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40代におすすめの個人年金保険の選び方!NISA・iDeCoとの使い分けもプロが解説

40代におすすめの個人年金保険の選び方!NISA・iDeCoとの使い分けもプロが解説

保険2026/07/21
  • #40代

»あなたの老後は大丈夫?将来の不足額と準備方法を診断 

40代から個人年金保険に入るべき?」「老後資金の準備としておすすめ?」と悩んでいる人もいるでしょう。

40代は、老後までの期間が少しずつ見えてくる一方で、教育費や住宅ローン、日々の生活費などの支出も多くなりやすい時期です。そのため、老後資金を準備するには、無理なく続けられる方法を選ぶことが大切です。

個人年金保険は、将来の年金を自分で準備できる保険商品です。計画的に老後資金を積み立てられる一方で、途中解約すると元本割れする可能性や、インフレに弱いといった注意点もあります。

本記事では、40代に個人年金保険がおすすめできるケースや選び方、加入前に確認すべき注意点をわかりやすく解説します。

あわせて、iDeCoやNISAなど、老後資金づくりに活用できる制度との違いも紹介します。

この記事を読んでわかること
  • 40代の個人年金保険は、税制優遇を最大限活用できるNISA・iDeCoを優先し、補完的に活用するのが基本戦略です。
  • 途中解約リスクやインフレリスクを考慮し、払い込み期間や返戻率を「年利換算」して他の金融商品と比較することが重要です。
  • 確実性重視なら「円建て定額型」、利回り重視なら「変額・外貨建て」など、自分のリスク許容度に合ったタイプを選ぶ必要があります。


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40代の個人年金保険、はどう考える?

40代で老後資金の準備を考える際、個人年金保険は選択肢の1つです。

しかし、近年の金融環境の変化や、NISA・iDeCoといった他の制度の拡充により、個人年金保険の位置づけは変わりつつあります。

40代が個人年金保険を検討する上での基本的な考え方を整理します。

予定利率が約40年ぶりの引き上げ局面に

長らく続いた低金利時代には、個人年金保険のような貯蓄型保険の魅力は低下していました。

保険会社が運用で利益を出しにくいため、契約者に約束する利回り(予定利率)を低く設定せざるを得なかったからです。実際に、一部の保険会社では商品の販売を停止する動きも見られました。

しかし、近年の金融政策の変更により、状況は変わりつつあります。

金利が上昇局面に転じたことで、保険会社も以前より高い利回りでの運用が期待できるようになりました。

これに伴い、個人年金保険の予定利率も引き上げられる傾向にあり、貯蓄商品としての魅力が相対的に高まっています。

ただし予定利率=実利回りではない

予定利率が引き上げられても、それが自身の資産の増加率になるわけではない点に注意が必要です。

予定利率とは、保険会社が契約者から預かった保険料を運用する際に約束する利回りのことです。

ポイントの解説

しかし、私たちが支払う保険料には、保険会社の運営経費や手数料なども含まれています。そのため、予定利率からこれらの経費が差し引かれたものが、実質的なリターンとなります。

個人年金保険の実質的な価値を判断するには「返戻率」を確認することが鍵となります。

返戻率とは、支払った保険料の総額に対して、将来受け取れる年金の総額がどれくらいの割合になるかを示す数値です。

返戻率が100%を超えていれば、支払った保険料よりも多くの年金を受け取れることになります。

40代の考え方:税制優遇枠を優先し、保険は目的を絞って補完

40代の老後資金準備においては、まず税制優遇が手厚い制度を最大限活用することが基本戦略となります。具体的には、iDeCo(個人型確定拠出年金)NISA(少額投資非課税制度)です。

iDeCoは掛金が全額所得控除の対象となり、運用益も非課税受け取り時にも控除があるなど、税制上のメリットが大きいです。NISAも運用益が非課税になるため、効率的な資産形成が期待できます。

個人年金保険は、これらの非課税制度を使い切った上で、さらに資金を準備したい場合の補完的な手段と位置づけるのがよいでしょう。

また、投資のリスクを取りたくない人や、保険料の引き落としによる積立をしたい人にとっては、有力な選択肢となります。

目的を明確にし、自身の資産計画全体の中でバランスを取ることが欠かせません。

個人年金保険の基本

個人年金保険を検討する前に、個人年金保険の基本的な仕組みを理解しておくことが大切です。

公的年金を補う私的年金として、どのような特徴があるのか、受け取り方や運用方法にはどんな種類があるのか、そしてどのような税制上のメリットがあるのかを解説します。

仕組みと受取方法(確定・有期・終身)

個人年金保険は、契約時に定めた年齢まで保険料を払い込み、その後、一定期間または生涯にわたって年金形式で資金を受け取る仕組みの保険です。公的年金だけでは不足しがちな老後資金を補う目的で利用されます。

年金の受け取り方には、主に以下の種類があります。

確定年金 

被保険者の生死にかかわらず、契約時に定めた一定期間(例:10年、15年)年金を受け取れます。期間中に被保険者が亡くなった場合は、残りの期間分の年金または一時金を遺族が受け取ります。

有期年金 

契約時に定めた期間中、被保険者が生存している限り年金を受け取れます。期間中に亡くなった場合、年金の支払いは終了します。ただし、保証期間付きのものであれば、保証期間中は遺族が受け取れます。

終身年金 

被保険者が生存している限り、一生涯にわたって年金を受け取れます。長生きするリスクに備えることができますが、早くに亡くなると払い込み保険料総額を下回る可能性があります。こちらも保証期間付きの商品が主流です。

円建て・外貨建て・変額の違い

個人年金保険は、保険料の運用方法によって3つのタイプに分けられます。

円建て定額年金

日本円で保険料を支払い、円で年金を受け取ります。契約時に将来受け取れる年金額が確定しているため、計画を立てやすいのが特徴です。安定性を重視する人向けですが、インフレに弱いという側面もあります。

外貨建て年金

米ドルや豪ドルなどの外貨で保険料を運用します。一般的に日本円よりも金利が高い通貨で運用するため、円建てよりも高いリターンが期待できます。ただし、為替レートの変動により、円換算した際の受取額が払い込み保険料を下回る「為替リスク」があります。

変額年金

払い込んだ保険料を株式や債券などを中心とした特別勘定で運用し、運用実績によって将来受け取る年金額が変動します。運用が好調であれば受取額が増える可能性がありますが、逆に運用が不調な場合は元本割れのリスクも伴います。

個人年金保険料控除の節税効果

個人年金保険に加入するメリットの1つに、税負担の軽減効果があります。一定の条件を満たす「個人年金保険料税制適格特約」を付加した契約であれば、「個人年金保険料控除」として所得控除を受けることができます。

ポイントの解説

この控除は、一般的な生命保険や医療保険の控除とは別枠で設けられています。控除額は年間の支払保険料に応じて決まり、所得税で最大4万円、住民税で最大2万8000円が課税所得から差し引かれます。

税制適格特約の主な条件は以下の通りです。

  • 年金受取人が契約者または契約者の配偶者であること
  • 保険料の払い込み期間が10年以上であること
  • 年金の受取開始が60歳以降で、受取期間が10年以上であること

これらの条件を満たすことで、老後資金を準備しながら毎年の税負担を軽くすることが可能です。


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40代ならではの3つの注意点

40代から個人年金保険に加入することは、老後資金準備の有効な一手ですが、この年代特有の注意点も存在します。

払い込み期間の短さや、家計の負担増による解約リスクなど、事前に把握しておくべきポイントを3つに絞って解説します。

払い込み期間20〜25年は「30年以上」より条件が劣ることも

個人年金保険は、保険料を長期間にわたって運用することで複利効果を活かし、資産を増やしていく商品です。

そのため、加入時の年齢が若く、払い込み期間が長いほど、月々の保険料負担を抑えつつ、高い返戻率が期待できます。

40代から加入する場合、一般的な年金受取開始年齢である60歳や65歳までの払い込み期間は20年〜25年程度となります。これは、20代や30代で加入した場合の30年以上の払い込み期間と比べると短くなります

運用期間が短くなる分、資金の増え幅は小さくなる傾向があり、同じ年金額を受け取るためには月々の保険料が高くなる可能性があります。

加入を検討する際は、この点を理解しておく必要があります。

教育費・住宅ローンと重なり途中解約リスクが高い

40代は、子どもの教育費や住宅ローンの返済がピークを迎える家庭が多い年代です。収入が安定する一方で、支出も多くなりがちで、家計に余裕が生まれにくい時期でもあります。

支出が多い状況で個人年金保険に加入すると、予期せぬ出費が重なった際に保険料の支払いが困難になる可能性があります。

個人年金保険を途中で解約すると、解約返戻金がそれまでに払い込んだ保険料の総額を下回る「元本割れ」を起こすことがほとんどです。

せっかく始めた老後資金の準備が損失につながってしまう事態を避けるためにも、現在の家計状況だけでなく、将来の支出も見越した上で、無理のない保険料設定をすることが必須です。

返戻率は「年利換算」で他商品と比べる

個人年金保険を比較する際、多くの人が「返戻率」に注目します。返戻率は支払った保険料総額に対して受け取れる年金総額の割合を示し、貯蓄性を測る重要な指標です。

しかし、返戻率の数字だけを見て他の金融商品と単純比較するのは注意が必要です。

例えば、20年で返戻率110%という場合、20年間で10%増えたことを意味しますが、これを1年あたりの利回り(年利)に換算すると約0.48%(複利計算)となります。(一時払いの場合 )

この年利を、投資信託の期待リターンや定期預金の金利など、他の金融商品の利回りと比較することで、個人年金保険が自身の資産計画において本当に有利な選択肢なのかを客観的に判断できます。

単に返戻率の高さだけでなく、年利換算という視点を持つことで、より冷静な商品比較が可能になります。

(参考:利回りシミュレーション|アセットマネジメントOne

40代の個人年金保険の選び方【タイプ別】

40代が個人年金保険を選ぶ際は、自身のライフプランやリスクに対する考え方によって最適な商品が異なります。

ここでは、「安定性重視」と「利回り重視」の2つのタイプに分け、それぞれの特徴と選び方のポイントを解説します。

安定性重視:円建て定額型

将来の受取額が変動するリスクを避け、計画通りに老後資金を準備したい人には「円建て定額型」の個人年金保険が適しています。

このタイプは、契約時に将来受け取れる年金額が確定するため、老後の生活設計を立てやすいというメリットがあります。

インフレによって資産価値が目減りするリスクはありますが、「元本割れは避けたい」「投資の知識に自信がない」という人にとっては、安心感のある選択肢です。

iDeCoやNISAなどでリスクを取った運用をすでに行っている人が、資産の一部を安定的に確保する目的で活用するケースにも向いています。

利回り重視:変額・外貨建て(リスク許容度が前提)

インフレに負けない資産形成を目指し、ある程度のリスクを取ってでも高いリターンを狙いたい人には「変額型」や「外貨建て」の個人年金保険が選択肢となります。

変額型は、保険料を株式や債券などで運用し、運用実績に応じて年金額が変動します。運用が好調であれば、定額型を上回るリターンが期待一方で、運用成果によっては大きく元本を割り込む(定額型を下回る)可能性もあります 

外貨建ては、米ドルや豪ドルなど、日本円より金利が高い傾向にある通貨で運用することで、高い利回りを狙います。ただし、為替レートの変動によっては、円に換算した際に元本割れする「為替リスク」を負うことになります。

これらのタイプを選ぶ際は、自身の投資経験やリスク許容度を十分に考慮することが不可欠です。

比較すべき5つのチェックポイント

40代が個人年金保険を選ぶ際には、以下の5つのポイントを総合的に比較検討することが肝となります。

  1. 年金の受取方法:「確定年金」「有期年金」「終身年金」など、いつまで年金を受け取りたいか、自身のライフプランに合った受取期間を選びましょう。万一の場合に遺族に資金を残せるかも確認が必要です。
  2. 年金の運用方法:「定額型」で安定性を取るか、「変額型」や「外貨建て」でリスクを取りつつリターンを狙うか、自身のリスク許容度に合わせて選びます。
  3. 返戻率の高さ:支払う保険料総額に対して、どれくらいの年金が受け取れるかを示す返戻率は重要な指標です。複数の商品を比較し、可能であれば年利換算して判断しましょう。
  4. 保険料の支払い方法:家計に無理のない範囲で継続できる保険料を設定することが大前提です。「月払い」「年払い」「一時払い」など、自身の資金計画に合った支払い方法を選びます。
  5. 税制適格特約の有無:毎年の所得税・住民税の負担を軽減できる「個人年金保険料控除」が適用されるかを確認しましょう。節税効果もリターンの1つとして考慮することが大切です。

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NISA・iDeCoとの使い分け

40代の老後資金準備では、個人年金保険だけでなく、NISAやiDeCoといった税制優遇制度をいかに活用するかが鍵となります。

それぞれの制度の特徴を理解し、自身のライフプランに合わせて最適に組み合わせるための考え方を解説します。

3制度の比較表(税制優遇・流動性・安定性)

個人年金保険、NISA、iDeCoは、それぞれ異なる特徴を持っています。

どの制度が自分に合っているかを判断するために、税制優遇、資金の流動性(引き出しやすさ)、安定性(元本保証の有無)の3つの観点から比較してみましょう。

制度

税制優遇

税制優遇

流動性(引き出しやすさ)

流動性(引き出しやすさ)

安定性(元本保証)

安定性(元本保証)

個人年金保険

税制優遇

個人年金保険料控除 (所得税最大4万円/年)

流動性(引き出しやすさ)

△(途中解約は元本割れリスクあり)

安定性(元本保証)

〇(定額型の場合のみ※1)

NISA

税制優遇

運用益が非課税

流動性(引き出しやすさ)

〇(いつでも引き出し可能)

安定性(元本保証)

×(元本保証なし)

iDeCo

税制優遇

掛金が全額所得控除 運用益が非課税 受取時も控除あり

流動性(引き出しやすさ)

×(原則60歳まで引き出し不可)

安定性(元本保証)

△(元本確保型商品も選択可能※2)

※1 保険会社の破綻時などには削減されるリスクがあります。 
※2 元本確保型商品(定期預金等)を選んだ場合でも、毎月発生するiDeCoの口座管理手数料によって、受取総額が拠出総額を下回る(実質的な元本割れ)可能性があります。

iDeCoは税制優遇が手厚いですが、60歳まで資金が拘束されるという制約があります。NISAは流動性が高く自由度がありますが、元本保証はありません。

個人年金保険(定額型)は安定性が高いものの、税制優遇や利回りの面では他の2制度に劣る傾向があります。

2026年12月のiDeCo改正で変わる優先順位

iDeCoは、老後資金形成のための強力なツールですが、制度は随時見直されています

2024年12月には、公務員や確定給付企業年金(DB)加入者の掛金上限が月額2万円へと引き上げられました。

さらに、2026年12月には、iDeCoの使い勝手を劇的に向上させる大規模な法改正が施行されます。特に40代の資産形成に大きく関わる変更点は以下の2つです。

  • 掛金上限額の大幅な引き上げ:会社員や公務員(第2号被保険者)の掛金上限が、企業年金(企業型DC・DB等)と合算して月額6万2000円まで引き上げられます。これまで企業年金があるために「iDeCoは月額2万円まで」と制限されていた層も、より多額の非課税枠を活用できるようになります。
  • 加入可能年齢の拡大(70歳未満まで):これまで原則65歳未満だった加入可能年齢が、70歳未満まで延長されます。これにより、60代以降も働きながら長く積立投資を継続し、非課税メリットを受けられるようになります。

掛金が全額所得控除になるというiDeCoの強力な税制メリットに加え、この2026年12月の法改正で「積み立てられる金額」と「期間」が大幅に拡充されます。

これらを考慮すると、老後資金準備における最初のステップとして、これまで以上にiDeCoの優先順位は高くなると言えます。まずは制度改正後のご自身の新たな掛金上限額を確認し、優先的に活用することを検討するのも一案です。

まずは自身のiDeCoの掛金上限額を確認し、iDeCoの枠を活用することを検討するのも一案です。

(参考:iDeCoがより活用しやすく! 2024年12月法改正のポイントをわかりやすく解説|政府広報オンライン
参考:iDeCoの2026年の制度改正に関するお知らせ|SBI証券

40代のモデル配分例

40代の老後資金準備における個人年金保険、NISA、iDeCoの使い分けは、個々の収入や家族構成、リスク許容度によって異なりますが、一般的なモデルケースは以下のようになります。

最優先:iDeCoの掛金上限まで拠出

掛金の全額所得控除という強力な節税メリットを活かすため、まずはiDeCoの拠出限度額まで使い切ることを目指します。これは老後まで引き出せない資金と割り切ります。

第二優先:NISAの非課税枠を活用

次に、いつでも引き出し可能なNISAを活用します。老後資金だけでなく、子どもの教育費や住宅のリフォーム費用など、中期的なライフイベントにも対応できる柔軟な資金として位置づけます。

補完:個人年金保険の活用

iDeCoとNISAの枠を使い切ってもなお資金に余裕がある場合や、投資のリスクをこれ以上取りたくない場合に、個人年金保険を検討します。貯蓄が苦手な人にとっては、保険料の自動引き落としによる「先取り貯蓄」の効果が期待できます。

月1万円・2万円のシミュレーション【年利換算つき】

40代から個人年金保険を始めた場合、将来どれくらいの年金を受け取れるのでしょうか。

ここでは、月々の保険料1万円と2万円のケースで、20年間払い込んだ場合の受取額をシミュレーションします。

さらに、個人年金保険料控除による節税効果も加味した実質的なリターンも見ていきましょう。
(参考:利回りシミュレーション|アセットマネジメントOne)

月1万円×20年の受取総額と実質利回り

45歳から65歳までの20年間毎月1万円の保険料を支払うケースを考えてみましょう。

  • 払い込み保険料総額: 1万円 × 12ヶ月 × 20年 = 240万円

仮に、返戻率が105%の商品に加入した場合、受け取れる年金の総額は以下のようになります。

  • 年金受取総額: 240万円 × 105% = 252万円

この場合、20年間で12万円の利益が出ることになります。これを積立投資としての実質的な年利(複利)に換算すると、約0.49% となります。表面上の「返戻率105%」という数字だけで判断せず、実質利回りを把握することが大切です。 

現在の預金金利と比較すると有利な水準ですが、投資信託などの期待リターンと比べると見劣りする可能性があります。

月2万円×20年の受取総額と実質利回り

次に、同じ条件で毎月の保険料を2万円に増やした場合を見てみましょう。

  • 払い込み保険料総額: 2万円 × 12ヶ月 × 20年 = 480万円

返戻率が同じく105%だと仮定すると、年金の受取総額は以下の通りです。

  • 年金受取総額: 480万円 × 105% = 504万円
ポイントの解説

この場合、利益額は24万円となり、積立投資としての実質的な年利(複利)に換算するとこちらも約0.49%となります。毎月の保険料の額を増やしても、積立期間と返戻率が同じであれば実質的な利回りは変わりません。

ただし、老後に向けた準備額は増加します。40代は支出が多い時期ですが、可能な範囲で積立額を増やすことが、より豊かな老後につながります。

控除の節税分を含めた実質リターン

個人年金保険の魅力は、運用リターンだけでなく、税制優遇にもあります。個人年金保険料控除による節税額を考慮すると、実質的なリターンはさらに向上します。

例えば、課税所得500万円(所得税率20%)の人が、年間の保険料12万円(月1万円)を支払った場合を考えます。個人年金保険料控除の上限である所得税4万円、住民税2万8000円が適用されると、節税額は以下のようになります。(住民税率は10%と仮定

  • 所得税の軽減額: 4万円 × 20% = 8000円
  • 住民税の軽減額: 2万8000円 × 10% = 2800円
  • 年間の合計節税額: 8000円 + 2800円 = 1万800円

この節税額が20年間続くと、合計で21万6000円になります。先のシミュレーションの運用利益12万円(月1万円の積立 )と合わせると、実質的な利益は33万6000円となり、積立投資としての実質的な年利(複利)に換算すると約1.27%にまで上昇します。

この節税効果は、個人年金保険の大きなメリットの1つと言えるでしょう。

なお、この実質リターンは「支払った所得税・住民税が戻ってくる効果」を加味したものであり、保険商品自体の運用利回りが向上するわけではありません。また、将来の納税状況によって節税額は変動します。

加入前に知っておくべきリスク

個人年金保険は老後資金を準備する上で有効な手段ですが、メリットだけでなくリスクも存在します。途中解約時の元本割れやインフレによる資産価値の目減りなど、長期契約ならではの注意点があります。

加入を決定する前に、これらのリスクを正しく理解しておくことが必須です。

途中解約の元本割れ

個人年金保険の注意すべきリスクの1つが、途中解約による元本割れです。

保険料の払い込み期間中に解約した場合、受け取れる解約返戻金は、それまでに払い込んだ保険料の総額を下回ることがほとんどです。

ポイントの解説

契約から年数が浅いほど、返戻率は低く設定されています。これは、支払った保険料の一部が保険会社の運営経費などに充てられるためです。

40代は教育費や住宅ローンなどで予期せぬ出費が発生しやすい時期でもあるため、解約せざるを得ない状況に陥る可能性も考慮しなければなりません。

個人年金保険に加入する際は、長期にわたって無理なく支払いを続けられるか、慎重に検討する必要があります。

インフレで実質価値が目減りする可能性

インフレ、つまり物価が継続的に上昇する状況は、個人年金保険、将来の受取額が契約時に固定される「定額型」にとってリスクとなります。

例えば、30年後に年金を受け取り始める契約をしたとします。

契約から受取開始までの間に物価が上昇し、お金の価値が相対的に下がってしまった場合、契約時に想定していた金額を受け取れても、受取年金の購買力は当初の想定よりも低くなってしまいます

つまり、年金の実質的な価値が目減りしてしまうのです。

このインフレリスクに対応するためには、運用成果によって受取額が変動する「変額年金」や、金利動向に連動する「利率変動型」の個人年金保険を検討する、あるいはNISAなどを活用して株式などインフレに強いとされる資産を組み合わせておくといった対策が考えられます。

保険会社の破綻リスクと保護の仕組み

個人年金保険は数十年単位の長期契約となるため、契約している保険会社の経営状態も考慮すべきリスクの1つです。

万が一、保険会社が破綻した場合、契約時に約束されていた年金額が全額受け取れなくなる可能性があります。

ただし、日本の生命保険会社は「生命保険契約者保護機構」に加入しており、破綻した場合にはこの機構が救済に動きます。

具体的には、責任準備金の90%までが補償されることになっています。

つまり、全額が失われるわけではありませんが、受取額が削減される可能性は残ります。

元本割れの可能性がほとんどないとされる定額型の個人年金保険でも、保険会社の破綻というリスクはゼロではないことを理解しておく必要があります。

個人年金保険に関するよくある質問

40代が個人年金保険を検討する際によく抱く疑問について、Q&A形式で解説します。

具体的な必要額や加入のタイミング、他の金融商品との比較など、気になるポイントを解消していきましょう。

Q. 月10万円の年金を受け取るにはいくら必要?

A. 必要な保険料は、年金を受け取る期間や加入する商品の返戻率によって異なります

例えば、65歳から10年間毎年120万円(月10万円)の年金を受け取りたい場合、必要な年金原資は合計1200万円です。

仮に返戻率110%の商品に40歳から65歳までの25年間で準備すると、必要な払い込み保険料総額は約1091万円となり、月々の保険料は約3万6000円となります。

返戻率や払い込み期間が変われば必要な保険料も変動するため、具体的な金額は保険会社の見積もりで確認することが鍵となります。

Q. 個人年金保険はやめたほうがいい?

A. 「やめたほうがいい」と一概には言えません。個人年金保険が向いているかどうかは、加入を検討する人の状況や目的によります。

おすすめしないケースとしては、家計に余裕がなく途中解約のリスクが高い人や、NISAやiDeCoなど、より税制優遇の大きい制度をまだ活用しきれていない人が挙げられます。また、インフレリスクや資金の流動性の低さもデメリットです。

一方で、おすすめできるケースとしては、貯蓄が苦手で強制的に老後資金を準備したい人や、投資のリスクを取らずに安定的に資産形成をしたい人などです。自身の性格や資産状況に合わせて判断することが大切です。

Q. 40代からでは遅い?

A. 決して遅くはありません。40代からでも、定年までの15年〜25年程度の期間を活用して計画的に老後資金を準備することは十分可能です。

ただし、40代から始めると20代や30代から始める場合と比べて払い込み期間が短くなるため、同じ年金額を目指すのであれば月々の保険料負担は重くなる傾向があります。

子育てや住宅ローンの状況を見ながら、家計に見合ったプランを立てることが大事です。

Q. 外貨建てを勧められたがどうすべき?

A. 外貨建て個人年金保険は、円建てに比べて高い金利での運用が期待できるというメリットがあります。しかし、一方で「為替リスク」という注意点が存在します。

為替リスクとは、保険料の払い込み時や年金の受取時に、円と外貨を交換する際の為替レートによって、円換算での価値が変動するリスクのことです。円高が進むと、受け取る年金の円換算額が減少し、元本割れを起こす可能性があります。

外貨建てを検討する際は、この為替リスクを十分に理解し、自身が為替リスクを許容できるかどうかを慎重に判断する必要があります。

資産の一部を外貨で持つという分散投資の観点からは有効ですが、リスクを避けたい人には向いていません。

まとめ

40代からの老後資金準備において、個人年金保険は有効な選択肢の1つですが、個人年金保険の位置づけを正しく理解することが欠かせません。

税制優遇の観点からはiDeCoやNISAを優先的に活用し、個人年金保険はそれらを補完する役割や、強制的に貯蓄する仕組みとして活用するのが賢明です。

加入を検討する際は、払い込み期間が比較的短くなることによる返戻率への影響や、教育費などとの兼ね合いによる途中解約リスクを十分に考慮し、無理のないプランを立てましょう。

また、円建て、外貨建て、変額型といった商品の特性を理解し、自身のリスク許容度に合ったものを選ぶことが失敗しないための鍵となります。

自身のライフプランやリスク許容度に合った老後資金の準備方法を見つけるために、まずは専門家に相談してみるのも1つの方法です。

お金のプロと一緒に、最適なプランを考えてみませんか。 

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※本記事の内容は記事公開時や更新時の情報です。現行と期間や条件が異なる場合がございます

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執筆・監修
高橋 明香
  • 高橋 明香
  • ファイナンシャルアドバイザー/CFP®認定者

みずほ証券(入社は和光証券)では、20年以上にわたり国内外株、債券、投資信託、保険の販売を通じ、個人・法人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事。2021年に株式会社モニクルフィナンシャル(旧:株式会社OneMile Partners)に入社し、現在は資産運用に役立つコンテンツの発信に注力。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、一種外務員資格(証券外務員一種)保有。

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