年収500万円の年金受給額はいくら?手取りと老後に必要な貯蓄額を専門家が徹底解説
»年収500万円の年金額と老後の不足分を無料診断
「年収500万円の場合、将来いくら年金を受け取れるのか」は、多くの人が気になるテーマです。公的年金の受給額は、加入期間や働き方、厚生年金に加入していた年数によって大きく変わります。同じ年収500万円でも、会社員として働いた期間や転職歴、共働きかどうかで結果は異なります。
本記事では、年収500万円をモデルケースに、将来の年金受給額の目安や考え方、老後資金を考える際の注意点をわかりやすく解説します。
- 年収500万円の人の年金受給額の具体的な試算
- 年金から税金や社会保険料が引かれた後の手取り額
- 老後の生活費を踏まえた、必要な貯蓄額の計算方法
- iDeCoやNISAを活用して年金を増やす戦略
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年収500万円の人が受け取れる年金額の目安
年収500万円の会社員が将来受け取れる年金額は、厚生年金の加入期間や配偶者の有無によって変動します。
まずは、いくつかのパターンに分けて具体的な金額の目安を見ていきましょう。
年収500万円×40年加入の場合の試算
22歳から62歳までの40年間、平均年収500万円で厚生年金に加入し続けた場合、65歳から受け取れる年金額は年間で約193万円、月額に換算すると約16万円が目安となります。
その金額は、以下の2つの年金の合計額です。
- 老齢基礎年金(国民年金): 約83.2万円/年(月額約6.9万円) ※2025年度の満額
- 老齢厚生年金: 約109.7万円/年(月額約9.1万円)
老齢基礎年金は、保険料を40年間すべて納付した場合の満額です。老齢厚生年金は、現役時代の収入(標準報酬月額)と加入期間に応じて計算されます。
年収500万円の場合、賞与などを考慮しない単純計算で月収は約41.7万円となり、これが計算の基礎となります。
その試算額が、年収500万円の人が将来の生活を考える上での基本的な基準額となります。
加入期間別の受給額シミュレーション
厚生年金の加入期間は、受給額に直接影響します。転職による離職期間や、自営業として働いていた期間がある場合、会社員としての加入期間は短くなります。
年収500万円を基準に、加入期間別の年金受給額(年額)を比較してみましょう。
※老齢基礎年金は40年満額納付を前提としています
※老齢厚生年金は平均年収500万円で計算しています
配偶者がいる場合の世帯年金額
配偶者の働き方によって、世帯全体で受け取れる年金額は変わります。
配偶者が専業主婦(夫)の場合
夫が年収500万円(40年加入)、妻が40年間国民年金の第3号被保険者だった場合、世帯の年金額は以下のようになります。
- 夫の年金:約192.9万円/年
- 妻の年金(老齢基礎年金):約83.2万円/年
- 世帯合計:約276.1万円/年(月額約23万円)
配偶者も会社員(共働き)の場合
夫が年収500万円、妻が平均年収300万円でそれぞれ40年厚生年金に加入した場合の試算です。
- 夫の年金:約192.9万円/年
- 妻の年金:約148.9万円/年
- 世帯合計:約341.8万円/年(月額約28.5万円)
共働き世帯は、専業主婦(夫)世帯に比べて年間の受給額が約65.7万円多くなり、老後の生活にゆとりが生まれます。ご家庭の状況に合わせて、世帯全体での収入を見積もることが大切です。
年金受給額の計算方法を理解する
年金受給額の目安を把握したところで、その金額がどのように算出されるのか、基本的な計算方法を理解しておきましょう。仕組みを知ることで、自身の年金記録を確認する際や、将来の見通しを立てる際に役立ちます。
年金は「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」の2階建て構造になっており、それぞれ計算方法が異なります。
老齢基礎年金(国民年金)の計算式
2025年度の満額は年額83万1700円です。
例えば、保険料を40年間(480ヶ月)すべて納付した場合、満額の83万1700円を受け取れます。学生時代の未納などで納付期間が35年間(420ヶ月)だった場合は、以下のようになります。
- 83万1700円 × (420ヶ月 ÷ 480ヶ月) = 72万7737円
未納期間があると受給額が減額されるため、保険料の納付状況を確認することが必須です。
老齢厚生年金の計算式
老齢厚生年金の中心となる「報酬比例部分」は、現役時代の収入と加入期間に応じて決まります。
2003年4月以降の加入期間については、以下の計算式で算出されます。
- 計算式:平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 厚生年金加入月数
「平均標準報酬額」とは、厚生年金に加入していた全期間の給与(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)の平均額です。
- 標準報酬月額:毎月の給与を等級に区切ったもの
- 標準賞与額:税引前の賞与額から1,000円未満を切り捨てたもの
年収500万円(月収約41.7万円、賞与なしと仮定)の場合、標準報酬月額は「41万円」の等級に該当します。
その金額を基に計算すると、40年(480ヶ月)加入した場合の老齢厚生年金は以下のようになります。
- 41万円 × 5.481/1000 × 480ヶ月 ≒ 107万8661円(年額)
正確な平均標準報酬額は「ねんきんネット」などで確認できます。
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年金の手取り額はいくら?税金と社会保険料の負担
年金の受給額は、そのまま全額を受け取れるわけではありません。年金も所得の一種とみなされるため、税金や社会保険料が天引きされます。
老後の生活設計を立てる上では、その「手取り額」を把握しておくことが欠かせません。額面と手取りの差を理解し、現実的な資金計画を立てましょう。
年金から引かれるもの一覧
年金から天引きされる主な税金と社会保険料は以下の通りです。これらは年金の支払月に、年金から直接差し引かれます(源泉徴収・特別徴収)。
- 所得税(復興特別所得税を含む): 年金収入から各種控除を引いた後の金額に対して課税されます
- 住民税: 前年の所得を基に計算され、市区町村に納める税金
- 介護保険料: 40歳以上の人が納める保険料
- 国民健康保険料 または 後期高齢者医療保険料: 74歳までは国民健康保険料(勤務先の健康保険に加入している場合を除く)、75歳からは後期高齢者医療保険料が天引きされます
これらの金額は、住んでいる市区町村や個人の所得状況によって異なります。
年金179万円の場合の手取り試算
年収500万円で40年加入した場合の年金受給額、年額約192.9万円(月額約16.1万円)を例に、手取り額を試算してみましょう。
【前提条件】
- 65歳、単身世帯
- 東京都新宿区在住
- 年金以外の所得なし
- 社会保険料控除、基礎控除、公的年金等控除のみを考慮
- 令和7年度(令和7年度税制改正により所得税の基礎控除95万円で計算)
年金収入(額面) 193万円(所得83万円)
所得税・住民税:約2.6万円
社会保険料(国民健康保険・介護保険) 約19万円
手取り年額:約171万円
手取り月額:約14.3万円
この試算では、額面の月額約16.1万円に対し、手取りは約14.3万円となり、月々約1.8万円、年間で約21.9万円が差し引かれる計算です。
実際には扶養家族の有無や地域によって金額は変動しますが、額面の85%〜90%が手取りの目安となります。
年金にかかる税金の仕組み
年金にかかる税金を計算する上で重要なのが「公的年金等控除」です。これは、年金受給者の税負担を軽減するための仕組みで、年金収入から一定額を差し引くことができます。
控除額は、受給者の年齢と年金収入の金額によって決まります。
例えば、65歳以上で年金収入が193万円の場合、110万円が控除されます。
- 課税対象額 = 193万円(年金収入) - 110万円(公的年金等控除) = 83万円
その83万円からさらに基礎控除などを差し引いた金額に対して、所得税や住民税が課税されます。65歳以上になると公的年金等控除の額が増えるため、税負担が軽くなるのが特徴です。
年金だけで生活できる?老後の生活費との比較
年金の手取り額がわかったところで、次に考えるべきは「その金額で実際に生活できるのか」という点です。
ここでは、公的な調査データを基に高齢者世帯の平均的な生活費を見ていき、年金収入だけで生活費を賄えるのかを検証します。
その比較を通じて、老後資金としてどれくらいの不足額が生じる可能性があるのかを具体的に把握しましょう。
高齢夫婦世帯の平均生活費
総務省の「家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における1ヶ月の平均的な支出は約28.7万円(非消費支出含む)です。
【主な支出の内訳】
- 食料:約7.6万円
- 住居:約1.6万円(※持ち家率が高いため低い)
- 光熱・水道:約2.2万円
- 家具・家事用品:約1.2万円
- 被服及び履物:約0.6万円
- 交通・通信:約2.8万円
- 保健医療:約1.8万円
- 教養娯楽:約2.5万円
- その他の消費支出(交際費など):約5.2万円
- 非消費支出(税金・社会保険料):約2万円
年収500万円の夫と専業主婦の妻という世帯の場合、1ヶ月の年金額は約23万円でした。平均的な生活費と比較すると、毎月約5.7万円の赤字が発生する計算になります。年間では約68万円の不足となり、この分を貯蓄などで補う必要があります。
単身世帯の平均生活費
同じく総務省の「家計調査報告(2024年)」によると、65歳以上の単身無職世帯における1ヶ月の平均的な支出は約16.2万円(非消費支出含む)です。
年収500万円で40年働いた単身者の場合、年金額は約16.1万円でした。平均的な生活費をギリギリ賄えるくらいの金額です。
ただし、賃貸住宅に住んでいる場合は住居費の負担が増えるため、さらに多くの生活費がかかる可能性があります。年金収入だけでは不安が残るでしょう。
ゆとりある老後に必要な生活費
生命保険文化センターの「2025(令和7)年度生活保障に関する調査《速報版》」によると、老後の最低日常生活費は夫婦2人で月額平均23.9万円でした。一方で、旅行や趣味などを楽しむ「ゆとりある老後生活」を送るためには、平均で月額39.1万円が必要とされています。
【夫婦二人:生活レベル別の必要額(月額)】
- 最低限の生活: 23.9万円
- ゆとりある生活: 39.1万円
年収500万円の夫と専業主婦の世帯年金(月額約23万円)では、最低限の生活費すら賄えない可能性があります。ゆとりある生活を目指すのであれば、年金に加えて毎月約16.1万円を自分たちで用意する必要があります。
その結果からも、公的年金はあくまで老後生活の「基礎」であり、豊かなセカンドライフを送るためには現役時代からの計画的な資産形成が不可欠であることがわかります。
老後資金はいくら必要?不足額の計算方法
年金収入と生活費の差額が明らかになったところで、次に老後全体でどれくらいの貯蓄が必要になるのかを計算します。
ここでは、65歳で退職してから95歳までの30年間を老後期間として、具体的な不足額を試算します。
65歳から95歳まで30年間の不足額試算
これまでのシミュレーションを基に、老後30年間で必要となる貯蓄額を計算します。
【夫婦世帯(夫:年収500万円、妻:専業主婦)の場合】
- 毎月の不足額:約5.7万円
- 年間の不足額:5.7万円 × 12ヶ月 = 68.4万円
- 30年間の総不足額:68.4万円 × 30年 = 2052万円
【単身世帯(年収500万円)の場合】
- 毎月の不足額:約0.1万円
- 年間の不足額:0.1万円 × 12ヶ月 =1.2万円
- 30年間の総不足額:1.2万円 × 30年 = 36万円
夫婦世帯の場合、かつて話題となった「老後2000万円問題」に近い金額が必要になることがわかります。
これはあくまで平均的な生活を想定した試算であり、ゆとりある生活を送りたい場合はさらに多くの資金が必要になります。
ライフイベント別の追加費用
平均的な生活費に加えて、老後には突発的な大きな支出が発生する可能性があります。これらの費用も考慮して、予備費を準備しておくことが賢明です。
【老後に想定される主な追加費用】
- 住宅リフォーム: 外壁塗装や水回りの修繕などで、10〜15年ごとに数百万円の費用がかかることがあります
- 介護費用: 生命保険文化センターの「2024(令和6)年度生命保険に関する全国実態調査」によると、介護にかかる一時的な費用の平均は約47万円、月々の費用の平均は約9.0万円です。介護期間が5年続くと、合計で約590万円が必要になります
- 医療費: 高齢になると病気や怪我のリスクが高まります。高額療養費制度があるとはいえ、先進医療や差額ベッド代など、自己負担が増える可能性があります
- その他: 子どもの結婚援助や孫へのお祝い、車の買い替え、家電の故障なども考えられます
これらの費用を考慮すると、先ほどの不足額に加えて500万円〜1000万円程度の予備費を上乗せして目標設定すると、より安心できるでしょう。
退職金を考慮した現実的な目標額
老後資金を考える上で、退職金は大きな役割を果たします。先ほど試算した不足額から、受け取れる退職金の見込額を差し引くことで、現役時代に自力で準備すべき現実的な目標額が見えてきます。
厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によると、大学・大学院卒の定年退職者の平均退職給付額は1896万円です。
例えば、夫婦世帯で2,052万円の不足が見込まれる場合、夫が1896万円の退職金を受け取れれば、実質的に準備が必要な金額は以下のようになります。
- 2052万円(不足額) - 1896万円(退職金) = 156万円
そのように、退職金の有無や金額によって、準備すべき貯蓄額は変わります。ただし、近年は退職金制度がない企業や、確定拠出年金(DC)のように運用成果によって金額が変動する制度も増えています。
自身の勤務先の退職金制度(退職一時金、企業年金、確定拠出年金など)の内容を早めに確認し、おおよその受給額を把握しておくことが肝となります。
年金を増やす方法と老後資金の準備戦略
老後に必要な資金額が明確になったら、次はその不足分をどう補うかを考えます。幸い、公的年金の受給額を増やす方法や、税制優遇を活用しながら効率的に資産を形成する制度が用意されています。
今から始められる具体的なアクションプランを解説します。
年金受給額を増やす方法
公的年金の受給額そのものを増やす、確実な方法がいくつかあります。
- 繰下げ受給: 年金の受給開始を66歳以降に遅らせることで、年金額を増やす制度です。1ヶ月遅らせるごとに0.7%増額し、70歳まで繰り下げると42%、75歳まで繰り下げると最大で84%も年金額が増えます。増額された年金額は一生涯続くため、長生きリスクに備える上で有効な手段です
- 長く働く: 60歳以降も厚生年金に加入して働くことで、老齢厚生年金を増やすことができます。厚生年金は70歳まで加入可能です
- 国民年金に任意加入する: 60歳時点で国民年金の納付期間が40年に満たない場合、65歳まで任意で加入し、満額に近づけることができます
- 付加年金: 自営業者など第1号被保険者や任意加入被保険者の方が、国民年金保険料に月額400円を上乗せして納めることで、将来の年金額を増やせる制度です。「200円×納付月数」が年金額に加算されます
- 国民年金基金: 自営業者向けの公的な上乗せ年金制度です。掛金が全額所得控除になる税制メリットがあります
iDeCoで老後資金を準備する
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、老後資金作りに特化した私的年金制度で、税制上のメリットが大きいのが特徴です。
【iDeCoの3つの税制メリット】
- 掛金が全額所得控除: 拠出した掛金の全額がその年の所得から控除され、所得税・住民税が軽減されます。年収500万円の会社員(企業年金なし)が上限額(月2.3万円)を拠出した場合、年間約5.5万円の節税になります
- 運用益が非課税: 通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、iDeCoの運用で得た利益は非課税です
- 受取時も控除あり: 年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金として受け取る場合は「退職所得控除」が適用され、税負担が軽くなります
自分で掛金を拠出し、用意された運用商品(投資信託、定期預金など)の中から自分で選んで運用します。
ただし、原則として60歳まで資金を引き出すことはできないため、余裕資金で行うことが必須です。
NISAで資産形成する
2024年から新しくなったNISA(少額投資非課税制度)は、iDeCoと並ぶ資産形成の有力な選択肢です。iDeCoとの大きな違いは、いつでも資金を引き出せる流動性の高さにあります。
【新NISAのポイント】
- 非課税保有限度額: 生涯で最大1,800万円まで非課税で投資できます
- 2つの投資枠:
- つみたて投資枠: 年間120万円まで。長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託が対象
- 成長投資枠: 年間240万円まで。個別株や投資信託など幅広い商品が対象
- 制度の恒久化・非課税期間の無期限化: いつでも始められ、期間を気にせず長期的な運用が可能です
例えば、35歳の人が毎月3万円を「つみたて投資枠」で積立投資し、年率5%で運用できた場合、65歳までの30年間で元本1080万円が2446万円に増える可能性があります。この運用益1366万円がすべて非課税になるのが新NISAの大きなメリットです。
老後資金だけでなく、教育資金や住宅資金など、さまざまなライフイベントに備えるためにも活用できます。
企業型確定拠出年金(企業型DC)の活用
勤めている会社に企業型確定拠出年金(企業型DC)の制度がある場合は、積極的に活用しましょう。企業型DCは、会社が掛金を拠出し、従業員自身が運用商品を選んで老後資金を準備する制度です。
【企業型DCのポイント】
- 会社が掛金を拠出: 従業員の負担なく資産形成を始められます
- マッチング拠出: 会社の掛金に加えて、従業員自身が掛金を上乗せできる制度です。上乗せした掛金はiDeCoと同様に全額所得控除の対象となり、節税効果があります
- iDeCoとの併用: 2022年10月以降は規約の定めなしにiDeCoとの併用が可能になっており、より手厚い老後準備ができます
企業型DCもiDeCoと同様に、運用益が非課税になるメリットがあります。まずはご自身の会社の福利厚生制度を確認し、企業型DCの有無やマッチング拠出が可能かどうかを調べてみましょう。
年代別・年金を見据えた資産形成プラン
老後資金の準備は、年代によって取るべき戦略が異なります。時間を最大限に活用できる30代、本格的な準備が必要になる40代、そしてゴールが目前に迫る50代…それぞれのライフステージに合わせた資産形成プランを立てることが、目標達成への近道です。
30代:時間を味方につけた長期投資
30代は、老後までの時間が30年以上あり、「時間」という最大の武器を活かせる年代です。この時期は、少額からでも新NISAの「つみたて投資枠」を活用した長期・積立投資を始めることが推奨されます。
例えば、毎月3万円を年利5%で30年間積み立てると、元本1080万円に対して、運用成果は2446万円にもなります。これは、利息が利息を生む「複利効果」を最大限に享受できるためです。
多少のリスクを取ってでも、株式インデックスファンドなどを中心にポートフォリオを組むことで、資産の大きな成長が期待できます。まずは家計に無理のない範囲で積立をスタートし、習慣化することが大事です。
40代:老後資金の本格準備期
40代は、収入が安定する一方で、住宅ローンや子どもの教育費など支出も増える時期です。この年代では、老後資金の準備を本格化させる必要があります。
節税メリットの大きいiDeCoと、柔軟性の高い新NISAの併用が効果的です。iDeCoで着実に老後資金を確保しつつ、新NISAで教育資金や住宅資金などにも対応できる流動性を確保する、といったバランスの取れた戦略が求められます。
家計全体を見直し、固定費の削減などで捻出した資金を計画的に投資に回していくことが鍵となります。目標とする老後資金額から逆算し、毎月の積立額を見直す良いタイミングでもあります。
50代:ラストスパートと受給戦略の検討
50代は、老後資金準備のラストスパート期であると同時に、リタイア後の「出口戦略」を具体的に考える時期です。
まずは退職金の見込額を正確に把握し、目標とする老後資金額に対して不足がないか最終確認します。不足がある場合は、積立額を増やす、あるいは60歳以降も働くことを検討します。
資産運用においては、リスクを徐々に抑える方向へシフトすることも肝となります。株式などのリスク資産の比率を下げ、債券や預金などの安全資産の比率を高める「リバランス」を検討しましょう。
また、年金をいつから受け取るか(繰上げ・繰下げ)の検討も始めます。ご自身の健康状態や60歳以降の働き方のプランと照らし合わせ、最適な受給開始時期をシミュレーションしておくことが大切です。
年金制度の今後と押さえておくべきポイント
老後資金を計画する上で、年金制度そのものの将来像を理解しておくことも大切です。少子高齢化が進む中、「年金制度は破綻するのでは?」といった不安の声を耳にすることもあります。
ここでは、制度の持続可能性や将来の見通しについて、押さえておくべきポイントを解説します。
年金制度は破綻しないが給付水準は下がる可能性
結論から言うと、日本の公的年金制度が完全に破綻する可能性は極めて低いと考えられます。年金制度は、現役世代が納める保険料を主な財源として高齢者世代に給付する「世代間扶養」の仕組みになっています。そのため、少子高齢化が進むと財源が不足することを心配するかもしれません。
しかし、年金の財源には税金やこれまでの積立金も投入されています。国は年金積立金の運用も行っており、運用成果は長期的にみると安定しています。保険料が減っても、年金の財源が直ちになくなるわけではありません。
ただし、将来受け取れる年金の「価値」が実質的に目減りしていく可能性はあります。その仕組みが「マクロ経済スライド」です。これは、少子高齢化の進展に合わせて、年金の伸びを物価や賃金の伸びよりも低く抑えることで、年金財政のバランスを自動的に調整する仕組みです。
これにより、現役世代の所得に対する年金額の割合を示す「所得代替率」は、現在の約61%から将来的には50%台まで低下することが見込まれています。
つまり、制度は維持されますが、現役時代の収入に対して受け取れる年金の割合は下がっていくということです。
受給開始年齢の引き上げリスク
現在、年金の受給開始年齢は原則65歳ですが、将来的にはこの年齢が引き上げられる可能性も議論されています。実際に、ドイツやイギリスなど諸外国では、受給開始年齢を67歳や68歳へ段階的に引き上げる動きが進んでいます。
日本でも、人生100年時代を見据え、高齢者がより長く働き続ける社会を目指す中で、受給開始年齢の引き上げは常に選択肢の一つとして存在します。もし開始年齢が70歳に引き上げられれば、それまでの期間は収入を確保する手段が必要になります。
こうしたリスクに備えるためにも、健康を維持し、年齢を重ねても働き続けられるスキルや知識を身につけておくことが、将来の安心につながります。
定期的な制度確認と見直しの重要性
年金制度は、社会経済の変化に対応するため、5年ごとに「財政検証」が行われ、制度の見直しが検討されます。法改正によって、保険料率や給付水準、受給要件などが変更される可能性があります。
こうした変化に対応するためには、制度に関する情報に常に注意を払うことが必須です。
- ねんきん定期便を毎年確認する: ご自身の加入記録に誤りがないか、見込額に大きな変動がないかを確認する習慣をつけましょう
- 公的機関の情報を参考にする: 厚生労働省や日本年金機構のウェブサイトで、最新の制度改正情報を確認します
- 自身の資産計画を定期的に見直す: 制度変更があった場合は、ご自身の老後資金計画にどのような影響があるかを考え、必要に応じて積立額や運用方針を見直しましょう
制度の変化を他人事と捉えず、ご自身のライフプランと照らし合わせて柔軟に対応していく姿勢が求められます。
年収500万円の年金に関するQ&A
ここでは、年収500万円の方からよく寄せられる年金に関する質問とその回答をまとめました。ご自身の疑問や不安を解消するためにお役立てください。
Q1. 年収500万円で40年働いた場合、年金だけで生活できますか?
A1. 生活レベルによりますが、年金だけでゆとりのある生活を送るのは難しいでしょう。
試算によると、年収500万円で40年働いた場合、年金額は単身で月額約16.1万円、専業主婦の配偶者がいる世帯で月額約23万円です。
総務省の家計調査では、高齢単身無職世帯の平均支出が月約16.2万円、夫婦世帯では月約28.7万円となっています。このデータと比較すると、単身世帯では毎月約0.1万円、夫婦世帯では毎月約5.7万円が不足する計算になります。
最低限の生活は可能かもしれませんが、旅行や趣味、突然の医療費などを考えると、年金に加えてご自身で準備した貯蓄や資産収入が不可欠です。
Q2. 転職が多い場合、年金受給額はどうなりますか?
A2. 転職自体が直接的に年金額を減らすわけではありませんが、注意すべき点が2つあります。
- 厚生年金の加入期間が短くなる: 転職時に離職期間があると、その間は厚生年金に加入できません。国民年金に切り替えることになりますが、厚生年金に加入していた場合に比べて将来の受給額は少なくなります。手続きを忘れて未納期間ができてしまうと、さらに受給額が減る原因になります
- 退職金制度の違い: 企業によって退職金制度は異なります。転職を繰り返すと、勤続年数がリセットされるため、一つの会社に長く勤めた場合に比べて退職金が少なくなる可能性があります
転職が多い方は、ご自身の厚生年金加入期間が合計でどのくらいになるのか、「ねんきんネット」で定期的に確認することが鍵となります。
Q3. 年金の繰下げ受給と繰上げ受給、どちらが得ですか?
A3. どちらが得かは、個人の健康状態や寿命、生活設計によって異なるため、一概には言えません。
- 繰下げ受給: 66歳以降に受給を開始する方法。年金額は増額(最大84%増)されますが、それまでの期間は無収入になります。長生きするほど総受給額は多くなります。一般的に、70歳に繰り下げた場合、81歳頃まで生きると65歳から受給を始めた場合より総受給額が多くなります
- 繰上げ受給: 60歳から64歳の間に受給を開始する方法。早くから年金を受け取れますが、年金額は減額(最大24%減)され、その減額率は一生続きます
損益分岐点となる年齢はあくまで目安です。ご自身の健康状態、貯蓄額、65歳以降の働き方の予定などを総合的に考慮して、慎重に判断することが欠かせません。
迷う場合は、年金事務所や専門家に相談することをおすすめします。
まとめ

- 年金受給額の目安: 年収500万円で40年厚生年金に加入した場合、年金受給額は年額約193万円(月額約16.1万円)が目安です
- 手取り額: 税金や社会保険料が引かれ、手取りは月額約14.3万円程度になります
- 老後の生活費との比較: 平均的な生活費と比較すると、単身で月約0.1万円、夫婦世帯で月約5.7万円が不足する可能性があります
- 必要な老後資金: シミュレーションによると、夫婦世帯の場合老後30年間で約2000万円の貯蓄が必要になります。これに加えて、介護や医療などの予備費も考慮すべきです。
- 今からできる対策: 公的年金だけに頼らず、iDeCoやNISAといった制度を活用し、計画的に資産形成を進めることが欠かせません。また、繰下げ受給や長く働くことも有効な選択肢です
老後の安心は、現状を正確に把握することから始まります。まずは「ねんきんネット」でご自身の年金見込額を確認し、本記事で紹介したシミュレーションを参考に、具体的な資産形成プランを立ててみてはいかがでしょうか。
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監修
森本 由紀
- ファイナンシャルプランナー/AFP(日本FP協会認定)/行政書士
行政書士ゆらこ事務所(Yurako Office)代表。愛媛県松山市出身。神戸大学法学部卒業。法律事務所事務職員を経て、2012年に独立開業。メイン業務は離婚協議書作成などの協議離婚のサポート。離婚をきっかけに自立したい人や自分らしい生き方を見つけたい人には、カウンセリングのほか、ライフプラン、マネープランも含めた幅広いアドバイスを行っている。法律系・マネー系サイトでの記事の執筆・監修実績も多数。
執筆
マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
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