
個人年金保険は50代におすすめ?一括払いするメリットと商品の選び方を徹底解説
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50代で老後資金を本格的に考え始める中、「個人年金保険は一括払いで入るのがおすすめ?」と悩む人は多いでしょう。
リタイアを目前に控えた50代が効率的にお金を増やすなら、保険料の一括払いは有効な選択肢のひとつになります。一方で、短期運用による資産の増え方には限界があり、保険加入による資金の流動性低下なども懸念されます。
どのくらい増えるかに注目するだけでなく、年金の受け取り方やリスク、税金についても確認しておく必要があります。
本記事では、50代で個人年金を一括払いするメリット・デメリットを整理し、どんな人に向いているのかをわかりやすく解説します。
※「個人年金保険」には、いくつかの種類があります。本記事でいう「個人年金保険」は、特にその商品性に言及がない場合、定額の円建て個人年金保険のことを指します
※本記事では、保険料払い込み方法の種類である「一時払い」や「全期前納」のことを指して「一括払い」としています
- 一括払いと分割払いの違いと返戻率の差
- 50代が一括払いを選ぶメリットと注意点
- おすすめの一括払い対応個人年金保険と選び方のポイント
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50代が個人年金保険の一括払いを検討する理由
50代は、子どもの独立や住宅ローンの完済などにより、家計に余裕が生まれる時期です。また、退職が視野に入り、老後資金の準備を本格的に考えるタイミングでもあります。
公的年金だけでは不安が残る中、手元にあるまとまった資金をいかに効率よく、そして確実に老後の備えにできるかが重要な課題となります。
このような背景から、50代の人にとって個人年金保険の一括払いは、老後までの短い期間で効率的に資産を準備するための有力な選択肢として注目されています。
まとまった資金を準備しやすい
50代になると、早期退職による退職金など、まとまった資金を手にする機会があります。この資金をどのように運用するかは、老後の生活設計において重要なポイントです。
個人年金保険は、保険料として積み立てて運用したお金を、一般的に60歳や70歳以降、年金として受け取ることを目的とした金融商品です。
基本的に、株式投資のように大きなリターンを得られる商品ではありませんが、リスクを抑えながら効率的に資産を増やしたいと考える50代の人にとって、個人年金保険の一括払いは、まとまった資金の運用先に適した選択肢の1つといえるでしょう。
運用効率を重視する必要がある
50代から老後資金の準備を始めると、20代や30代に比べて運用できる期間が短くなります。リタイアまでの限られた時間でお金を増やすためには、より効率的な方法が求められます。
この観点で言うと、個人年金保険の保険料を一括で支払う方法は効率的な資産形成と言えます。
保険料を一括で支払うと、保険会社の事務コストが減るほか、保険料の運用がしやすくなり、月払いや年払いと比較して保険料の総額が割安になります。
結果的に、契約者は効率的にお金を増やすことができ、年金原資が増えるというメリットがあります。
老後資金として確実に確保する必要がある
老後資金として準備していたはずの貯金は、病気や怪我、あるいは家のリフォームなど、予期せぬ出費で取り崩してしまう可能性があります。
個人年金保険は、いつでも解約可能ですが、途中で解約すると、解約時に戻ってくる解約返戻金が支払った保険料の総額よりも少なくなる可能性があります。そのため、解約するより、年金原資として受け取った方が有利という考えが浮かぶかもしれません。
途中で解約することのデメリットが、結果として解約を踏みとどまらせ、まとまった資金を確実に老後のためだけに確保する仕組みとして機能しやすくなります。

一括払いと分割払いの違いと返戻率の差
個人年金保険の保険料支払い方法には、「一括払い」と「分割払い(平準払い)」があります。どちらを選ぶかによって、支払う保険料の総額や将来受け取る年金額に差が生じます。
50代から加入する場合、運用期間が限られるため、支払い方法の選択はより重要になります。それぞれの仕組みの違いや、返戻率に差が生じる理由を具体的に見ていきましょう。
また、一括払いには「一時払い」と「全期前納」があるので、その違いについても解説します。
一括払いと分割払いの仕組み
個人年金保険の支払い方法には、保険期間全体の保険料を契約時に一度で支払う「一時払い」と、保険料を複数回に分けて支払う「分割払い(平準払い)」があります。
分割払いには、月払いや半年払い、年払いなどがあります。保険料を分割して毎月や毎年払うので、契約者の負担は軽くなりますが、支払い総額は一時払いよりも多くなります。
一方、一時払いは、保険会社が保険期間分の保険料を一括で受領できるため、保険料が割り引かれるのが一般的です。
一括で支払う方法には、一時払いの他に「全期前納」という方法もあります。全期前納は、年払いなどの保険料を、全期間分、保険会社に「預ける」という方法です。
預けた保険料は、本来の払い込み期日が来るたびに充当されていきます。中途解約時には、未充当の保険料は返還されます。
返戻率の差を具体例で比較
個人年金保険の場合、支払い方法によって、払込保険料総額に対して将来受け取れる年金の割合を示す「返戻率」に差が生まれます。
一時払いの場合、保険会社は契約時に保険料を一括して受け取れるので、事務コストが減り、保険料の長期運用が可能になります。
これにより、より多くの運用益が期待でき、結果として契約者に還元される金額も増加します。一時払いの返戻率が、分割払いよりも高くなるのは、これが主な理由です。
保険料の支払い方法の違いは将来の受取額に直接影響するため、契約前に設計書などで比較することが欠かせません。
返戻率の差が生じる理由
「一時払い」と「全期前納」は、どちらも契約時に保険料をまとめて支払う点が似ていますが、仕組みと税制上の扱いに大きな違いがあります。
一時払いは、保険期間全体の保険料を一度に払い込む方法です。そのため、生命保険料控除が適用されるのは、支払いを行った年のみとなります。また、この場合、個人年金保険料控除の対象とならず、一般生命保険料控除の対象となります。
一方、全期前納は、平準払いで支払う保険料を全期間分、保険会社に預け、預けた保険料が支払い期日に充当される仕組みです。したがって、保険料は継続して支払われていることになるので、保険料の払い込みが完了するまで毎年、生命保険料控除の対象となります。
また、途中で解約した場合、あるいは、万が一途中で死亡した場合は、解約返戻金や所定の死亡給付金が支払われますが、全期前納では、保険料として充当されていない「未経過分の保険料」も返還されます。
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50代の一括払い個人年金保険のメリット
50代で個人年金保険を一括払いで契約することには、多くのメリットがあります。老後までの期間が短いからこそ、効率性と確実性が求められます。一括払いは、この両方を満たす有力な選択肢です。
ここでは、返戻率の向上による受取総額の増加、払い込みの手間が省ける利便性、銀行預金と比較した場合の運用効率、そして相続対策としての可能性など、50代の方が一括払いを選ぶ具体的なメリットを詳しく解説します。

返戻率が高く受取総額が増える
個人年金保険を一括払いにすることの最大のメリットは、返戻率が高くなり、将来受け取れる年金の総額が増える点です。
保険会社は、契約者から預かった保険料を運用して利益を上げています。まとまった金額の保険料を早期に受け取れると、大きな金額を長く運用でき、より多くの運用益を得ることができます。その結果、分割払いに比べて高い返戻率を契約者に提供できるのです。
老後までの期間が限られている50代にとって、より多くのリターンを得られるこの仕組みは、効率的な資産形成につながります。
保険料払い込みの手間が不要
個人年金保険を一括払いにすると、契約時に一度保険料を支払えば、その後の払い込み手続きは不要になります。
分割払いだと、毎月や毎年、口座の残高を確認したり、支払日を気にしたりする必要があります。万が一、支払いを忘れてしまうと、保険契約が失効してしまうリスクもゼロではありません。
一括払いであれば、このような払い忘れのリスクがなく、長期にわたる支払いの管理から解放されます。契約後の手間をなくし、精神的な負担を軽減できる点は、忙しい50代にとって大きなメリットといえるでしょう。
預金より効率的にお金を増やしやすい
現在の低金利環境において、銀行の定期預金などにお金を預けていても、資産を増やすことは期待しにくい状況です。
個人年金保険は、保険会社が国内外の債券などで運用を行うため、少しでも有利な条件で増やしたいと考える50代にとって、個人年金保険は魅力的な選択肢です。
株式投資のような大きなリスクを取ることなく、預金よりも効率的に老後資金を準備できる可能性があります。
相続税の非課税枠を活用できる可能性
個人年金保険は、老後資金の準備だけでなく、相続対策としても活用できる可能性があります。
契約者が亡くなった際に支払われる死亡給付金は、生命保険の死亡保険金と同様に、相続税法上の「みなし相続財産」として扱われます。この死亡保険金には「500万円 × 法定相続人の数」という非課税枠が設けられています。
例えば、法定相続人が3人いる場合、1500万円までの死亡給付金には相続税がかかりません。預貯金で同額の資産を残した場合、全額が相続税の課税対象となるため、個人年金保険を活用することで相続税の負担を軽減できる可能性があります。
ただし、この非課税枠が適用されるのは、契約者と被保険者が同一で、相続人が死亡給付金を受け取る場合に限られるなど、契約形態によって扱いが異なるため注意が必要です。
一括払いの注意点とデメリット
50代からの個人年金保険の一括払いは、効率的な資産形成に有効な手段ですが、メリットばかりではありません。契約前に知っておくべき注意点やデメリットも存在します。
税制上の扱いや流動性の問題、さらにインフレリスクなどは、加入する上で慎重に検討すべきポイントです。
また、個人年金保険には円建て以外に外貨建てがあり、外貨建てを選んだ場合は、為替リスクに留意する必要があります。
ここでは、これらの注意点を1つずつ詳しく解説します。
生命保険料控除
個人年金保険の保険料は、一定の要件を満たすと「個人年金保険料控除」として所得控除の対象となり、所得税や住民税の負担を軽減できます。
しかし、支払い方法が一時払いの場合は、個人年金保険料控除ではなく、一般生命保険料控除の対象となります。また、この控除は保険料を支払った年のみ適用され、2年目以降は保険料の支払いがないため、控除の対象になりません。
年金に関する控除枠が使えないこと、控除の対象となるのは1年のみであることを考慮すると、節税効果が乏しいと感じる人もいるかもしれません。
一方、保険料を毎年支払う分割払いや、保険料を預けて毎年充当する「全期前納」の場合は、払い込み期間中ずっと控除の対象となります。
長期的な節税効果を重視する場合は、一時払いが不利になる可能性がある点を理解しておく必要があります。
資金の拘束と流動性の低下
個人年金保険を一括払いで契約すると、保険会社は保険料として支払われたお金を長期間にわたって運用することになります。したがって、契約者は自身のお金を預貯金のように自由に引き出すことができなくなるため、資金の流動性は低下します。
急に大きな出費が必要になった場合に、対応が難しくなる可能性があるので、一括払いを検討する際は、当面の生活費や緊急時に備えるための資金(生活防衛資金)を別途確保することが鉄則です。
保険を解約すれば解約返戻金を受け取れますが、契約から年数が経っていない早期の解約では、支払った保険料を下回る「元本割れ」となるケースが多いので注意が必要です。
円建てと外貨建ての選択
個人年金保険には、保険料の支払いや年金の受け取りをすべて日本円で行う「円建て」と、米ドルや豪ドルなどの外貨で行う「外貨建て」があります。
円建ては為替レートの変動を気にする必要がなく、将来受け取れる金額が確定しているため計画を立てやすいのがメリットです。しかし、現在の低金利下では高いリターンは期待しにくい側面があります。
一方、外貨建ては、海外の高い金利を活かして円建てよりも高いリターンを狙える可能性があります。しかし、為替レートの変動によっては、円に換算した際に受け取れる金額が払い込み保険料を下回る「為替リスク」がある点は注意が必要です。
50代からの加入では、リスク許容度を慎重に判断し、安定性を重視するなら円建て、リターンを追求するなら為替リスクを理解した上で外貨建てを検討するという選択肢もあります。
インフレリスク
インフレとは、物価が継続的に上昇し、相対的にお金の価値が下がることです。将来受け取れる年金額が契約時に固定される定額型の個人年金保険は、このインフレリスクに対応しにくいというデメリットがあります。
例えば、契約時点では老後の生活費として十分だと想定していた年金額でも、インフレが進むと「思ったほど増えていない」と感じる可能性があります。
これは、資産そのものは契約どおり増加していても、物価上昇により通貨の購買力が低下したためです。
このリスクを軽減するためには、運用実績によって受取額が変動する「変額個人年金保険」や外貨建ての個人年金保険を検討する、あるいはNISAなど他の資産運用と組み合わせるなどの対策が考えられます。
50代におすすめの一括払い個人年金保険の選び方
50代で一括払いの個人年金保険を選ぶ際には、いくつかの重要なポイントがあります。老後までの期間が限られているため、より慎重な商品選択が求められます。
単に利率が高いというだけでなく、自身のライフプランに合った受け取り方ができるか、そして長期間にわたって安心して資産を預けられる保険会社であるかを見極めることが大切です。
ここでは、後悔しないための具体的な選び方のポイントを4つに絞って解説します。
返戻率を比較する
一括払いの個人年金保険を選ぶ上で重要な指標の1つが「返戻率」です。返戻率とは、支払った保険料の総額に対して、将来受け取れる年金の総額がどれくらいの割合になるかを示す数値です。
返戻率が高いほど、効率的に資産が増やせることを意味します。同じ保険料を支払うのであれば、少しでも返戻率が高い商品を選ぶのが賢明です。
各保険会社のWebサイトにはシミュレーション機能が用意されていることもありますが、いちばんよいのは保険会社の担当者や複数の保険商品を扱う保険ショップの担当者などに尋ねることです。
自身の年齢や支払う保険料など、細かな条件から設計書を作成し、複数の商品比較を行ってくれることもあります。
また、一括資料請求サイトなどを活用するのもひとつの方法です。
受取方法を確認する
個人年金保険は、商品によって年金の受け取り方が異なります。自分の老後のライフプランに合わせて、最適な受取方法が選べるかを確認することが必須です。
主な受取方法には以下の種類があります。
- 確定年金: 被保険者の生死にかかわらず、契約時に定めた一定期間(5年、10年など)年金を受け取れます。万が一の際は遺族が残りの年金を受け取れます。
- 有期年金: 被保険者が生存している限り、一定期間年金を受け取れます。保証期間があれば、生死にかかわらず年金を受け取れます。
- 終身年金: 被保険者が生存している限り、一生涯年金を受け取れます。「長生きリスク」に備えられますが、保険料は割高になる傾向があります。保証期間付きタイプもあります。
例えば、「退職後から公的年金が支給される65歳までのつなぎ資金にしたい」のか、「公的年金に上乗せして生涯にわたる収入を確保したい」のか、目的によって選ぶべきタイプは異なります。
保険会社の信頼性を確認する
個人年金保険は、数十年という長い期間にわたる契約です。そのため、契約する保険会社が長期的に安定して経営を続けられるかどうか、この信頼性を見極めることが不可欠です。
保険会社の健全性を判断する指標として「ソルベンシー・マージン比率」があります。
これは、通常の予測を超えるリスクが発生した場合に、保険会社にどの程度の支払い余力があるかを示す数値です。
一般的に、この比率が200%を下回ると金融庁は早期是正措置を発動し、経営改善を促します。
各保険会社はWebサイトなどでこの比率を公開しているため、契約前には必ず確認し、健全性の高い会社を選ぶようにしましょう。
複数商品をシミュレーションする
最終的にどの商品にするかを決める前に、必ず複数の商品を同じ条件で、比較検討することが鍵となります。
同じ性別、年齢、払い込み金額であっても、保険会社や商品によって返戻率は異なり、受け取れる年金額が違ってきます。1つの商品だけを見て判断するのではなく、少なくとも2〜3社の商品を比較することで、より有利な条件の商品を見つけられる可能性が高まります。
多くの保険会社のWebサイトには無料のシミュレーションツールが用意されています。
また、複数の保険会社の商品を取り扱う保険相談窓口や、一括資料請求サイトなどを活用すれば、効率的に情報を集めて比較することができます。
手間を惜しまずにシミュレーションを行い、納得のいく商品を選びましょう。
一括払いが向いている人・向いていない人
個人年金保険の一括払いは、効率的に老後資金を準備できる可能性がある一方で、すべての人に適した方法というわけではありません。
自身の資産状況やライフプラン、そしてリスクに対する考え方によって、向き不向きが分かれます。
ここでは、どのような人が一括払いに向いているのか、また、どのような人は慎重に検討すべきか、具体的な特徴を挙げて解説します。
自身がどちらのタイプに当てはまるかを考えながら、最適な選択をするための参考にしてください。
一括払いが向いている人
個人年金保険の一括払いは、以下のような特徴を持つ方に向いています。
- 退職金や預貯金などでまとまった資金がある人:50代になると、退職金を受け取ったり、子育てが一段落して貯蓄に余裕ができたりする場合があります。このようなまとまった余裕資金があり、当面使う予定がない人にとっては、一括払いは効率的な運用手段となります。
- 貯蓄が苦手で、計画的に資金を確保したい人:手元にお金があると使ってしまうという人でも、一括払いで保険料を支払ってしまえば、強制的に老後資金を確保できます。資金の引き出しが難しいという個人年金保険の特性が、計画的な資産形成をサポートします。
- 保険料の支払いを一度で済ませたい人:毎月や毎年の保険料の支払いを管理するのが面倒だと感じる人にとって、契約時に一度支払うだけで完了する一括払いは、手間がかからず便利です。
一括払いが向いていない人
一方で、以下のような特徴を持つ方は、個人年金保険の一括払いを慎重に検討する必要があります。
- 手元の資金に余裕がない人:一括払いにはまとまった資金が必要です。現在の生活費や将来の大きな出費(子どもの学費、家のリフォームなど)を考慮した上で、余裕資金がない場合は無理に一括払いを選ぶのは避けましょう。分割払い(月払いや年払い)を検討しましょう。
- 急な出費に備えて資金の流動性を確保したい人:個人年金保険は一度支払うと簡単に引き出せません。病気や介護など、予期せぬ出費に備えるため、手元に現金を残しておきたいと考える方には、資金が長期間拘束される一括払いは不向きです。
- 毎年の所得控除を最大限活用したい人:一時払いの生命保険料控除は支払った初年度しか適用されません。毎年の節税メリットを重視する方は、払い込み期間中ずっと控除を受けられる分割払いや全期前納の方が適している場合があります。
一括払い以外の選択肢との比較
50代の老後資金準備は、個人年金保険の一括払いだけが選択肢ではありません。iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)など、税制優遇のある他の制度も有力な候補となります。
それぞれにメリット・デメリットがあり、自身の収入状況やリスク許容度によって最適な方法は異なります。
ここでは、iDeCoやNISAと個人年金保険を比較し、それぞれの特徴を解説します。また、これらの制度を組み合わせて活用する考え方についても触れていきます。
iDeCoとの比較
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で掛金を拠出し、自分で選んだ金融商品で運用して老後資金を準備する私的年金制度です。
最大のメリットは、掛金が全額所得控除の対象となる点で、個人年金保険料控除よりも高い節税効果が期待できます。所得が高い人ほど、この恩恵は大きくなります。
一方で、デメリットは、原則として60歳まで資金を引き出せないことと、運用成果によっては元本割れの可能性があることです。
50代から加入する場合、運用期間が短くなるため、大きなリターンを狙うよりも安定的な運用を心がける必要があります。
安定性を重視し、リスクを避けたい場合は定額型の個人年金保険、高い節税効果と運用によるリターンを追求したい場合はiDeCoが、それぞれ向いているといえるでしょう。
NISAとの比較
NISA(少額投資非課税制度)は、年間で一定額までの投資で得られた利益(配当金、分配金、譲渡益)が非課税になる制度です。
最大のメリットは、運用益が非課税になる点と、いつでも自由に資金を引き出せる流動性の高さです。老後資金だけでなく、中期的な資産形成にも活用できます。
一方、デメリットは、iDeCoのような掛金の所得控除はなく、元本保証もないため、投資の成果によっては資産が減少するリスクがあることです。
個人年金保険が、言わば「貯蓄」に近い性質を持つのに対し、NISAは「投資」そのものです。
安定的に資金を確保したい場合は個人年金保険、リスクを取ってでも資産を増やしたい、かつ資金の自由度も確保したい場合はNISAが選択肢となります。

債券との比較
債券は、あらかじめ利率と償還期限が決まっており、将来受け取れる金額の見通しが立てやすい点が特徴です。
一方、個人年金保険は「年金として受け取れる安心感」がある反面、途中解約時の元本割れリスクや、手数料が利回りを押し下げる点には注意が必要です。また、流動性が低く、柔軟な取り崩しがしにくい側面もあります。
その点、債券は満期まで保有すれば額面金額が確保されているため、必要に応じて途中売却も可能です。老後の支出タイミングに合わせて満期を分散させることで、年金に近いキャッシュフロー設計もできます。
50代でまとまった資金があり、リスクを最小限おさえたい場合は債券も検討してみましょう。
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組み合わせて活用する考え方
50代の老後資金準備において、1つの制度だけに頼る必要はありません。それぞれの制度のメリット・デメリットを理解し、自身の目的やリスク許容度に応じて組み合わせて活用するのが賢明な方法です。
例えば、以下のような組み合わせが考えられます。
- 安定志向の場合: 退職金などのまとまった資金の一部を個人年金保険の一括払いで確実に老後資金を確保しつつ、残りの資金でNISAのインデックスファンドなどで運用。インフレ対策と資産の上乗せを狙う。
- 節税を重視する場合: まずは所得控除の上限までiDeCoを活用し、税負担を軽減する。さらに余裕があれば、個人年金保険で安定的な収入源を確保したり、NISAで積極的な資産形成を目指したりする。
このように、個人年金保険を「守り」の資産、iDeCoやNISAを「攻め」や「節税」の手段と位置づけ、バランスの取れたポートフォリオを構築することが、豊かな老後生活につながります。
個人年金保険に関するよくある質問
個人年金保険の一括払いを検討するにあたって、多くの人が抱く疑問や不安があります。ここでは、50代の人からよく寄せられる質問とこの回答をまとめました。
契約前の最終確認として、ぜひ参考にしてください。
一括払いと分割払いどちらがお得?
「お得」の意味が、保険料が安くなるということであれば、一括払いのほうが分割払いよりもお得になるのが一般的です。
保険会社がまとまった資金を長期間運用できるため、その分が契約者に還元されやすいためです。
ただし、一括払いは手元の資金が減少するため、資金の流動性が低下します。
どちらがお得かは、単に金額だけでなく、自身の資産状況やライフプランも考慮して総合的に判断する必要があります。
一括払いのデメリットは?
一括払いの主なデメリットは以下の通りです。
- まとまった資金が必要になる
- 資金が長期間拘束され、流動性が低下する
- 生命保険料控除が保険料を支払った年しか適用されない(一時払いの場合)
- インフレで資産価値が目減りするリスクがある
これらのデメリットを理解し、自身の資産計画に影響がないか慎重に検討することが必須です。
50代から始めても遅くない?
結論からいうと、50代からでも個人年金保険を始めるのは決して遅くありません。50代は子育てが終わり、収入もピークを迎える方が多いため、まとまった資金を準備しやすく、老後向けの資産形成がしやすい年代です。
一括払いを活用すれば、効率的に老後資金を準備することが可能ですが、運用期間が短くなる点は資産運用においてはデメリットです。加入できる商品の選択肢は年齢とともに狭まり、運用効率は悪くなります。
検討している場合は早めに行動することをおすすめします。

途中解約するとどうなる?
個人年金保険を途中で解約すると、とくに月払いの場合、支払った保険料の総額よりも受け取れる解約返戻金が少なくなる「元本割れ」が発生しやすくなります。
また、契約してから日が浅い段階での解約は、元本割れが起こりやすく、返戻率の幅が大きく減少する傾向があります。
これは、個人年金保険に関する事務コストなどの影響が大きいためで、保険で資産運用を行う場合、短期解約は大きな損失につながりやすい点に注意が必要です。
契約する際は、無理なく継続できるかどうかを慎重に判断することが不可欠です。
まとめ
50代から個人年金保険を一括払いで始めることは、退職金などのまとまった資金を効率的かつ確実に老後の備えとするための有効な手段です。
一括払いは平準払いよりも返戻率が高く、保険料の支払いが一度で済むというメリットがある一方で、いったん保険に加入すると解約しにくく、一時払いの場合は控除が一年限りである、などの注意点も存在します。
重要なのは、自身の資産状況やライフプラン、リスク許容度を総合的に考慮し、個人年金保険が資産運用の最適な手段であるかを見極めることです。
また、iDeCoやNISAといった他の制度と比較し、組み合わせて活用することも視野に入れるとよいでしょう。
どの商品が自分に合っているか迷った時は、保険相談窓口などで専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
まずは複数の商品をシミュレーションし、納得のいく形で豊かな老後への第一歩を踏み出しましょう。
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土屋 史恵
- ファイナンシャルプランナー/金融ライター/編集者
神戸市外国語大学卒業後、外資系生命保険会社、都市銀行にてリテール営業、法人営業に携わる。遺言信託など資産承継ビジネスに強み、表彰歴あり。その後は長年の金融機関勤務経験を活かし、金融メディアに転職。記事執筆や編集などを担当。現在はフリーランスとして活動中。AFP、FP2級、証券外務員一種を保有。
執筆
マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。





