確定拠出年金とは?今さら聞けない仕組みと企業型・個人型の違いをわかりやすく解説

確定拠出年金とは?今さら聞けない仕組みと企業型・個人型の違いをわかりやすく解説

»確定拠出年金で足りる?まずは将来資金を計算

 「確定拠出年金」という言葉を聞いたことはあるものの、詳しい仕組みはよくわからない、という人も多いのではないでしょうか。

確定拠出年金は、公的年金に上乗せして老後資金を準備できる私的年金制度の1つです。

本記事では、確定拠出年金の基本的な仕組みから、企業型(DC)と個人型(iDeCo)の違い、税制上のメリットや注意点まで、図解を交えながらわかりやすく解説します。

自身の資産形成に役立つ制度か、確認してみましょう。

この記事を読んでわかること
  • 確定拠出年金は、自分で掛金を運用して老後資金を作る私的年金制度
  • 企業が主体となる「企業型DC」と個人で加入する「iDeCo」の2種類がある
  • 「掛金の所得控除」「運用益の非課税」「受取時の控除」など税制メリットが大きい

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確定拠出年金とは?まず押さえたい基本の仕組み

確定拠出年金(DC:Defined Contribution Plan)は、毎月積み立てる掛金を使って、加入者自身が金融商品を選んで運用し、この成果を老後に受け取る私的年金制度です。

ポイントの解説

公的年金(国民年金・厚生年金)だけでは不安という方の、老後の資産形成を支える選択肢の1つとして2001年に導入されました。

掛金が「確定」、受取額は「運用次第」

確定拠出年金の大きな特徴は、この名前の通り、毎月拠出する「掛金(Contribution)」の額が「確定(Defined)」している点にあります。

一方で、将来受け取れる給付額は、加入者自身の運用成績によって変動します。

運用が上手くいけば、拠出した掛金の合計額よりも多くの資産を築ける可能性がありますが、反対に、運用が上手くいかなければ元本割れのリスクもあります。

3つのステップで理解する確定拠出年金

確定拠出年金の流れは、3つのステップに分けられます。この流れを理解することで、制度の全体像を掴みやすくなります。

ステップ1:拠出(掛金を積み立てる)

企業(企業型DCの場合)や加入者自身(iDeCoの場合)が、毎月一定額の掛金を専用の口座に積み立てます。

ステップ2:運用(金融商品を選ぶ)

積み立てた掛金を元手に、加入者自身が運用商品を選びます。

運用商品には、元本が保証される「元本確保型」(定期預金や保険など)と、元本割れのリスクがあるものの高いリターンが期待できる「元本変動型」(投資信託など)があります。

これらの商品を組み合わせて運用することも可能です。

ステップ3:給付(60歳以降に受け取る)

原則として60歳以降、運用してきた資産を「老齢給付金」として受け取ります。

受け取り方は、一時金として一括で受け取るか、年金として分割で受け取るか、または両方を組み合わせるかを選択できます。

企業型DCとiDeCoの違い

確定拠出年金には、企業が主体となる「企業型DC」と、個人で加入する「iDeCo(イデコ)」の2種類があります。

どちらも自分で運用して老後資金を準備する点は共通していますが、加入対象者や掛金の拠出元などに違いがあります。

企業型DC(企業型確定拠出年金)

企業型DCは、企業が退職金制度や福利厚生の一環として導入する制度です。

掛金は主に企業が拠出し、この企業の従業員が加入対象となります。企業によっては、従業員自身が掛金を上乗せできる「マッチング拠出」という仕組みを設けている場合もあります。

ポイントの解説

運用商品は、企業が契約している運営管理機関(金融機関)が提示するラインナップの中から従業員が選びます。手数料の多くを企業が負担してくれるため、個人負担が少ない点が特徴です。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoは、個人が任意で加入する確定拠出年金です。

掛金は加入者自身が全額拠出します。自営業者や会社員、公務員、専業主婦(主夫)など、原則として20歳以上65歳未満の公的年金加入者であれば、多くの人が加入できます。

運営管理機関(金融機関)は、数ある中から自分で自由に選ぶことができます。選んだ金融機関が提示する商品ラインアップの中から運用商品を選択します。

企業型DCと異なり、口座管理手数料などは自己負担となります。

比較表で見る企業型DCとiDeCoの違い

企業型DCとiDeCoの主な違いをまとめると、以下のようになります。

自身の状況と照らし合わせて、どちらが利用できるか、またはどちらが適しているかを確認しましょう。

項目
企業型DC(企業型確定拠出年金)
iDeCo(個人型確定拠出年金)
実施主体
企業
国民年金基金連合会
加入対象者
制度を導入している企業の従業員
原則20歳以上65歳未満の公的年金被保険者
加入の任意性
企業の規約による(自動加入の場合も)
任意
掛金の拠出者
主に企業(マッチング拠出で従業員も可)
加入者本人
掛金の上限額(2026年まで)
他の企業年金がない場合:月額5万5000円
加入者の状況により異なる(月額1万2000円~6万8000円)
運営管理機関
企業が選んだ金融機関
自分で金融機関を選択
手数料
主に企業が負担
自己負担

確定拠出年金の3つの税制優遇メリット

確定拠出年金が老後資金づくりの有力な選択肢とされる理由は、手厚い税制優遇措置にあります。

「拠出時」「運用時」「受給時」の3つの段階でメリットを受けられるのが大きな特徴です。

掛金が全額所得控除

iDeCoで自身が拠出した掛金や、企業型DCのマッチング拠出で上乗せした掛金は、この全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象となります。

ポイントの解説

これにより、毎年の所得税と翌年の住民税が軽減されます。例えば、課税所得300万円の人が毎月2万円(年間24万円)をiDeCoで拠出した場合、所得税・住民税合わせて年間で約4万8000円の節税効果が期待できます。

なお、企業型DCで企業が拠出する掛金は、給与所得とは見なされないため、そもそも課税対象になりません。

運用益が非課税

通常、投資信託や定期預金などで得た利益(分配金、譲渡益、利子)には、20.315%の税金がかかります。

しかし、確定拠出年金の口座内で得た運用益はすべて非課税となります。税金がかからない分、利益をそのまま再投資に回せるため、効率的に資産を増やすことが期待できる「複利効果」を最大限に活かすことができます。

これは長期で運用するほど大きなメリットとなります。

受取時も税制優遇

60歳以降に運用してきた資産を受け取る際にも、税金の負担が軽くなる控除が適用されます。受け取り方によって適用される控除が異なります。

  • 一時金で受け取る場合:「退職所得控除」が適用されます。勤続年数(iDeCoの場合は掛金の拠出期間)に応じて控除額が増えるため、税負担を抑えやすいのが特徴です。また、課税されるのは控除後の金額の1/2だけです。
  • 年金で受け取る場合:「公的年金等控除」が適用されます。公的年金(国民年金・厚生年金)など他の年金収入と合算して控除額が計算されます。

確定拠出年金のデメリットと注意点

多くのメリットがある確定拠出年金ですが、注意すべき点も存在します。資金の流動性や運用リスクについては、加入前にしっかりと理解しておくことが欠かせません。

原則60歳まで引き出せない

確定拠出年金は、あくまで老後の資産形成を目的とした制度です。そのため、積み立てた資産は原則として60歳になるまで引き出すことができません。

住宅購入資金や子どもの教育費など、ライフイベントで急にお金が必要になった場合でも、途中で解約して現金化することは基本的に不可能です。

確定拠出年金に拠出するお金は、当面使う予定のない余裕資金から捻出することが大切です。まずは万が一に備える生活防衛資金を確保したうえで、取り組むようにしましょう。

運用結果次第で資産が減るリスク

確定拠出年金は、加入者自身の運用結果によって将来の受取額が変動します。投資信託などの元本変動型商品で運用する場合、市場の動向によっては拠出した掛金の合計額を下回る「元本割れ」のリスクがあります。

定期預金などの元本確保型商品のみで運用することも可能ですが、この場合は大きなリターンは期待できません。

運用に伴うリスクはすべて自己責任となるため、自身の知識やリスク許容度に合わせて、適切な商品や資産配分を選ぶことが鍵となります。

手数料がかかる(iDeCo)

確定拠出年金を利用するには、各種手数料がかかります。

企業型DCの場合、これらの手数料の多くは企業が負担してくれますが、iDeCoの場合はすべて自己負担となります。主な手数料は以下の通りです。

  • 加入時手数料:国民年金基金連合会に支払う初期費用(2829円)
  • 口座管理手数料:運営管理機関(金融機関)や国民年金基金連合会などに毎月支払う費用(月額171円~)
  • 信託報酬:投資信託で運用する場合に、運用資産から日々差し引かれる費用

口座管理手数料は、資産残高にかかわらず毎月発生します。金融機関によって金額が異なるため、iDeCoを始める際は手数料の低い金融機関を選ぶことが必須です。

確定拠出年金はこんな人におすすめ

確定拠出年金は、税制優遇を最大限に活用しながら、計画的に老後資金を準備したい人にとって有効な制度です。

自身の状況や考え方が以下のいずれかに当てはまる場合は、加入を検討する価値が高いでしょう。

節税しながら老後資金を準備したい人

確定拠出年金の最大の魅力は、掛金が全額所得控除の対象になる点です。iDeCoや企業型DCのマッチング拠出を利用する場合、毎年の所得税や住民税を軽減しながら、将来のための資産を積み立てることができます。

ポイントの解説

現役時代の税負担を軽くしつつ、効率的に老後資金を準備したいと考えている会社員や自営業者の方には、メリットの大きい制度です。

しっかり貯蓄したい人

「手元にお金があるとつい使ってしまう」「なかなか貯金が続かない」という方にとって、「原則60歳まで引き出せない」という確定拠出年金の制約は、むしろメリットになります。

毎月決まった額が自動的に積み立てられ、簡単には引き出せないため、意思の力に頼らずとも着実に老後資金を貯めていくことができます。

半強制的な貯蓄の仕組みを作りたい人には最適な制度といえるでしょう。

長期的な資産運用に関心がある人

確定拠出年金は、運用益が非課税になるという大きなメリットがあります。この非課税の恩恵を受けながら、数十年にわたる長期的な視点で資産運用に取り組むことができます。

「長期・積立・分散」という資産運用の基本を実践する場として適しています。投資の知識を学びながら、じっくりと資産を育てていきたいと考えている人にとって、確定拠出年金は強力なツールとなるでしょう。

確定拠出年金に関するよくある質問

ここでは、確定拠出年金に関して多くの方が抱く疑問について、Q&A形式で解説します。

確定拠出年金は退職金と同じ?

企業型DCは退職給付制度の一環ですが、従来の退職金(確定給付年金など)とは異なります。

大きな違いは、運用責任の所在です。確定拠出年金は従業員自身が運用責任を負いますが、従来型の確定給付年金は企業が運用責任を負い、あらかじめ定められた額を支給します。

企業型DCに加入していてもiDeCoに入れる?

はい、原則加入できます。

ただし、企業型DCの事業主掛金額とiDeCoの掛金の合計額が、定められた拠出限度額の範囲内である必要があります。詳しくは勤務先にご確認ください。

運用商品は何を選べばよい?

運用商品には、リスクが低くリターンも限定的な「元本確保型」と、元本割れのリスクがあるものの高いリターンが期待できる「元本変動型」があります。

自身の年齢やリスク許容度、目標とする金額などを考慮して、これらの商品をバランスよく組み合わせることが推奨されます。

まとめ

確定拠出年金は、掛金が所得控除になったり運用益が非課税になったりと、税制上の大きなメリットを活用しながら老後資金を準備できる制度です。

企業が掛金を拠出する「企業型DC」と、個人で加入する「iDeCo」の2種類があり、それぞれに特徴があります。運用成果は自己責任であり、原則60歳まで引き出せないといった注意点もありますが、この仕組みを正しく理解すれば、将来に向けた心強い備えとなります。

まずは自身の勤務先の制度を確認したり、iDeCoの資料を取り寄せたりすることから、豊かな老後に向けた第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

自身の状況に合った資産形成の方法を知るために、まずは無料診断を試してみてはいかがでしょうか。 

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ご留意事項

  • 本記事は一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の金融商品の取引を勧誘するものではありません。
  • 本記事の内容は記事公開時または更新時点の情報に基づいています。制度・法令・税制等の変更により、現在の情報と異なる場合があります。
  • 本記事の内容の正確性、完全性、最新性を保証するものではなく、予告なく変更または更新する場合があります。
  • 投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任とご判断のもとで行っていただきますようお願いいたします。

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監修
西岡 秀泰
  • 西岡 秀泰
  • 社会保険労務士/ファイナンシャルプランナー

同志社大学法学部卒業後、生命保険会社に25年勤務しFPとして生命保険・損害保険・個人年金保険販売を行う。保有資格は社会保険労務士と2級FP技能士。2017年4月に西岡社会保険労務士事務所を開設し、労働保険・社会保険を中心に労務全般について企業サポートを行うとともに、日本年金機構の年金事務所で相談員を兼務。


執筆
マネイロメディア編集部
  • マネイロメディア編集部
  • お金のメディア編集者

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