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65歳以上で年金以外の収入はいくらまで?確定申告・住民税・年金減額の3つの基準を解説

65歳以上で年金以外の収入はいくらまで?確定申告・住民税・年金減額の3つの基準を解説

年金2026/04/15
  • #60代

»あなたの年金はいくら?老後に不足する金額を3分でシミュレーション 

65歳以上で年金をもらいながら働きたいけれど、税金や年金減額が心配ではありませんか?年金以外の収入を得る際には、いくつかの「収入の壁」が存在します。

本記事では「確定申告」「住民税」「年金減額」という3つの基準を基に、年金以外の収入がいくらまでなら損しないのかを専門家がわかりやすく解説します。

この記事を読んでわかること
  • 確定申告が不要になる年金以外の「所得20万円」の基準
  • 住民税が非課税になる年金と合わせた「所得45万円」の壁
  • 年金が減額される在職老齢年金の「月額65万円」の基準


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65歳以上の年金受給者が知っておくべき「収入の壁」とは

65歳以上の人が年金を受け取りながら働く場合、意識すべき「収入の壁」は1つではありません。税金の負担に関わる壁、社会保険料に関わる壁、そして年金の支給額そのものに関わる壁が存在します。

これらの基準はそれぞれ目的も金額も異なるため、混同せずに正しく理解することが、手取り収入を最大化するための第一歩です。

3つの基準は別物:混同しないための整理

65歳以上の人が年金以外に収入を得る際に、特に重要な基準は「確定申告」「住民税」「年金減額」の3つです。

それぞれの基準となる金額や目的が異なるため、自分にとってどの基準が影響するかを把握しておく必要があります。

基準の種類

内容

内容

目安となる金額

目安となる金額

判断基準

判断基準

確定申告

内容

所得税の申告が不要になるかどうかの基準

目安となる金額

年金以外の所得20万円

判断基準

所得

住民税

内容

住民税が非課税になるかどうかの基準

目安となる金額

年金と合わせた所得45万円(単身)

判断基準

所得

年金減額

内容

厚生年金が減額されるかどうかの基準

目安となる金額

年金と給与の合計月額65万円

判断基準

収入

注意点

確定申告と住民税の基準は「所得」、年金減額は「収入」で判断するなど、基準ごとに用いる指標が違う点に注意が必要です。

「収入」と「所得」の違いを理解する

税金や社会保険の基準を理解する上で、「収入」と「所得」の違いを把握しておくことは不可欠です。

  • 収入:給与や年金として受け取った総支給額のことです。税金や社会保険料が引かれる前の金額を指します。
  • 所得:収入から必要経費や各種控除額を差し引いた後の金額です。税金の計算の基になるのが所得です。

例えば、給与の場合は給与収入から「給与所得控除」を、年金の場合は年金収入から「公的年金等控除」を差し引くことで、それぞれの所得が計算されます。

  • 給与所得 = 給与収入 - 給与所得控除
  • 年金に係る雑所得 = 年金収入 - 公的年金等控除

「収入の壁」を考える際は、当該基準が「収入」と「所得」のどちらを指しているのかを正しく見極めることが欠かせません。

確定申告が不要になる基準:年金以外の所得20万円以下

年金受給者の税務申告の負担を軽減するため、「確定申告不要制度」が設けられています。この制度の要件を満たせば、所得税の確定申告を行う必要がなくなります。

制度適用の基準の1つが、年金以外の所得が年間20万円以下であることです。

確定申告不要の2つの条件

所得税の確定申告が不要になるためには、以下の2つの条件を両方とも満たす必要があります。

  1. 公的年金等の収入金額が400万円以下であること
  2. 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下であること

公的年金等には、国民年金や厚生年金、企業年金などが含まれます。収入が公的年金だけで、当該金額が年間400万円以下であれば、確定申告は不要です。

年金以外にパート収入や個人年金などの収入がある場合は、それらの「所得」が年間20万円を超えるかどうかで判断します。

給与収入の場合:約85万円以下なら申告不要

パートやアルバイトによる給与収入がある場合、「所得20万円」を「収入」に換算して考える必要があります。

給与所得は、給与収入から給与所得控除(最低65万円)を差し引いて計算します。

  • 給与所得 = 給与収入 - 給与所得控除(65万円)

給与所得を20万円以下にするには、給与収入が85万円以下である必要があります。

  • 20万円(給与所得) = 85万円(給与収入) -65万円(給与所得控除)

したがって、年金収入が400万円以下の人であれば、パート収入を年間85万円以下に抑えることで、確定申告が不要になります。

副業・個人年金・一時所得も対象

所得20万円」の基準は、給与収入以外にも適用されます。

ポイントの解説

例えば、個人年金保険や原稿料などの副業収入は「雑所得」、生命保険の満期保険金などは「一時所得」として扱われ、これらの所得の合計が20万円以下であれば確定申告は不要です。

  • 雑所得(公的年金等以外):総収入金額から必要経費を引いた金額
  • 一時所得:総収入金額から経費と特別控除(最高50万円)を引いた後、さらに2分の1にした金額

複数の種類の所得がある場合は、それらをすべて合計した金額で20万円を超えるかどうかを判断します。

確定申告不要でも住民税申告は必要なケース

所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告が別途必要になることがあります。確定申告を行わないと、税務署から市区町村へ所得情報が連携されません。

そのため、以下のようなケースでは、住んでいる市区町村へ住民税の申告が必要です。

  • 公的年金以外の所得(給与、個人年金など)がある場合
  • 医療費控除や生命保険料控除などを住民税に適用させたい場合

住民税の申告をしないと、控除が適用されず税額が高くなったり、国民健康保険料の算定や各種行政サービスに影響が出たりする可能性があります。

確定申告をしない場合は、住民税の申告が必要かどうかを市区町村の窓口で確認しましょう。


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住民税が非課税になる基準:年金収入155万円以下

所得税とは別に、年金収入には住民税も課税されます。

住民税には所得税とは異なる非課税基準があり、特に65歳以上の人にとっては「年金収入155万円」が1つの目安となります。

この基準を下回るかどうかで、税負担だけでなく、介護保険料や医療費の自己負担額にも影響が及ぶため、重要な「壁」といえます。

単身世帯の場合:年金収入155万円以下

65歳以上で単身、他に所得がない場合、多くの自治体では年金収入が155万円以下であれば住民税が非課税となります。

これは、住民税の計算方法に関係しています。住民税の所得割が非課税になる合計所得金額の基準は、多くの自治体で45万円に設定されています。

65歳以上の人の公的年金等控除額は最低110万円なので、所得を45万円以下にするには、収入が155万円以下である必要があるのです。

  • 45万円(年金所得) = 155万円(年金収入) - 110万円(公的年金等控除)

この「155万円の壁」を下回ると、住民税が非課税になるだけでなく、国民健康保険料や介護保険料の軽減措置を受けられるメリットがあります。

年金以外の収入がある場合の計算方法

年金以外にパートなどの給与収入がある場合、それぞれの所得を合計した「合計所得金額」で住民税が課税されるか判断します。

単身世帯の場合、合計所得金額が45万円以下であれば、住民税の所得割は非課税となります。

  • 合計所得金額 = 年金所得 + 給与所得

例えば、年金収入が120万円(所得10万円)、パート収入が85万円(所得20万円)の場合を考えてみましょう。

  • 年金所得:120万円 - 110万円 = 10万円
  • 給与所得:85万円 - 65万円 = 20万円
  • 合計所得金額:10万円 + 20万円 =30万円

このケースでは合計所得金額が30万円となり、45万円の基準を下回るため、住民税は非課税となる可能性が高いです。

自治体によって異なる非課税基準

住民税の非課税基準額は、全国一律ではありません。住んでいる市区町村が定める条例によって基準が異なり、特に都市部と地方では金額に差が見られます。

これは、生活保護基準の級地区分(1級地~3級地)に応じて、非課税限度額が設定されているためです。

ポイントの解説

例えば、都市部(1級地)では単身世帯の非課税基準が合計所得45万円(年金収入155万円)ですが、地方の自治体では合計所得41万5000円(年金収入151万5000円)など、基準が低く設定されている場合があります。

正確な非課税ラインを知るためには、自身の住民票がある市区町村のWebサイトを確認するか、税務担当課に問い合わせることをおすすめします。

年金が減額される基準:在職老齢年金の月額65万円

厚生年金に加入しながら働く65歳以上の人は、「在職老齢年金」という制度に注意が必要です。これは、年金の月額と給与・賞与の合計が一定額を超えると、年金の一部または全部が支給停止される仕組みです。

税金とは全く別の基準であり、特に高めの給与を得ながら働く場合に影響が出ます。2025年度の基準額は51万円でしたが、2026年4月からは65万円に引き上げられました。

在職老齢年金の仕組み

在職老齢年金は、老齢厚生年金を受け取っている人が、厚生年金保険の被保険者として働く場合に適用されます。

年金の支給額は、以下の2つの合計額によって調整されます。

  1. 基本月額:老齢厚生年金の月額(加給年金額を除く)
  2. 総報酬月額相当額:当該月の標準報酬月額と、当該月以前1年間の標準賞与額の合計を12で割った額

この2つの合計が基準額(65万円)を超えた場合、超えた額の2分の1が年金から支給停止されます。

  • 支給停止額 = (基本月額 + 総報酬月額相当額 - 65万円) ÷ 2

なお、この制度の対象となるのは老齢厚生年金のみで、老齢基礎年金は全額支給されます。

減額される年金の計算例

具体的な計算例を見てみましょう。

【条件】

  • 基本月額(老齢厚生年金):15万円
  • 総報酬月額相当額(給与・賞与):55万円

  1. 合計額の計算 15万円 + 55万円 = 70万円
  2. 支給停止額の計算 合計額(70万円)が基準額(65万円)を5万円超えています。(70万円 - 65万円) ÷ 2 = 2万5000円 この場合、毎月2万5000円の年金が支給停止されます。
  3. 実際に支給される年金額 15万円(本来の年金額) - 2万5000円(支給停止額) =12万5000円

この結果、毎月の老齢厚生年金の支給額は12万5000円となります。老齢基礎年金は減額されずに全額支給されます。

65歳以上は基準が緩和されている

現在の在職老齢年金制度では、65歳未満の人も65歳以上の人も同じ基準額(65万円)が適用されます。

しかし、かつては65歳未満の基準額が低く設定されており、働きながら年金を満額受け取るのが難しい状況でした。

ポイントの解説

2022年4月の制度改正により、65歳未満の基準額が65歳以上と同じ額に引き上げられました。これにより、60代前半で働く人も年金が減額されにくくなり、より柔軟な働き方が可能になっています。

ただし、65歳未満の場合、失業保険(基本手当)を受け取ると年金が全額支給停止になるなど、65歳以上とは異なるルールも存在するため注意が必要です。

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ケース別シミュレーション:あなたはどの基準に該当する?

ここまで解説した3つの基準(確定申告、住民税、年金減額)が、実際の収入状況でどのように適用されるか、具体的なケースでシミュレーションしてみましょう。

自身の状況と照らし合わせながら、どの「壁」に注意すべきかを確認してください。

年金155万円+パート収入50万円の場合

このケースでの各基準への該当状況は以下の通りです。

【確定申告不要】

  • 年金所得:45万円(155万円 - 110万円)
  • パート所得:0円(50万円 - 65万円)
  • 年金以外の所得が20万円以下のため、確定申告は不要です。

【住民税非課税の可能性が高い】

  • 合計所得金額:45万円(45万円 + 0円)
  • 多くの自治体で非課税となる所得45万円の基準内のため、住民税はかからない可能性が高いです。

【年金減額対象外】

  • 年金月額約12万9000円+パート月収約4万2000円=合計約17万1000円
  • 基準額65万円を大幅に下回るため、年金の減額はありません。

年金200万円+給与収入100万円の場合

このケースでの各基準への該当状況は以下の通りです。

【確定申告必要】

  • 年金所得:90万円(200万円 - 110万円)
  • 給与所得:35万円(100万円 - 65万円)
  • 年金以外の所得(35万円)が20万円を超えるため、確定申告が必要です。

【住民税課税対象】

  • 合計所得金額:125万円(90万円 + 35万円)
  • 非課税基準を上回るため、住民税が課税されます。

【年金減額対象外】

  • 年金月額約16万7000円+給与月収約8万3000円=合計約25万円
  • 基準額65万円を下回るため、年金の減額はありません。

年金180万円+給与収入480万円の場合

このケースでの各基準への該当状況は以下の通りです。

【確定申告必要】

  • 年金所得:70万円(180万円 - 110万円)
  • 給与所得:340万円(480万円 -140万円)
  • 年金以外の所得が20万円を大幅に超えるため、確定申告が必要です。

【住民税課税対象】

  • 合計所得金額:410万円(70万円 + 340万円)
  • 非課税基準を上回るため、住民税が課税されます。

【年金減額対象】

  • 年金月額15万円+給与月収40万円=合計55万円
  • 基準額65万円を下回るため、年金の減額はありません。

年金以外の収入を得る際の注意点

65歳以上の人が年金以外に収入を得る際には、税金や年金減額の基準だけでなく、他にも注意すべき点があります。

特に社会保険料の負担や、配偶者の扶養から外れる可能性については、手取り額に直接影響するため、事前に確認しておくことが大切です。

社会保険料の負担増加

パートやアルバイトとして働く場合、勤務時間や収入が一定の基準を超えると、社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入義務が発生します。

様々な見直しが進められていますが、いわゆる「106万円の壁」や「130万円の壁」がこれにあたります。

ポイントの解説

社会保険に加入すると、給与から保険料が天引きされるため、手取り額が減少します。一方で、厚生年金に加入することで将来受け取る年金額が増える、健康保険から傷病手当金が受けられるといったメリットもあります。

目先の手取り額だけでなく、将来の保障も考慮して働き方を検討することが大事です。

(参考:「年収の壁」への対応|厚生労働省

配偶者の扶養から外れる可能性

配偶者の社会保険の扶養に入っている場合、自身の年収が180万円以上になると、扶養から外れなければなりません。

60歳以上の場合、扶養の認定基準が年収130万円ではなく180万円に緩和されています。

扶養から外れると、自身で国民健康保険に加入し、保険料を支払う必要があります。これにより、世帯全体での手取り額が減少する可能性があります。

また、税法上の扶養(配偶者控除・配偶者特別控除)の基準は社会保険とは別であり、自身の合計所得金額に応じて配偶者が受けられる控除額が変わる点にも注意が必要です。

確定申告をしたほうが得なケース

確定申告が不要な条件に当てはまる人でも、あえて申告をすることで税金が戻ってくる「還付申告」ができる場合があります。

年金からは、各種控除が反映されない概算の所得税が源泉徴収されているためです。

以下のような控除を受けられる場合は、確定申告を検討しましょう。

  • 医療費控除:1年間の医療費が高額になった場合
  • 生命保険料控除・地震保険料控除:保険料を支払っている場合
  • 寄附金控除:ふるさと納税などをした場合
  • 雑損控除:災害や盗難の被害にあった場合

これらの控除を適用することで、払い過ぎた所得税が還付される可能性があります。
還付申告は、対象となる年の翌年1月1日から5年間行うことができます。

65歳以上の年金受給者に関するよくある質問

ここでは、65歳以上で年金以外に収入がある人から寄せられることが多い質問と回答をまとめました。

Q. 年金以外の所得20万円以下でも申告は必要?

所得税の確定申告は原則不要です。

ただし、医療費控除などで税金の還付を受けたい場合や、年金以外の所得があることで住民税の申告が別途必要になる場合があります。

Q. 年金155万円以下なら働いても非課税?

住民税が非課税になる可能性は高いですが、必ずしも非課税とは限りません

パート収入などと合わせた「合計所得金額」で判断され、また住んでいる自治体によって基準が異なるためです。

Q. 在職老齢年金で減額されるのはどんな人?

厚生年金を受け取りながら会社員として厚生年金に加入して働く人で、「老齢厚生年金の月額」と「給与・賞与の月額換算額」の合計が65万円を超える人が対象です。自営業の人や、厚生年金に加入しない働き方の人は対象外です。

まとめ

65歳以上の人が年金以外に収入を得る際には、「確定申告(所得20万円)」「住民税(所得45万円)」「年金減額(月額65万円)」という3つの異なる基準を理解しておくことが必須です。

これらの「壁」はそれぞれ目的や計算方法が違うため、混同しないように注意しましょう。

特に住民税の非課税ラインは、税金だけでなく医療費や介護保険料の負担にも影響するため、家計全体で差が生まれる可能性があります。

自身の収入状況や働き方に合わせて、どの基準を意識すべきかを把握し、損のない選択をすることが大切です。働き方や税金について不明な点があれば、税務署や住んでいる市区町村、年金事務所などの専門機関に相談することをおすすめします。

自身の状況を正しく把握し、賢く働くための第一歩として、まずは将来の資金計画を具体的にしてみませんか?

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監修
黒澤 伸
  • 黒澤 伸
  • 税理士/社会保険労務士/CFP®認定者

東京都出身。中央大学商学部会計学科を卒業後、東京国税局に入局。国税庁、東京国税局等に38年間勤務し、2023年に高松国税局長を最後に退官。同年、黒澤伸税理士事務所を開設し、2024年には社会保険労務士としても登録。現在は、税務・会計、社会保険、労働保険等の士業務を中心に、CFPとして事業者のトータルサポートを行っている。

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執筆
マネイロメディア編集部
  • マネイロメディア編集部
  • お金のメディア編集者

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