中小企業の退職金が少ない理由と今からできる老後資金の補い方を専門家が徹底解説

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「自分の会社は中小企業だけど、退職金はいくらもらえるんだろう?」「大企業に比べて少ないと聞くけど、老後が心配…」このようなお悩みはありませんか。

本記事では、中小企業の退職金のリアルな平均額や、大企業との差が生まれる理由を最新データに基づいて解説します。

さらに、会社の制度だけに頼らず、自身で豊かな老後資金を準備するための具体的な方法も紹介。将来への不安を解消するための一歩を踏み出しましょう。

この記事を読んでわかること
  • 中小企業の定年退職金は大卒で平均約1150万円。大企業との差は1000万円以上
  • 退職金が少ない理由は、経営資源の制約や、退職金支払いが法的義務ではないため
  • 会社の制度だけに頼らず、iDeCoや新NISAを活用して自分で老後資金を準備することが重要

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中小企業の退職金は本当に少ない?最新データで見る現実

中小企業の退職金は、大企業と比較して少ない傾向にあるのが実情です。

まずは、公的な調査データに基づき、定年退職時にもらえる平均額や大企業との差、そして退職金制度自体の有無について、客観的な事実を確認していきましょう。

定年退職時の平均額は約1150万円

東京都産業労働局の「中小企業の賃金・退職金事情(令和6年版)」によると、大学を卒業して定年まで勤め上げた場合のモデル退職金は、平均で1149万5000円です。

また、同調査における高校卒の平均は974万1000円、高専・短大卒では992万円となっており、学歴によっても差が見られます。

注意点

この金額はあくまで平均値であり、勤続年数や企業の業績、退職理由(自己都合か会社都合か)によって変動する点に注意が必要です。

大企業との差は1000万円以上

中小企業の退職金が約1150万円であるのに対し、大企業の平均額は上回ります。

厚生労働省「令和5年賃金事情等総合調査」によると、大企業(資本金5億円以上、従業員1000人以上)の大学卒・定年退職者の平均退職金は2858万4000円です。

両者を比較すると、この差は1000万円以上にもなります。この大きな差が、中小企業で働く人々の老後への不安の一因となっているのが現状です。

退職金制度がない企業も約3割

さらに注意が必要なのは、すべての中小企業に退職金制度があるわけではないという点です。

東京都産業労働局の調査では、退職金制度を設けていない中小企業が34.4%存在するという結果が出ています。

なぜ中小企業の退職金は少ないのか?3つの理由

大企業と中小企業で退職金額に大きな差が生まれる背景には、いくつかの構造的な理由が存在します。

個々の企業の経営努力だけでは埋めがたい、これらの理由を理解することで、なぜ自助努力が必要なのかがより明確になります。

経営資源の制約

根本的な理由は、企業の体力、つまり収益性や内部留保(企業の貯金)の差です。大企業は長年の事業活動で蓄積した豊富な資金を退職金の原資に充てることができます。

一方、多くの中小企業は日々の運転資金や事業投資を優先せざるを得ず、将来支払うことになる退職金のために多額の資金を長期にわたって確保し続けることが経営上の大きな負担となります。

キャッシュフローへの懸念から、退職金制度の導入自体をためらうケースも少なくありません。

中退共の掛金設定が低い

多くの中小企業が退職金制度として導入しているのが、「中小企業退職金共済(中退共)」です。これは国が運営する制度で、企業は従業員ごとに毎月掛金を納付します。

この掛金は月額5000円から3万円の範囲で設定できますが、企業の資金負担を考慮して低めに設定されることが少なくありません。

掛金が低ければ、当然ながら将来受け取る退職金も少なくなります。

また、中退共の予定運用利回りは1.0%とされており、資産が増えることは期待しにくい構造になっています。これが結果的に、中小企業の退職金額が伸び悩む一因となっています。

退職金制度は法的義務ではない

そもそも、企業が従業員に退職金を支払うことは法律で義務付けられていません。給与の支払いや社会保険への加入は企業の義務ですが、退職金はあくまでも福利厚生の一環です。

そのため、経営体力に余裕のない中小企業では、制度の整備が後回しにされがちです。就業規則などで退職金制度を定めて初めて、企業に支払い義務が生じます。

この法的な位置づけの違いも、退職金制度の普及率や金額に差が出る背景の1つといえるでしょう。

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退職金が少ないと老後はどうなる?必要額との差

中小企業の退職金が少ないという現実は、老後の生活設計にどのような影響を与えるのでしょうか。

ここでは、一般的な老後の必要資金額と、中小企業の平均退職金額との間にどれくらいのギャップがあるのかを具体的に見ていきます。

ゆとりある老後に必要な金額

生命保険文化センターの調査によると、夫婦2人でゆとりある老後生活を送るために必要と考えられる費用は、月額で平均39万1000円とされています。

仮に65歳から90歳までの25年間、この生活を続けると仮定すると、総額は約1億1730万円になります。

一方、厚生労働省のモデルケース(夫婦2人分)における公的年金の受給額は月額約23万7000円です。

25年間の総額は7110万円となり、ゆとりある生活費との差額、つまり老後までに準備すべき自己資金は約4620万円と試算できます。

退職金約1150万円では約3470万円不足

ゆとりある老後のために必要な自己資金が約4620万円であるのに対し、中小企業の平均退職金額は約1150万円です。

この差額を計算すると、約3470万円もの資金が不足することになります。もちろん、これはあくまで一例であり、個人の貯蓄額や生活レベルによって必要な金額は異なります。

しかし、会社の退職金だけを頼りにするのはリスクが高いことが、この数字からお分かりいただけるでしょう。

最低限の生活でも備えは必要

「ゆとり」は求めず、最低限の生活でよいと考える人もいるかもしれません。

総務省の家計調査報告(2024年)によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における1ヶ月の消費支出は平均で約25万6000円です。

公的年金のモデル受給額が約23万7000円なので、この場合でも毎月約2万円、年間で24万円の赤字となります。25年間では600万円の不足です。

最低限の生活を想定しても、退職金やそれまでの貯蓄からの補填が必要になる可能性が高いといえます。

退職金が少ない場合の対処法

会社の退職金だけでは老後資金が不足する可能性が高いという現実を踏まえ、今から具体的に何をすべきかを考えることが鍵となります。

ここでは、自身で老後資金を準備するための有効な方法を3つ紹介します。

まずは会社の退職金規定を確認

対策を立てる前に、まずは自身の現状を正確に把握することが第一歩です。

勤務先の就業規則や「退職金規程」を確認し、退職金の支給対象者、計算方法、支給条件などを理解しましょう。

規程を読んでも分かりにくい場合は、人事部や総務部の担当者に問い合わせるのが確実です。

現時点での退職金見込額を知ることで、後いくら自分で準備する必要があるのか、具体的な目標設定が可能になります。

iDeCoで自分の退職金を作る

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、国が用意した私的年金制度です。最大のメリットは、掛金が全額所得控除の対象になる点です。

これにより、毎年の所得税と翌年の住民税を軽減しながら、老後資金を積み立てることができます。

例えば、毎月2万3000円を拠出した場合、年間の所得控除額は27万6000円にもなります。

さらに、運用によって得られた利益も非課税となり、受け取る際にも退職所得控除や公的年金等控除が適用されるなど、税制上の優遇が大きい制度です。

NISAで長期資産形成

2024年から始まったNISA(少額投資非課税制度)も、老後資金準備に欠かせない制度です。最大の特長は、投資で得た利益(売却益や分配金)が非課税になる点です。

通常、投資の利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座内での取引であれば税金は一切かかりません。

年間投資上限額も大幅に拡大され、生涯にわたって利用できる非課税保有限度額も1800万円と柔軟な資産形成が可能です。

iDeCoが原則60歳まで引き出せないのに対し、NISAはいつでも引き出しが可能なため、老後資金だけでなく、住宅購入や教育資金など、さまざまなライフイベントに備える資金づくりにも活用できます。

早く始めるほど有利な理由

iDeCoやNISAを活用した資産形成は、1日でも早く始めることが成功の鍵となります。この理由は「複利効果」を最大限に活かせるからです。

複利とは、運用で得た利益を元本に加えて再投資することで、利益が利益を生む仕組みのことです。投資期間が長くなるほど、この効果は雪だるま式に増大します。

例えば、毎月3万円を年5%の利回りで運用した場合、20年間では元本720万円が約1217万円になりますが、30年間では元本1080万円が約2446万円にまで成長する可能性があります。

始めるのが遅れるほど、この大きなメリットを逃してしまうことになるのです。

退職金制度が充実した企業への転職も選択肢

現在の勤務先で退職金が少ない、あるいは制度自体がない場合、より福利厚生が充実した企業へ転職することも1つの有効な選択肢です。

キャリアアップを目指せる年代であれば、将来の資産形成を改善できる可能性があります。

退職金制度の確認ポイント

転職活動を行う際には、給与や業務内容だけでなく、退職金制度についてもしっかりと確認することが必須です。確認すべき主なポイントは以下の通りです。

  • 制度の有無: そもそも退職金制度があるか。
  • 制度の種類: 退職一時金、確定給付企業年金(DB)、企業型確定拠出年金(企業型DC)など、どのような制度か。
  • 支給条件: 最低勤続年数など、支給されるための条件。
  • モデル退職金額: 可能であれば、勤続年数や役職に応じたモデルケースの金額を確認する。

ポイントの解説

従業員が自ら運用に関与する企業型DCの場合、会社が拠出する掛金の額や、従業員が掛金を上乗せできる「マッチング拠出」の有無も重要な確認ポイントです。

転職のタイミングと注意点

退職金を目的とした転職は、慎重に判断する必要があります。一般的に、退職金は勤続年数が長くなるほど有利になるため、頻繁な転職は退職金の総額を減らす可能性があります。

自己都合退職の場合は会社都合退職に比べて支給率が低く設定されていることが多いため、注意が必要です。

一方で、20代や30代前半であれば、将来性のある企業に転職して長く勤めることで、結果的に多くの退職金を得られる可能性があります。

自身の年齢やキャリアプラン、そして現在の会社の将来性などを総合的に考慮して、最適なタイミングを見極めることが大切です。

中小企業の退職金に関するよくある質問

ここでは、中小企業の退職金に関して多くの方が抱く疑問について、Q&A形式で簡潔にお答えします。

退職金が少ないと訴えられる?

結論からいうと、単に「退職金が少ない」という理由だけで会社を訴えることは困難です。

そもそも退職金の支払いは法律上の義務ではなく、企業の就業規則や退職金規程に定めがあって初めて支払い義務が発生します。

この規程に沿って計算・支給されている限り、法的な問題はありません。

中退共の退職金はいくらもらえる?

中退共(中小企業退職金共済)から支給される退職金額は、毎月の掛金と掛金を納付した月数(加入期間)によって決まります。

掛金月額は5000円から3万円までの16種類から企業が選択します。加入期間が長くなるほど、また掛金が高額であるほど、受け取れる退職金は多くなります。

具体的な金額は、中退共のWebサイトでシミュレーションすることが可能です。

退職金なしの企業はどれくらいある?

東京都産業労働局の「中小企業の賃金・退職金事情(令和5年版)」によると、退職金制度を設けていない中小企業は34.4%でした。

まとめ

中小企業の退職金は、大企業と比較して少ないのが現実です。この背景には、経営資源の制約や、退職金支払いが法的義務ではないことなど、構造的な理由があります。

しかし、この事実に悲観する必要はありません。重要なのは、会社の制度だけに頼るのではなく、自身で積極的に老後資金を準備するという意識を持つことです。

国の強力な税制優遇制度である「iDeCo」や「NISA」を活用すれば、効率的に「じぶん退職金」を作ることが可能です。

1日でも早く始めることで、複利効果を最大限に活かすことができます。まずは自身の会社の退職金制度を確認し、将来に向けて今日から具体的な一歩を踏み出しましょう。

将来のお金に関する漠然とした不安は、専門家に相談することで具体的な対策に変わります。まずは第一歩として、自身の状況を客観的に把握してみませんか。

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ご留意事項

  • 本記事は一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の金融商品の取引を勧誘するものではありません。
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監修
鈴木 茂伸
  • 鈴木 茂伸
  • 特定社会保険労務士/ファイナンシャルプランナー

ブラック企業で働き、非正規従業員の経験から、弱い立場の方々の気持ちが理解でき、またひとりの事業主として、辛い立場の事業主の状況も共感できる社労士として、人事労務管理、経営組織のサポートを行っている。家族に障がい者がいることから、障害年金相談者に親身になって相談を受けて解決してくれると評判。また、(一社)湘南鎌倉まごころが届くの代表理事として、高齢者の身元引受、サポート、任意後見人も行っている。


執筆
マネイロメディア編集部
  • マネイロメディア編集部
  • お金のメディア編集者

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