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FIREで年金はどれくらい減る?早期リタイア後の年金対策と65歳までの資産計画

FIREで年金はどれくらい減る?早期リタイア後の年金対策と65歳までの資産計画

お金2026/04/10

    »あなたの年金はいくら?老後に不足する金額を3分でシミュレーション 

    FIRE(経済的自立と早期リタイア)を目指したいけれど、将来の年金がどれくらい減るのか不安」と感じていませんか。早期リタイアをすると、会社員ではなくなるため、将来受け取る年金額に影響が出ます。

    本記事では、FIREによって年金がいくら減るのかを年代別にシミュレーションし、iDeCoや新NISAを活用した対策、65歳までの具体的な資産計画の立て方を専門家が解説します。

    自身の状況に合わせた最適なプランを見つけましょう。

    この記事を読んでわかること
    • FIREによる年金減少額の具体的なシミュレーション
    • 年金減少を補うためのiDeCoや新NISAの活用法
    • サイドFIREなど年金を減らさないための選択肢


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    FIREすると年金が減る理由

    FIRE(経済的自立と早期リタイア)を実現するために会社を辞めると、将来受け取る公的年金が減少する可能性があります。

    主な理由は、リタイアして以降は「厚生年金」に加入できず、「国民年金」のみに加入することになるためです。

    日本の公的年金は2階建て構造になっており、会社員は国民年金(1階部分)と厚生年金(2階部分)の両方に加入しています。

    しかし、退職して自営業者や無職になると、厚生年金から脱退し、国民年金のみに加入することになります。

    老齢厚生年金の額は加入期間と現役時代の収入によって決まるため、早期リタイアによって厚生年金の加入期間が短くなると、その分だけ将来の受給額が減ってしまうのです。

    厚生年金から国民年金への切り替え

    会社員や公務員がFIREを達成して退職すると、年金制度上の立場が変わります。

    具体的には、国民年金と厚生年金の両方に加入する「第2号被保険者」から、国民年金のみに加入する「第1号被保険者」へと切り替わります。

    日本の公的年金制度は、全国民共通の「国民年金(老齢基礎年金)」を1階部分とし、会社員などが上乗せで加入する「厚生年金(老齢厚生年金)」を2階部分とする構造です。

    FIREによって厚生年金から脱退すると、それ以降は2階部分の保険料を納めなくなるため、老齢厚生年金は増えません

    定年まで会社員や公務員として働いた場合と比べて受け取れる年金の総額が減少することとなります。

    厚生年金は「平均賃金」と「加入期間」で決まる

    将来受け取る老齢厚生年金の額を左右する主な要素は「現役時代の平均収入(平均標準報酬額)」と「厚生年金の加入期間」の2つです。

    ポイントの解説

    老齢厚生年金の金額は、基本的には「平均標準報酬額 × 一定の乗率 × 加入月数」という式で計算されます。平均標準報酬額の計算のもとになる標準報酬月額には上限がありますが、基本的には収入が高く、加入期間が長いほど受給額は増える仕組みです。

    FIREによって早期リタイアすると、本来60歳や65歳まで続くはずだった厚生年金の加入期間がそこで終了します。

    加入期間が短くなることは、計算式の「加入月数」が少なくなることを意味し、結果として生涯にわたって受け取る年金額の減少に直結します。

    一方、国民年金(老齢基礎年金)は収入にかかわらず、保険料を納付した期間に応じて金額が決まります。

    20歳から60歳までの40年間すべて納付すると満額が受け取れますが、未納期間があればその分減額されます。

    年齢別・年収別の年金減少シミュレーション

    FIREによる年金減少額は、リタイアする年齢が早いほど増加します。これは、厚生年金への加入期間が短くなるためです。

    ここでは、平均年収500万円で20歳から働き始めた人が30歳、40歳、50歳でFIREした場合、65歳まで働き続けた場合と比較して年金がどれくらい減るのかをシミュレーションします。

    自身の状況に近いモデルを参考に、早期リタイアが将来の年金に与える具体的な影響を把握しましょう。

    30歳でFIREした場合

    平均年収500万円の人が30歳でFIREした場合、将来の年金受給額は65歳まで働き続けた場合と比較して大幅に減少します。

    30歳でリタイアすると、厚生年金の加入期間は20歳から29歳までの10年間です。この場合、65歳から受け取れる年金額の目安は以下のようになります。

    年金の種類

    年間受給額(目安)

    年間受給額(目安)

    老齢厚生年金

    年間受給額(目安)

    約27.6万円

    老齢基礎年金

    年間受給額(目安)

    約84.7万円(満額)

    合計

    年間受給額(目安)

    約112.3万

    一方、65歳まで45年間厚生年金に加入し続けた場合の年金総額は200万円を超えます。

    つまり、30歳でFIREすると、年間で100万円近く年金が少なくなる計算です。リタイア後の期間が長い分、資産計画はより慎重に立てる必要があります。

    40歳でFIREした場合

    平均年収500万円の人が40歳でFIREした場合、30歳でのリタイアよりは影響が小さいものの、やはり年金額は減少します。

    40歳でリタイアした場合、厚生年金への加入期間は20歳から39歳までの20年間です。この場合の年金受給額の目安は以下の通りです。

    年金の種類

    年間受給額(目安)

    年間受給額(目安)

    老齢厚生年金

    年間受給額(目安)

    約55万円

    老齢基礎年金

    年間受給額(目安)

    約84.7万円(満額)

    合計

    年間受給額(目安)

    約139.7万円

    65歳まで働き続けた場合と比較すると、年間で70万円程度の減額が見込まれます。

    40歳でFIREする場合、65歳までの期間は25年と長いため、25年間の生活費をどう賄うかが資産計画の重要なポイントになります。

    50歳でFIREした場合

    50歳でFIREを目指す場合、30代や40代に比べて年金への影響は限定的になり、より現実的な選択肢となります。

    平均年収500万円の人が50歳でリタイアした場合、厚生年金の加入期間は20歳から49歳までの30年間です。この場合の年金受給額の目安は以下の通りです。

    年金の種類

    年間受給額(目安)

    年間受給額(目安)

    老齢厚生年金

    年間受給額(目安)

    約82.9万円

    老齢基礎年金

    年間受給額(目安)

    約84.7万円(満額)

    合計

    年間受給額(目安)

    約167.6万円

    65歳まで働き続けた場合と比較すると、年間の減少額は41万円程度に収まります。

    また、50代は退職金の見込み額も把握しやすく、子どもの教育費の目処も立っている場合が多いため、老後資金と一体でFIRE計画を立てやすいのが強みです。

    年金受給開始までの期間も15年と短くなるため、必要な自己資金額も抑えられます。


    早期リタイアが気になるあなたへ

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    FIRE後の年金はいくらもらえる?

    FIREによって早期リタイアした場合、将来受け取れる年金額は、それまでの厚生年金加入期間と、リタイア後に国民年金保険料を納付した期間によって決まります。

    自身の正確な年金見込額を知るためには、日本年金機構から送られてくる「ねんきん定期便」や、オンラインでいつでも確認できる「ねんきんネット」の活用が不可欠です。

    ここでは、基本的な受給額の考え方と確認方法を解説します。

    国民年金のみの場合

    自営業者やフリーランスで会社員経験がなく国民年金保険料のみを納付してきた人は、老齢基礎年金のみを受け取ります。

    老齢基礎年金は、20歳から60歳までの40年間(480ヶ月)の保険料納付期間に応じて金額が決まります。40年間すべて保険料を納付した場合に受け取れるのが「満額」です。

    令和8年度の満額は、年額84万7300円(月額7万608円)です。

    老齢基礎年金を受給するには10年の受給資格期間が必要になるため、少なくとも10年は国民年金保険料を納めている必要があります。受給資格期間を満たしていても、保険料の未納期間がある場合はその分受給額が減額されます。

    なお、保険料の免除または納付猶予の承認を受けている期間は受給資格期間に含まれ、免除の場合には一部年金を確保できます。

    ポイントの解説

    例えば、納付期間が20年(残り20年は未納)の場合は、満額の半分である約42万3650円が年間の受給額となります。

    FIRE前に国民年金保険料を全額納めている場合、FIRE後も国民年金保険料を60歳まで納め続ければ、この老齢基礎年金は満額受け取ることが可能です。

    厚生年金加入期間がある場合

    会社員として厚生年金に加入した期間がある人の場合、65歳から受け取る年金は「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」の合計額になります。

    老齢基礎年金 

    20歳から60歳までの国民年金保険料の納付期間(厚生年金加入期間を含む)に応じて計算されます。FIRE前も20歳から国民年金または厚生年金に継続して加入していた人は、FIRE後も60歳まで国民年金保険料を納め続ければ、満額を受け取れます。

    老齢厚生年金 

    会社員時代の厚生年金加入期間と、加入期間中の平均収入(平均標準報酬額)に基づいて計算されます。加入期間が長く、収入が高かった人ほど受給額は多くなります。

    例えば、20年間会社員として働き、平均年収が500万円だった人が40歳でFIREし、その後60歳まで国民年金保険料を納めた場合、年金受給額のイメージは以下のようになります。

    • 老齢基礎年金: 約84.7万円(満額)
    • 老齢厚生年金: 約55万円
    • 合計年金額: 約139.7万円(年間)

    このように、厚生年金加入期間が短いと2階部分が少なくなり、年金総額も減少します。

    ねんきん定期便で確認する方法

    自身の正確な年金見込額を知る有効な方法は、日本年金機構が提供する情報を確認することです。そのためのツールが「ねんきん定期便」と「ねんきんネット」です。

    ねんきん定期便

    毎年誕生月に郵送されてくる書類です。これまでの年金加入記録や、加入実績に基づいた将来の年金見込額が記載されています。

    特に50歳以上の方に届くねんきん定期便には、現在の加入条件が60歳まで続いたと仮定した場合の、より具体的な見込額が記載されており、老後設計の重要な資料となります。

    ねんきんネット 

    インターネットを通じて、24時間いつでも自身の年金記録を確認できるサービスです。マイナンバーカードを持っていればマイナポータルから簡単に登録できます。ねんきん定期便に記載のアクセスキーを使ってユーザIDを取得する方法もあります。

    ねんきんネットでは、将来の働き方やリタイア時期などを任意に設定して、年金受給額をシミュレーションする機能があり、FIRE計画を立てる上で役立ちます。

    FIREを検討する際は、まずこれらのツールで現状を正確に把握することから始めましょう。

    年金減少を補う3つの対策

    FIREによる公的年金の減少は避けられませんが、不足分を補うための対策はいくつかあります。

    国民年金の制度を最大限活用する方法や、税制優遇のある私的年金制度で自分年金を作る方法、そして働き方を工夫することで、老後の収入基盤を強化することが可能です。

    ここでは、代表的な3つの対策について具体的に解説します。

    国民年金の任意加入・付加年金の活用

    国民年金保険料の未納期間を埋めるなどの方法で国民年金(老齢基礎年金)を増やせる場合があります。

    任意加入制度

    60歳までに老齢基礎年金の受給資格期間(10年)を満たしていない場合や、40年の納付済期間がないため満額受給できない場合に、60歳から65歳までの間、国民年金に任意で加入できる制度です。これにより、老齢基礎年金を満額に近づけることができます。

    付加年金

    毎月の国民年金保険料に加えて、月額400円の付加保険料を納めることで、将来受け取る年金額を増やせる制度です。「200円 × 付加保険料納付月数」で計算された金額が、老齢基礎年金に上乗せして生涯支給されます。

    例えば付加保険料を10年間(120ヶ月)納付すると、年間2万4000円が上乗せされ、2年で元が取れる計算になります。

    これらの制度は、特に自営業者や早期リタイアした人にとって、手軽に将来の年金を増やす有効な手段です。

    iDeCo・NISAで資産運用

    公的年金の減少分を補う強力な方法が、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)といった税制優遇制度を活用した資産運用です。

    これらを使って、自分自身で「私的年金」を準備します。

    iDeCo 

    毎月掛金を拠出し、自分で選んだ商品で運用しながら老後資金の積立ができる制度です。掛金が全額所得控除の対象となるため、加入期間中の所得税・住民税を軽減できます。

    運用益も非課税となっており、積み立てた資産を受け取る際にも税制優遇があるため、効率的な資産形成が可能です。原則60歳まで引き出せないため、着実に老後資金を準備できます。

    NISA 

    一定額までの投資で得られた利益が非課税になる制度です。つみたて投資枠(120万円)と成長投資枠(240万円)の2つの年間投資枠があり、両方を併用することで年間最大360万円の非課税投資ができます。

    また、非課税保有限度額は1800万円(うち成長投資枠は1200万円)となっており、この範囲内で保有している金融商品から得られる利益は、無期限で非課税となります。

    NISAは流動性が高く、いつでも資産の引き出しが可能です。資産運用しつつ、FIRE後の生活費の取り崩しにも活用できます。

    これらの制度を最大限活用し、長期的な視点で資産を育てることで、公的年金に頼らない安定した収入源を築くことができます。

    サイドFIREで厚生年金加入を継続

    完全にリタイアするのではなく、労働時間を減らしながら働き続ける「サイドFIRE」という選択肢も、年金減少を補う有効な対策です。

    サイドFIREでは、資産運用による収入を生活の基盤としつつ、不足分を労働収入で補います。

    この時、一定の条件を満たすパートやアルバイトとして働くことで、厚生年金への加入を継続できます。

    厚生年金に加入し続けるメリットは以下の通りです。

    • 将来の年金額が増える: 短時間労働でも厚生年金に加入し続ければ、その分だけ老齢厚生年金が上乗せされます。
    • 保険料の負担が軽減される: 厚生年金保険料は会社と折半で負担するため、全額自己負担の国民年金保険料よりも負担が軽くなる場合があります。
    • 社会保障が手厚くなる: 障害厚生年金や遺族厚生年金といった保障も継続されます。

    2024年10月以降、厚生年金の適用対象が拡大され、従業員数51人以上の企業で週20時間以上働くなどの条件を満たせば、パート・アルバイトでも加入しやすくなっています。

    年金を確保しつつ、自由な時間を増やす現実的な選択肢といえるでしょう。

    »あなたの老後は年金で足りる?本当の不足額をシミュレーション

    65歳までの資産計画の立て方

    50代からのFIRE計画で重要なのが、リタイアしてから公的年金の受給が始まる65歳までの「ブリッジ期間」の資産計画です。

    この期間は主な収入源がなくなるため、生活費をどのように賄うかを具体的に計算しておく必要があります。

    また、予期せぬ出費に備えるための資金確保や、年金受給開始後の生活設計も同時に考えておくことが、安心してFIRE生活を送るための鍵となります。

    FIRE後から65歳までの必要資金を計算

    FIREを実現するためには、まずリタイアする日から65歳になるまでの期間に必要な生活費の総額を算出します。

    この期間は公的年金の収入がないため、全額を自己資金で賄う必要があります。計算方法はシンプルです。

    • (年間の生活費) × (65歳 − FIREする年齢) = 65歳までの必要資金

    例えば、55歳でFIREし、年間の生活費を420万円と設定した場合、65歳までの10年間で必要な資金は以下のようになります。

    • 420万円 × (65歳 − 55歳) = 4200万円

    この4200万円が、年金受給開始までに最低限確保すべき資産の1つの目安となります。

    自身の理想の生活水準から年間の生活費を算出し、リタイアしたい年齢を当てはめて、具体的な目標額を把握しましょう。

    生活防衛資金を別枠で確保

    FIRE計画を立てる上で、年間の生活費とは別に「生活防衛資金」を確保しておくことが欠かせません。

    生活防衛資金とは、病気や怪我による急な医療費、家族の介護、災害など、予期せぬ出費に対応するための緊急用の資金です。

    投資で運用している資産とは完全に切り離し、すぐに引き出せるように普通預金や定期預金で保有しておくのが一般的です。

    金額の目安は、生活費の半年から1年分とされています。例えば、月の生活費が30万円なら、180万円から360万円程度を準備しておくと安心です。

    この資金があることで、相場が下落している時に慌てて投資資産を売却して生活費に充てる、といった事態を避けられます。

    精神的な安定を保ち、長期的な資産運用を継続するためにも、生活防衛資金はFIRE計画の土台となる不可欠な要素です。

    年金受給開始後の収支バランス

    65歳になり公的年金の受給が始まると、FIRE後の家計は新たなステージに入ります。

    この段階では、年金収入で生活費のどれくらいを賄えるか、不足分をどう補うかを計算し、収支のバランスを考える必要があります。

    まず、年間の生活費から年間の年金受給額を差し引き、年間の不足額を算出します。

    • (年間の生活費) − (年間の年金受給額) = 年間の不足額

    例えば、年間の生活費が420万円、夫婦の年金受給額が合計280万円の場合、年間の不足額は140万円です。

    年間不足額を、資産運用で得られる利益で賄うのがFIREの基本的な考え方です。

    一般的に用いられる「4%ルール」に基づけば、年間不足額の25倍の資産があれば、資産を減らすことなく生活できるとされています。

    • 140万円(年間の不足額) × 25 = 3500万円

    つまり、65歳時点で3500万円の運用資産があれば、運用益で年金だけでは足りない生活費をカバーできる計算になります。この金額が、65歳以降に必要な資産の目安となります。

    FIRE後の年金・社会保険の手続き

    会社を退職してFIRE生活に入ると、これまで会社が代行してくれていた年金や健康保険などの社会保険の手続きをすべて自分で行う必要があります。

    手続きを怠ると、将来の年金が受け取れなくなったり、無保険状態になったりするリスクがあるため、退職後すみやかに行いましょう。

    ここでは、FIRE後に必要となる主な手続きについて解説します。

    国民年金への切り替え

    会社を退職すると、厚生年金の被保険者資格を喪失します。60歳未満の人は、国民年金の「第1号被保険者」への種別変更手続きが必要です。

    手続きは、退職日の翌日から14日以内に、住んでいる市区町村の役所にある国民年金担当窓口で行います。手続きには以下のものが必要です。

    • 年金手帳または基礎年金番号通知書(またはマイナンバーカード)
    • 退職日がわかる書類(離職票、健康保険資格喪失証明書など)
    • 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)

    この手続きを済ませることで、国民年金保険料の納付書が送られてきます。60歳になるまで保険料を納付する義務がありますので、忘れずに納付しましょう。

    未納期間があると、将来の老齢基礎年金が減額されます。また、10年の受給資格期間を満たしていないと、年金そのものが受給できなくなってしまいます。

    国民健康保険への加入

    退職すると、会社の健康保険の被保険者資格も失います。そのため、公的な医療保険に加入し直す必要があります。主な選択肢は以下の3つです。

    1. 国民健康保険に加入する: 住んでいる市区町村の役所で手続きします。保険料は前年の所得に基づいて計算されるため、退職した翌年は高額になる傾向があります。
    2. 任意継続被保険者制度を利用する: 退職後20日以内に申請すれば、最長2年間、それまで加入していた会社の健康保険を継続できます。保険料は会社負担分がなくなり全額自己負担となるため、在職中の約2倍になりますが、国民健康保険料と比較して有利な場合があります。
    3. 家族の健康保険の被扶養者になる: 配偶者や子どもが加入している健康保険の被扶養者になる方法です。年収が130万円未満であるなど、一定の条件を満たす必要があります。

    どの選択肢が有利かは個人の状況によって異なります。退職前にそれぞれの保険料を試算し、比較検討することが必須です。

    失業給付は受けられない

    雇用保険に加入していた方が退職した場合、通常は失業給付(基本手当)を受け取ることができます。

    しかし、FIREは「経済的自立を達成した上での自発的な早期リタイア」を目的としているため、原則として失業給付の対象外となります。

    失業給付は、働く意思と能力があるにもかかわらず、就職できない状態にある人の生活を支援するための制度です。

    ポイントの解説

    FIREを目指して自己都合で退職し、再就職の意思がない場合は、この「働く意思がある」という受給要件を満たさないと判断されます。

    そのため、FIRE計画を立てる際には、失業給付を収入源として計算に含めることはできません。退職後すぐに収入が途絶えることを前提に、十分な生活資金を準備しておく必要があります。

    年金を減らさないFIREの選択肢

    FIREを目指したいけれど、将来の年金が大幅に減ってしまうのは避けたい、と考える人も多いでしょう。

    実は、働き方を工夫することで、年金の減少を抑えながら、あるいは増やしながらFIREを実現する方法も存在します。

    完全なリタイアにこだわらず、柔軟な働き方を取り入れることで、経済的な安定と自由な時間の両立を目指すことが可能です。

    ここでは、年金を減らさないための3つの具体的な選択肢を紹介します。

    サイドFIREで厚生年金を継続

    年金の減少を抑えつつ自由な時間を確保する現実的な方法が「サイドFIRE」です。

    これは、資産収入を主軸にしながらも、パートタイムなどで働き続けて労働収入を得るスタイルです。

    この働き方のメリットは、一定の条件を満たせば厚生年金への加入を継続できる点です。

    ポイントの解説

    厚生年金に加入し続けることで、将来の老齢厚生年金を増やせるだけでなく、保険料の自己負担が軽減される(会社と折半)、障害厚生年金などの保障が手厚い、といった利点があります。

    例えば、週20時間以上、月収8万8000円以上などの条件を満たす職場で働くことで、厚生年金に加入できます。

    これにより、完全なリタイアよりも少ない資産でFIREを実現しつつ、将来の年金不安を和らげることが可能です。

    50代まで働いてからFIRE

    FIREのタイミングを少し遅らせ、50代、特に50代後半まで会社員として働くことも、年金を確保する上で有効な戦略です。これは「プチFIRE」や「スローFIRE」とも呼ばれます。

    リタイア時期を60歳に設定すれば、厚生年金の加入期間を延ばすことができ、年金の減少も抑えられます。

    また、退職金や企業年金も満額に近い形で受け取れる可能性が高く、老後の資金計画が立てやすくなります。

    例えば、60歳でリタイアする場合、年金受給が始まる65歳までの期間はわずか5年です。

    この5年分の生活費さえ準備できれば、後は年金と退職金を基盤とした安定した生活を送ることが可能です。

    40代での完全なリタイアにこだわらず、少しだけ早く自由な時間を手に入れるという考え方は、多くの人にとって現実的でバランスの取れた選択肢といえるでしょう。

    年金繰下げ受給で増額

    将来の年金額を増やす強力な方法として「繰下げ受給」があります。これは、公的年金の受給開始を本来の65歳から遅らせることで、受け取る年金額を増やす制度です。

    年金の受給は66歳から75歳までの間で、1ヶ月単位で繰り下げることができます。

    1ヶ月繰り下げるごとに年金額は0.7%増額され、70歳まで繰り下げると42%、75歳まで繰り下げると84%も増額されます。この増額率は生涯にわたって適用されるため、長生きするほど有利になります。

    FIRE達成時に十分な資産があり、65歳から70歳、あるいは75歳までの生活費を年金に頼らずに賄える場合は、繰下げ受給は有効な選択肢です。

    FIREによる厚生年金加入期間の短さを、繰下げによる増額でカバーするという戦略です。

    ただし、繰り下げ期間中は年金収入がないため、繰り下げ期間中の生活設計をしっかりと立てておく必要があります。

    FIREと年金に関するよくある質問

    FIREと年金の関係については、多くの人が疑問や不安を抱えています。

    ここでは、FIREを目指す上でよく寄せられる質問について、専門家の視点から分かりやすくお答えします。

    Q. FIRE後も年金保険料は払う?

    はい、FIREして会社を退職した後も、60歳になるまでは国民年金保険料を納付する義務があります

    会社員(第2号被保険者)から、自営業者や無職の人などが加入する第1号被保険者へと切り替わるため、自身で保険料を納める必要があります。

    保険料を納付しない「未納」状態が続くと、将来受け取る老齢基礎年金が減額されるだけでなく、万が一の際の障害年金や遺族年金が受け取れなくなる可能性があります。

    経済的に支払いが困難な場合は、免除や納付猶予の制度を利用できる場合もあるため、必ず市区町村の窓口で相談しましょう。

    Q. 厚生年金の加入期間が短いと損?

    「損」というわけではありませんが、受け取れる年金額は加入期間に応じて少なくなります

    老齢厚生年金は、加入期間が1ヶ月でもあれば、老齢基礎年金の受給資格(10年以上)を満たした際に、加入実績に応じた額が生涯にわたって支給されます。そのため、支払った保険料が無駄になることはありません。

    ただし、早期リタイアによって加入期間が短くなれば、その分、65歳まで働き続けた場合と比較して受給額は当然少なくなります。

    FIRE計画では、この減少分を私的年金(iDeCoなど)や資産運用でどう補うかを考えることが鍵となります。

    Q. 年金だけで生活できる?

    年金だけで生活できるかどうかは、現役時代の働き方や収入、そしてリタイア後のライフスタイルによって異なります

    例えば、40年以上厚生年金に加入し、現役時代の収入も高かった人であれば、年金だけで比較的ゆとりのある生活を送れる可能性があります。

    しかし、FIREによって厚生年金の加入期間が短い場合、公的年金だけでは生活費の全額を賄うのは難しいケースがほとんどです。

    だからこそ、FIREを実現するためには、年金収入を補うための十分な資産運用や、サイドFIREによる労働収入の確保が必要不可欠となるのです。

    まとめ

    FIREを目指すと、厚生年金の加入期間が短くなるため、将来の年金受給額は減少します。その影響は、リタイアする年齢が若いほど増加します。

    しかし、年金減少の影響を正確に把握し、計画的に対策を講じることで、FIREの実現は十分に可能です。

    iDeCoやNISAを活用して自分年金を準備したり、サイドFIREという形で厚生年金への加入を継続したりと、選択肢はさまざまです。

    特に50代からのFIREは、年金や退職金の見通しが立てやすく、現実的な計画を立てやすいという強みがあります。

    本記事で紹介したシミュレーションや対策を参考に、自身の理想のライフプランと照らし合わせ、最適なリタイア計画を立ててみましょう。

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    監修
    森本 由紀
    • 森本 由紀
    • ファイナンシャルプランナー/AFP(日本FP協会認定)/行政書士

    行政書士ゆらこ事務所(Yurako Office)代表。愛媛県松山市出身。神戸大学法学部卒業。法律事務所事務職員を経て、2012年に独立開業。メイン業務は離婚協議書作成などの協議離婚のサポート。離婚をきっかけに自立したい人や自分らしい生き方を見つけたい人には、カウンセリングのほか、ライフプラン、マネープランも含めた幅広いアドバイスを行っている。法律系・マネー系サイトでの記事の執筆・監修実績も多数。

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    執筆
    マネイロメディア編集部
    • マネイロメディア編集部
    • お金のメディア編集者

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