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50代のアセットアロケーション完全ガイド!老後資金を守りながら増やす資産配分の考え方

50代のアセットアロケーション完全ガイド!老後資金を守りながら増やす資産配分の考え方

資産運用2026/01/15
  • #50代

»50代の現在、老後資金はいくら足りない?無料診断

50代のアセットアロケーションはどう考えるべき?」と悩んでいる人もいるかもしれません。50代のアセットアロケーションは、「どれだけ増やすか」だけでなく「どう守るかを重視する段階に入ります。

老後までの運用期間が限られる一方で、退職金年金受給が視野に入り、資産の価格変動が生活に与える影響も大きくなります。株式に偏りすぎるとリスクが高まり、逆に守りに寄せすぎるとインフレに負ける可能性もあります。

本記事では、50代に適した資産配分の考え方や、ライフプランに応じた調整ポイントを投資のプロがわかりやすく解説します。

この記事を読んでわかること
  • 50代の資産配分の基本原則と年代別の考え方
  • リスク許容度に応じた3つのモデルポートフォリオ
  • 新NISAやiDeCo、退職金を活用した具体的な実践方法


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50代のアセットアロケーションが重要な理由

50代でアセットアロケーション(資産配分)を見直すことが重要なのは、定年退職までの残り時間が限られており、大きな失敗が許されないためです。

20代や30代であれば、仮に投資で大きな損失を出しても、その後の労働収入や長い運用期間で挽回する時間的余裕があります。しかし、50代は収入がピークを迎える一方で、退職後の生活が目前に迫っています。

その時期にハイリスクな投資で資産を減らしてしまうと、取り返す時間はほとんど残されていません

また、50代は子どもの独立や住宅ローンの完済など、ライフステージの変化によって家計に余裕が生まれる一方、自身の健康問題や親の介護など、予期せぬ出費が発生しやすい時期でもあります。

そのため、これまで以上に資産を守る視点を持ちつつ、老後の生活資金を確保するために資産を育てていくという、攻めと守りのバランスが取れた資産配分が求められるのです。

50代は「守りながら増やす」フェーズ

50代の資産運用は、20代〜40代の「積極的に増やす」フェーズから、「守りながら着実に育てる」フェーズへと移行する転換期です。

若い頃はリスクを取って高いリターンを狙う戦略も有効でしたが、50代では資産を減らさない「資産保全」の視点が何よりも重要になります。退職直前に市場が暴落し、資産が半減してしまった場合、計画していた老後の生活が成り立たなくなる可能性も否定できません。

ポイントの解説

したがって、大きなリターンを追うことよりも、許容できるリスクの範囲内で、インフレに負けない程度の成長を目指すことが基本戦略となります。

株式のような成長資産と、債券のような安定資産をバランス良く組み合わせ、資産全体の値動きを穏やかにコントロールすることが、その年代の資産運用における成功の鍵です。

老後2000万円問題と現実的な必要額

かつて金融庁の報告書で話題となった「老後2000万円問題」は、多くの50代の人にとって他人事ではないでしょう。

これは、高齢夫婦無職世帯の平均的な収支を基に、公的年金だけでは毎月約5万円が不足し、30年間で約2000万円の資金が必要になるという試算でした。

ただし、その「2000万円」という数字はあくまで平均的なモデルケースです。実際に必要な老後資金額は、個々のライフスタイルや年金受給見込み額によって異なります

例えば、持ち家か賃貸か、趣味や旅行にどれくらい費用をかけたいか、どのような医療や介護を望むかによって、必要な生活費は変わってきます。

50代は、自身の年金見込み額を「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認し、退職後の生活を具体的にイメージすることで、自分たちにとっての現実的な必要額を把握することが欠かせません。

その上で、現在の資産と目標額との差を埋めるための、具体的な資産運用計画を立てることが求められます。

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50代のアセットアロケーションの基本的な考え方

50代のアセットアロケーションを考える上での基本は、自身の「リスク許容度」を正確に把握し、それに基づいた資産配分を決定することです。

リスク許容度とは?

資産運用においてどれくらいの価格変動(下落リスク)に精神的・経済的に耐えられるかを示す度合いのこと

一般的に、年齢が上がるにつれてリスク許容度は低下するため、資産に占める株式などのリスク資産の割合を減らし、債券などの安定資産の割合を増やすのがセオリーです。

また、同じ50代でも、定年まで10年近くある50代前半と、退職が目前に迫る50代後半とでは、取れるリスクの大きさが異なります。ライフステージの変化に合わせて、資産配分を段階的に見直していく視点も欠かせません。

「100-年齢」「110-年齢」ルールは50代にも有効か?

資産配分を決める際の簡易的な目安として、「100 − 年齢 = 株式比率)」というルールが古くから知られています。そのルールに当てはめると、50歳の方であれば株式比率は50%、55歳なら45%が目安となります。

近年では、人生100年時代を背景に平均寿命が延びたことから、「110 − 年齢」や「120 − 年齢」といった、より積極的な比率を提唱する考え方もあります。

これらのルールは、年齢に応じてリスク資産の割合を調整するという基本的な考え方を理解する上で参考になります。しかし、あくまで一般的な目安であり、すべての人に当てはまるわけではありません。自身に合った比率に調整することが不可欠です。

リスク許容度を判断する3つのポイント

リスク許容度を客観的に判断するために、以下の3つのポイントを確認してみましょう。

時間的余裕(定年までの残り年数)

運用できる期間が長いほど、一時的な市場の下落があっても価格が回復するのを待つことができます。定年まで10年以上ある50代前半と、5年を切っている50代後半とでは、取れるリスクの大きさが異なります。

経済的余裕(資産状況と収入)

保有している金融資産の額や、今後の収入見込み(退職金や年金など)も重要な判断材料です。十分な資産がある場合や、安定した収入が見込める場合は、比較的リスクを取りやすくなります。

一方、教育費や介護費などで大きな支出が予定されている場合は、リスクを抑える必要があります。

精神的余裕(性格)

資産の価格変動に対する心理的な耐性も考慮すべき点です。市場が暴落した際に、「夜も眠れないほど不安になる」という方は、リスクの取りすぎかもしれません。

自身が安心して運用を続けられる範囲内にリスクを抑えることが、長期的な資産形成の成功につながります。

50代前半と後半でアセットアロケーションを変える

同じ50代であっても、前半(50〜54歳)と後半(55〜59歳)では、定年退職までの残り時間が異なるため、アセットアロケーションを調整することが推奨されます。

50代前半は、まだ定年まで10年程度の期間があります。その期間があれば、ある程度のリスクを取りつつ、資産の成長を目指すことも可能です。例えば、株式の比率を50〜60%程度に設定し、バランスの取れた運用を心掛けるのが一つの考え方です。

一方、50代後半になると、退職が目前に迫ってきます。その時期に大きな市場の変動に巻き込まれると、資産を回復させる時間的余裕がありません。

そのため、徐々に株式などのリスク資産の比率を下げ、債券や現金といった安定資産の比率を高めていく、より保守的な運用へのシフトが求められます。

年齢を重ねるにつれてリスクを段階的に低減させていく考え方は「グライドパス」と呼ばれ、長期的な資産形成において有効な戦略とされています。


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50代におすすめのアセットアロケーション【パターン別】

50代のリスク許容度や資産状況に応じた、具体的なアセットアロケーションのモデルパターンを3つご紹介します。

自身の状況と照らし合わせ、最適な資産配分を考える際の参考にしてください。

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パターン①:安定重視型(株式30%・債券50%・現金20%)

以下のパターンは、資産を減らすリスクを避け、元本保全を最優先に考えたい人におすすめです。

定年退職が5年以内に迫っている50代後半の人や、すでに目標とする老後資金額を達成している人に適しています。

  • 株式30%): 資産全体の成長を担いますが、比率を低めに抑えることで市場の変動による影響を限定的にします。
  • 債券50%): ポートフォリオの中核をなし、安定した収益と価格の安定性を確保します。株式市場が下落した際のクッション役を果たします。
  • 現金20%): 生活防衛資金や、病気・介護などの急な出費に備えるための資金です。高い流動性を確保し、精神的な安心感にもつながります。

大きなリターンは期待できませんが、値動きが穏やかで、安心して資産を管理できる点がメリットです。

パターン②:バランス型(株式50%・債券30%・現金20%)

以下のパターンは、リスクをある程度抑えながらも、資産の成長も目指したいという、多くの人に適した標準的な配分です。

「100 − 年齢」ルールにも近く、50代の資産運用の基本形と言えるでしょう。

  • 株式50%): 資産の半分を成長資産に配分し、世界経済の成長の恩恵を受けることを目指します。
  • 債券30%): 株式の価格変動リスクを緩和し、ポートフォリオ全体を安定させる役割を担います。
  • 現金20%): 緊急時の備えとしての役割を果たします。

定年まで5年〜10年程度の期間がある50代前半から半ばの人で、安定と成長のバランスを取りたい場合に適しています。

公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の基本ポートフォリオ(国内株式25%、外国株式25%)も、株式比率が合計50%であり、この考え方に近いと言えます。

パターン③:成長重視型(株式70%・債券20%・現金10%)

このパターンは、まだ老後資金が目標額に達しておらず、積極的に資産を増やしていきたい人向けの配分です。

50代前半で定年まで10年以上あり、かつ十分な余裕資金がある場合に検討できます。

  • 株式70%): 資産の大部分を株式に配分し、高いリターンを狙います。
  • 債券20%): 最低限の安定性を確保するためのクッション役です。
  • 現金10%): 流動性を確保しつつ、投資比率を高く保ちます。

この配分は高いリターンが期待できる反面、市場が下落した際の資産の減少幅も大きいです。そのため、相場の変動に耐えられる精神的な強さと、万が一損失が出ても生活に影響が出ないだけの経済的な余裕が必須条件となります。

自身のリスク許容度を慎重に見極めた上で選択すべき、やや上級者向けのポートフォリオです。

50代のアセットアロケーションで押さえるべき資産クラス

アセットアロケーションを構築する上で、主要な資産クラス(アセットクラス)それぞれの特徴と役割を理解しておくことが必要です。

50代の資産運用においては、「株式」「債券」「現金」の3つが中心となります。これらの資産を適切に組み合わせることで、リスクをコントロールしながら目標達成を目指します。

株式(国内株式・外国株式)

株式は、ポートフォリオの中で主に資産を増やす「成長」の役割を担います。企業の成長や経済の発展に伴い、長期的に高いリターンが期待できる資産クラスです。

50代の資産運用においても、インフレに負けない資産を築くためには、一定割合の株式を組み入れることが推奨されます。

ただし、個別企業の株式に集中投資するのはリスクが高いため、幅広い銘柄に分散されたインデックスファンドを活用するのが基本です。

債券(国内債券・外国債券)

債券は、ポートフォリオの中で資産を守る「安定」の役割を担います。国や企業にお金を貸し、その対価として利子を受け取る仕組みで、一般的に株式とは異なる値動きをする傾向があります。

株式市場が下落する局面では、債券の価格は相対的に安定しているか、あるいは上昇することもあり、資産全体の価値の目減りを防ぐ「クッション」としての機能が期待できます。

50代の資産運用では、債券の比率を高めるのが基本です。また、分散効果を高めるために、米ドルなどで取引される「外国債券」を組み入れることも有効です。

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現金・預金

現金・預金は、ポートフォリオの「安全性」と「流動性」を確保するための重要な資産です。投資のように増えることはありませんが、元本が保証されており、必要な時にいつでも引き出せるというメリットがあります。

50代の資産運用では、2つの目的で現金を確保しておくことが必須です。

  1. 生活防衛資金: 病気や失業など、万が一の事態に備えるためのお金です。一般的に、会社員なら生活費の6ヶ月〜1年分、自営業なら1年〜2年分を目安に確保することが推奨されます。
  2. 待機資金: 退職後の数年間の生活費や、市場が暴落した際の投資の買い増し資金として、ある程度の現金を確保しておくと安心です。50代後半は、退職直後から資産を取り崩さずに済むよう、2〜3年分の生活費を現金で準備しておくと、より安定したリタイアメント生活をスタートできます。

その他の資産(REIT・金・コモディティ)

株式、債券、現金といった伝統的な資産に加えて、ポートフォリオの分散効果をさらに高めるために、REIT(不動産投資信託)や金(ゴールド)といった「オルタナティブ資産」を組み入れることも選択肢の一つです。

資産クラス

特徴

特徴

REIT

特徴

投資家から集めた資金でオフィスビルや商業施設などの不動産を購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する商品。比較的手軽に不動産投資ができ、インフレに強いとされる。

金(ゴールド)

特徴

それ自体が価値を持つ「実物資産」。株式や債券とは異なる値動きをする傾向があり、経済危機や地政学リスクが高まる局面で「安全資産」として買われやすい。

コモディティ

特徴

原油や穀物などの商品。金と同様にインフレに強いとされるが、価格変動が激しく、専門的な知識が必要なため上級者向け。

これらの資産は、株式や債券との相関が低いため、ポートフォリオに少量加えることでリスク分散効果が期待できます。

ただし、50代の資産形成においては、あくまで株式・債券・現金をバランス良く組み合わせた「コア資産」を優先し、これらのオルタナティブ資産は全体の5〜10%程度に留めるなど、補完的な「サテライト資産」として位置づけるのが賢明です。

50代が活用すべき制度とアセットアロケーションの実践

50代の資産形成では、アセットアロケーションを考えるだけでなく、NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)といった税制優遇制度を最大限に活用することが鍵となります。

これらの制度を利用することで、運用益が非課税になったり、掛金が所得控除の対象になったりするため、効率的に資産を増やすことができます。

また、まとまった資金となる退職金をどのようにアセットアロケーションに組み込むかも、老後資金を左右するポイントです。

NISAを活用した50代のアセットアロケーション

2024年から新しくなったNISAは、非課税保有限度額が1800万円と大幅に拡大され、制度も恒久化されたため、50代の資産形成においても中核的な役割を担います。

NISAには2つの投資枠があります。

  • つみたて投資枠年間120万円まで): 長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託が対象。
  • 成長投資枠年間240万円まで): 上場株式や投資信託など、比較的幅広い商品が対象。

50代の基本的な戦略としては、非課税メリットを最大限に活かすため、期待リターンの高い株式ファンドなどをNISA口座で運用することが推奨されます。

例えば、アセットアロケーションにおける株式部分をNISA口座で運用し、債券や現金は課税口座(特定口座など)で保有するといった使い分けが考えられます。

値動きの大きいサテライト資産(成長を狙う資産)を成長投資枠で運用し、コアとなる安定資産をつみたて投資枠でコツコツ積み立てるなど、自身の戦略に合わせて枠を使い分けることが肝となります。

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iDeCoは50代でも始めるべき?

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、掛金が全額所得控除になるなどの税制メリットがありますが、原則として60歳まで資産を引き出せないという制約があります。

そのため、50代からiDeCoを始めるべきかどうかは、年齢によって判断が分かれます。

  • 50代前半の場合: 60歳までの加入期間が数年〜10年程度確保できるため、掛金の所得控除メリットを十分に享受できます。老後資金を着実に準備する手段として、始める価値はあります。
  • 50代後半の場合: 加入期間が短くなり、節税メリットも限定的になります。また、60歳以降の受け取り開始時期も遅くなる可能性があります。新NISAなど他の制度の優先度が高い場合が多く、加入は慎重に検討する必要があります。

自身の収入や退職時期、他の制度の利用状況などを総合的に考慮し、iDeCoのメリットとデメリットを比較検討することが欠かせません。

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退職金の運用とアセットアロケーション

50代後半から60代にかけて受け取る退職金は、老後資金の重要な柱です。しかし、まとまった資金を一度に投資するのは「高値掴み」のリスクがあるため推奨されません。

退職金を運用する際の基本は、時間分散を徹底することです。具体的には、退職金を一度に投資するのではなく、1年〜数年にわたって複数回に分けて投資していく「ドルコスト平均法」を活用します。これにより、購入価格が平準化され、リスクを抑えることができます。

アセットアロケーションへの組み込み方としては、まず退職金の中から数年分の生活費を現金や短期債券などの安全資産で確保します。その上で、残りの資金を、自身で決めたアセットアロケーションに基づき、時間をかけて徐々に投資に回していくのが堅実な方法です。

退職金という大きな資産を焦ってリスクに晒すことなく、計画的にポートフォリオに組み込んでいきましょう。

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50代のアセットアロケーションの失敗例

50代が陥りがちなアセットアロケーションの失敗例を3つ紹介します。これらの注意点を理解し、堅実な資産形成を心掛けましょう。

リスクを取りすぎて大きな損失を出す

50代の資産運用で避けるべきなのが、回復不可能なほどの大きな損失を出すことです。

「老後資金が足りないから」と焦るあまり、退職金などでハイリスクな個別株や仕組みの複雑な金融商品に手を出し、資産を減らしてしまうケースは少なくありません。

若い世代と違い、50代には損失を回復するための「時間」が限られています。定年間近に大きな損失を被ると、精神的なダメージはもちろん、その後のライフプラン全体に深刻な影響を及ぼします。

一発逆転」を狙うような投機的な行動は厳禁です。自身の許容できる範囲を超えるリスクは取らないという原則を徹底しましょう。

現金だけで運用しない

リスクを過度に恐れるあまり、すべての資産を現金や預金だけで保有することもまた、一つのリスクとなります。それは「インフレリスク」です。

インフレとは、物価が継続的に上昇し、相対的にお金の価値が下がることです。例えば、年2%のインフレが続けば、100万円の価値は10年後には約82万円に、20年後には約67万円にまで目減りしてしまいます。

低金利が続く現在、銀行預金だけではインフレに追いつくことは困難です。資産を守るためには、現金や預金だけでなく、インフレ率を上回るリターンが期待できる株式や債券などを適切に組み合わせ、資産の実質的な価値を維持・向上させる視点が不可欠です。

リスクを全く取らないことも、長期的には資産を減らすことにつながるのです。

一度決めたアセットアロケーションを放置する

アセットアロケーションは、一度決めたら終わりではありません。市場の価格変動によって、当初設定した資産配分の比率は時間とともに崩れていきます。

例えば、株式50%、債券50%で運用を開始した後、株式市場が好調で株価が上昇すると、資産全体に占める株式の比率が60%に、債券の比率が40%になることがあります。この状態を放置すると、当初想定していたよりもリスクの高いポートフォリオになってしまいます。

そこで重要になるのが、定期的な「リバランス」です。リバランスとは、崩れた資産配分を元の比率に戻す作業のことです。

上記の例では、値上がりした株式の一部を売却し、その資金で値下がりした(比率が下がった)債券を買い増すことで、再び50:50の比率に戻します。

年に1回など、定期的にポートフォリオを見直し、リバランスを行うことで、リスクをコントロールし、長期的に安定した運用を続けることができます。

50代から始めるアセットアロケーション見直しの手順

50代の人が自身の資産配分を見直すための具体的な5つのステップをご紹介します。自身の状況を整理し、最適なポートフォリオを構築しましょう。

ステップ①:現在の資産状況を把握する

最初に行うべきは、ご自身の全資産を「棚卸し」し、現状を正確に把握することです。

預貯金、株式、投資信託、保険(貯蓄性のあるもの)、不動産、確定拠出年金(iDeCoや企業型DC)など、すべての資産をリストアップします。

そして、それぞれの資産が「現金」「株式」「債券」「その他」のどの資産クラスに分類されるかを確認し、現在の資産配分(アセットアロケーション)を円グラフなどで可視化してみましょう。

家計簿アプリなどを活用すると、複数の金融機関の情報を一元管理でき、資産全体の状況を簡単に把握できます。まずは現状を知ることが、見直しの第一歩です。

ステップ②:老後に必要な金額を試算する

次に、退職後にどのような生活を送りたいかを具体的にイメージし、必要な資金額を試算します。

まずは、公的年金がいくら受け取れるのかを「ねんきん定期便」や日本年金機構の「ねんきんネット」で確認しましょう。その上で、退職後の毎月の生活費を予測します。現在の生活費を参考に、食費、住居費、水道光熱費、趣味や交際費など、項目ごとに見積もります。

  • (予測される毎月の支出額 − 年金受給月額) × 12ヶ月 × 想定される年数 + 予備費(医療・介護費など)

この計算式で、年金以外に準備すべきおおよその金額が算出できます。この目標額が、アセットアロケーションを考える上での重要な指針となります。

ステップ③:目標とするアセットアロケーションを決める

ステップ①で把握した現在の資産状況と、ステップ②で試算した目標額とのギャップを確認します。その上で、ご自身の「リスク許容度」を考慮し、目標とするアセットアロケーションを決定します。

例えば、目標額に対して現在の資産が不足している場合は、ややリスクを取って株式比率を高める必要があるかもしれません。既に十分な資産がある場合は、安定性を重視して債券や現金の比率を高めるべきでしょう。

安定重視型」「バランス型」「成長重視型」の3つのパターンを参考に、自身の考えに近い配分を選び、それをベースに微調整していくのが現実的なアプローチです。

ステップ④:具体的な金融商品を選ぶ

目標とするアセットアロケーションが決まったら、その配分を実現するための具体的な金融商品を選びます。

50代の資産形成では、特定の企業に集中投資する個別株よりも、リスクをおさえるために、低コストで幅広く分散投資ができるインデックスファンドやETF(上場投資信託)を検討しましょう。

商品を選ぶ際のポイントは以下の通りです。

  • 分散性: 広範な地域や銘柄に分散されているか。
  • 低コスト: 購入時手数料が無料で、信託報酬(運用管理費用)が低いか。信託報酬は長期的にリターンを圧迫するため、できるだけ低いものを選ぶのが鉄則です。

例えば、「株式50%」を実現するために、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」のような投資信託を資産の50%分購入するといった具体的な行動に移します。

ステップ⑤:定期的に見直す

資産運用は、一度ポートフォリオを組んだら終わりではありません。年に1回など、定期的に資産状況を確認し、必要に応じて見直し(リバランス)を行う習慣をつけましょう。

市場の変動によって、当初決めた資産配分は必ず崩れてきます。定期的にリバランスを行い、リスク水準を適切に保つことが肝となります。

また、退職や子どもの独立、相続といった大きなライフイベントがあった際も、アセットアロケーションを見直す良いタイミングです。

自身のライフプランの変化に合わせて、資産配分も柔軟に調整していくことで、長期的に安定した資産形成を実現できます。

50代のアセットアロケーションに関するQ&A

50代のアセットアロケーションに関して、よくある質問と回答をまとめました。

Q1. 50代で投資を始めるのは遅すぎますか?

決して遅すぎることはありません。人生100年時代と言われる現代において、50代からでも運用期間は10年、20年と確保できる可能性があります。

もちろん、20代や30代から始める場合に比べて、取れるリスクの大きさや目標設定は異なります。ハイリスク・ハイリターンを狙うのではなく、リスクを抑えた「守りながら増やす」運用を心掛けることが必須です。

NISAなどの投資制度も活用しながら、コツコツと積立投資を始めることで、着実に老後資金を準備することは十分に可能です。

大切なのは「もう遅い」と諦めるのではなく、今できることから始めることです。

Q2. 株式市場が暴落したらどうすればいいですか?

株式市場の暴落は、長期的な資産運用において避けては通れないものです。50代にとって重要なのは、暴落時にパニックに陥り、慌てて資産を売却(狼狽売り)しないことです。

暴落に備える最善策は、事前に自身の「リスク許容度」を把握し、その範囲内に収まるアセットアロケーションを組んでおくことです。

適切な分散投資ができていれば、株式が下落しても、債券などがクッションとなり、資産全体のダメージは限定的になります。

暴落時は、むしろ割安になった資産を買い増す好機と捉えるくらいの冷静さが求められます。そのためにも、生活防衛資金とは別に、投資用の待機資金を現金で確保しておくことが有効です。

事前に決めたルールを守り、長期的な視点を持ち続けることが鍵となります。

Q3. アセットアロケーションは自分で決めるべき?専門家に相談すべき?

アセットアロケーションは基本的な知識を学べば、自身で決めることも十分に可能です。現在は低コストの投資信託も充実しており、個人でも手軽に分散投資を実践できる環境が整っています。

しかし、「自分一人で決めるのは不安だ」「客観的なアドバイスが欲しい」という場合は、専門家に相談するのも有効な選択肢です。

家計状況やライフプランを総合的に分析し、個々の状況に合った最適なアセットアロケーションを提案してくれるでしょう。

ただし、相談する際は、特定の金融商品を販売することが目的ではなく、中立的な立場でアドバイスをくれる専門家を選ぶことが欠かせません。

相談料がかかる場合もありますが、長期的な資産形成の土台を作るための投資と考えることもできるでしょう。

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まとめ

50代のアセットアロケーションは、「増やすよりも“老後に足りるか”を基準に設計することが重要です。

投資期間が限られる50代では、株式に偏りすぎるとリスクが高く、一方で安全資産に寄せすぎると老後資金が不足する可能性があります。

重要なのは、年齢ではなく自分の不足額と許容リスクです。

まずは、老後にいくら必要で、今の資産でどれくらい足りているのかを整理しましょう。全体像が見えれば、株式・債券・現金の最適な配分が決めやすくなります。

3分投資診断なら、老後必要額・不足額・50代に適した資産配分を自動で算出。「守りながら増やす」現実的なアロケーションを設計できます。

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※本記事の内容は予告なしに変更することがあります。予めご了承ください

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執筆・監修
高橋 明香
  • 高橋 明香
  • ファイナンシャルアドバイザー/CFP®認定者

みずほ証券(入社は和光証券)では、20年以上にわたり国内外株、債券、投資信託、保険の販売を通じ、個人・法人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事。2021年に株式会社モニクルフィナンシャル(旧:株式会社OneMile Partners)に入社し、現在は資産運用に役立つコンテンツの発信に注力。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、一種外務員資格(証券外務員一種)保有。

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