

退職金をもらった翌年の税金はどうなる?高くならない理由と注意すべきケース
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退職金を受け取った後、「翌年の税金が大幅に上がるのではないか」と心配していませんか?
原則として、退職金が翌年の税金に直接影響することはありません。しかし、住民税の仕組みや退職金の受け取り方によっては、負担が増えるケースもあります。
本記事では、退職金と翌年の税金の関係をわかりやすく解説し、注意点や必要な手続きについて詳しく説明します。
- 退職金は分離課税で源泉徴収されるため、翌年の税金は原則高くならない
- 翌年の住民税が高く感じるのは、前年の給与所得に対して課税される仕組みのため
- 申告書の未提出や年金形式での受取は税金が高くなる可能性があるので注意が必要
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退職金をもらっても翌年の税金は原則高くならない

退職金を受け取ったからといって、翌年の税金が大幅に高くなることは原則としてありません。
退職金に関する税金は、給与など他の所得とは異なる特別な方法で計算され、受け取る年に納税が完了する仕組みになっているためです。
なぜ翌年の税負担が増えないのか、その理由となる3つのポイントを解説します。


退職金は「分離課税」で計算される
退職金を一時金で受け取った場合、当該所得は「退職所得」に分類されます。退職所得は、給与所得や事業所得など他の所得とは合算せずに税額を計算する「分離課税」という方式が適用されます。
分離課税のメリットは、他の所得と合算されないため、所得金額が増えても税率が急激に上がりにくい点です。
退職金は長年の勤労に対する報償的な意味合いがあるため、税負担が軽減されるよう配慮されています。
受取時に税金が天引きされる
退職金にかかる所得税や住民税は、原則として退職金が支払われる際に勤務先によって天引き(源泉徴収または特別徴収)されます。
退職前に「退職所得の受給に関する申告書」という書類を勤務先に提出しておくことで、会社側が正しい税額を計算し、納税まで済ませてくれます。
この手続きにより、退職金に関する課税関係は受け取った時点で完了するため、自分で確定申告を行う必要は基本的にありません。
翌年の所得税・住民税には含まれない
退職金は分離課税の対象であり、受け取る年に源泉徴収によって納税が完了します。そのため、退職金を受け取ったという事実が、翌年の所得税や住民税の計算に影響を与えることはありません。
翌年の税金は、退職した年に受け取った給与や賞与、その他の所得(不動産所得など)を基に計算されます。
退職金そのものが翌年の課税所得に含まれることはないため、退職金が原因で翌年の税金が高くなるという心配は不要です。
退職した翌年に住民税が高いと感じる理由

「退職金を受け取っても翌年の税金は高くならない」と説明しましたが、それでも「退職した翌年の住民税が高かった」と感じる人は少なくありません。
これは退職金が原因ではなく、住民税の仕組みそのものに理由があります。なぜ負担が重く感じるのか、住民税の仕組みを理解しておきましょう。


住民税は前年の所得に対して課税される
住民税は、当該年の所得に対して課税される所得税とは異なり、前年1月1日から12月31日までの1年間の所得を基準に税額が計算されます。そして、計算された税額を翌年に納付する「後払い」の仕組みになっています。
つまり、退職した翌年に支払う住民税は、退職した年に得た給与や賞与などの所得に基づいて計算されたものです。
退職金自体は分離課税で計算済みですが、退職するまでの給与所得が翌年の住民税の課税対象となるのです。
退職後は収入が減るため負担が重く感じる
退職した翌年は、多くの人が現役時代に比べて収入が減少します。年金生活に入る場合や、再就職しても給与水準が下がるケースが一般的です。
収入が減った状況で、収入が高かった前年の所得を基準に計算された住民税を納付する必要があるため、負担が重く感じられます。
例えば、退職した年の年収が600万円だった場合、前年の所得に応じた住民税を、収入が減少した翌年に支払うことになるのです。
このギャップが「税金が高くなった」と感じる主な原因です。
退職時期による住民税の納付方法の違い
在職中は、住民税は毎月の給与から天引きされる「特別徴収」で納付します。しかし、退職すると給与からの天引きができなくなるため、納付方法が変わります。
退職後の住民税は、市区町村から送付される納税通知書を使って自分で納付する「普通徴収」に切り替わります。普通徴収では、年4回に分けて納付するのが一般的です。
これまで自動的に天引きされていた税金を自分で納めることになるため、納税をより意識しやすくなります。
1回あたりの納付額も給与天引きの時より増えるため、負担感を強く感じる一因となります。
退職後の資金計画では、住民税の支払いを忘れずに組み込んでおくことが欠かせません。
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退職金の税金が高くなるケース

退職金は税制面で優遇されていますが、状況によっては税負担が重くなるケースもあります。
ここでは、どのような場合に税金が高くなるのか解説するので、事前に気をつけておくべきケースについて確認しておきましょう。

「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合
退職金を受け取る際に、勤務先へ「退職所得の受給に関する申告書」を提出しないと、税制上の優遇措置である退職所得控除や2分の1課税が適用されません。
その結果、退職金の支払額/支払い金額に対して一律20.42%(所得税+復興特別所得税)の税率で源泉徴収されてしまいます。本来の税額よりも多くの税金が天引きされるため、手取り額が大幅に減少します。
この場合、翌年に確定申告を行えば、払いすぎた税金は還付されます。
しかし、一時的に手元資金が少なくなるため、退職前に必ず申告書を提出することが必須です。
退職金を年金形式で受け取る場合
退職金を一時金ではなく、分割して年金形式で受け取る選択肢もあります。この場合、税法上の所得区分が「退職所得」ではなく「雑所得」に変わります。
雑所得は、公的年金など他の所得と合算して税金を計算する「総合課税」の対象です。
そのため、退職所得控除や2分の1課税といった優遇措置は適用されません。代わりに公的年金等控除が適用されますが、他の年金収入が多いと税率が高くなる可能性があります。
さらに、雑所得は翌年以降の国民健康保険料や介護保険料の算定基礎にも含まれます。
結果として、所得税・住民税だけでなく社会保険料の負担も増え、手取り額が一時金で受け取る場合より少なくなるケースが少なくありません。
勤続年数が短い場合や役員の場合
退職所得の税負担を軽減する「2分の1課税」のルールには、例外があります。
まず、勤続年数が5年以下の役員(取締役、執行役、監査役など)が受け取る退職金は、2分の1課税が適用されません。退職金から退職所得控除を差し引いた全額が課税対象となります。
また、2022年の税制改正により、役員以外の従業員でも勤続年数が5年以下の場合、退職金から退職所得控除を差し引いた金額のうち、300万円を超える部分については2分の1課税が適用されなくなりました。
これらのケースに該当する場合、勤続年数が長い人と比べて税負担が重くなるため注意が必要です。
退職した翌年に必要な手続き

退職した年は、その後の状況によって税金に関する手続きが必要になる場合があります。
ここでは、退職した翌年に必要な手続きについて解説します。これから、退職する予定があるという人は、自身が必要な手続きについて確認しておきましょう。


年内に再就職しなかった場合
年の途中で退職し、退職した年の12月31日までに再就職しなかった場合、年末調整を受けることができません。そのため、自分で確定申告を行う必要があります。
確定申告では、退職した会社から受け取った源泉徴収票を基に、退職した年の1月1日から退職日までの給与所得などを申告します。
生命保険料控除や医療費控除など、適用できる所得控除があれば併せて申告することで、源泉徴収で払いすぎていた所得税が還付される可能性があります。
「退職所得の受給に関する申告書」を提出していなかった場合
退職時に「退職所得の受給に関する申告書」を勤務先に提出しなかった場合、退職金の支払額/支払い金額に対して一律20.42%の所得税が源泉徴収されています。
この税額は、退職所得控除などが適用されていないため、本来納めるべき税額よりも高くなっている可能性が高いです。
この過払い分を取り戻すためには、退職した翌年に確定申告を行う必要があります。 確定申告をすることで、正しい税額が再計算され、納めすぎた税金が還付されます。
手続きを忘れると損をしてしまうため、必ず申告しましょう。
住民税の納付方法
退職後は、住民税の納付方法が給与天引きの「特別徴収」から、自分で納付する「普通徴収」に切り替わります。退職した翌年の6月頃に、居住している市区町村から納税通知書と納付書が送られてきます。
納付書に記載された金額を、指定された金融機関やコンビニエンスストアなどで納付します。納付は年4回に分けるのが一般的ですが、一括で全額を納付することも可能です。
納付期限を過ぎると延滞金が発生する場合があるため、忘れずに手続きを行いましょう。
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退職金以外で翌年の負担が増える費用
退職した翌年は、住民税だけでなく、社会保険料の負担も増える可能性があります。どのような費用負担が発生するのか、事前に把握しておきましょう。


国民健康保険料・介護保険料

退職すると、会社の健康保険から脱退することになります。その後は、国民健康保険に加入するか、元の会社の健康保険を「任意継続」するかの選択が必要です。
国民健康保険料は、住民税と同様に前年の所得を基に計算されます。そのため、収入が高かった退職した年の所得が基準となり、退職翌年の保険料が高額になるケースが少なくありません。
なお、40歳から64歳までの人は介護保険料も国民健康保険料と合わせて納付します。また、65歳以降の人は、介護保険料は市区町村より徴収(原則として年金から天引き)されます。
これらの社会保険料の負担が、退職後の家計を圧迫する可能性があるため、あらかじめ納税資金を準備しておくことが大切です。
(参考:介護保険制度と介護保険料について|広報|茨城支部|都道府県支部|協会けんぽ)
退職金と税金に関するよくある質問
退職金と税金については、複雑な制度も多く、疑問を持つ人も少なくありません。
ここでは、よくある質問とその回答をまとめました。


Q. 退職金をもらうと翌年の税金は高くなる?
原則として、退職金が原因で翌年の所得税や住民税が高くなることはありません。
退職金は他の所得と分けて計算(分離課税)され、受け取る年に税金が天引き(源泉徴収)されるためです。
ただし、退職した翌年の住民税は、前年の給与所得を基に計算されるため、収入が減った状況では負担が重く感じられることがあります。
Q. 退職金はいくらまで無税?
退職金が「退職所得控除額」の範囲内であれば、所得税や住民税はかかりません。退職所得控除額は勤続年数によって決まります。計算式は以下の通りです。
- 勤続20年以下:40万円 × 勤続年数 (80万円に満たない場合は80万円)
- 勤続20年超:800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年)
例えば、勤続38年で退職した場合の控除額は2060万円となり、退職金がこの金額以下であれば非課税です。
(参考:退職所得控除額の計算方法 | 国税庁)
Q. 退職金をもらった年の年末調整はどうなる?
年の途中で退職し、退職した年内に再就職しなかった場合、年末調整は行われません。そのため、自分で確定申告をする必要があります。
一方、年内に再就職した場合は、新しい勤務先で前職の給与と合算して年末調整を行います。その際、退職した会社から交付される「源泉徴収票」を新しい勤務先に提出する必要があります。
退職金については分離課税で納税が完了しているため、年末調整の対象にはなりません。
まとめ

退職金を受け取っても、原則として翌年の税金が高くなることはありません。退職金は「分離課税」で計算され、受け取る年に「源泉徴収」で納税が完了するためです。
ただし、退職した翌年に住民税の負担が重く感じられることがあります。これは、住民税が前年の給与所得を基に計算されるためです。
また、「退職所得の受給に関する申告書」を提出し忘れたり、退職金を年金形式で受け取ったりすると、税負担が増える可能性があるため注意が必要です。
退職後の税金や社会保険料の仕組みを正しく理解し、必要な手続きを忘れずに行うことが、安心してセカンドライフを迎えるための第一歩です。自身の状況を確認し、計画的に資金を準備しておきましょう。
退職後の税金の仕組みを理解し、計画的に資金を管理することが大切です。
まとまった退職金をどのように活用すればよいか、自身の状況に合わせてシミュレーションしてみてはいかがでしょうか。
»お金をどう運用する?あなたのケースでシミュレーション
退職金をどう使うか悩んでいるあなたへ
退職金を賢く活用して、老後に備えましょう。マネイロでは、将来資金の準備をスムーズに進められる無料ツールを利用できます。
▶将来資金の無料診断:将来必要になる金額が3分でわかる
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監修

黒澤 伸
- 税理士/社会保険労務士/CFP®認定者
東京都出身。中央大学商学部会計学科を卒業後、東京国税局に入局。国税庁、東京国税局等に38年間勤務し、2023年に高松国税局長を最後に退官。同年、黒澤伸税理士事務所を開設し、2024年には社会保険労務士としても登録。現在は、税務・会計、社会保険、労働保険等の士業務を中心に、CFPとして事業者のトータルサポートを行っている。
執筆

マネイロメディア編集部
- お金のメディア編集者
マネイロメディアは、資産運用に関することや将来資金に関することなど、お金にまつわるさまざまな情報をお届けする「お金のメディア」です。正確かつ幅広い年代のみなさまにわかりやすい、ユーザーファーストの情報提供に努めてまいります。







