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55歳で早期退職するにはいくら必要?現実的な資金計画と辞められる判断基準

55歳で早期退職するにはいくら必要?現実的な資金計画と辞められる判断基準

お金2026/04/08
  • #50代

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55歳を迎え、早期退職を考え始めたものの「本当に生活できるのか」「いくらあれば辞められるのか」と不安に感じていませんか。

本記事では、55歳での早期退職に必要な資金額を世帯別にシミュレーションし、後悔しないための現実的な資金計画と判断基準を専門家が解説します。

加えて、公的年金の受給開始までのつなぎ資金や、想定外の支出リスクへの備え、資産運用を活用した資金寿命の延ばし方についても具体的に整理します。

この記事を読んでわかること
  • 55歳で早期退職する場合の世帯別(単身・夫婦)の必要資金額
  • 完全リタイアとセミリタイアの選択肢とそれぞれの資金目安
  • 早期退職で後悔しないために準備すべきことや資産運用の考え方


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55歳で早期退職…本当に辞められる?

55歳での早期退職は、多くの人にとって重要な決断です。定年まで働き続ける安定を捨てることへの不安と、自由なセカンドライフへの期待が入り混じる時期といえるでしょう。

まずは、なぜ早期退職を考え、どのような点に葛藤を覚えるのかを整理します。

早期退職を考える理由と心理的な葛藤

55歳で早期退職を検討する理由は人それぞれです。例えば、持病の治療に専念したい、家族と過ごす時間を増やしたいといった個人的な事情が挙げられます。

また、職場の人間関係や過度な業務負荷から解放されたいという、仕事上のストレスが引き金になるケースも少なくありません。

一方で、早期退職には心理的な葛藤も伴います。最大の不安は、やはり金銭的なリスクです。退職によって安定した収入が途絶えるため、「貯蓄が底をついたらどうしよう」という不安は避けられません。

さらに、長年続けた仕事がなくなることで、社会とのつながりが希薄になり、生きがいを失ってしまう精神的な不安を感じる人もいます。

自由な時間を得られるメリットと、収入や社会的な役割を失うデメリットの間で、多くの人が葛藤を抱えることになります。

55歳早期退職に必要な資金はいくら?世帯別の目安

55歳で早期退職する場合、その後の人生で必要となる資金額は、世帯構成や生活水準によって異なります。

単身世帯と夫婦世帯に分けて、リタイア後に必要となる資金の目安を解説します。

(参考)世帯別の総支出額の目安

早期退職後の生活費を見積もる際、一つの目安となるのが一般的な高齢者世帯の平均支出額です。

家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2025年(令和7年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の消費支出は26万3979円(約26.3万円)です。これを年間に換算すると約317万円(316.7万円のため)になります。

また、65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の消費支出は、14万8445円(約14.8万円)であり、年間に換算すると約178万円です。

上記の金額を参考に、55歳からリタイア後、30年ほど暮らすために必要な総支出額の目安は以下のとおりです

  • 単身世帯:5340万円
  • 夫婦世帯:9510万円

この金額は、あくまで統計データに基づいた平均的な生活を想定したものです。趣味や旅行などにお金をかけたい場合は、さらに多くの資金が必要になります。

自身の希望するライフスタイルに合わせて、必要な資金額を具体的に見積もることが欠かせません。

必要資金の計算式と前提条件

早期退職に必要な資金額は、以下の基本的な計算式で算出できます。

  • (平均寿命までの総支出額) - (退職金 + 公的年金の総受給見込額) = 準備すべき貯蓄額

この計算を行う上での主な前提条件は以下の通りです。

  • 総支出額: 現在の生活費を基に、リタイア後のライフプラン(旅行、趣味など)を考慮して算出します。インフレ率も加味すると、より現実的な数字になります。
  • 平均寿命: 厚生労働省の簡易生命表などを参考に、自身の健康状態も踏まえて設定します。長めに設定しておくと安心です。
  • 退職金: 勤務先の退職金規程を確認し、55歳で自己都合退職した場合の金額を把握します。
  • 年金受給見込額: 「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認できます。55歳で退職すると、それ以降は厚生年金保険料を納めないため、60歳まで働き続けた場合よりも受給額が減る点に注意が必要です。


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退職金と年金でどこまでカバーできるか

早期退職後の生活を支える2大収入源が「退職金」と「公的年金」です。しかし、55歳で退職する場合、これらの金額は定年退職時に比べて少なくなる可能性があります。

具体的にどのくらい見込めるのか、目安を把握しておきましょう。

55歳退職時の退職金の相場

55歳で早期退職した場合に受け取れる退職金の額は、企業の制度や退職理由によって異なります。

一般的に、勤続年数が長いほど退職金は増えますが、定年前に自己都合で退職すると、定年退職時に比べて減額されることがほとんどです。一方で、会社が募集する「早期優遇退職制度」を利用した場合は、退職金が上乗せされることもあります。

ポイントの解説

令和5年就労条件総合調査概況|厚生労働省」によると、大学・大学院卒の人が早期優遇制度を利用した場合の退職金は約2266万円、会社都合退職では約1738万円、自己都合退職では約1441万円というデータがあります。

自身の勤務先の退職金規程を事前に確認し、正確な金額を把握しておくことが不可欠です。

65歳から受け取れる年金に注意

65歳からは公的年金の受給が開始され、老後の生活資金の基盤となります。主に受け取れるのは国民年金(老齢基礎年金)と厚生年金(老齢厚生年金)で、加入状況や収入に応じて受給額は異なります。

早期退職を検討する際は、この年金額を正確に把握することが重要です。受給開始前の生活費をどう補うかだけでなく、65歳以降の収支バランスも踏まえ、長期的に資金が枯渇しない計画を立てる必要があります。

正確な見込額は「ねんきんネット」で確認できるため、必ずチェックしておきましょう。

また、繰上げ受給や繰下げ受給といった選択肢によって受給額が変動するため、自身のライフプランに応じた判断が求められます。

55歳〜65歳の10年間をどう乗り切るか

55歳で早期退職した場合、公的年金の受給が始まる65歳までの10年間は、原則として収入がゼロになります。この期間は「収入の空白期間」とも呼ばれ、生活費をすべて貯蓄や退職金で賄わなければなりません。

例えば、「家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2025年(令和7年)平均結果の概要」の65歳以上の生活費を参考にした場合、単身世帯では10年間で1780万円の資金が必要です。また、夫婦世帯では約3170万円もの大金を準備しなくてはなりません。

ポイントの解説

年金受給開始までの10年間を乗り切るためには、退職金とそれまでに築いた貯蓄を計画的に取り崩していく必要があります。退職金の大半を年金受給開始までの生活費に充てることになるケースも少なくありません。

年金受給開始までの資金計画が、早期退職の成否を分ける重要なポイントといえるでしょう。

完全リタイアとセミリタイア、どちらを選ぶべきか

早期退職には、完全に仕事から離れる「完全リタイア」と、ある程度の労働を続けながら自由な時間を楽しむ「セミリタイア」の2つの選択肢があります。

どちらを選ぶかによって、必要な資金額は変わります。

完全リタイアに必要な資金と条件

完全リタイアとは、退職後に一切の労働収入を得ず、貯蓄や資産運用からの収益のみで生活するスタイルです。この場合、生涯にわたるすべての支出を退職時点の資産で賄う必要があるため、多くの資金を準備しなければなりません。

前述のシミュレーションでもわかるように、夫婦世帯であれば1億円以上の資金が必要になることも珍しくありません。

完全リタイアを目指すには、十分な貯蓄があることに加え、資産運用に関する知識や、将来の予期せぬ出費にも耐えられるだけの余裕を持った資金計画が必須となります。

セミリタイアなら必要資金は3000万円台に

セミリタイアは、完全に仕事から離れるのではなく、アルバイトやパート、フリーランスなどとして働き、ある程度の収入を得ながら生活するスタイルです。労働時間を大幅に減らし、自由な時間を確保しつつ、収入の空白期間をなくすことができます。

労働収入があるため、完全リタイアに比べて準備すべき資金額を大幅に抑えられるのが最大のメリットです。

例えば、40代でセミリタイアする場合、2000万円から3000万円程度の貯蓄でも生活していけるケースは少なくありません。

55歳からのセミリタイアであれば、年金受給開始までの10年間に月数万円でも収入があれば、資産の取り崩しを緩やかにでき、精神的な安心にもつながります。

完全リタイアは資金的に難しいと感じる人にとって、セミリタイアは現実的な選択肢といえるでしょう。

自分に合った選択をするための判断軸

完全リタイアとセミリタイア、どちらが自分に合っているかを判断するためには、以下の3つの軸で考えてみましょう。

お金(資産状況)

重要な判断軸です。完全リタイアできるだけの十分な資産があるか、セミリタイアでどの程度の収入を見込めるかを冷静に評価します。

予期せぬ出費も考慮し、余裕を持った計画が立てられるかがポイントです。

働きがい・生きがい

仕事から完全に離れることに抵抗はないか、社会とのつながりを持ち続けたいか、という価値観も大事です。働くことにやりがいを感じるタイプなら、セミリタイアのほうが精神的な満足度が高いかもしれません。

退職後の趣味や目標が明確でない場合も、セミリタイアで社会との接点を保つほうがよいでしょう。

健康状態

自身の健康状態も考慮すべきです。健康に不安があり、フルタイムで働くのが難しい場合は、労働時間を調整しやすいセミリタイアが適している可能性があります。

逆に、健康でアクティブに活動したいという思いが強いなら、完全に仕事から解放される完全リタイアが魅力的に映るでしょう。

まずは今の状況に合わせて将来いくら必要なのか、シミュレーションしませんか。

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55歳で早期退職できる人・できない人の分岐点

55歳での早期退職は、誰にでも可能なわけではありません。退職しても問題ない人と、退職すると生活が破綻するリスクが高い人には明確な違いがあります。

自身がどちらに当てはまるか、冷静に判断することが鍵となります。

退職しても問題ないケース

55歳で早期退職しても問題ないと考えられるのは、以下のような条件を満たしている人です。

  • 十分な金融資産がある: シミュレーションで算出した必要資金額を上回る貯蓄や投資資産を保有している。
  • 安定した不労所得がある: 不動産収入や株式の配当金など、働かなくても毎月安定した収入が見込める。
  • 住宅ローンなどの負債がない: 借入金がなく、毎月の固定支出が少ない。
  • 子どもの教育費のめどが立っている: 子どもがすでに独立している、または教育資金を別途確保済みである。
  • 明確なリタイア後の計画がある: 趣味や社会貢献活動など、生きがいとなる活動計画が具体的に立てられている。

これらの条件を複数満たしているほど、安心して早期退職に踏み切ることができるでしょう。

退職は危険なケース

一方で、以下のような状況にある人が55歳で退職するのは危険といえます。

  • 貯蓄が不十分: 必要資金額に遠く及ばず、退職金頼みの資金計画になっている。
  • 多額の住宅ローンが残っている: 退職後も高額なローン返済が続く。
  • 子どもの教育費がこれからピークを迎える: 大学進学など、今後支出が控えている。
  • 資産運用に失敗した: 資産を増やすつもりが、逆に減らしてしまった。
  • 退職後のプランが漠然としている: 「ただ休みたい」だけで、具体的な生活設計がない。

中でも、想定よりも生活費がかさんでしまう、資産運用に失敗して資産が大幅に減ってしまうといった理由で、資金が底をついてしまうケースは少なくありません。

一度退職すると再就職は容易ではないため、安易な決断は禁物です。

判断に迷った人がとるべき行動

55歳ではなく、57歳や58歳に退職を延期するだけでも、資金計画は大きく改善します。退職を数年遅らせることで、以下の「3つの金銭的メリット」が得られるためです。

  • 取り崩し期間の短縮: 働いている間は、貯蓄を取り崩さずに済みます。
  • 資金の積み増し: 労働収入を得ることで、さらに貯蓄や投資に資金を回せます。
  • 年金額の増加: 厚生年金の加入期間が延びるため、将来受け取れる年金額が増加します。

「資金が足りるかぎりぎりのライン」と迷う場合は、完全に退職する時期を数年後ろ倒しにするだけで、老後の資金ショート(家計破綻)のリスクを大幅に抑える効果が期待できます。

早期退職前に必ずやるべき準備

重要な決断を後悔しないためには、事前の入念な準備が不可欠です。勢いで会社を辞めてしまう前に、必ず以下の項目をチェックし、具体的な準備を進めましょう。

詳細な生活費シミュレーションを作る

早期退職の計画で重要なのが、退職後の生活費を正確に把握することです。統計データの平均値だけを参考にするのではなく、自身の家計簿をもとに、リアルな支出を洗い出しましょう。

食費や光熱費といった毎月の支出だけでなく、固定資産税、自動車関連費用、冠婚葬祭費、旅行費用など、年に数回発生する特別な支出も忘れずにリストアップします。

ポイントの解説

ここでありがちな落とし穴が、日々の「お酒代」や趣味の費用など、習慣的な支出を過小評価してしまうことです。こうした出費の計算が漏れていると、リタイア後に想定よりも早く資金が底をつく原因になります。

自身のライフスタイルを正直に反映させた、詳細なシミュレーションを作成することが成功の第一歩です。

健康保険と年金の切り替え手続きを理解する

会社を退職すると、それまで加入していた健康保険や厚生年金は資格を喪失します。退職後は、自身で国民健康保険と国民年金への切り替え手続きを行わなければなりません。

健康保険については、退職後も2年間は会社の健康保険を継続できる「任意継続制度」を選択することも可能です。

任意継続の場合、在職中は会社が半額負担していた保険料を全額自己負担することになりますが、国民健康保険料と比較してどちらが有利か、お住まいの市区町村役場で試算してもらいましょう。

また、国民年金は60歳まで加入義務があります。55歳で退職した場合、残りの5年間は国民年金保険料(月額1万7920円、令和8年度)を自分で納付する必要があります。

配偶者が扶養に入っていた場合、配偶者も同様に国民年金保険料の支払いが発生することも忘れてはいけません。

退職金の受け取り方と税金対策  

退職金は、受け取り方によって手取り額が変わるため、税金の仕組みを理解しておくことが肝となります。

受け取り方には、主に「一時金」として一括で受け取る方法と、「年金」として分割で受け取る方法があります。

一時金で受け取る場合、「退職所得控除」という税制優遇が適用されます。勤続年数に応じて控除額が計算され、多くの場合は税負担が軽くなります。

一方で、年金形式で受け取る場合は「公的年金等控除」の対象となりますが、毎年の雑所得として他の所得と合算して課税されるため、国民健康保険料や介護保険料の算定にも影響します。

どちらが有利かは、退職金の額や他の所得状況によって異なります。多くの企業では受け取り方を選択できるため、事前に税金のシミュレーションを行い、自身にとって最適な方法を選ぶようにしましょう。

住宅ローンや借入金の整理

早期退職時に住宅ローンなどの借入金が残っている場合、借入金の返済計画を明確にしておく必要があります。収入がなくなる中で、毎月のローン返済は負担となるからです。

選択肢としては、主に以下の3つが考えられます。

  1. 退職金で一括返済する: 残りの利子を支払わなくて済むメリットがありますが、手元の資金が減少し、他の用途に回せなくなるデメリットがあります。
  2. 一部を繰り上げ返済する: 手元資金とのバランスを取りながら、毎月の返済額や返済期間を短縮する方法です。
  3. 返済を続ける: 手元資金を温存できますが、収入がない中での返済は精神的な負担になる可能性があります。

近年は住宅ローン金利が低いため、急いで一括返済するメリットは以前より薄れています。また、団体信用生命保険に加入していれば、万一の場合に返済が免除されるという利点もあります。

自身の資産状況や金利、健康状態などを総合的に考慮し、慎重に判断することが大切です。

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退職後の資産を減らさない運用の考え方

早期退職後の生活では、退職金や貯蓄といった限られた資産をいかに長持ちさせるかが重要になります。

資産をただ取り崩すだけでなく、適切に運用して「お金にも働いてもらう」という視点が不可欠です。

4%ルールと取り崩しの基本|日本で実践する際の注意点

資産を運用しながら取り崩すための具体的な目安として、FIRE(経済的自立と早期退職)を目指す人々の間でよく知られているのが「4%ルール」です。

これは米国の研究結果に基づき、「年間の生活費を投資元本の4%以内に抑えて運用しながら取り崩せば、資産が枯渇するリスクを抑えられる」という理論です。

このルールを適用するためには「年間生活費の25倍」の資産が必要とされ、例えば年間の生活費が300万円なら、7500万円の資産が目安となります。

注意点

しかし、「お金に働いてもらう」といっても、この理論はあくまで「過去の米国の市場成長率とインフレ率」を前提としている点に注意が必要です。

日本において資産を長持ちさせるには、より保守的な「3%ルール(生活費の約33倍の資産)」を安全な目安としたり、NISAを最大限活用して税金コストを抑えたりする工夫が推奨されます。

米国の理論を鵜呑みにせず、日本の税制や為替リスクを踏まえた現実的な取り崩し計画を立てることが、運用を成功させる鍵となります。

日本に住む私たちが実践する場合、以下の日本特有の事情を考慮しなければなりません。

税金の影響(約20%の課税)

日本では、投資の利益に対して20.315%の税金がかかります(新NISA口座での運用分を除く)。運用益から4%を取り崩したとしても、税金が引かれるため実際の手取り額は目減りし、生活費が不足する可能性があります。

為替変動リスク

4%以上のリターンを狙って米国株や全世界株に投資する場合、為替の変動リスクが伴います。急激な円高が進んだタイミングで取り崩しを行うと、日本円に換算した際の資産価値が大きく下がってしまいます。

低成長・低金利の国内環境

日本の国内資産(日本株や国内債券)だけで、安定して物価上昇率+4%のリターンを出し続けることは容易ではありません。

50代後半からの資産運用の鉄則

55歳からの資産運用は、20代や30代のように積極的にリスクを取って資産を増やす「攻めの運用」ではなく、築き上げた資産をいかに守り、安定的に活用していくかという「守りの運用」が基本となります。

投資先の例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 投資信託・ETF: 専門家が運用し、手軽に分散投資が可能です。国内外の株式や債券にバランスよく投資する商品もあります。
  • 国債・社債: 元本割れのリスクが低く、安定した利子収入が期待できます。ポートフォリオの安定性を高める役割を果たします。

これらの資産をバランスよく組み合わせ、自身のリスク許容度に合わせたポートフォリオを構築することが、50代後半からの運用の鉄則といえるでしょう。

インフレリスクへの備え

早期退職後の長期的な生活で警戒すべきリスクの1つがインフレ(物価上昇)です。インフレが続くと、お金の価値が実質的に目減りし、同じ金額で買えるモノやサービスが少なくなってしまいます。

ポイントの解説

例えば、年間300万円で生活できていたとしても、物価が10%上昇すれば、同じ生活水準を維持するために330万円が必要になります。預貯金だけで資産を保有していると、インフレによって資産価値がどんどん低下してしまうのです。

インフレリスクに備えるためには、資産の一部をインフレに強いとされる資産で保有することが有効です。

  • 株式: 企業の売上や利益はインフレに伴って増加する傾向があるため、株価も上昇しやすいとされています。
  • 不動産(REIT): 不動産の価値や家賃収入は、物価上昇に合わせて上昇する傾向があります。

資産の一部をこれらの資産に振り分けることで、インフレによる資産価値の目減りを軽減(カバー)する効果が期待でき、長期的な資産の保全を目指すことができます。

55歳早期退職で後悔しないための心構え

早期退職は、お金の準備だけで成功するわけではありません。退職後の長い人生を豊かに過ごすためには、心構えも大事です。後悔しないために、お金以外の側面についても考えておきましょう。

お金だけでは幸せになれない現実

十分な資金を準備して早期退職を果たしたとしても、それだけで幸せな生活が保証されるわけではありません。多くの人が退職後に直面するのが、「生きがい」の喪失です。

長年打ち込んできた仕事がなくなると、社会的な役割や達成感を得る機会が失われ、虚無感に襲われることがあります。自由な時間を持て余し、「何をしていいかわからない」という状態に陥る人も少なくありません。

早期退職を成功させるためには、資金計画と同時に、退職後に何をしたいのか、何に情熱を注ぎたいのかを明確にしておくことが不可欠です。趣味、学習、ボランティア活動など、仕事に代わる新たな生きがいを見つける準備をしておきましょう。

段階的な退職という選択肢

「55歳で完全に仕事を辞める」というオール・オア・ナッシングの考え方ではなく、段階的に仕事から離れていくという選択肢も有効です。これはセミリタイアの考え方に近いものです。

例えば、まずはフルタイム勤務から時短勤務や業務委託契約に切り替えて、労働時間を減らしながら自由な時間を増やしていく方法です。これにより、収入を維持しつつ、リタイア後の生活をシミュレーションすることができます。

「いきなり無職になるのは不安」と感じる人にとって、段階的な移行は、経済的にも精神的にも負担を軽減する賢明なアプローチといえるでしょう。完全に仕事から離れるのは、新しい生活に慣れてからでも遅くはありません。

退職後のコミュニティを作る

退職によって、職場の同僚という身近な人間関係が失われます。その結果、社会から孤立し、孤独感に悩まされるケースは少なくありません。

こうした事態を避けるためには、退職前から職場以外のコミュニティに参加しておくことが肝となります。

  • 趣味のサークルやスポーツクラブ
  • 地域のボランティア活動
  • 生涯学習センターの講座
  • 地元のイベント

趣味やボランティアなどの活動を通じて、利害関係のない新しい友人や知人を作っておくことで、退職後の生活がより豊かなものになります。地方や海外への移住を考えている場合は、移住先のコミュニティに事前に参加し、人間関係を築いておくとスムーズに新生活を始められるでしょう。

55歳早期退職に関するよくある質問

ここでは、55歳での早期退職に関して多くの方が抱く疑問について、Q&A形式で簡潔にお答えします。

Q. 退職金なしでも早期退職できる?

退職金がなくても早期退職は不可能ではありません。しかし、その分を補うだけの十分な預貯金や資産所得が必要です。

退職金は老後資金の柱であるため、それがない場合はより多くの自己資金が求められ、実現のハードルはかなり高くなります。

Q. 55歳と60歳、どちらで辞めるべき?

金銭面だけを考えれば、60歳定年まで働くほうが有利です。5年間長く働くことで収入が増え、退職金や年金受給額も増加します。

一方、55歳で退職すれば、より健康で活動的な時間を長く楽しめます。お金と時間のどちらを優先するか、自身の価値観で判断することが大切です。

Q. 早期退職後に再就職は可能?

可能性はゼロではありませんが、年齢やキャリアの空白期間が長くなるほど難しくなるのが現実です。正社員での再就職は厳しいでしょう。

再就職の可能性も視野に入れるなら、完全に仕事を辞めるのではなく、セミリタイアという形で社会との接点を持ち続けるほうが賢明です。

まとめ

55歳での早期退職は、十分な準備と計画があれば実現可能な選択肢です。必要な資金額は、単身世帯で約5000万円以上、夫婦世帯では1億円以上が1つの目安となりますが、これはあくまで平均的なデータに基づいたものです。

重要なのは、自身のライフプランに合わせた詳細なシミュレーションを行い、現実的な資金計画を立てることです。また、完全に仕事から離れる「完全リタイア」が難しい場合でも、労働収入を得ながら自由な時間を増やす「セミリタイア」という現実的な選択肢もあります。

早期退職は、お金だけでなく、健康や生きがいといった要素も関わってきます。本記事で紹介した判断基準や準備すべきことを参考に、後悔のないセカンドライフへの第一歩を踏み出してください。

自身の状況で、具体的にいくら必要なのか、どのような準備をすべきか知りたい方は、専門家の視点も参考にしてみましょう。

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監修
高橋 明香
  • 高橋 明香
  • ファイナンシャルアドバイザー/CFP®認定者

みずほ証券(入社は和光証券)では、20年以上にわたり国内外株、債券、投資信託、保険の販売を通じ、個人・法人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に従事。2021年に株式会社モニクルフィナンシャル(旧:株式会社OneMile Partners)に入社し、現在は資産運用に役立つコンテンツの発信に注力。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、一種外務員資格(証券外務員一種)保有。

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執筆
マネイロメディア編集部
  • マネイロメディア編集部
  • お金のメディア編集者

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