

個人年金保険を60代で一括払いするメリットは?おすすめの理由と退職金を活かす選び方
»あなたの年金はいくら?老後に不足する金額を3分でシミュレーション
「退職金をどう運用すればよいかわからない」「公的年金だけでは老後が不安」といったお悩みはありませんか。
60代は、まとまった資金を手にすることが多く、老後を見据えた資産形成を始める1つの機会です。
本記事では、60代の人が個人年金保険を一括払いで始めるメリット・デメリット、自身の状況に合った保険の選び方を専門家が解説します。
退職金を賢く活用し、安心できるセカンドライフを送りましょう。
- 60代は退職金を活用でき、個人年金保険を始めるのに適したタイミングである
- 一括払いは月々の負担がなく、保険料総額を抑えられるメリットがある
- 途中解約での元本割れやインフレリスクなどのデメリットも理解する必要がある
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60代で個人年金保険を検討する人が増えている背景

定年退職を迎える60代は、老後生活への期待と同時に、お金に関する不安が現実味を帯びてくる年代です。
公的年金だけではゆとりある生活が難しいという認識が広まるなか、老後資金を準備する手段として個人年金保険が注目されています。
退職金をどう使うかが老後を左右する
60代は多くの人が定年退職を迎え、まとまった退職金を受け取ります。
令和5年就労条件総合調査によると、大卒・大学院卒(管理・事務・技術職)の定年退職者は平均1896万円、管理・事務・技術職の平均的な退職金は約1700万円から約1900万円となっています。
この資金をいかに有効活用するかが、その後の生活の質を左右します。
超低金利が続く現在、退職金を銀行預金に預けておくだけでは資産を増やすことは困難です。そのため、着実に資産を準備する手段として、個人年金保険が有力な選択肢の1つとなっています。
退職金を元手にした「一括払い」は、その後の保険料負担がなく、計画的に老後資金を準備できるため、60代の人から関心が高まっています。
(参考:令和5年就労条件総合調査 結果の概況|厚生労働省)

60代からでも遅くない理由
「もう60代だから、今から保険に入っても遅いのでは」と考える人もいるかもしれません。
しかし、現在の60歳の平均余命は、男性が約24年、女性が約29年とされており、老後生活は20年以上にわたる長期戦となるのが一般的です。
さらに、90歳まで生存する確率は男性で4人に1人、女性では2人に1人以上とのデータもあり、「長生きリスク」、つまり長生きすることで生活資金が枯渇するリスクに備える必要性が高まっています。
60代から個人年金保険に加入しても、運用期間を確保し、将来の安定した収入源を作ることが十分に可能です。
例えば、60歳で一括払いの契約をすれば、65歳からの年金受け取り開始までに資産を増やし、公的年金だけでは不足しがちな生活費を補うことができます。
退職金というまとまった資金がある60代は、むしろ老後資金を準備するラストチャンスともいえるでしょう。
(参考:主な年齢の平均余命)
(参考:寿命中位数等生命表上の生存状況)
個人年金保険の一括払いとは
個人年金保険の保険料支払い方法には、毎月コツコツ支払う「月払い(平準払い)」のほかに、保険期間中の保険料を契約時にまとめて支払う「一括払い」があります。
60代で退職金を活用する場合、主に検討されるのが「一括払い」です。ここでは、一括払いの仕組みや、資産を増やす上で重要な「据え置き期間」「返戻率」について解説します。
一括払いと月払いの違い
個人年金保険の保険料は、毎月支払う「月払い」が一般的ですが、保険料をまとめて支払う「一括払い」を選択することも可能です。
一括払いは、月払いや年払いと比較して、支払う保険料の総額が割安になる傾向です。
保険会社は、契約者から受け取った保険料を運用して利益を得ています。一括でまとまった保険料を受け取ることで、長期間にわたって安定した運用が可能になるため、その分が保険料の割引として契約者に還元される仕組みです。
退職金などのまとまった資金がある60代にとっては、支出を抑えつつ効率的に老後資金を準備できる合理的な選択肢といえるでしょう。
一括払いと全期前納払いの違い
保険料をまとめて支払う方法には、「一括払い」のほかに「全期前納払い」という選択肢もあります。
両者は混同されがちですが、保険料の扱いや税制面で違いがあります。自身の目的に合わせて適切な方法を選ぶために、それぞれの仕組みを正しく理解しておきましょう。
保険料の扱いの違い
一括払いと全期前納払いの違いは、保険料の扱いです。
- 一括払い: 保険期間全体の保険料を、契約時に「全額払い込む」方法です。支払いが完了した時点で、保険契約が有効になります。
- 全期前納払い: 保険期間全体の保険料に相当する金額を、契約時に保険会社に「預ける」方法です。保険会社は預かった資金から、毎年(または毎月)の保険料を契約に充当していきます。
この違いにより、万が一の時や解約時の対応が変わります。
一括払いはすでに全額を払い込んでいるため、被保険者が死亡した場合は死亡保険金のみが支払われます。一方、全期前納払いの場合は、死亡保険金に加えて、まだ保険料として充当されていない「未経過保険料」が返還されます。
一般的に、保険料の割引率は一括払いのほうが全期前納払いよりも高くなります。
税制上の違い
一括払いと全期前納払いは、税制上のメリットである「生命保険料控除」の扱いにおいても違いがあります。
- 一括払い: 保険料を支払った初年度のみ、生命保険料控除の対象となります。控除額には上限があるため、支払った保険料が多額であっても、控除額は一定の金額で頭打ちになります。
- 全期前納払い: 保険会社が毎年保険料を充当する形になるため、毎年、その年に充当された保険料額が生命保険料控除の対象となります。
毎年の所得税や住民税の負担を軽減したいと考える場合は、全期前納払いのほうが有利になる可能性があります。一方で、保険料の割引率を最大限に高めたい場合は一括払いが適しています。
どちらの方法が自身にとってメリットが大きいか、税制面と割引率の両方を考慮して判断することが鍵となります。
据え置き期間で受取額を増やす仕組み
個人年金保険には、保険料の払い込み期間が満了してから年金の受け取りを開始するまでの間に「据え置き期間」を設けることができる商品があります。
この期間を設けることで、保険会社が年金の原資を運用する時間が長くなり、結果として将来受け取れる年金額を増やす効果が期待できます。
例えば、60歳で保険料を一括で払い込み、年金の受け取り開始を65歳に設定した場合、5年間が据え置き期間となります。この間、払い込んだ保険料は保険会社の予定利率で運用され続けます。
すぐに年金を受け取る必要がない場合は、据え置き期間を活用することで、より多くの年金を受け取ることが可能です。
退職後、公的年金の受給が始まる65歳までのつなぎ資金が不要な人や、少しでも有利な条件で資産を増やしたい人にとって、有効な戦略の1つといえるでしょう。
返戻率とは何か
返戻率(へんれいりつ)とは、支払った保険料の総額に対して、将来受け取れる年金の総額がどれくらいの割合になるかを示す数値です。個人年金保険の貯蓄性を判断する上で重要な指標となります。
計算式は以下の通りです。
- 返戻率(%) = 受け取る年金総額 ÷ 支払う保険料総額 × 100
返戻率が100%を超えていれば、支払った保険料よりも多くの年金を受け取れることを意味します。例えば、返戻率が110%の場合、支払った保険料の1.1倍の金額が年金として戻ってくる計算です。
一般的に、一括払いは月払いよりも返戻率が高くなる傾向があります。また、契約者の年齢が若いほど、また据え置き期間が長いほど運用期間を長く確保できるため、返戻率は高くなります。
個人年金保険を選ぶ際には、この返戻率を複数の商品で比較検討することが、賢い選択につながります。
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60代が一括払いで個人年金保険に加入するメリット
60代で個人年金保険に加入する際、一括払いを選択することには多くのメリットがあります。
退職金というまとまった資金を有効活用でき、その後の家計管理もシンプルになります。預貯金として寝かせておくだけでなく、将来の安定収入に変えるための具体的な利点を見ていきましょう。
退職金をそのまま活用できる

60代で個人年金保険に一括払いで加入するメリットは、退職金などのまとまった資金を効率的に運用できる点です。
多くの人は定年退職時に退職金を受け取りますが、資金をただ銀行口座に預けておくだけでは、現在の超低金利下ではほとんど増えません。
個人年金保険の一括払いを利用すれば、まとまった資金を将来の安定した収入源へと転換させることが可能です。保険会社による運用を通じて、預貯金よりも高い利回りが期待でき、計画的に老後資金を準備できます。
退職金という資産を「守りながら増やす」ための有効な手段といえるでしょう。
月々の保険料負担がない
保険料を一括で支払うことで、その後の月々の保険料負担が一切なくなる点も、60代にとってメリットです。
退職後は現役時代に比べて収入が減少することが一般的であり、毎月の固定支出はできるだけ抑えたいと考える人が多いでしょう。
月払いの保険の場合、長期にわたって保険料を支払い続ける必要があり、家計の状況によっては負担になる可能性もあります。しかし、一括払いであれば契約時に支払いが完了するため、将来の家計を圧迫する心配がありません。
退職後の収支計画を立てやすくなり、精神的な安心感にもつながります。手間なく、かつ負担なく老後の準備を進められるのが一括払いの魅力です。
預貯金より高い利回りが期待できる
個人年金保険は、保険会社が契約者から預かった保険料を運用するため、現在の超低金利下にある銀行の預貯金よりも高い利回りが期待できます。退職金をただ預金口座に置いておくだけでは、資産価値はほとんど増えません。
一括払いの個人年金保険であれば、まとまった資金を保険会社が長期間運用できるため、契約者への還元(返戻率)も高くなる傾向があります。
例えば、返戻率が110%前後の商品もあり、これは支払った保険料が1.1倍になって戻ってくることを意味します。
もちろん、後述するリスクも存在しますが、インフレによる資産の目減りを防ぎ、少しでも有利な条件で老後資金を準備したいと考える人にとって、個人年金保険は魅力的な選択肢の1つです。
計画的に年金を受け取れる
個人年金保険は、契約時に「いつから(何歳から)」「どのくらいの期間」「いくらずつ」年金を受け取るかを決められるため、老後の資金計画を立てやすいというメリットがあります。
円建ての定額型個人年金保険であれば、将来受け取れる年金額が契約時に確定します。これにより、公的年金の受給額と合わせて、老後の収入を正確に見通すことが可能になります。
「毎月これだけの収入が確保できる」という見通しは、精神的な安心感につながります。趣味や旅行など、ゆとりのある生活を送るための資金計画も具体的に立てられるでしょう。
手元にお金があるとつい使ってしまうという人にとっても、計画的に資産を取り崩していく仕組みとして有効です。
60代の一括払いで注意すべきリスクとデメリット
一括払いの個人年金保険は多くのメリットがある一方で、注意すべきリスクやデメリットも存在します。
一度支払うと資金が長期間固定される「流動性の低さ」や、将来の物価上昇に対応しきれない「インフレリスク」は、契約前に必ず理解しておくべきポイントです。また、商品タイプによっては為替や運用のリスクも伴います。
途中解約すると元本割れする可能性が高い
一括払いの個人年金保険におけるデメリットは、資金の流動性が低いことです。一度保険料を支払うと、資金は長期間固定され、急な出費が必要になっても自由に引き出すことはできません。
途中で解約することは可能ですが、契約から数年以内の早期解約の場合、解約返戻金が支払った保険料を下回る「元本割れ」となる可能性が高いです。商品によっては、解約返戻金が支払った保険料の70%程度、あるいはそれ以下になることもあります。
そのため、一括払いで契約する際は、当面使う予定のない「余裕資金」で行うことが鉄則です。病気や介護などに備えるための生活防衛資金は、別途、預貯金などで確保しておく必要があります。
インフレに弱い(円建て定額型)

円建て定額型の個人年金保険は、将来受け取れる年金額が契約時に確定しているため安心感がありますが、一方でインフレ(物価上昇)に弱いというデメリットがあります。
インフレが進行すると、お金の価値は相対的に下がります。
例えば、将来毎月10万円の年金を受け取る契約をしていても、10万円で買えるモノやサービスの量は、物価が上昇すればするほど少なくなってしまいます。仮に年2%のインフレが10年続くと、お金の価値は約2割も目減りする計算です。
契約時に約束された金額は受け取れますが、実質的な価値が下がってしまうリスクがあることは理解しておく必要があります。
資産のすべてを定額型保険に集中させるのではなく、一部はインフレに強いとされる株式や不動産など、他の資産に分散投資することも検討するとよいでしょう。


為替リスクがある(外貨建て)
より高い利回りを期待して、米ドルや豪ドルなどの外貨で運用する「外貨建て個人年金保険」を選ぶ人もいます。しかし、外貨建て商品には「為替リスク」が伴うことを十分に理解しておく必要があります。
為替リスクとは、為替レートの変動によって、円に換算した際の資産価値が増減するリスクのことです。
例えば、契約時よりも年金受け取り時に円高が進んでいると、外貨ベースでは資産が増えていても、円換算すると支払った保険料を下回る「元本割れ」が発生する可能性があります。
為替レートの将来の動きを正確に予測することは専門家でも困難です。60代からの資産形成は「守り」を重視すべき年代であるため、為替の変動によって老後資金が目減りするリスクは慎重に検討する必要があります。
運用成績次第で元本割れもある(変額型)
「変額型個人年金保険」は、保険料を株式や債券などで運用し、運用実績によって将来受け取る年金額が変動する商品です。
市場が好調であれば高いリターンが期待できる一方、運用が不調な場合は支払った保険料を下回る「元本割れ」のリスクがあります。
多くの変額型商品は、元本が保証されていません。運用リスクはすべて契約者が負うことになります。60代からの資産形成では、運用期間が比較的短くなるため、短期的な市場の変動による影響を受けやすくなります。
資産を増やせる可能性がある反面、老後資金を減らしてしまうリスクも併せ持っているため、安定性を重視したい60代の人には慎重な検討が求められます。
もし変額型を選ぶ場合は、資産の一部にとどめる、最低保証が付いている商品を選ぶなどのリスク管理が不可欠です。
60代の個人年金保険のおすすめの選び方
60代の人が個人年金保険を選ぶ際は、自身の資産状況やリスクに対する考え方(リスク許容度)を明確にすることが欠かせません。
退職金という資産を「守りながら着実に増やしたい」のか、ある程度のリスクを取ってでも「積極的に増やしたい」のかによって、選ぶべき商品のタイプは異なります。
ここでは、それぞれの志向に合った選び方のポイントを解説します。
安全性重視なら円建て定額型

老後資金の準備において、元本割れのリスクを避け、計画性を重視したい人には「円建て定額型」の個人年金保険がおすすめです。
このタイプは、為替リスクがなく、契約時に将来受け取れる年金額が確定しているため、老後の資金計画を立てやすいのがメリットです。
金融庁も高齢者の資産運用においては、リスクの低い商品を選ぶことの重要性を指摘しています。60代からの資産形成は、リターンを狙う「攻めの運用」よりも、築き上げた資産を守る「守りの運用」が基本となります。
円建て定額型は、公的年金に上乗せする安定した収入源として、生活の土台を固めるのに適しています。
ただし、インフレで資産価値が目減りするリスクはあるため、資産のすべてを集中させるのではなく、他の金融商品と組み合わせることも検討しましょう。
運用益重視なら外貨建てや変額型
ある程度のリスクを許容でき、より高いリターンを目指したいと考える人には、「外貨建て」や「変額型」の個人年金保険も選択肢となります。これらの商品には、為替手数料や信託報酬などの費用がかかります。
外貨建ては、一般的に日本円よりも金利の高い米ドルなどで運用するため、円建てよりも高い利回りが期待できます。
変額型は、株式や債券などで積極的に運用するため、市場が好調な際には資産を増やせる可能性があります。
ただし、これらの商品はそれぞれ為替リスクや運用リスクを伴い、元本割れの可能性もあります。
60代からの資産形成においては、これらのリスクを十分に理解した上で、あくまで資産の一部で活用するのが賢明です。生活の基盤となる資金は円建て定額型で確保し、余裕資金の範囲内でこれらの商品を検討するのがよいでしょう。
受取期間は確定年金を主に検討
年金の受け取り方には、大きく分けて「確定年金」「有期年金」「終身年金」の3種類があります。
60代から加入する場合、自身のライフプランに合わせて選ぶことが重要ですが、まずは「確定年金」を基本に検討するのがおすすめです。それぞれの特徴を見ていきましょう。
有期年金
確定年金と同じく「10年」など受け取り期間が定まっていますが、年金が支払われるのは被保険者が生存している期間のみとなります。
期間満了まで生き付ければ予定通りの金額を受け取れます。しかし、受取期間中に亡くなった場合はその時点で支払いが終了するため、支払った保険料の総額を下回る(元本割れする)リスクがあります。
終身年金
被保険者が生きている限り一生涯受け取れるため、長生きリスクに備えられます。しかし、有期年金と同様に早く亡くなってしまった場合は元本割れする可能性があります。
確定年金
5年や10年など契約時に定めた期間、被保険者の生死にかかわらず確実に年金が支払われます。万が一、受取期間中に亡くなった場合でも、残りの期間に対応する年金または一時金が遺族に支払われます。
受け取れる総額が契約時に決まるため、老後の資金計画を立てやすい点が最大のメリットです。
まずは「確定年金」を選んで退職直後から一定期間の安定収入を確実に確保し、その後の長寿リスクには他の金融資産や公的年金で備えるという考え方が、計画性を重視したい60代のライフプランには適しているといえるでしょう。
据え置き期間を活用する
少しでも返戻率を高めたい場合、「据え置き期間」の活用が有効です。据え置き期間とは、保険料の払い込み満了後、年金の受け取りを開始するまでの期間のことです。
例えば、60歳で保険料を一括で払い込み、年金受け取りを65歳からに設定すると、5年間の据え置き期間が生まれます。この間、保険会社は預かった資金を運用し続けるため、その分、将来受け取れる年金額が増えることになります。
退職後すぐに年金を受け取る必要がなく、公的年金が始まるまでの期間などに自己資金で対応できる場合は、据え置き期間を設けることで、より有利な条件で資産を増やすことが可能です。
各保険会社の商品で、据え置き期間を設定した場合の返戻率がどのくらい変わるのか、シミュレーションしてみるとよいでしょう。
60代が個人年金保険以外で老後資金を増やす選択肢
老後資金の準備は、個人年金保険だけに頼る必要はありません。2024年から新制度が始まったNISA(少額投資非課税制度)は、税制上のメリットがあり、有力な選択肢となります。
個人年金保険の「安定性」と、NISAなどの「成長性」を組み合わせることで、よりバランスの取れた資産形成が可能です。
NISAで運用する

NISAは、年間最大360万円までの投資で得た利益(分配金や譲渡益)が非課税になる制度です。
非課税で保有できる期間は無期限で、生涯にわたる非課税保有限度額は1800万円と、非課税メリットを享受できます。
個人年金保険と異なり、投資信託や株式などで運用するため元本確保の機能はありませんが、インフレに強く、資産を成長させられる可能性があります。また、いつでも売却して現金化できるため、急な資金需要にも対応しやすい流動性の高さも魅力です。
60代からの運用では、リスクの取りすぎは禁物ですが、退職金の一部をNISAで運用し、個人年金保険と組み合わせることで、安定性と成長性の両方を追求できます。

iDeCoは60代からは不向き
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、掛金が全額所得控除になるなど強力な税制優遇が魅力の制度ですが、60代から始めるには不向きな面があります。
理由は、iDeCoで積み立てた資産は原則として60歳になるまで引き出せないという点です。
すでに60歳を迎えている人が加入する場合、加入期間に応じて受給開始年齢が61歳から65歳へと後ろ倒しになります。例えば、加入期間が10年未満の場合、60歳ですぐに受け取ることはできません。
また、会社員の場合は掛金の上限額が月1万2000円から2万3000円と比較的低く、短期間の加入では十分な資産を築くのが難しいのが実情です。
これらの理由から、60代の人がこれから老後資金を準備する手段としては、iDeCoよりもNISAや個人年金保険のほうが適しているといえるでしょう。


個人年金保険との使い分け
60代の資産形成では、個人年金保険とNISAを上手く使い分けることが肝となります。それぞれの役割を理解し、バランスの取れたポートフォリオを構築しましょう。
- 個人年金保険(円建て定額型): 「守りの資産」と位置づけ、老後の生活費の土台となる安定収入を確保する目的で活用します。「いつから、いくら受け取れるか」が確定しているため、計画的な資金計画の基盤となります。
- NISA: 「攻めの資産」と位置づけ、インフレ対策や、趣味・旅行などの「ゆとり資金」を作る目的で活用します。元本保証はありませんが、資産を成長させる可能性があります。
例えば、退職金のうち生活の基盤となる部分は個人年金保険の一括払いに充て、残りの余裕資金でNISAを活用するといった方法が考えられます。
このように役割を分けることで、リスクを管理しながら、安定と成長の両立を目指すことが可能になります。
個人年金保険に加入する際の確認ポイント
個人年金保険は長期にわたる契約であり、一度契約すると簡単には変更できません。
60代からの加入は、老後の生活に直結する決断となります。契約後に後悔しないためにも、いくつかのポイントを事前に確認しておくことが不可欠です。
商品の内容だけでなく、提供する保険会社の信頼性も確かめましょう。
返戻率を必ず確認する
個人年金保険を選ぶ上で、重要な指標の1つが「返戻率」です。
返戻率は、支払った保険料総額に対して、将来受け取れる年金総額がどのくらいの割合になるかを示します。この数値が高いほど、効率的に資産を増やせることを意味します。
複数の保険商品を比較する際には、必ず自身の年齢、性別、支払い方法(一括払い)、受取期間などの条件をそろえて、返戻率をシミュレーションしましょう。わずかな返戻率の違いでも、長期間の運用では受取総額に差となって現れます。
商品によっては、返戻率が110%を超えるものもあります。パンフレットやWebサイトのモデルケースだけでなく、自身の具体的なプランで見積もりを取り、有利な条件の商品を選ぶことが大切です。
保険会社の健全性を確認する
個人年金保険は、10年、20年と長期にわたる契約です。そのため、契約する保険会社の経営が健全であるかどうかを確認することもポイントです。
万が一、保険会社が破綻した場合でも、「生命保険契約者保護機構」によって責任準備金の90%までは保護されます。しかし、100%保証されるわけではなく、予定していた年金額が削減される可能性はゼロではありません。
保険会社の健全性を測る指標としては、「ソルベンシー・マージン比率」や、格付会社による「格付け」などがあります。
ソルベンシー・マージン比率は、通常の予測を超えるリスクに対してどれだけの支払余力があるかを示す指標で、200%以上が1つの目安とされており、これを下回ると金融庁による早期是正措置の対象となります。
ただし、現在の日本の生命保険会社の多くは、実務上500%〜1000%超というさらに高い水準を維持しています。
そのため、単に「200%を超えているから安心」と判断するのではなく、複数の会社を比較する際の目安として活用するとよいでしょう。
これらの情報を各社のWebサイトなどで確認し、安心して資産を預けられる会社を選びましょう。
専門家に相談する

個人年金保険は商品性が多様で、仕組みが複雑なものも少なくありません。外貨建てや変額型などは、リスクを正しく理解しないまま契約すると、思わぬ損失を被る可能性があります。
自分一人で判断するのが難しいと感じた場合は、保険のプロであるファイナンシャルプランナー(FP)や、複数の保険会社の商品を扱う保険代理店などに相談することをおすすめします。専門家は、中立的な立場からあなたの資産状況やライフプランをヒアリングし、適した商品を提案してくれます。
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個人年金保険に関するよくある質問
ここでは、60代の人が個人年金保険を検討する際によく抱く疑問について、Q&A形式で簡潔にお答えします。契約前の最終確認としてご活用ください。
Q. 一括払いと分割払いはどちらがお得?
支払う保険料の総額を抑えたい場合は、一括払いのほうがお得です。
一括払いは保険料の割引が適用されるため、月払いや年払いなどの分割払いに比べて支払総額が安くなります。また、返戻率(支払った保険料に対する受取総額の割合)も高くなる傾向があり、より効率的に資産を増やせます。
Q. 60代からでも個人年金保険は遅くない?
遅くありません。60歳の平均余命は男性約24年、女性約29年と、老後生活は長期にわたります。
退職金などのまとまった資金を活用できる60代は、むしろ個人年金保険を始めるのに適したタイミングです。公的年金が支給される65歳までの収入の空白期間を埋めたり、その後の生活にゆとりを持たせたりするために有効です。
Q. 途中で解約するとどうなる?
個人年金保険を途中で解約すると、多くの場合、解約返戻金がそれまでに支払った保険料の総額を下回る「元本割れ」が発生します。
契約から年数が経っていない早期の解約ほど、元本割れの幅は大きくなる傾向があります。急な出費に備える資金は別途確保し、あくまで余裕資金で加入することが欠かせません。
まとめ

60代は、退職金というまとまった資金を手にし、本格的に老後生活を考える時期です。公的年金だけでは不安が残るなか、個人年金保険の一括払いは、その後の保険料負担なく、計画的に安定収入を確保できる有効な手段です。
一括払いには、保険料が割安になる、返戻率が高いといったメリットがある一方、途中解約で元本割れしやすい、インフレに弱いといったデメリットも存在します。
自身の資産状況やリスク許容度に合わせて、安全性重視の「円建て定額型」や、収益性重視の「外貨建て・変額型」を慎重に選びましょう。
また、NISAなど他の資産運用と組み合わせることで、よりバランスの取れた老後資金の準備が可能です。本記事を参考に、自身に合ったプランを見つけ、安心で豊かなセカンドライフへの第一歩を踏み出してください。
自身の老後資金がどのくらい必要か、まずはシミュレーションで確認してみるのもおすすめです。
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