの契約では、当初10年間の優遇幅は手厚く設定されていても、11年目以降の優遇幅は小さくなる契約が少なくありません。
例えば、当初の適用金利が「基準金利3.0% - 優遇幅2.0% = 1.0%」だったとします。11年目に基準金利が3.5%に上昇し、さらに優遇幅が0.8%に縮小した場合、適用金利は「3.5% - 0.8% = 2.7%」となり、金利が一気に1.7%も上昇することになります。
このように、市場金利の上昇と優遇幅の縮小が重なることで、返済額が大幅に増加し、家計を圧迫する可能性があります。
②変動より高い金利を払い続けた
10年固定金利は、金利変動リスクを金融機関が10年間負担するため、一般的に同じ時期の変動金利よりも高い金利が設定されています。
例えば、変動金利が0.5%の時に、10年固定金利が1.0%だったとします。この金利差は、10年間の金利上昇リスクに対する「保険料」と考えることができます。
しかし、結果的にこの10年間で変動金利がほとんど上昇しなかった場合、「初めから変動金利にしておけば、もっと総返済額を抑えられたのに」という後悔につながります。
契約後の変動金利が低水準で推移した場合、結果として10年固定金利の方が変動金利よりも利息負担が大きくなることがあります。ただし、実際の差額は契約時期や金融機関、優遇幅、繰り上げ返済の有無などによって異なります。
③繰り上げ返済をせず元金が減らなかった
10年固定金利を戦略的に活用する方法の1つに、「金利が固定されている安心な期間に、集中的に繰り上げ返済を行って元金を減らしておく」という考え方があります。11年目以降に金利が上昇しても、元金が減っていれば返済額の増加を抑制できるからです。
しかし、計画通りに繰り上げ返済ができないケースは少なくありません。子どもの教育費や車の買い替えなど、ライフイベントによる想定外の出費が重なり、貯蓄を繰り上げ返済に回せなくなることがあります。
その結果、多くの元金を抱えたまま11年目を迎え、金利上昇の直撃を受けてしまうと、「もっと計画的に返済しておけばよかった」という後悔につながります。
11年目以降に何が起きる?
10年固定の住宅ローンで注意すべきなのが、固定期間が終了する11年目以降の扱いです。
ここでは、11年目以降に具体的に何が起こるのか、固定期間終了後の仕組みと返済額への影響をシミュレーションで確認していきましょう。
申し出がなければ自動的に変動金利へ

10年間の固定期間が終了する際、多くの金融機関では、契約者から申し出がなければ、自動的に固定期間終了時点の「変動金利」プランに移行します。
「変動金利は一般的に金利が低いからよいのでは?」と思うかもしれませんが、ここに落とし穴があります。固定期間終了後は、当初固定期間中よりも金利の優遇幅が縮小する商品があります。その場合、市場金利が変わっていなくても、実際に適用される金利が上昇する可能性があります。
固定期間が終了する数ヶ月前には金融機関から通知が届きますが、手続きを忘れてしまうと、意図せず高い金利の変動金利プランに切り替わってしまうリスクがあるため、注意が必要です。
優遇幅が縮小する仕組み
11年目以降に金利が跳ね上がる最大の理由は「金利優遇幅の縮小」です。住宅ローンの金利優遇には、2つのタイプがあります。
- 当初期間優遇型: 最初の10年間など、一定期間だけ優遇幅を手厚くするタイプ。
- 通期優遇型: 返済期間全体を通して同じ優遇幅が適用されるタイプ。
10年固定金利には、当初の固定期間中の優遇幅を大きく設定した「当初期間優遇型」の商品があります。このタイプでは、固定期間終了後に優遇幅が縮小し、基準金利が同じでも適用金利が上昇する場合があります。しかし、11年目からは優遇幅が大幅に縮小されるため、基準金利が変わらなくても適用金利が上昇します。
例えば、ある銀行の契約で、当初10年間の優遇幅が-1.8%、11年目以降が-0.8%だったとします。基準金利が3.0%のままでも、適用金利は1.2%から2.2%へと1.0%も上昇してしまうのです。
この仕組みを契約時に理解しているかどうかが、後悔を分けるポイントになります。
【一般的な取扱い】移行先・優遇幅・再固定の可否
10年固定期間終了後の対応は、金融機関によって異なります。主な選択肢と一般的な特徴を以下の表にまとめました。自身の契約がどのパターンに近いか確認する際の参考にしてください。
重要なのは、契約書で「固定期間終了後の優遇幅」や「再選択時のルール」を正確に把握することです。不明な点があれば、必ず金融機関に直接確認しましょう。
返済額の増加シミュレーション
実際に11年目以降、返済額はどのくらい増える可能性があるのでしょうか。具体的な条件でシミュレーションしてみましょう。
【シミュレーション条件】
- 当初借入額:4000万円
- 返済期間:35年(元利均等返済)
- 1〜10年目:固定金利 1.0%
- 10年後のローン残高:約2995万円
この条件で、11年目以降の金利が変動した場合の毎月返済額の変化は以下のようになります。
※10年目までの毎月返済額は約11万3000円
※シミュレーションは概算値であり、実際の金利や返済額、将来の金利動向を保証するものではありません。
このように、金利が1.5%上昇するだけで、毎月の返済額は2万円以上も増加します。子どもの教育費などが増える時期に返済額の増加が重なると、家計が一気に苦しくなる可能性があることがわかります。
(参考:返済額のシミュレーション | 住宅保証機構株式会社)
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自分の契約の確認方法と危険度チェック
11年目以降のリスクを理解したら、次に行うべきは自身の契約内容の確認です。契約書を読み解き、将来のリスクがどの程度あるのかを客観的に把握することが、適切な対策を立てる第一歩となります。
ここでは、何を確認すればよいのか、そしてその結果から危険度をどう判断すればよいのかを具体的に解説します。

確認すべき3つの書類

住宅ローン契約の詳細は、主に以下の3つの書類で確認できます。手元に準備して、記載内容を確認しましょう。
金銭消費貸借契約書(ローン契約書)
重要な書類です。金利タイプ、当初の適用金利、基準金利、そして「固定金利期間終了後の金利」に関する取り決めが記載されています。「11年目以降の優遇幅」や「金利の見直しルール」の項目は念入りに確認してください。
返済予定表
毎月の返済額や、元金と利子の内訳が記載されています。当初の固定期間がいつまでなのか、そして固定期間終了時点でのローン残高がいくらになるのかを正確に把握できます。
商品説明書・パンフレット
契約時に受け取った商品説明書には、金利プランの概要やルールが図解などで分かりやすく説明されている場合があります。契約書とあわせて確認すると、より理解が深まります。
銀行に聞くべき質問リスト
書類を確認しても不明な点がある場合や、内容を再確認したい場合は、ためらわずに借入先の金融機関に問い合わせましょう。その際に役立つ質問リストを紹介します。
金利のルールについて
- 「私の契約では、10年の固定期間が終了した後、金利の優遇幅はどうなりますか?」
- 「何も手続きをしなかった場合、自動的に移行する変動金利の優遇幅を教えてください。」
- 「11年目に再度10年固定金利を選択する場合、適用される金利はどのように決まりますか?」
手続きと手数料について
- 「固定期間が終了する際、いつ頃、どのような形で案内が届きますか?」
- 「金利タイプを再選択する際に、手数料はかかりますか?かかるとすればいくらですか?」
現状の確認
- 「現在の私のローン残高と、固定期間が終了する時点での残高見込みを教えてください。」
これらの質問をすることで、将来のリスクをより具体的に把握できます。
問題ないケース
契約内容を確認した結果、以下のようなケースに該当する場合は、11年目以降のリスクは比較的小さいと考えられます。
- 11年目以降も優遇幅が変わらない、または縮小幅が小さい:契約書に「全期間にわたり基準金利から年〇%優遇」といった記載があり、優遇幅が固定期間終了後も維持される場合は、金利の急上昇リスクは限定的です。
- 固定期間終了時のローン残高が少ない、または残期間が短い:すでに繰り上げ返済が進んでおり、11年目時点での残高が1000万円を下回る場合や、残りの返済期間が10年未満の場合は、金利が多少上昇しても総返済額への影響は比較的小さく済みます。
- 金利上昇に対応できる十分な貯蓄がある:シミュレーションで算出した返済額の増加分をカバーできるだけの貯蓄がある、または今後の収入増が見込める場合も、過度に心配する必要はないでしょう。
特に注意が必要なケース
一方で、以下のようなケースは将来の返済負担が急増する危険性が高いため、早急な対策が必要です。
- 11年目以降の優遇幅が大幅に縮小する契約:契約書に「当初10年間 年-1.8%優遇、11年目以降 年-0.8%優遇」のように、優遇幅が1.0%以上も縮小する記載がある場合は要注意です。
- 固定期間終了後の優遇幅が明記されていない:「固定期間終了後の優遇幅は、固定期間終了時点の当行所定の利率に基づき決定します」といった曖昧な記載しかない場合、金融機関の判断で不利な金利が適用される可能性があります。
- ローン残高・残期間が多い:11年目時点でローン残高が2000万円以上、残期間が20年以上残っている場合、金利上昇の影響を受け、総返済額が数百万円単位で増加する恐れがあります。
- 家計に余裕がない:現在の返済で家計がぎりぎりの状態で、月々1〜2万円の返済額増加にも耐えられない場合は、危険度が高いといえます。
固定期間終了前に検討したい4つの対処法

自身の契約の危険度が高いと判断された場合でも、手遅れではありません。固定期間が終了する前に適切な行動を取ることで、将来の負担を軽減することが可能です。
ここでは、今からでも間に合う4つの具体的な対処法を紹介します。自身の状況に合わせて、最適な方法を検討してみてください。

①繰り上げ返済で元金を減らす
直接的で効果的な対策が、繰り上げ返済です。ローン元金を減らすことで、11年目以降に金利が上昇した際の影響を小さくすることができます。
繰り上げ返済には、返済期間を短くする「期間短縮型」と、毎月の返済額を減らす「返済額軽減型」の2種類があります。総返済額を減らす効果が高いのは「期間短縮型」ですが、11年目以降の毎月の負担を直接軽くしたい場合は「返済額軽減型」も有効です。
固定期間が終了するまでの間に、まとまった資金で一度に返済する方法のほか、毎月少しずつ追加で返済していく方法もあります。金融機関によっては、インターネットなどから少額の一部繰り上げ返済ができる場合もあります。最低返済額や手数料、手続き方法は金融機関ごとに異なるため、事前に確認しましょう。
家計の状況を見ながら、無理のない範囲で計画的に元金を減らしていきましょう。
②返済額の増加分を先取り貯蓄する
すぐに繰り上げ返済に回せる資金がない場合でも、将来の返済額増加に備えることは可能です。
まずは、11年目以降に金利が1%〜2%上昇した場合の毎月返済額をシミュレーションしてみましょう。そして、現在の返済額との差額を計算し、差額を毎月「先取り貯蓄」として別の口座に積み立てていくのです。
例えば、シミュレーションで毎月の返済額が2万円増える見込みであれば、今から毎月2万円を貯蓄に回します。これを続けることで、実際に返済額が増えた際の家計へのショックを和らげることができます。
また、貯まった資金を固定期間終了間際に繰り上げ返済の原資として活用することも可能です。
③同じ銀行で金利タイプを再選択する
固定期間終了が近づいたら、現在借り入れている金融機関に相談し、11年目以降の金利タイプを再選択(条件変更)する方法があります。
多くの金融機関では、変動金利だけでなく、再度3年、5年、10年といった固定金利プランを選ぶことができます。手続きが比較的簡単で、新たな審査が不要または簡易的で済むことが多いのがメリットです。
ただし、注意点もあります。既存顧客向けの金利プランは、新規顧客向けのキャンペーン金利よりも割高に設定されていることが少なくありません。また、一度固定金利を再選択すると、再選択した期間が終了するまで変動金利への変更は原則できなくなります。
同じ金融機関内での金利タイプ変更は、借り換えと比べて手続きが簡便な場合があります。ただし、審査の有無、変更手数料、固定期間中の金利タイプ変更の可否は、商品によって異なります。
手軽な方法ではありますが、次に紹介する「借り換え」と比較検討した上で判断することが鍵となります。
④借り換えを検討する
現在よりも有利な条件を提示している他の金融機関へ住宅ローンを乗り換える「借り換え」は、返済負担を軽減するための有力な選択肢です。
ネット銀行などは、新規顧客獲得のために魅力的な金利プランを用意していることが多く、同じ銀行で条件変更するよりも有利な条件で借りられる可能性があります。全期間固定金利や、より優遇幅の大きい変動金利など、選択肢も広がります。
ただし、借り換えには新規契約と同等の審査が必要となり、健康状態や勤務先の変更、物件の担保価値によっては審査に通らない可能性もあります。
また、保証料や登記費用などの諸費用が数十万円かかるため、それらの費用を含めても総返済額が減少するかどうかを慎重に比較検討する必要があります。
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借り換えの判断基準と注意点

借り換えは返済負担を軽減する強力な手段ですが、誰にでもメリットがあるわけではありません。諸費用や審査といったハードルもあり、タイミングや条件を見誤るとかえって損をしてしまう「借り換え貧乏」に陥る可能性もあります。
ここでは、借り換えを成功させるための判断基準と、注意すべき落とし穴について解説します。
残高・残期間・金利差で判断する
借り換えによってメリットが出るかどうかは、一般的に以下の3つの条件を満たしているかで簡易的に判断できます。
- ローン残高が1000万円以上ある
- 残りの返済期間が10年以上ある
- 現在の金利と借り換え後の金利差が0.5%以上ある
これらの条件を満たす場合、借り換えにかかる諸費用を支払っても、総返済額でメリットが出る可能性が高いとされています。
ただし、これはあくまで目安です。変動金利から固定金利への借り換えのように、現在の金利よりも高い金利に乗り換える場合は、単純な金利差だけでは判断できません。
将来の金利上昇リスクをどれだけ軽減したいかという「安心感」と、目先の返済額増加のバランスを総合的に考慮する必要があります。
従来、借り換えメリットが出やすい目安として、「残高1000万円以上」「残期間10年以上」「金利差0.5%以上」などが挙げられてきました。ただし、現在は金融機関ごとの事務手数料や保証料、金利優遇の条件が大きく異なるため、この基準だけで判断せず、諸費用を含めて個別にシミュレーションする必要があります。
借り換えできないケース
借り換えを検討しても、審査に通らず実行できないケースもあります。主な理由としては、以下のような点が挙げられます。
健康状態の悪化
借り換え時には、原則として新たに団体信用生命保険(団信)への加入が必要です。最初の借り入れ以降に健康状態が悪化した場合、団信に加入できず借り換えが難しくなることがあります。
転職による勤続年数の変化
勤続年数は住宅ローン審査の重要な項目の一つです。転職直後は審査上不利になる場合がありますが、必要な勤続年数や審査基準は金融機関によって異なります。
物件の担保評価額の低下
築年数の経過により、購入時よりも物件の担保評価額が下がっていると、希望する借入額の融資が受けられない場合があります。
他の借り入れ状況
住宅ローンの借り入れ後に、カーローンやカードローンなどの借り入れが増えていると、返済能力を疑問視され審査に影響が出ることがあります。
諸費用倒れを避ける計算方法
借り換えで注意したいのが「諸費用倒れ」です。金利が下がっても、借り換えにかかる費用が高すぎて、結果的に総支払額が増えてしまうケースを指します。
借り換えにかかる主な諸費用には、以下のようなものがあります。
- 保証料
- 事務手数料
- 印紙税
- 登記費用(司法書士報酬など)
借り換えには、事務手数料、保証料、印紙税、抵当権の抹消・設定登記費用、司法書士報酬などがかかります。費用は金融機関の手数料体系によって大きく異なり、借入額3000万円の場合、数十万円から100万円前後になることもあります。必ず借り換え先の見積額を確認し、諸費用を含めた総支払額で比較しましょう。
諸費用倒れを避けるには、「現在のローンを続けた場合の総返済額」と「借り換え後の総返済額(諸費用込み)」を正確に比較することが不可欠です。
金融機関のWebサイトにあるシミュレーションツールなどを活用し、諸費用を含めたトータルコストで判断するようにしましょう。
住宅ローン控除を利用している場合、繰り上げ返済によって年末のローン残高が減ると、控除額が減少する可能性があります。また、繰り上げ返済後の償還期間によっては、控除の適用要件に影響する場合があります。税負担への影響も確認した上で実行しましょう。
これから10年固定を選ぶ人の契約前チェック
これまで10年固定のリスクや対処法について解説してきましたが、10年固定金利そのものが悪いわけではありません。ライフプランによっては、有効な選択肢となり得ます。
重要なのは、契約前にリスクを正しく理解し、納得した上で選択することです。ここでは、これから10年固定を検討する人が、契約前に必ずチェックすべき3つのポイントを解説します。
11年目以降の優遇幅を書面で確認する

契約前に重要視すべき項目が、「固定期間終了後(11年目以降)の優遇幅」です。口頭での説明だけでなく、必ず「金銭消費貸借契約書」や「商品説明書」などの書面で確認してください。
確認すべきポイントは以下の通りです。
- 11年目以降の優遇幅が、当初10年間の優遇幅からどの程度縮小するのか
- 「全期間一律で〇%優遇」といった、通期優遇型の契約になっているか
- 「優遇幅は固定期間終了時点の当行の判断による」といった曖昧な表現になっていないか
この部分が明確でない契約は、将来金利が大幅に上昇するリスクを抱えています。納得できる説明が得られない場合は、他の金融機関を検討することも欠かせません。
変動・全期間固定と総返済額を比較する
10年固定金利だけで判断するのではなく、同じ借入額・返済期間で「変動金利」や「全期間固定金利(フラット35など)」を選んだ場合の返済額もシミュレーションし、比較検討しましょう。
比較する際は、目先の毎月返済額だけでなく、35年間の総返済額を見比べることが大切です。
- 変動金利: 金利が低いままであれば総返済額は少なくなるが、金利上昇リスクを負う。
- 10年固定金利: 変動と全期間固定の中間的な位置づけ。
- 全期間固定金利: 当初の返済額は高くなるが、総返済額が確定する安心感がある。
それぞれのメリット・デメリットと、自身の家計の状況やリスク許容度を照らし合わせ、「なぜ10年固定を選ぶのか」という理由を明確にしておくことが、将来の後悔を防ぎます。
10年で減らす元金を逆算する
10年固定金利を戦略的に利用するなら、「10年後にローン残高をいくらにしておくか」という目標を設定することが有効です。
まず、返済予定表を見て、何も繰り上げ返済をしなかった場合に10年後のローン残高がいくらになるかを確認します。次に、10年後の残高に対して、将来金利が2%や3%に上昇した場合の返済額をシミュレーションしてみましょう。
返済額が家計にとって許容範囲を超えていると感じるなら、10年後までにいくら繰り上げ返済をして元金を減らせば、許容範囲内に収まるかを逆算します。
例えば、「10年後の残高を1500万円以下にしておけば、金利が3%になっても返済を続けられる」といった具体的な目標を立てるのです。これにより、当初10年間の貯蓄計画が明確になり、計画的にリスク管理を行うことができます。
よくある質問
住宅ローンの10年固定金利に関して、多くの人が抱える疑問について、Q&A形式で分かりやすくお答えします。


Q. 10年固定の終了後は必ず金利が上がる?
A. 必ず上がるとは限りませんが、金利上昇の可能性は高いといえます。
理由は2つあります。1つは、10年前に比べて市場金利が上昇している場合、それに連動して適用金利も高くなるためです。
もう1つは、多くの契約で11年目以降の金利優遇幅が縮小されるため、基準金利が変わらなくても適用金利が上がってしまうからです。
ただし、市場金利が10年前より大幅に低下していれば、優遇幅が縮小しても結果的に金利が下がるケースも理論上はあり得ます。
Q. 固定期間の終了はどうやって通知される?
A.固定期間終了前に案内が届くのが一般的ですが、通知時期や通知方法は金融機関によって異なります。契約書や金融機関の案内で確認しましょう。
固定期間終了の通知には、11年目以降の金利タイプの選択肢(変動金利への移行、再度の期間固定など)や、手続きの方法、申込期限などが記載されています。
しかし、重要な通知であるにもかかわらず、他の郵便物に紛れて見逃してしまうケースも少なくありません。通知が来ていないか注意深く確認し、期限内に必ず手続きを行うようにしましょう。
もし通知が見当たらない場合は、早めに金融機関に問い合わせることをおすすめします。
Q. 11年目に借り換えできない場合は?
A. 健康上の理由や転職などで借り換えの審査に通らなかった場合でも、打つ手はあります。
まずは、現在契約している金融機関で、11年目以降の金利タイプを再選択することを検討します。変動金利に自動移行するよりも、再度期間固定金利を選んだ方が有利な条件になる場合があります。
同時に、家計を見直し、返済額が増えても対応できるように準備を進めましょう。固定費の削減や、収入を増やす方法を検討します。
また、まとまった資金があれば、繰り上げ返済を行って元金を減らすことも有効な対策です。
Q. 変動と10年固定どちらを選ぶべき?
A. どちらが適しているかは、個人の家計状況やリスクに対する考え方によって異なります。
変動金利が向いている人
- 金利上昇リスクを理解した上で、少しでも低い金利で借りたい人
- 共働きなどで収入に余裕があり、金利が上昇しても返済を続けられる人
- 繰り上げ返済を積極的に行い、早期完済を目指す人
10年固定金利が向いている人
- 今後10年間は子どもの教育費などで支出が増えるため、返済額を確定させておきたい人
- 金利の変動を常に気にするのが精神的なストレスになる人
- 10年後には収入が増える見込みがある、または繰り上げ返済の計画がある人
それぞれのメリット・デメリットを比較し、自身のライフプランに合った選択をすることが欠かせません。
まとめ

住宅ローンの10年固定金利は、当初10年間の返済計画が立てやすいというメリットがある一方で、11年目以降に金利が上昇し、返済額が大幅に増加するリスクを内包しています。
金利優遇幅が縮小する契約内容を見落としていると、「こんなはずではなかった」という後悔につながりかねません。
後悔しないために重要なのは、契約内容を正しく理解し、将来のリスクを具体的に把握することです。そして、固定期間が終了する前に、繰り上げ返済や借り換えといった対策を計画的に実行することが求められます。
金利が上昇局面に転じた今こそ、自身の住宅ローン契約を見直す絶好の機会です。本記事で紹介した確認方法や対処法を参考に、家計に合った最適な選択をしてください。
将来の金利変動に備えるためには、住宅ローンだけでなく、家計全体の状況を把握し、長期的な視点で資産計画を立てることが不可欠です。
自身の家計にどの程度の余裕があるか、一度確認してみてはいかがでしょうか。
»あなたの必要金額は?将来に不足するお金を診断
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叶 温
- 税理士/宅地建物取引士/マンション管理業務主任者
不動産投資に特化した税理士。2006年に自身の投資を開始し、約20年にわたり不動産投資における税務戦略および資産形成支援に従事。購入前の段階から収益設計と節税提案を行う点を強みとする。独自に不動産投資シミュレーションソフト「REITISS」を開発し、特許を取得。これまでに多数の投資家を支援してきた実績を有する。
執筆

マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。







