
ジュニアNISA廃止後の代わりは?子どもの教育資金を準備する3つの選択肢
»将来のための投資、何から始める?3分で診断
ジュニアNISAが廃止され、「子どもの資産形成はこれからどうすればいいのか」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
これまでジュニアNISAは、子ども名義で非課税投資ができる貴重な制度でしたが、現在は制度が廃止されています。そのため、今後は別の方法で教育資金や将来資金を準備する必要があります。
本記事では、ジュニアNISA廃止後の代わりになる3つの選択肢や教育資金を準備するにあたっておさえておきたいポイントなどを、お金と投資のプロがわかりやすく解説します。
- ジュニアNISAが廃止された理由と既存口座の扱い
- ジュニアNISA廃止後の代わりになる3つの選択肢
- 教育資金準備で失敗しないためのポイント
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ジュニアNISAが廃止された理由と経緯
2023年末をもって、未成年者向けの非課税投資制度であったジュニアNISAは廃止されました。
制度の仕組みと廃止に至った背景、そして既に口座を保有している場合の今後の扱いについて、あらためて理解しておきましょう。
ジュニアNISAの制度概要と廃止までの流れ
ジュニアNISAは、日本に住む0歳から17歳までの未成年者を対象とした非課税投資制度で、年間80万円を上限に投資が可能でした。親権者などが代理で資産運用を行い、子どもの将来の教育資金などを準備する目的で2016年に導入されました。
しかし、その制度には「原則として子どもが18歳になるまで資金を引き出せない」という厳しい制限がありました。その使い勝手の悪さが要因となり、利用者の数が伸び悩み、一般NISAやつみたてNISAに比べて口座開設数が大幅に少ない状況が続きました。
結果として、政府は制度の普及が進んでいないと判断し、2023年12月末をもって新規の口座開設および投資を終了することを決定しました。
既にジュニアNISAを持っている人はどうなる?
2023年末までにジュニアNISA口座で投資した資産は、制度廃止後も引き続き非課税で運用を続けることが可能です。新規の投資はできませんが、保有している株式や投資信託は「継続管理勘定」という専用の非課税枠に自動的に移管されます。
子どもが18歳になる年の12月31日まで、運用益や配当金が非課税になるというメリットを維持できます。
制度廃止に伴う変更点として、2024年1月1日以降は18歳未満であっても、いつでも非課税で資金を引き出せるようになりました。これにより、大学進学前の中学・高校の教育費など、急な資金需要にも柔軟に対応できるようになった点は、利便性が向上したと言えるでしょう。
ただし、引き出す際は全額を一度に売却して口座を閉鎖する必要があり、一部のみの引き出しはできません。
また、ジュニアNISA口座の資産を新NISA口座へ移管(ロールオーバー)することはできないため、注意が必要です。
実はNISAはNG?NISAが教育資金づくりに向かない理由
新NISAは非課税メリットがあり、長期的な資産形成に有効な制度です。
しかし、使う時期が決まっている教育資金の準備にNISAだけを活用することには、いくつかの注意点があります。
元本割れリスクがある
NISAで取り扱う投資信託や株式は、金融市場の動向によって価格が変動するリスク資産です。経済の状況や企業の業績次第では、購入した時よりも価値が下落し、投資した元本を下回る「元本割れ」が発生する可能性があります。
長期的に運用を続けることで価格変動リスクを抑える効果が期待できますが、教育資金が必要となるタイミングで必ずしも資産が増えている保証はありません。
元本が保証されていない点は、NISAを教育資金準備に利用する上で一番注意すべき基本的なリスクです。
必要時期に合わせて運用成果を得るのは難しい
教育資金は、大学の入学金や授業料のように「18歳の春」といった特定の時期にまとまった金額が必要になる性質のお金です。NISAで運用している資産が、そのタイミングで必ずしも目標金額に達しているとは限りません。
最悪の場合、資金が必要な時期に世界的な金融危機などが発生し、資産価値が目減りしてしまう可能性も考えられます。リフォーム資金のように時期をずらすことが可能なライフイベントとは異なり、教育資金は支払時期を延期することが困難です。
そのため、相場が悪い状況でも、損失を確定させて売却せざるを得ないリスクがあります。
売却判断が難しい
NISA口座で保有している資産は、必要な時にいつでも売却して現金化できる流動性の高さがメリットです。しかし、その一方で「いつ売却するか」という判断を自分自身で行わなければなりません。
投資経験が少ない場合、市場が変動している中で「今が最適な売り時なのか」を見極めるのは心理的な負担が増します。
利益が出ている時は「もっと上がるかもしれない」と欲が出てしまい、逆に損失が出ている時は「いつか回復するはず」と売却をためらってしまうことがあります。
そのように、冷静な判断が求められる売却タイミングの難しさは、NISAで教育資金を準備する際の課題の一つです。
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ジュニアNISA廃止後の代わりになる3つの選択肢
ジュニアNISAが廃止された今、子どものための教育資金を準備するにはどのような方法があるのでしょうか。
代表的な3つの選択肢について、それぞれの特徴を解説します。
①定期預金・積立預金で安全に貯める
教育資金を準備する上で一番安全性が高い方法が、銀行の定期預金や積立預金です。これらの預金は元本が保証されており、満期まで預ければ預金保険制度の対象範囲内で資産が減ることはありません。
毎月決まった額を自動的に積み立てる設定も可能なため、計画的かつ着実に資金を貯めることができます。
一方で、現在の低金利環境では、預金で得られる利息はごくわずかです。物価が上昇するインフレに対応できず、将来的に教育費が値上がりした場合、貯めたお金の実質的な価値が目減りしてしまう可能性がある点はデメリットと言えるでしょう。
②終身保険で学資保険より効率よく準備
終身保険は、一生涯の死亡保障を備えながら、貯蓄機能も併せ持つ生命保険です。支払った保険料の一部が積み立てられ、解約時には「解約返戻金」として受け取ることができます。その仕組みを活用し、子どもの進学など資金が必要なタイミングで解約することで、教育資金に充当することが可能です。
学資保険と比較して、解約のタイミングを自由に決められるなど柔軟性が高い点が特徴です。また、商品によっては学資保険よりも高い返戻率が期待できる場合もあります。
さらに、契約者である親に万が一のことがあった場合には、死亡保険金が支払われるため、残された家族の生活保障と教育資金の両方をカバーできるというメリットもあります。
③国債でまとまったお金を安定的に運用
国債は、国が資金調達のために発行する債券です。国が元本と利子の支払いを保証しているため、金融商品の中では安全性が極めて高いとされています。個人向け国債には、満期が3年、5年、10年の種類があり、子どもの進学時期に合わせて満期を設定することで、計画的な資金準備が可能です。
金利は銀行の定期預金よりも高く設定されることが多く、最低金利が年0.05%で保証されているため、安定的に資産を運用したい場合に適しています。
まとまった資金があり、安全性を重視しつつ預金よりは高い利回りを求める場合に、学資保険の代わりとして有効な選択肢となります。
教育資金準備で失敗しないための3つのポイント
子どもの将来のための教育資金は、計画的に準備を進めることが大切です。
教育資金準備で失敗しないために押さえておきたい3つのポイントを解説します。
必要な時期と金額を明確にする
教育資金準備の第一歩は、ゴールを具体的に設定することです。「いつまでに」「いくら」必要なのかを明確にしましょう。例えば、「子どもが18歳になるまでに大学入学金として300万円、在学中の学費として年間100万円」といった具体的な目標を立てます。
子どもの進路が公立か私立か、文系か理系かによって必要な金額は異なります。複数の進路パターンを想定し、それぞれの費用を概算しておくことが必須です。目標が明確になることで、毎月の積立額や運用方法の選択がしやすくなり、計画的に準備を進めることができます。
なるべく早く始める
教育資金の準備において、「時間」は最大の味方です。なるべく早い段階から準備を始めることで、毎月の積立負担を軽減できます。
例えば18年後に500万円を貯める場合、0歳から始めれば月々約2.3万円の積立で済みますが、10歳から始めると月々約5.2万円が必要になります。
少額からでも、一日でも早く始めることが、将来の資産を育てるための鍵となります。
基本は預貯金で準備をする
教育資金は使う時期が決まっているため、元本割れのリスクは極力避けたいものです。そのため、資金準備の基本戦略として、必要な金額の大部分を安全な方法で準備することが推奨されます。これは、資産形成における「土台」の部分を固めるイメージです。
その上で、余裕資金の一部を終身保険などに回し、インフレ対策やプラスアルファのリターンを狙う「2階建て」の考え方が有効です。
ソニー生命の調査でも、教育資金の準備方法として「銀行預金」や「学資保険」を挙げた人が大半を占めており、多くの家庭で安全性を重視した準備が行われていることがわかります。
まずは確実に必要な金額を確保し、その上で投資を活用するのが失敗しないための要点です。
国の制度を上手く活用する
国には、子育て世帯の負担を軽減するための制度が複数用意されています。
例えば、児童手当や高校・大学の修学支援制度、給付型・貸与型奨学金などは、条件を満たせば教育費の一部を公的にカバーできます。これらを前提に資金計画を立てることで、家庭で準備すべき金額を現実的な水準に抑えられます。
公的支援と家計のバランスを考えた計画が、無理のない教育費準備につながります。
ジュニアNISA廃止に関するよくあるQ&A
ジュニアNISAの廃止に関して、多くの人が抱える疑問について回答していきます。
Q1. ジュニアNISAの既存口座はいつまで非課税で保有できる?
2023年末までに投資した資産は、子どもが18歳になる年の12月31日まで「継続管理勘定」で非課税のまま保有できます。2024年以降はいつでも引き出し可能です。
Q2. NISAは夫婦それぞれ口座を持てる?
はい、NISA口座は個人単位で開設するため、夫婦それぞれが口座を保有できます。二人で新NISAを活用すれば、生涯で最大3600万円の非課税投資枠を利用可能です。
Q3. 学資保険とNISAはどちらが有利?
どちらも「教育資金の主軸」としてはベストとは言えません。
学資保険は元本割れリスクが低い一方、現在は積立利率が低く、インフレに弱いというデメリットがあります。
一方、NISAは長期運用に向いた制度ですが、価格変動があり、教育資金のように使う時期が決まっているお金では元本割れのリスクを避けられません。
そのため、教育資金は「使う時期が決まっている分は預金を中心に確保」し、児童手当などの国の制度をうまく組み合わせて準備するのが現実的です。
現在検討されている「こどもNISA(仮称)」とは
2023年末に廃止されたジュニアNISAに代わる新たな制度として、「こども支援NISA(仮称)」の創設が政府・与党内で検討されています。その新制度は、早ければ2026年度の税制改正大綱に盛り込まれ、2027年以降の開始を目指していると報じられています。
現時点で議論されている内容によると、年間の投資上限額は60万円、生涯の非課税保有限度額は600万円とする案が有力視されています。
ジュニアNISAが普及しなかった最大の要因である「18歳までの引き出し制限」については撤廃される方向で調整が進んでおり、より柔軟に教育資金などを引き出せるようになる見通しです。
一部では12歳から引き出し可能とする案も出ており、旧制度の反省点を踏まえた、より使い勝手の良い制度設計が期待されています。
まとめ
教育資金は使う時期が決まっているため、安全性を優先する必要があります。一方で、老後資金や長期で使わないお金は、運用を取り入れた方が合理的なケースもあります。
大切なのは、教育資金と将来資金を混合せずに整理することです。どこまでを預金で確保し、どこからを運用に回すべきかは、家計や年齢によって最適解が変わります。
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