

厚生年金20年と25年の違いは?受給額・加給年金・経過的加算を徹底比較
»あなたの年金はいくら?老後に不足する金額を3分でシミュレーション
「厚生年金の加入期間が20年と25年では、将来もらえる年金額がどれくらい違うのだろうか」「20年加入すれば受け取れる『加給年金』とは具体的にどのような制度?」といった疑問をお持ちではないでしょうか。
厚生年金の加入期間は、将来の受給額に直結する要素です。20年と25年という節目では、単に年金額が変わるだけでなく、受け取れる年金の種類にも違いが生まれます。
本記事では、厚生年金加入期間20年と25年の違いを、受給額、加給年金、経過的加算という3つの観点から、シミュレーションを交えて分かりやすく解説します。
- 厚生年金加入20年以上で「加給年金」の受給資格が得られる
- 加入期間が5年長いと、年収によっては生涯受給額が300万円以上変わる
- 年下の配偶者がいる場合は、加給年金のために20年以上の加入が重要
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厚生年金20年と25年、何が違う?3つのポイント

厚生年金の加入期間が20年と25年では、将来の年金受給において主に3つの点で違いが生じます。
主な違いは「加給年金」の受給資格ですが、年金額そのものや「経過的加算」の額にも影響します。
これらの違いを理解することは、自身のライフプランを考えるうえで欠かせません。以下でそれぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。
加給年金の受給資格は20年以上が条件
加給年金は、厚生年金に20年以上加入した人が65歳になった時点で、生計を維持している65歳未満の配偶者や18歳未満の子どもがいる場合に、本来の年金に上乗せして支給される制度です。
「年金の家族手当」とも呼ばれる制度で、対象となる配偶者がいる場合には年金をもらっている人の年齢に応じて特別加算があります。多い場合には、加給年金として年間で約42万円を受け取れるため、老後の家計にとって支えとなります。
この制度の受給要件が「厚生年金加入期間20年以上」であるため、加入期間が20年に満たない場合は、たとえ他の条件を満たしていても加給年金を受け取ることはできません。
なお、加給年金は定額で支給されるため、厚生年金の加入期間が20年でも25年でも、受け取れる加給年金額は基本的に同じです。

受給額は加入期間が長いほど増える
厚生年金の受給額(老齢厚生年金)は、現役時代の収入(平均標準報酬額)と加入期間に基づいて計算される「報酬比例」の仕組みです。したがって、加入期間が長ければ長いほど、将来受け取る年金額は増えます。
厚生年金に25年加入した場合は、20年加入した場合と比較して5年間(60ヶ月)長く保険料を納めていることになります。その分、年金額の計算基礎となる加入月数が多くなるため、生涯にわたって受け取る年金額が多くなります。
どのくらい金額が増えるかは、現役時代の平均年収によって異なりますが、長く働くことが年金額の増加に直結する、という点はポイントです。
経過的加算の金額も変わる
「経過的加算」とは、老齢厚生年金の受給者について、制度改正によって老齢基礎年金へ移行した部分との調整を行うため、老齢厚生年金に加算される金額のことです。
主に、20歳未満や60歳以降など、現行制度では老齢基礎年金額に反映されない厚生年金加入期間がある人が対象となります。
経過的加算は、厚生年金の加入月数などをもとに計算されるため、加入期間によって金額が変わることがあります。加入期間が20年(240ヶ月)の場合と25年(300ヶ月)の場合では、経過的加算の金額に差が出る可能性もあります。
なお、経過的加算額は生年月日や加入歴などによって計算方法が異なるため、一概に加入期間が長いほど増えるとは限りません。
受給額シミュレーション|20年と25年でいくら違う?

厚生年金の加入期間が5年違うと、将来の受給額にどれくらいの差が生まれるのでしょうか。
ここでは、現役時代の平均年収別に、20年加入と25年加入のケースで年金受給額をシミュレーションし、具体的な金額差を見ていきます。
年収別の受給額比較表
厚生年金加入中の平均年収(平均標準報酬額)別に、加入期間が20年と25年の場合の年金受給額の目安を比較します。
年金額は「老齢厚生年金」と、40年間保険料を納付した場合の「老齢基礎年金(満額)」を合計したものです。
・老齢厚生年金は2003年4月以降の加入として計算(平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入月数)
・老齢基礎年金は2026 年度(令和8年度)の満額(年額約84万7000円)で計算
・年金総額は(老齢厚生年金+老齢基礎年金)÷12で算出(1000円未満四捨五入)
表からわかるように、平均年収480万円以上の場合、加入期間が5年違うだけで毎月の受給額に1万円以上の差が生まれる計算になります。
20年と25年の総受給額の差
加入期間が5年違うと、生涯で受け取る年金の総額には差が生まれます。
例えば、平均年収480万円(平均標準報酬月額40万円)のケースで見てみましょう。
- 25年加入の場合の年間の増加額
約65万8000円(25年) - 約52万6000円(20年) = 約13万2000円
- 65歳から90歳までの25年間で受け取る総額の差
約13万2000円 × 25年 = 330万円
このように、加入期間が5年延びるだけで、生涯の受給総額では300万円以上の差になる可能性があります。
受給額の計算方法
自身の年金受給額の目安を計算するために、老齢厚生年金の計算方法を理解しておきましょう。2003年4月以降の加入期間分については、以下の計算式で算出されます。
老齢厚生年金額(年額) = 平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 2003年4月以降の加入月数
- 平均標準報酬額:厚生年金加入期間中の給与(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)の総額を、加入月数で割った金額です。
- 5.481/1000:これは給付乗率と呼ばれるもので、法律で定められています。
例えば、平均標準報酬額が40万円で、加入期間が25年(300ヶ月)の場合、年金額は以下のようになります。
- 40万円 × 5.481/1000 × 300ヶ月 = 65万7720円
この金額に、国民年金の加入期間に応じた老齢基礎年金が加わったものが、年金総額となります。
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加給年金とは?20年以上で受け取れる家族手当

厚生年金加入期間が20年以上ある場合に受け取れる可能性がある「加給年金」は、老後の生活設計において重要な要素です。
これは、一定の条件を満たす配偶者や子がいる場合に、老齢厚生年金に上乗せされる「年金の家族手当」のような制度です。ここでは、加給年金の詳しい内容について解説します。
加給年金の受給条件
加給年金を受け取るためには、年金受給者本人と、対象となる配偶者・子がそれぞれ以下の要件を満たす必要があります。
【年金受給者本人の要件】
- 厚生年金の加入期間が原則として20年以上あること
- 65歳に到達していること(または特別支給の老齢厚生年金の定額部分が支給開始されていること)
【対象となる配偶者の要件】
- 受給者に生計を維持されていること
- 65歳未満であること
- 年収が850万円未満であること
- 配偶者自身が、加入期間20年以上の厚生年金(または共済年金)に基づく老齢年金や障害年金を受け取っていないこと
【対象となる子の要件】
- 受給者に生計を維持されていること
- 18歳になった年度の3月31日までであること(または1級・2級の障害状態にある場合は20歳未満)
- 年収が850万円未満であること
加給年金の金額
加給年金の金額は、対象者によって異なります。2026年度(令和8年度)の金額は以下の通りです。
※配偶者の加給年金額には、年金受給者の生年月日に応じた「特別加算」が含まれています(表は1943年4月2日以後生まれの場合)。
対象となる配偶者がいる場合、配偶者が65歳になるまで毎年約42万円が上乗せされるため、老後の家計にとって助けとなります。
配偶者が65歳になると振替加算に切り替わる
配偶者を対象とする加給年金は、配偶者が65歳になると支給が終了します。しかし、一定の条件を満たす場合、加給年金の代わりに「振替加算」として、配偶者自身の老齢基礎年金に金額が上乗せされる仕組みがあります。
振替加算の対象となるのは、主に以下の条件を満たす配偶者です。
- 1966(昭和41)年4月1日以前に生まれている
- 厚生年金の加入期間が20年未満である
- 共済組合等の加入期間を除いた厚生年金保険の35歳以降の(夫は40歳以降の)加入期間が一定未満

(引用:加給年金額と振替加算|日本年金機構 )
振替加算の金額は、配偶者の生年月日が若いほど少なくなり、1966年4月2日以降に生まれた人には加算されません。
これは、国民年金制度が始まった当初、任意加入だった専業主婦などが、自身の老齢基礎年金を満額受給できないことを補うための経過的な措置だからです。
経過的加算とは?20年と25年で金額が変わる理由
経過的加算は、老齢厚生年金に上乗せされる加算額の1つです。少し複雑な仕組みですが、厚生年金の加入期間などによって金額が変わるため、20年と25年では差が生じることがあります。
ここでは経過的加算の仕組みと、なぜ加入期間によって金額が変わるのかを解説します。
経過的加算が発生するケース
経過的加算は、65歳から受け取る「老齢基礎年金」の額が、65歳になるまで受け取っていた「特別支給の老齢厚生年金」の「定額部分」の額よりも少なくなる場合に、差額を埋めるために支給されます。
差額は、主に20歳未満または60歳以降に厚生年金に加入した期間がある場合に発生します。
老齢基礎年金の計算対象は原則20歳から60歳までの40年間ですが、厚生年金には20歳未満や60歳以降も加入できます。
この期間は老齢基礎年金の額には反映されませんが、定額部分の計算には含まれるため、差額が生じ、経過的加算の対象となります。
つまり、経過的加算は、老齢基礎年金に反映されない厚生年金加入期間分を補うための加算といえます。
経過的加算の計算方法
経過的加算の金額は、以下の計算式で算出されます。
経過的加算額 = ①定額部分の額 - ②老齢基礎年金相当額
- ①定額部分の額:単価 × 生年月日に応じた率 × 厚生年金加入月数(上限480月)
- ②老齢基礎年金相当額:老齢基礎年金の満額 × (20歳以上60歳未満の厚生年金加入月数 ÷ 480月)
この計算式からわかるように、①の「定額部分の額」は厚生年金の全加入月数を使って計算されます。
そのため、加入期間が20年(240ヶ月)と25年(300ヶ月)の場合では定額部分の額に差が生じ、結果として経過的加算の額が変わることがあります。
これが、厚生年金加入期間20年と25年で経過的加算の金額に差が生じる理由です。
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20年と25年、どちらを目指すべき?判断のポイント
厚生年金の加入期間を20年でとどめるか、25年以上を目指して働き続けるか、迷う人もいるかもしれません。
この判断は、自身の家族構成や経済状況、そして老後のライフプランによって異なります。ここでは、判断の助けとなる3つのポイントを解説します。
配偶者がいる場合は20年以上が重要

年下の配偶者がいる場合、厚生年金への20年以上の加入は欠かせません。なぜなら、加給年金の受給資格を得られるためです。
前述の通り、加給年金は対象となる配偶者がいる場合、年間約42万円が上乗せされる制度です。配偶者が65歳になるまでの期間、この加算が続くため、例えば配偶者が5歳年下であれば、5年間で合計200万円以上を受け取れる計算になります。
この差は老後の生活設計に影響を与えるため、年下の配偶者がいる人は、まず厚生年金加入20年を1つの目標とすることが推奨されます。
余裕があれば25年以上を目指す
加給年金の対象となる家族がいない場合や、すでに20年以上の加入期間を確保している場合でも、経済的に可能であれば25年以上、さらにはそれ以上長く厚生年金に加入し続けるメリットは大きいです。
理由はシンプルで、加入期間が長くなるほど、生涯にわたって受け取る老齢厚生年金の額が増えるからです。シミュレーションで見たように、加入期間が5年違うだけで、生涯の受給総額には数百万円の差が生まれます。
公的年金は、終身で受け取れる安定した収入源です。長寿化が進む現代において、年金額を少しでも増やしておくことは、将来の安心に直結します。
60歳以降も働き続けるメリット
60歳以降も厚生年金に加入しながら働くことで、将来の年金額をさらに増やすことができます。厚生年金には原則として70歳まで加入することが可能です。
例えば、年収360万円(平均標準報酬月額30万円)の人が60歳から1年間厚生年金に加入すると、老齢厚生年金が年間で約2万円増額されます。
この増えた年金額は生涯にわたって受け取れるため、仮に65歳から90歳までの25年間受給すると、総額で約50万円も多く受け取れる計算になります。
長く働くことは、働いている期間の収入を得られるだけでなく、将来の安定収入である年金を増やすうえでも有効な手段です。

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厚生年金の加入期間を確認する方法

自身の厚生年金加入期間が現在どのくらいあるのかを正確に把握することは、今後の働き方やライフプランを考えるうえでの第一歩です。
加入期間は、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で簡単に確認することができます。
ねんきん定期便で確認
「ねんきん定期便」は、毎年誕生月に日本年金機構から送られてくる書類です。これまでの年金加入期間や保険料納付額、将来の年金見込額などが記載されています。
50歳未満の人にはこれまでの加入実績に応じた年金額が、50歳以上の人には現在の加入条件が60歳まで続いたと仮定した場合の年金見込額が記載されており、将来の受給額をイメージしやすくなっています。
「厚生年金保険」の欄に記載されている「加入月数」を確認することで、現在の加入期間を把握できます。手元に届いたら必ず内容を確認し、大切に保管しておきましょう。

ねんきんネットで詳細確認
より詳細な加入記録をいつでも確認したい場合は、「ねんきんネット」の利用が便利です。ねんきんネットは、日本年金機構が提供するインターネットサービスで、24時間いつでも自身の年金記録にアクセスできます。
ねんきんネットでは、以下の情報を確認できます。
- 月別の保険料納付状況
- 国民年金、厚生年金それぞれの加入月数
- 将来の年金見込額のシミュレーション
- 電子版「ねんきん定期便」の閲覧
転職経験が多い人や加入記録に漏れがないか不安な人は、月ごとの詳細な記録を確認できるねんきんネットの活用が推奨されます。利用登録はマイナポータルから簡単に行えます。

厚生年金20年・25年に関するよくある質問
ここでは、厚生年金の加入期間に関してよく寄せられる質問について、専門家の視点から分かりやすくお答えします。
Q. 20年未満でも年金はもらえる?
はい、もらえます。2017年8月の制度改正により、老齢年金を受け取るために必要な資格期間が、それまでの25年から10年に短縮されました。
この「資格期間」とは、以下の期間を合計したものです。
- 国民年金の保険料を納めた期間や免除された期間
- 厚生年金や共済組合の加入期間
- 合算対象期間(カラ期間)
これらの合計が10年(120ヶ月)以上あれば、老齢基礎年金と老齢厚生年金を受け取ることができます。
したがって、厚生年金の加入期間が20年未満、例えば15年であっても年金は受給可能です。
Q. 配偶者も厚生年金20年以上だと加給年金はどうなる?
加給年金は支給されません。加給年金の支給条件の1つに、「配偶者が原則20年以上の加入期間がある老齢厚生年金の受給権を持っていないこと」があります。
したがって、自身が加給年金の受給権を得たとしても、配偶者自身が厚生年金に20年以上加入しており、老齢厚生年金を受け取る権利がある場合(実際に受給しているか、支給停止中かを問わない)、加給年金は支給停止となります。
共働きで夫婦それぞれが長期にわたり厚生年金に加入している場合は、対象外となるケースが多いです。
Q. 厚生年金は何歳まで加入できる?
厚生年金は、会社などに勤務している限り、原則として70歳になるまで加入します。70歳に到達すると、被保険者資格を喪失するため、それ以降は厚生年金保険料を支払う必要はありません。
ただし、70歳になっても老齢年金の受給資格期間(10年)を満たしていない場合は、申し出ることで期間を満たすまで任意で加入し続ける「高齢任意加入制度」を利用することができます。
まとめ

厚生年金の加入期間が20年と25年では、将来の年金受給において明確な違いがあります。
最大のポイントは、加入期間20年以上で得られる「加給年金」の受給資格です。年下の配偶者がいる場合、この差は老後の家計に影響を与えます。
また、加入期間が5年長くなることで、生涯にわたって受け取る老齢厚生年金の総額も数百万円単位で増加します。まずは「ねんきんネット」などで自身の正確な加入期間を確認し、今後のライフプランを考えることが鍵となります。
20年という節目を意識しつつ、可能であればさらに長く働き続けることで、より安心して老後を迎えるための準備ができます。自身の状況に合わせて、最適な目標を設定しましょう。
自身の年金見込額や老後の生活費に不安を感じる人は、専門家への相談も有効な選択肢です。まずは、自身の状況を客観的に把握することから始めてみましょう。
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監修

森本 由紀
- ファイナンシャルプランナー/AFP(日本FP協会認定)/行政書士
行政書士ゆらこ事務所(Yurako Office)代表。愛媛県松山市出身。神戸大学法学部卒業。法律事務所事務職員を経て、2012年に独立開業。メイン業務は離婚協議書作成などの協議離婚のサポート。離婚をきっかけに自立したい人や自分らしい生き方を見つけたい人には、カウンセリングのほか、ライフプラン、マネープランも含めた幅広いアドバイスを行っている。法律系・マネー系サイトでの記事の執筆・監修実績も多数。
執筆

マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。







