

日銀利上げ(2026年6月)で住宅ローンへの影響は?シミュレーションと今すぐできる対策
»将来のお金は大丈夫?あなたの本当の不足額を診断
2026年6月、日銀が追加利上げを決定し、住宅ローンを抱える人やこれから購入を検討する方から「返済額は一体いくら上がるのだろうか」といった不安の声が聞かれます。
金利のある時代が本格化する中で、冷静な情報収集と対策が不可欠です。
本記事では、今回の利上げが住宅ローンに与える具体的な影響を、変動・固定金利のタイプ別、新規・既存契約別に徹底解説します。
シミュレーションで返済額の変化を具体的に把握し、今すぐできる対策で将来の金利上昇に備えましょう。
(税金関連監修:税理士 黒澤美裕理)
- 2026年6月の利上げで変動金利は上昇傾向。返済中の人は2027年1月以降に影響が出る可能性
- 金利が1%上昇すると、3000万円・35年ローンで月々約1万4000円、総額約600万円の負担増(シミュレーション)
- 対策として「家計のストレステスト」「繰上返済」「固定金利への切り替え」などが有効
老後のお金が気になるあなたへ
老後に必要な資金を早めに把握し、計画的に準備を始めましょう。マネイロでは、今からでも間に合う老後資金づくりをサポートする無料ツールを利用いただけます。
▶老後資金の無料診断:将来必要になる金額がわかる
▶賢いお金の増やし方入門:貯金と投資で賢く増やす方法がわかる
▶年金の基本と老後資金準備:年金を増やす方法や制度の落とし穴を学ぶ


2026年6月利上げによる住宅ローンへの影響

2026年6月、日本銀行は金融政策決定会合で政策金利を1.0%へ引き上げることを決定しました。2024年3月のマイナス金利政策解除以降、段階的に進められてきた金融正常化の一環です。
この決定により、住宅ローン金利にも影響が及ぶことになります。特に変動金利型は政策金利の影響を受けやすく、すでに住宅ローンを返済中の人も、これから借りる予定の人も、今後の返済額に影響が生じる可能性があります。
一方、固定金利は主に長期金利の動向を反映して決まるため、変動金利とは影響の仕組みが異なります。
まずは、金利タイプ別に影響がいつから現れるのか、そしてなぜ日銀の決定が住宅ローン金利に連動するのか、金利決定の仕組みから理解を深めましょう。
(参考:金融市場調節方針の変更について | 日本銀行)


影響スケジュール早見表(新規借入・返済中・固定)
日銀による2026年6月の利上げ決定後、住宅ローン金利へ影響が現れるおおよそのスケジュールは以下のとおりです。
変動金利で返済中の場合、金利の見直しは半年に1度ですが、実際の返済額への反映はさらに先になるのが一般的です。
ただし、金融機関によってルールは異なるため、自身の契約内容を確認することが必須です。
元利均等返済で「5年ルール」が適用される住宅ローンでは、適用金利が上昇しても、原則として毎月の返済額は5年間据え置かれます。
その間は、返済額に占める利息の割合が増え、元金の返済に充てられる割合が減少します。
参考)日銀の利上げと住宅ローン金利の関係
日銀の政策金利変更が、なぜ私たちの住宅ローン金利に影響を与えるのでしょうか。
住宅ローン金利は、金利タイプによって決まり方が異なります。
変動金利は、日銀の政策金利の影響を受ける短期金利(短期プライムレートなど)をもとに決まり、固定金利は、主に10年国債利回りなどの長期金利を参考に決まります。
そのため、日銀が政策金利を引き上げると、変動金利は比較的影響を受けやすく、一方で固定金利は市場の景気見通しや物価、国債利回りなどを反映して変動します。
この2つの仕組みを理解することが、今後の住宅ローン金利の動向を読み解くポイントになります。
政策金利と短期プライムレートの仕組み(変動金利への波及ルート)
変動金利型の住宅ローン金利は、多くの場合「短期プライムレート」という指標を基準に決定されます。
短期プライムレートとは、銀行が信用力の高い優良企業に対して1年未満の短期で貸し出す際に適用する最優遇金利のことです。
そして、この短期プライムレートに影響を与えるのが、日銀が決定する「政策金利」です。
政策金利は、日銀が民間の金融機関にお金を貸し出す際の金利であり、金融市場全体の金利の土台となります。
日銀が利上げを行うと、金融機関がお金を調達するコストが上昇します。その結果、金融機関は貸出金利である短期プライムレートを引き上げ、それに連動して住宅ローンの変動金利も上昇するという流れになります。
つまり、「日銀の利上げ → 金融機関の調達コスト増 → 短期プライムレート上昇 → 住宅ローン変動金利上昇」というルートで影響が波及するのです。
長期金利と固定金利型住宅ローンの関係
一方、固定金利型の住宅ローン金利は、主に「長期金利」の動向に連動します。
長期金利の代表的な指標となるのが「10年物国債利回り」です。国債は国が発行する債券で、国債の価格や利回りは金融市場での需要と供給によって日々変動します。
金融機関は、固定金利のような長期の貸し出しを行う際、長期金利を資金調達や運用コストの目安として住宅ローン金利を決定します。
将来の景気や物価が上昇すると予想されると、国債を売る動きが強まり、国債価格が下落(利回りは上昇)します。これが長期金利の上昇につながり、金融機関は将来のリスクに備えて固定金利型の住宅ローン金利を引き上げることになります。
日銀の利上げは、将来の経済や物価に対する市場の見方に影響を与えるため、間接的に長期金利を押し上げる要因となります。そのため、固定金利は日銀の利上げ発表前から、市場の予測を織り込む形で先に上昇する傾向があります。
新規借入への影響【これから借りる人】

これから住宅の購入を計画し、新たにローンを組む人にとって、日銀の利上げは金利設定に直接影響します。
注意したいのが、金利が確定するタイミングです。
また、現時点での変動金利と固定金利の水準を把握し、どちらのタイプが自身のライフプランやリスク許容度に合っているかを慎重に検討する必要があります。

適用金利は「申込時」ではなく「融資実行時」——引き渡しが8月以降の人は要注意
住宅ローンで実際に適用される金利は、ローンの「申込時」や「契約時」ではなく、融資が実行される(お金が振り込まれる)時点の金利が適用されるのが一般的です。
例えば、2026年7月に住宅ローンの申し込みを済ませていても、物件の引き渡しが9月であれば、9月時点の金利が適用されます。日銀が6月に利上げを決定したことを受けて、各金融機関は今後、段階的に住宅ローン金利を引き上げる可能性があります。
そのため、すでに物件の契約を終え、数ヶ月後に引き渡しを控えている人は注意が必要です。契約時に想定していた金利よりも高い金利が適用され、月々の返済額が増加する可能性があります。
注文住宅などで契約から引き渡しまで期間が空く場合は、金利上昇のリスクを念頭に置いて資金計画を立てることが欠かせません。
変動・固定それぞれの最新金利水準(2026年7月時点)
本記事のシナリオ(2026年6月に政策金利が1.0%へ引き上げられたと仮定)に基づくと、住宅ローン金利は以下のような水準になることが想定されます。
- 変動金利型: 年0.7%〜0.8%程度
- 全期間固定金利型(フラット35など): 年2.0%〜2.5%程度
※上記金利は記事のシナリオに基づく仮定の数値であり、実際の金利動向を示すものではありません。
変動金利は依然として歴史的な低水準にありますが、2024年6月の0.3%〜0.4%台と比較すると着実に上昇しています。
一方、固定金利は市場の将来的な金利上昇を織り込み、変動金利よりも先に上昇を開始しています。
2026年1月時点でフラット35の最低金利が2%を超えており、変動金利との金利差は1%以上に開いています。
現時点では変動金利のほうが支払額/支払い金額を低く抑えられますが、将来の金利上昇リスクを伴います。固定金利は当初の返済額は高くなりますが、将来にわたって返済額が変わらない安心感があります。
どちらを選ぶかは、この金利差と将来のリスクをどう評価するかによって決まります。
老後のお金が気になるあなたへ
老後に必要な資金を早めに把握し、計画的に準備を始めましょう。マネイロでは、今からでも間に合う老後資金づくりをサポートする無料ツールを利用いただけます。
▶老後資金の無料診断:将来必要になる金額がわかる
▶賢いお金の増やし方入門:貯金と投資で賢く増やす方法がわかる
▶年金の基本と老後資金準備:年金を増やす方法や制度の落とし穴を学ぶ
変動金利型住宅ローンへの影響【すでに借りている人】

すでに変動金利型で住宅ローンを返済している人にとって、日銀の利上げは将来の返済額増加に直結する可能性があります。
日銀の利上げが住宅ローンの返済額に影響する仕組みを正しく理解し、自身の契約内容を確認した上で、具体的な返済額の変化をシミュレーションしてみましょう。

金利見直しの流れ——基準日(4月1日・10月1日)と返済額への反映タイミング
変動金利型の住宅ローンでは、適用される金利そのものは通常、年に2回見直されます。多くの金融機関では、4月1日と10月1日を金利見直しの「基準日」としています。
- 4月1日の見直し: 7月返済分から新しい金利が適用
- 10月1日の見直し: 翌年1月返済分から新しい金利が適用
重要なのは、金利が見直されても、毎月の返済額はすぐには変わらないケースが多い点です。多くの金融機関では、返済額の変更は5年に1度とする「5年ルール」を採用しています。
したがって、多くの金融機関では、2026年10月頃の金利見直しで反映される可能性があります。
一方、見直された金利が適用されても、毎月の返済額そのものは、次回の返済額見直し(5年ごとの更新時)まで変更されないケースが一般的です。
ただし、返済額は同じでも、返済額の内訳である元金と利子の割合は変動します。
金利が上昇すると、返済額に占める利息の割合が増え、元金の返済に充てられる割合が減るため、ローン残高が当初の予定より減りにくくなる点に注意が必要です。
主要銀行の基準日・反映時期・5年ルール有無の一覧表
変動金利のルールは金融機関によって細部が異なるため、自身の契約内容を確認することが大切です。
ここでは一般的な主要銀行のルールを一覧にまとめました。
多くの大手銀行では「年2回金利見直し・5年に1度返済額見直し・125%ルールあり」という組み合わせが標準的です。
しかし、一部のネット銀行や特定の商品では、これらのルールが適用されない場合があります。必ず自身のローン契約書や金融機関のWebサイトで確認してください。
金利1%上昇時の返済額シミュレーション
仮に住宅ローンの金利が1%上昇した場合、毎月の返済額と総返済額はどの程度増加するのでしょうか。具体的な数字で見てみましょう。
【前提条件】
- 借入額:3000万円
- 返済期間:35年
- 返済方法:元利均等返済
- ボーナス払いなし
このシミュレーションでは、金利が1%上昇すると、月々の返済額は約1万4000円増加し、35年間の総返済額では約600万円もの差が生じることがわかります。
これはあくまで単純計算であり、実際には5年ルールや125%ルールによって返済額の変動は緩やかになります。
しかし、金利上昇が返済総額に与える影響の大きさを理解しておくことは、今後の対策を考える上で大事です。
※上記シミュレーションは特定の条件下での試算であり、将来の返済額を保証するものではありません。実際の返済額は金融機関の契約内容や金利動向によって異なります。
(参考:返済額のシミュレーション | 住宅保証機構株式会社)
5年ルール・125%ルールの仕組みと3つの落とし穴

変動金利型の住宅ローンには、金利が急上昇した際の返済負担を緩和するためのセーフティネットとして「5年ルール」と「125%ルール」が設けられていることが一般的です。
これらのルールは家計の急変を防ぐ上で有効ですが、仕組みを正しく理解していないと思わぬ落とし穴にはまる可能性もあります。ルールの中身と注意点をしっかり確認しましょう。
5年ルール・125%ルールとは
変動金利型の住宅ローンにおける2つの重要なルールについて解説します。
5年ルール
金利の見直しは半年に1度行われますが、毎月の返済額は5年間固定されるというルールです。金利が上昇しても、5年間は毎月の返済額が変わらないため、家計の計画が立てやすくなります。返済額の見直しは5年に1度行われます。
125%ルール
5年後の返済額見直し時に、たとえ金利が大幅に上昇していても、新しい返済額は直前の返済額の1.25倍(125%)を上限とするルールです。
例えば、月10万円返済していた場合、次の5年間の返済額は最大でも12万5000円までしか上がりません。これにより、返済額が際限なく増え続けるのを防ぎます。
これらのルールは、金利上昇局面における返済者の負担を急激に増やさないための配慮といえます。
落とし穴①:返済額は同じでも利子の割合が増えている
5年ルールの最大の注意点は、返済額が据え置かれている間も、内部の計算では上昇した金利が適用されていることです。
毎月の返済額は「元金返済分+利子支払分」で構成されています。金利が上昇すると、返済額に占める利子の割合が増え、その分、元金の返済に充てられる金額が減ってしまいます。つまり、元金の減りが遅くなるのです。
さらに、金利が急激に上昇し、毎月の返済額だけでは利息を払い切れなくなった場合には、払い切れなかった利息が「未払利息」として積み上がることがあります。
この未払い利子は、ローン最終返済時に一括で請求されるか、返済期間が延長される原因となり、総返済額が想定以上に膨らむリスクがあります。
返済額が変わらないからと安心していると、水面下で負担が増えている可能性があることを理解しておく必要があります。
落とし穴②:元金均等返済は対象外
5年ルールと125%ルールは、毎月の返済額(元金+利子)が一定になる「元利均等返済」を対象としたものが一般的です。
一方、毎月の元金返済額が一定で、利子の変動によって返済総額が変わる「元金均等返済」を選択している場合、これらのルールは適用されません。元金均等返済では、金利が上昇すれば、その上昇分が直接的に毎月の返済額に上乗せされます。
返済当初の負担は大きいものの、元金の減りが早いのが元金均等返済のメリットですが、金利上昇の影響をダイレクトに受けるというデメリットも持ち合わせています。
自身の返済方法がどちらのタイプか、あらためて確認しておきましょう。
落とし穴③:そもそもルールがない金融機関もある
5年ルールや125%ルールは、法律で定められた義務ではなく、各金融機関が独自に設けているものです。そのため、一部のネット銀行などでは、これらのルールを設けていない場合があります。
ルールがない金融機関では、金利が見直されるたびに、見直された金利に基づいて計算された返済額に変更されます。つまり、半年に1度、返済額が変動する可能性があるということです。
金利上昇局面では返済額が頻繁に、かつ上限なく上昇するリスクがある一方、金利下降局面ではメリットを早く享受できるという側面もあります。
低金利を魅力に感じて契約した金融機関に、これらのセーフティネットが備わっているか、契約書や重要事項説明書で必ず確認することが必須です。
固定金利型住宅ローンへの影響

固定金利型の住宅ローンは、固定金利という名の通り金利が固定されるため、変動金利型とは利上げに対する影響の受け方が異なります。
すでに借り入れをしている場合は安心感がありますが、これから借りる場合は市場の動向を織り込んだ金利設定となります。
全期間固定型と固定期間選択型、それぞれの特徴と利上げの影響について見ていきましょう。
全期間固定型(フラット35など)——すでに長期金利上昇を織り込み済み
全期間固定型の住宅ローン(代表例:フラット35)をすでに契約して返済中の場合、今回の利上げによる影響は一切ありません。
契約時に定められた金利が、返済終了まで適用され続けるため、月々の返済額も総返済額も変わることはありません。これが全期間固定型の最大のメリットです。
一方、これから全期間固定型を新規で借り入れる場合、借入時の金利はすでに市場の金利上昇期待を織り込んだ水準になっています。
固定金利は長期金利(10年物国債利回り)を参考に決定されますが、市場は日銀の利上げを予測して先に動くため、固定金利は変動金利よりも早く上昇する傾向にあります。
実際に、2024年以降、長期金利の上昇に伴い、フラット35の金利も段階的に引き上げられています。
今後も日銀が追加利上げを行うとの観測が強まれば、新規借入時の固定金利はさらに上昇する可能性があります。
固定期間選択型(当初10年固定など)——固定期間終了時の再選択リスク
「当初10年固定」のように、一定期間だけ金利が固定される「固定期間選択型」の住宅ローンも、固定期間中は利上げの影響を受けません。契約した期間内は、返済額が変わらない安心感があります。
しかし、注意が必要なのは固定期間が終了するタイミングです。期間終了後には、期間終了時点の金利水準であらためて金利タイプ(変動金利か、再び固定金利か)を選択し直すことになります。
例えば、10年前に低い金利で契約した場合でも、10年後の金利水準が現在よりも高ければ、返済額が大幅に上昇するリスクがあります。これを「再選択リスク」と呼びます。
今回の利上げは、数年後に固定期間の終了を迎える人にとって、将来の返済額が増加する可能性が高まったことを意味します。
固定期間が終了する時期と、期間終了時の金利動向を注視しておく必要があります。
今すぐできる住宅ローン対策4つ

日銀の利上げが決まり、将来の金利上昇が現実味を帯びてきました。しかし、過度に不安になる必要はありません。
金利上昇の影響を緩和するために、今からできる対策はいくつかあります。家計の状況を正確に把握し、計画的に行動することが肝となります。
ここでは、具体的な4つの対策を紹介します。


①家計のシミュレーションを行う(金利2%シナリオまで耐えられるか)
まず最初に行うべきは、現状の家計がどの程度の金利上昇まで耐えられるかを把握することです。
現在の金利に+0.5%、+1.0%、+1.5%、+2.0%といった段階的な上昇を仮定して、それぞれのシナリオで毎月の返済額がいくらになるかをシミュレーションしてみましょう。
金融機関のWebサイトにあるシミュレーションツールを使えば、簡単に計算できます。
上昇後の返済額を算出したら、算出した金額を毎月の収入から無理なく支出し続けられるかを確認します。食費や通信費などの固定費を見直すことで、どのくらい支出を削減できるかも合わせて検討するとよいでしょう。
このストレステストを行うことで、漠然とした不安が具体的な数字に変わり、どこまでの金利上昇なら許容範囲で、どこからが危険水域なのかを客観的に判断できます。
②繰上返済で元金を減らす——住宅ローン控除期間中は要注意
手元の資金に余裕がある場合、繰上返済は金利上昇に対する有効な対策の1つです。
繰上返済とは、毎月の返済とは別に、まとまった資金でローン元金の一部または全部を返済することです。
元金を直接減らすことができるため、その後の利子負担を軽減する効果があります。繰上返済には、返済期間を短縮する「期間短縮型」と、毎月の返済額を減らす「返済額軽減型」があります。
金利上昇局面では、将来の支払利子総額を減らす効果がより大きい「期間短縮型」が選択肢として考えられます。
ただし、住宅ローン控除(減税)を受けている期間中は注意が必要です。
繰上返済によってローン残高が減ると、年末のローン残高の1%(2022年1月1日以降に居住開始は0.7%)を所得税などから控除する制度のメリットが小さくなる可能性があります。
住宅ローン金利が控除率(例:0.7%)を大幅に下回っている場合は、繰上返済を急がず、控除期間が終了してから検討するのも1つの選択肢です。
③繰上返済と資産運用、手元資金はどちらに回すべきか
手元資金を「繰上返済」に充てるか、それとも「資産運用」に回すか、という判断は多くの人が悩むポイントです。1つの判断基準は、住宅ローンの金利と、期待できる資産運用の利回りを比較することです。
住宅ローン金利 > 期待できる運用利回り の場合
資産運用で期待できる利益よりもローン金利の支払いのほうが高くなる場合は、繰上返済を優先することも選択肢の1つです。利子負担を減らすことができます。
住宅ローン金利 < 期待できる運用利回り の場合
繰上返済で節約できる利子よりも、資産運用で得られる利益のほうが増える可能性があります。この場合は、手元資金をNISAなどを活用した資産運用に回すことも選択肢の1つとして考えられます。
ただし、資産運用には元本割れのリスクが伴います。また、繰上返済をしすぎると、病気や失業など不測の事態に対応するための手元資金が不足するリスクもあります。
自身のリスク許容度や家計の状況を考慮し、バランスの取れた判断をすることが欠かせません。
④借り換え・固定金利への切り替えを検討する
将来の金利上昇への不安が強い場合は、現在の変動金利から固定金利への切り替えや、より条件のよい他の金融機関のローンへの借り換えを検討するのも有効な対策です。
固定金利への切り替え
現在契約している金融機関内で、変動金利から固定金利に変更する手続きです。これにより、将来の金利上昇リスクを回避し、返済計画を確定させることができます。
ただし、一般的に固定金利は変動金利よりも高く設定されており、切り替えには手数料がかかる場合があります。
他の金融機関への借り換え
より低い金利の変動金利ローンや、魅力的な固定金利プランを提供している他の金融機関に乗り換える方法です。
借り換えには登記費用や手数料などの諸経費がかかりますが、それを上回る金利削減効果が見込める場合に有効です。
固定金利も上昇傾向にあるため、もし切り替えや借り換えを検討するのであれば、金利がさらに上がる前に早めに情報収集を始め、複数の金融機関を比較検討することが推奨されます。
住宅ローンに関するよくある質問

日銀の利上げに関して、住宅ローン利用者が抱える疑問は多岐にわたります。
ここでは、多く寄せられる質問について、Q&A形式で分かりやすく解説します。
Q. すでに変動金利で借りている場合、返済額はいつから上がる?
A. すぐに上がるわけではありません。多くの金融機関では、金利自体は年2回(4月と10月)見直されますが、毎月の返済額が変わるのは5年に1度です(5年ルール)。
今回の2026年6月の利上げは、まず2026年10月1日の金利見直しに反映される可能性が高いです。
しかし、実際の返済額に影響が出るのは、自身の契約における次回の「返済額見直しタイミング」からとなります。
例えば、2024年5月に返済を開始した場合、多くの金融機関では返済開始から約5年後の返済額見直し時まで現在の返済額が据え置かれるケースが一般的です。
ただし、契約内容によってはこのルールが適用されない場合もあるため、自身の契約書を確認することが適切です。
Q. 審査中・引き渡し前だが、どちらの金利が適用される?
A. 住宅ローンで適用される金利は、原則として「融資実行日(引き渡し日)」時点の金利です。
ローンの申し込みや審査が完了した時点の金利ではありません。例えば、7月に審査が承認されても、物件の引き渡しが9月であれば、9月時点の金利が適用されます。
2026年6月の利上げを受け、各金融機関は夏以降に金利を引き上げる可能性があります。
そのため、引き渡しが数ヶ月先の場合は、審査承認時の想定よりも高い金利が適用されるリスクがあることを理解しておく必要があります。
Q. 変動金利と固定金利、今から選ぶならどちら?
A. 一概にどちらがよいとは言えず、自身の家計状況やリスクに対する考え方によって最適な選択は異なります。
変動金利が向いている人
- 将来の金利上昇に対応できる資金的余裕がある人
- 返済期間が短い、または繰上返済を積極的に行う予定の人
- まずは毎月の返済額を低く抑えたい人
固定金利が向いている人
- 将来の金利上昇リスクを避け、返済計画を確定させたい人
- 教育費など、将来の支出が多く、家計の安定を重視する人
- 金利の動向を常に気にしたくない人
現状では変動金利のほうが低いですが、国土交通省の調査によると約8割の人が変動金利を選んでいます。しかし、今後の金利上昇リスクは高まる可能性があります。
それぞれのメリット・デメリットを十分に理解し、自身のライフプランに合った選択をすることが鍵となります。
Q. 変動から固定への切り替えは今からでも間に合う?
A. はい、今からでも切り替えは可能です。契約内容によりますが、多くの金融機関では、返済途中での金利タイプの変更を受け付けています。
ただし、いくつか注意点があり、切り替え先の固定金利は、新規で借り入れる際の固定金利よりも高く設定されている場合が見られます。また、変更には数万円程度の手数料がかかることがあります。
固定金利自体も上昇傾向にあるため、もし切り替えを検討するのであれば、早めに金融機関に相談し、条件を確認することをおすすめします。
現在の変動金利、切り替え後の固定金利、手数料などを総合的に比較し、本当に切り替えるメリットがあるかを慎重に判断しましょう。
まとめ

2026年6月の日銀による利上げは、金融政策の正常化が進み、住宅ローンを取り巻く環境が転換期を迎えたことを示す出来事となりました。
特に、変動金利を利用している人や、これから住宅ローンを借りる予定の人にとっては、今後の金利動向を踏まえた資金計画がこれまで以上に重要になります。
まずは、自身のローン契約内容(金利タイプ、5年ルール・125%ルールの有無など)を正確に把握し、金利が上昇した場合の返済額をシミュレーションしておくことです。
その上で、繰上返済や借り換えといった対策を検討し、家計の健全性を保つことが求められます。
金利の動向に一喜一憂するのではなく、正しい知識を身につけ、自身のライフプランに合った冷静な判断を心がけましょう。
今後の金利動向や自身の家計状況に不安を感じる方は、専門家への相談やシミュレーションツールの活用も検討してみましょう。
»あなたの必要金額は?将来に不足するお金を診断
老後のお金が気になるあなたへ
老後に必要な資金を早めに把握し、計画的に準備を始めましょう。マネイロでは、今からでも間に合う老後資金づくりをサポートする無料ツールを利用いただけます。
▶老後資金の無料診断:将来必要になる金額がわかる
▶賢いお金の増やし方入門:貯金と投資で賢く増やす方法がわかる
▶年金の基本と老後資金準備:年金を増やす方法や制度の落とし穴を学ぶ
※本記事の内容は記事公開時や更新時の情報です。現行と期間や条件が異なる場合がございます
※本記事の内容は予告なしに変更することがあります。予めご了承ください
オススメ記事

住宅ローンの金利が上がった理由と上昇の影響は?対策と今後の見通しを徹底解説

住宅ローン控除とふるさと納税は併用できる?損しないための注意点を解説

変動金利は一気に上がる?過去データで見る実態と今すぐできる備え方
監修

矢口 美加子
- 宅地建物取引士/Room.M 代表
不動産ライターとして大手不動産会社や不動産ポータルサイトなどで不動産関連コラムの執筆や監修を手がける。執筆・監修での記名記事370件以上、合計1000記事以上の執筆実績。家業の不動産投資事業での実務経験を活かし、「初心者でもわかりやすい不動産記事」の作成を行う。宅地建物取引士、整理収納アドバイザー1級、福祉住環境コーディネーター2級の資格を保有。
執筆

マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。




