
中退共の退職金はいくらもらえる?掛金・勤続年数別の受給額とおさえておきたいポイント
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中小企業で働く人の中には、「自分の会社は中退共(中小企業退職金共済制度)に加入しているけれど、将来いくら退職金がもらえるのだろう」と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、中退共の退職金額がどのように決まるのか、掛金と勤続年数別の具体的な金額、そして知っておくべき重要なポイントについて、専門家が分かりやすく解説します。
- 中退共の退職金は「基本退職金」と「付加退職金」の合計で決まる
- 掛金月額と勤続年数が長いほど受給額は増え、長期加入が有利な仕組み
- 加入1年未満は不支給、2年未満は元本割れのリスクがある点に注意が必要
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中退共の退職金額の決まり方
中退共から受け取れる退職金は、毎月の掛金とこの納付月数によって計算されます。
具体的には、「基本退職金」と「付加退職金」という2つの要素で構成されており、これらの合計額が最終的な受給額となります。
退職金の計算構造を理解することが、将来の受給額を見通す第一歩です。
基本退職金と付加退職金の違い
中退共の退職金は、「基本退職金」と「付加退職金」の合計で構成されています。
基本退職金は、掛金月額と納付月数に応じて定められた金額です。制度全体で予定運用利回り1.0%を基準に設計されており、将来受け取る退職金の土台となる部分です。
一方、付加退職金は、基本退職金に上乗せされる部分で、掛金の運用収入が予定運用利回りを上回った場合に、この利益を加入者に還元する仕組みです。付加退職金の支給率は毎年見直され、運用状況によっては支給されない年もあります。
具体的には、掛金納付月数が43ヶ月目に達した時点と、その後1年ごとに、この時点での基本退職金相当額に国が定める支給率を乗じた金額が加算され、退職時まで累計されます。
退職理由で金額は変わらない
中退共の退職金は、自己都合退職か会社都合退職かといった退職理由によって受給額が変わることはありません。掛金月額と納付月数という客観的な基準のみで金額が決定されます。
ただし、懲戒解雇された場合は例外です。この場合、事業主からの申し出に基づき、退職金の一部または全部が減額されることがあります。
減額の割合は、裁判所の判断などを考慮して厚生労働大臣が認定します。
掛金・勤続年数別の退職金早見表
中退共の退職金が、掛金と勤続年数によってどのくらい変動するのか、具体的な金額を見ていきましょう。
ここでは、代表的な掛金月額である5000円、1万円、2万円、3万円のケースについて、勤続年数ごとの基本退職金額を一覧表にまとめました。
自身の状況に近いものを参考に、将来の受給額をイメージしてみてください。
※以下の金額は付加退職金を含まない基本退職金額です

掛金5000円の場合
毎月の掛金が5000円の場合の、勤続年数ごとの基本退職金額は以下の通りです。
掛金1万円の場合
毎月の掛金が1万円の場合の、勤続年数ごとの基本退職金額は以下の通りです。
掛金2万円の場合
毎月の掛金が2万円の場合の、勤続年数ごとの基本退職金額は以下の通りです。
掛金3万円の場合
毎月の掛金が3万円の場合の、勤続年数ごとの基本退職金額は以下の通りです。
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中退共の退職金で知っておくべき重要ポイント
中退共の退職金制度を正しく理解するためには、受給額だけでなく、いくつかの重要なルールを知っておく必要があります。
加入期間に関する規定や掛金の変更ルール、国の助成制度などは、将来の資産形成に直接影響する要素です。ここでは、必ず押さえておきたい4つのポイントを解説します。
1年未満は支給なし、3年未満は元本割れ
中退共制度には、最低加入期間に関する重要な規定があります。
掛金の納付月数が11ヶ月以下(1年未満)で退職した場合、退職金は一切支給されません。 この場合、事業主が支払った掛金は掛け捨てとなります。
また、納付月数が12ヶ月以上23ヶ月以下(1年〜2年未満)の場合、退職金は支払われますが、この金額は掛金の総額を下回ります。 いわゆる「元本割れ」の状態です。
掛金の納付総額とほぼ同額の退職金が受け取れるようになるのは、納付月数が24ヶ月(2年)以上になってからです。この点は、短期間での退職を考えている場合に注意が必要です。
長期加入ほど運用効果が高い
中退共は、長く加入するほど有利になるように制度設計されています。
前述の通り、加入期間が42ヶ月(3年6ヶ月)までは、退職金額が掛金総額をわずかに上回る程度です。
しかし、加入期間が43ヶ月(3年7ヶ月)を超えると、基本退職金に加えて運用利息と付加退職金が加算されるようになります。
これにより、加入期間が長くなるほど、掛金総額に対する退職金の返戻率が高まっていきます。
例えば、掛金1万円の場合、10年加入では掛金累計120万円に対して退職金は約126万円ですが、30年加入すると掛金累計360万円に対して退職金は約421万円となり、運用によるプラスの効果が増加することが分かります。
掛金の増額は可能だが減額は不可
中退共の掛金月額は、加入後いつでも増額することが可能です。従業員の昇給などに合わせて、将来の退職金を増やすことができます。
一方で、掛金の減額は原則として認められていません。 経営状況の悪化など、やむを得ない事情で現在の掛金を続けることが著しく困難になった場合に限り、減額が可能です。
ただし、この場合でも従業員本人の同意を得るか、同意が得られない場合は厚生労働大臣の認定を受ける必要があります。
このように減額のハードルは高いため、事業主は将来の負担も考慮して慎重に掛金額を設定する必要があります。
掛金助成制度で実質負担を軽減
中退共には、事業主の負担を軽減するための国の助成制度が用意されています。
1. 新規加入掛金助成
新たに中退共に加入する事業主に対して、加入後4ヶ月目から1年間、掛金月額の2分の1(従業員1人あたり上限5000円)が国から助成されます。
2. 月額変更(増額)助成
掛金月額が1万8000円以下の従業員の掛金を増額する場合、増額分の3分の1が1年間、国から助成されます。
これらの助成制度を活用することで、事業主は実質的な負担を抑えながら、従業員のための退職金制度を導入・拡充することが可能です。
自分の退職金額を正確に知る方法
これまでの早見表はおおよその金額を把握するのに役立ちますが、自身の加入状況に応じた、より正確な退職金額を知りたい人もいるでしょう。
中退共では、加入者自身が退職金額を試算できる便利なツールを提供しています。ここでは、この具体的な方法と利用する際の注意点について解説します。

中退共公式サイトの退職金シミュレーション
中退共の公式サイトには、「退職金シミュレーション」というWebツールが用意されています。
このツールを使えば、自身の状況に合わせて退職金額を簡単に試算することが可能です。
シミュレーションに必要な情報は以下の通りです。
- 掛金月額
- 納付期間(年・ヶ月)
- 現在の年齢
これらの情報を入力し、「試算する」ボタンをクリックするだけで、将来受け取れる基本退職金の目安額が表示されます。
掛金の増額や国の助成を含めた計算もオプションで選択できるため、より現実に近い形での試算が可能です。
シミュレーションの注意点
公式サイトのシミュレーションは手軽で便利ですが、利用にあたってはいくつかの注意点があります。
- 基本退職金のみの試算: このシミュレーションで計算されるのは、あくまで基本退職金のみです。運用実績によって上乗せされる可能性のある付加退職金は含まれていません。
- 対象者: 平成14年11月1日以降に加入した方が対象です。それ以前からの加入者は計算方法が異なる場合があります。
- 考慮されない項目: 掛金の減額、解約手当金、過去勤務期間の通算などは考慮されていません。
したがって、シミュレーション結果はあくまで「現時点での目安」として捉え、確定額ではないことを理解しておくことが欠かせません。
中退共の退職金は他の制度と比べて多い?少ない?
中退共の退職金額について理解が深まると、「この金額は一般的な水準と比べてどうなのだろうか」という疑問が湧くかもしれません。
ここでは、中退共の平均的な受給額や、企業が独自に設ける退職金制度との比較、そして制度自体のメリット・デメリットを整理し、中退共の位置づけを客観的に見ていきます。

中退共退職金の平均受給額
厚生労働省のデータによると、令和5年度に支払われた中退共の退職金は、1件あたりの平均で約153万5000円でした。
この金額は、あくまで全受給者の平均値です。実際には、掛金額や加入期間によって受給額は変動します。
例えば、長期間にわたり高い掛金を納付してきた場合は平均を上回りますし、逆に短期間での退職の場合は平均を下回ることになります。
一般的な退職金制度との比較
中退共と、企業が独自に設ける一般的な退職金制度とでは、いくつかの違いがあります。
一般的な退職金制度では、企業の規定に基づき、勤続年数に加えて役職や会社への貢献度などが金額に反映されることが多いです。
そのため、同じ勤続年数でも役職によって金額が異なる場合があります。
一方、中退共は掛金と期間のみで決まるため、公平性が高いといえます。
金額の多寡は一概に比較できませんが、中退共は中小企業のセーフティネットとしての役割が大きいため、大企業の退職金制度と比較すると金額は控えめになる傾向があります。
中退共のメリット・デメリット
中退共制度には、従業員と事業主の双方にとってメリットとデメリットがあります。制度を客観的に評価するために、両方の側面を理解しておきましょう。
【メリット】
- 確実な退職金: 国が運営する制度のため、会社の経営状況に左右されずに退職金が支払われます。
- ポータビリティ: 転職先の企業も中退共に加入していれば、掛金の納付実績を通算できます。
- 税制優遇: 受け取る退職金は退職所得控除の対象となり、税負担が軽減されます。
【デメリット】
- 短期退職での元本割れ: 加入期間が2年未満だと、受給額が掛金総額を下回ります。1年未満では支給されません。
- 運用利回りが低い: 予定運用利回りは1.0%と低めに設定されており、他の投資と比較して大きなリターンは期待しにくいです。
- 自分で運用できない: 企業型DC(企業型確定拠出年金)などとは異なり、加入者自身が運用商品を選ぶことはできません。
中退共の退職金に関するよくある質問
ここでは、中退共の退職金に関して多くの人が抱く疑問について、Q&A形式で簡潔にお答えします。
掛金2万円で35年働くといくら?
掛金月額2万円で35年間(420ヶ月)加入した場合の基本退職金額は1009万1600円です。
これは、中退共が公表している基本退職金額表に基づいた金額です。実際の受給額は、これに付加退職金が加算される可能性があります。
3年で退職した場合は元本割れする?
いいえ、3年(36ヶ月)で退職した場合は元本割れしません。
中退共の制度では、加入期間が24ヶ月(2年)以上42ヶ月(3年6ヶ月)以下の場合、退職金額は掛金の納付総額とほぼ同額になります。
したがって、3年間の勤務であれば、支払った掛金相当額を受け取ることができます。
退職金は一括で受け取れる?
はい、退職金は一括で受け取ることが可能です。 これは「一時金払い」と呼ばれ、一般的な受け取り方法です。
その他、一定の要件(退職時に60歳以上であることなど)を満たせば、5年または10年にわたって分割で受け取る「分割払い」や、一部を一時金で受け取り残りを分割で受け取る「一部分割払い」も選択できます。
まとめ
本記事では、中退共の退職金がいくらもらえるのかについて、制度の仕組みから具体的な金額の早見表、知っておくべきポイントまで幅広く解説しました。
中退共の退職金は「基本退職金」と「付加退職金」で構成され、この金額は掛金月額と納付月数によって決まります。
長期で加入するほど運用効果が高まり有利になる点が大きな特徴です。
一方で、加入期間が1年未満では支給されず、2年未満では元本割れするリスクもあるため注意が必要です。
自身の正確な退職金額を知るためには、公式サイトのシミュレーションを活用することが推奨されます。
本記事で得た知識をもとに、自身の将来の資産計画を具体的に考えてみてはいかがでしょうか。
自身の退職金の見通しがついたら、それが老後の生活に十分な金額なのかを確認することも大切です。
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監修
黒澤 伸
- 税理士/社会保険労務士/CFP®認定者
東京都出身。中央大学商学部会計学科を卒業後、東京国税局に入局。国税庁、東京国税局等に38年間勤務し、2023年に高松国税局長を最後に退官。同年、黒澤伸税理士事務所を開設し、2024年には社会保険労務士としても登録。現在は、税務・会計、社会保険、労働保険等の士業務を中心に、CFPとして事業者のトータルサポートを行っている。
執筆
マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
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